35(t)/R-2 パーツチェック
●TACAM R-2の製作からちょっと寄り道して、LT vz.35系のパーツチェックなど。
御存じのドイツ軍呼称、Pz.Kpfw.35(t)だが、チェコスロバキアにおける本来の制式名称がLT vz.35で、LTはLehký tank(軽戦車)の頭文字、vz.はvzor(式・年式)で、ポーランドのwz.34装甲車のwz.=wzórと同じ。さすが同系統の言葉。
転輪が沢山あって一見大きな戦車に見えるが、形式名の通り実際は軽戦車そのもの。前後には長いがシャーシ幅はI号戦車より狭い。私も最初に1:35のキットを入手した時には、「わ、小さっ!」と思った。
LT vz.35系のキットは、インジェクションのフルキットがCMK/Special ARMOUR、アカデミー、ブロンコの3社から出ている。
CMKからは、基本形となる戦車型のほか、指揮戦車型、砲塔を撤去した牽引車型、TACAM R-2、T-11(ブルガリア向け輸出型、LT vz.35との違いである主砲と砲塔前面はレジンパーツで付属)を発売。幾種かはアップデートパーツ付きの豪華版も出ている。最初の戦車型キットの発売は1996年(scalematesによる。以下同)。うわ。もう30年も前かー。
OEMでタミヤからも一時発売されたほか、scalematesの記事が確かなら、一時レベルから発売されていたものも中身はCMKらしい(アカデミーのものかと思った)。現在は数種がspedial ARMOURブランドで出ているらしい。
アカデミーは戦車型と指揮戦車型を発売。戦車型はエアフィックスからもOEM販売されている。戦車型の発売は2013年。
ブロンコからは、戦車型と砲塔無しの牽引車型、指揮戦車型、東欧小国軍仕様(LT vz.35/R-2)が出ている。戦車型の発売は2014年。なぜか最初の戦車型はBRONCOとSKP modelの「連名」表記で発売されていて、SKP modelの箱でも販売されていたらしい。どういう経緯でそんな格好になったのかは不明。共同開発? なお、その後のバリエーションキットはブロンコのみのブランド表記になっている。
ブロンコの「東欧小国軍仕様」はルーマニア向け輸出仕様であるR-2専用のパーツ(砲塔など)が追加されているほか(元の砲塔もそのまま入っている)、スロバキア軍、ルーマニア軍、ブルガリア軍、ハンガリー軍のデカールをセット。ブルガリア軍車輛はドイツ経由で受け取った中古35(t)で、ブルガリア独自仕様(元はアフガニスタン向け)のT-11用のパーツは入っていない。ハンガリー軍は正規にLT vz.35は輸入したり供与されたりはしていないはずなので、スロバキア建国時の紛争で鹵獲したものか。
私はCMKの戦車型とTACAM R-2、ブロンコの東欧小国軍仕様を持っている。アカデミーのキットは持っていないので何もコメントできない(みやまえさんが作ってサス可動にしていた)。
- パッションモデルズのインジェクションの転輪・上部転輪セット。
- 同じくパッションモデルズの別売砲身。これは真鍮挽物の砲身と、レジンの駐退機部分のセット。
- 同じくパッションモデルズのZB37機銃の銃身・スリーブのセット。
- RBモデルの別売砲身。こちらは砲身・マズルブレーキ(消炎器?)のみで、駐退機は入っていない。
このほかにモデルカステンの可動履帯も1セット持っているのだが、棚の奥にあってすぐには出てこない。
●いくつかの気になりポイントの比較など。
▼砲塔
1枚目写真は右からCMK、ブロンコ(標準型)、ブロンコ(R-2用)。R-2用は砲塔前面も異なるパーツが用意されている。微妙にサイズが違うか、あるいは装甲板の突き合わせが異なっているのではと思われる。
2枚目はCMKとブロンコ(標準型)。実はLT vz.35の実車の各部の組み立てはずいぶんややこしく、リベットとネジがあちこちで細かく使い分けられている。ブロンコのキットは一応、その区別をしているが、CMKは適当。ブロンコはスライド型を割と贅沢に使っていることが、そうした表現に貢献しているが、CMKは当然スライド型など使っていないので、金型の抜きの関係で(金型を基準にして)縦面のリベット/ネジ表現はだいぶ頼りない。
ちなみにブロンコの「東欧小国軍仕様」キットには前述のように標準型砲塔も入っているし、それとは別に、多分イエローサブマリンのパーツばら売りコーナーで「砲塔+D枝」を手に入れてしまったので、我が家にはブロンコの標準型砲塔が2つも余っている。ひとつはCMKのキットを(いつか)組むときに使ったろ……。
3枚目写真はキューポラハッチの両社比較で、CMKのものはブロンコよりだいぶ小さい。2枚目写真と実車の側方からの写真を見比べると判るが、CMKのキューポラは割と縦長な感じで、要するに径と高さのバランスがややおかしいかも。
▼主砲
1枚目写真はCMKの消炎器。左右分割で、細かく穴のモールドを表現すべく頑張っているが、接合線の処理など面倒臭そうで、さすがに今となっては使いづらい。
2枚目はブロンコ。インジェクションながらスライド型を使い、非常にシャープかつ繊細にモールドされている。これならアフターパーツ要らないな……。
