ルノーR35

蓼食う虫も

●世の中はいつまた緊急事態宣言が発令されても不思議ではない状況だが(感染拡大のレベルは十分緊急事態だが、経済活動的にもう出せない、と踏みとどまっている感じ)、霞が関の某官庁に資料の閲覧/コピーに行ったついでに、大回りして久しぶりに秋葉原に寄り道。イエローサブマリンのパーツばら売りコーナーで、こんなものを見つけて買ってきた。

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ホビーボスのルノーR35、長砲身型(キット名称はR39)に付属の尾橇パーツ。

長辺で15cmに満たない小さめの枝で1200円という値付けには「くっ……足元見やがって!」と思わなくもないが(他キットの、車体パーツ入りの大きな枝でも500円とかだったりするので)、それでも3Dプリントやレジンのアフターパーツを買うよりは安いし、スチロール樹脂の扱いやすさもメリットではあるので、結局購入。

国産品のようにパーツ請求のシステムがあるもの以外は、おそらく枝ごとの値付けは店員さんの見積り次第なのではないかと思うが、まあ、過去このコーナーで「うわ。これはお買い得だ」と思ったパーツもないわけではないので、プラスマイナスという感じ。

実際に組んでみたのが以下。

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実際に組んでみるまでは、「尾橇関連のパーツが他枝にもいくつか分散していて、部分的に自作の必要性も出てくるかも」とも思っていたが、入手した枝(Hパーツ)だけで間に合った。他、長砲身SA38の砲尾、同軸機銃の機関部などのパーツがいくつか入っていて余る。

ルノーR35の場合、後面両側にエンジンアクセスハッチがあるため、似たようなオチキスに比べると尾橇形状がやや複雑になっている。そのため組立てもちょっと面倒で、特に水平のY字の部材はなかなか角度が決めづらい(パーツに位置決めのダボなどが足りないのも一因)。また、形状のためかランナーゲートが多く、細かくパーティングライン、押し出しピンに由来する小さなバリなどあるのも面倒さの増加要因。

ただし、ホビーボスとタミヤの間で(砲塔の大きさは顕著に違うものの)車体の大きさとレイアウトは大差ないようで、大きな変更はなくタミヤの車体に取り付けられそう。

尾橇側のエンジン始動用クランクハンドル支持用のパイプと、タミヤの後面パネルのハンドル差込口とはほんのわずかに位置のずれがあるようだが、パッと見て明らかに違うというほどでもないので放置の予定。なお、組立時に(この角度では見づらいが)クランクハンドル支持用のパイプに穴開けし、尾橇プレートの後上端のエッジが立っていたのをヤスって丸めた。また、後ろ側に付く始動用クランクハンドルの支持リングと、チェーン掛け用の突起パーツは、破損を防ぐために現時点ではまだ取り付けていない。

●ルノーR35はそれほど仕様の差が激しい戦車ではないが、それでも細かく見るとあれこれ選択肢がある。

▼生産時期による仕様差。

・初期生産型:車体前部上面に増加装甲。誘導輪は基本穴開き。

・中期生産型:車体前部の増加装甲は無くなる。誘導輪の穴はパッチでふさがれる。タミヤのキットの仕様。

・後期生産型:操縦席左右スリットの上がヒサシ状に出っ張る。エンジンデッキ上のグリル周囲に跳弾リブ追加。

・R40:足回りが新型になる。車体は当然ながら後期生産型の仕様。長砲身。

me20さんが増加装甲付き・誘導輪穴開きの初期型を作っている。me20さんらしい丁寧な工作が見もの。ほぼほぼ工作完了時点の姿がこちら

▼このほかに、厳密に生産時期とはリンクしていない(ある程度はリンクしている)以下のような部分的な仕様差がある。

・砲塔視察装置が双眼鏡型(シュレティアン式)かスリット型か。双眼鏡型が当初の仕様だが、初期生産型でも交換されたものがある。

・搭載砲が37mm短砲身SA-18か、長砲身SA-38か。生産末期にはSA-38が最初から付けられていたものもあるようだが、既生産車でも交換されたものがあるようだ。オチキスほど長砲身型は多くない印象。

・右フェンダー上の工具箱が高いか低いか。初期生産型はだいたい低いようで、その後ぼちぼち高いものが混じるようになる、という感じだったかな?(←うろ覚え)

・尾橇付きか無しか。R40はすべて尾橇付きなので、後期は最初から尾橇付きで生産されたものがあったらしい。が、既生産車でも追加装備されたものが結構ありそう。

タミヤは順に、「スリット型/工具箱高/尾橇無し」仕様。

▼特別仕様車。

・フェンダー前方左右に、超壕用の粗朶(そだ)束搭載レールを装着したもの。一応、現地改造とかではなくある程度の数が用意されたらしく、写真も複数確認できる。

・無線搭載車。砲塔右後部のアンテナ穴は通常はパッチでふさがれているが、この部分にアンテナが立てられている。ある程度の部隊単位で一輌、隊長車用に配備された――というようなものかと思っていたが、一部隊丸ごとアンテナ付きという例もあるようで、使われ方は謎。

私はどうせ作るなら、ちょっと変わった粗朶束レール付きか、アンテナ付きを作ろうなどとボンヤリ思っていたのだが、特にアンテナ付きのほうは塗装ヤマーキングなどがしっかり分かる車輛が尾橇付きだったのでちょっと悩んでいたところ。このパーツが運良く手に入ったので、アンテナ付きを作ろうかな……。

●逗子市立図書館で借りて読んでいた「アゲハチョウの世界:その進化と多様性」(吉川寛/海野和男、平凡社)を読み終わったので、返却して今度はこんな本を借りてきた。

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似たような本ではあるけれど、片や現実には存在しない、人の空想した変な生き物図鑑。もう片方は現実の変な生き物図鑑。まだ全く読んでいないので、イマジネーションの限りなさを感じることになるか、「事実は小説より奇なり」と思うことになるかは、これからのお楽しみ。

なお、別にニイガタハシリマイマイやイリオモテウラオモテガエルの設定を深化させる目的で借りてきたわけではない。単純にこういうのが好きなのだ。

●読み終わった「アゲハチョウの世界」は、単純に、チョウの中でもおそらく一番人気で、地元逗子でも結構たくさんの種類に会えるアゲハチョウ科についてもうちょっと親しもうか、くらいの感じで借りてきたもの。大判でそれほど分厚くなく、写真も綺麗だったので。

が、読み進めてみるとはるかに期待以上の(そして結構マニアックな)内容で、アゲハチョウ科のなかでの進化(枝分かれ)の様子、食草(食樹)選択のメカニズムやその変化の仕組み、ジャコウアゲハ系その他の毒蝶への擬態の広がりなど、非常に読みごたえがあった。

ウマノスズクサというと、「あ、ジャコウアゲハの食草ね」というイメージだったのだが、実際にはアゲハチョウ科の祖先のもともとの食草がこの科だったと考えられるらしい。そこからクスノキ等を食すアオスジアゲハの仲間や、柑橘類を食すナミアゲハや黒いアゲハの一群が分岐、さらにはナミアゲハなど「黄色いアゲハ」系からセリ科を食すキアゲハ系が分岐したらしい。身近なアゲハから、つい「ミカン食うのがアゲハチョウ科の主流」みたいに考えていたが、どうやらそうではなかったようだ。

なお、狭義のアゲハチョウ(ナミアゲハ)とキアゲハの関係で言うと、ナミアゲハのほうが身近なせいでそちらの方が普通種と思ってしまうのだが(実際に日本ではそちらが普通種だろうが)、世界的にはキアゲハ系の方がずっと分布域が広いのだそうだ。ほほー。

そんな具合で、いい意味で予想を裏切った本だったのだが、問題はどうにも「編集(チェック)が行き届いてないなあ」感があること。

本はおおまかに、前半の(文章主体の)解説パート、後半の「美しい世界のアゲハチョウ写真集」パートに分かれているのだが、冒頭に出てくる世界のアゲハチョウの属一覧表の順番と、後半の写真集(こちらも属ごとにまとめて掲載)の順番が違っていて対照しづらい。しかも、そもそも表にない属が出てきて戸惑う(表には別名で出ているのだろうか?)。

