wz.34

wz.34装甲車リベンジ(12)

●先月末に東京AFVの会に行き、つくづく「模型を1つでも完成させないとなあ」と思い、現在、「とにかく、ある程度以上製作が進んでいる“作りかけ”を少しでも進めて行こう」モード中。

というわけで、長らく放り出してあったwz.34装甲車を再び取り出す。……うは。前回記事はもう2年以上前ですよ。

●製作がストップしていた理由は、単純に「エントリーしていたSUMICON2017に間に合わなかったので、その時点で意欲が一度ぷっつん切れた」というのもあるが、それとともに、いくつか製作上「ここはどうやって作ろうか」というのがよくイメージできない点が出て来たからでもある。

模型製作に際し、特に改造とか自作とかの場合には、「どんな手順、工法で作ればうまく(楽して)作れるか」を明確にイメージできているかどうかが大事で、それができれば、(少なくとも個人的には)もう道半ばまで来ているという感じがしている。もちろん、何をどうやっても地道に七面倒くさい作業を重ねないとできない(あるいはそれ以外思いつかない)という場合もあって、そこでげんなりして工作がストップしてしまうこともあるが。

今回は、とりあえず作業再開のきっかけということで、そんな足踏みポイントのうちでも比較的小ネタの砲塔キューポラ・ハッチの天板を工作する。もっとも、上でグダグダ書いたが、この部分は「あれこれ考えずにぱぱーっと作っちゃえばいいんだよ」程度のもの、と言えるかも。

●wz.34装甲車の砲塔ハッチは、6角形のキューポラそれ自体が前後にぱっかんと別れて開く素敵設計で、当然ながら、天板はキューポラに固定されている。ただしベタ付けではなく、砲塔内の換気用にわずかに隙間が設けられている。

ちなみに、このキューポラの各面には、どの写真を見ても視察用のスリット等は確認できない。もちろん、天板との隙間は位置的に視察用にはなり得ないので、そもそもこのキューポラが何のためにあるのかがよく判らない。車長の頭が砲塔天井にぶつからないようにというだけのものだとしても、周りが全然見えないのは問題だろうし。

閑話休題。スリットの脚部分の工作で考えたのは、

・伸ばしランナーの輪切りをキューポラ上端に並べて貼る。 → 強度的に不安。

・天板側からマスタークラブのリベットを挿して(表側のリベット頭もそのまま表現できる)、キューポラ上端部内側にリベットの脚の入る溝を掘り、適当なスリットの距離を開けて固定する → 構造的には実車と近く理想的だが接着に問題がある(工作手順上、キューポラ内側からアクセスできない。キューポラを砲塔に付けてしまう前に工作すればよかった!)。金属線で脚を工作する場合も同様。

で、あれこれ考えた挙句、結局、伸ばしランナーを(キューポラ内側の)砲塔上面からキューポラ上端を越えて差し渡し、2点で接着することである程度の強度を稼いで脚部分を作った。付けた後で出っ張った部分をある程度切り詰め、やすりで削って高さを揃えた。

20191208_222154

天井板は円形と六角形の2種があるようだが(CERTIのキットには2種類のパーツが入っている)、実車写真で確認した範囲ではほとんど丸型のようだったので、そちらを採用。最初はCERTIのキットのパーツを薄削りして使おうとしたのだが、中心に筋彫りをする際に少しずれてしまい、結局0.3mm板から切り出した。今度こそ、「CERTI/MIRAGEのキットからの唯一のパーツ流用!」になるかと思ったのに果たせず。

天井板の表のリベットは例によってタミヤ48マーダーIIIからの移植。とりあえず工作が終わった砲塔本体は以下のような感じ。

20191208_235307 20191208_235011

改めて見てみると、これだけ短いのであれば、単に伸ばしランナーの輪切りでも強度を気にするほどではなかったかも。

●武装については、当初は(以前に書いたように)ピュトー37mm砲搭載型にしようと考えていたのだが、

  • 防盾前面に照準孔が確認できない(ない、なんてことがあるのか?)
  • ピュトー37mm自体が、ルノーFTとスリーブや駐退機カバーの形状に相違があり、そのあたりのディテールの把握に不安がある。
  • もひとつ言えば、その自作も面倒くさい。

――などの理由から、オチキス機銃搭載型のほうに傾き中(こちらは照準孔の存在がしっかり確認できる)。

オチキス機銃それ自体は、CERTI/MIRAGEのキットのパーツはあまりにお粗末な出来だが(写真上側)、現時点でインジェクションのオチキス機銃としては最も出来がいい(と思われる)MENGのルノーFTのパーツ(写真下側)を流用しようかと思っている(wz.29装甲車の時は自作したが)。

20191208_234906

●今回の微々たる進展はキューポラの天井のみだが、前回記事からの変化ではもうひとつ。

後輪ディスクの6本のハブボルトに関しては、当初、流用したSd.Kfz.231(6Rad)のモールドのままにしてあったのだが、実際には、それでは実車とは半ピッチ(30°)ずれた位置になってしまう(当初位置に関しては、前回記事の写真参照)。

「やっぱり、せっかくだから直しておこう」と取り出してみたら、すでに修正してあった。小人さんがこっそり作業したとも思えないので、いつの時点かで発作的に作業したらしい。自分でもすっかり忘れていた。ボケたな……。付け直してあるボルト(ナット)は、TOKO/イースタン/ズベズダのGAZ系のホイールからの移植。

20191209_115147

●オマケ。とりあえず、今までの工作で準備できているコンポーネント群の集合写真と、CERTI/MIRAGEのキットとの対照写真。

20191208_235545 20191208_235212

| | コメント (4)

wz.34装甲車リベンジ(11)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車の(かなり久しぶりの)製作記。

中だるみ的製作モチベーションの低下もあり、そうこうしているうちに毎年お決まりの仕事が忙しいシーズンに突入してしまい、ますます製作にブレーキが掛かってしまったが、そうこうしているうちに残り1カ月を切ってしまった。

