I号戦車

I号戦車の履帯

●15日金曜日。

午前中、パソコンを立ち上げてとりあえず仕事のメールチェックを使用と思ったら、サーバーに繋がらない。

「あれ? メールサーバー不調?」と思ったら、事務所のメールサーバーだけではなく、JCOMのメールも開けない。あれれ? ネット自体繋がってないじゃん!!

とりあえず、モデムの電源を引っこ抜いて、しばらくして繋ぎ直してみたり、パソコン自体を立ち上げ直してみたりと、お約束の一通りをやってみたが復旧の気配はまるでなし。スマホであれこれ検索してみようと試みるも、スマホもうまくネットに繋がらない。あれ?wi-fiもおかしい? JCOMの回線自体トラブってる?

なんだかんだジタバタして、結局どうにもならず、JCOMのサポートに電話しようと、固定電話の子機を取り上げたら、親機がダウンしている旨の表示。あれ? 電話もダメ? ……ってことは!

階下に降りて確認してみたら、かみさんがカーペットを干すだか何だかでテレビその他を動かしていて、その過程で、我が家の回線関係の大本のコンセントが引っこ抜かれていた。

四苦八苦していた小一時間を返せ!

――久々にコンセント一つ、回線一本で仕事も何も立ち行かなくなってしまう恐怖を味わった。

いざというときに代替で仕事できる環境をそれなりに身近に確保しておかないとなあ。

20211011_182436 ●数日前の夜。

近所の公園にタヌキがおったぞな。

しばらく前にも同じ公園で目撃していて、その時は、体中の毛が抜けてゴワゴワの肌がむき出しになった謎生物姿だった(ダニ疥癬症によるもの)。今回はそれよりだいぶ毛があるが、同じ個体が若干回復したのか、それとも別個体なのかはよくわからない。

ちなみに中央右上のカエルの水飲み台脇に、もう一匹目が光っている!と、ラインで写真を見せた知り合いが言っていたが、実際には「もう一匹」ではなくて、カエルのお腹から突き出ている水道の蛇口が反射しているだけ。

去年、一つ向こうの山で(昼間に)遭遇したタヌキの話と動画はこちら

●基本、模型は模型屋で買うことが多い。

今の世の中、ネット通販で買った方が欲しいキットの買いそびれはないし、むしろ通販のほうが安かったりもするのだが、それだけに、通販に慣れすぎるとあれもこれもとタガが外れてしまいそうで怖い、というのが理由の一つ。いやまあ、それだけの小遣いの元手もないけれど。

もう一つは、やはり店頭でキットの山を前にして物色するのが好き、というのが二つ目。地元逗子の模型屋は壊滅状態ではあるけれども、仕事で街へ出たついでに大きな模型屋に寄れるのは、首都圏在住者の贅沢でもある。

――なんていう建前でいつつ、ついつい(そしてたぶんものすごく久しぶりに)amazonで買い物。

購入したのは、T-Rex Studioの「Pz.Kpfw.I TRACKS Early type(I号戦車用初期型履帯)」。私としては、先日入手したCHINO MODELSのTKS用履帯に続いて、モデラー人生2度目の3Dプリント製品。

実は先日、下北沢のサニーに行ったときに(前回記事)、あれば買おうと思っていたのだが、残念ながら扱っていない由。(「TAKOMの後期型履帯ならあります」と勧められたのだが、それも中身はT-Rex製らしい)。

そのうち、秋葉原にでも行ったときにあれば買うかなあ、くらいに思っていたのだが、「そもそも、どこか扱っている模型店はあるんだろうか」とネットで検索してみたら、通販のM.S modelsに一つだけ!在庫があった。この時点で「どこかで見掛けたら買おうかな」が「これを買い逃したらもう入手できないかも」に意識が切り替わってしまい、“ショッピングカート”に放り込んで……どうせ滅多にしない通販を頼むなら、ついでに何か頼もうかと物色している何分かの間に……在庫切れに!