また文章は複数の人が書いているのだが、そのため、同一種について場所によって「メスグロキアゲハ」だったり「クロキアゲハ」だったりする(しかも文章の最後になってようやく「クロキアゲハ(メスグロキアゲハ)」と書かれている。初出のとこに書いといてよ!)。また、前半の解説ページにもそれなりに写真は多いが、どうも「綺麗な写真を掲載する」ほうに重きを置いていて、本文としっかりリンクできていないように思う箇所もいくつか。また、p60本文中に「(図14、15)」とありながら、図15はどこにも見当たらない。……などなど。

20200711_175923 ちなみに逗子では、

  • アゲハチョウ(ナミアゲハ)
  • キアゲハ
  • ジャコウアゲハ
  • クロアゲハ
  • モンキアゲハ
  • ナガサキアゲハ
  • カラスアゲハ
  • アオスジアゲハ

に、割と普通に遭うことができる(さすがにカラスアゲハやナガサキアゲハはそう頻繁ではないが)。右は今日撮ったばかり、名越切通のぬかるみで吸水していたモンキアゲハ。もともと南方系のチョウだが、近年の逗子では一番頻繁にみるアゲハチョウ科かも。

●最も興味深かったのは、食草(食樹)選択のメカニズムと、進化との関わり。

そもそも、なぜ多くの昆虫が狭食性(ごく限られた種類の食物(多くは植物)しか食べない)のかというのは、以前から非常に気になっていたこと。生きていく上では、例えば単一の科の植物しか食べられないよりも、さまざまな種類の葉っぱを食べる広食性であったほうが有利な気がする(実際に、広食性を獲得しているマイマイガは、大発生すると山を丸裸にしてしまうほどの猛威を振るう)。

これについてのドンピシャの解説には今のところお目にかかったことがないが、比較的判りやすかったのは、北大農学部のとある講義のページにある解説。

植物は分類群ごとに様々な二次的代謝産物を有していますが、これは植食者に対する忌避・有毒物質として進化したという説があります。植食性の昆虫は、それぞれある種の物質に対してそれを克服する適応をしてきましたが、多くの種類の物質には対応していないために利用できる植物種が限られてしまいます。しかしその植物を利用できる植食者も少ないために、競争が緩和される利点もあって狭食性が維持されています。

これに私の生半可な知識を足して考えると、おおよそ、次のような感じであるらしい。

▼植物の生成する化合物には、直接に生存に関係する一次的代謝産物と、例えば自身の捕食者からの防衛や、逆に自分にとって有益な昆虫の誘引などに使われる二次的代謝産物とがある。人が薬効成分として利用するものも多くは二次的代謝産物である。二次的代謝産物は、植物ごとにその内容が異なる。

▼自らを食する昆虫に対する防衛として分泌する(昆虫に対して毒となる)二次的代謝産物だが、特定の昆虫は、進化の過程でその毒を克服する機能(酵素など)を獲得。さらには、逆にその二次的代謝産物を、「自分が(というか幼虫が)食べてもいい植物」を識別する目印として利用する。アゲハチョウ科の場合、メスの前脚の先端に、それら二次的代謝産物を「味見」して植樹を見分けるための器官が備わっている。ちなみに造花のプラスティックの葉っぱに柑橘系の二次的代謝物質を塗ると、ナミアゲハはせっせと産卵するそうだ。

▼特に昆虫の場合は体も小さく、多種多様な植物の二次代謝産物(毒物)にすべて対応するような機能を持つことは効率的でも現実的でもない。逆に特定の種に特化することにより、「他の虫が食べないものを自分だけは食べられる」状態を保つことができる。現実的には同じ科の植物を複数の種が奪い合うことは珍しくないが、それでも競争率がむやみに上がることはあまりない(外来種の問題などは除く)。

▼実際には、ある種の食草(食樹)が分泌する二次代謝産物は何種類もあり、昆虫もそれらの複数をキーとして利用している。進化の過程では、それらキーとなる代謝産物(あるいはそれに対応する酵素)などがある程度重複する別の植物種に「乗り換える」形で、いわば生き残るための「新天地」を獲得。これが別種の昆虫が枝分かれしていく一因になっているらしい。

▼体の大きい脊椎動物などでは、複数の耐性を獲得することもそれほど難しくないためか、あるいはそれぞれの植物が持つ二次代謝産物の毒性が体に与える影響も相対的に少ないこともあってか、昆虫と違って無理なく広食性を得ることができる。もちろん、ごく少量でも人間一人くらいコロリと倒してしまう猛毒を持つ植物も少なくないが。一方で、猛毒のトリカブトを平気でもしゃもしゃ食べるイモムシも、実際に見たことがある。逆に、ササしか食わないパンダとかユーカリしか食わないコアラみたいなヤツもいるわけで……。何なのかねアレは。

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APX R 砲塔

●先日ホルヒを完成させたme20さんが、今度は(なぜか)ピットロード/トランぺッターのオチキスをいじり始めているのだが、同キットの出来に関してだいぶゲッソリされている様子。記事はこちら

それに関して、実はタミヤのルノーR35を(発売後さほど経たずに)購入した後、facebookのAFV模型のグループに、各社のAPX R砲塔の比較を載せたのを思い出した。

いずれタミヤのルノーR35の簡単なレビューを書こう……と思って結局そのまま放置してバレンタインなんぞいじっているわけだが、せっかくなので砲塔比較のみUPしておこうと思う。

●念のための基礎知識。

APX R砲塔は、1930年代、フランスの軽戦車の標準型砲塔として開発されたもので、ルノーR35、オチキスH35のライバル2車種に共通して搭載された。

開発はこれら軽戦車の主砲にもなっているピュトー37mmと同じ、国営ピュトー工廠(Atelier de Construction de Puteaux)。ここはフランス戦車の砲塔の標準化を一手に担っていたらしく、他にもD2やB1に搭載されたAPX-1、B1bisのAPX-4、ソミュアS35のAPX-1CEなどの各種砲塔がある。パナール178、ルノーACG-1の砲塔もAPXだったはず。ちなみに似たような名前のAMXは国営イシ・レ・ムリノー工廠(Ateliers de construction d'Issy-les-Moulineaux)で、後にAPXはAMXに吸収合併されているらしい。

APX Rの「R」は、「もしかして“ルノー用”ってこと?」と思ったのだが、TRACKSTORYの「ルノーR35/R40」の巻の開発経緯の章に、「1934年4月18日、新たなAPX R砲塔が『atelier de Rueil』(リュエイ工場?)から届いた」とあるので、この「Rueil」の頭文字なのかもしれない。

(5月21日追記。ザロガ先生の「D-Day Fortifications in Normandy」という本に(トーチカに使われた)APX R砲塔についての記述があり、それによれば「APX R砲塔は1935年にピュトー工廠によってルノー向けに開発され、そのためAPX Rと名付けられた」そうだ。素直にルノーでよかったのか……)

APX R砲塔は同じく軽戦車のFCM 36にも試験的に搭載されたことがあるが採用されず、反対にルノーR35にFCM 36の砲塔を載せて試験されているが(より新型のFCMの砲塔を標準砲塔として代替させる計画があった)こちらも採用されていない。ちなみに溶接車体のカクカクしたFCM 36に"ぬるん"としたAPX R砲塔を載せたもの、反対に車体上部が鋳造のルノーR35にビシッとしたFCMの溶接砲塔を載せたもの、どちらも写真が残っているが、似合わなさ過ぎてキモチワルイ。

●なにしろ2車種にまたがって搭載されていることもあって、改めてみてみると、1:35のインジェクションのみですでに5種類ものAPX R砲塔が存在している。その他に、私が知る限りでは、ブラチ(BRACH MODEL)からレジンで、ETS35から3Dプリントによる製品が出ている。他にもあるかも。

とりあえず、1:35のインジェクションで出ているAPX R砲塔を並べてみた。

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左から、

  • HOBBY BOSS:ルノーR35
  • BRONCO:オチキスH38/39
  • ピットロード/トランぺッター:オチキスH38/39
  • エレール:ルノーR35/オチキスH35/38/39
  • タミヤ:ルノーR35

