SOMUA MCG5

ソミュアのケグレス(14)――塗装(ひとまず)完了

●本日6月30日は、「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」の(1カ月延長された)最終日。

私の参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)は、なんとか以下の姿まで漕ぎつけた。

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実をいうと、前照灯のライトレンズを入れていない!とか、100%完成とは言い難い部分もあるのだが(クロームシルバーがビン底で固まっていて、綺麗に銀を塗れていないため)、とりあえずSUMICON的にはこれで投了ってことで勘弁してつかぁさい。

●全体塗装に関しては、前回述べたように、タミヤの缶スプレー、AS-24「ダークグリーン(ドイツ空軍)」の一発吹き。これにクレオスの「Mr.ウェザリングカラー」のスポットイエロー(こちらがメイン)、フェイスグリーン(こちらはごく少し)でウォッシング。さらに油彩のバートンとアンバーでウォッシング。

あとは、「どんなに(私のような)塗装素人でもこれを使えばなんとか見られるようになる」お手軽兵器、タミヤのウェザリングマスターのAセットとEセットを適当に。これで、単色でも何となく色彩ムラの表情が出てくるとともに、全体的にもやや明るくなる。

とはいっても、塗装手順はきっちり私の中で体系化されているわけではなく、いつもながら行き当たりばったりで、上記の「トッピング」あれこれの順番も適当。かつやり直しもアリ。

●幌の外側は、上記の缶スプレー吹きの後で、タミヤエナメルのオリーブグリーンとレッドブラウン、バフの混色で上塗りした……が、乾いてから見直すと、「ほとんどオリーブドラブのビン生塗装?」。わざわざ混ぜた意味なし。

実際にフランス軍車輛の幌布って何色?という、確実性のある資料等は手元になく(当時のモノクロ写真だと、車体に合わせて迷彩してある例も多いようだ)、ソミュールの展示車輛なども参考に、「なんとなく布っぽくカーキ方向に振ろう」という以外の何の根拠もない。

●細部塗装の(個人的に思うところの)ミソ部分は、30年代のケグレス方式の独特の構造・パターンの履帯の塗り分け。

この履帯はソミュアだけでなく、ユニックやルノーFTケグレス=インスタンあたりともパターンはほぼ同一。残念ながらソミュールのソミュアMGCの実車はなんだか珍妙な流用履帯を履いているが、幸い、ユニックP107はオリジナルの履帯が残っている。以下はwikimedia commons、"File:Unic P107, Musée des Blindés, France, pic-9.JPG"(Alf van Beem)から切り出し加工したもの。

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布もしきはゴムのベルト式履帯、というのがケグレス方式の特徴のひとつだが、初期のいかにもゴムベルト然としたものと違い、この形式の履帯は、

  • ゴムベルトのベースに
  • 接地面には金属(鉄)製のコの字断面のシュープレートを並べ、
  • さらにその中央にゴムパッドをボルト止め。

という構造になっているらしい。

そんなわけで、作例もなんとなくそう感じられる表現を心掛けた(と、偉そうに言えるほどの塗装ではない)。

まずは全体をゴム色として、フラットブラックにレッドブラウンを混色したものを塗装。さらに接地面は中央のゴムパッド部分を残し、左右の金属シュー部分は、メタリックグレイにレッドブラウンを混色したものを塗装。どのみち、キットの接地面のモールド自体も不確かなものなので、ここで注意深く塗り分けるなどということはせず、あくまで「ざっと塗る」程度。

その後、油彩のアンバーを薄く溶いて足回り全体をじゃぼじゃぼウォッシング。これによって、「自然に塗り分けを誤魔化す」。

ウォッシングがおおよそ乾いてきたら、パステルの赤茶の粉を、細い綿棒の先で金属部分の窪みに、次に黒エンピツの粉を金属部分のエッジに擦り付け、あまり単調にならないよう若干の表情付け。さらにタミヤのウェザリングマスターのグレーやタン系の色でゴムパッドのエッジを目立たせて修了。

せっかく塗ってもほとんど隠れちゃったらもったいないな……などとも思ったが、荷台と履帯とが結構離れているので、合体後も割と見える。

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●なお、前回、

取り外し-塗装-再固定の過程で、プラペーパーのベルトが切れてしまうのではと心配していたが、なんとか(取り扱い不注意で)一カ所を切っただけで済んだ。

と書いたのだが、その後あれこれ弄り回している過程で、固定ベルトが2カ所切れ、さらに幌前方縦列のベルトの「ベロ」部分が、缶スプレーの基本塗装の被膜で厚く硬くなっていたのが災いして3カ所で折れてしまった。

固定ベルトに関しては裏側で瞬着で固定。前方の縦列ベルトに関しては、折れた部分はバックルも一度削り落とし、再度バックル&ベルトのベロを作り直して再接着した。なお、作り方に慣れが出てきて、ベルトのバックル部分は今度のほうが美しく正確に四角くできた。……この経験、この先に活きることがあるのか?

