wz.29

wz.29装甲車(7)

F1031028b●12月31日〆、週末模型親父さんのところの「SUMICON2011」用に作っていたwz.29だが、先述のように体調不良もあって、とてもではないが年末に駆け込みで塗装まで仕上げて、などという余裕はなくなってしまった。が、なんとか工作だけは一段落付けた。

武装も車外装備品も付けて、現状はこんな感じ。……前から見ると意外に格好いいな。

車輪は後々の塗装の便を考えて、後輪は軸に穴を開けて差込式に、前輪はフロントアクスルごと差込式にしてある。

F1031027b●その車外装備品は、なぜかほとんど左側面に集中しており、右側面にはひとつも付いていない。シャベルの上にバール(のようなもの)が付いているのはキットのパーツに従ったもので、不鮮明な実車写真からは、今ひとつ存在と形状がよく判らない(何か長物が付いている、と判る写真もあるにはあるが)。

工具の柄の部分はキットのパーツはどれも歪んでいるうえ、断面形状も太さも変化しまくりだったのでプラ棒に替えた。

それはそれとして、車輪まで付けて改めて見てみると、タイヤのロゴが、各車輪全部向きが一緒……。接地面がつぶれた表現になっているので、直すとなったら一苦労。当然放置。

●その他適当に撮った写真。

F1031014 F1031015 F1031016 F1031017

車体後面左右にはフック?があり、そこにロープ(ワイヤー?)が掛け回してある。実際にはフックの形状もいまひとつ判らず、ロープの両端がループになっているかどうかも判らない。判らないことだらけ。

車体前端のラジエーター前ハッチにも、上端に開閉補助スプリング機構が付いているようなのだが、これも形状不明で未工作。結局締切り破りになってしまったので、今後なお若干の追加工作はするかもしれない。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(6)

F1030957 ●前回作ったピュトー37mm砲に、防盾(マウント内側)を作る。

別に芯は何でもいいわけだが、たまたま手元にあったジャンクパーツ、タミヤの旧マチルダの転輪片側に、プラペーパーを一巻きしたりプラバンを貼り足したりしてから形状を削り出した。

この時、色違いの積層にすると削る課程で大きな歪みが出ると縞模様に現れるので都合がいい……というのは手でコリコリ削っているからで、モーターツールなど文明の利器で削る人ならどうでもよさそう。とにかく、鏡餅みたいな形状を削り出してから、先日作った砲身が通るように穴開け工作。

F1030953 削り上がったものを砲塔にセットすると、こんな感じになる。

実際には表面にいくつかリベットなど細部ディテールがあるので、今後多少追加したいのだが、wz.29どころか同型(のはず)の砲とマウントを持つwz.34後期型の写真をかき回してもなかなかクローズアップのいい写真が見つからない。

最大の問題は、砲の左脇には当然、照準口があるはずなのだが(ちなみに角型防盾のwz.34初期型にはちゃんとある)、これが写真で確認できないこと。当初、「当然あるはず」という判断で適当に穴を開けようと思っていたのだが、左側がとりあえず写っている写真が出てきて、それに穴が確認できず、結局穴開けを思い止まった。うーん。無い訳ぁないと思うんだがなあ。

●砲が(とりあえず)クリアできたところで、次は機銃。

F1030949 機銃マウントは3カ所あるが、斜め上向きの対空機銃はしばらくして装備されなくなってしまったので、機銃は2丁あればよい。当初はキットのパーツを、マウント部はいじるにしても機銃自体は切り取って使おうと思っていたのだが、どうも微妙に歪んでいたので、結局2丁、自作してしまった。

モーターツールもないので、根元の蛇腹状の部分含め手作業でコリコリ削り出している。自作途中でもずっと、頭の片方では

「う~ん、面倒くさいな、やっぱりキットの機銃を煮て歪みを直して、ちょっとだけ手を入れて使おうか」

F1030990と思っていて、実際、自作したものも、キットの機銃を手直しした場合より格段によくなっているのかどうかは微妙。お馬鹿だ。ただし、折角作るのだからということで、キットのパーツには付いていなかった、フラッシュハイダー付きの状態にしてみた。

