wz.34

wz.34装甲車リベンジ(7)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

砲塔工作のそのまた続き。

●wz.34装甲車の砲塔上面隅には、ちょうどドイツ戦車のピルツェンのような円筒状の突起がある。ピルツェンなら簡易クレーンの取付部だが、wz.34装甲車のそれは車輌間連絡用の信号旗を立てる場所で、どうやら砲塔内部まで貫通しているらしい。

20170616_144527 MirageHobby版のキットには、初回にちらりと触れたように、この信号旗が両面印刷された小さな紙が付属している。1:35用と1:72用が1枚の紙に印刷されているから、同社のポーランド軍AFVのキットにはもれなく付いているものらしい(あれ? でも同社1:72の7TPには入っていなかった気がずるぞ?)。

この信号旗はスウプスキ式ペナント(Chorągiewki Słupskiego/ホロンギエフキ・スウプスキエゴ)、あるいは「スウプスキの盾(Tarcze Słupskiego/タルチェ・スウプスキエゴ)」と呼ばれるもので、スウプスキというのは考案者の名前であるらしい。

Slupski 下すぼまりの三角形の布が2本の鋼線の間に張られていて、おそらく、この鋼線がバネになって、車外に出すと旗が開き、また簡単に車内に引っ込めることもできる、という仕組みになっているのではないかと思う。右はその出し入れの想像図。取っ手部分はまるっきり想像。もっとしっかりした持ち手があるのかもしれないし、あるいは車外に抜け出してしまわないようなストッパーのようなものがあるかもしれない。

ポーランド語版wikipediaには、このスウプスキ式ペナントの解説記事が上がっている。

それを読むと、この信号機の一本ずつ、あるいはその組み合わせ、そして掲示の仕方(出しっぱなしだったり出し入れしたり)によって十数通りの合図を伝達できるものらしい。Google翻訳さんに掛けてもいまひとつよく判らない部分もあるが、とりあえず簡単なところでは、赤のペナント1本は「敵発見、隊列は縦隊保持」だそうで、そのため、破壊/放棄された1939年戦役時のwz.34装甲車の写真でペナントが掲げられている場合、赤旗である例が多い、と記事にある。

ちなみにこのスウプスキ式ペナントは1936年に制式化されたものだそうで、そのため、原型であるwz.28装甲ハーフトラックには砲塔の筒はなく、wz.34に改装されて以降、追加で改修装備されたものであるらしい。同様の筒穴は、TKSや7TPにも付いている。

●さて、このペナント用筒穴なのだが、CERTIのキットでは、砲塔天井左右辺の前後、計4カ所にモールドされている(筒ではなく単なる突起になっているが)。

しかし、たまたま砲塔上面が比較的鮮明に写っている下左の写真を見ると、左前には筒穴があるものの(黄色矢印)、左後ろには明らかにない(赤矢印)。例によって、写真は「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させていただいた。

06 07

しかし一方で、右写真では左後ろにも、右後ろ同様に筒穴があるように見える(黄色矢印)。他の写真を漁っても、上面は写っていないもののペナントが4本立っている例があるから、4カ所に筒穴がある仕様が存在しているのは確かだと思う。

それなら左写真の例はいったい……???

例えば、当初のスウプスキ式ペナントは信号体系が後のものよりシンプルで、筒穴も3つ(あるいは2つ)で済んでいたため、初期の改装車は筒穴が少なく、後に信号の複雑化に伴って穴も4つに増えた、などという筋書きも可能性として考えられるが、もちろんそのあたりはまったく想像。

●とりあえず工作としてはしっかり4カ所に筒穴を設けることにして、天井板にドリルで開口。コントレールのプラパイプを埋め込んだ。

その後、キューポラハッチにもリベットを植え、砲塔上に接着。ちなみに各面の下4つのリベットはMasterClubの0.5mm、上2つはタミヤのマーダーIIIのモールドを削ぎ取ったもの。上2つは下よりやや小さめなので変えてみたのだが、こうして写真で見てみると、色が違うだけで大きさはあまり変わらないような気が……。ナンノコッチャ。

前後にヒンジも工作。側面貼視フラップのヒンジがぐだぐだな仕上がりになったのに懲りて、この部分のリベットもタミヤのマーダーIIIのモールドを使用した。

20170617_005845 20170617_005901

キューポラ上のフタ、武装に関してはいずれまた改めて。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(6)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

砲塔工作の続き。

●ディテール工作の皮切りに、まず、天井板周囲にリベットを植えた。MasterClubの0.7mm丸頭リベットを使用。

20170614_234943

ちなみにMasterClubからは「ポーランド型」として2辺のみ削られた尖頭ボルトも出ているが、あのタイプは基本、TKシリーズのみに使われているのではないかと思う。少なくともwz.34装甲車は通常の丸リベットのようだ。

「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面では、天井板の角度が切り替わる部分の直後にも、横一線にリベットが描かれているが、実車写真では確認できない。

●側面にリベットを植える前に、左右前・後面の三カ所に視察スリットを筋彫り。プラバンの切れ端でいい加減な冶具を作って針でケガいた。

20170615_125956

リベット用の穴はきちんと揃えて開ける……つもりでいてもどうしてもあちこちズレる。ズレが激しい部分については伸ばしランナーで穴を埋めて開け直したり、それがまたズレてまたやり直したりする。うぐぐぐぐぐぐぐぐ。

●側面のリベットの植え込み完了。基本、装甲板の接合部分は0.7mmリベット。観察スリットには一応内側に防弾ガラスか何か付いているらしく、スリット左右上に小さなリベットがあるので、これが同じくMasterClubの0.5mm丸リベットを植えた。

装甲板の接合リベットのなかでも、砲塔下辺はやや小さいものが使われているようだ。観察スリット左右のリベットよりは大きいようなので、本来なら0.6mmリベットを使いたいところなのだが、しばらく前からMasterClubの0.6mmリベットは品切れで入手難(以前、ヴィッカース水陸両用戦車を作ったときにも0.6mmが使いたかったのに手に入らなかったのだった)。結局ここも0.5mmを使った。

20170615_165904

●左右面に観察フラップを付ける。ここにもスリットがあるので、砲塔本体同様針でケガいたのだが、相手が0.3mm板なので筋彫りが貫通。それはそれで彫りが深くなっていいのだが、砲塔本体の3カ所よりもスリットが太くなってしまった。

