STZ-5

STZ-5砲兵トラクター スベズダ 1:35

●前回、再び手を付け始めた中華民国陸軍のヴィッカース6t戦車&スロバキア陸軍のLT-38について、「復活の製作記も近々」と書いたのだが、その前に一つ。

Img20250708011958 先月あたりまで、ブログ更新も長々とサボっていた間にちまちまいじっていたキットのレビュー半分製作記半分。ネタは、昨今なかなか手に入りづらいロシア・ズベズダ製のSTZ-5装軌式トラクター。

scalematesによれば、発売は2022年。おぼろげな記憶では、「発売されるよ~」のニュースがあって、「これは欲しいかも」と思ったとたんにロシアのウクライナ侵攻が始まってズベズダ製品はめっきり入手難になってしまい、そのまま諦めていたもの。先日(といっても数か月前だが)たまたま店頭で見かけて衝動買いしてしまった。まあ、心情的にはロシア製品よりウクライナ製品を応援したいところだが、実際、RODENとかICMのキットのほうをたくさん買っているので堪忍してつかあさい。

●実車は(英語版wikipediaによれば)、スターリングラード・トラクター工場において、1937年から1942年にかけ、9900輌以上が生産されたという(キットの説明書によえば9944輌)。

兄弟分であるSTZ-NATI-1TA(STZ-3)とはボンネットタイプかキャブオーバーかの違いで、足回りはおおよそ共通だが、STZ-5では若干の改修が入っている(-3では転輪がゴムリム無し、履帯のピッチがもっと大きい、など)。

東部戦線の悪路における装軌式トラクターの有用性は鹵獲したドイツ軍にも高く評価され、同様のコンセプトのシュタイヤーRSO開発の参考になった、というような話もどこかで読んだような記憶があるが、これはRSOのwikipediaの記述にもなく、実際に「参考にした」のか、「参考になったのかもしれないねえ」程度の話なのか、私には何とも言えない。

1:35のキットは過去、VULCANからも出ていて(10年以上前)、これもなかなか小粋なキットだったようだが、起動輪の歯数が違うなど至らない点もあって未入手だった。同時期、Riichからもアナウンスされたものの、こちらは結局発売されずに終わったはず。

そんなわけで、最近、(総じて仕上げがやや無機的というか画一的な感じはするものの)特にソ連物に関しては考証・ディテールに優れたキットを出しているズベズダの新キットには、ちょっと期待をしていたのだった。

●買ってきて、しばらく部品を眺めた後、早速組み始めてしまった。

パーツ枝の写真は撮っていないが、通常プラのパーツが5種6枚(主に足回りのDパーツが2枚)、透明プラパーツが1枚。プラス、小さなデカールシート。

で、キューピー3分間クッキングではないが、いきなりそこそこの形になった状態がコレ。

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後の塗装の便を考えて、大まかに部分ごとに組んで載せてあるだけ。シャーシ、キャビン(本体、前面、天井)、荷台、幌を分解できるように組んである。

ちなみにキットは、荷台の幌を完全に畳んだ状態・幌骨だけ装着した状態・幌をかぶせた状態の3択で組めるようになっている(下写真)。あとは、シャーシ前部のバンパーが長タイプ・短タイプの2択。上掲写真ではバンパーはまだ取り付けていない。

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そもそも詳細な寸法データなど手元にないし、あったとしても、ソフトスキンのキットの場合なかなか形状をいじるのは難しい。細かなディテールに関しても、特にあれこれ言うほどのところも見つけられず。そんなわけで、基本は素組みで、さっさと形にしてしまった。「どこかいじることで、『自分が作った感』を味わいたい」私としては、やや消化不良な感じ。

●以下、製作時に気になったところ、気付いたところ、いじったところなど。

装軌式のソフトスキン車輛、ということもあって、パーツ数の大半/細かなディテールの大半は、シャーシに集中している。

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エンジンと伝達系もそれなりに細かく出来ているが、組み上がってしまえばほぼ見えないし、手を加えるだけの資料も乏しい。後述するが、エンジン横のパネルを取り付けずに覗けるようにするなら、エンジン回りのパイピングくらいは追加したいところ。

妙に凝った構造の牽引具回りも、必要十分な出来だと思う。ウインチの作動用……なのかなあ、ギアボックスに繋がるレバーとロッドの中間部分が途切れていたので、そこだけは補った(4枚目写真、ウインチの右側に小さく写っているベージュの棒)。

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現存実車を見ると、履板のパターンには数種あるようだが、キットのパターンは接地面のリブがちょっと多めのタイプ。それ自体はいいが、ちょっとメリハリに欠ける印象。リブパターンがもうちょっとシンプルな、たぶん最も一般的なのではと思えるタイプの別売の金属連結履帯がMasterClubから出ているが、個人的にはそこまで張り込む気にはならないなあ……。いずれにしても、MasterClub製品自体が現在は入手しづらい。