なお、砲身がタミヤ(のランナー)製だったので、こちらはドラゴン(のランナー)製(特に意味は無い)。銃身部分は余っていたパンターのトーションバー。

話は前後するが、この機銃はポーランド名称だとホチキスwz.25、元はフランスのオチキスMle1916で、ルノーFTなどに搭載されているのと同じもの。そんなわけで、これまでにもRPMとかMirageとかでパーツ化されているが、基本、どれもお粗末な出来。そういえばHellerの重機関銃チームで機関部も含めてインジェクション化されていたはずと思って棚をかき回そうと思ったが、たまたま模型慕情さんのところに写真が出ていて、どうやらキットのパーツ自体、Hellerのコピーらしいことが判明。探すのをやめた。なお、Calibre35というところからレジンパーツも出ているようだ。流石に、あまり出来のよろしくないレジンキット用に新たにレジンパーツを奮発するのはいやだ。

なお、工作にあたって細部形状を見るためにweb上で写真を探してみたが、そんなことをしなくても手元のAJAKS刊の「TK-S」本にクローズアップと特集4ページが出ていた。情けねぇ。ちなみに、wikipediaに出ている「全長(1390mm)」から計算するとキットは少々大きめ。自作パーツは前半のみだが、フラッシュハイダーを除くとキットより若干短めに作った。とはいっても、正確な細部寸法とかがあるわけではないので、極めていい加減な目分量工作。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(5)

●熱は下がったもののなお復調には遠し。

仕事も片付いていないが、現実逃避で寝込み前の工作に付き少々。

●wz.29の主砲はピュトー37mm砲SA18(の、ポーランド型)、要するにルノーFTはじめ、R35やらH35やらwz.34装甲車やらと基本的には同じ。

キットの主砲パーツはどうにも貧弱で、多少は手を入れるなり作り替えるなりしないといけないとは思っていたが、wz.29自身の写真となると、主砲回りの鮮明なものは手元にない。それでも、がっちりした装甲スリーブに収まっているR35やH35はダメとしても、FTのそれが参考にできるのではないかとボンヤリ思っていたのだが、どうも改めてチェックすると、だいぶ雰囲気が違う。FTよりもだいぶ細長い感じがする。

もっとも、SA18は21口径で、計算するとスケール上の砲身長は2.2cmというところ。キットのパーツではむしろ短め?くらいの感じ。要するにスリーブの差で、FTより細長く見える、ということであるらしい(あくまでも推測)。

F1030944 ●そんなこんなで、結局、交換用に“タミヤ製”の主砲を用意した(下にボヤけて写っているのがキットのもの)。ただし先端の砲身自体はカステンのJS履帯のランナー。JS履帯は不要パーツからランナーまで、どうしたわけか大活躍。

細部ディテールはどうこう、などと言えるレベルではなく、ぼやけたwz.29の写真に、wz.34装甲車の写真まで動員した挙句に、結局「でっち上げた」もの。

なお、wz.34装甲車には旧型の角形防盾と丸いボールマウント型とがあるが、後者はおそらく、砲それ自体も含めてwz.29と同形らしい。

●それはともかく、この週末はまったく工作ができなかったので、年内完成に持ち込めるかどうか、だいぶ怪しくなってしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(4)

F1030931●作り替えたハッチ類の細部工作を進める。

乗降用ハッチドアには取っ手と、裏側のロック機構に関係する上下4カ所ずつの小リベット。取っ手はキットにもパーツがあったが、単に丸棒を合わせただけのT字のパーツで、しかも例によって左右不揃いだった。

バイザー類にもちまちまとリベットと、ヒンジを付ける。このあたりの小リベットはタミヤのSd.Kfz.251のジャンクから削り落としたもの。MasterClubあたりの専用パーツより精度は落ちてしまうが、プラパーツの上にプラ用接着剤で付けられるのはやはり手軽。

バイザーのヒンジはプラペーパーで、裏から針で突いて何となくリベットを表現を付けているのだが、やはり不揃いになった。

それにしても、もともとのキットの車体リベット列が不揃いなうえ、若干装甲板の辺よりも内側寄りなので、バイザーのヒンジを付ける際にだいぶ邪魔になり、いくつかは少し脇に避けてもらったり、間引いたりした。

