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IBG 1:35 Tankietka TKS z NKM wz.38 FK-A 20mm

20180905_234011 ●IBGの新製品、1:35「Tankietka TKS z NKM wz.38 FK-A 20mm」を購入したので、そのレビューをば。

TKSは1939年戦役で使われたポーランド製豆戦車。キット名の「Tankietka」もポーランド語で豆戦車を指す(たぶん)。

キットの製品名は妙に長いが、要するにTKSの20mm砲装備型。標準ではオチキス機銃1丁装備のTKSの対戦車特殊型として作られた(たぶん既存のTKSから改修された)もので、生産数には諸説あるが、おおよそ20輌内外。これ以上の実車解説に関しては昔まとめた別項を参照のこと。さらに詳しくは「PIBWL military site」のTKのコンテンツを読んで頂きたい。

IBGは、この「20mm砲型TKS」のキットをほぼ同時に3種類出していて、一つは足回りがロコ方式に一体成形された「イージー版」(製品番号E3503)。もう一つはイージー版に、Hatakaレーベルの塗料がセットされたもの(製品番号E3501)。そして3つ目が足回りが細かく分割された要組立て版(製品番号35046)で、私が購入したのは3つめの足回り要組立て版。

箱絵は基本共通だが、前2者は箱表右下に白カコミで完成見本のCGもしくは塗料セットが出ていて、最後のものは車輛だけでなく乗員+歩兵が描かれている。これは最後のキットにだけフィギュアが付属しているためらしい。ただし、箱に描かれた兵は4名だが、付属のフィギュアは2名。

なお、IBGはオチキス機銃搭載の通常型TKSの発売も予定している。こちらも3種類で発売されるのかもしれない。

●TKSの1:35インジェクションキットは、これまでにTOM/RPM、Mirage HOBBYと2社から出ていて、今回のIBGのキットは3社目。

先行の2キットも、それぞれそれなりに愛情の感じられる好キットだったが、再現度という点では至らぬ点もあり、ポーランドAFVファンとしては(特にTKファンとしては)新キットの登場は喜ばしい。

3社比較はまた次の機会にということで、とりあえず今回はキット内容の紹介を。

●箱の中身はざっと以下のような感じ。

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インテリア再現キットなので、極小の2人乗り豆戦車の割にはかなりパーツ数が多い。miniartのように、枝を細かく分割して金型を減らす方式を取っているようで、小さいパーツ枝が複数入っているものが多い。

ちょっと見づらいが、箱の中身写真の中央やや右下に20mm砲の金属砲身。ほか、小さめのエッチングパーツが2枚。説明書は塗装説明図はカラー。組立説明図部分は全面CG。

▼砲塔のないこの豆戦車にとっては、スタイル上のキモになる戦闘室(パーツ枝M)。先行キットと異なり、前部と後部の2分割。

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スライド金型も用いて、各面の尖頭ボルトも一発で抜いている。実際には、これらはポーランド独特の(というよりTK独特の?)2面尖頭ボルトなのだが、モールドはほぼ通常の丸頭リベットになっている。どうしても気になるという人はMasterClubで「ポーランド型(Bullet-proof bolt "Polish" cone-head)」として発売されているので交換するのも良いが、どのみち、ルーペか何かで拡大しない限りはほとんど判らないと思う。

内部再現キットだから、ということもあるだろうが、上面の乗降ハッチだけでなく、視察口フラップも、武装バルジ両面を除いてすべて別パーツ・開閉選択式(ただし、各フラップ裏面に開閉機構は再現されていない)。

TKSのインジェクションキットで一番最初に発売されたTOM/RPMのキットは、武装バルジ部分の上面の絞り込みが明らかに足りないのがスタイル上の弱点だったが、このキットはその辺は好ましい感じ。