それでも調子いことを言って製作を始めた手前、締め切りまでとにかく頑張らねば格好がつかない。というわけで、スタート前から懸案だった足回りの製作に入ることにする。

20170731_213132 ●まずは前回報告(もう2カ月以上前!)の割とすぐ後に作ったデファレンシャル。

KOTOBUKIYAの「丸モールド」パーツ、コントレールのプラパイプ、ランナーその他ででっち上げたもの。ちょっとギアケース部分が前後方向につぶれ過ぎで、本当はもっと球形に近いはずなのだが、どのみち組み上がってしまえばほとんど見えないので、そのまましらばっくれることにする。

●今回、タイヤに関しては最初からTOKO/RODENのGAZのものを流用するつもりでいたが(というよりも、サイズ的にもパターン的にもこれが使えそうだ、と思ったのがそもそもスクラッチ開始のきっかけだったのだが)、一方で一番のネックだと思っていたのがホイール部。

おそらく、ヒートプレスで作るしかないだろうと思っていたものの、ダメモトで、改めて流用できるパーツはないものかと(悪あがきで)探してみた。

中央部に平面のある皿形で二つ穴。もちろん穴は自分で開ければいいので、うまくサイズの合う皿形があればよい。

いろいろ見たり想像したりした中で、まず有力候補として浮かんだのは48のT-34のディスク転輪。欲しい「皿形」は周囲部がなだらかな曲線断面、T-34の場合は直線的なのだが、そのへんはちょっとヤスって誤魔化すか……(もっとも、サイズ的に本当に合うかどうかは結局未確認)。

hnさんからは、他のトラックの(5穴とか6穴の)ホイールの穴を塞いで使ったらどうかというアイデアを頂いたのだが、凸面側はどうにかなるとしても、凹面側を綺麗に塞いで整形する自信がちょっとない。

……いやいやちょっと待てよ。既存のトラックタイヤと言えば、イタレリのSd.Kfz.232(6Rad)って2つ穴とかじゃなかったっけ。

20170916_224249 と、いきなり思い出して、棚をがさがさ漁って取り出してみたら、これがかなり近い形状(右写真はすでにいくつかパーツを切り離し済み)。しかもタミヤのカスタマーサービスに電話したら、幸いなことにパーツが取り寄せられることが分かったので(つい最近、タミヤパッケージで「ドイツ6輪装甲車 Sd.Kfz.231」として発売されたためパーツの在庫があった)、安心して使うことができた。

もっとも、ドイツ6輪装甲車用としてみればそれほど出来のいいパーツではないので、6輪装甲車用にはレジンのアフターパーツ導入を考えるべきだったかも(もっとも、そうこうしているうちに他社から出来のいい新キットとかが出てしまいそうだ)。

●そんなわけで、いよいよ車輪の製作。

基本は、6輪装甲車のパーツからゴムタイヤ部分を削り落とし、wz.34装甲車のホイールに若干なりとも似せるべく追加工作を下上で、GAZのタイヤにはめ込む。

なお、RODEN/TOKOのGAZトラックの軟質樹脂タイヤはプラパーツを傷めるというウワサも聞いたことがある気がするのだが、少なくとも今回使ったもの(実際には純正TOKOのGAZ-AAもしくはGAZ-AAAではなく、ズベズダ版のBA-10装甲車に入っていたもの)に関しては、5,6年以上、ジップロックの中にランナーの切れ端と一緒に入れておいたがランナーに変化はなかった。

ただ、後輪の内側などはGAZトラック用のパーツをそのまま使って手間を省こうなどとも考えていたのだが、ホイールよりもタイヤの内径の方がわずかに小さく、そのままでははまらなかった。……タイヤ、縮んだ? もとから?

●前輪。もともとのドイツ・6輪装甲車の後輪内側のパーツ(C24)を使用。

大まかには、上記のようにタイヤ部を除去した後、

GAZのタイヤにはまり込むまで削り込んだ後

  1. そのままではタイヤをはめる部分の厚みが足りないので、GAZのリングのパーツを貼ってから、タイヤがはまるまで削り込む。
  2. ホイール部の2つの穴はやや大きめに。凸頂部を少し削って平面部を広めに。
  3. 中央のハブ穴がちょっと大きいので、プラバンを貼って狭め、さらに穴の内側に段差を付けてもう一枚プラバンを接着。
  4. 外側リムをTOKO/RODENのGAZのパーツから削り取って来て接着。
  5. ハブフランジの取付ボルト6本を、TOKO/RODENのGAZのパーツから削り取って来て接着。

写真1枚目が元パーツ。2枚目がGAZのタイヤに合うまで削り込んだ状態(右は後輪用、左が前輪用)。3枚目が工作完了状態(車軸部未工作)で、左側はCERTI/MIRAGEのキットのもの(タイヤはMIRAGE版)。

20171008_004352 20170920_005043 20171002_222027

●後輪。こちらはドイツ・6輪装甲車の後輪外側のパーツ(C5)を使用。

  1. こちらは前輪と逆にリム部分の厚みがあり過ぎるので、厚みを減じてから、外側リム部をTOKO/RODENのGAZから移植。
  2. ホイール2カ所の穴を拡張。裏から削って穴部分を薄く見えるようにした後、プラバンを裏から貼ってリムの重なりを表現。
  3. ハブ中央部の軸を切り飛ばし、ハブ穴を拡張。 流用パーツやら流用モールドやらを組み合わせて車軸部を表現。
  4. ダブルになっている内側は、ドイツ・6輪装甲車の後輪内側裏のパーツ(C28)を使用。
  5. 程よい間隔で内外が接するよう、スペーサーとなる部分を工作。後の塗装の手間を考え、はめ込み式でバラせるようにした。

写真1枚目は元パーツと、とりあえず外周を削り取っただけの段階。2枚目が外側の形状の工作終了状態。3枚目は内外はめ込み工作。挟まって見えなくなる側は工作もだいぶ適当。4枚目はデフにはめてみたもの。

20170918_224258 20171006_111603 20171007_121844 20171007_121755

●予備タイヤ。状態としては凹面が表に出るので、使用パーツは後輪外側と同じ。穴の拡大やリムの処理なども後輪の工作と同様で、そのほかに、

  1. 中心部分は、後輪ではハブのフランジがドーナツ状に盛り上がっているが、予備タイヤはそのフランジが当たる部分が逆に窪んでいるので、一度この部分を削り取って開口。 そこに、同じパーツから中心部を切り取って来て、一段低めて接着。つまり、予備タイヤに関してはC5パーツを2つ消費している。
  2. その際、(予備タイヤはボルト3本で止められているので)ボルトを1本置き表現に。さらに裏から削って薄くするとともに、中心部の穴をやや大きくした。
  3. 車体側に逆トの字型の、予備タイヤ取付座金を工作。
  4. 塗装の便を考え、予備タイヤ裏側に金属線を植え、車体側には穴を開けて着脱可能に。