F1030925●前回切り飛ばした車体後部の装備品の、その切り飛ばして陰になる部分の追加工作。

尾灯(たぶん)とそのコード、右の謎装備の何か突起のようなもの、など。

おそらく右のものはジャッキで、それの回転用機構か何かだと思い、大きなナット状の突起をつけたが、もちろん形状に自信があるわけではない。尾灯ももっと丸く出っ張っている感じかも。

●もう少しバイザーあたりに追加工作するかもしれないが、車体の基本工作はほぼ終了。あとはフック・リングと工具をいくつか付ける程度。

ただ、あとは終盤の山として、武装マウント内側の工作が残っている。ピュトー37mm砲も自作の必要がある。

●今さら言ってどうする系のネタだが、S-MODELのバキュームのURSUS A型トラックのシャーシと、このキットとを比較してみた。

引っ張り出してきたS-MODELのバキュームはURSUS A型のTK豆戦車輸送車型だが、シャーシ自体は当製作記の一回目に写真を載せたものと基本同一。なお、A-MODELのキットはバキュームとは言ってもパーツのレジン率は高く、写真のように足回りでバキュームなのはシャーシフレーム程度。

F1030938 というわけで並べてみたのが右の写真。

wz.29装甲車はURSUS A型トラックのシャーシを若干強化して装甲ボディを載せたものなので、基本、同じになるはずなのだが、ご覧のようにARMOのwz.29装甲車はだいぶ短い。よく見ると、wz.29では後輪スプリングの後端部分までフレームを切り詰めてあるようだが(本当に実車もそうなのかは不明)、それが正しいとしても短過ぎ。

wz.29の(機銃抜きの)全長は5150mmだそうで、1:35では147mm程度になる。車体前端のリングと後端の工具箱が寸法に含まれるかどうかがよく判らないが、含まれたとしても5mm近く、含まれないと1cm以上短い。

一方、URSUS A型はS-MODELの説明書によればシャーシ長が5115mmで、S-MODESのキットのフレーム前端から後端までと、ほぼピタリと合う。……誰かS-MODELのシャーシに装甲ボディを自作して被せる勇者はいないかー(私はイヤ)。

F1030936 ●ついでに比べた両キットの車輪がこちら。上とは逆で、左がARMOのwz.29、右がA-MODEL。

ARMOのほうはやたら大げさなタイヤメーカー刻印入り、接地変形表現あり。ただし以前述べたように、少々歪みアリ。ただし、トレッドパターンは、少なくともwz.29の写真で確認できるものになっている。

ホイールは、表現の差はあれどうも両者とも同じものを表しているようだが、少なくともwz.29装甲車のものとは違う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(3)

●こんな調子でたらたら作っていて、あと1ヶ月のうちに完成するのかどうか自分でもちょっと不安だが、とにかくwz.29装甲車の進捗状況。

F1030902 F1030903

●戦闘室周囲に付いている小バイザーハッチは、先述のようにキットのものは大きさがまちまちなうえ、出来もプリミティブなので0.3mmプラバンで作り直した。とはいっても、現時点では基本形を切り出して貼ってあるだけ。ヒンジほか細部はこれから工作。

なお、車体後部左右のものは開口部を一部埋め、位置を後ろにずらした。

F1030891●車体前後の運転席前のバイザーハッチも作り直し。右写真は車体後部のもので、ついでに位置も少し修正してある。上に乗っかっているのがキットのパーツで、ご覧の通り形状はまるっきり違う。

凹部の下の面は、本来、外側に向かって傾いているのだが(運転用の窓なのだから当然)、いい加減な工作のせいで内側に向けて傾いてしまった。反省。しかし面倒くさいので作り直さない(開き直り)。ここも細部工作はこれから。

●エンジンルーム横のハッチは、位置的には前部フェンダーと干渉する位置にあり、ARMOのキットではハッチは素直な長方形でフェンダーが窪んでおり、COMMANDERのキットではフェンダーが素直な形状でハッチ前下方が大きく切り欠かれている。

F1030901 当時の写真を見ると、フェンダーが窪んでいるのは確かなようなので、最初、キットのパーツを素直にそのまま付けてしまったのだが、その後、このハッチが開いている車輌の写真をよく見ると、実は角の部分がわずかに斜めに切り欠かれているらしいことが判明。

