II号戦車

II号戦車a2型 IBG 1:35(4)

●もはやレビューというより半ば製作記に足を突っ込んでいるが、IBGのII号戦車a2型の気になりポイントの続きと、その修正作業など。

とりあえず現在は、車体基本形を組み上げたあたりで、その時点での気になりポイント/手入れポイントをランダムに。

●戦闘室の部品分割はタミヤのII号戦車(ポーランド、フランス戦線)とほぼ同様で、周囲の縦の面は一部を除いて別部品。実車では接合ライン(溶接線)はエッジにあるが、キットでは上面に接合ラインが来てしまうので、なるべく丁寧に消す必要がある。近接して吊り下げフック基部のモールドがあるので、それを避けて消すのがちょっと面倒。

Img20240112234052

レビューの前回で書いたように、戦闘室右側のフェンダーステイは、車体側付け根部分に若干の変形があった。

前方ステイの付け根は埋めたり削ったりして修正。後方ステイは、キットでは前方と同形状だったが、一度削り落として大型のものに作り直した。

Img20240112225451

どうもこの後方ステイの形状や位置には、型や時期で微妙な変更があって、b型以降はもう少し前方にあるらしい。a型の場合は戦闘室とエンジン部カバーの接合部くらいにある。ステイの根元は、キットのモールドでは戦闘室側にかかっているのだが、当時の実車写真では戦闘室側よりもエンジンフード側にかかっているようにも見える。確証無し。

また、トラクツの図面によると、フェンダー側の取付ベロは後方にあるように描かれているが、キットは前方ステイと同様に前側にある。これに関しては、当時の実車写真ではよく確認できないし、そもそも修正するとフェンダーパターンの再生など、非常に面倒な作業になってしまう。というわけで、ステイ本体の形状は修正したが、位置とベロの向きはキットのままとした。なお、b型以降のステイのベロは後方も前側にある模様。

●エンジンルーム側面の通風孔は、保護ロッドが単純な板状モールドになっているので、一旦削り落とし、金属線で作り直した。

また、エンジン点検ハッチは、周囲に隙間があるのは実車もそうなのだが、キットはちょっと開きすぎな感じなので、ハッチ側にプラバンを貼って狭めるとともに周囲の溶接線を付け加えた。

Img20231220004345 Img20240112225428

●車体前部ハッチは、キットは表面がつんつるてん。本来は鍵穴ほかロック機構関連と思われるディテールがあるので、なんとなくそれらしく追加。

Img20240112222408

●II号戦車a~b型の前端マッドフラップは、フラップ本体とヒンジが離れた位置にある、ちょっと謎の構成。なんで単純に継ぎ目に蝶番じゃダメだったんだろう……と思ったが、改めて考えて謎が判明。あ。これ、跳ね上げた際に前照灯をまたぎ越すようになってるんだ。

キットでは、この周辺は比較的細かく部品分割されていて、それなりに表現しようという努力は認められる。

しかし、フェンダー内側パーツ(左写真)は、可動部との継ぎ目がないうえにスプリング付きストッパーのモールドもやや貧弱。可動部を貼り増す形で手を入れた。

Img20240105231151 Img20240112222347

可動部内側面(白いプラペーパーで追加した部分)は、パンツァートラクツに掲載されたマニュアル図(p8)では、写真に追加した黄色矢印部に切れ込みがある。尾藤満さんのa2型工作でもその切れ込みは再現されているが、当時の実車写真では、写真それ自体が不鮮明だったり、寄りの写真がなかったりで、存在がはっきり確認できなかったので、私は切れ込み無しとした。

しかし、よくよく考えると、この切れ込みは、跳ね上げた際に後方のフェンダーステイと当たる部分を窪ませることでより深く倒すために付けてあるのかも。そう考えると、「あって当然」にも思えてくる。

また、ついでに前照灯の配線も追加した。

なお、車体前端曲面部にある小さな点検パネルは、a型では取付ボルドが6本、b型以降では2本……というだけでなく、b型以降は一段出っ張っているのに対して、a型ではほぼツライチになっている。

●車体後部の無線手ハッチは、増加試作型(a~c型)では2分割。

a型では通風孔に中央の保護バーがないようなので、キットのパーツのバーのモールドをくりぬいた。そのままがらんどうの車内が覗けてしまうと情けないので、適当に隔壁を入れたのだが(左写真)、よくよく資料を見直したら、通風孔は筒抜けではなく直下にシールドがあるようなので追加。そりゃまあそうだわな。隔壁工作はまるで無駄。

Img20231219231427 Img20240112222429

なお、このハッチのパーツは、キットの説明書では戦闘室後面パーツ(P18)の取付前に付けるように指示されている。私は、前記の接合線消しの都合もあって先にP18を付けたのだが、そうすると、クラッペのモールドが干渉してハッチが入らず、無理矢理ねじ込む羽目になってしまった。そのせいで、ハッチが微妙に歪んでしまった。

それにしても、実際にこのようなレイアウトだと、実車でもハッチがうまく開かないはず。本来はクラッペがもっと薄くて干渉しない? あるいは、ハッチ前端の形状が、実際にはちょっと違う? どうもよく判らない。

●フェンダー後部ステイは別部品(G7、G8)。

パーツそれ自体にピタッと位置を決めるダボなどはないが、L字の内側をフェンダーにそのまま沿わせるのではなく、やや間隔を開ける。でないと、外側端が飛び出してしまうので判ると思うが。

Img20240112222456 Img20240112222713

なお、説明書ではこのステイに重ねて牽引用リングの部品(U4)を取り付けるよう指示があるが、実車では当初、このリングはなく、後々の追加装備の様子。また、このパーツはステイ付け根のボルトを共用して取り付けられているようなので、(説明書には書かれていないものの)ステイ付け根のボルトを削ってから付けるものではないかと思う。

●誘導輪基部は、基部パーツの中心に車軸が付いた形状になっている。

Img20240112222105

しかし、実際には車軸はこの基部パーツの中央から偏心していて、この部分を回転させることで誘導輪位置を変えて履帯張度を調整する仕組みになっているはず。

もっとも、組み上げてしまえばほとんどわからないうえ、現在の車軸位置で、トラクツの側面図とほぼピッタリの位置に誘導輪が来るようなので、特に移動などはせず放置のつもり。

| | コメント (11)

II号戦車a2型 IBG 1:35(3)

●ポーランド、IBG社製 1:35 I号戦車a2型のだらだらと長いキットレビューの続き。

まあ、たまにはモデラーらしい話もしないとね、というのと、久々に(それなりに)新しくて(それなりに)ボリュームのあるキットを買ったので。……軽戦車だけど。

●というわけで、前回の足回りチェックに続いて本体部分。まずは車体上部。

Img20231214025614Img20231212235856

車体上部パーツをPANZER TRACTSの図面と重ねてみると、ほぼ寸分違わず重なる。ベース資料としてトラクツを参考にしているのは、ほぼ間違いないようだ。

右写真は、タミヤの標準型II号戦車の車体上部と突き合わせてみたところ。戦闘室の寸法には大差ないが、フェンダー幅はIBGのa型キットでは、きちんと幅が狭いKgs.67 280/90に合わせたものになっている。前回書いたように、履帯は後になって幅広のKgs.67 300/90に履き替えている例があるが、フェンダーまで交換しているわけはないので、ここはきちんと狭くなっていてくれて一安心。