戦闘室上面レイアウトは機銃装備の通常型と20mm砲型では違いがある。

  • 車長/銃手側ハッチが、機銃装備型は前後に開く(後方は中折れハッチ、前方は1枚式の細いハッチ。ただし、初期には前方も中折れハッチだった可能性も)のに対し、20mm砲型は後方中折れハッチのみ。ハッチの大きさ(前後長)も違う。
  • 車長/銃手側のグンドラフ式ペリスコープが、機銃型は機銃の真っ直ぐ後ろなのに対して、20mm砲側は(おそらく砲尾を避けて)左にオフセットされている。

キットはハッチの開き方、ペリスコープの位置は20mm砲型の特徴をフォローしているが、ペリスコープが付く上面固定部は、20mm砲型ではもっと前後に幅広いのではないかと思う。

また、20mm砲装備型では武装バルジ上面にスウプスキ式信号旗用の穴が1つあるが、組立説明図では図示されているにもかかわらず、キットのバルジ部分にモールドは無く、部品も見当たらない(探せていないだけかもしれないが)。

▼車体下部(パーツ枝B)。

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ここもスライド型を使ってバスタブ型に一体成形。内部再現に合わせて内側にもモールドがあるが、とりあえず目立つヒケなどは生じていない。

▼エンジン等を含むパーツ枝A。

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およびトランスミッション等を含むパーツ枝C。

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車内再現はそれなりにきちんと考証されているようなのだが……残念ながら、弾薬ラックはオチキス機銃用で20mm砲マガジン棚ではない気がする。そもそも20mm砲型の車内ディテールの資料があるのかどうかも不明。せっかく車内ぱーつがあるのに、おいそれとハッチを開けるわけにはいかなくなってしまった。

金型に無理があったのか、梱包に無理があったのか、車体後部のルーバーとハンドルに折損があった。簡単に直せる感じのものだが、ルーバーパーツはちょっと厚みが気になるので、ついでに薄く削り直すか、薄い金属板などで作り直すほうがよいかも。

▼20mm砲まわりのLパーツと、「足回り要組立て版」のみに付属している金属砲身。

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▼「足回り要組立て版」の足回りパーツ。転輪類はDパーツ(2枚)。サスペンション、転輪桁などはJパーツ2枚とKパーツ1枚。

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再現度としてはTOM/RPMよりはだいぶよく、Mirageよりやや上という感じ。特に先行2社の転輪がかなり薄っぺらかったのに対し、こちらは厚みが表現されているのは良い。

▼履帯パーツ(パーツ枝EとF)。説明書には、どちらも2枚ずつ入っていると書かれているのだが、なぜかEパーツが3枚入っていた。どちらが正しいのかは組み立ててみないと判らない(が、一定の長さのものが奇数枚になるというのも変なので、たぶんEパーツ1枚は余計なのだと思う)。

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さて、わざわざ足回り一体のイージー版と差別化して出すからには、履帯パーツにはそれなりに気合が入っていて欲しいと思うのは当然ではないかと思うのだが、実際にはだいぶ適当感があって、個人的にはちょっとがっかり。

本来は中央のスプロケットが入る穴部分にも履板同士の噛み合わせがあるのだが、キットパーツは履板の両端でだけ繋がっている表現。また履板表面の凹凸も接地リブ以外表現されていない。ガイドホーンも、実車の「薄っぺらく四角い」感じとちょっと違う。また、少なくとも私が買ったキットでは、3つ入っているE枝全てで、パーツE6に樹脂のショート部分があった(写真4枚目右側パーツ、右下部分)。

ついでに、wikimedia commonsから、実物の履帯写真を引用しておく。

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とりあえず履板表面の模様に関しては、なぜか一番最初に発売されたTOM/RPMのキットがおそらく一番それらしいという、なんとも皮肉な状況。ただし、前述の転輪幅の問題もあり、TOM/RPMの履帯をそのままこのキットに持ってくるのは難しいかもしれない(未検証)。

▼エッチングパーツ。

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なぜか説明書の図示と違って大小2枚入っている。これに関しては小さな正誤表も付属していて、どうやら、エッチング(大)に入れ忘れたパーツ&訂正パーツがエッチング(小)という位置付けのようだ。