本来なら砲塔本体の3カ所ももう少し強く彫り直したいところなのだが、そうすると筋彫り線がヨレヨレになりそうな気がするのでとりあえず放置。

20170616_013939

蝶番は伸ばしランナーとプラペーパー、リベットはドラゴンのT-34の不要部品(グローサー取り付け用ベルト)から。

さすがにこの大きさで削ぎ取り+貼り付けは目が追い付かず、こうしてデジカメで撮って拡大してみると手作り感バリバリ。

ちなみにキューポラは仮に載せてあるだけ。これにもリベットを植えないといけない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(5)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

CERTIのキットでエントリーしておきながら、いつの間にやらスクラッチ道まっしぐら。

ボディの基本形がほぼ出来上がったので、最初に手を付けたものの中途になっていた砲塔に戻ることにする。

●銃/砲架に関する若干の考証。

後期型装甲ボディの車輌の場合、通常は(機銃搭載型の場合の)銃架はTKSと同じ(あるいは同じではないにしても非常によく似ている)ボールマウントが使われている。砲搭載型の場合もおそらく外側のマウント部は同じだと思う。

一方で初期型装甲ボディの場合は角型の銃/砲架が使われている。

ただ、全車がそうだというわけではなく、若干の例外もある。例えば以下の写真では、右の車輌は新型装甲ボディだが角型銃架が使われている(ただし、この角型銃架は、旧型装甲ボディの車輌で一般的な形式のものとはちょっと違うような気もする)。写真はポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NAC:Narodowe Archiwum Cyfrowe、リンクは英語版)から引用した(写真番号:1-P-2993-8)。

Pic_1p29938s

また「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(1)では、逆に旧型ボディで丸型銃/砲架の車輌の写真も見ることができる。

もっとも、ほぼ装甲ボディの形式別に銃/砲架の仕様が違うとは言えそうで、そこから考えて、この差異はwz.28時代からのものと思われる。装甲ボディ形状が改設計されたのとほぼ同時期に銃/砲架も新型のものに変更され、同形式の銃/砲架が引き続きwz.29装甲車やTKSにも採用されたのではないだろうか。

●というような考証に基づき、角型の銃/砲架を工作。一応、ピュトー37mm砲搭載型を作ろうと考えているので(以前、ほぼストレートにCERTIのキットを作ったときにオチキス機銃型にしたので)、以下、砲架で統一する。

初期型装甲ボディ砲塔の周囲だけ作って天井を張っていなかったのはこの砲架の工作が残っていたからで、砲塔前面に砲架のはまる四角い穴を開口する。プラバンを四角く切り出すのは別に難しくないが、四角く綺麗に穴を開けるのは意外に面倒。

さて、この砲架は、砲もろともMENGのFT-17から流用してこようとも思ったのだが、砲塔に対して砲架がやや大きめで(もともとwz.34装甲車の角型砲架がFTに比べ小さめなのか、私の作った砲塔の前面の面積が足りないのかは不明)、細部形状も違うので使用を断念した。下写真で右側に写っているベージュのパーツがMENGのもの。

代わりにRPMのFT-17の砲架パーツを持って来て、これをもとに新たに砲架をでっち上げた。RPMの砲架パーツは実はMENGのモノよりさらに一回り大きいので、十文字に切り刻んで縦横の幅を詰めたうえで削って整形、前面はくり抜いてプラバンをはめた。

この角型砲架はルノーFTと同じく、カルダン枠形式になっていて(オチキス用銃架も同様)、俯仰だけでなく左右動もできる。FTの機構を引き継いだものと思われる日本戦車の砲架とも同じ仕組み。ただし、FTの37mm用砲架は左右動の軸が脇に寄っているのに対し、wz.34装甲車のものは中央にある。

また、不思議なことに、この防盾の前面には、照準口が見当たらない(たとえばこの写真参照)。オチキス機銃用の防盾、また37mm砲用でもルノーFTのものにはしっかりあるのに……なぜ?

20170612_010623

MENGのものを使えれば、パーツの俯仰軸を活かして一応上下動くらいはできるようにしようかな、とも思ったのだが、新たに砲架を作る段階で、RPMのパーツの軸は(作業に邪魔で)削り飛ばしてしまい、わざわざそのへんを再生するのも面倒だったので結局接着した。……結局接着するなら砲塔前面に開口しなくても、適当な角度で削った砲架をイモ付してしまえばよかったのでは(と、後から気付いた)。開口しておいてなぜ動かすようにしないんだ!と、みやまえさんに叱られそう。

●満を持して(?)天井板を貼る。

砲塔本体に天井板がかぶさったような状態を表現するため、表面は0.3mm板を使い、それだけではたわんでしまいそうなので0.5mm板で裏打ち。さらに前後の接合部近くにはタミヤの角材で桁を入れた。

●砲塔上の六角形のキューポラを作る。

この部分は、キューポラ自体が「ぱっかん」と前後に分かれるハッチになっているという、独特の構造。もっともここから上半身を出すのはちょっと窮屈そうな感じ。

現時点ではまだ工作していないが、キューポラ上のフタ部分は、円形のものと、キューポラ本体に合わせた六角形のものと2種類ある(CERTIのキットにも2種のパーツが入って選択式だった)。フタとキューポラの間にはわずかに隙間があって、これはおそらく硝煙の換気用。なお、このキューポラの周囲(6面)には視察用のスリットが付いていそうに思うのだが、手持ちの写真資料では確認できない(wz.34装甲車の視察スリットは他の部分のものも非常に狭く、写真では確認しづらいので、存在する可能性は捨てきれない)。

なお、ここでもう一度、上に引用したポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NDA)の写真を見て欲しいのだが、この写真に写っているwz.34装甲車は、キューポラ式ハッチの代わりに、平板のハッチが取り付けられているらしい。こんな例は他では見たことがなく、このパレード時の特別な改装なのか、少数はこんな仕様があったのか、よく判らない。

実際の工作。当初、ほぼ「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面に準じた大きさで工作。それなりに綺麗にできた……と思ったのだが、砲塔に載せてみるとどうも小さすぎる感じ。仕方がないので作り直したが、今度は大きすぎ・平たすぎになってしまうので、さらに作り直し。3度目でなんとか使えそうなものができた。

20170612_210124

中央が最初に作ったもの、右が2番目に作ったものの残骸、左が三度目の正直。

もっとも、この大きさのプラバンのコマ切れを工作する場合、目盛付きプラバンを使っても正確に同一形状に切るのは難しく(誤差の絶対値としては大きなパーツを切る場合とそう変わらないと思うが、相対値はどうしても大きくなる)、向かい合った面同士がしっかり平行になっていなかったりする。……が、ぱっと見には判りづらいので、これで良しとする。