●追加でさらに数枚のクローズアップ写真。

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1枚目:屋根の「牽引状態表示板」はデカール。デカールストックの束の中から掘り出した、ハセガワ・モノグラム(旧オーロラ)のソッピース・キャメルのデカールシートの国籍マークから青と黄色をそれぞれ切り出して重ね貼りした。なぜそんなシートを持っていたのか――おそらくホビーショーのハセガワブースのジャンクコーナーで買ったのだと思うが、なぜそんなものを買おうと思ったのか自体が謎。シートの端はだいぶ黄ばんでいた。

窓ガラスはタミヤの0.2mm透明プラバンからの切り出し。屋根のひさしの影になっているせいで、フロントガラスは下半分しかないかのように見えるが、実際は上下2枚で、実車は上半分が跳ね上げ式。ドアガラスは左右とも中途半端に引き下げた状態にした。

2枚目:みやまえさんに「人力エッチング」と褒めてもらったSOMUAのエンブレムは、真鍮製という想定で金色に。ただし、明るい色に写っている写真があるのでそうかも?程度の根拠で、銀色とか白とかの可能性もありそう。

3枚目:自作したシャーシ後面は、少なくともキットのパーツよりは「それらしい」見た目ではあると思うが、実際にディテールとして正しいかは不明(今回はそんな場所ばかり)。右のフックは伸ばしランナーからの自作物。左フェンダーのナンバープレートは本来は黒地にトリコロール+番号ではないかと思うが、この大きさに貼れる小さな白数字が今のところ見つけられない。

4枚目:左端縦列の留めベルトのうち、上二つが上述の「いじっている間に折れてしまったのでバックルごと作り直し」の部分。

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ソミュアのケグレス(13)――塗装開始

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

●締切まであと数日。「え?今頃?」という感じではあるが、なんとか塗装に入った。

部屋の中で繊細なエアブラシ塗装ができる環境ではないので、基本塗装は最近定番の缶スプレー。

フランス軍車輛の基本色のグリーンに関しては、タミヤの一連のキットの塗装指示では、XF-58オリーブグリーンか、XF-51カーキドラブ(ルノーUE)が指定色となっている。しかし、タミヤの缶スプレーでは、この両色は出ていないようだ(それはそれとして、タミヤカラーは、エナメル/アクリルは共通だが、缶スプレーやラッカー系は番号体系が別らしい。なんでこんな不便なことをしているのか謎)。

私のイメージ(あくまでも個人的イメージ)としては、フランス軍車輛はあまりドラブっぽくない、「緑っぽい緑」な感じなので、いくつか見比べたなかで、ドイツ空軍用ダークグリーン(AS-24)を買ってきた。

缶スプレーは割と食いつきもよいし、そもそも暗い色なので隠蔽力も高そうだったので、今回はサーフェサーなどは吹かず、最初から色を一発吹きした。

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戦車だとほぼ全部組んでしまって塗装というのもよくあるが、あちこち「中」が見えてしまうソフトスキンだとそういうわけにも行かず、ブロックごとに分割可能状態で撮想を開始。特に荷台部分については、内側を塗ってから幌と荷台を結合する必要があり、外側は結合後に塗ることにしたためにこの時点では外は未塗装。

●ここで一つ問題が浮上。プラバンの積層から削り出したキャビン屋根は、塗った後で積層跡が僅かに浮き出てしまった。ここに至る以前にも、指で触ってちょっと違和感があったので(とある切削工具メーカーに取材に行った時に聞いた話だったと思うが、人間の指先は繊細で、ミクロン単位の段差も検知できるそうだ)一度ヤスリを掛け直してあったのだが、それでは足りなかったようだ。

というわけで、一度塗った塗色をサーフェサー代わりにもう一回ヤスリ掛けしたのが以下の状態。

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この後に(荷台と併せて)もう一度塗装したが、今度はだいぶ目立たなくなった。

●幌と荷台を結合する前に内部を塗装。どのみち結合してしまえば陰になってあまり見えないので、塗装はだいぶおざなり。幌布と幌骨はもうちょっとコントラストがあった方が格好いい……とは思ったが、時間もないのに見えない部分に凝るのも何なので妥協した。

椅子に関しては(他に頼るべき資料もないので)ソミュールの現存車輛の運転席シートを参考に、黒のレザー張りと判断して塗った。

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内側塗装後に幌を再結合。

実車では幌布を左右4カ所ずつのベルトを荷台外側のロッドに掛けて固定しているが、私の模型でも、幌骨と一体の幌を、このベルトで固定する形になっていて、ロッド(金属棒)を抜き差しできるようにして幌を取り外し可能にしてある。

取り外し-塗装-再固定の過程で、プラペーパーのベルトが切れてしまうのではと心配していたが、なんとか(取り扱い不注意で)一カ所を切っただけで済んだ。

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幌を取り付けた後に、再度ダークグリーンの缶スプレーで外側を塗装。その後、幌部分はエナメルのオリーブグリーンに茶系の色を混ぜた色を重ね塗りした。塗ってからよく見ると、エナメルのオリーブドラブの色とほとんど変わりなく、これならわざわざ混色せずにオリーブドラブのビン生で塗っても良かった……。