仕方なく引っぺがして再加工した。しかしそうなると、キットのままの貧相なヒンジも気になって、これも作り替えるか思案中。

●車体左右の大型ハッチドアは、キットのレジンパーツは反りが入っているし、特に車体右側はヒンジの位置が違っていて、しかもキットのパーツはヒンジ位置が上下対称ではないので単純にひっくり返して使えないし、そもそもヒンジ自体貧相だし……というわけで、プラバンで作り直す。

F1030895最初はキットのハッチをテンプレートに切り出して素直に取り付けたのだが、その後、ハッチ上端が車体側面上端まであることに(キットはそうなっていなかった)今さらのように気付き、これまた仕方なく引っぺがして再工作。

写真はキットとはヒンジ位置を逆にした右側面。もともとヒンジのあった前側にはリベット列を付けたが、実車で6つのところ、リベット位置を鉛筆で書き込む時に計算を間違えて7ヶ所にしてしまい、しかもそのまま気付かずに工作してしまった。大迂闊。

もっともそもそも最初に書いたようにこのキットのリベットは実にいい加減で、かつ、どこも数が多めなので、キットのままの左側面とはむしろバランスが取れている……からいいや、他に影響する部分でもないし、面倒くさいし、と自分に言い訳して、このまま直さないことにする。ヌルし。

「君! せっかくヒンジ位置を直しているのに、ここのリベットの数が違うじゃないか!」(ビシッ)

と指摘する人は世界中探してもそう何人もいないような気がするし、いたらいたでちょっと引いてしまいそうな気がするし。

F1030900 ●車体後端には、何やら工具箱と、ジャッキなのかジャッキ台なのか、その両方の組み合わせなのかよくワカラン装備が付く。キットのパーツでは左下部分も埋まっているのだが、実車はそうではないのでノコギリでギコギコ切り欠いて整形。

その窪んだ場所には尾灯がついているほか、車体側になのか、右の謎装備に付属しているものなのか、右側に何かしらごちゃっとしたものがあるので、今後何かしら誤魔化し工作を行う予定。

F1030896 ●前回の砲塔の工作のその後。

前方の37mm砲用マウントと、左後方のオチキス機銃用マウントも付ける。

キットでは装甲の(左右位置で)真ん中に付いているのだが、どうも実車ではオフセットされているようなので、そのように工作。

上面ハッチには信号旗用なのか、小さな丸ハッチらしきモールドがあったのだが、数少ない実車写真から判断すると位置が左右逆のようだったので作り直す。モデルカステンのJS用履帯の、いくつも余る小さい丸パーツが珍しく役に立った(1個だけ)。

なお、この写真で中央に写っている面の視察用スリットは、どうも位置が左右逆なのではないかという疑いもあるのだが、はっきり写っている写真がなく、大きさだけ直して放置。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(2)

F1030838F1030842●ドアの向きが違うのと、操縦手用バイザーの形が全然違うのくらいは何とかしよう、などと思っているうち、結局当初計画よりも深入りして、こんなところをいじっている。

前回書いたように、実車の砲・機銃マウントのカラーは車体に取り付けるためのフランジだけでなく、庇状に周りが飛び出ていて、キットはそれが再現されていない。しかも車体後面のマウントは位置もおかしいので、結局作り直した。

キットのリベット列は、要するに「リベットがある場所に適当に並んでいればいいよね」レベルのもので、数もいい加減な上にラインもヨレヨレ。とは言っても、それを全部植え直すなら、もういっそ車体を全部作り変えてしまったほうがいいくらいになってしまうので、極力目を瞑ることにする。

とはいっても、機銃マウントは装甲板の角に接する位置にあり、どうやらフランジを止めているリベット(ボルト?)の1つは、装甲板のリベットと共用であるらしい。仕方がないので、この部分の上下の列は植え直すことにした。

使用したのは、ヴィッカース水陸両用戦車の工作を再開する日のために(いつだ?)買っておいたMasterclubのリベットの、丸頭0.8mmタイプ。YSで買ったもので、140本入り735円だった。

リベット頭だけでなく足もあるタイプなので、植える位置にピンバイスで穴を開けて一本ずつ植えていく方式。ピンセットでつまむ時に跳ね飛ばしそうで怖い。なお、ラベルの表記ではリベット頭の径が0.8mmのはずだが、0.6mmの穴で足が入らず、0.8mmで丁度よかった……なぜ?