写真1枚目は工作した予備タイヤ。右側はCERTI/MIRAGEのキットパーツ(後輪もほぼ同形状)。2枚目は車体に取り付けてみたところ。……格好いいぞキミ。

20171001_224456 20171004_013442

●なお、上の写真をよく見比べると、ホイールの2つの穴と6本のボルトの位置関係が、前輪と予備タイヤでは6本のボルトの描く6角形の辺の部分に穴があるのに対し、後輪では頂点のところに穴があるのが判ると思う。

これは前輪と予備タイヤが正解で、後輪は(CERTI/MIRAGEのキットパーツも)間違い。前輪・予備タイヤはボルト部分を作り直したので修正したが、後輪はドイツ・6輪装甲車のキットパーツのままとしたため。正直に言うと手抜き。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(10)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。連日の暑さにめげていたり、仕事が滞ったりで製作も開店休業状態だったため、ちょっと久しぶり。

●貼視孔フラップを作って戦闘室周りのディテールはそこそこ進んだので(まだ済んでいない部分もあるが)、装甲ボディ前半、エンジンルーム周りを少々。

以前から「ここはちょっと厄介だな」と思っていた、左右の通風孔のルーバーを工作することにする。

以前にも書いたように、CERTIのキットではこのルーバーがそこそこ薄くモールドされていて(多少バリも付いているが)、通風孔そのものも開口しているなど、結構頑張っているのだが、残念なことにルーバーの羽板自体の形状が違う。

キットでは単純に三角に開いているだけだが、実際には羽板の先がもう一段折れた、クランク状の断面になっている。

強度も考え、金属素材で工作することにする。材料は、ドラゴン/サイバーのT-34(STZ1942)で余った、エンジンルームのメッシュカバー下のフラップのエッチングパーツを使用した。

パーツは左右3枚ずつ、計6枚必要だが、小片に切り分ける前に、後々折り曲げるガイドにするために縦に2本線をケガいた。カット後、リベット穴を0.4mmドリルで開口。エッチングパーツ上にドリルで穴を開ける場合、刃先が滑って位置が揃えづらいので、

  1. まず1枚に注意深く、1カ所穴を開け、
  2. 適当な冶具を作って2枚をピッタリ重ね、すでに穴を開けた1枚をガイドにしてもう1枚にも同じ個所に開口。
  3. 反対側も対称位置にあるので、表裏をひっくり返して開口。これを必要回数繰り返す。

という方法を取った(下写真左)。その後、ケガキ線を頼りにクランク形状に折り曲げた(右)。

20170717_023200 20170717_171436

本来ならきちんとエッチングベンダーなどの専用の工具を使うべきなのだが持っていないので、ペンチやピンセットを使用。0.2mmもないような金属板だが、ここまで小さくすると固さに往生した(ケガキ線をもっとちゃんと入れておくべきだった)。なんとなく綺麗に直線も平行も出ていない。工具をケチっちゃいかんなあとは思うのだが、その手の工具ってそこそこのお値段するしね……。

(なお、この後、外側の折り曲げ部分が長過ぎる気がしたので、接着前にヤスって幅を詰めた)

●金属パーツのプラパーツ上への接着固定は毎度悩ましい。特にこのルーバーのように、複数のパーツを前後できっちり位置を揃えないとみっともないものの場合、瞬着による一発決めはできれば避けたい。

SUMICON掲示板で、hnさんから「金属パーツの裏側に一度プラペーパーを貼って、それでスチレン系溶剤のプラ用接着剤で接着可能にする」という技を教えて貰った。これは目からウロコの優れ技だが、このルーバーの場合は(もとが薄いうえに厚みが直接目に触れるので)、プラペーパー貼り増し法は使いづらい。

20170721_020808 結局、一度普通のプラ用接着剤で仮止めした後、見えにくい場所(つまり開口部側)から伸ばしランナーの先などで瞬着をちょんと付けて固定。さらに金属パーツに開けた穴をガイドにプラ本体側にも0.4mm穴を貫通させ、MasterClubのリベット(0.5mm)を通して、これを裏から瞬着で固定(この部分は床を設けていないうえ、補強材も側面の穴を避けてえぐってあるので、裏からアクセスできる)。要するに、補助的ではあるが、MasterClubのリベットを本物のリベット用途で使った。

ルーバーよりも通風孔の上下幅が短いのは、厳密な考証に基づくものとかではなく、「なんとなく」の寸法で開口部を作って、いざ今回ルーバーを作る段になって「これじゃちょっと短いかな」と、ルーバーを長目に作った結果。いやまあ、本物だってそうなってるかもしれないでしょ!(強弁)

上下2カ所の小リベットは、なぜか、開口部直後にもある。じつは内側にも逆向きにルーバーが付いているのか?とも思ったが、以前にも紹介したこの写真では、何かあるようには見えない。謎。

工作完了状態は下。

20170717_223837 20170721_022753

| | コメント (4) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(9)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。今回は割と控えめな進捗報告。

●前回に引き続き、戦闘室周りのディテール工作。

車体左側面、車体後面にある大きなハッチドアの蝶番と取っ手を作成する。ちなみにキットの取っ手パーツはひしゃげたキノコのような形状で使いようがない。

取っ手はエバーグリーンの0.5×1.0プラ棒を刻んだものに0.5mm径金属線(ちなみにリン青銅線。真鍮線よりやや柔らかく扱いやすい気がする)を刺して竹トンボのようなものを作り(右)、それをヤスって形を整えた(左)。作業のやりやすさを考えて、持ち手代わりに金属線は長めに切ってある。

20170630_014013

大きさを比較するものが写っていないので何だが、この状態で一度車体に挿してみたらだいぶ大き目な感じだったので、さらに削って小さくした。

20170630_125614 20170630_144532

後面扉の取っ手側上下にある小さな4つずつのリベットは、扉内側にあるロック機構に対応したもの。蝶番のリベット同様、タミヤ48のマーダーIIIのリベットを削ぎ落として使った。