こうして全部並べてみると、まず目につくのは「小さいグループ」と「大きいグループ」の2群にほぼ明確に分かれること。大きさは縦横でそれぞれ2mm内外違う。1人用の小さな砲塔でもあり、かなり大きな差と言ってよい。

「大きいグループ」はトラペ、エレール、タミヤ。最新のタミヤと最古のエレールがほぼぴったり同寸なのがちょっと意外。おそらく設計的に大いにエレールを参考にしている気配があるトラペもこちらの群で、トラペとエレールは互いの砲塔本体パーツと砲塔下面パーツを入れ替えても、若干の調整で使えてしまいそう。

「小さいグループ」はホビーボス、ブロンコ。もともと同系の企業だったように思うトラペとホビーボスでまったく異なっているのがちょっと面白い。まあ、ドラゴンのI号戦車A型とB型のように、同じメーカーなのに砲塔の大きさが全然違う例もあるけれど。hn-nhさんからの情報、およびETS35のサイトの製品写真によれば、ブラチおよびETS35の砲塔も、ともに「小さいグループ」側に属しているようだ。

(5月16日追記。セータ☆さんがETS35のAPX R砲塔を持っていると聞いて採寸をお願いしたところ、了承して頂けた。セータ☆さんどうもありがとうございます。

が、しばらくして、セータ☆さんから衝撃の事実が。なんとETS35は、既存キットに合わせて「小さいグループ」と「大きいグループ」の両方向けに、2サイズで砲塔を販売しているとのこと。

な、なんですとーーー!?

確かに「プリント」であれば、出力の際にちょちょいと倍率指定すれば済むのかもしれない(3Dプリントの仕組みをよく知らないけれども)が、それにしたってなあ……。ETS35の製品リストのページで砲塔のセットが複数あるのは見ていたが、武装とか、何か細部の仕様が違うのだと思い込んでいた。「**向け」としっかり書かれているのを見落としていたわけだが、既存キットの砲塔との比較写真が、「小さいグループ」向けの製品ページにしか出ていなかったのも、気が付かなかった一因。ちなみに同社のコンプリートキットの砲塔はどちらのサイズなのか不明。

とりあえず、セータ☆さんが持っているのは「小さいグループ」向けだそうで、その詳しい紹介はセータ☆さんのページで。)

手元に正確なAPX R砲塔の寸法がないが、流石のタミヤでも、今になって2mmものディフォルメをするとは考え難いので(根拠のない信頼)、「大きいグループ」のほうがより正確なのではと思いたい(願望?)。

●一方で、ディテールの特徴からは、別の分け方もできる。

まずは砲塔側面に、砲耳の軸部の表現のあるグループ。左からホビーボス、ブロンコ、タミヤ。3社とも左側面も軸穴が表現されているが、タミヤはこのためにバルジ部の左側面を別パーツとしている。また、こうして並べるとブロンコの砲塔のエッジの尖った"ギスギス"感が目立つ。一方でホビーボスの砲塔は5社の中でもっとも丸っこく、"ぬるん"とした印象。

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下は砲耳軸部の表現がない2社。左からトラペ、エレール。こうしてみると、面の凹凸具合も非常によく似ていて、「トランぺッターがブロンコのオチキス発売にぶつけるために、エレールを参考にあわててキット化した」という説にもなんとなく信憑性が出てくる。トラペの砲塔は、側面前上端にちょっとヒケが出ている。

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●ハッチ両側の面は、単純な平面ではなく、実際には微妙に「ヒネリ」がかかっている。特に右側の面でヒネリが強い。これが再現されているのは、より新しい2社のキットだけ。下写真は左がホビーボス、右がタミヤ。

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一方で、より古い3社の砲塔はヒネリなしの単純な平面になってしまっている。左からブロンコ、トラペ、エレール。特にブロンコの砲塔はこの面の頂部が狭く尖り過ぎなのも減点ポイント。もっとも、ヒネリのせいで真横からだと尖って見えるのも確か。

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●最古のエレールを除く4社の砲塔には、上面右側に信号旗用の小ハッチのモールドがあるが、位置や形状など、だいぶまちまち。左からホビーボス、ブロンコ、トラペ、タミヤ。実車写真と見比べると、タミヤのものが最も形状的に正しそう。トラペのものは形状も適当なうえに小さ過ぎ。ブロンコのものは前方後円墳、じゃなくて前円後方墳型に薄く凸モールドがあるだけで、こちらも適当。

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ちなみに一体モールドか別部品かの違いはあるが、5社ともハッチ直上の対空機銃架取付架が表現されている。5社とも基本、ほぼ真ん中にあるが(タミヤとホビーボスはやや左寄り)、これはおそらく後付けで改修キットが配られたもので、実車では取付位置にだいぶバラ付きがある。エレールのものは取付穴も何もないが、ちゃんと取付架のパーツは入っている。「位置がまちまち」「付いていないものもある」ということでいうと、エレールの処理が一番有り難い気もするけれど。

なお、砲塔上面右隅のアンテナ用の孔を塞ぐパッチが、ホビーボスの砲塔にのみ見られないが、これは同社のキットではエッチングで別部品化されているため。実はつい最近気が付いたのだが、実車でここの孔(当然ながらパッチも)がない仕様も存在するようだ。

●砲塔に3カ所付く吊り下げフック基部の盛り上がり、特に前方一か所の基部に大きく傾きが付けられているのをきちんと表現しているのは、より新しい2社のホビーボス(左)、タミヤ(右)のみ。

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●改めて、各社ごとの特徴の整理。添付した寸法はノギスとかではなく、凹凸のあるところに定規を当てて測ったので割と適当。

▼タミヤ(ルノーR35用)

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縦:38mm、横:37mm

APX R砲塔の1:35インジェクションキットとしては最新。砲塔右側面前方のゆるやかな面の変化もよりよく再現されている。エッジ部分の丸みの具合も、各社並べてみた中では最も適正な感じ。先行のソミュアの砲塔は「右前がちょっと出っ張り過ぎなんじゃない?」などと思ったが、このAPX R砲塔はよく出来ていると思う。後部ハッチ両側の面のヒネリもきちんと表現されているが、右後ろ頂部は少し尖り過ぎのようで、左写真のように左上前方から見ると、右後ろ隅がほとんど「角ひとつ」状態に見えてしまう。もっとも、APX R砲塔は数社で並行生産されているので、若干の形状差もあったかも。

ここには写っていないが、3面の視察装置は(とりあえず現時点では)スリット式のものしか用意されていない。

▼エレール(ルノーR35、オチキスH35/38/39用)

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縦:39mm、横:37mm

APX R砲塔の1:35インジェクションキットとしては最古。寸法的には最新のタミヤとほぼ同じなのは流石だが、側面の微妙な角度変化などはうまく捉えきれていない感じ。砲塔上面の信号旗用小ハッチも再現されていない。主砲バルジ上面の3つのボルトも位置が前方過ぎる。

視察装置は双眼鏡式(シュレティアン式)とスリット式のコンパチだが、両方とも形状的にはいまひとつ。武装も短砲身・長砲身のコンパチ。

▼ピットロード/トランぺッター(オチキスH38/39用)

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縦:39mm、横:37mm

前述のように、形状的にはエレールのものに非常によく似ている(特に右側面前方の可展面的な窪みかた)。砲塔バルジ上面のボルト列も、エレールほどではないが前寄り。上面の信号旗用小ハッチは明らかに小さすぎる(ヒンジ部も似ていない)。数種のキットが出ていて、視察装置と武装はキットにより異なる。

▼ブロンコ(オチキスH38/39用)

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縦:36.5mm、横:34mm

ブロンコの第一号キットで、現在のやたら細かい同社製キットを基準にするとだいぶ大味。発売時にはエレールの古いキットもこれでようやく引退か、などと思ったが、実際には一長一短? 形状としては、5社のAPX R砲塔のなかで、最もエッジが立ってギスギスした感じ。側面の面の切り替わりも直線的にカクカクしている。これだけを見る分にはそれほど違和感はないかもしれないが、各社比較のうえ、実車写真と見比べると印象の違いが気になる。上面の信号旗用ハッチの表現もおざなり。

武装は、少なくとも後から出た方のキット(35019)では選択式。視察装置はスリット式のみ?