また、フェンダーの滑り止めの網目模様は、タミヤのキットでは「網目がある」という記号的表現でしかなく、目が粗過ぎるのが問題だったが、IBGのa型では十分に細かい表現になっていて好感が持てる。

Img20231210194347 Img20231213004944

a型の外観上の大きな特徴である、ビル空調の室外機みたいな丸いラジエーターグリルは、ちょっと彫刻が浅め。とはいえ、表現は割と繊細なので、個人的には「スミイレくらいでいいかなあ」という感じ。

その前方の、増加試作型特有の2分割の無線手用ハッチは、通風孔の中心に縦にバーが付いた仕様になっているが、a型の場合は、このバーはないのではないかと思う。少なくともPANZER TRACTSに掲載のa2型の図面とキャプションではそのように説明されている。

Img20231210194506 Img20231211034528

戦闘室右側面は別パーツ、この部分のフェンダーステイはフェンダーと一体だが、金型からの抜きの際に余計な力が掛かったか、微妙に変形があった。

エンジンルーム側部の通風孔は、異物が入らないように保護バーがあるのだが、これがスリットと一体成型(右写真)。これはタミヤのキットでも別部品だったところで、もうちょいなんとかしてほしかった。いやまあ、手を入れるのが凄く面倒、という形状でもないけれど。

Img20231211034425Img20231211034604

シャーシは底面・側面が一体。前後面は別パーツ。a型は後の生産型に比べて寸足らずだが、単純に車体後部が短いだけでなく、前部も傾斜がきつく下がっていて、誘導輪位置もやや後下方に下がっている。

車体後下部パーツは選択式で、初期状態と、誘導輪基部強化のために追加されたコーン(右写真)付きの仕様とを選べるようになっている。この補強コーンが導入されたのがいつ頃なのか今一つよく判らないが、とりあえず、ポーランド戦時のa型の写真で、コーン未装着のものがあるのは確認できる。

Img20231210194230

砲塔はこんな感じ。寸法は、これまたトラクツのa2型の図面とほぼ合致。タミヤの砲塔より1mmほど幅広。エッジには溶接表現が加えられているが、ちょっと立ち過ぎな感じも。ここはタミヤ程度のほうが落ち着いていて好き。

なお、a型は、砲塔それ自体はb型以降と同一だが、クラッペの仕様に違いがある。

Img20231211035726 Img20231211034908 Img20231211034953 Img20231211035330

武装の20mmKwKとMG34。1枚目はプラパーツのランナーにある通常版用。スライド型を用いて砲口・銃口が開いており、また、MS34のジャケットの放熱穴もそれなりに表現されている。ただし、20mm砲身の交換時グリップ部分が凹表現になっているのは、ちょっと頂けない。

限定版に付属の20mm砲身とMG34銃身は、ポーランドのサードパーティ「MASTER」製で、このセット自体の別売もあり、日本国内でもM.S modelsやパンツァー・レーア、ホビーランドなどで扱いがあるようだ。3DプリントのPZL P-11c用のオイルクーラーとか、ちょっと欲しいなあ。

閑話休題。20mm砲身はアルミ挽き物で、塗装すると消えそうではあるものの、グリップ部分の梨地表現もついている。消炎器部分は3Dプリント。MG34は銃身と消炎器は真鍮挽き物で、ジャケットが3Dプリント。銃身と消炎器は前後から差し込んで、接続部は入れ子になる。MG34のジャケットはちょっと事後変形があり、銃身を差し込むとそれなりに真っ直ぐになるが、それでもやや曲がっているような……。3Dプリントのレジンも、熱湯で変形は直るのかな? ご存じの方、教えて下さい。

●ちょっと気になる部分、目についた部分をピックアップしてみたが、実際に製作に入ったら、さらに気になる部分、判らない部分がぼろぼろ出て来そう。まあ、その時はその時に、ということで。

| | コメント (0)

II号戦車a2型 IBG 1:35(2)

●ポーランド、IBG社製の「II号戦車a2型(限定版)」キットレビューの続編。中身をチェックして、個人的に気になったところなど。

●いきなり「足元を見やがって」感があるが、まずは履帯から。

前回述べたように、キットの履帯はII号戦車で標準的に用いられたKgs.67 300/90(ピンを含めた横幅が300mm、ピッチが90mm)を表現している。

Img20231212195414 Img20231210194720

左写真はタミヤのII号戦車c、A~C型の部分連結履帯と重ねて撮ったもので、同一幅であることが判る。右写真はT-RexのI号戦車用履帯(Kgs.67 280/90)の初期型と並べてみたもの。

前回も書いたように、II号戦車はa型においては生産時にはI号戦車と同じ、幅が狭いKgs.67 280/90(ピンを含めた横幅が280mm、ピッチは同じ90mm) が用いられていて、Kgs.67 300/90に変更されたのは次のb型からであるらしい。ただし、a型でもその後Kgs.67 300/90に履き替えている例があることは写真で確認でき(例えば「PANZER TRACTS No.2-1 Panzerkampfwagen II Ausf.a/1, a/2, a/3,b, c, A, B, and C」のp22)、これのみを以て直ちに誤りとは言えない。

むしろ開戦時には生産からすでに数年が過ぎており、実戦参加車輛は多くが標準履帯に履き替えていた可能性もありそう。しかし問題は、履帯の見た目自体はKgs.67 300/90もKgs.67 280/90もそっくりで、当時の写真を見ても、どちらを履いているのかなかなか判別できないこと。上記トラクツの写真についても、キャプションに「Kgs.67 300/90だ」と書かれているので「へ~、そうなんだ~」と思うだけで、私自身がきちんど識別できているわけではない。

ただ、ガイドホーンに穴が開いていて三角形に近い形状であればKgs.67 280/90(の初期型)、ガイドホーンに穴がなく台形に近ければKgs.67 300/90の可能性が高そうな気がする(Kgs.67 280/90でも後期型はガイドホーンに穴がなく台形に近いが)。

なお、標準的なKgs.67 300/90としてみると、キットのパーツはちょっとガイドホーンが尖りすぎかも。

●転輪類。

結論から言ってしまうと、転輪、上部転輪、誘導輪はすべて広いKgs.67 300/90に合わせた幅になっている。

Img20231213004754 Img20231212195200

転輪(左写真)は、三枚おろしの円盤を貼り合わせる構造で、ゴムリムの縦筋を表現する形式になっている。確かにa~b型の実車写真を見ると、このような縦筋が確認できるものがある。

ただし円盤間の位置決めダボがいまひとつキッチリ行かない。挟み込む中央円盤の凸が明瞭な側はそのままでよいようだが、凸が不明瞭な側は、そのまま付けようとすると円周がズレるので微調整が必要になる。

なお、前述のように転輪幅はKgs.67 300/90準拠なので、もしもI号戦車用履帯に交換することを考えるなら、中央に挟む円盤を薄いプラバン製に替える必要がある。むしろ、スライスして幅を詰めるといった激しく面倒な作業を強いられずに済む分、よいかも。

右写真は上部転輪パーツで、上側がキットのもの。下側はタミヤの主生産型キットのもの。II号戦車の上部転輪はa各型は大径、b型以降は下のような小径のものとなる。というわけで、本来のa型用としては上の大径でよいのだが、ただし、その場合はKgs.67 280/90履帯に合わせて幅が狭くなければおかしいことになる。上部転輪パーツ裏は軸穴以外特にモールドはないので、削るのに不都合はないが、それでも均一な幅で削るのはちょっと面倒?