●さて、ここで大きな問題は、上記の取っ手が、「扉を閉めてロックした状態」でどういう向きになっているのが正しいのかがよくわからないこと。

そもそも、wz.34装甲車の写真は、破壊されたり、放棄されたりといったものが多く、当然ながら、そうした写真では、仮に取っ手が写っていてもそれが「開位置」なのか「閉位置」なのか判断しづらい。

ちなみに、「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面では中途半端なナナメ状態で描かれており、しかも、旧型装甲車体の側面は水平に近いナナメ、新型装甲車体の側面と後面は垂直に近いナナメ(しかもそれぞれ逆方向に傾いている)と、てんでんばらばら(ちなみに同書に旧型装甲車体の後面図はない)。どういうこっちゃねん。

もちろん、「生きている」状態の車輌の写真もあるが、肝心の取っ手が不鮮明だったりしていまひとつ決め手に欠ける。とりあえず、以前もここで紹介したポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NAC:Narodowe Archiwum Cyfrowe、リンクは英語版)にある、戦前のパレード時の写真から、取っ手部分を拡大してみた。

09 10 11 12 13

①:旧型装甲車体(写真番号1-P-2992-16より)。不鮮明だが、横向きに近い前下がりに見える?
②:旧型装甲車体(①と同じ写真番号1-P-2992-16より)。ほぼ水平?
③:旧型装甲車体(写真番号1-P-2992-17より)。これも不鮮明だが、45度に近いくらいの前下がり斜め?
④:新型装甲車体(写真番号1-P-2993-8より)。これは比較的鮮明。水平。
⑤:新型装甲車体(④と同じ写真番号1-P-2993-8より)。前下がり斜め……?

もしかしたら、外側に出ている取っ手は扉のロック機構と関係ないのか?

そんなわけで、(判断に困ったので)現時点では取っ手パーツはまだ差し込んであるだけで接着固定していない。

●戦闘室前面の貼視孔フラップには、開閉補助用のスプリングが付く(右側面もはね上げ式の開閉だが、こちらにはスプリングは付かない)。

0.3mm真鍮線を軸に細いエナメル線を巻いてスプリングを作って取り付けた。いまひとつ綺麗に工作できていない感じで、やや不満足。

20170630_142122

追記。上記工作後、スプリングがフラップに止まっていないのが気になったので、改めて留め具を追加。もっとも実車の場合どう止まっているかは、はっきり写っている写真がないのでよく判らない。丸リベット上のもので止まっているようにも見える。

加えて、砲塔のフラップ同様、スリット内側の防弾ガラスか何かを止めていると思しき(および開閉機構かロック機構かの)小リベットがこちらにもあるようだったので追加した。

操縦席前の一番大きいフラップは、スリット上の小リベットが内側寄りにもあるかもしれないが、はっきり確認できないので今のところ付けていない。

20170701_204244

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(8)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

砲塔はある程度の目途が付いたので、車体のディテール工作を行う。

●車体のリベット打ち。砲塔同様、メインにMasterClubの丸頭0.7mm、サブに同じくMasterClubの丸頭0.5mmを使用する。実のところ、実車と比べるとメインのリベット列に0.7mmを使うのはちょっと大き目かもしれない。

砲塔の時には鉛筆でリベット列のガイドラインを引き、それを基にリベットの穴を開けて行ったのだが、ドリルの回し始めでわずかに滑って穴の位置がずれることがあった。そこで車体はもうひと手間掛けて、開口位置に縫い針でアタリを入れてからドリルを使うことにした(もっともそれでもズレることはある)。

20170618_183148 20170620_203027

ある程度リベットを入れて、砲塔やシャーシも合わせて“記念撮影”してみたのが下写真。

20170622_011114

「あれ……wz.34装甲車ってこんなにリベットだらけだったっけ」とちょっと意外に思ったのだが、改めて写真をめくってみると、今まで馴染みのある新型装甲ボディのほうは、旧型に比べてだいぶリベットが少ないのだった(もちろん前述のようにリベットの大きさが強調気味だからでもあるだろうが)。

リベットの位置や数は当時の写真を基に判断しているが、戦闘室の左右張り出し下、プラペーパーの帯を貼ってある部分はよく判らず、半ば想像で植えてある。

なお、この帯金(のように見える部分)は、装甲板を止めるアングル材などではなく、もともとのwz.28装甲ハーフトラックのフェンダーの取り付けベロ部分が残っているものなのではと思う(追記:……と、思ったのだが、少なくともドア部分の内側写真を見る限り、そちら側に装甲板接合用のアングル材などは見当たらなかった。あれ? やっぱりアングル材が外側にあるのかな?)。wz.28用後部フェンダーは、wz.34装甲車(旧型装甲ボディ)でも一部車輌で残っているのが写真で確認できる。

Guard ●旧型装甲ボディでは、新型に比べ砲塔位置が後ろにあり、戦闘室上面・砲塔前側にリングガードがある。

それ自体はプラペーパーでベロ部を作り、それに合わせて丸めた0.3mmプラバンで作成。止めているリベットは6つなのだが、写真を見て個数を判断して「片側3つずつ、片側3つずつ……」と頭の中で念じていて、なぜか実際にリベットを付ける際は、基準となる両端に穴を開け、それを除いてもう3つずつ開けてしまった(つまり計8つ)。迂闊!