▼ホビーボス(ルノーR35用)

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縦:36.5mm、横34mm

ブロンコとともに「小さいグループ」だが、表現は全く対照的で、5社の砲塔の中では最も丸っこい。砲塔が小さいせいもあって、やや丸め過ぎに感じないこともないが、実物の印象を強調するにはこれくらいでもいいような気もする。ハッチ両隣の面のヒネリも、タミヤ同様に再現されている。信号旗用小ハッチは、後方の「エグレ」を表現しているのはいいが、ヒンジが繋がっていないように見える変な状態。タミヤとは砲塔の部品分割の仕方はちょっと違うが、同様に主砲用の開口部にパーツの分割ができないよう工夫されているのはよい点。

キットは初期型、後期型(キット名称はR39)の2種が出ていて、前者は短砲身で双眼鏡式視察装置、後者は長砲身でスリット式視察装置をセット。

(5月15日小改訂)

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新製品ショック

●数日前から(1月29日~?)ニュルンベルクのトイフェア(Spielwarenmesse Nürnberg)が開かれていることもあって、あれこれ新製品のニュース・ラッシュ。

青天の霹靂だったのは、前記事へのはい人28号さんのコメントにあるように、miniartからT-34-85の1943年型発売が発表されたこと。うがあああああ!

タミヤからは事前に噂が流れていたルノーR35だけでなく、なんとKV-1の完全リニューアル版が登場。

フェア会場での発表に関しては、IPMSドイッチュラントにある程度の写真レポート()とリストがアップされている。

飛行機などでもちょっと気になる製品があったりもするのだが、とりあえず、上記3点について、現時点で分かっていること、気になるポイントなど。

●miniart 1:35「T-34/85 w/D-5T PLANT 112. SPRING 1944」

同社がいずれT-34の戦車型も出してくるであろうことは規定路線と認識していたが、まさかこんな変化球アイテムから出してくるとは思わなかった。大ショック。いや、いいんだ、いいんだ。高田さん渾身の43年型砲塔がminiartに負けるもんかー(←もう何が何だか)。

とりあえず、これも含めたニュルンベルクでの発表アイテムに関するminiartの公式ページ

同社のことなので、今後、かなり細かく生産時期などを刻んで製品展開してくることは間違いないだろうが、とにかく今回発表のものは、砲塔キューポラが後方に移動した、D-5T搭載の1943年型の中では後期に生産されたタイプで、この点では、現在私が製作しているアカデミー/グムカのものとは少し仕様が異なる。それも含めていくつかのポイント。

・miniartのことなので、車体が112工場製の仕様をきちんと再現しているかどうかは、あまり心配しなくてもいいように思う。いや、うん、大丈夫だよね?

・とりあえず今回はエンジンを含めたフル・インテリア再現キット。高そう……。SUの例を考えても、例えば、1943年型の初期型はインテリア再現無しで出してくるといったことも考えられる。

・車体が112かどうかは大丈夫そう、と書いたが、起動輪は箱絵やCGを見る限り、どうやら後期標準のタイプが入っている様子。同工場の-85は少なくとも1943年型くらいまではハブ周囲にボルトがあり、リム部に厚みがあるより初期型の形質のものが使い続けられていたのではないか、というのが現時点での私の考察。

・左側面の筒型燃料タンクは当初は前側だけあるのが普通だが、1943年型でも後期の生産型では後ろ側に移動しているらしく、キットもその仕様。例えば撃破された1943年型後期型(砲塔番号2312)の脇をティーガーが走り抜ける有名な写真(例えばCONCORDの“SOVIET TANKS IN COMBAT 1941-1945”のp56)の車体も、筒形燃料タンクは後ろ側にある。

・筒型燃料タンクの支持架は、箱絵でも取付ベルトの結合部がベルトの途中にあるタイプになっており、支持架自体も112工場仕様になっているのではと思う。

……とりあえず、ものすご~く気になるキットではあるけれども、一生のうちに1943年型を2輌も3輌も作らないだろうし、ものすごく高そうだし、パスかな~。

タミヤ 1:35「KV-1 MODEL 1941 EARLY PRODUCTION(ソビエト重戦車 KV-1 1941年初期生産型)」

後述のルノーR-35は昨年末から噂が流れていたけれど、こちらは「まあ、そのうちあるかもな~」くらいの感じだったので驚き。とりあえず、タミヤの会場発表に関する公式ページはこちら

現時点で、会場発表の見本やパーツから読み取れるポイントは以下のような感じ。

・箱絵もそうだが、仕様に関しては、割と有名な「林の中で待機している第116戦車旅団のKV」に写っている「スターリンのために」と大書された車輛の仕様を、おおよそ忠実にトレースしている(「おおよそ」である点に関しては後述)。

800pxkliment_voroshilov_kv1_model_1 ・形式は主砲がZIS-5に変わった、いわゆる1941年型。この点ではタミヤが一番最初に出した鋳造砲塔のKVと同じ。ただし各部はもっと古い形質で、1941年型としてはかなり初期の仕様となっている。モスクワの中央軍事博物館に野外展示されている車輛(右写真、Alan Wilson from Stilton, Peterborough, Cambs, UK - Kliment Voroshilov KV-1 model 1942 - Central Armed Forces Museum, Moscow, CC 表示-継承 2.0, リンクによる)とも仕様が近く、そちらも参考にしている可能性があるかもしれない。

・関連して。日本語のキット名称が「1941年初期生産型」となっているのはいささか疑問。そもそもZIS-5が搭載され始めたのは1941年秋(10月?)からのことらしい。ZIS-5搭載型を「1941年型」と呼ぶのはある程度コンセンサスがあるところで、その英語名称のように、「1941年型の初期生産型」と呼ぶのはOKだが、「1941年の初めころに作られた」と思わせる名称はどうかと思う。

・車体に関して。エンジンルーム上面のボルトなどが間引きされていない1940年型仕様のまま。操縦手用ハッチも、初期の皿型のものとなっている(キットもそうだが、上記の「第116戦車師団のKV」の写真でもそうなっている)。すでに1940年型の後期からフラットタイプの車体ハッチが導入されているので、(砲塔の仕様とも併せて考えて)キットの仕様の車体は1941年型として新規に生産されたものではなく、古い1940年型を41年型にアップデートした改修車輛である可能性もあるかもしれない。ただし、この時期はちょうど工場の疎開とも合わさって生産体制が混乱していた時期でもあるので、チェリャビンスクにおいて、とりあえずストックにあった旧型部品で生産を開始したものと考えることもできそう。もちろん、モデラーとしてまず気にすべきは「そういう仕様が実在したかどうか」であり、その点はほぼ同一仕様の写真があるので問題ない。

・余談。タミヤの旧シリーズはボルトが間引きされた1941年型でも後半からの仕様で、最初に発売された1941年型(キット名称「KV-1C」)には合うものの、その後発売されたKV-2やKV-1エクラナミ(キット名称「KV-1B」)にはふさわしくなかった。というわけで、新キットをベースに、キット名称KV-1Bの増加装甲付き砲塔・ゴム縁付き上部転輪を持ってくると、より正確な1940年型エクラナミを作ることも可能。また、この仕様で出してきたということは、今後KV-2などへの展開もあり得るかもしれない。

・砲塔に関して。KVの砲塔は似たような形状のものがたくさんあって分かりづらいが、バッスル下の丸部分の前縁にリベットが2つあるので、バッスルが短縮されていない1940年型前半の標準タイプの砲塔であると判断できる。タミヤのツイッターにUPされたこの見本写真でも、後部ペリスコープと砲塔後縁に、ある程度の間隔があることが確認できる(もちろん、見本がきちんとテストショットで組まれているとすれば、だが)。砲塔のタイプに関しては、以前の当かばぶの記事を参照のこと(KV maniacsメモ(砲塔編その1))。同記事内では、この砲塔は「標準型溶接砲塔(タイプ3)」と分類しているものにあたる。ただし、側方ペリスコープ下に跳弾リブが溶接されているなど、1941年型仕様への若干の改修も加えられている。