うっわ。

これでますます「今買わねば」スイッチが入ってしまって、ちょっと探してみたら、amazon上にまだ残っていた。というわけで、あわてて注文した次第。踊らされてるなあ。

なお、品物は水曜日に注文して、「お届け予定」は15日金曜日だったが、翌日の木曜日にはもう届いた。ちなみに製品の箱は7×7×4cmで、手のひらにすっぽり入るくらいの小さいものだが、届けられたamazonの箱は、タミヤの小さ目な1:35戦車・車両のキットが3つは収まりそうな感じ。その昔、

「♪あ~あ~、無駄にでかいボール箱~。
あ~あ~、横にアマゾンの~、マーク~♪」 ((c)ワンカップP)

と、メイコ姐さんが歌っていた通り。

さて、モノはこんな感じ。

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モデルカステンの可動式I号履帯と似たような、「クリッカブル」と「ピン挿し」の折衷型のような形式で、片方は履板にモールドされている突起に引っ掛けて繋ぎ、反対側はピンを挿すというもの。どちら側にピンを挿すかで、履板は右用・左用に分かれており、別々の袋に入っている。挿すピンはカステンのものよりずっと長く、履板中央のかみ合わせを超える長さがある。ピンそれ自体も3Dプリント製品。履板の成形そのものはシャープで美しい。

それにしても、そもそもI号戦車用の連結履帯なんて、別売の履帯製品の中ではかなり小さい部類なのだが、CHINO MODELのTKS用履帯を苦労して繋いだ(と言ってもまだせいぜい20リンク弱)あとでは、「うわ~デケぇ~。扱うの楽~」と感じる。

試しに何枚か繋いでみた。

連結時の精度については、噛み合わせがすんなり入る場合と、ちょっとヒネリを利かせてねじ込まないといけない場合あり。若干の(見た目では判らないほどの)変形や誤差はありそう。ピンも素直に奥まで入る場合と、途中で引っかかってなかなか入らない場合があった。箱には「2時間で完成」と誇らしげに書かれているが、本当かよ……。ちょっと不安。また、ピンはMaster Clubのレジンピン/リベット類のような、「最後のテーパーでキュっと締まる」感はなく、接着無しでは場合によっては抜け落ちも発生しそうな不安も少々。

●ちなみに、I号戦車用履帯は、モデルカステンの可動式でもガイドホーンの形の違いでA型用、B型用の2酒類が出ているが、これは確か、ガイドホーンの形状(アウトライン)の違いによるもの。

今回私が買った「初期型履帯」はさらにそれ以前のもので、ガイドホーンにおむすび型の穴が開いている。T-Rexのほかには、Master Clubのメタル製のものが出ているらしい。

すでにポーランド戦の頃には穴無し履帯が用いられているので、普通に作る分にはキット付属の履帯とかカステンの履帯とかで十分なのだが、中国陸軍が輸入使用したものは、輸入時点ママの穴開き履帯なので、このタイプがぜひ1両分は欲しかった。存在を知った頃はまだMaster Clubの製品もT Rexもなく、「履帯の1枚ごとに穴開け加工するなんて無理~」と、げんなりしていたのだった。

とはいっても、中国軍のI号戦車A型、いったいいつ作るんだ……。

●仕事の締切山盛りセール中であり、模型製作はまるっきり停滞中。

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Spanish Panzer I (18)

●ブレダ20mm搭載I号戦車A型改(Panzer IA Breda とか、Modificado とか、web上でも呼び名が一定していない)、新しい鮮明な写真が出てきたことに伴う改修工作。

砲塔前面の傷を補修した際にだいぶ削れてしまった周囲の溶接跡を再生。カバー部を作り直した防盾を取り付け、上下のボルト/リベット列、砲耳軸部などを工作。

また、砲身途中にある小防盾に関しては、下辺をまっすぐ切り欠いたような形状になっていることが判ったので作り直した。砲身先端の照星部分は接着してあったのだが、あまり苦労なく抜けたのがラッキー。

というわけで、改修前と改修後を写真で比較。

before(再再掲)

F1011285 F1011286

after

F1014285 F1014289

なお、先の実車写真をよくよく見ると、砲塔前面の右側に、皿ネジが上下2本あるようにも見える(下画像、黄枠で囲ったあたり)。左側にもあるかもしれないがこちらは写っていない。汚れか何かのようにも見え、悩ましいところで、作例では(今のところ)表現していない。

F1014289b

また、砲身根元の箱状パーツの再現に関しては、作例と新写真とでは差異があるが、これは作例のようにカバー?か何かを付けた写真が別にあるのでそのままとした。

●一応、これで新資料に基づく改修は終了したので、以下に再度全体写真を。今後はビッカース水陸両用戦車の製作(塗装)に戻ることにする。

F1014279 F1014284


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Spanish Panzer I (17)