なお、キットの履帯は部分連結式だが、途中に挟む一コマのパーツ(D29)は一つ減らしてちょうどいい長さだった。

転輪は、饅頭型の穴が開いているが、この車輛の特徴として一つだけトンガリ頭で大きい点もちゃんと表現されている(VULCANのキットでは表現されていなかった)。セータ☆さんが以前書いていたが、これはどうもハブ軸部分にあるグリースポイントへのアクセス用らしい。キットの転輪は内側と外側で穴の位置を揃えるようなダボの類は何もないが、実車では揃っているのか、ズレていて構わないものなのか、ネット上の現存実車写真を見てもいまいち確認できない。

誘導輪は実車写真ではもうちょっと大きいように見えるものもあるのだが、これも私には確認手段なし。

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キャブオーバー形式のため、キャビンのど真ん中にエンジンボンネットがある。エンジンボンネットのサイドパネルは別部品(左右共通でD35)だが、どうやら実車では中央から2分割されているようなのに、キットパーツは表面に筋彫りも入っていない(しかし裏側には分割溝がある。謎)。中央から2枚に切り分けた(写真2枚目)。

そのまま両側閉めてもよかったのだが、前述のように、エンジンがそれなりに細かく出来ているので、助手席側のサイドパネルは取り付けず、最終的にはドアも開いた状態で作って覗き込めるようにしようかと構想中。もちろん、そのためには、エンジンのこちら側の側面にはパイピング等、若干のディテールアップが必要になる。

現存実車のwalkaround写真を見ると、運転席の下にはバッテリーボックスが置かれているようだが、キットにはパーツが含まれていない。ただ、戦時中の写真でキャビン内を覗き込んだような写真は手元にはないので、当時の実車で本当にここにバッテリーボックスがあったか、確証はない。まあ、組み上げて、こちら側のドアも閉めてしまえばほぼ見えくなる部分ではあるが、おざなりな追加工作で席下に箱を追加した。

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ラジエーターグリル左右側面上下の溝には、縦方向のボルト頭を追加(たぶんグリル枠の固定用)。上下溝の間の側面には横方向のボルト頭を2つ追加したが、このボルト頭は戦時中の写真では(この部分が鮮明にわかる写真が無くて)存在をはっきり確認できず。現存実車では、ボルトが付いているもの、付いていないもの、ボルト穴だけが確認できるものなどあり、そもそも標準仕様として付いていたのかどうかも、実はよく判らなかった。もしかしたら余計な工作だったかも。

フロントウィンドウは(写真では取り付けていないが)内側枠を含めて透明部品で別パーツとなっており、一応開状態でも組めるのだが、本来は枠左右に付いている、角度を決めて固定するストッパー機構はまるっと省略されている。できれば追加したいところ(フロントウィンドウを開けるなら特に)。

キャビン後ろには、燃料タンクとオイルタンクと水タンク?、右側にはエアフィルター、その上に消火器?が装着されている。燃料タンク等を固定しているベルトがベタにモールドされているのが表現としてイマイチ感があるものの、組み上げるとキャビンと荷台に挟まれて、どのみち頂部しか見えない。

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荷台は側面の折り畳み椅子を出した状態・畳んだ状態を選ぶことができる(上写真は取付前)。

前述のように、幌/幌骨を完全に畳んだ状態、幌骨のみ付けた状態、幌を展開した状態の3種から選ぶことができる。上の荷台内部の写真で、前面に3つ並んで付けられているのが畳んだ状態の幌骨。

その手前の長持のような箱は椅子を兼ねた物入で、畳んだ幌本体もこの中に収納されるらしい。

広げた幌は5パーツを貼り合わせるものだが、皺もそれなりに実感があり、組み立てた幌がすっぽり荷台にはまる。上記の「幌の3状態」の選択のうち、うるさいことを言わなければ、組んで塗ったあとで、幌付きと幌/幌骨を畳んだ状態を気分で切り替えて楽しむなどということも可能。

ただし実際には、この車輛の幌は裾部にぐるりと布テープが取り回されており、布テープ前端は側面アオリ板前端の金具に止め、幌側面と後面とは下端で布テープが連続している。展開状態でそれらを追加再現しようとすると、幌は固定したほうがよいことになる。

なお、STZ-5の荷台の側面のアオリ板は、キットのように上部に隙間を設けているタイプと、(おそらく)同じ高さだが上まで隙間なしに板が貼られている(そして前部の燃料タンク部分には被らない)タイプの、少なくとも2種がある(もっとあるかも)。

荷台の底面には、ギア部のメンテナンス用のパネルがあって、キットでもここは別部品。取り外した状態で組むと、なかなか複雑に再現された機構を観察できる。

●若干、「このパーツとこのパーツがどう連続するのかよく判らん」的なところもないわけではないが、総じて良いキットで、この手の車輛が好きな方なら手に取って損はないと思う。……はよロシア、ウクライナ攻めを諦めんかね。

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