F1030857 ●車体の機銃マウントを作り直してしまうと、あと3つ、砲塔のほうを直さないわけにはいかなくなる。

車体側も同様だが、代替用のカラーは0.3mm板を丸く切り抜いた上に、径がたまたま都合よかったので余っていたタミヤのBTの砲塔内部の椅子パーツを加工して接着。その後で真ん中をくりぬく。くりぬき加工が終わった段階が左で、ここからさらに張り出しを斜めに削り落として、一応、基本形は終わり。なお、このマウントはおそらく、TKSのものとほぼ同形。

フランジに付く尖頭ボルト(たぶん)は6カ所で、これが不思議なことに、車体後部のものは2つが真上と真下に位置するようになっているのに対して、砲塔のものは左右にある。つまり、ボルト穴が90度ずれている。

F1030863 ●砲塔では、ボコボコあちこちにやたら大きく開いた視察用スリットが問題で、スキマから外を覗くというより、手が挿し入れられるんじゃないかと思えるほどで、砲塔の風通しまでよくなりそう。

また、“Wrzesien 1939 POJAZDY WOJSKA POLSKIEGO”のカラー図(というよりカラー絵、と呼びたい感じのもの)ではそのように描かれているのだが、右側の3面では上下に2カ所ずつスリットがある。

ディテールがよく判る鮮明なクローズアップなんてものが(少なくとも私の手元には)ないので断言はできないのだが、どうもこの位置にスリットがあったのは試作車か、あるいは量産車でも作られてすぐの状態とかではないかと思われる。というわけで、まず下の三カ所はそのまま埋めた(写真のグレーの部分)。

残るスリットも大きすぎるのがみっともないので狭める算段を考えていたが、結局、0.3mmプラバンを貼り合わせて「中に最初からスリットがある状態の穴埋め専用材」を作って埋めた。……という解決法自体は手軽でよかったと思うのだが、今度はスリットが小さくなりすぎたかもしれない。

また、この修正法の場合、スリットの位置自体は元と同じになるが、実はこのキット、面によってスリットの位置がずれている。写真に写っている面はそもそも違っていていいところだが、向こう側の、面の高さが同じ場所で違うのはちょっとマズイと思う……なんて言いながら直してないわけですが。

なお、写真の対空用機銃マウント部分は、他の場所のようにフランジごと作り直すのではなく、キットのフランジを活かして凸部だけを加えた。

それにしても、この狭い砲塔に砲一門・機銃2丁というのはどう考えてもやりすぎで、三方から砲尾と銃の機関部が飛び出している間に、人間が入り込む隙がよくあったものだと思う。ほとんど黒ヒゲ危機一髪ゲーム。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

wz.29装甲車(1)

F1030807●週末模型親父さんのところの「SUMICON 2011」用に引っ張り出してきたwz.29装甲車について。

実車に関してはwikipediaにも概略があるが、写真と解説は、さすがにPIBWLさんちのこのページこのページが濃密。

キットはポーランドの模型店、ヤダル(JADAR)のガレージキット“自主レーベル”のひとつ、ARMO製の1:35。

同スケールでは、これ以前にもっとマイナーな、やはりポーランドのガレージメーカーから、エポキシレジン製のキットが出ていたらしい。PIBWLさんちの解説を読むと、ペーパークラフト屋さんのGPMからもキットがあったようなのだが、これらは絶版のはず。ほか、COMMANDER MODELSからも出ている(もうとっくに潰れたかと思ったらしっかり存続していた)。

●さすがに10輌しか作られていないポンコツ装甲車となると、2メーカーから出ていれば立派なもので、当分、新キットは出そうにない気がするし、となると、特に自国製であるARMOのキットにはそこそこのレベルを期待したいところ。

……ではあるのだけれど、これがだいぶ悩ましい出来。

そもそも買ってから今まで死蔵していたのも、最初にチェックした段階で何だかトホホな部分が結構目に付いたからなのだが、実際に着手してみると、予想以上に多々ひっかかる箇所があることが判明。

●単純に模型としての質に関して。

・気泡は、少なくとも表面に大穴が開いているような箇所はほとんど無し。薄皮一枚で入っている箇所はいくつかあった。ただし、シャーシフレームの先端部などいくつか、細かったり薄かったりする端や角の部分の小さな欠損はあった。