既存の図面では、このキューポラ・ハッチは砲塔上面にそのまま載っているように描かれているが、実際には段差か縁取りのようなものがあるようなので、0.3mm板を貼り増した。砲塔に載せてみて、CERTIのキットのパーツと並べてみたのが以下。

20170612_234530

| | コメント (3) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(4)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記の続き。糖尿病だろうが何だろうが、とにかく模型は作る。……いやまあ、大層な心意気とかの問題ではなく、別に他にやるべきことがあるわけではないので。

●シャーシ工作の続き。

「ひっくり返して裏を見せるつもりも特になく、エンジンまで作り込む気もないので」と前回書いたが、さすがに何も無しというわけにはいかないので、なんとなくそれらしく、アレコレのものを配置する。

一応、機器類の配置は「Wydawnictwo Militaria No.318」に出ている図に従っているが、それぞれのディテール等は、ほとんどでっち上げ。

20170610_004640 20170529_2324122

一応、各パーツの出自を書いておくと、

①:ドラゴンのT-34の76mm砲の空薬莢受けを切り刻んだり削ったりしたもの。

②:タミヤのヴェスペの105mm砲弾を切り詰めたもの。

③:タミヤのIII号戦車の上部転輪、ヴェスペの上部転輪など輪状パーツを重ねて削った。

④:太めのランナー。

⑤:ドラゴンのT-34の角型増加燃料タンクを刻んだりプラバンを貼ったり。

⑥:プラストラクトのL字材。

⑦:前回書いたように、たぶんタミヤの48マーダーIIIの固定用ナット受け(湾曲部)。

⑧:再びドラゴンのT-34の76mm砲の空薬莢受けを切り詰めて両側をプラバンで塞いだもの。空薬莢受け大活躍。

右写真はまだ排気管が付いていないが、マフラーと排気管はランナーとコントレールのプラ棒で作った。位置的にはここにマフラーが付くのは間違いないはずなのだが、ギア機構が乗っている肋材(プラストラクトのL字材で作った部分)との関係がよく判らない。結局、マフラーが付く部分の肋材をゴリゴリ削り込んだ。CERTIのキットには排気管が含まれていないことに、今回ようやく気付いた。

このあと、サスペンション機構やフロントアクスル、デファレンシャルなどを作らないといけないので、シャーシに関してはまだ道半ば。

●装甲ボディとシャーシの位置関係に関する若干の考察。

CRETIのキットでは、シャーシの上にそのまま装甲ボディが乗っている形に表現されていて、実際、後期型装甲ボディではそうなっているのかもしれないが(しっかり確認していない)、初期型装甲ボディの場合、どうもそうではない感じがする。

以下の写真は、解説用に「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させていただいた。

04 03

左写真で、戦闘室下にある横線は、装甲ボディ本体とその下のシャーシ保護用スカートの分割線と思われるが、これを前方に延長すると(黄線)、シャーシ上面と等しいと思われる前方の切り欠き上端よりも少々上に来る。エンジンルーム側面が若干狭まって奥まっていることを考えても、連続していないと見たほうがよさそう。

また右写真を見ると、どうもシャーシの上にもう一枚、スペーサーのようなものが挟まっているように見える。

そんなわけで、製作したシャーシ上面に、1mmプラバンでゲタを履かせた。ボコボコ穴が開いているのは接着剤の流し込み用。

20170610_004615

●エンジンルーム側面に関する若干の考察。

エンジンルーム左右には、小さなルーバーと点検用ハッチがあるが、これらの位置は初期型装甲ボディと後期型装甲ボディとで異なる。

……だけならまだしも、初期型装甲ボディの場合、左右でもルーバーとハッチの相対位置が異なっていて、点検ハッチの後端が、右側ではルーバー後端より前、左側ではルーバー後端より後ろにある。

さて、相対位置が異なっていることは写真から比較的簡単に判断できるのだが、問題は絶対位置に関して。可能性としては3種類ある。

(1).ルーバー位置は左右同じで、点検ハッチの位置が左右で前後にずれている。

(2).点検ハッチ位置は左右で同じで、ルーバーの位置が左右で前後にずれている。

(3).ルーバーも点検ハッチも、両方微妙に違う(すごくイヤ……)。

以下の写真も、「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させてもらったもの。

05

写真の歪みもあると思うので断言はできないものの、これで見る限り、左右のルーバー位置はほぼ同じと考えてよさそうだ。

というわけで、ルーバー位置は同一、ハッチ位置は左右ずらして側面板を工作した。

20170610_005557 20170610_005432

ルーバーの穴は、三連で同じ小穴を開けるのは面倒くさかった(しかも0.5mm板の厚みが見えるのも避けたかった)ので、長方形の大きな穴を開け、そこに0.3mm板でブリッジを掛けた。周囲も内側から若干削って薄くしてある。この後、フラップを付ければほとんど見えなくなってしまうと思うけれど。

なお、後期型装甲ボディではエンジンルーム側面板と下部のスカートは別体だが、初期型ボディは一体になっている。

●装甲ボディの工作の続き。

前回はほぼボディ後部(戦闘室)基本形のみだったが、戦闘室は前面も0.5mm板で内張後、前面・上面に0.3mm板を貼り増し。この部分だけ0.3mm板を貼ったのは、表に小口が出る部分であるため。

上にも写真を載せたエンジンルーム側面板は、ほぼ真横から撮った実車写真をおおよそ1:35サイズに縮小し、それで形状/ルーバー位置のアタリを付けた(左写真の背景に写っているもの)。

20170604_022540 20170609_170233

エンジンルーム上面は、後端・側端などナナメ+ナナメで接するラインの寸法が取りづらく、大まかに切り出した後に削り合わせた。

写真を撮って置こうと思って忘れたが、上面の山形が削り合わせ作業中に割れたりしないよう、裏側は結構ぐちゃぐちゃにプラバンの切れ端や瞬着で補強してある。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(3)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

●毒を食らわば皿まで工作その1。

結局、初期型装甲ボディを作ってみることにした。前回書いたことと重複するが、

  • 後期型ボディで作る場合でも、キットのパーツそのままでは使えず、結局ほぼ丸ごと作り直すことになる。
  • 後期型ボディの場合の、シャーシ後端の処理(形状)が今ひとつよくわからない。
  • 後期型ボディばかり一般的で、初期型ボディは目新しさがある。