●第一に作業を進めるべきは軽戦車コン(K-con)参加作のビッカース水陸両用戦車なのだが、仕事は滞っているし、塗装は何かと(個人的に)ハードルが高いので停滞中。

そもそも表面のエッチング面積がそれなりにあるので、今回は珍しくサーフェサーを吹こうと思っているので、まずサーフェサーを仕入れてこないといけない。

●そんな傍らで、I号戦車ブレダ搭載型の改修作業はちまちまと続行中。

F1014207 砲の基部は、「なんとなくそれらしく作ってあったものの、微妙に全部違う」といった体のものだったので、まったく作り直しをする。これまでなかった、防盾部を鮮明に撮った写真が出てきたとはいっても、流石に現代の博物館車両のwalkaround写真のようにはいかないので、なおある程度は想像(妄想)を働かせる必要はある。

そんなわけで、作り直したものが右。きっちりノギスなどで精度を出しつつ作業をしているわけではなく、多分に目分量の工作なので、これだけじっくり見るとだいぶ「有機的」な出来。特に砲身とロッド、2カ所の穴の間のディテールが、新しい写真でも微妙にはっきり判らない部分。

砲身の上、照準口にかかる部分には窪みが付けられているようにも見えるが、多少迷ったものの(少なくとも現段階では)窪みを付けていない。

F1014204●防盾は、外部のカバー(特に開口部の四隅)形状が違っていたこと、照準口形状が違っていたことで、まずはモールドを一度全部削り落として作り直した。

防盾外部カバーは例によって0.3mmプラバンの細切りを四周に接着。照準口部分は一度大き目に穴を開け、プラバンで塞いで表面処理をしたのちに小さく四角く穴を開けた。

照準口の左右には、非対称位置にネジがあるようなので、穴を開け、エバーグリーンのロッドを加工して植えこんだ。一応、マイナスのネジ頭の溝は切ったが、眼鏡をかけてもよく見えていないので、自分でもどこまで再現できているかよく判らない。

F1014200 ●そして現在の主要パーツ群。砲塔前面は、分解作業によって若干傷がついたので、サーフェサーや(部分的に)瞬間接着剤などで傷を埋めてやすってある。その際、エッジの溶接跡再現がだいぶ落ちたので、今後若干の補修が必要。

あとは防盾を砲塔前面に取り付け、上下のリベット/ボルト列の工作と、砲耳軸/フランジの追加など。

前面左右に埋め込みネジが2カ所ずつ(写真に写っているのは右側のみ)あるようにも見えるのだが、これは確証がないので反映するかどうか未定。

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Spanish Panzer I (16)

●すでに工作的には一段落ついたと思っていた、ブレダ20mm搭載のI号戦車A型(この車両を何と呼んでいいのかいつもちょっと悩む)だが、セータ☆氏から、

「ミシリン(Axis)に、スパニッシュ・ブレダI号の、防盾周りのクリアな写真が」

という驚愕情報が(セータ☆さん、どうも有難うございます)。

というわけで問題の写真はコレ(そのうちリンクが切れるかもしれないが)。

うぎゃーー。なんじゃこりゃー!

●ちなみにこの写真は、David Doyle著、「German Panzer I -- A Visual History of the German Army’s WWII Early Light Tank」(Ampersand Group刊)という新刊に掲載されているものらしい。出版元の案内ページはこちら

それにしても、80年も経って、出てくるもんは出てくるもんなんですなあ……。

●というわけで、以前、「工作終了」とした段階の防盾周りの形状は以下のような感じ(再掲)なのだが……。

F1011285 F1011286

一応、少ない写真資料から作ったにしては「大外れはしていなかった」と言っていいのではないかと思うが(自画自賛)、それでも新たに発掘された写真と比べると、いくつも差異が見つかる。

  • 防盾周りは四周にフランジがあるように工作したが、実際には上側にしかなかった。またそのフランジも、外部防盾からつながっているというより、L字材をくっつけたような感じにも見える。
  • 上側フランジは作例よりも幅が狭く、砲塔上面エッジに達していない。
  • 防盾取り付けボルトは上辺が4つ(一応数は合っていた)、下辺が5つ。下辺は砲塔前面に直接ボルト頭があるようで、幅もほぼ前面一杯。
  • 砲耳軸(軸カバー?)の突起はもう少し小さかった。
  • 砲基部の形状が微妙に違う。逆さ盾形のベース(左右対称なら4カ所にボルト)に、小判型の凸部。さらにその表面にも微妙なディテールがあるようだ。
  • 砲の直上に照準口(たぶん)が開いているのは合っていたが、断面形状が四角い。
  • その左右、非対称にネジ頭。
  • 砲身中央に付いている小防盾の下辺が平らに処理されている。ただし、ここも丸いように見える写真もあり、個体差があるかもしれない。

ちなみに砲身の上の箱状のものは、私の工作したものはおそらくカバーのかかった状態で、カバー無しに見える新たな写真のものとは大きさその他に差があって問題はない(はず)。