・履帯は部分連結式のインジェクション・パーツ。ピッチはそれなりに普通に見えるので、起動輪の歯数も直っているだろうと思う。履帯は1941年型の中途から2分割タイプの混ぜ履きが標準だが、キットは(上記実車写真の通り)全部1ピースタイプの初期仕様。各社キットを作るうえでの必要性の高さから言えば2分割タイプ混ぜ履きだったほうがより有り難いが、初期仕様でも十分に有り難い。起動輪の中央皿形カバーはボルト数の多い初期型。

・転輪は緩衝ゴム内蔵型で、その中でも終わりごろに生産されたリム部に小リブのあるタイプ。トライスターの「Russian KV-1's Ekranami」にセットされているものと同一仕様。ただし、実際にはデカールに選ばれている第116戦車旅団?の「スターリンのために」は、少なくとも左側第一転輪には、ちょっと変わったタイプの別バリエーションの転輪を混ぜ履きしている。これについては、セータ☆氏の考証記事「KV-1 ハーフリブ・タイプ転輪」を参照のこと。キットには、さすがに1種類の(標準的な)転輪しか入っていないんじゃないかなあ……。上部転輪は1941年型になって導入された全鋼製のもの。サスペンションアームの軸キャップは6本ボルトタイプか、3本ボルトタイプかは現時点では判別不能。

・その他。実際には、第116戦車旅団?の「スターリンのために」は、車体左フェンダー後部、工具箱の前方マスに筒形燃料タンクを搭載しているが、キットには入っていない模様。

・エッチングパーツはセットされていない模様。ラジエーター上のメッシュグリルは、ごく一部(KV-2の初期型とか)を除いて、最前部が平らになった、単純なくせにエッチングでは厄介(作りにくい)形状なので、これは仕方ないかも。願わくば、タミヤの48キットのような情けない表現にはなっていないように……。ただ、エッチングメッシュが付いていないとなると、後部オーバーハング下も筒抜けになっている可能性大で、やはりどこからか(できれば安くで)この2か所のメッシュパーツが出てほしい。

タミヤ 1:35「FRENCH LIGHT TANK R35(フランス軽戦車 R35)」

ルノーの名前がないのは、商標権がどーしたこーしたなんですかね?(まさか日産に配慮したとか?) とにかく、昨年から噂になっていた(特に私にとっては)待望の新製品。

・形式。1500輌余り生産されたルノーR35には細かいサブタイプの別はないが(足回りが変更された「R40」の制式名称は「Char léger Modèle 1935 R modifié 1939(軽戦車-1935年式-R-1939年改)」なので、これがサブタイプと言えなくはないが)、生産時期によって若干の細部仕様の差がある。キットはおおよそ「中期型」と言える仕様。

・クローズアップ写真がないので断言はできないが、車体は、後期生産型の特徴である操縦席左右のスリット上部のヒサシ状の凸部無し、エンジンデッキのグリル周囲の跳弾リブ無し。一方で、初期の300輌弱のみの特徴である車体前部のアップリケアーマー?もなさそう。

・車体右側の工具箱は若干背の高いタイプ。これについては「生産中盤以降ちらほら見られるような感じ?」というくらいのイメージしかなく、生産時期との具体的な関連性は現時点では不明。

・砲塔前面・左右の視察装置は中期以降の標準であるスリット式のみで、初期標準の双眼鏡式(シュレティアン式)の視察装置は入っていないらしい。仕様としては、初期に生産された(登録番号の若い)車体でもスリット式の場合があるようで、たぶん開戦までに交換された車体が結構あるようだが、塗装の選択肢を広げるという点では双眼鏡式も入っていてほしかったと思う。ちなみに先行のホビーボスのキットは双眼鏡式視察装置だけ(追記。ホビーボスはスリット式視察装置/主砲長砲身の仕様をR39として別に出している)。エレールはコンパチだった。(いや、実は入ってるよ!という場合はゴメンナサイ)

・砲塔天井後端には対空機銃架基部付き。これは付いている車体と付いていない車体あり。時期との関連はあまりよくわからず。実車写真をよく見ると、装着位置が微妙にズレていたりするので、生産後に一部車輛に追加されたものではないかと思う。こういう形状のものについては、ないものを追加するよりあるものを削るほうが楽なので、これは付いているのがより良い、と思う。

・足回りは、履帯に関してはKV同様に部分連結式インジェクション。比較的最近のタミヤ製品に入っていた「接着可能な軟質樹脂履帯」は経年劣化がかなり心配な素材だったこともあり、塗装等の観点でも部分連結式は嬉しい。誘導輪は軽め穴がパッチでふさがれた中期以降の仕様。ホビーボスは穴がふさがれていない初期仕様とコンパチだったので、ちょっと寂しいかも。リム部両側を別部品にして窪みを表現するのは先行のホビーボスのキットと同様。

・エッチングパーツは含まれていない模様。排気管カバーや、車体前端のルノーのエンブレムがどれだけシャープに再現されているかはちょっと気になるところ。また、車体前端はホビーボスと同じ処理で、本来一体である鋳造のノーズ部品の真ん中に、横一直線でパーツの継ぎ目が来るのは「う~ん」という感じ。もっともタミヤのことなので隙間なくピッタリくっついて、あとからナイフでさっと一撫で、で済んでしまうのだろうけれど。

・その他あれこれ。基本、主砲パーツはSA18のみの模様。一部車輛の装備ではあるが尾橇なども入っておらず(そもそもこの辺は主に後期生産車中心なので仕様との整合性もあるが)、内容としては選択肢が狭めでシンプル。また、ホビーボスはインテリア付きで各ハッチがすべて別部品だったのに比べ、タミヤは内部無し、ハッチは乗降用を除いて一体化されて組み易さ優先。私はそもそもインテリアを作る趣味はあまりなくて、その分安くしてほしい派なので、これは歓迎(インテリアはアフターパーツで出てくれればいいと思う)。ただし、操縦手用乗降ハッチの下側まで一体化しているのは(私はどうせ閉めてしまうので構わないが)ジオラマ派の一部の人からは不満が出るかもしれない。

2/1追記。すでに一部にテストショットが出回っているらしく、youtube上に、早組みレビュー動画が上がっていた。フェア会場での写真ではわかりにくかったところもある程度チェックできてよい。

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春来たるらし

●ちょっと散歩に出たらもうぽつぽつとフキノトウが出ているのを見つけ、今年の初収穫。ちなみに当ブログを遡ってみると、昨年は2月の後半に初収穫しているらしい。

まだだいぶ小さく、しかも寒さに当てられてなのか、少々傷んでいる感じもしたので、天ぷらでなくフキ味噌にした。天ぷらだと一度でなくなってしまうが、フキ味噌なら何日か続けて楽しめるから、というのもある。左写真はピンボケ失礼。

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一方、私の山野草食の原点的位置づけで、毎年楽しみにしているノビルは、今年はほとんど育っておらずがっかり。土壌の栄養が変わってしまった、とかあるのかなあ。

●そのほか、少々春っぽいもの。

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・1枚目:鎌倉大町、名越坂踏切脇児童公園の河津桜。FBの逗子のニュースグループで、「もう**では咲いてるよ」などという書き込みも目にしているが、ここはようやくつぼみがほころび始めたところ。1月21日。

・2枚目:鎌倉、本覚寺の紅梅。1月21日。

・3枚目:町内のとあるお宅の梅の木に来ていたメジロ(画面中央)。1月26日。

●じわじわとポケモン収集中。ポケストップが近所にそれほど多くないので、しばしばポケモンボール不足に陥る。

やたらにイーブイばかり出てくるが(せっかく捕まえてもボールから脱出する率が高いようで、ちょっと苦手)、これは地域的な偏りもあるのだろうか。

それはそれとして……イーブイってでんきタイプじゃなかったんだなあ、などとダジャレ系の感想をボンヤリ思ったりする。

20170125_182116 ●Vanatorul de care R-35の防盾に手を入れる。

「どこかのメーカーから新設計のキットが出る前に、エレールのルノーR35を成仏させてやろう」

という意図で作り始めたにもかかわらず10年越しの製作になってしまい(それだけ長時間かけて作っているわけではなく、単に中断期間が長いだけだが)、ホビーボスから新製品が出てもまだ出来ていないお粗末さ。