もう一つ問題なのは、確かにKgs.67 300/90に交換されていると思われるパンツァートラクツのp23の写真では、上部転輪も小径・幅広のものに交換されていること。大径の上部転輪のままで、Kgs.67 300/90履帯を履いている例があるのかどうかは、よくわからない。タミヤのパーツを流用して小径のものに変えるか、それとも「新型履帯を使っていても大径の上部転輪のものもある」と判断して、a型らしさを残すために大径のものを使うか。ちょっと悩ましい。

●サスペンションパーツは下左写真のような形状。一方、a3型のキットでは、右のような形状になっているようだ(IBGサイトにUPされているa3型キットの組立説明図より切り出し引用)。

Img20231210194301A3

この増加試作型のボギー式のサスは、だいぶ小刻みに形状が変化している様子。しかしその一方で、実車写真では外側ビームの陰になっていることが多いためもあり、なかなか細かいディテールが確認できない。

PANZER TRACTSにはa2型の4面図が出ているのだが、IBGのキットのサスペンションボギーのスプリング部のディテールは、a2型用も、a3型用も、それぞれ微妙に図面とは異なっている。大雑把に言うと、トラクツの図面のサスは、IBGのキットの2種のものを掛け合わせたような感じ。わざわざ形を違えてパーツ化しているということは、IBGはトラクツ以外の何らかの資料or写真を参考にしている可能性がある。

なお、このサスボギーに関しても、履帯を新型に交換している場合には、幅広の転輪とともにより新しい型に交換されている可能性があるかもしれない。これまたちょっと悩ましい。

ちなみに、トラクツの22ページ上写真の(キャプションを信じるなら)a1型は、IBGのa2・a3型とも、トラクツの図面のa2型とも違い、後のb型のものに似たサススプリングになっている(車軸がスプリングに対して下側にある)。この車輛は幅の狭いKgs.67 280/90の初期型履帯を履いているようだし、上部転輪も初期型なので、b型のサスに交換している可能性は低そう。これはa1型独特のサスなのか?

12/14追記。邦人さんに教えて頂いたのだが、フランス人のjacky PAQUIS氏という方が、II号戦車に特化(!)したサイトを開いている。そのサイトの図説によれば、上記、トラクツの22ページ上写真のサススプリング仕様は、a1型の生産第2シリーズ(?)で用いられた(元のサスから交換装着された?)“第2バージョン”のサスだそうだ(「デッサン」コーナーにある図説27、28)。PAQUIS氏によれば、a2のサスは、基本的に、a1の仕様をそのまま引き継いでいるらしい(図説41)。

また、そもそも第1ボギーと、第2・第3ボギーとでは、最初からわずかな差異(リーフスプリングの枚数とか)があるようだ。

このあたりの仕様(の変遷)に関しては、実際にこのキットを作る際、最後まで悩みの種になりそうだ。一応、トラクツに掲載されているKgs.67 300/90履帯と小径上部転輪装着車の写真(p23上)ではa型用サス形状なので、幅広履帯でもb型サスへの交換まではしなくて済みそうではあるけれど、そもそも「a各型のサスはどういう形状だったのか」がはっきりしないのはもどかしい。

Img20231213034104A32

サスボギー外側ビームのエッチングパーツはa1-a2型用。コの字断面の上下の折り返しが、左写真のように、a1-a2型用では左右端まである。一方、a3型用(右、IBGサイトにUPされているa3型キットの組立説明図より切り出し引用)はやや短く、軸穴の中央に達するくらいまでしかない。

ただし、これまた「実車ではどうなのか」というのが今一つよく判らない。後のb型でも「折り返し長いタイプ」が使われていたりするし(トラクツp30)、a1型で「折り返し短いタイプ」だったりする(トラクツp5)。しかしa1型で「長いタイプ」もある(トラクツp22)。

ちなみに、IBGのa2型キットとa3型キットの間のパーツの差異は先述のサスボギー(a2:Eパーツ → a3:Fパーツ)と、エッチングパーツ2枚のみ。エッチングパーツの差は、1枚は上記のビーム形状、もう一枚の小物エッチングシートには強化サスの追加スプリングリーフ?が追加されている。

Img20231212195629

起動輪はa型独特の形状。径は後のb型用や、c、A~C型用と一緒で歯数も同じ26枚。IBGはTKSで歯数を間違えた前科があるので、「大丈夫かな~」とも思っていたのだが、今回はOK。径もタミヤのc、A~C型用と一致した。

長くなったので、足回り以外はまた次回。

| | コメント (0)

II号戦車a2型 IBG 1:35

Img20231210133426 ●久々の大きな買い物。ポーランド、IBG社製のII号戦車a2型。

昨年末~今年の初頭に発売されたキットで、その後、バリエーションとしてa3型とb型も出ている(a1型も予告されている)。

「初期型好き/大戦初期もの好き」の私としては発売予告時から欲しいと思っていたキットなのだが、通常版で7000~8000円台、金属挽き物+3Dプリントの20mm砲身とMG34、minirt製の戦車兵フィギュアの付いた限定版は1万円の大台に乗るという、昨今の高価キットの波の中でもひときわお高い感じで、指をくわえて眺めていたもの。

それが、9日土曜日、仕事で都心に出た帰りに秋葉原の駿河屋に寄ったら、中古品+バーゲンで限定版が税込み6300円で売られていて、つい手を出してしまった。9日は誕生日でもあったので、「自分へのプレゼント」という勝手な言い訳を心の中でしつつ。

●実車は言わずと知れたドイツ戦車の次男坊、II号戦車の初期型、というか増加試作型。a1~a3型まで各25輌、合計75輌が生産されている。後の、リーフスプリング独立懸架の片側5転輪という標準形式に落ち着く前の、I号戦車同様のカーデン=ロイド製トラクター譲りのリーフスプリング付き、小転輪のボギーを並べた足回りを持つ。

次のb型も同様の足回りながら、小改良がくわえられ、車体形状はほぼ後の標準型と同じになる。その次のc型で、ついに足回りが落ち着いて、その後の主生産型(A~C型)に引き継がれていく。

なお、サブタイプがa~cと小文字なのは増加試作型であることを示している、というのが一般に言われていることで、実際、その説明は納得しやすいのだが、改めて考えると、例えば同じく増加試作型扱いで少量生産のIII号戦車A~D型はそのまま主量産型と続きになっているし、他にも「小文字は試作型」の方式を採っているドイツ車輛にはお目にかかったことがないような。そのへんキッチリしていそうなドイツ軍(orドイツ人、ドイツメーカー)なのに、ちょっと不思議。

実車に関しては「PANZER TRACTS No.2-1 Panzerkampfwagen II Ausf.a/1, a/2, a/3,b, c, A, B, and C」や「アハトゥンク・パンツァー(第7集) 1号戦車・2号戦車と派生型編」が詳しい。また、「アハトゥンク・パンツァー」著者の尾藤満さんが、過去、スクラッチに近い工作で完成させたa2型の製作過程をサイト「パンツァーメモ」に載せており、これからa型を作ろうという人にも大いに参考になる。ちなみに尾藤さんは現在、II号戦車の主量産型であるA、B型の工作記事を進行中で、こちらも楽しみ。