●これがもう塗装も終えてしまったなら、「いや、まあ、ギリギリでこの新しい写真が出てくる前に作ったんでねえ。はっはっは」で済ましてしまうところだが、幸か不幸か塗装前。

まあ、塗装後に出てきたとしたら「なんでもうちょっと早く出てこなかった!」と悔しがったと思うので、幸か不幸かと言えば「幸」なんだけれど。

というわけで、この新情報をいち早く反映すべく、再工作に取り掛かることにした。

可動部などもなく、割とがっちり接着してしまったので、もしかしたら砲塔前面をざっくり切り刻む必要も出てくるかと思ったのだが、意外なことに、それほど損傷させずに防盾部をはがすことができた。

F1014146

もちろん、「K-CON(軽戦車コンペ)」の最中なので、ビッカース水陸両用戦車の完成が第一目標なのだが、それと並行してこちらもこつこつ作業したい。

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Spanish Panzer I (15)

SUMICON2015、本日締切。

案の定というか何というか、数度の中断の遅れは取り戻せず、未完成で終了。とりあえず塗装前の工作のみ完了、ということに。

●前回からの続きの細部工作最終局面について書くと、車体前面がホーン周りの工作、前面フックへの外れ止めの片蝶ネジの追加、および前部マッドフラップの取付架の工作の3点。

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ホーンは基本、キットのパーツ(本体+らっぱ部分)で、取付架部分を削ってプラバンで新造。コードを追加した。コードの取り回しは割といい加減。

前面フックの外れ止めはモデルカステンのインジェクションパーツだが、ただでさえ部品が小さいのに取付箇所が面倒でちょっとてこずった。ちなみにこの外れ止めは、戦時中の実車写真を見ると、紛失してしまっている例もそこそこあるようだ。

マッドフラップ取付架は、たぶんアベールあたりは割とまともなパーツが用意されているのではないかと思うが、例によってプラバンで工作。0.3mm板でベースを作り、前面に伸ばしランナーで突起(1枚目が製作途中写真)。上側にプラ材を削ったヒンジ(に見立てた単なる突起)。

Pz101実物を図解すると、右のようになる(各部バランスは適当)。

黄緑:取付架ベース
青:固定用小ボルト(3箇所)
紫:マッドフラップ位置決め突起
緑:レバーヒンジ
黄色:マッドフラップ固定用レバー(可動)
オレンジ:マッドフラップのツノに掛ける輪(可動)

一応実物の仕組みを説明すると、マッドフラップ側の受け金具を先端の突起(紫)にはめ込み、かつ、車体前端ギアバルジにあるボルト頭に金具を止めて位置固定。さらに、黄色のレバーを起こし、オレンジの輪をマッドフラップ側のツノに引っ掛けて、再度レバーを倒せばパチンと固定される(はず)。

作例では、(実車でもここが取れてしまっている例がままあるようなので)レバー周りは潔く省略した(自作でこれを作るのはかなり面倒なので)。ボルトも小さすぎるので付けていない。結局、きっちり取付架のディテールを再現することはできず、全体として「なんとなくそれらしいものがある」程度の表現になってしまった。

●砲塔前面の追加工作は、ハッチダンパーと砲基部の若干のディテール追加。

ダンパーはコントレールのプラ棒とプラパイプ。砲基部は、もともと鮮明な写真がなくほとんど妄想の産物なのだが、なんとなくそれらしく工作。照準口がどこかにないとおかしいので、砲の直上に穴を開けた。

F1011285 F1011286

ここに照準口があるように見えなくもない写真がある、程度の根拠であって、実際のところは、もっと鮮明な写真が発見されない限り判らない。なお、この場所に照準口があった場合、直前の箱に視野を遮られてしまいそうだが、これは、何らかの照準用器具にカバーが掛かっている状態なのではないかと考えることにした。

「ことにした」、というのがなんとも加減。そもそもここに何か付いているのはブレダ20mmM35の特徴なので、よく調べれば用途は判明しそう。

●そんなこんなで、工作完了写真を以下に。最後の数枚は、ここ何年か、塗装前段階で放置してあるルーマニアのR-35駆逐戦車(Vanatorul de Care R-35)で、魔改造軽戦車の揃い踏み。

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Spanish Panzer I (14)

●いつまでもちまちました工作が終わらない、I号戦車(スペイン改造型)製作記。SUMICON締切まであと約1週間。仕事もだいぶ切羽詰ってきたので、完成は無理っぽい感じ。あうう。