3枚目はパッション。厚いビニール越しなので不鮮明なのは勘弁。4枚目はRB model。ブロンコのパーツの出来が良いので(しかもインジェクション・プラで扱いやすいので)この2つの砲身は何時使うことになるやら。
ちなみに、この主砲(37mm シュコダA-3/ÚV vz. 34戦車砲)の元になった牽引タイプの対戦車砲、KPÚV vz.34の1:35インジェクションキットもSpecial ARMOURから出ていて、それも持っているのだが、その消炎器のパーツは穴が表現されていなくてつんつるてん。前述のパーツばら売りで手に入れて余剰になっているブロンコのパーツから、消炎器を切り取って移植の予定。金属砲身のほうを使わないのは、砲身長が違って砲身自体が使えなくてもったいないため。
▼車載機銃
1枚目はCMK。機銃本体とカバーが一体モールド。カバーは穴無し(左)と穴有り(右)が選択式だが、いずれもだいぶお粗末な出来。
2枚目はブロンコ。これまたスライド型を使って銃口や機関部も細かく表現。銃本体とカバーは別で、ここには穴有りカバーしか写っていないが、穴無しカバーも別枝で用意され、選択式になっている。なお、穴無しカバーは東欧小国軍仕様のキットで新たにパーツ化されたものらしい。
3枚目はパッション。カバーは穴無し型のみ。下側に小さく見えるのは照準器らしい。
なお、この機銃の銃身の放熱フィンは単純な円盤状ではなく、カバーとの干渉を防ぐ意味か、部分的に削り取られているらしい。パッションは円盤状のようだが、実はブロンコのパーツでは直線部もちゃんと表現している。
▼履帯
1枚目がCMK、2枚目がブロンコ。CMKは部分連結式。履板の中央に押し出しピン痕を兼ねた丸いモールドがあってちょっとみっともない。ブロンコは一応パチハメ式で可動を想定しているらしいが、ちぎれずにきちんと繋がってくれるかは現時点では不明。モールドは上等。
▼転輪
1枚目がCMK、2枚目がブロンコ、3枚目がパッション。
確かにCMKの転輪はやや表現がプリミティブではあるものの、「どうしても取り替えたい、取り換えないと見劣りがする」ほどかなあ、という気もする。それよりも、サスペンションをアフターパーツで出してくれた方が有り難かったような。
ちなみにCMKとパッションは、最前部の補助転輪も同じパーツを使えということのようだが、実際には、補助転輪はごく僅かに形状が違う。ブロンコはきちんと別パーツで対応している。
▼サスペンション
1、2枚目はCMK。3枚目はブロンコ。
CMKはサスアームの表面に押し出しピン痕があるし、リーフスプリングもおざなりな表現。ブロンコはそのあたり、かなり繊細に表現されている。
ただしスプリングは本来、最下部2段に加えて結束バンドが巻かれる部分の段は端部が直角に切り落とし、そうでない段は両端に斜めに切り落としがあるという構成なのだが、ブロンコのパーツは最下部2段以外の全段に切り落としがある表現になっているようだ(よくよく見ないと判らないくらいの違いだが)。
▼面構成
最後はまとめて、CMKの車体の構成でちょっと不満な点。
CMKの戦闘室前面装甲板は、操縦席上面の装甲板に被さる形状。確かに多くの戦車ではこういう処理だが、LT vz.35の場合はちょっと変で、前面装甲板に上面装甲板が被さる形になるのが正しい。ブロンコのキットではちゃんとそのような処理になっている。
なお、1枚目写真で前面装甲板に丸パッチが貼ってあるのは、TACAM R-2ではどうやら車体機銃は装備されていないらしいため。本来なら周囲のリベット列まで覆う大きさのパッチを付けるべきだが、どうも当時の写真では、周囲のリベット列はそのままのような感じだったので。とはいえ、パッチの輪郭線が見えにくかっただけ、という可能性もあり、今後作り替えるかも。
ついでに。戦闘室前部側面は、操縦席側(右側)だけ視察スリットがあるのだが、CMKではまるっと存在が無視されている。ブロンコでは当然表現されている。
3枚目写真はエンジンルーム後端。CMKのキットでは、装甲板のエッジではなく、本来は1枚板で繋がっている部分にパーツの接合線が横一直線に入ってしまっている。リベット列があるのでそのままでは接合線が埋めづらく、どうやら、後端のリベット列は諦めて、接合線を消してから再生することになりそう。
なお、R-2ではエンジン後面が真っ平らな1枚板になっている車輛もあり、この際そのように作り替えることも考えたのだが、その「1枚板の後面板」が、この台形に出っ張った部分をそのまま切り取った位置でいいのか、もうちょっと後ろなのか、判断が付かなかったので、とりあえず見送り。そういえば、MBI社刊の“ŠKODA LT vz.35”には、R-2の図面も出ていたはずだが、今は山に埋もれて出てこない(ダメダメ)。
▼上部転輪(追記)
写真も撮ってあったのに書き忘れた。
上部転輪軸の基部は、CMKでは三角形(△)、ブロンコでは逆三角形(▽)と、なぜか反対向き。これは現存実車で確認できる限り、ブロンコの方が正しい。しかし組むとほぼ目立たない部分なので、わざわざ修正する気になれるかは微妙。










































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