……などが理由。

初期型ボディは戦闘室後面が垂直なのが特色(後期型は傾斜している)で、他に、以下のような特徴がある。

  • 戦闘室の幅が後期型よりも広く、砲塔が正位置では左右にはみ出さない。
  • その代わり、戦闘室側面下部は(ハーフトラック時代の足回り形状に合わせて)えぐれていて、段になっている。
  • 前方から見た時の大きな識別点として、戦闘室正面バイザーが大小2つある(後期型は1つだけ)。
  • エンジンルーム左右装甲板の形状、ディテールレイアウトも後期型と異なり、ルーバー、点検ハッチがやや後ろにある。
  • 初期型ボディのさらに初期生産型と思われるが、エンジンルーム上面フード前方が別体。

……など。後期型ボディとはすべての装甲面で寸法が違うのだが、前に書いたように「Wydawnictwo Militaria No.318」に出ている初期型ボディの図面はまったく信用できないので、「PIBWL Military Site」の中のwz.34解説ページの参考図なども見つつ、「だいたいこんなもん?」で寸法や形状を決めていく(←いい加減)。

20170528_020720 初期型装甲ボディに関しては、FTFから72で唯一のインジェクションキットが出ていて、これも若干の立体参考資料としたが、このキットは、形状的には「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面と近く、初期型ボディを正しく再現しているとは言い難い。

このキットでは、ボディ側面下のえぐれた部分も3つの面で膨らんだ形状となっているが、影の付き方などから見て、ここは素直に同一平面になっているものと判断した。初期型ボディの比較的鮮明な写真資料に関しては、「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)が助けになる。

また、原型となったwz.28装甲車では確実にこの部分が平面であるのは、同じく「PIBWL Military Site」のこのページで判る。

そんなこんなで、砲塔同様にwaveの目盛付きプラバンを使ってボディを新調。

20170528_020847 20170528_020930

前半はシャーシとのつじつま合わせも必要になってくるので、ある程度シャーシの目途が付いたところで工作の予定。戦闘室前面・上面は装甲板の重なりを表現するため0.3mm板を被せるつもり。

●毒を食らわば皿まで工作その2。

どうせほとんど見えない部分だし、シャーシはキットのパーツを使っちゃおうかなあ、とも思ったのだが、結局こちらも自分で作ることにした。

ひっくり返して裏を見せるつもりも特になく、エンジンまで作り込む気もないので、作りやすさ優先でシャーシ外形に合わせてプラバンで底板を作り、そこにフレームやある程度のディテールを盛って行く形式とした。

20170525_160456 20170528_021134

後輪スプリングを支えるビームのうち、前側のものは、中央がドライブシャフトを避けて窪んでいる(その形状については、この写真で確認できる)。それほど複雑な形状でもないが作るとなると面倒で、作成法についてちょっと悩む。結局、円筒形のジャンクパーツ(たぶん、タミヤの48マーダーIIIの固定用ナット抑え)を輪切りにして、それをプラ材に貼り付けてから削り込んだ。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(2)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記の続き(というか、ここからスタート)。

●車体に関してはなお考証・検討中。

先述のようにwz.34装甲車の寸法には2種類あり(実際にはシャーシは3種類だが、wz.34-Iはwz.34と同寸法?)、装甲ボディも2種類ある。「PIBWL Military Site」の解説ページでは、キットが表現している新型装甲ボディの車輌は、シャーシはむしろ初期型の、wz.34もしくはwz.34-Iだったのではと考察している。

「Wydawnictwo Militaria No.318」には、新型装甲ボディの車輌の4面図が出ている(その他の型も側面図だけ出ている)。各面で微妙に寸法にズレがある怪しい図なのだが、少なくとも側面図はwz.34の寸法(全長3620mm)の解釈で描かれているようだ。装甲ボディ後端とシャーシ後端の関係など、「これでいいのか?」と思う部分もあるが、そのへんの誤差を含めても、CERTI/Mirageのキットの装甲ボディはやや小さいようだ。

なお、新型装甲ボディに関しては、hnさんから、「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面と実車の側面写真とを対照し、寸法を検討した図面画像を頂いた。本当にどうもありがとうございます。

新型ボディで作る場合は、CERTI/Mirageのキットの装甲ボディにプラバン1枚被せて、装甲形状も一部手直ししつつやや拡大するという方法もいいかなと思う。面の数も旧型に比べ少ないので、その点でもメリットがある。しかし、シャーシ後端(特に後輪スプリング保持部)の形状が旧型ボディ車輌以上に判らないのがワジワジする。

どのみちボディもある程度以上のプラバン工作が必要になるなら、35では見たことがない旧型装甲ボディにしてしまうのも(長丁場のSUMICONなら)アリかな、と思ったりする(毒を食らわば皿まで的な)。

なお、「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面では前輪はまっすぐに地面に当たっているが、「WRZESIEŃ 1939」では若干のポジティブ・キャンバーが付いている(キットもだいぶきつめにキャンバーが付いている)。実車写真を見ると、「ややキャンバーあり」が正しいようだ。

●装甲ボディに付いては前記のように「やや小さい(全長で3~4mm?)」程度のようだが、砲塔に関してはそれどころではなく小さい。初めてCERTIのキットを作った時には、キットの砲塔パーツ底面に1.2mmプラバンを貼って嵩上げし、若干大きくすることでお茶を濁したが、今回は最初からプラバン工作する。

20170514_203259 20170516_233847

今回の工作では、先日購入した方眼プラバン(WAVEの「プラ=プレート【グレー】目盛付き 0.5mm)を使用した。確かme20さんに教えて貰ったもの。これを使うとかなり楽に精度の高いパーツを切り出せる。もちろん、本人の工作精度の問題もあるので、出来上がったものは「それなり」。

さて、この砲塔はほぼ前述の2図面に準拠した寸法で作ったのだが、出来上がったものを実車写真と並べてためつずがめつすると、どうも各面が、実車はもうちょっと縦長で角度も立っている気がしてきた(この辺は写真によっても見え方が違うので微妙)。

というわけで、工作開始直後からいきなり迷走状態だが、わずかに寸法を変えて、砲塔をもう一個製作した。

20170518_182106

左が新たに作ったほう。縦横比はこちらの方が近いような気もするのだが、今度は明らかに面が立ち過ぎ。砲塔ばかり3個も4個も作っても仕方ないので、最初に作った砲塔を採用する。ああ、回り道した。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ

●5月アタマから、週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」がスタートしている。

期間は10月末までの長丁場の、AFVモデルのwebコンペで、レギュレーションは例年通り、製作過程を掲示板で報告し、あれこれ皆でコメントしあって盛り上がりつつ完成を目指そうというもの。