しかも実際にリベットを植えてから「あれ? なんか多いぞ」とようやく気付く始末。

結局、一度植えたリベットを引っこ抜き、ベロ部分のプラペーパーを剥がして作り直し、再度リベットを植えた。

●戦闘室前・側面の貼視孔フラップを作成。

砲塔同様、プラバンの切れ端でスリット開け用の冶具を作り、針先でケガいた。位置・幅が確認しやすいので、目盛付きプラバン(0.3mm)の表側を使用。スリットを開け、外周形状も整えた後に目盛はヤスって消した。

20170625_163914 20170625_180410

最初に切り出した時は、(写真で見て、前・側面ともに上下ラインがだいたい同じ位置だったので)4枚とも上下幅を同じにしたのだが、いざ取り付けようとしてみると、何かおかしい……。

それも当然で、戦闘室前面は傾斜しているので、その分(上下のラインがほぼ同じなら)上下幅は余計にないといけないのだった。これまた迂闊。

もともとちょっと幅を大きめに切り出してあったので、側面分のフラップの幅を詰めて調節した。

●フラップヒンジの工作。ヒンジ自体は伸ばしランナーとプラペーパー。ヒンジを止める小リベットは、タミヤ1:48のマーダーIIIから。こういう部分のリベットは、取り付け時に位置を微調整できる「削ぎ取り式」か、あるいはme20さんお得意の「プラバン打ち抜き式」か、いずれにしてもスチロールのものの方が都合がよい。

もっともこれだけ小さいと、元パーツから削ぎ取ったリベットの裏表が判別しづらいし、(今回はそんなことはなかったが)ペンナイフの先で拾い上げる時に力余って“一刀両断”してしまうこともある。

20170626_221019 20170627_003840

こうして写真にとって拡大してみると、いまひとつ綺麗に揃っていない感がある。やはりヘッドルーペ欲しいな……。

なお、貼視孔フラップは、戦闘室前面・右側面のものはヒンジが上にあり、跳ね上げて開ける形式だが、左側面だけは写真のように前側に開けるようになっている。なんでこんな仕様なのか常々不思議に思っていたのだが……。もしかしたら、(左は運転席側なので)フラップの裏側に小さなミラーが付けられていて、フラップを開けるとそのままバックミラーになるのではないだろうか。あくまで勝手な妄想なので、あまり本気にしないように。

●車体前端のラジエーター・ドアは開いた状態で作ろうかと思っているので、中に仕込むラジエーターも作成した。

20170624_210918 CERTIのキットにもラジエーターのパーツは入っているのだが、「1:48の乗用車?」と思うくらいに小さいので、これまた流用しづらい。なお、キットパーツで中央縦に仕切りが入っているのは、旧型装甲ボディの一部で、(装甲ボディ側の)ラジエーター・ドア直後に仕切りがあるのを誤解したものか。

自作したラジエーターは、0.3mmプラバンの細切りに、プラペーパーをさらに細く切ったものを挟んで重ねたもの。これを本体に、適当にプラ材で枠部分を作った。

ラジエーター形状のはっきり判るクローズアップ写真などは手元にないので、「なんとなくラジエーターらしい形のもの」をでっち上げただけ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(7)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

砲塔工作のそのまた続き。

●wz.34装甲車の砲塔上面隅には、ちょうどドイツ戦車のピルツェンのような円筒状の突起がある。ピルツェンなら簡易クレーンの取付部だが、wz.34装甲車のそれは車輌間連絡用の信号旗を立てる場所で、どうやら砲塔内部まで貫通しているらしい。

20170616_144527 MirageHobby版のキットには、初回にちらりと触れたように、この信号旗が両面印刷された小さな紙が付属している。1:35用と1:72用が1枚の紙に印刷されているから、同社のポーランド軍AFVのキットにはもれなく付いているものらしい(あれ? でも同社1:72の7TPには入っていなかった気がずるぞ?)。

この信号旗はスウプスキ式ペナント(Chorągiewki Słupskiego/ホロンギエフキ・スウプスキエゴ)、あるいは「スウプスキの盾(Tarcze Słupskiego/タルチェ・スウプスキエゴ)」と呼ばれるもので、スウプスキというのは考案者の名前であるらしい。

Slupski 下すぼまりの三角形の布が2本の鋼線の間に張られていて、おそらく、この鋼線がバネになって、車外に出すと旗が開き、また簡単に車内に引っ込めることもできる、という仕組みになっているのではないかと思う。右はその出し入れの想像図。取っ手部分はまるっきり想像。もっとしっかりした持ち手があるのかもしれないし、あるいは車外に抜け出してしまわないようなストッパーのようなものがあるかもしれない。

ポーランド語版wikipediaには、このスウプスキ式ペナントの解説記事が上がっている。

それを読むと、この信号機の一本ずつ、あるいはその組み合わせ、そして掲示の仕方(出しっぱなしだったり出し入れしたり)によって十数通りの合図を伝達できるものらしい。Google翻訳さんに掛けてもいまひとつよく判らない部分もあるが、とりあえず簡単なところでは、赤のペナント1本は「敵発見、隊列は縦隊保持」だそうで、そのため、破壊/放棄された1939年戦役時のwz.34装甲車の写真でペナントが掲げられている場合、赤旗である例が多い、と記事にある。

ちなみにこのスウプスキ式ペナントは1936年に制式化されたものだそうで、そのため、原型であるwz.28装甲ハーフトラックには砲塔の筒はなく、wz.34に改装されて以降、追加で改修装備されたものであるらしい。同様の筒穴は、TKSや7TPにも付いている。

●さて、このペナント用筒穴なのだが、CERTIのキットでは、砲塔天井左右辺の前後、計4カ所にモールドされている(筒ではなく単なる突起になっているが)。

しかし、たまたま砲塔上面が比較的鮮明に写っている下左の写真を見ると、左前には筒穴があるものの(黄色矢印)、左後ろには明らかにない(赤矢印)。例によって、写真は「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させていただいた。

06 07

しかし一方で、右写真では左後ろにも、右後ろ同様に筒穴があるように見える(黄色矢印)。他の写真を漁っても、上面は写っていないもののペナントが4本立っている例があるから、4カ所に筒穴がある仕様が存在しているのは確かだと思う。

それなら左写真の例はいったい……???