●IBGのキットのa2型は、同社の初期型(増加試作型)II号キットの中では最初に出たもので、この後、若干のパーツ替えをしてa3型が発売され、さらに(私はまだ見ていないが)b型も発売された。a1型もアナウンスされているが、これはまだ発売に至っていないようだ。IBG models公式サイトとSCALEMATESによれば、現在判っているラインナップは、

  • 35075 Pz.Kpfw.II Ausf.a1
  • 35076 Pz.Kpfw.II Ausf.a2
  • 35078 Pz.Kpfw.II Ausf.a3
  • 35079 Pz.Kpfw.II Ausf.b
  • 35080 Pz.Kpfw.II Ausf.b with fuel trailer
  • 35083L Pz.Kpfw.II Ausf.a2(LIMITED EDITION)

35077に何が入るのかもちょっと気になる。

なお、発売予定のa1型まで含めれば、おそらく、大戦中に正式採用されたドイツ戦車に関しては、I号戦車からVI号戦車まで、ある程度(10輌以上くらい?)量産されたサブタイプはおおよそ全て1:35でインジェクションキット化されたのではないかと思う。

II号戦車E型はブロンコから火炎放射戦車型しか出ていないが、これはそもそも戦車型として完成したものがなさそうなので対象外。ただ、38(t)の初期型のうち、A型、C~D型は、マケットの初期型キットが大雑把に「A~D型」とひとまとめに銘打っているだけ。しっかりそのタイプを作ろうとするなら、トライスター/ホビーボスのB型から頑張ってちまちま改造する必要がある(ただしこの辺の仕様差はかなり微妙)。

●とりあえずキット内容概観。

35戦車キットとしては標準的な大きさの箱に、パーツは割とぎっしり目。miniart風に、パーツをかなり小分けにした枝構成になっているので、そのぶん容積を食っているのかも。プラパーツの枝は履帯を除いても全部で21枚もある。

Img20231210134717 Img20231210134742

Aパーツ(左写真):戦闘室周囲の装甲板、OVM類など。

Bパーツ(右写真):砲塔下面・前面および砲塔内部パーツ。

Img20231210134824

Dパーツ(写真左):車体上部および前部上面、マッドフラップなど。

Gパーツ(写真右):車台、マフラーなど。

Img20231210135555 Img20231210135300

Pパーツ(左写真):車体前後面、ギアハウジングなど。

右写真はQパーツ:砲塔、O・Rパーツ:クラッペ。

Img20231210135113Img20231210135739

足回りパーツ。Eパーツ:転輪ボギー(×2)、Vパーツ:転輪(×6) Wパーツ:誘導輪(×2) 、Uパーツ:起動輪(×2) 。

履板は枝記号無し。12リンク1綴りのものが20本、計240リンク。軽くパチハメ式になっているようだが、はめ込みの凹凸はあまりなく、あくまで仮止め程度のようだ。説明書には「足回りの組立の最終段階まで接着はするな」と書かれていて、要するに、ハードにいじったり動かしたりしなければ連結が保持されるくらいにはなっているらしい。

履板の横幅は8mm強で、明らかにII号戦車用のKgs.67 300/90(履板のみの幅は285mm、1:35で8.14mm)を再現している。

「II号戦車のキットなんだからII号戦車用の履帯が入っているのは当たり前じゃないか」と言われそうだが、実際には、a型は生産時にはI号戦車と同じKgs.67 280/90(履板のみの幅は260mm)を履いている。ただし、後にII号戦車用に履き替えている例もあるので、誤りとは言い切れない。これに関してはまた回を改めて。

Img20231210135918 Img20231210135941

左写真はTパーツ(透明パーツ)、エッチング(2枚)、限定版のみに付属の20mm機関砲身とMG34。20mmKwKとMG34は、同じポーランドのサードパーティ、「MASTER MODEL」製。20mmKwKはアルミの砲身と3Dプリントのフラッシュハイダー(消炎器)、MG34は真鍮製の銃身・消炎器と3Dプリント製の放熱筒。エッチングは2枚とも、「Pz.II a1-a2」と書かれていて、今後発売されるはずのa1型と共通の模様。a3型用はIBGのサイトの同型用組立説明書で確認できるが、2枚とも若干の差がある。

右、デカールはポーランド戦時の第4師団の2種の砲塔番号(304号車、345号車)と、第5師団の45号車。第5師団の45号車に関しては、国籍の十字と番号は、解釈の違いで白か黄色の選択式。ちなみに実車写真はこちら。一応、下部の菱形の明色部については黄色が定説。番号は菱形と同色のように見えるが、国籍マークは同色のようにも、やや明るいようにも見える……。悩ましいところですな。

ちなみに、箱絵は通常版・限定版ともに国籍マーク、番号ともに黄色の解釈だが、説明書のカラー図では国籍マーク黄色、番号白の解釈。

Img20231210135802 Img20231210133536

左は限定版のみに付属のフィギュア。miniart製のものがそのまま入っている。なぜか付属のリーフレットは「GERMAN TANK CREW (FRANCE 1944)」というトンデモな題名になっているが、実際はベレー帽の初期スタイルの、キット番号35191「GERMAN TANK CREW (FRANCE 1940)」。車輛のマーキングはポーランド戦(1939年)だが、ポーランド戦からフランス戦までに軍装の変更はないはず。……ないよね?

それはそれとして、II号戦車は乗員3名なのに、フィギュアは5体入り。いや、僚車の乗員が遊びに来てるんだよ。

説明書(右写真)は、おおよそいつものIBGスタイル。

●総じて言うと、若干気になる部分はあるものの、なかなか神経の行き届いた良いキットではないかと思う。

これまで、IBGの1:35キットはTKS、7TPを買って持っているが、いずれも、「やる気は感じるものの、どうも詰めが甘い」と感じる出来だった。TKSは、特に足回りがややもっさりした出来だったし、7TPの場合は、リベットが打たれた面にあちこちヒケが出ていたりした。

このキットに関しては、ディテールの細かさに関しては全体に統一感があるし、射出時の温度管理が適切だったのか(あるいは私の手に入れたキットがたまたまアタリだったのか)ヒケはほとんど存在していなかった。「この型式のインジェクションキットとしては初めて/唯一だから」以上の価値は十分にありそう。

考証に関しては、私自身、あまり偉そうなことは言えないが、もう少し細部についての(個人的な)注目点等々については次回に。

| | コメント (2)

Sultryバラ

Img20221220225653 ●先週、母が100歳を迎え、合わせて土曜日にドイツ人Pも遊びに来るというので、週末に実家に出掛ける。認知症が進んで、直前のことはほぼすぐ忘れて同じ会話を繰り返すものの、とりあえず立ち居はしっかりしているのは有り難い(もちろん、兄が同居してくれて面倒見てくれているのがまず有り難い)。

土曜日はPとあれこれ話しながら飲み食い。日曜日はちょっと買い物に出るという兄と溝の口まで歩き、その後横浜をうろついてから帰宅。

●その横浜のヨドバシで、数回前に書いた、海洋堂の四天王ガシャポンのリベンジ。やったぜ!別のが出たぜ!