ちなみに前回製作記事は2010年5月4日だった。その後(比較的最近になって)全体のベース塗装は済ませてある。今年こそ何とかしたいものじゃのう(と、他人事のように)。

ちなみに防盾の改修は、防盾側部の形状修正。左右とも後縁を真っ直ぐ断ち切ったような形に作っていたのだが、その後鮮明な写真が出てきて、軸部をカバーするよう三角に出っ張っているのが判明したため、0.5mmプラバンを貼り増して削った。

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Spanish Panzer I (15)

SUMICON2015、本日締切。

案の定というか何というか、数度の中断の遅れは取り戻せず、未完成で終了。とりあえず塗装前の工作のみ完了、ということに。

●前回からの続きの細部工作最終局面について書くと、車体前面がホーン周りの工作、前面フックへの外れ止めの片蝶ネジの追加、および前部マッドフラップの取付架の工作の3点。

F1011284 F1011283 F1011278 F1011263

ホーンは基本、キットのパーツ(本体+らっぱ部分)で、取付架部分を削ってプラバンで新造。コードを追加した。コードの取り回しは割といい加減。

前面フックの外れ止めはモデルカステンのインジェクションパーツだが、ただでさえ部品が小さいのに取付箇所が面倒でちょっとてこずった。ちなみにこの外れ止めは、戦時中の実車写真を見ると、紛失してしまっている例もそこそこあるようだ。

マッドフラップ取付架は、たぶんアベールあたりは割とまともなパーツが用意されているのではないかと思うが、例によってプラバンで工作。0.3mm板でベースを作り、前面に伸ばしランナーで突起(1枚目が製作途中写真)。上側にプラ材を削ったヒンジ(に見立てた単なる突起)。

Pz101実物を図解すると、右のようになる(各部バランスは適当)。

黄緑:取付架ベース
青:固定用小ボルト(3箇所)
紫:マッドフラップ位置決め突起
緑:レバーヒンジ
黄色:マッドフラップ固定用レバー(可動)
オレンジ:マッドフラップのツノに掛ける輪(可動)

一応実物の仕組みを説明すると、マッドフラップ側の受け金具を先端の突起(紫)にはめ込み、かつ、車体前端ギアバルジにあるボルト頭に金具を止めて位置固定。さらに、黄色のレバーを起こし、オレンジの輪をマッドフラップ側のツノに引っ掛けて、再度レバーを倒せばパチンと固定される(はず)。

作例では、(実車でもここが取れてしまっている例がままあるようなので)レバー周りは潔く省略した(自作でこれを作るのはかなり面倒なので)。ボルトも小さすぎるので付けていない。結局、きっちり取付架のディテールを再現することはできず、全体として「なんとなくそれらしいものがある」程度の表現になってしまった。

●砲塔前面の追加工作は、ハッチダンパーと砲基部の若干のディテール追加。

ダンパーはコントレールのプラ棒とプラパイプ。砲基部は、もともと鮮明な写真がなくほとんど妄想の産物なのだが、なんとなくそれらしく工作。照準口がどこかにないとおかしいので、砲の直上に穴を開けた。

F1011285 F1011286

ここに照準口があるように見えなくもない写真がある、程度の根拠であって、実際のところは、もっと鮮明な写真が発見されない限り判らない。なお、この場所に照準口があった場合、直前の箱に視野を遮られてしまいそうだが、これは、何らかの照準用器具にカバーが掛かっている状態なのではないかと考えることにした。

「ことにした」、というのがなんとも加減。そもそもここに何か付いているのはブレダ20mmM35の特徴なので、よく調べれば用途は判明しそう。

●そんなこんなで、工作完了写真を以下に。最後の数枚は、ここ何年か、塗装前段階で放置してあるルーマニアのR-35駆逐戦車(Vanatorul de Care R-35)で、魔改造軽戦車の揃い踏み。

F1011280 F1011279 F1011277 F1011275 F1011273 F1011270 F1011272 F1011260 F1011259 F1011269 F1011268 F1011266

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ルノーR35考証メモ(2)

●実を言えばまだ全然まとめきれていないのだが、あまり間が空くのも何なので、個別にでも、ある程度目処が立った時点で調査結果をUPしていこうと思う。

対象のルノーR35は、第2次大戦フランス軍(1940年戦役時)の事実上の主力戦車である(これ以上の概略についてはwikipediaを参照のこと)。その主な外形的バリエーションは前回羅列した通り。

R35 これについてどのような調査をしているかというと、実際の表でなく切り出した画像だが(表全体はデカ過ぎて、貼り込むようなものではない)、右のような感じ。

幸い、フランス戦車の場合は登録番号を車体前後に比較的よく目立つように書いてある。番号が判るものにつき、写真に写り込んでいる特徴だけを拾っていっても、ある程度傾向は読めるのではないか、というのが出発点。

……とは言っても、我ながら思うに地味な作業である。やれやれ。

●というわけで、今回は車体前部の「増加装甲」について取り上げることにする。本来は増加装甲付きと増加装甲無しの車体前部のイラストでも載せるべきだが、スキャナーもないし、直接描こうにもその手のソフトがwindowsのペイントくらいしかないので、宿題ということで。

まず増加装甲を取り上げる理由は、何のこたぁない、一番最初に、かなり明確に登録番号との関連性が見えたからで、反面、他の要素はどうもそう一筋縄では行かないようだ、というのも現時点で種明かししておこうと思う。

この増加装甲は一部車輌にのみ付いているものだが、表にしてみて、明確に「登録番号が若いものには標準的に付いていて、後のものにはない」ということが判った。ほぼはっきり番号と連動している以上、この増加装甲板は後付けのものではなく、生産時点での標準仕様だったと考えてよさそう。

もっと具体的に言うと、1500輌余り生産されたR35のうち、50296号車(296輌目)には付いているのがはっきり確認でき、50298号車(298輌目)以降では確認できない。つまり、この増加装甲は生産開始より296~297輌目まで装着されていたものだと推察することができる。

実際には、「シャール・フランセ・ネット(chars-francais.net)」に出ている写真のなかで、51160号車とされているものにははっきり増加装甲が確認できるという例外がある。ただし、写真自体は非常にクリアなのだが、登録番号はだいぶかすれて読みづらく、本当は50160号車か、とにかく別の番号である可能性は高い。

●1937年に行われたとされる耐弾試験で、より装甲を強化する必要性が指摘されたが、すでに生産は進んでおり、より多くの戦車が必要とされている状況下で、装甲強化は見送られたというような記述が、TRACKSTORYにでている。

おそらくこの試験に供されたものと思われる、穴だらけになった50004号車の写真が掲載されているが(TRACKSTORY、p.8)、この時点ですでに増加装甲は装着されている(車輌手前に、増加装甲付きのデフカバー……なのかブレーキ点検ハッチなのか、とにかくその手のハッチカバーと、被弾の衝撃で外れてしまった車体右側の増加装甲が立てかけてある)ので、テストの結果を反映して付けたものではないらしい。しかも1937年となると生産が始まってからだいぶ経っているし、おそらくすでに増加装甲無しのものが生産されている時分だ。

あるいは、初期の鋳造部品はスが入ったりして、圧延鋼板に対しかなり耐弾性に不安があったとのことなので、初期不良が収まるまでの間、貼られていたものという可能性もある(もっともその場合、鋳造のノーズの後方、圧延鋼板部分にも増加装甲が貼られているらしいことが矛盾する。また被弾率がより高いはずの、やはり鋳造の戦闘室や砲塔には増加装甲装着等の措置は行われていない)。