例えば、当初のスウプスキ式ペナントは信号体系が後のものよりシンプルで、筒穴も3つ(あるいは2つ)で済んでいたため、初期の改装車は筒穴が少なく、後に信号の複雑化に伴って穴も4つに増えた、などという筋書きも可能性として考えられるが、もちろんそのあたりはまったく想像。

●とりあえず工作としてはしっかり4カ所に筒穴を設けることにして、天井板にドリルで開口。コントレールのプラパイプを埋め込んだ。

その後、キューポラハッチにもリベットを植え、砲塔上に接着。ちなみに各面の下4つのリベットはMasterClubの0.5mm、上2つはタミヤのマーダーIIIのモールドを削ぎ取ったもの。上2つは下よりやや小さめなので変えてみたのだが、こうして写真で見てみると、色が違うだけで大きさはあまり変わらないような気が……。ナンノコッチャ。

前後にヒンジも工作。側面貼視フラップのヒンジがぐだぐだな仕上がりになったのに懲りて、この部分のリベットもタミヤのマーダーIIIのモールドを使用した。

20170617_005845 20170617_005901

キューポラ上のフタ、武装に関してはいずれまた改めて。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(6)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

砲塔工作の続き。

●ディテール工作の皮切りに、まず、天井板周囲にリベットを植えた。MasterClubの0.7mm丸頭リベットを使用。

20170614_234943

ちなみにMasterClubからは「ポーランド型」として2辺のみ削られた尖頭ボルトも出ているが、あのタイプは基本、TKシリーズのみに使われているのではないかと思う。少なくともwz.34装甲車は通常の丸リベットのようだ。

「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面では、天井板の角度が切り替わる部分の直後にも、横一線にリベットが描かれているが、実車写真では確認できない。

●側面にリベットを植える前に、左右前・後面の三カ所に視察スリットを筋彫り。プラバンの切れ端でいい加減な冶具を作って針でケガいた。

20170615_125956

リベット用の穴はきちんと揃えて開ける……つもりでいてもどうしてもあちこちズレる。ズレが激しい部分については伸ばしランナーで穴を埋めて開け直したり、それがまたズレてまたやり直したりする。うぐぐぐぐぐぐぐぐ。

●側面のリベットの植え込み完了。基本、装甲板の接合部分は0.7mmリベット。観察スリットには一応内側に防弾ガラスか何か付いているらしく、スリット左右上に小さなリベットがあるので、同じくMasterClubの0.5mm丸リベットを植えた。

装甲板の接合リベットのなかでも、砲塔下辺はやや小さいものが使われているようだ。観察スリット左右のリベットよりは大きいようなので、本来なら0.6mmリベットを使いたいところなのだが、しばらく前からMasterClubの0.6mmリベットは品切れで入手難(以前、ヴィッカース水陸両用戦車を作ったときにも0.6mmが使いたかったのに手に入らなかったのだった)。結局ここも0.5mmを使った。

20170615_165904

●左右面に観察フラップを付ける。ここにもスリットがあるので、砲塔本体同様針でケガいたのだが、相手が0.3mm板なので筋彫りが貫通。それはそれで彫りが深くなっていいのだが、砲塔本体の3カ所よりもスリットが太くなってしまった。

本来なら砲塔本体の3カ所ももう少し強く彫り直したいところなのだが、そうすると筋彫り線がヨレヨレになりそうな気がするのでとりあえず放置。

20170616_013939

蝶番は伸ばしランナーとプラペーパー、リベットはドラゴンのT-34の不要部品(グローサー取り付け用ベルト)から。

さすがにこの大きさで削ぎ取り+貼り付けは目が追い付かず、こうしてデジカメで撮って拡大してみると手作り感バリバリ。

ちなみにキューポラは仮に載せてあるだけ。これにもリベットを植えないといけない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(5)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

CERTIのキットでエントリーしておきながら、いつの間にやらスクラッチ道まっしぐら。

ボディの基本形がほぼ出来上がったので、最初に手を付けたものの中途になっていた砲塔に戻ることにする。

●銃/砲架に関する若干の考証。

後期型装甲ボディの車輌の場合、通常は(機銃搭載型の場合の)銃架はTKSと同じ(あるいは同じではないにしても非常によく似ている)ボールマウントが使われている。砲搭載型の場合もおそらく外側のマウント部は同じだと思う。

一方で初期型装甲ボディの場合は角型の銃/砲架が使われている。

ただ、全車がそうだというわけではなく、若干の例外もある。例えば以下の写真では、右の車輌は新型装甲ボディだが角型銃架が使われている(ただし、この角型銃架は、旧型装甲ボディの車輌で一般的な形式のものとはちょっと違うような気もする)。写真はポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NAC:Narodowe Archiwum Cyfrowe、リンクは英語版)から引用した(写真番号:1-P-2993-8)。

Pic_1p29938s

また「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(1)では、逆に旧型ボディで丸型銃/砲架の車輌の写真も見ることができる。

もっとも、ほぼ装甲ボディの形式別に銃/砲架の仕様が違うとは言えそうで、そこから考えて、この差異はwz.28時代からのものと思われる。装甲ボディ形状が改設計されたのとほぼ同時期に銃/砲架も新型のものに変更され、同形式の銃/砲架が引き続きwz.29装甲車やTKSにも採用されたのではないだろうか。

●というような考証に基づき、角型の銃/砲架を工作。一応、ピュトー37mm砲搭載型を作ろうと考えているので(以前、ほぼストレートにCERTIのキットを作ったときにオチキス機銃型にしたので)、以下、砲架で統一する。

初期型装甲ボディ砲塔の周囲だけ作って天井を張っていなかったのはこの砲架の工作が残っていたからで、砲塔前面に砲架のはまる四角い穴を開口する。プラバンを四角く切り出すのは別に難しくないが、四角く綺麗に穴を開けるのは意外に面倒。

さて、この砲架は、砲もろともMENGのFT-17から流用してこようとも思ったのだが、砲塔に対して砲架がやや大きめで(もともとwz.34装甲車の角型砲架がFTに比べ小さめなのか、私の作った砲塔の前面の面積が足りないのかは不明)、細部形状も違うので使用を断念した。下写真で右側に写っているベージュのパーツがMENGのもの。

代わりにRPMのFT-17の砲架パーツを持って来て、これをもとに新たに砲架をでっち上げた。RPMの砲架パーツは実はMENGのモノよりさらに一回り大きいので、十文字に切り刻んで縦横の幅を詰めたうえで削って整形、前面はくり抜いてプラバンをはめた。

この角型砲架はルノーFTと同じく、カルダン枠形式になっていて(オチキス用銃架も同様)、俯仰だけでなく左右動もできる。FTの機構を引き継いだものと思われる日本戦車の砲架とも同じ仕組み。ただし、FTの37mm用砲架は左右動の軸が脇に寄っているのに対し、wz.34装甲車のものは中央にある。

また、不思議なことに、この防盾の前面には、照準口が見当たらない(たとえばこの写真参照)。オチキス機銃用の防盾、また37mm砲用でもルノーFTのものにはしっかりあるのに……なぜ?