今度こそクブシュを作ろうかとも思ったが、結局、あれこれ考えてwz.34装甲車を作ることにした。

wz.34装甲車は、かつてポーランドの小メーカーCERTIから初のインジェクション・キットが発売された。CERTIはこのキット一つだけで消滅してしまったが、キットは数レーベルを転々として、現在はMirage HOBBYから出ている。現在でも35のインジェクションはこれが唯一。

20170507_152809 20170508_011454

20170515_170535 20170515_170910

上段がCERTI版とその中身、下段がMirage版とその中身。基本パーツは同じだが、Mirage版は、

  • 箱絵がまともになった。
  • タイヤが別物になった(ただしディテールは五十歩百歩)。
  • 説明書が豪華カラー印刷。
  • デカールが大判で綺麗(ただし中身はだいぶ疑問有り)。
  • 砲塔上に掲げられるペナントが両面印刷の紙で付属。
  • Mirage製のMG34のパーツ枝が付いてドイツ軍鹵獲仕様に対応。
  • 金型の手入れをしたのか、あるいは単に成型状態の差か、若干パーツ表面が綺麗。

などの違いがある。なおCERTI版には写真の白箱と、グレー箱の2種がある。グレー箱が初版だったような気がする。なお、初版はプラ色がダークブルー(ホイールのみこげ茶)だった。

私自身はCERTI版が発売された直後に一度作ったことがあるが、当時は「wz.34装甲車が出た!」というだけで嬉しかったので、パタパタ組んでタミヤエナメルを筆塗りして完成させた記憶がある。

さすがに自分でもかなり不満の残る出来で、いつかもうちょっと気合を入れて作りたいと思っていて、このブログでも、過去、(その後あれこれ出てきた資料をもとに)若干の考証をまとめたことがある。

wz.34装甲車メモ
wz.34装甲車メモ(2)

なお、wz.34装甲車のインジェクション・キットは、その後、1:72ではFTFから旧型・新型2種の装甲車体それぞれのキットが発売されている。レビューはこちら

●CERTIのキットが出た当時に比べるとかなり資料的に充実してきたとはいっても、実のところ、なお謎の部分が多い。

wz.34装甲車は、もともとハーフトラック形式だったwz.28装甲車を改装して作られているが、エンジン・駆動系の違いによってwz.34、wz.34-I、wz.34-IIの3形式があり、さらに装甲ボディ形式に新旧の2種がある。MirageおよびFTFは、キット名称として、新型装甲ボディのものを指してwz.34-II(旧型をwz.34)としているのだが、これは少々怪しい。

基本の数値データ(全長、全幅、全高、ホイールベース)などは各資料にあるのだが、これも所々「えっ、それホント?」という部分がある。以下は「WRZESIEŃ 1939」(WKŁ)より。最初の数字がwz.34、カッコ内がwz.34-II(ということになっている)。

全長:3620mm(3750mm)
全幅:1910mm(1950mm)
全高:2220mm(2230mm)
前輪トレッド:1180mm
後輪トレッド:1470mm(1540mm)
ホイールベース:2570mm(2405mm)
グランドクリアランス:250mm(230mm)

「Wydawnictwo Militaria No.318」ではwz.34-IIの前輪トレッドが後輪と同じ1540mmになっているが、これは明らかに間違い。あとはwz.34のグランドクリアランスが257mmとやや大きくなっているだけの差。

さて、ここからがだんだんややこしくなってくるのだが、前述のように、wz.34、wz.34-IIという形式名称は駆動系の差にあり、それでホイールベースやトレッド(全幅)が変わってくるのは納得できる。が、全高あたりは装甲ボディの形状で決まりそう。

また、上記数字を信用すると、ホイールベースが約15cmも短いwz.34-IIのほうが全長が10cm以上長く、wz.34-IIは、wz.34に比べ、シャーシ後端が後輪よりもかなり後ろに出っ張っていることになる(前輪端が前端であるのはどの形式でも変わらないと思われるので)。

20170513_011228 このあたりに関する考察に関しては、「PIBWL Military Site」の中のwz.34解説ページがなかなか詳しく説得力もあるが、そこでは、(キット名称や一般的な印象とは逆に)旧型装甲車体のほとんどはwz.34-IIだったのでは、というようなことが書いてある(英語なので読み間違えていたら失礼)。また、上記数字データのうち「wz.34-II」のものとなっているのは、旧型装甲ボディのものではないかと推察している。

図面に関しては、一応、手に入る既存資料のものを比較してみたのが右上写真。一番奥のマンガっぽいカラー図は「WRZESIEŃ 1939」。右下の外形図と中上のシャーシ図は「Wydawnictwo Militaria No.318」のコピー。左の2枚は「PIBWL Military Site」の参考図を1:35相当に引き延ばしたもの。

一見、一番もっともらしいのが「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面なのだが、実はこれはだいぶ怪しい(そもそも側面図と平面図で寸法が合わなかったりする)。特に旧型装甲ボディの図面は明らかにおかしく、実車写真と各部バランスが食い違っている。むしろ見た目では牧歌的な「WRZESIEŃ 1939」のカラー図や、同じAdam Jońca氏の図面を元に若干の手直しをしたという「PIBWL Military Site」の(図面というには小さすぎる)図のバランスの方が信用できそう。

結局のところ、上記諸元数字を信用するとしても、装甲ボディ等々細部寸法は、後2者の図等を参考に、自分で「えいやっ」と決めるしかないようだ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

First to Fight 1:72 wz.34装甲車

F1015995●先日購入した、First to Fightの「WRZESIEŃ 1939(1939年9月)」シリーズ、1:72のwz.34装甲車のレビュー。

実車解説は、日本語概略ならwikipediaで。

さらに詳しくは、The PIBWL military siteで。同サイトのwz.34のページへのダイレクトリンクは、こちら

また、以前当「かばぶ」でも、なんだかとりとめなく細部ディテールの考証をしたことがあるので、お暇な方はどうぞ(1回目2回目)。

●キットは初期型装甲車体と後期型装甲車体の2種が出ていて、キット番号はPL1939-007とPL1939-009。ちなみに間の008はI号戦車B型のキットに振られている。

F1015911同梱の資料小冊子(表紙含めて12ページ)は、一応、私が購入したものは、それぞれのパッケージと同一の号がきちんと入っていた。もっとも写真は少なく文章主体で(ただしセンター見開きはカラー4面図)、しかも(C2Pのときにも触れたが)全編ポーランド語のみなのが残念。読めれば詳しい開発史とか、実戦記録とか、いろいろ面白いことが書いてあるかもしれないのに。