なお、生産300輌目手前で装着されなくなったのは、その時点で基本装甲厚の増加、あるいは装甲の質自体の向上等の措置が取られたためと考えられるが、現時点ではそちらの理由も不明。

……そもそも増加装甲にしては妙に薄過ぎる感じなのも気になる。本当に増加装甲なのかコレ(締まらない考証記事だなあ)。

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ルノーR35考証メモ

●前回、「次はモデラーらしい話を書いてみるつもり」などと安易に予告してしまったくせに、それがなかなか書けずに間が空いてしまった。

それでもまあ、何とか予告通り、「モデラーと言いつつ作っているのはフキ味噌ばっかり」という状況よりは、いくらかモデラーらしい話をひとつ。以前からつらつら考えている、ルノーR35の仕様考証のメモを書いておくことにする。

といっても、一回で書き上がる話ではなく、今回は本題に入る前のポイント整理みたいなもの。その割にくどくどしているけれど、お暇な方はお付き合い下さい。

●ルノーR35は第二次大戦におけるフランスの主力軽戦車で、1935年4月29日に最初の発注が行われ、量産が開始されている。

R35の車両登録番号は 50001 以降が割り振られている。その後、足回りが完全別設計のものに挿げ替えられた(足回り以外は基本的に同じ)ルノーR40に生産が切り替わっているが、登録番号は引き続きで、現在のところ知られている、R40の最も若い番号は 51549 であるとのこと(「TRACKSTORY」による)。

一方、「シャール・フランセ・ネット(chars-francais.net)」に出ているR35の写真で、番号が判るもののうち最も大きいのは 51526 だから、素直に番号通り作っているとすれば、R35の総生産台数は1526輌以上、1549輌未満ということになる。

フランスで生産されたルノーR35系列は、基本的にR35とR40の2タイプだけである。バリエーションとして地雷処理装置を付けたものなどはあるが、テストされたのみで量産に移されたものはない。ただし生産途中に導入された改良や、細部の仕様変更はあり、その主要なポイントについて以下に列記する。

== 砲塔 =========

砲塔は「APX R」という規格品で、オチキスH35系と共通している。以下の仕様変更は、オチキスでも同様。

また、APX R砲塔の場合、側面に鋳造管理番号やメーカー名、例えばFAPSForges et Acieries de Paris et de la Seine:パリ&セーヌ製鉄製鋼所)のロゴが鋳込まれているものもあるが(*1)、供給ルートの差があるのか、オチキスではしばしば見るものの、ルノーでは滅多に見ない気がする(*2)。ただし、これはたまたま有名な写真に写っているものがあるかどうかだけの差かもしれない。

さらに、砲塔それ自体、おそらく生産工場による差異で、形状に微妙な違いがあるように見える。特に右側面前方がふっくらしているものと、痩せているものがある気がする。が、明確にタイプ分け出来ていないので、とりあえず現時点では追求しないことにする。

  • 注1:FAPSのロゴが何を示すかは、確か「ARMES MILITARIA MAGAZINE」由来の知識。
  • 注2:ただしルノーでもまったく例がないわけではなく、例えば51159号車はFAPSのロゴ入り砲塔を載せている。

 ▼主武装

主砲はルノーFT譲りの(「TRACKSTORY」の記述からすると、本当にFTから譲られているものも多かったのではと思われる)SA18、いわゆるピュトーの37mmだが、後期には長砲身のSA38に進化していて、R40では基本、全車がSA38装備になっている。

したがって、R40に生産が切り替わる直前には、R35もすでにSA38装備になっていたものと考えられる。また、オチキスでは既に配備されている車輌でも小隊長車以上は優先的に換装が進められたとのことで(実際に、旧型エンジン車、いわゆる「H35」でも長砲身の車輌がある)、R35の既生産車でも後に換装されたものがあったのではないかと思われる。

とはいえ、写真資料を見る限りでは、長砲身のオチキスは割とよく見られるのに対して、長砲身のR35はあまり多くない(R40の写真もそれほど多くない)。長砲身のオチキス(いわゆる「H39」)は順調に生産が進んでいたのに対し、ルノーはR35からR40への移行に手間取り、それがちょうど主砲交換の時期に重なってしまったのかもしれない。

 ▼砲塔視察口

砲塔前面左側と、左右側面に付けられた外部視察口。鋳造の砲塔本体にほぼ正方形の穴が開いており、ここに視察装置の付いたブロックをはめ込むようになっている。当初は「シュレティアン式」(*3)と呼ばれる双眼鏡タイプの視察装置付きが使われたが、のちに単純なスリット状のものになっている。

なお、このスリットタイプのものの場合、スリットの上部はひさし状に出っ張っているが、ふっくらと出っ張っているもの、下端が尖ってしゃくれているもの、ひさし部分が別体で作られているように見えるものなど、いくつかバリエーションがあるようだ。

  • 注3:この「シュレティアン」という名は「TRACKSTORY」に出てきたように記憶しているのだが(いい加減だなあ)、メーカー名なのか装置の考案者名なのかよくわからない。

 ▼対空機銃架取り付け基部

砲塔後面ハッチ開口部の上に突起が付けられている場合があり、これは対空機銃架の取り付け用であるらしい。実際、ここに機銃らしきものをくっつけて走っているR35の写真がある。

もっとも、こんなところに機銃を付けたら、ハッチの出入りも著しく制限される上、いったいどんな姿勢で撃つものなのやらも悩む。

== 車体 =========

 ▼車体前部上面増加装甲

車体の鼻先部分、鋳造部分の上面と、右側のギア点検用カバー(これも鋳造)の上面に、薄めではあるが、増加装甲がリベット(?)止めされている車体がしばしば見られる。当初はこの部分だけかと思ったが、その後部、操縦手用ハッチ下半分の左右、圧延鋼板の部分にも貼り増されているようだ。

 ▼操縦手用左右視察口

戦闘室上部の操縦手用バルジは左右に視察用スリットがあるが、これが単なるスリットだけのものと、スリット上部がひさし状に出っ張っているものがある。生産初期の記録用写真等では出っ張りのない形状であること、一方R40では標準でひさし状であることなどから、生産後期に導入された改良であることが判る。

 ▼エンジンルームグリル保護枠

エンジンルーム上面のグリルハッチ類の保護のため、その周囲に枠状の出っ張りが設けられた車体がある。これはソミュールにある2両のうちの片方、それからクビンカの現存車輌でも確認でき、車体上部の鋳造部品と一体で作られていることが判る。これも上記操縦手用スリットのひさし同様、生産後期の特徴。

 ▼装備品

R35の右フェンダー、戦闘室横位置には、後半がシートラックになっている工具箱が標準装備されている。これが、初期には前半の工具箱、後半のシートラックの高さが同じなのだが、生産後半の車輌では前半の工具箱のほうが若干高くなり、途中に段が出来るようになる。

ちょっと余談。右フェンダー最後部にはラックがあってジャッキ台とジャッキハンドルが付き、その前方外側に湯沸しみたいな形状のジャッキが装着されるのが標準。しかし生産初期車輌の写真では、作られた当初は直方体の角材のようなジャッキが装着されていて、ラックもそれに合わせて前後に四角い枠のようなものが付いている。おそらくある時点で、これらはラックごと標準仕様に交換されたのではと思う。

 ▼尾橇

「TRACKSTORY」によれば、AMXにより開発され、1938年に導入されたもの。ただし「既に生産された分の車輌のほとんどには、フランス戦までに供給することはできなかった」とある。R40の場合は標準装備のはずだが、こちらも付いていない車輌がある。生産中に開戦を迎え、最後の方は付ける余裕がなくなったらしい。

== 足回り =========

転輪ボギーの両側面に、転輪すれすれの位置まで、下端が楔形になったカバーが付いている車輌と、付いていない車輌とがあるのだが、これは本来付いているものが取れてしまったか、そのままか、という違いではないかと思う(実は詳しく調べたら生産時期と関連があった、とかだといやだなあ……)。一応、時期的な差異と思われるのは次の箇所。