一応、現行の名付けに従うと、今回出たのは「増長天」。なお、前回引いた「持国天」に加え、見落としていたがキンキラキン・バージョンの「多聞天」も、すでに我が家にあった。あとは、無いのは「広目天」だけ。しかし、4分の1を引き当てるクジ運の自信はない。

なお、このシリーズの(現行名称)「広目天」は右足に体重をかけ、左手に槍(鉾?)を持った姿で、「持国天」との差異に乏しい。「広目天」なら、巻物を持って目を細めていてほしかったなー(東大寺戒壇院スタイル)。

Img20221219105527●サルトリイバラはこのへんの野山にいくらでも生えているツル草だが、秋に実る赤い実は食べられる、という話は割と最近まで知らなくて、今年はぜひ試してみようと思っていた。

そんなわけで、先月の半ばころ、赤く色づいた実を試しにつまみ食いしてみたのだが、甘くも酸っぱくもなく、ただ単に渋いだけだった(口が曲がりそうに渋いとかではなく、「ありゃ、渋いなこれ」レベルというのが、逆に何だか間が抜けた感じ)。

熟し方が足りないのかもしれないと、その後間を開けて2度ほど試したが(つい数日前も)、結局同じように渋いだけだった。

改めて考えてみれば、検索してみても「食べることができる」「生食できる」とは書いてあっても、きちんと味の説明をしているところはなかった。ちゃんと食べたうえで解説してるのかヲイ。

なお、サルトリイバラは(比較的まばらではあるものの)結構鋭いトゲと、立派な巻き付きヒゲがあり、「猿・捕り・茨」の名はそこから来ている。Sultry(情熱的に抱きつく)バラ、というわけではない(誰も思わないだろうけど)。かつて、「その昔、土佐の猟師はマダガスカルレーザーオオトカゲを捕らえるのに“天狗縛り”なるツル草を用いていた」という話を捏造したことがあるが、その時にイメージしたのがサルトリイバラだった。

●KV戦車に関する小ネタ。いまさらのように誘導輪のサイズについて。

web上にあるwalkaround写真を切り貼りしているので、ここに画像を貼るわけにはいかないのだが、いくつかの博物館車両の誘導輪サイズを比較してみた。

といっても、厳密な計算とが計測とかをしているわけではなく、ほぼ真横から撮った写真を、転輪サイズを揃える形で倍率調整し、その状態で、今度は誘導輪サイズを比較してみる、というもの。

比較対象としたのは、

  • 旧アバディーンに展示の1941年型(prime portal
  • キーロフスクの1940年型、緑色塗装の「061」号車(net-maquettes
  • キーロフスクの1940年型、白色塗装の「レニングラーデッツ」号(net-maquettes
  • ペテルブルクの何かのイベントに出てきた1940年型(DishModels

旧アバディーンの車輛に関しては、以前に仙波さんに教えていただいたが、実測値で直径が680mmであることが判明している。一方、キーロフスクの「レニングラーデッツ号」は、(グムカの高田さんがtwitterでも言及しているが)実際にメジャーを当てている写真もDishModelsに上がっており、それを見ると径は680mmより小さいように見える(誘導輪の中心が目盛のどのあたりかが判りづらいが、半径は320~330mmくらいに見える。ただし、それでもタミヤの新KV-1のパーツの約620mm径(35倍)よりは大きい)。

比較検討の結果。とりあえず、ほぼ直径部分で切り貼りしてみたが、明らかな径の差は認められなかった。

もっとも、「ほぼ真横からの写真」といっても誘導輪は端のほうにあるので若干の角度が付いているうえ、カメラと車輛との距離もそれぞれ違っているはずだから、到底正確な比較はできていない。あくまで「そう見える」程度のものでしかないことはお断りしておく。

●ポーランドのIBG modelsというメーカーは、私好みのアイテムをポコポコ出してくるので、まったくもって気を抜けない存在である。1:35ではTKSや7TP、ミニスケールでもWAWやFTFレーベルで「うぉう、こんなん出しやがった」的なものを製品化してくる。しかしその一方で、技術力が付いていっていない――というよりも、神経の行き届き方が足りていない的なポカがほぼ必ずどこかにあるキットを出してくるので、その意味でも気を抜けない。

そんなIBGが新製品としてII号戦車の初期型(a1/a2/a3型、b型)を出してくるというので、アイテム的には是非ほしいところなのだが、期待と不安半々。発売としてはa1/a2/a3型のほうが早く、同社のサイトによれば「12月発売」になっているので、もしかしたらもう早いところには入荷し始めているかもしれない。

何だかIBGが「やらかしそう」な懸念点を含めて、キットの予想を少々。

  • 一応、a型キットは予告の製品名では「a1/a2/a3」と、3形式の併記になっているが、Armoramaに出た見本写真やメーカー発表のCGを見る限りでは恐らくa3型。
  • a1/a2/a3型は、もともとは後の型よりも履帯幅が狭い、I号戦車と同じものを使っている(Kgs.67 280/90)。ただし、Armoramaの見本写真やCGでは上部転輪がb型以降のものになっているので、履帯も後のII号戦車標準幅(Kgs.67 300/90)のものになっている可能性が高い。実際の車輛でも交換されている例がある(例えばトラクツのp23)。誘導輪基部も(CGによれば)強化改修仕様とのコンパチ、車体前部には追加装備のノテク・ライトも付くようなので、要するに「改修済みの実戦仕様」という感じのようだ。もっとも、「せっかくのa型なのだから、製作当初の姿で作りたい」と思う人にとっては、結構厄介だろうと思う。
  • a型は、エンジンルーム後端が短く車体長も後の型に比べ寸詰まりなのだが、それだけではなく、実は車体前端も後の型より下がっていて、前部上面の傾斜がきつい。しかしこれは同じIBGのミニスケール、WAW1:72のa型、b型でもきちんと違いを表現しているので、まさか35でポカをする可能性は低そう。
  • しかし今後発売されるはずのb型の起動輪が、後のc型以降よりディスク部の盛り上がりが大きい点はきちんと再現されるかなあ……。WAW72では再現していたようには見えなかったので少々不安。

私自身は以前から「b型が欲しいなあ」と思っていたのだが、WAWのa型をいじって以来、寸詰まりでちょっと愛嬌があるうえ、業務用空調の室外機のようなエンジンルームの円形ルーバーがいかにも試作車然としているが気に入ってしまって、どちらを買おうか迷い中(さすがに両方は作らないと思う)。

| | コメント (2)

II号戦車b型 THE WORLD AT WAR 1:72 (2)

●前回記事はこちら

キットは、「元号が令和に変わってから、私が初めて買った」もの。クブシュを工作する一方で、こちらも中途半端に形にして、先行の同メーカーのII号a1/a2/a3と並べて見比べたりしていたのだが、ここ最近になって、なんとなく気になって組み上げてしまった。

そのうちこのへんのミニスケールはまとめて塗装したい。

●というわけで、工作完了状態のお披露目。

20190918_192351 20190918_192411

前回記事でも書いたが、b型までの特徴、側面の燃料注入口は、a型キット同様、一体モールドで形が潰れてしまっていてみっともないので、ポンチで打ち抜いたプラペーパーと、0.3mmプラバンから削ったヒンジで作り直した。実はここの工作が面倒で、主要パーツだけ組んで放り出してあったというのが真相。

もっとも工作したあとで実車写真をよく見たら、ヒンジの形状がちょっと違っていた(というのがはっきり判るほど工作の精度が高くはないのでそのまま)。また、a型キットでは別部品だった操縦手席右側クラッペも一体モールドだったので、ここも一旦削り落とし、キットの不要パーツで追加工作した。