・大型パーツの明らかな反りやねじれはないが、特に車体側面装甲など、微妙に平面が出ていない。

・原型製作時の接着剤跡やヤスリがけの跡などが残っていて、仕上げが粗い。また原型(あるいは2次原型)の段階からあったのか、それとも製品成型時のミスなのか、車体表面に何ヶ所かくさび状の窪み傷があった。

F1030832 ・上記のこと含め、どうにも原型の(あまりよくない意味での)手作り感が横溢していて、リベット列が不揃いだったり、蝶番がいかにもプラバンの切れ端とプラ棒を付けただけの感じだったり、それがまた歪んでいたりする。ダブルになっている後輪を合わせようとすると、間隔が斜めになってしまうだけでなく、よく見ると少し波打ってさえいる。……これは斜めになっているのだけなんとか直して、波打っているのを極力目立たないようにするしかないだろうなあ。

●プロポーション。

F1030824このページの側面写真と右写真を見比べると、特に車体後部側面形は違っていて、実車に比べキットはちょっと寸詰まりな感じ。もっとも、それを除けば全体形は(元が特徴があり過ぎる車輌なので)そこそこ満足すべきレベル。というより、先述の、微妙に側面の平面が出ていない問題を含め、あまりウルサイことを言うと「いっそ車体をプラバンで1から作り直したほうが」になってしまう。くわばらくわばら。

●ディテール。

F1030835 ・先述の「どうも作りが粗い」ことと重なるが、車体側面前後2箇所ずつ、前面左の計5箇所の小さいバイザーフラップは、おそらく同じ形状のものなのだが、キットでは右写真のほうに大きさがまちまち。鮮明な写真が(少なくとも私の手元には)そう多くない車輌なので、「いや、本物も大きさが微妙に違うんですよ」という可能性も皆無とは言えないが、たぶんそれはない、と思う。

・合わせて、特に側面後部のバイザーは、キットの位置は前過ぎ。実車では、バイザーの後ろのラインは、上の装甲板の角よりも後ろ寄りにある。

・車体前後の操縦席用バイザー(例えば上のバイザーパーツの写真の一番右のもの)は、キットでは単純な1枚物になっているが、実車では真ん中に大きく切り欠き(穴)があり、スリットのある面は地面に垂直な、二重構造というか二段構造というか、とにかくもっと凝った作りになっている。これはCOMMANDERのキットも同様なのだが、COMMANDERSはムクの車体とバイザーが一体なので修正は難しそう。その点ではARMOのほうが楽。

・車体左右の大型ハッチドアは、実は実車では左右とも、蝶番が左にある。つまり車体左側面では前に開き、右側面では後ろに開く構造。キットは左右とも前開きになってしまっている。これまたどういうわけかCOMMANDERも同じミスをしている。

・砲塔パーツには、防御上これはどうなのよと思うような大きなスリットがボコボコ開いているが、実車はもっと狭くて小さい。位置も微妙にずれている感じ。

・機銃マウントのカラー部は、キットのような単純なリングではなく、上部ほど大きく、庇状に凸部がある。また車体後部機銃マウントは、キットは位置が下にずれている。

Ursus01・車輪のホイール部の形状が、どうやら全然違う。しかし不思議なことに、wz.29の原型となったURSUS A型トラックの、(メーカー違いの)S MODEL製キット(右は昔作ったもの)のホイルも、ついでにCOMMANDERのwz.29のキットも、ほぼ似たようなホイル形状になっている。皆揃って真似し合って同じ形状になってしまったのか、それともURSUS Aではこういう形状が一般的だったのか、どうもはっきりしない(が、もしかしたら“Wrzesien 1939 POJAZDY WOJSKA POLSKIEGO”のwz.29のカラー図でこんな形状に描かれているのが原因かもしてない)。

●というような感じで、当然ながら1から作り直すような不毛なことはせず、このキットをなんとか成仏させる事を考えるとなると、どこまで手を入れ、どこは目をつぶるのが有効かの判断が重要、ということになりそう。

とりあえず現段階では、キット表面の傷(窪み)を埋めたり、欠けを補ったり、シャーシを車体と合わせてみたりの基礎工作中。

| | コメント (2) | トラックバック (0)