 ▼誘導輪

誘導輪には放射状に6本のリブがあり、その間に大きく丸い穴があるのだが、おそらく生産後半の車輌では、この穴がパッチで塞がれている。

パッチはそれぞれが4本のビスだか小リベットだかで止められている。わざわざそんな面倒な手間をかけてまで、積極的にこの穴を塞がねばならない理由がどこにあったのかは謎。しかし改めて考えると、オチキスの誘導輪も穴あきから穴無しに進化している。

●こんなところが、とりあえず時期に関係すると思われる仕様のバリエーションなのだが、問題は、

  • それぞれの細部の差異を安易に「初期」「後期」と判断しているが、本当にその順番は正しいのか。
  • そもそも実際に生産時期に連動しているものなのか。
  • 連動している場合に、いつ、という時期の特定は無理としても、生産何両めくらいから変化しているのか。

――ということである。

そのあたりの検証を、次回以降に行ってみたい(作業自体がかなりの手間なので、すぐには無理そうだけれど)。

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Vanatorul de care再び。(20)

Cimg1219b ●前回の全体形には写っていなかった、ルノーR35用ジャッキ。

戦時中の写真で、どうもこれがはっきり写っている写真がなく、ディテールはいまいち。ソミュールのルノーR35の2両の実車のうち、短砲身装備型のほうはジャッキを載せているのだが、戦時中の写真のものと比べるとどうも細部が違う。

水差しのような珍妙な形で、横に突き出た“注ぎ口”部分にクランクハンドルを繋いでクルクル回すと上下するらしいことは判るが、どういう形にギアが納まっているのかは謎。

なお、オチキスH35系は一応同じジャッキを使っているようだが、クランクのハンドルは形が違っている。シャベルも違うようだし、どうもドイツのように工具の規格統一はされていないらしい。

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Vanatorul de care再び。(19)

●先日のアクシデントから多少は気を持ち直し、静岡に向けた工作を再開。

とにかくこのGW中に一つは塗装まで持ち込みたいと思い、(ようやく)Vatatorul de care R-35に最後の細部工作をして、塗装前の表面洗浄。「これでオシマイ」の踏ん切りに、現時点での状態を撮影した。

もっとも、いきなり直前になって仕事が切羽詰らないとは限らない。今年こそ行けるかなあ……。

Cimg1199b ●これまでの記事と多少重複するが、ランダムに考証の補遺と反省点など。

砲塔:ルーマニア軍使用車輌の砲塔の視察装置は、もともとのルーマニア輸入分にポーランド軍からの接収分も含め、確認できる限り全車がシュレティアン(というメーカー名なのか形式名なのか不明)式の双眼鏡タイプのもの。エレールの視察装置のパーツは穴の位置が高く、張り出し具合も実物と若干違うので上側にプラバンを貼って削り直したがちょっと工作が粗かった。

結局、Vanatorul de care R-35の通常型R35との外見上の違いは砲だけだが、以前にも書いたようにここがバッチリ判る写真は今のところ見当たらず、防盾形状は想像半分。しかし、防盾内部の砲架が判る写真はあり、防盾の穴やボルトの位置はそれから推理した。砲架については穴位置などが微妙に異なりBT/T-26あたりからの流用ではなさそう(セータ☆氏の考証に感謝)。右下に(定説とは異なり)同軸機銃用と思しき大穴がある。

車体前部:鋳造のノーズは、エレールのパーツでは左側の角度変化が一つ無視されている。かなり省略されている起動輪基部や、トランスミッション用カバー部(?)を含めちまちまいじった。

なお、ルーマニア軍装備車輌には見当たらないが、フランス軍車輌では車体前部上面に増加装甲(と言うにはだいぶ薄そうだが)を貼っているものもある。エレールのキットはうっすらとそのモールドがある(段差はなく筋とリベット表現だけ)。

ただ、車体側面板とフェンダー内側がそのままの厚みで一体パーツになっているのを放置して組んでしまったのは失策。そのぶんフェンダーが内側に食い込んでいるため、操縦手ハッチ下側がホーンに当たってきちんと開かない位置関係になってしまった。

Cimg1201b 足回り:エレールのキットは足回りの再現もあまりよくない。上部転輪位置と誘導輪位置を少しいじり、第1スプリングを太くし、起動輪にスクレーパーを付けた。ただし、転輪形状や、ボギープレート形状は未修正。

なお、ルーマニア軍装備車輌の誘導輪は、穴を薄板で塞いだタイプ。薄板の各4箇所のリベットは省略してしまった……。

履帯の交換オプションはいくつかあるが、カステンの可動式は軸穴も表現されていて精密感が高い。

また、シャーシ下部側面にいくつか埋め込みのボルト頭があるのだが、気付いたのが遅く表現していない。

Cimg1197b 車体上部:操縦手席左右のスリットは、ルーマニア軍車輌ではひさし状の張り出しのあるものとないものが混在している。作例は張り出しのないタイプとしたが、この部分の形状を表現するのに削ったり盛ったりを繰り返した結果、糸魚川市の地質もかくやと思えるほどの複雑な素材積層になってしまい、綺麗にスリットを切削できなかった(素材というよりはウデのせい)。なお、スリットを入れてみると、前面形状はなお微妙に違っていることが判る。

鋳造の車体上部の形状は、キットのものは側面形状も微妙に違う。本来はもう少しふっくらとしていて、下辺あたりに鋳造のパーティングラインがある。

Cimg1205b エンジンルーム上面のルーバー類は表現がお粗末だが、形状がだいぶ違う左の三角ルーバーだけ1から作り直した。

左後方のものは枠だけ追加したが、幅が広すぎた。なお、実物はこの左後方ルーバー部分だけ、基本車体のラインが前方に向けて一段削り込まれていて、ルーバーは地面と平行になっている。作例は未修正。まあ、このあたりの再現とか足回りの形状とかは、いずれタミヤのルノーR35が発売されるのを待とう(妄想的観測)。

右の大きなルーバー(ラジエーターグリル?)の前の隅には小さな丸いキャップ状のものがある。ラジエーターの水キャップではないかと想像。

なお、後期の生産型はルーバー周囲に防弾(?)リブがある。ルーマニア軍装備車輌でも、一部これを持つものがある。

車体後部:ここの鋳造パーツも、キットのものはラインがちょっと曖昧。

Cimg1203b

起動輪基部は、キットの状態では一段窪んだところに基部パーツを付けるようになっているが、実車ではむしろ土台は一段盛り上がっている。未修正。

よく見える予備転輪だけは少しだけ形をいじった。本来は他の転輪もいじるべきだが手を抜いた。

後部シャックルの小チェーンは、車体側との留めは省略してしまった。金属線を潰したチェーンは悪くない見栄えだが、斜めに掛かっていると平べったいのが目立つ気がしたため。

排気管とマフラーはいろいろいじったが、結局マフラー取り付け具やカバーの正確な取り付け方は判らず、適当な工作で済ませた。

装備品類:右側面の、後ろ半分がオープンの物入れになっている工具箱は前後が同じ高さのものと前半が高いものの2種がある。ルーマニア装備車輌はほぼ後者のようだ。

結局、ジャッキ台ホルダーの押さえ金具基部は、メガネをかけても目と指先が追い付かず工作を断念。

ジャッキ本体も工作しているが載せるかどうかは思案中。台があって本体もハンドルもないのは(本来ハンドルはジャッキ台の外側に付く)変だとは思うが、生きている実車写真でもそういう状態のものはあるし、変な形のジャッキ受け(フェンダー上の白い部分)を見せたい気もする。

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Vanatorul de care再び。(18)

200911172307000b チェーンは結局こんな感じに。

我が薄型携帯はピント合わせがまるっきり機械任せで、これ以上どうにもなりませぬ。

あとはツルハシの頭(なぜか柄と頭は別の場所に搭載するようになっている)と、ジャッキ台抑えの基部(抑え金具そのものは形状がいまいち判らないので省略の予定)をつけたら、工作は終了とする予定。

Vanatorul de care R-35の現存砲塔写真が見付かったのがきっかけで、たまたますぐに発掘できたエレールのルノーR35キットを手早く成仏させるつもりで始めた工作が、なぜこんなズルズル状態に……。

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