F1013829●車幅表示灯の工作。尾藤満氏によると、これは初期ドイツ戦車共通の規格品であるらしい。

エッチングの切れっ端で取付架を作成、ライト本体はキットパーツをくり抜き加工(最終的にネイルのジェル(光硬化樹脂)でライトを入れる予定)、0.6mm真鍮パイプと細いエナメル線でコード部を付けた。

本来、この取付架は2つのビスだかボルトだかでフェンダーに固定されていて、ABERあたりのエッチングでは当然それも表現されているのだが、どのみちライトに隠れてあまり見えないので手を抜いた。

F1011141実際の取付はこのような感じ。

コードの引き込み部は車体の端よりも若干内側にある。正確な位置はなかなか掴みづらいが、実際にはもうちょっと上側かもしれない。コードはぴったり車体表面に這わせてあるわけではなく、意外にいい加減な処理。

車体中央に付く前照灯もベースはキットのパーツだが、ちょっと前後に浅過ぎる感じなので、前面にリングを貼り増した。リング状の追加部は、タミヤ48のマーダーIIIの足回りパーツの枝に入っていた筒状のパーツ(A-16)がちょうど径が都合よかったので、スライスして使った。

車体前部の電装品ではホーンが未工作。

F1011161●アンテナはどのみち畳むつもりでいたのでお手軽に伸ばしランナーでもよかったのだが、なんだか弾みで真鍮線から削り出してしまった。

モーターツールが手元にないので、サンドペーパーとサンドべらで真鍮線を挟んで、指で真鍮線をしごいて製作。ちょっと太いかも。

アンテナ基部は、キットのパーツを元にプラ材を貼って長さを増したり、プラパイプの輪切りでリング状のパーツを付けたり。

●車体後部のディテール工作。

ジャッキ台は装甲板の曲げ部あたりに付けられた架台に載せられていて、上部の取っ手をスプリング付きフックで止める仕組みになっているらしい。

F1011156 ジャッキ台そのものはキットのパーツを元に一度表面ディテールを削って、裏側に0.3mm板を張って厚みを増した。「たが」の部分はショウモデリングのIV号戦車OVMエッチングパーツから。

架台は0.3mmプラバン。上部のフックは細いエナメル線、エッチングの切れっ端、プラペーパーなどで工作したが、細かすぎてとてもその通りの再現などはできず、結局、「なんだか適当にそんなようなものがある」レベルにしかならなかった。

ピントルのチェーンはいつものように、エナメル細線を撚ってつぶしたもの。フェンダー後端には、後部マッドフラップは付けない予定なので、その取付用のベロだけを追加した。穴がちゃんと横一直線に揃っていないのがちょっと恥ずかしい。

尾灯はキットパーツのまま。新しい知見だと、カバー透明部は盛り上がっているのが正しいそうだが、手元にパッと使える正しい形状のパーツがないし、あとあと気が向いたらジェルでも盛り上げればいいか、くらいの感じ。

●足回りの後部ボギーの両側には、作動範囲を押さえるためのダンパー(ストッパー?)がある。トライスターのキットにもパーツが入っているのだが(D-15、旧版・新版共通)、なぜかこれが、外側のビームに付く分しかない。

F1011139 本当は車体側にも同じパーツが付いているはずで、しかも不思議なことにトライスターの車体下部パーツ側面にはその取付穴がモールドされているにもかかわらず、部品は不足していて、(当然ながら)説明図にも描かれていない。

仕方がないので、キットパーツを参考にプラ材でほぼ同じ形状の部品を2つ作成し、車体側面に貼り付けた。

●前後ボギーを外側で連結するビームは、本来、かなり薄い鋼板で作ったコの字断面のパーツなのだが、トライスターのキットのパーツは分厚く彫が浅くて印象が悪い。

より精度を求めるなら専用のエッチングパーツを投入すべきところだが、もともと今回の製作は旧版キットベースでもあるし、お手軽にイタレリのパーツを流用することにした。イタレリのパーツも彫が深いとはいえないがトライスターよりはだいぶマシ。

F1011162実際には、トライスターのボギー軸間隔とイタレリのビームとでは僅かにズレがあるのだが、接着固定してしまうのであれば誤魔化し可能な範囲。軸部ディテールは、もともとトライスターはパーツ化されておらず、イタレリは本来は8角ナットであるところが6角ナットだったりするので、プラ材・プラバンで追加工作した。

前述のダンパーパーツに関しては、ビームに付く側はキットパーツを使ったが、使用に際して削り直して形状を多少いじった。そのため、元形状に合わせて作った車体側と不揃いになってしまった。反省。もっとも、車体側パーツは転輪に隠れてあまりよく見えないので、作り直しはしない。