キット名称は前者がWZ.34、後者がWZ.34IIとなっているが、もともとwz.34装甲車は、シトロエン・ケグレス・ハーフトラックをベースとした装甲車(wz.28)を改修したもので、ここを見ると判るように、wz.28時代から装甲形状の新旧の別がある。

これらサブタイプの差は、PIBWL military siteに詳しく書いてあるし、キット付属の小冊子のセンターにも(ポーランド語だが)書いてあるように、エンジンとリアアクスルの違いによるもの――つまり中身の差なので、実際には装甲形状ときっちり対応しているわけではない(むしろPIBWL military siteでは、新型ボディの車輌が当初wz.34無印やwz.34-Iに改修された可能性を指摘している)。

また、当初のwz.34(無印)やwz.34-Iとして改修された車輌が、さらにアップデートされて-II仕様になった例も多かったらしい。というわけで、キット名称はあくまで便宜的なものと考えたほうがよい。わざわざ混乱を招くキット名称にするよりも、PIBWL military siteのように、「early body」「new(late) body」でいいんじゃないかと思うんだがなあ……。

F1015943 ●肝心の中身は、両キットとも基本パーツ群は一緒で、まったく同じ枝が1枚。

シャーシはフレームが床と一体、駆動系はサスペンションと一体で、これをはめ込んで車輪を付ければ、もう足周りは終了。しかし、ロコ組み足回りの装軌式車輌に比べれば細かい出来、と言えるかもしれない。実際、先日組んだC2P牽引車に比べると、こちらのほうが部品数が多い。

F1015935 装甲ボディはスライド型を用いて、ころんと一体成型。この装甲ボディだけが(箱と冊子以外では)両キットの差。写真は左が旧型装甲ボディ、右が新型装甲ボディ。

旧型は戦闘室側面が段付きで、もともとハーフトラックの装甲車だった名残りで、下部だけシャーシ幅に合わせて狭まっている。

新型はこれを簡略化して全体が狭く、その代わりに、後部を傾斜させて内部容積の減少を若干補っている。

総じてモールドはシャープで、セルティ~ミラージュの1:35のwz35装甲車のキットよりも出来がいい、と言ってよいのではないかと思う。もちろん、問題がないわけではなくて、それは以降。

●まずはボディ。キットは前述のように、ボディだけを取り替えて旧型、新型としているわけだが、PIBWL military siteでは、旧型ボディ、新型ボディではシャーシそのものに若干の差があり、旧型ボディではホイールベースが新型よりも短いのではないかと指摘している(詳しくはPIBWL military siteの実車解説ページを参照のこと)。この場合、エンジンやリアアクスルを換装しても、旧ボディ用、新ボディ用でドライブシャフトの長さが違っていたりすることになる。いや、それともエンジンに対してフロントアクスルの取り付け位置が違うだけなのかな?

ただしこの辺は、しっかりした一次資料の裏付けはなく、正確な寸法は判っていないようだ。

個人的には、装甲ボディの形状が細かく部分ごとに違うので、旧ボディと新ボディとではボディと車輪の位置関係がちょっと違い、それでホイールベースが短く見えている可能性もあるのではと思う。いや、軽く思いつきで言っているので信用しないで下さいね。

  また、1:72で考えると、ホイールベースの差はそう厳密に追求せずともいい問題のようにも思う(実際、写真で見比べても「これ、本当に違うのかなあ?」レベルなので)。

F1015989F1015990なお、車輪に関しては、セルティ~ミラージュの1:35ではだいぶ情けない形状だったホイール部が、そこそこ実車に似た形状になっているのが嬉しい。

後輪ホイールはくぼみ方が足りないように思うが(実車は、ホイールは前輪後輪同じもので、裏返して使っているのだと思う)、許容範囲(少なくとも私には)。

F1015934●それよりも問題は、旧型ボディと新型ボディは、単に戦闘室側面と後面が変わっただけではなく、そもそも「似て異なる」ものであることで、実際には、おそらくほとんどすべての面で形状が違う。

どうもこのキットでは、その区別がどうもあいまい。

右写真は、新旧ボディの戦闘室上面の比較で、上が旧ボディ、下が新ボディ。旧ボディに比べ新ボディは幅が狭く、そのため左右に、砲塔の裾部保護の張り出しが設けてある。この点に関してはキットも表現しているのだが、不十分。

新ボディの場合、砲塔を12時の方向に載せても左右の裾部がボディをはみ出すのだが、キットでは戦闘室の幅とちょうど同じ程度になっている。

旧ボディでは左右に若干の余裕があり、これはキットでもそうなっているのだが、実際には、旧ボディの戦闘室上面は新ボディに比べ前後幅が大きく、しかも砲塔はギリギリ後ろに載っているため、砲塔よりも前にだいぶ余裕がある。しかもこの部分には弓形にスプラッシュガードが設けられている。キットでは写真のように、前後幅は新ボディと同一で、砲塔搭載位置も同じになっている。

F1015938F1015939●旧ボディ、新ボディの側面比較。

ディテールメモの1で書いたように、旧ボディのなかでも一部の車体(おそらく旧ボディの初期型)では、ボンネットの最前部にゆるやかに丸くなった固定部があるのだが、キットは新ボディと同一形状になった後期(たぶん)型。

戦闘室側面の形状の差、下部のシャーシ左右のヒレ部分の形状の差などはよくフォローされているようだが、細部のディテールは、基本、同一形状・同一位置になっている。しかし、実際には若干の差がある。

キットでは、ボンネット横のルーバーとその下のアクセスハッチが、後端でほぼ揃う位置に並んでいる。このキットの位置は、基本的に新ボディのもの。

旧ボディでは、ルーバー、ハッチともにもう少し後方にあり(ルーバーがボンネット側面装甲のちょうど真ん中あたり)、点検ハッチの後端は、左側面ではルーバー後端よりやや後ろ、右側面ではルーバー後端よりもやや前にあるようだ。ややこしいなあ。

なお、フェンダー取付架の形状も新旧ボディで異なるのだが、これはそもそもキットでは表現されていない。

戦闘室前面のバイザーフラップが、新旧ボディで形状も枚数も違うのはしっかりフォローされているが、どうも戦闘室前面は、旧ボディでは立ち上がり開始位置が新ボディより前にあり、傾斜がもっと寝ているような気がする(写真等でしっかり測ってはいないので、あくまで印象)。

装備品のうち、左側面の工具箱は、実際には側面の下から4分の1ほどに、フタの下端と蝶番がある。また戦闘室右後部に一体モールドさてれいるツルハシは、実際はもっと大きく、刃が装甲板をはみ出している。シャベルの位置には若干のバリエーションがあるようだが、旧ボディの場合は戦闘室右側面にあるほうが一般的ではと思う。

F1015992 ●砲塔は共通ランナーの中にあってスライド金型など使わない一発抜きだが、それでも、側面のリベットはそれなりに表現されている。

側面のバイザーフラップの下端がナナメになっているのを何とかしたい程度?