戦闘室後面のラジエーターグリルのメッシュがエッチング(大)と(小)の両方に入っているが、これは枠部分がメッシュよりも一段高くなっている表現が付いているかどうかの違いらしい。

●最後に、足回り要組立て版にのみ付属しているフィギュア2体。

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一体はカーキのツナギを着て着座姿の操縦手(たぶん)、もう一体は黒革のコートを着た立ち姿の将校だが、これまで一般の将兵のインジェクション・フィギュアとして、ここまでデブのおっさんがいただろうか!?とビックリするほど恰幅がいい。「模型慕情」さんがまだ更新を続けていたら、ぜひこのフィギュアに付いて一言コメントして頂きたかった。

ちなみに、昔のタミヤの一部フィギュアにあったように、造形のクセとか間違いとかでデブになってしまったわけではなく、あきらかにその体型を意識して作ってある(ように見える)。

その昔、ポーランドのSKというレーベルで「ポーランド戦車兵」のインジェクション・キットが出ていたことがあるが、これはエレールの仏戦車兵セットの名前を変えただけのもので(SKはエレールの再版もの専門レーベルだった)、実際にはポーランド兵とは軍装が違う、という適当なものだった(ヘルメットは同型)。というわけで、1939年戦役時のポーランド戦車兵の35インジェクション・フィギュアはこれが初かも。……いや、いかなる兵科であれ、1939年戦役時の35ポーランド兵そのものが初?(そしてそれがなぜヒゲデブ?)

●総じて、どうも手放しで「決定版!」と称えるほどの出来ではないという感じだが、それでも先行2社のキットより一日の長はある。TKS好きなら手にして損はないと思う。

ただし、どうやら車内は機銃型に準じているようでもあるし、複数作りたい車種ではあっても毎度車内を作りたいかどうかは別なので、「足回りイージー版」よりも、「中身省略廉価版」を出してほしかったな……。

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3度目の正直なるか?(IBGのTKS)

●ちらほらとニュルンベルク・トイ・フェア(Spielwarenmesse)関連のネタが流れ始めて来ている。

以前はPrimePortalでスケールモデルの会場発表の各社別写真レポートが出ていて非常に重宝していたのだが、同サイトは更新が止まってしまったので、一覧できるところがなく不便。どなたか「ここに出ているよ」というのをご存知なら、情報をぜひ。

ともあれ、とりあえず流れてきた「ちらほら情報」から。

●タミヤからは35では「M3スチュアート後期型」と「ヴェスペ(イタリア戦線)」。48でチャーチル・クロコダイル。

M3スチュアートは完全新金型でのリニューアル。現行のタミヤのスチュアートは、(Scalemateによれば)1977年の発売。リベットだらけのクラシカルな姿を、当時としてはかなり頑張ってキット化したものなのだが、細かなミスや省略を除いても、次のような難点がある。

(1).(タミヤにありがちなミスで)博物館現存車輌をそのままキット化したため、基本、実戦で使われていないディーゼルエンジン型になってしまった。

(2).ポリキャタピラに柔軟性を持たせるためか、エンドコネクターがリンクをまたいでいないトンデモな形状。実際にこのような形状だった場合、一瞬後には履帯が全部バラバラになって地面に落ちることになる。

(3).転輪が薄い。

発売予定のリニューアルキットは現行とは仕様も違い、馬蹄形砲塔だがキューポラ無しのより後期のタイプ。従来ならM3A1に分類されていそうだが、(英語版wikipediaによれば)「M3の車体に、砲塔バスケットを除いたM3A1砲塔を載せたもの」という仕様であるらしい。

車体自体は(『週末模型親父』さんのところのBBSで教えて貰ったが)、後端が平板の装甲板の組み合わせか(M3)、丸めた装甲板か(M3A1)の違いがあり、また、M3A1ではスポンソンの機銃が略されている。

レンドリースのソ連軍マーキングのデカールも付属していて、「どうしちゃったの? タミヤ、『レンドリースの呪い』か何かにかかってるの?」という気がしないでもないが、とはいえ私自身レンドリース車輌は好物なのでまったく異存はない。

そのうち部品差し替えで八角砲塔の「ハニー」とかも出るかしらん?