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Spanish Panzer I (13)

●すっかりご無沙汰続きのSUMICONネタ、I号戦車(スペイン改造型)製作記の続編。

五十肩で右肩が痛だるく、仕事も盛大に滞っているので、I号戦車の製作も半月以上ストップしてしまった。SUMICONの締切である10月末日に間に合うかどうか、大いに怪しくなってきた。とりあえず、工作だけでも終わらせようと、製作を再開して努力中。

前回の時点で、なんとか車体の全体形を仮組できるところまで進んでいるので、あとはやり残しているあれこれ細部を詰めていく作業となる。

F1013740F1013725●アンテナケースを製作。キットのパーツはなんとなくそれらしく出来ているのだが、脚部の間隔が実車と違い、重なって置かれる長いバールとの位置関係がおかしくなる。なお、スウェーデンの博物館に現存するA型にはアンテナケースが付いているが、よく見ると形がおかしく、レストア時の新造パーツであるらしい。

この博物館車輌のアンテナケースは裏表がどうも同形のようだが、当時の実車写真では、少なくとも一番後ろの脚は表側しかないことが確認できる。長バールを装着する際、アンテナケースの裏側から差し込むようにできていると判断、裏側はキットパーツに準じた形にした。0.5mmプラバンで製作。

F1013734●フェンダー上に装着する工具類は、キットのパーツはどれも微妙に形が違っていて悩ましい。

・長バール:アンテナケースの下に装着するもの。キットパーツは基本丸棒状だが、実際には、途中から四角断面になっているらしい。タミヤ48マーダーに付属の角バールにプラバンを貼って厚みを増し、それぞれ長さを調整して、キットパーツと継ぎ合わせた。

・短バール:尾藤満氏の製作記事ではこれも角断面に作り変えているが、当時の写真で見ると丸断面でよいようだったのでキットパーツを使用することにした。しかし、実際にジャッキと並べて装着してみると、中央の止め具位置が後ろ過ぎるようだったので、削って留め具を新たに作った。

・シャベル:キットパーツを使用したが、先端の半月形カバーの形状を手直し。また、柄の先端がタガがはまったような形になっていたので削り直し、ダマ状にした。

・オノ:上の写真に写っているのキットのパーツの柄を若干切り詰め、刃先のカバー部にベロを加えたものなのだが、実際にフェンダー上に並べてみると、刃の長さ(高さ?)がだいぶ不足していた。結局、タミヤのII号から流用することにした。

F1013741F1013742●ジャッキは、キットのパーツを元に少し手を加えた。

後期型の大型ジャッキには、取っ手が折り畳み式のものもあるが、この型は、収納時には取っ手を一度外してひっくり返し、邪魔にならないようにしているらしい。

取っ手はキットパーツが単純なL字型になっているものを、ちょっとそれらしく曲げてみたのだが、もしかしたら実物はこんな曲がり方ではないかもしれない……。

F1013782●消火器は、尾藤満氏の「Panzer Memorandum」の「資料室」に記事があり、実物の寸法が出ていて、それによれば、このタイプ(K3)は「直径11cm、高さ(長さ)54cm」だったらしい。

それに従えば、キットのパーツは心持ち細く、長さは明らかに不足している。尾藤氏はB型製作記でタミヤのパーツを元に太めに作り直しているが、私的には太さは許容範囲だったのでキットパーツを利用。お尻(頭?)の部分を作り変えて延長した。

●そんなこんなで、フェンダーに乗る工具類は用意できたので装着。

しかしここでまた問題発生で、ジャッキと抱き合わせ装備されるワイヤーカッター(タミヤII号戦車から流用)とジャッキの長さが合わない。どうもトライスターのジャッキが短めなのが原因のようで、結局、上の状態からまたもう一度、端部分を削って1mm延長した。取っ手のある面のリングも、一度モールドを削り取ってずらしてある。

F1013788F1013787抱き合わせ装備のややこしい形状の留め具を工作して装着したのがこの状態。

キットにも、ジャッキ中央の留め具はパーツ化されているのだが、本来一体のワイヤーカッターの留め具は付いていない。ジャッキの両端の留め具は自作、中央の留め具はキットパーツを半分使った。片蝶ネジはモデルカステン。厳密にすり合わせせずに工作したので、短バールのクランプとジャッキの留め具が干渉してしまった。