20170612_010623

MENGのものを使えれば、パーツの俯仰軸を活かして一応上下動くらいはできるようにしようかな、とも思ったのだが、新たに砲架を作る段階で、RPMのパーツの軸は(作業に邪魔で)削り飛ばしてしまい、わざわざそのへんを再生するのも面倒だったので結局接着した。……結局接着するなら砲塔前面に開口しなくても、適当な角度で削った砲架をイモ付してしまえばよかったのでは(と、後から気付いた)。開口しておいてなぜ動かすようにしないんだ!と、みやまえさんに叱られそう。

●満を持して(?)天井板を貼る。

砲塔本体に天井板がかぶさったような状態を表現するため、表面は0.3mm板を使い、それだけではたわんでしまいそうなので0.5mm板で裏打ち。さらに前後の接合部近くにはタミヤの角材で桁を入れた。

●砲塔上の六角形のキューポラを作る。

この部分は、キューポラ自体が「ぱっかん」と前後に分かれるハッチになっているという、独特の構造。もっともここから上半身を出すのはちょっと窮屈そうな感じ。

現時点ではまだ工作していないが、キューポラ上のフタ部分は、円形のものと、キューポラ本体に合わせた六角形のものと2種類ある(CERTIのキットにも2種のパーツが入って選択式だった)。フタとキューポラの間にはわずかに隙間があって、これはおそらく硝煙の換気用。なお、このキューポラの周囲(6面)には視察用のスリットが付いていそうに思うのだが、手持ちの写真資料では確認できない(wz.34装甲車の視察スリットは他の部分のものも非常に狭く、写真では確認しづらいので、存在する可能性は捨てきれない)。

なお、ここでもう一度、上に引用したポーランドのナショナル・デジタル・アーカイブ(NDA)の写真を見て欲しいのだが、この写真に写っているwz.34装甲車は、キューポラ式ハッチの代わりに、平板のハッチが取り付けられているらしい。こんな例は他では見たことがなく、このパレード時の特別な改装なのか、少数はこんな仕様があったのか、よく判らない。

実際の工作。当初、ほぼ「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面に準じた大きさで工作。それなりに綺麗にできた……と思ったのだが、砲塔に載せてみるとどうも小さすぎる感じ。仕方がないので作り直したが、今度は大きすぎ・平たすぎになってしまうので、さらに作り直し。3度目でなんとか使えそうなものができた。

20170612_210124

中央が最初に作ったもの、右が2番目に作ったものの残骸、左が三度目の正直。

もっとも、この大きさのプラバンのコマ切れを工作する場合、目盛付きプラバンを使っても正確に同一形状に切るのは難しく(誤差の絶対値としては大きなパーツを切る場合とそう変わらないと思うが、相対値はどうしても大きくなる)、向かい合った面同士がしっかり平行になっていなかったりする。……が、ぱっと見には判りづらいので、これで良しとする。

既存の図面では、このキューポラ・ハッチは砲塔上面にそのまま載っているように描かれているが、実際には段差か縁取りのようなものがあるようなので、0.3mm板を貼り増した。砲塔に載せてみて、CERTIのキットのパーツと並べてみたのが以下。

20170612_234530

| | コメント (3) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(4)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記の続き。糖尿病だろうが何だろうが、とにかく模型は作る。……いやまあ、大層な心意気とかの問題ではなく、別に他にやるべきことがあるわけではないので。

●シャーシ工作の続き。

「ひっくり返して裏を見せるつもりも特になく、エンジンまで作り込む気もないので」と前回書いたが、さすがに何も無しというわけにはいかないので、なんとなくそれらしく、アレコレのものを配置する。

一応、機器類の配置は「Wydawnictwo Militaria No.318」に出ている図に従っているが、それぞれのディテール等は、ほとんどでっち上げ。

20170610_004640 20170529_2324122

一応、各パーツの出自を書いておくと、

①:ドラゴンのT-34の76mm砲の空薬莢受けを切り刻んだり削ったりしたもの。

②:タミヤのヴェスペの105mm砲弾を切り詰めたもの。

③:タミヤのIII号戦車の上部転輪、ヴェスペの上部転輪など輪状パーツを重ねて削った。

④:太めのランナー。

⑤:ドラゴンのT-34の角型増加燃料タンクを刻んだりプラバンを貼ったり。

⑥:プラストラクトのL字材。

⑦:前回書いたように、たぶんタミヤの48マーダーIIIの固定用ナット受け(湾曲部)。

⑧:再びドラゴンのT-34の76mm砲の空薬莢受けを切り詰めて両側をプラバンで塞いだもの。空薬莢受け大活躍。

右写真はまだ排気管が付いていないが、マフラーと排気管はランナーとコントレールのプラ棒で作った。位置的にはここにマフラーが付くのは間違いないはずなのだが、ギア機構が乗っている肋材(プラストラクトのL字材で作った部分)との関係がよく判らない。結局、マフラーが付く部分の肋材をゴリゴリ削り込んだ。CERTIのキットには排気管が含まれていないことに、今回ようやく気付いた。

このあと、サスペンション機構やフロントアクスル、デファレンシャルなどを作らないといけないので、シャーシに関してはまだ道半ば。

●装甲ボディとシャーシの位置関係に関する若干の考察。

CRETIのキットでは、シャーシの上にそのまま装甲ボディが乗っている形に表現されていて、実際、後期型装甲ボディではそうなっているのかもしれないが(しっかり確認していない)、初期型装甲ボディの場合、どうもそうではない感じがする。

以下の写真は、解説用に「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させていただいた。

04 03

左写真で、戦闘室下にある横線は、装甲ボディ本体とその下のシャーシ保護用スカートの分割線と思われるが、これを前方に延長すると(黄線)、シャーシ上面と等しいと思われる前方の切り欠き上端よりも少々上に来る。エンジンルーム側面が若干狭まって奥まっていることを考えても、連続していないと見たほうがよさそう。