ちなみにHENK OF HOLLANDのページを見ると、この砲塔のキューポラハッチを開けられるようにした、砲塔まるごとのレジン代替パーツ(フェンダーのエッチングおよび車長フィギュア付き)が、Tank Modelsというところから出ているらしい。

F1015941_2 武装はピュトー37mm、オチキス8mmの選択。一応、組立説明では、旧ボディの方は8mm機銃、新ボディの方は37mm砲を付けるように図示されているのだが、もちろんどちらを付けても構わない。

なお、キットは機銃・砲ともに新型の丸マウントだが、旧ボディの場合、実車ではルノーFTと似た四角い旧型マウントであることが多いようなので、気になる人は要改造。

●以上、総じていろいろ頑張っているキットだと思うのだが、新旧装甲ボディの違いが中途半端なのは、特に旧ボディのインジェクションキットとしてはおそらく初であるだけに残念。もっともそれをきっちり直そうとすると、かなりの切った貼ったか、下手をするとボディのスクラッチくらいの大工作が必要になり、何のためのキットか状態になってしまう。

せっかくのシャープなキットでもあることだし、とりあえずこのキットの楽しみ方としては、各自どうしても気になる細部ディテールの修正程度に収めるのが平和なように思える。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

wz.34装甲車メモ(2)

ポーランド、wz.34装甲車の考証メモの続き。

書き忘れていたが、写真資料は

ttp://odkrywca.pl/pokaz_watek.php?id=89662

ttp://odkrywca.pl/nowe-zdjecia-wz-34,272886.html

このあたりを参考に。

(2014/8/12追記。上記リンクに、セキュリティソフトからのウイルス/ワームのアラートが出たので、リンク埋め込みは切っておきます)

P1020130bCERTI/Mirageのキットのあれやこれや

箱はセルティ時代よりはるかに格好よくなったが、基本、ミラージュ・ホビーになっても中身は同じ。

ただし、タイヤは、ほんの申し訳程度にパターンのあるゴムタイヤから、キザの多い軟質樹脂のものに変わっている。これはセルティ版がなくなってしばらく後に出たAGA版の時代にすでに変わっていたらしい。ENCORE版がどうだったかは不明(そもそもAGAとENCOREとどっちが先かも覚えていない)。もっとも、新しいタイヤのパターンもさほど褒めたものではない。

ほか、ドイツ軍仕様用に、ミラージュのルノーUE(たぶん)に付属していたMG34の小さな枝が一つ追加。だいぶお粗末。

ミラージュ版で特筆すべきはデカールが綺麗かつ豪華(こんな小さなキットにしては大判)なこと。ただし、黒地の車輌ナンバー2種(W05-262、W05-278)は初期型装甲車体のものであるうえにだいぶ小さく、extraとして入っているクラブ、電光矢印のマークも初期型装甲車体のものなので、どれもそのままは使えない(もちろん後2者は、後期型車体でもこれを書いたのがあったんだよ!と言い張れなくはない)。

ドイツ軍の白十字も初期型装甲車体の写真を元にしているようだが、これは後期型車体でも鹵獲使用したものには同じように描かれていただろうから特に問題なし。ただし、そもそもwz.34装甲車は何のマークも車輌番号も書かれていない場合の方が多い。

もう一つ、おそらくミラージュの新箱のポーランド軍AFV全種に入っているらしい、信号旗が印刷されている小さな紙切れが1枚。実際に綺麗にそれらしく使えるかどうかは別として、「模型慕情」さんも書いていたが、表裏で印刷にまったくズレがないのがすごい。ちなみにドイツ軍に撃破・鹵獲された車輌でも砲塔にこの信号旗を付けているものが結構あるので、実際に戦闘中に掲げて走ったりするものであるらしい。

P1020129bところで、キットを「Wrzesień 1939 POJAZDY WOJSKA POLSKIEGO Barwa i broń」(WKŁ)の図と重ねると、どうも全体的に一回り小さい。もちろんこの本の図自体、写真のように図面というよりイラスト程度のものだが、一応、全高、全長ともほぼ(あくまでも、ほぼ)1:35になっているようだ。

対して、キットは1:37くらい。もっともこれを修正しようとするとスクラッチになってしまうので、全体の大きさには目をつぶり、各部のバランスや細部ディテールにちょっと手を入れるというのが平和的な道。

初期型装甲車体と後期型装甲車体

前回の追記。その後写真を見ていて気付いたのだが、エンジンルーム部分も、側面のルーバー部と点検ハッチが、初期型装甲と後期型装甲では位置が違う。初期型装甲では、後期型に比べ、(前後方向で)中央寄りにある。後期型装甲ではもっと前寄りで、ルーバーは前側の蝶番の直後くらいから始まる。キットは後期型としても少し前に寄り過ぎ。

キットから初期型車体へ、あるいはもっと遡ってwz.28装甲車に改造したいなどという物好きな方はあまりいないと思うが(済みません、ちょっと考えてました)、ここまで違うとスクラッチのほうが早道かもしれない。

なお、前回ボンネット鼻先の部分に固定部があるバリエーションは初期型だけかもしれないと書いたが、やはり初期型のみの別だったようで、Derela氏の解説の初期型装甲車体の項に、ちゃんと“It seems, that there existed two types of the hood front.”と書かれていた。見落としてました。

ポーランドAFVの大家、故ヤヌシュ・マグヌスキ氏の本の中には、新型装甲車体の車輌は16輌しかない、と書かれているらしいが、Derela氏は「でも写真を見ると、もっとありふれてるっぽいよねえ?」とツッコミを入れている。

エンジンルーム前面

Fromt 鼻先の形状は、どうも違う形のものもありそうなのだが、まあ、標準ではこんな感じだったのではないかという暫定案が右の絵。扉は省略してある(いや、扉自体のディテールもちゃんと見るべきなんだけれども)。

前方向にゆるく山形に盛り上がっていて、どうも上の部分は素通しで穴が開いている感じ。前面の装甲扉を閉めてもラジエーターは多少の外気には当たらないといけないから、隙間はあって当たり前、なのかもしれない。右が標準で、左の中仕切りがあるのは、おそらく初期型装甲車体の一部。中仕切りの途中に切り欠きがあるのは、扉のロック機構か何かと干渉するからのようだが、この切り欠きがない車体もある。