●左フェンダーはシャベル、オノ、消火器が付く。消火器はちょっと凝った土台の上に装着されるのだが、どうもよく形が判らなかった。シャベルは一段浮いた状態で、その下にオノが付く。クランプの取っ手は、たまたま手近にあったショウモデリングの「PANZER IV vol.1 OVM」エッチングセットに入っていたものを使用。ただし、そのままでは大きすぎてバランスがおかしくなるので切り詰めた。

F1013778 もっと凝るならジェニーのクランプなど投入すべきところなのだが、その他の場所の解像度を考えれば、個人的には「取っ手が付いてりゃ充分」な感じがする。土台となるフェンダーもキットのままだし。

そんなこんなで、再び仮組して全体形の記念撮影をした(順番が前後していて、全体写真の状態ではまだ右フェンダーの工具が載っていない)。解説もなしにいきなり砲が砲塔にくっついているが、その辺はまた後ほど。

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Spanish Panzer I (12)

SUMICONネタ、I号戦車(スペイン改造型)製作記の続き。砲の製作。

●この改造型は、イタリア製ブレダ20mm砲(Breda 20/65 Mod. 1935)を搭載している。もともとは軽対空機関砲だが、スペイン内乱当時の軽装甲の戦車相手なら、十分強力な武装だったはず。なお、wikipediaによれば、ドイツの20mm機関砲、FlaK30や38とは弾薬が共通だそうだ(ゾロトゥルン系の20mm砲弾)。

L6やAB41の主砲として使われている……といっても、模型製作上、砲身の先が共通なだけなので流用対象外だが、機関部まであるベアなタイプがイタレリのAS42サハリアーナに入っているほか、ロバだか馬だかが牽引する単体キットもある(ただし、そちらは店頭で見たことはない気がする)。

もっとも、そこから砲身周りだけ流用するとごっそりパーツが余ってしまうし、そうまでして使いたいほどシャープなパーツではないので、コツコツ自作することにする。

●単純に「きれいな丸棒」を使いたい場合はエバーグリーンかプラストラクトがいいのだが、砲身に使うには柔らかすぎて曲げてしまいそう。適当な細さでテーパー加工しやすそうなパーツを探して、結局、フジミ76のPaK40の砲身を削ることにした。

ただし、最初はイタレリのパーツを参考に1本まるっとテーパーをつけて削ればいいのかと思っていたのだが、実物写真を見ると明らかに途中で太さが違うので、結局前後分け、後ろ側は別材(たぶんカステンのランナー)て作って接いだ。

砲身下のロッド(というかガスパイプ?)はコントレールのプラ棒。フラッシュハイダーとその後ろのリングもやはりコントレールのプラパイプを削ったもの。

F1012922 F1012924

と、ここまで作って、I号戦車改に搭載のものは中途に小さい防盾が付けなければいけないことを思い出す。フラッシュハイダーとリングが未接着で差し込んであるだけだったので助かった。

F1012991小防盾は円筒の表面を切り取った形状をしていて、最初は0.3mmプラバンを熱して型押ししようと思ったのだがシワシワになって上手くいかず、エッチングの切れ端も面倒くさそうで、結局、ドラゴンのM10パンターの不要部品(おそらく元のG型の排気管カバー)を切り抜いて縁を薄く加工した。

砲身後半の上部に変な箱状のものが付くのはブレダ20mmの特徴だが、I号改に搭載のものは、ある程度鮮明に写っている写真で見る限り、現存の砲や、イタレリのパーツのそれとちょっとディテールが異なっている。もしかしたら、カバーをかぶせた状態なのかもしれない。

ひとまず加工の終わった砲身と、イタレリのパーツの比較は以下。

F1012988 F1012987

●1枚目の写真にあるように、カステンの履帯の整形と繋ぎも並行。トライスターのI号A型は、旧版キットはカステン製、新版キットは(契約が切れたのか、それともバルクで仕入れたパーツがなくなったのか)自社製の履帯が入っている。

F1012923ディテールそのものには特に優劣はない感じだが、塗装の手間を考えると、非可動のトライスター製より可動式のカステンのほうがありがたい。

製作中、やけにプラがパキパキと硬くもろいのが気になった。以前にもカステンの何かの履帯のランナーを加工していてそう思った。もともと硬くもろいプラを使っているのか、それともプラが劣化しやすいのか、ちょっと気になる。

キット指定の枚数は87~88枚だが、87枚だとちょっときつすぎる感じ。つなぎ終わった記念に、足回りを仮組して全体形の写真を撮ってみた。

F1012950 F1012953

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Spanish Panzer I (11)

