7TP

7TP軽戦車(単砲塔型) IBG 1:35

20210516_162033 ●仕事で都内に出掛けたついでに秋葉原に寄ったら、すでにVOLKSにIBGの7TP単砲塔型が入荷していた(YSにも入ったようなのだが、すでに売り切れていた)。

フィギュアと金属砲身付の限定版も一緒に並んでいたが、通常版(とはいってもフルインテリア)のほうを購入。というわけで、ざっとパーツチェックなど。

実車は、イギリス製のビッカーズ6t戦車のポーランド・ライセンス生産型(ポーランドはオリジナルのビッカーズ6tも使っていて、そちらはCAMsからキットが出ている)。ビッカーズ6tとの大きな違いはスイス・ザウラー社設計のディーゼルエンジン(こちらもポーランド国内でライセンス生産)に換装されてエンジンルームが大きくかさ上げされていることと、主生産型はスウェーデン・ボフォース社の37mm戦車砲搭載の独自形状の砲塔を搭載していること、など。7TPは「ポーランド製7t級戦車」の意(ただし実際には10t近い)。

より詳しくは、

などを参照のこと。

●パーツは、通常の(色付きの)プラパーツが大小12枝。透明プラの小さな枝が1つ。加えて、エッチングとデカールシートが1枚ずつ。

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写真1枚目(Aパーツ):車体基本パーツ。双砲塔と単砲塔の別がある戦闘室上面と、初期型車体と後期型車体で異なるエンジンルーム後面は別枝。というわけで、今後発売予定の双砲塔型ともおそらく共通のパーツ枝。

写真2枚目(B、Cパーツ):ともにエンジンなど車体内部パーツの枝。個人的には、中身はなくてもいいから、価格を抑えてくれた方がよかったな……。まあ、今後、中身なしの廉価版が出る可能性もあるのかもしれないけれど。

写真3枚目(F、G、Jパーツ):FとJが砲塔および戦闘室上面。Jはスライド型を用いて砲塔側面モールドを一発で抜いている。Gは後期型車体のエンジンルーム後面とマフラー。

写真4枚目(K、O、Pパーツ):写真は1枚ずつしか撮っていないが、この3種の枝は各2枚入り。Kはボフォース37mm砲弾と機銃弾薬箱(後者は双砲塔型用?)。O、Pは足回り。履帯はいわゆる「リンク&レングス」式で、上側は上部転輪配置に合わせて僅かに垂れた状態が再現されている。

写真5枚目(M(透明)パーツ、エッチング、デカール):エッチング中、最も面積を占めているのは主砲用の弾薬箱。外回りのパーツで必要不可欠なのはフェンダーステイとかエンジンルーム上面のメッシュとか……(後者については後述)。デカールは部隊マークやら中隊マークやら計器盤やら。部隊マーク等々は1939年戦役では描かれていないほうが普通のはず。キットの塗装指示でも1939年戦役時のものはマーキングなし。

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説明書はカラー印刷だが、組立説明部分は基本モノクロ。3枚目写真はインテリアの塗装指示。車内色が迷彩色と同じサンドだというのは初めて聞いた、気がする。

●気になった点など。

▼何カ所かにヒケが出ていた。車体基本パーツでは、エンジンルーム上面、エンジンルーム後面の上部など。そこそこ重要な部分にヒケが出ているのを嘆くべきなのか、車体側面や前部上面などもっと目立つところに出ていないのを喜ぶべきなのか。ヒケた部分はリベットその他のモールドもあるので、そのまま「埋めて削って」はしづらい。プラバンで作り直すか、悩ましいところ。

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写真1枚目がエンジンルーム上面。前部のルーバーと後部のメッシュグリル(が付く穴)に挟まれた中のパネルでややヒケが目立つ。写真2枚目は車体後面板。全体に裏面のフレームのモールドに対応してヒケが生じているが、特に上部で大きい。3枚目は車体前部上面板で、ここは幸い全くヒケは出ていない。

一方、足回りでも転輪ボギーにヒケが出ていた。

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こちらは御覧のように、片面で大きくヒケていて、もう片面はあまり目立たないので、ヒケの大きい方を裏に回せば何とかなるかも。

▼膨らんだカバー状のサスアームは、ビッカーズ6t系の他社キットで一般的な左右分割ではなく、スライド型を用いた一発成型(左写真)。スプリングはオリジナルのビッカーズよりも強化された7TP独特のもの(右写真)。

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ただし、スプリングは実車写真と比べると、ちょっと縦横比が違う(縦幅が大きすぎる)気がする。強化された、最下部に一枚足されたスプリング板は、本来は上部と隙間があるが、キットのパーツではその三角部分は窪んでいるだけで穴は埋まっている。また、このスプリング版は実際にはもうちょっと厚みがあるはず。

▼履帯のパターンはこんな感じ。

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うーん。再現度はちょいイマイチかなあ……。

▼車体側面は、原型のヴィッカース6tと大きく異なる、かさ上げされたエンジンルーム側面と一体。そこそこいい感じ?

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内側はインテリア再現に対応してフレームのモールドがあるが、押出ピン跡も結構大胆に多数ついている(これは車体底面も同様)。私自身はあまり真面目に内部を作り込む気がないが……。なお、上部転輪軸に対応して内側は穴が開いているが、ここはエッチングで塞ぐパーツが用意されている。

▼砲塔パーツは前述のように側面をスライド型で成型。

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7TPの砲塔側面はリベット止めではなく、マイナスネジが使われている。右側のクローズアップ写真でかろうじて判ると思うが、キットは一応、マイナスネジを表現している。偉いぞIBG! ……が、通常の丸頭リベットほども突出しているのは実車と異なり、実際はもっと平たい感じ。やすって平たくするのは簡単かもしれないが、そうするとマイナス溝も消えてしまう(現状で方向が揃っているのもおかしいと言えばおかしいが)。

また、砲塔裾部、ハカマ部分のネジはどういう理由でか上下方向の型でモールドされているため、成形の都合上で涙滴形になってしまっている。

▼砲身はスライド型を用いて砲口が最初から開いている。

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多孔式のマズルブレーキは(当然)穴は開いていないが、もともと非常に細かい穴なのでそれほど気にならないかも。ちなみに金属砲身付の限定版では、マズルブレーキはレジンのパーツが付いているらしい。

▼エンジンルーム上面後方のグリルメッシュは、実車では凸型に型押しされている。

キットのエッチングパーツでは、メッシュのパーツを折り紙のように組み立てる形式になっているが、実車では普通に1枚の金網が盛り上がっているだけなので、いかにも「パンチングボードを折りました」的なこのパーツとはだいぶ印象が異なる。

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かつてのAberの(MIRAGE用の)エッチングパーツにも同様のものが入っているが(右写真の右下に写っているもの)、キットのよりは多少マシ、程度。

●1:35の7TPキットと言えば、MIRAGE HOBBY(旧Spójnia製)のものがあったが、さすがに「まだポーランドが共産圏だったころ」に開発されたキットなので(と考えると逆によく出来ているように思えてくるが)、それに比べれば今回のキットは格段の進歩が見られる。

とはいっても、手放しで「さすが最新キット、傑作!」と褒めるほどいい、というわけではなく、「う~ん、IBGかあ。熱意はそこそこあるメーカーだけれど、技術がちょっと追い付いてない感じなんだよなあ」という事前の印象通り、と言えるかも。ああ、CAMsのビッカーズのレベルで7TPが出ればなあ。

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