その他はおおよそ素組み。若干気になった細かな部分は以下の通り。

・同じくIBGが手掛けている「FIRST TO FIGHT」シリーズと違い、こちらは割と細かくOVM具類は別部品化されている。しかし、工具類のパーツには取付ガイドの凸があるのに、フェンダー側は、一部を除いて凹が無い。場所により、フェンダー側に0.5mmのドリルで穴を開けたり、工具側の凸を削り取ったりして対応。

・OVMのうち、右フェンダーに乗るS字シャックル(ワイヤカッター後方)は、a型キットではフェンダーに対し横向きに、このb型キットでは縦向きに付けるよう図示されている。実車でどうなっているか、はっきり写っている写真を見つけられずにちょっとモヤモヤしたが、結局、「フロントバヤ……」のII号戦車の巻に出ていた図を頼りに斜め向きに付けた。

前回記事で書いたように、私の入手したキットでは、砲塔ハッチのダンパーの片側が潰れていたので、削り取って伸ばしランナーで再生した。

・砲塔右側下縁に、わずかにヒケ状の窪みがある(a型キットにもあったので、おそらく金型自体にあるミス)。a型では放置してしまったが、今回はプラ片で埋めて削り直した。

・やはり起動輪はふくらみが足りない感じで、c型以降の標準型起動輪と同じに見える(b型のみふくらみが大きい)。とはいえ、さすがにこの部分は厄介なので放置。

●先行のa型、およびFIRST TO FIGHTのD型と並べて記念撮影してみた。a型の寸詰まり加減が判る。

20190918_192513 20190918_19253820190918_192648

| | コメント (2)

II号戦車b型 THE WORLD AT WAR 1:72

20190517_195110 ●先日(令和初の購入キットとして)入手した、THE WORLD AT WAR 1:72のII号戦車b型(PANZER KAMPFWAGEN II ausf.b)の簡単なレビュー。

これに先立って発売されているII号戦車a1/a2/a3型についてはこちら

以前にも書いたが、「THE WORLD AT WAR」シリーズはポーランドのメーカー、IBGのミニスケール専門のレーベル。同社では単にIBGレーベルでも1:72のAFVキットを出していて、「THE WORLD AT WAR」シリーズがどういう切り分けになっているのか少々はっきりしないが、とりあえず、今のところこのシリーズでは第二次大戦初期のドイツ戦車しか出ていない。

なお、少し前に書いたが、基本同シリーズは1:72スケールなのだが、IV号戦車系列は、どうやら設計の際に寸法を間違えてしまったらしく、最初のA型は「1:72」表記で出たものの、その後のB型以降は「1:76」表記に改められている。ミニスケールの72と76なんて誤差だよ!なんて開き直ることなく、スケール表示を改めたのは潔いと言えるが、そのため、同一シリーズで2種のスケールが並列するという妙な格好になってしまった。

また、1939年のドイツ・ポーランド戦の1:72両軍AFV/車輛/砲/フィギュアを出している「First to Fight」シリーズは、発売元は違うようだが、キットそのものはIBGが手掛けているようで一部設計データは両シリーズで共通している。

●キット内容。シリーズ共通の構成で、キャラメル箱の中身はプラパーツと、折りたたまれた実車解説の小冊子。小冊子は表紙を含めて16ページ、英語とドイツ語の併記(輸出仕様)。

プラパーツは枝3枚で、デカールが1枚。

20190517_195154 20190517_195140 20190517_195249

Lパーツ(写真1枚目):車体、足回り。おそらくプラパーツとしては、これのみがこのキット専用のもの。

Mパーツ(写真2枚目):砲塔および装備品類。a1/a2/a3型キットおよびA型キットと共通。

Nパーツ(写真3枚目):マフラー、工具箱、スリットのないクラッペ等の小さな枝。A型キットと共通。

デカール(写真3枚目):塗装例2種に対応。ポーランド戦時の黄十字と、フランス戦以降のものと思われる第10師団第7連隊所属車(ステンシルのバイソンと大きな「5」の砲塔番号)。

●車体形状は前型のa1~3型とも、後のc型とも異なっているので、前述のようにb型専用のパーツ。a1~3型とはエンジンルームのディテールがかなり違い、車体長がa1~3型のほうが短い。b型では車体後部が延長され、後の標準型II号(c、A~C型)とかなり近い形状になるが、エンジン上部の傾斜面が後部でたち切れ、後端グリル部分が独立した形になっていたり、フェンダー後半部が後ろ下がりになっていたりと、なお若干の差がある。戦闘室後ろのハッチも、c初期型までの2分割式。

20190521_112602 20190517_195654 20190521_105923

写真1枚目:b型の車体形状、特に後部ディテールはかなり頑張って再現している感じ。車体上下パーツの接合線の隙間が後端グリルに掛かっていて、何か方法を工夫して消すか、放置するかちょっと悩ましいところ。

写真2枚目:車体右側面の2つの燃料注入口の小丸ハッチ、その後ろのエンジンルーム側面吸気口は一体モールドの都合でやや不十分な再現度。これはa1~3型キットでも同様だった。右前部クラッペは、a1~3型キットでは別部品だったが、このキットでは一体モールド。なぜか、後の型の特徴であるはずの跳弾リブのようなモールドもある。

写真3枚目:車体前面に一体モールドされている牽引具と点検パネルは、a1~3型キット(右)と比べて位置がかなりずれている。小パネル上のリベットの数・位置が変更になっているのは実車もそうなのだが(a1~3型は7カ所か8カ所、b型は左右2カ所)、このキットのように、位置まで変更になっているのかどうか……。少なくとも、このb型キットの位置は(牽引具も含めて)ちょっと上過ぎる気がする。

●足回りはa1~3型と起動輪の形状が大きく異なり、後の標準型II号(c、A~C型)とよく似た形状になった。

20190517_195906 20190517_195836

ただし実際には、c、A~C型と全く同じではなく、おそらくファイナルギアケースの形状が違っているためなのではと思うが、b型の起動輪のほうが、後の型よりもふくらみ方が大きい。キットの起動輪はパッと見、後の型と同じくらいのなだらかさで、膨らみ具合が不足しているように思う。上部転輪はa1~3型よりも小径化されており、その辺はきちんとフォローされている。

ただ、よく見ると、a1~3型キット同様、履帯の巻き方が逆方向になっている。ロコ方式の一体成型なのでそもそも大したディテールもないため、それほどうるさく言うほどのこともないかもしれないが。

●砲塔パーツは、おそらく「THE WORLD AT WAR」シリーズのII号戦車すべてに共通のもの。Mパーツの枝に含まれるクラッペは、a1~3型に合わせてすべてスリット付きのものになっているが、b型以降用に、スリットのないフラットな形状のクラッペが別枝(Nパーツ)で用意されている。なお、私の買ったキットでは、砲塔ハッチ上のダンパーのモールドが、片側が型抜き時の事故で?潰れていた。

20190517_195733 20190517_195756

| | コメント (4)

THE WORLD AT WAR 1:72 II号戦車a1/a2/a3型

20180615_224233 ●先日買ったIII号戦車A型の出来が思ったより良かったので、ますます欲しくなったIBGの新シリーズ「THE WORLD AT WAR」の1:72、II号戦車a1/a2/a3型。

先週、仕事で都内に出たついでに下北沢のサニーにまで足を伸ばして、他2キットと合わせて買ってきた。一緒に買ってきた他2つについてはまた改めて。

ちなみに、メーカーのIBG modelsだが、IBGは「INTERNATIONAL BUSINESS GROUP」の略だそうだ。どこぞのコンピューター会社のパクリ名か?(IBM=International Business Machines)というのを通り越して、なんだか架空請求詐欺会社っぽいな……。