ヴェスペは従来品の一部パーツ替えで、車輌自体に関しては履帯がインジェクションに変更。起動輪も新しいパーツが付属していて、歯数が違っていたのも修正されているらしい。まあ、こっちは個人的にあまり用事がないなあ……。

●もっと驚いたのは、IBGからTKSの発売が予告されたこと。

FTFはIBGの別ブランドだと聞いた気がするので、既発売のFTFの72のTKSを箱替えで出すのか?……なんて思ったら、35だった。すでにSCALEMATEには、20mm砲搭載型の箱絵が出ている。

さらに、めがーぬさんが見つけてきた、IBGのテストショットを組んだ見本と思われるもの。こちらはオチキス機銃型。

TK系列のインジェクションキットは、TOM Modellbauから発売されたものが最初で(TomからはTKS 20mm、TK-3の2種が発売されただけだったが、後にRPMでシリーズ展開)、その後Mirage hobbyから別設計の新キットが出た。それぞれ、「意欲は買うけれどちょっとなあ……」という出来だったので、第三の選択肢が登場するのは素直に嬉しい。

とりあえず、IBGの見本と思われる写真を見る限りでは、

・ハッチ、貼視口は開閉選択式で、車内再現されているらしい。ただし(なにしろ相手が小さすぎるので仕方ないのだが)ハッチ類は実車に比べ厚め。

・見本は上記のように機銃型。箱絵で予告が出ている20mm砲搭載型とは戦闘室上面レイアウトに若干の違いがあるが、キットでそれがちゃんとフォローされているかどうかは現時点では未知数。

・武装マウント部分のバルジは、Tomのキットでは上面の絞り込みが足りないのが弱点だったが、このキットでは割といい感じに見える(Mirageもここの形状はまずまず)。

・機銃マウント部はやや表現がのっぺり?(もっとも先行キットよりはずっとよい)。

・戦闘室背面の冷却気排出口のメッシュは、見本を観る限りではエッチングパーツのようだ。

・戦闘室側面下部装甲板後端の縦列のリベットは、見本では3本。walkaroundでよく写真を見かける、ワルシャワのMuzeum Wojska Polskiego(ポーランド軍事博物館)所蔵の現存車輌では4本となっているので、ケアレスミスによるキットの間違いかと思ったのだが、改めて当時の写真を見てみたら、キットの3本のほうが正しかった。MWP所蔵車輌はレストア時に間違えたのではないかと思う(ただし、後期のTKSでは側面装甲が増厚されているそうなので、実は4本リベット仕様もあった、なんてドンデン返しもあるかも)。

・ちなみに上でうっかり「リベット」と書いたが、装甲板の接合は基本、尖頭2辺ボルトが使われている。キットは、見本写真だと普通の丸頭(あるいはもしかしたら平頭?)に見える。もっともこの大きさのキットだと、ぱっと見、肉眼ではよく判らないレベルかもしれない。なお、尖頭2辺ボルトは、MasterClubで「Bullet-proof bolt "Polish" cone-head」として製品化されているので、ディテールアップ時に使える。

・見本写真にある誘導輪のスポークは明らかに厚すぎ。履帯はパターンの表現が若干大味? ガイドホーンは樹脂ショートを起こしている場所がちらほらあるが、製品版では大丈夫だろうか?

(2/5追記。Armoramaにも発売予告が出ていた。テストショットによるものという作例は上と同じものだが写真は別。)

●とにかく1月末はむちゃくちゃに寒かった(今もまだかなり寒い)。

24日水曜日は寒かったうえに強風。大崎公園から見下ろした鎌倉の海(左)、逗子の海(右)は、波立っているというよりも泡立っているかのようだった。

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22日に(天気予報通りに)かなりの雪。さらに2月1日~2日にかけても雪。

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