SUMICONネタ、I号戦車(スペイン改造型)製作記。とにかく8月前半の猛烈な暑さにはすっかり参ってしまい、ほとんど製作が進まなかったこともあって、久々の報告。

前回前々回で砲塔のかさ上げ工作を行ったので、今度は防盾を作る。

ブレダ搭載回収型の防盾は、ごく大雑把に言ってしまえば、標準のI号戦車のものを大型化したような(むしろヒンジ用の切り欠きなどがない分、さらに単純な)形状の内部防盾となっている。

基本、砲の上下動などは最初から諦めているので(面倒なので)、半円筒に防盾カバーを貼り付ける形で工作をする。

F1012755b内側の円筒は、普通に考えれば適当な太さのプラパイプか、あるいはそれにプラバンを重ねて太さを調節したものを使うのだろうが、そこそこ都合のよいパーツが手元にあったので、それを使った。

タミヤの48、ロシアンパックのマーダーIIIの展示台取り付けナット固定用カバーのパーツで(右写真黄色で囲ったA9)、もちろんこれでは横幅が足りないので、2つ割りにした上で、さらに径がほぼ等しい、35ヴェスペの転輪内側パーツ2枚分を挟み込んだ。……なんというか、素直にプラパイプを使うよりもずっと余計な手間を掛けているような気がする。

Iatur抜きのテーパーが掛かっていることもあって表面を若干削り込んで滑らかにした後、防盾カバー部分を0.3mmプラバンで工作した。

最初は左側のように枠型に切り抜いたプラバンを貼ったのだが(実際にはこの通りではなく、上下部分は長めに残して、貼ってから削る工程を踏んだ)、歪んでしまって上手くいかなかったので削り落とし、結局、右側のように4辺をそれぞれ別のプラバン細切りでつくり、さらにコーナーに極小の三角のプラバン片を貼って、後から表面を整えるという、ずいぶんとプリミティブな方法を取ることになってしまった。

F1012696なお、この方法だとコーナーがrではなくカクカクとしてしまうことになるのだが、なにぶん細かい部分なのでよほど目を凝らさなければわからないし、そもそも、実車も「少なくとも単純に直角の角にはなっていない」程度しかわからない。

そんなこんなで、出来上がった防盾の基本形状が右写真のような感じ。

●さらに、これを砲塔前面に取り付けるフランジ部分を工作する。

とにかく、このあたりがはっきりと分かる鮮明なクローズアップ写真があまりなくて苦労するのだが、一応、

  • 砲耳軸をカバーする出っ張りが左右にあり、
  • さらにその出っ張りも含めて、外周すべてにフランジがあり、
  • フランジ上下に取り付けボルトの頭がそれぞれ1列並んでいる。

F1012754ということは何とか読み取れるので、それらしく工作する。工作法は結局防盾カバーと似たようなもので、四周をそれぞれ細切りプラバンで作り、軸カバー部分の出っ張りに対応した部分は後から足して、その後継ぎ目を処理した。

ボルト列は4つとしてあるが、実際には、不鮮明な写真からは4つなのか5つなのか、今ひとつはっきり読み取れない。なお、軸カバーはちょっと実際よりも大きくなってしまったかも。もちろん面倒なのでもう作り直さない。

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Spanish Panzer I (10)

SUMICONネタ、I号戦車(スペイン改造型)製作記。スペインにおける改修型のキモである砲塔工作を続行中。

F1012182●前回、天井のかさ上げ工作をした砲塔本体にディテールを追加。具体的には、

▼各部の溶接跡を追加。
相手は軽戦車なので、なるべくおとなしい感じに収まるよう、細い伸ばしランナーを使用し、さらに、潰して刻み目もつけた跡で、一度やすり掛けして均す感じにしている。

▼ハッチ、クラッペを取り付け。
もともとトライスターの戦車キットとしては第一弾なので、キットとして多少こなれない部分もあるということか、車体のクラッペは穴に対してきつめで若干の削り合わせをしたのだが、砲塔側は逆にユルかった。

▼クラッペ周囲のネジ穴追加。
車体同様にビーディングツールの押し付けで再現。また、クラッペ周りとは別に、真後ろに2つネジ穴がある。これはおそらく、車長用シートの取り付けネジ。実車写真でも、クラッペ周りのネジ穴と比べ目立つので、こちらはピンバイス(0.4mm)で穴を開けて伸ばしランナーを挿し込んだ。

▼吊り下げフックの工作。
車体部と同様、キットパーツを削り込んでフックを再現。したのベロは0.4mmで2箇所の穴を開けた0.3mmプラバン。車体部のフックを作ったときよりもだいぶ慣れて、比較的短時間で3箇所工作できた。

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