また右写真を見ると、どうもシャーシの上にもう一枚、スペーサーのようなものが挟まっているように見える。

そんなわけで、製作したシャーシ上面に、1mmプラバンでゲタを履かせた。ボコボコ穴が開いているのは接着剤の流し込み用。

20170610_004615

●エンジンルーム側面に関する若干の考察。

エンジンルーム左右には、小さなルーバーと点検用ハッチがあるが、これらの位置は初期型装甲ボディと後期型装甲ボディとで異なる。

……だけならまだしも、初期型装甲ボディの場合、左右でもルーバーとハッチの相対位置が異なっていて、点検ハッチの後端が、右側ではルーバー後端より前、左側ではルーバー後端より後ろにある。

さて、相対位置が異なっていることは写真から比較的簡単に判断できるのだが、問題は絶対位置に関して。可能性としては3種類ある。

(1).ルーバー位置は左右同じで、点検ハッチの位置が左右で前後にずれている。

(2).点検ハッチ位置は左右で同じで、ルーバーの位置が左右で前後にずれている。

(3).ルーバーも点検ハッチも、両方微妙に違う(すごくイヤ……)。

以下の写真も、「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)から引用・加工させてもらったもの。

05

写真の歪みもあると思うので断言はできないものの、これで見る限り、左右のルーバー位置はほぼ同じと考えてよさそうだ。

というわけで、ルーバー位置は同一、ハッチ位置は左右ずらして側面板を工作した。

20170610_005557 20170610_005432

ルーバーの穴は、三連で同じ小穴を開けるのは面倒くさかった(しかも0.5mm板の厚みが見えるのも避けたかった)ので、長方形の大きな穴を開け、そこに0.3mm板でブリッジを掛けた。周囲も内側から若干削って薄くしてある。この後、フラップを付ければほとんど見えなくなってしまうと思うけれど。

なお、後期型装甲ボディではエンジンルーム側面板と下部のスカートは別体だが、初期型ボディは一体になっている。

●装甲ボディの工作の続き。

前回はほぼボディ後部(戦闘室)基本形のみだったが、戦闘室は前面も0.5mm板で内張後、前面・上面に0.3mm板を貼り増し。この部分だけ0.3mm板を貼ったのは、表に小口が出る部分であるため。

上にも写真を載せたエンジンルーム側面板は、ほぼ真横から撮った実車写真をおおよそ1:35サイズに縮小し、それで形状/ルーバー位置のアタリを付けた(左写真の背景に写っているもの)。

20170604_022540 20170609_170233

エンジンルーム上面は、後端・側端などナナメ+ナナメで接するラインの寸法が取りづらく、大まかに切り出した後に削り合わせた。

写真を撮って置こうと思って忘れたが、上面の山形が削り合わせ作業中に割れたりしないよう、裏側は結構ぐちゃぐちゃにプラバンの切れ端や瞬着で補強してある。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

wz.34装甲車リベンジ(3)

週末模型親父さんのところの「SUMICON2017」にエントリーした、wz.34装甲車製作記。

●毒を食らわば皿まで工作その1。

結局、初期型装甲ボディを作ってみることにした。前回書いたことと重複するが、

  • 後期型ボディで作る場合でも、キットのパーツそのままでは使えず、結局ほぼ丸ごと作り直すことになる。
  • 後期型ボディの場合の、シャーシ後端の処理(形状)が今ひとつよくわからない。
  • 後期型ボディばかり一般的で、初期型ボディは目新しさがある。

……などが理由。

初期型ボディは戦闘室後面が垂直なのが特色(後期型は傾斜している)で、他に、以下のような特徴がある。

  • 戦闘室の幅が後期型よりも広く、砲塔が正位置では左右にはみ出さない。
  • その代わり、戦闘室側面下部は(ハーフトラック時代の足回り形状に合わせて)えぐれていて、段になっている。
  • 前方から見た時の大きな識別点として、戦闘室正面バイザーが大小2つある(後期型は1つだけ)。
  • エンジンルーム左右装甲板の形状、ディテールレイアウトも後期型と異なり、ルーバー、点検ハッチがやや後ろにある。
  • 初期型ボディのさらに初期生産型と思われるが、エンジンルーム上面フード前方が別体。

……など。後期型ボディとはすべての装甲面で寸法が違うのだが、前に書いたように「Wydawnictwo Militaria No.318」に出ている初期型ボディの図面はまったく信用できないので、「PIBWL Military Site」の中のwz.34解説ページの参考図なども見つつ、「だいたいこんなもん?」で寸法や形状を決めていく(←いい加減)。

20170528_020720 初期型装甲ボディに関しては、FTFから72で唯一のインジェクションキットが出ていて、これも若干の立体参考資料としたが、このキットは、形状的には「Wydawnictwo Militaria No.318」の図面と近く、初期型ボディを正しく再現しているとは言い難い。

このキットでは、ボディ側面下のえぐれた部分も3つの面で膨らんだ形状となっているが、影の付き方などから見て、ここは素直に同一平面になっているものと判断した。初期型ボディの比較的鮮明な写真資料に関しては、「PIBWL Military Site」のwz.34ギャラリーページ(2)が助けになる。

また、原型となったwz.28装甲車では確実にこの部分が平面であるのは、同じく「PIBWL Military Site」のこのページで判る。

そんなこんなで、砲塔同様にwaveの目盛付きプラバンを使ってボディを新調。

20170528_020847 20170528_020930

前半はシャーシとのつじつま合わせも必要になってくるので、ある程度シャーシの目途が付いたところで工作の予定。戦闘室前面・上面は装甲板の重なりを表現するため0.3mm板を被せるつもり。

●毒を食らわば皿まで工作その2。

どうせほとんど見えない部分だし、シャーシはキットのパーツを使っちゃおうかなあ、とも思ったのだが、結局こちらも自分で作ることにした。

ひっくり返して裏を見せるつもりも特になく、エンジンまで作り込む気もないので、作りやすさ優先でシャーシ外形に合わせてプラバンで底板を作り、そこにフレームやある程度のディテールを盛って行く形式とした。

20170525_160456 20170528_021134

後輪スプリングを支えるビームのうち、前側のものは、中央がドライブシャフトを避けて窪んでいる(その形状については、この写真で確認できる)。それほど複雑な形状でもないが作るとなると面倒で、作成法についてちょっと悩む。結局、円筒形のジャンクパーツ(たぶん、タミヤの48マーダーIIIの固定用ナット抑え)を輪切りにして、それをプラ材に貼り付けてから削り込んだ。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