●実車について。

a型はII号戦車の増加試作型で、「ENCYCLOPEDIA OF GERMAN TANKS」によればa1~a3型の合計で75輌、「アハトゥンク・パンツァー第7集」によれば、a1:25輌、a2:25輌、a3:50輌の計100輌が生産されたとある。

生産途中で細かく改良が行われたようだが、a1からa3に至る過程で外形的に何か差異しが生じているのか(いないのか)は、よく判らない。なお、「ENCYCLOPEDIA OF GERMAN TANKS」には、a1型10輌の生産の後、「ゴムタイヤ付き鋳造誘導輪」が導入されたという記述があるが、とりあえずweb上で漁った写真10数枚を見る限りでは、ゴムリム付き誘導輪などというものは確認できない。

すでに車体形状は、後の本格量産型とあまり変わらない姿になっているが、車体後部がb型以降よりも寸詰まりで、後の型にはあるエンジンルーム右後端の四角い小グリルがないこと、左後部に大きな円形のグリルがあることが大きな特徴。

足回りは後の本格量産型と違い6つの小転輪を持ち、2輪ずつシーソー式の板バネサスで懸架、さらに外側に補強桁が付けられている(b型まで)。起動輪はa型独特のもの(b型では、後のc型以降とよく似た形状のものに改められる)。

なお、このキットを組んでみて改めて気付いたのだが、a型のみの特徴として、砲塔側面右前部、左後部のクラッペも、中央に突起がある(後の型は完全にフラット)。もっとも、他のクラッペのように視察用スリットはなく、突起は他のクラッペと形状を似せるために設けられているようだ。操縦席右側のクラッペはa型ではスリット付き。ここはb型では視察スリットがないフラットタイプになるが、後の型では再びスリット付きに戻される。

●なぜか箱絵は起動輪がb型っぽいし、砲塔右前部クラッペもb型以降の仕様。操縦手前面クラッペはA型以降のタイプ。いやいや、よく見ると前面に増加装甲取付リベットがあるし。

さらによく見ると、砲塔ハッチから上半身を出している車長の襟の兵科色は装甲科のピンクではなく通信科のレモンイエロー。なんでやねん。いや、1940年以降のバルケンクロイツが描かれているし、通常の戦車部隊から引き上げられて、通信部隊に連絡用に払い下げになった車輛かな? もっとも、デカールはポーランド戦時のマーキングだけで、標準タイプのバルケンクロイツはセットされていない。(再び)なんでやねん。

……という具合に、どうも箱絵はキット内容に不安を抱かせかねないものなのだが、実際の中身は、かなり力の入った内容。

プラパーツは枝2枚。加えて、小さなデカールシートが1枚。そして実車解説・組立説明・塗装解説の小冊子(英・独語)が同梱されている。

20180616_114855 20180616_175414 20180616_114925 20180616_175619 20180616_115120 20180616_115235

モールドはかなりシャープ。足回りこそ履帯含めまるごと一体の「ロコ方式」だが、OVMや各部クラッペなど、上部のディテールはだいぶ細かく別部品になっている。同時に発売されたIII号戦車A型ではOVMはジャッキとS字シャックルを除きフェンダーに一体モールド、操縦手席左側のクラッペも(抜きの関係で形が崩れた)一体モールドだったのと比べると、こちらのほうが再現度は高め。

ただし、それだけ細かくても組立説明は付属小冊子の半ページ。確かに工程としてはそう多くないが、この図だと取付位置、方向などがやや判りにくい。塗装指示用の4面図が取付位置の参考になるが、それでもまだ判断に迷う部分はある。

20180618_220342 20180618_220317

●気になった部分や見どころ等々。

おおよそ、a型の特徴と考えられる部分は過不足なく表現されている。ただ、車体左右クラッペ前方に、跳弾リブのようなモールドが施されている。ここに跳弾リブが付くのは、主生産型になってから(しかもB型以降)のはずなので、削り取る必要がある。

20180616_175245 20180616_175228

上右の写真にも写っているが、戦闘室右側面に大き目のリブ状モールドが2カ所ある。これだけでは「ナンダコリャ?」なモールドだが、資料を見て正体判明。b型以前はこの位置にある、燃料注入口ハッチのヒンジを表したかったらしい。

さらにその後方にも前後方向に長い突起がモールドされているが、これはエンジンルームの通風孔。

20180616_175320

砲塔をFTF(First To Fight)のII号戦車D型のものと比べてみた。もともと「FTFのキットの中身はIBG製」という話はどこかで聞いた覚えがあるのだが、実際に比較してみると、FTFのD型用は周囲のクラッペが一体モールド、このa型用はクラッペが別部品という違いはあるものの、全体の形状、砲塔上面のモールドは瓜二つ。図らずも、両シリーズとも根は一緒、というのが確認できた。

ただし、先日III号A型のレビューで書いたように、FTFは一応、IBGとは別会社らしいので、IBGに委託してキット開発・生産してもらっているという感じなのだろうか?

20180618_220144

もともと表面にパターンのないロコ方式足回りなので、今更とやかく言うほどのことではないかもしれないが、履帯の装着方向が逆。

20180621_130509

組立説明図に誤りあり。戦闘室後方のクラッペのパーツは「W3」と書かれているが、これは正しくはM8。そもそもW3は右側足回りのパーツなので、その点では間違いようがないが、クラッペのパーツはスリット有りのM8とスリットなしのW7とがあるので注意する必要がある。

また、フェンダー上に付くOVM類は、OVM側には取付ポッチがあるのに、フェンダー側には一部を除いて取付穴がなく、位置決めに多少苦労する。上記塗装説明図や実車写真などを見ながら取り付けた。

S字シャックルに関しては、キットの指示(組立説明図や塗装図)では横向きに付けるようになっているのに対し、「アハトゥンク・パンツァー」では縦方向になっている。明確に判断できる写真がなくちょっと迷ったが、最終的には横向きに付けた(下の写真では付け忘れているが、このあと取り付けた)。

また、ワイヤーカッターはキットの塗装図では若干斜めになっているが、これはほぼ真っ直ぐに付けた。実車写真で真っ直ぐなように見えた――と書くとなんだかもっともらしいが、そもそも上方向から写したものではないので、個人的に「なんとなくそう見える」くらいの気分的なもの。

●なにはともあれ、とにかく組み上げてみた。前述のように、同時発売のはずのIII号A型よりも部品分割は細かく、ゲートやパーティングラインを処理するにも保持するだけで一苦労という感じで(しかも2、3度床に落として捜索する羽目になったし)、若干苦労した。

上述の側面の燃料注入口に関しては、流石にモールドのままでは不足を感じたので、それらしく作り直した(百均で買った2mm径のポンチが役に立った)。後方の側面通風孔に関しては、工具箱の陰ということもあってそのまま。

III号戦車の時は機銃を交換したが、今回はIII号ほどは太くなかったので、とりあえずそのままにしている。

20180618_215713 20180618_215728 20180618_222830

いかにも試作車然とした、後方の円形グリルが素敵。

ついでに、前回組んだIII号戦車A型や、FTFのII号戦車D型とも並べて撮ってみた。

20180618_215845 20180618_215927 20180618_220230

| | コメント (0) | トラックバック (0)