この下に付く装甲スカート部分は、この絵に描いた三角部分よりも前に付いているように見える写真と、後ろに付いているように見える写真があって悩ましい。なお、新型装甲車体の一部車輌は車体前端にバンパーを付けている。

Fender01フェンダー

初期型車体と後期型車体の前部フェンダーを前から見ると、ステイはこんな感じで違う(上が初期型。付け根の長さなどいい加減)。

前回も書いたように、後期型の場合は外側上部に斜めに補助ステイが付く場合がある。

Fender03 前部フェンダーの後ろ側のステイは、初期型車体の場合、妙に凝っていて、基部が点検ハッチを前側に回り込むように取り付けられている。

後期型車体の場合は、前述のように点検ハッチの位置自体がもっと前にあるから、おそらく、前側ステイと同じような感じで特に凝ったところなく付いているのではないかと思う(要するに確認できていません)。

Box工具箱

車体左側に付く工具箱は、上と外と両方に開くようになっている。外の面は、装甲板に平行ではなく車体中心線に平行。右の絵では鍵用のフラップの根元が、フタの上面にまで回りこんでいるが、これは写真では未確認で、単なる想像。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.34装甲車メモ

wz.34装甲車の考証に関するメモ。順不同。wz.34装甲車それ自体の概略はwikipediaを参照のこと。

wz.28装甲車

wz.34装甲車は新規に生産されたものではなく、wz.28装甲ハーフトラックから改装されたものだが、wz.28では後部が履帯だったというだけでなく、前輪がBTの転輪のようなソリッドゴムタイヤだったといった違いもある。初期型装甲車体の場合の後部フェンダーは長く、一方で前輪フェンダーはない。

それにしても履帯は妙に幅が狭くて、なんだか中途半端な感じ。

初期型装甲車体と後期型装甲車体

wz.34装甲車には戦闘室側面上半分が張り出し、後面が垂直な初期型車体と、幅が狭く後面が斜めの後期型車体(CERTI/Mirageのキットのタイプ)の2種がある。装甲車体の別はwz.28の時にすでにあり、エンジンとリアアクスルの別によるwz.34のサブタイプと装甲形状とには関連性はないものと思われる。

Derela氏の解説によれば、初期型装甲車体ではホイールベースも若干短いそうなのだが、これは少ない写真からはどうもよく判らない。

車体後部がはっきり写っていない写真でも、戦闘室前面が写っていれば、前面バイザーが2カ所(初期型)か1カ所(後期型)かで判別できる。

戦闘室上面も初期型では広く、後期型では狭い。初期型は砲塔前方に円弧状にリングガードがあるが後期型にはない。一方、後期型は戦闘室上面よりも砲塔裾部が若干左右にはみ出すため、戦闘室側面上端に逆L字のガード(張り出し)が付けられている。CERTI/Mirageのキットでは平面形は四角いが、実際には円弧状。

ボンネット

一見、左右2カ所ずつに蝶番があって両開きになるように思えるが、実際には蝶番部分はL字の棒を挿して止めるようになっており、フード部分は1枚。片側だけ抜けば左右どちら側にも開けられるし、両方抜けば取り去ることも可能。取っ手がボンネット左右端に付いている理由もそれで納得できる。したがってCERTI/Mirageのキットを組む際は、中央の継ぎ目を綺麗に消したい。

なお、蝶番部分に挿すL字棒は、それぞれ細いチェーンで蝶番座金に繋がっている。

Bonnet ところで写真を見ると、ボンネット部分の形状には2種の形状あり、(キットのように)前端まで一体のもののほか、前部蝶番から前方は別体の固定部になっているものがある。固定部はプレスで曲面に成形されているようで、この場合、ボンネットも前端は丸い断面になっている様子。

前部が別体になっているタイプは初期型装甲車体にしかない(つまり初期型の初期型という位置付け?)かもしれない。

車体前端

基本、ゆるく楔形に出っ張っているようなのだが、車輌によってはペッタンコに見えるものもあって謎。なお、ラジエーター部の開口部は、扉を開けると大きく口が一つのものと、左右に分かれているものとがある(前者のほうが一般的?)。

左右ルーバー

Lv CERTI/Mirageのキットのルーバーはちゃんと穴が抜けていてスゴイが、実際にはヒレ部分が外側でもう一段折れている。右図は適当だが、まあこんな感じということで。

戦闘室左右バイザー

戦闘室側面にあるバイザーは、左右で蝶番位置が違う。右は上に2つだが、左は前側に2つ。CERTI/Mirageのキットは、左側バイザーフラップの蝶番位置が前後間違えているので注意(ドアの蝶番は後ろ側で正しい)。

フェンダー

断言できないが初期型装甲車体と後期型装甲車体とで、フェンダーステイの形状が違うような。また、後期型装甲車体の場合、フェンダー外側上部に斜めに補助ステイを付けているものがある(前後)。

砲塔

CERTI/Mirageのキットの砲塔はちょっと背が低い。全体の寸法がどうのこうのと言い出すと、もっといろいろありそうだが、少なくとも砲塔の高さはバランス的に目立つ。

キューポラ部分は前後に分割されていて、キューポラごと前後に開く。従って、六角形の前後の裾に蝶番がある。なお、キットは幅が狭く前後に長いが、実際には正六角形か、それに近い感じではないかと思う(真上からの写真が手元にないので断言できず)。

砲・銃基部は、初期は四角いマウントで、後期は丸いボールマウント。後期の機銃マウントはTKSと同じ? 初期型装甲車体では四角マウント、後期型装甲車体では丸マウントのものが主のようだが、例外もある。

装備品類

Tire 予備タイヤは、車体に右のような座金を取り付け、3カ所でボルト止めされる(6個のボルト穴を一つおきに)。

この座金、仮に右を前方とすると、図のようになっているものだけでなく、逆に「ト」の向きになっていたり、「У」になっていたりと、実にいい加減。さらに取り付け位置も、予備タイヤが車体上部に飛び出たり、下部に飛び出たりと、とことんアバウト。それでいいのかポーランド人。

シャベルは、初期型装甲車体では戦闘室の右の張り出し下、あるいは張り出し上。後期型装甲車体ではキットに示されている位置だったり、左側面下部だったり、どうもいろいろバリエーションがある。シャベル本体部の留め具は、キットのような大きなポケットではなく帯金。

| | コメント (2) | トラックバック (0)