エイとナメクジ

20180516_103712 20180516_122441 ●16日水曜日。ちょっと(かみさんが)用事があって横須賀に出掛け、ついでに昼飯を食う。

久しぶりに行ったら、ヴェルニー公園入口の陸奥の主砲は整備が終わって(といっても、この前に見たのは昨年の2月だ)展示状態になっていた。

主砲の上に上らないように注意書きがあり、「そんなヤツぁいねえよ」と一瞬思ったものの、夜に酔っぱらって友人と騒ぎながら通りかかったら上りたい衝動に駆られそうな気もしてきた。

公園の(JR横須賀駅側)入り口脇のヴェルニー記念館では、1:100の陸奥の模型も展示されている。他、かつての横須賀製鉄所のスチームハンマーなどの展示もあり。かみさんとの待ち合わせ前にちょっと覗いただけなので、こんどまたじっくり見に来よう。

●ヴェルニー公園の真向かいは海自の潜水艦用埠頭。今日も変わらず黒ナメクジさんが。とはいえ、X舵の新鋭そうりゅう型ではなく、在来型の十字舵だなあ……と思ったら、左手のほう、ちょっと遠くにX舵がいた。

20180516_104014 20180516_103731

20180516_104134●こちらにほぼ真横の艦影を見せて横切っていく船。番号から検索して、海自の練習艦「かしま」と判明。

横腹の平らな部分が綺麗に平行四辺形になっているのは、機能がどうこうだけでなく、デザイン的に狙ってやったんだろうなあ、という気がする。

後甲板からのナナメは、単に船体外板のラインではなく、その形状通りの斜路になっているそうだ。

20180516_122011 20180516_122009 ●しばらく前に、かみさんがちびとヴェルニー公園を散歩していた際、エイが泳いでいるのを目撃したという。こんな場所にエイなんているのか!?と思いつつも、「それなら探してみよう」と言って歩いていたら、本当に出てきた。

写真は不鮮明でエイだか漂流物だか判らない状態で申し訳ないが、悠々と(この写真で言うと)右方向に泳いで行った。

こんな場所にアタリマエにいるものなんだ,というのにまず驚いたが、帰宅して調べてみたら、東京湾にはアカエイが大量にいるのだそうだ。お台場でアカエイを釣る記事もヒットした。もっとも尾に毒棘があるので安易に手を出すのは危険だそうだ。

……考えてみればせっかくバラの時季のヴェルニー公園を歩いて、バラの写真を1枚も撮っていない。

●タミヤのII号戦車c、A~C型のキットは、エンジンルームのヒンジが凹、凸とあるうち、凹が外側になっているが、これはソミュールのc改修型を参考にキット化されたためで、量産型(A以降)は逆向き(凸が外側)になっている――という話は、確か(今は閉鎖されてしまった)尾藤満氏の「Panzer Memorandum」で読んだのだと思う(元をたどればトラクツあたりかもしれないが、II号戦車の巻は読んだことがない)。

その後、漠然と「そういうものなのか」という認識でいたのだが、TFマンリーコさんのところでその件につき(曖昧なままに)コメントをした機会に、ちょっと調べ直してみた。

とりあえず、(現存車両の写真を見ても、記録写真を見ても)F型では確実に凸が外側のようだが(写真)、初期型II号に関しては、どうも「いつから逆転したか」がはっきりしない。もともと場所が車体後部上面という「写真に写りにくい場所」なので、当時の記録写真ではなかなか確認できず。また確認できても、今度はそれがc型なのかA型以降なのかがよく判らなかったりする。

数少ない、鮮明にヒンジが写っているなかの1枚がこれ。わずかに写っている砲塔上面ハッチが両開きなのでC型以前なのは判るが、それ以上のことは(私には)判らず。ヒンジはすでに凸が外側になっている。

あるいはこの写真。こちらは逆に凹が外側。クラッペのリベット形状から見るに、おそらくB型中途以前の生産車らしい。リングガードはA型中途からの装備のはずだが、これはc型にも追加で装着された可能性があり、決め手にはならないかも。

また、これとほぼ同じ特徴を持ち、さらに、右フェンダー後部支持架が大きい車輛の写真もあった。私の認識では、後部支持架が大型化されたのはA型からなので、それが間違えていなければ、A型でもなお凹が外側の仕様のものがあったことになる。

さらにもう一つ。ベオグラードのカレメグダンに展示されている現存車両は操縦手用クラッペ形状からA~C型であると判るが、エンジンルームヒンジは凹が外側。後面や操縦席左クラッペ形状は初期型なので、A~B初期と思われる。

……そんなわけで、どうもc型からA型の時点でスッパリとヒンジの方向が切り替わったのではなく、少なくともA型の初期あたりではまだ凹が外側だったのではないか、というのが、現時点での私の推論。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

First to Fight 1:72 II号戦車D型

●先日実家に行った帰り、横浜のVOLKSに行ったら、再生産が掛かったのか、FTFの1:72、II号戦車D型(FIRST TO FIGHT 1:72 Pz.Kpfw.II Ausf.D)が入荷していたので、ついつい購入。

20170422_183811 20170422_183844

先日買ったPRAGA RVはシリーズ番号34、II号D型は12なので、比較的シリーズ初期の製品ということになる。そもそもII号D型のミニスケールのインジェクション・キットは、これがおそらく初・唯一のもので、車種自体も割と好きなので気になっていたのだが、出たころに買い逃してそれっきりになっていたのだった。

20170422_183933 ●というわけでごく簡単なキット・レビュー。

プラパーツは全体で枝1枚。PRAGA RVが大小3枚も入っていたのに比べると、部品点数としてはだいぶ控えめな感じ。

一方、私はこれまで同社のキットはポーランド軍ものしか買ったことがなく、そのどれもデカールは入っていなかったが、これは珍しくデカール付きだった(ドイツ戦車のキットの場合はどれも基本入っているのかもしれないが)。デカールの内容は国籍マークの白十字のみ4つ。

このシリーズの装軌式車輌共通の特徴として、足回りは履帯まで含めて一体のロコ形式。当然、スプロケットに噛み合う穴や、履帯表側の細かいリブ表現などはないが、反面、センターガイドは(綺麗に抜けたりはしていないものの)穴開き表現が施されていて、横方向から見た時の精密度は高い。

20170422_184129 20170422_183956

また、当然そうなっていなくては困るが、起動輪・誘導輪はいわゆるD1型(初期型)形状。転輪も含め、雰囲気はなかなかよい感じ。

車体上部は戦闘室上面が別パーツで、砲塔下側部の張り出しを表現している。操縦席・無線手席横のクラッペやエンジンルーム横のグリルは一体抜きのため、ちょっと不十分な表現。一方、フェンダーの滑り止め表現はなかなか細かく、この点ではかなりオーバースケールなタミヤ35のII号戦車よりいいかも。

20170422_184105 20170422_184045 20170422_184201

フェンダー上の細かいパーツでは、きちんと軽戦車用ジャッキが、それらしい形状で別パーツで用意されているのが良い。

砲塔は、側面クラッペが一体成型のためちょっとメリハリの足りないモールド。(写真には写っていないが)左前部側面に僅かにヒケがあった。

主砲・同軸機銃は防盾と一体成型だが、とにかく機銃が太すぎるのはなんとかしたい感じ。

20170422_184237 20170422_184152

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