●そんなこんなで、現状の全体写真。幌以外のダークグリーン部分に関しては、クレオスのフィルターリキッドの「スポットイエロー」や油絵の具のアンバーなどでフィルタリング(ウォッシング)&墨入れし、若干の表情付け中。とはいえ、まだだいぶ暗くのっぺりしているので、細部塗装と並行して、さらに墨入れとかハイライトとかを入れていく予定。

なお、ウォッシング中に、早く乾かそうとうちわでパタパタ仰いでいて、バックミラーを弾き飛ばしてしまった。床の隅のホコリの中から無事発見し修復。アホかい。

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いや、間に合うのかコレ……。

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ソミュアのケグレス(12)――細部ディテール・その3/工作完了

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

もう来週には(今度こその)締切で、だいぶ切羽詰まった状況なのだが、なんとか工作終了(たぶん)。塗装、間に合うかなあ(雨が続いたらアウト)。現時点の全景は以下のような感じ(特に変わり映えはしないが)。

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それにしても、最初は「それほど出来はよくないとはいえ、レジンキットだし、バタバタ組んで在庫を減らすか!」なんて思っていたのに、妙に大工事になってしまった。それでいて(実物の細部があまりよく判っていないので)手を入れただけ正確さが増しているかというと、「え……どうかな?」状態なのが何とも。

●というわけで、最後のディテール工作のクローズアップ。前回、「残る細部工作は、バックミラー、ラジエーター留め具、ドア上の雨どいくらいになった」と書いたのだが、実際にはいくつか追加することになった。

ラジエーター取付架(と前照灯)

ラジエーターは、両サイドでシャーシフレームに固定されているようだが、そのあたりのディテールはキットでは丸無視されている。形状については若干あやふやなところもあるが、主にソミュールの実車のクローズアップに従って適当に工作。

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どうやら実車は、

ラジエーター下の両サイドから左右にベロが出ていて(灰色プラバン部分)、そこに、シャーシ側の台座(ダンパー? 黄色プラバン部分)から生えている2本の棒を差し込み、さらにその棒には防振用のスプリングがかぶさっている、という構造らしい。スプリング部分は前回ベルトのバックルにも使ったエナメル線。

塗装の便も考えて、模型製作的には台座も含めて一式、ラジエーター側に固定した。

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ラジエーター取付架を工作するまでは邪魔になりそうなので付けていなかった「カエル眼」の前照灯も取り付け。基本、キットパーツをそのまま付けただけ。柄の部分はソミュールの実車と若干形状が違うが、「この形状は間違い」と言い切るだけの材料もなかったのでそのまま使った。前照灯に繋がるコード類はソミュールの実車にも見当たらず、柄の部分のパイプ内側を通っているのではと推察して、特に追加もしなかった。

こうして改めて見ると、工作が面倒ではあったが、SOMUAのエンブレムを追加してよかった。

雨どい、バックミラー、方向指示器

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ドア上の雨どいは、細切りのプラバンを貼っただけ。バックミラーは、鏡面部分についてはキットにもパーツが含まれているのだが、やや型荒れもあったので、それをいちいち削るよりはと新調した。

ドア後方の方向指示器に関しては、数少ない当時の実車写真を見ると、どうも「絶対付いている」というものでもない感じ。「もしかしたらドイツ軍による追加装備?」とも思ったのだが、どうもそうでもないらしい。謎。

て、最初は付けずに済ますつもりだったのだが、若干でも精密感を上げるにはあったほうがいいかと思い直して追加した。

さて、それから白状ひとつ。この写真では、幌側面前端の3カ所の留めベルトは、ベルト端のベロが前方を向いているが、改めて「L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM」を見たら、私が幌形式の最大の見本にした車輛では、ベロは後ろ向きだった。うがー。間違えたー。もっともソミュールの実車の幌では前向きなので、今更直さない。

荷台後面手すり

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荷台後面は、キットの指定では左右端に1カ所ずつ、縦方向に手すりを付けるようになっているのだが(取付穴を埋めた跡がうっすら見える)、場所的に用途が意味不明。一方、幌後面の垂れを固定することを考えると、横方向にベルト掛けがないと困るので、ここに関してはソミュールの現存実車に準拠して、4カ所の手すり(ベルト掛け)を追加した。

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ソミュアのケグレス(11)――細部ディテール・その2

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

(なんだか毎度そんな感じなのだが)最初のうちは調子よく作っているのに、終盤になると息切れし、モチベーションも下がってきてグダグダになるという悪癖のおかげで、せっかく延長された締切も、もう残すところあとわずか(6月末)。

流石にこれはイカンと思い直し、残りの工作を気合を入れ直して進めることにした。

●停滞の一因ともなっていた幌の留めベルトのバックルを作る。

「とにかくベルトだけは作って、バックルから先は別途作って後から貼り付けよう」とだけは考えて先送りにしてきたのだが、そもそも当時の実車のバックルがどんな形状であったかもはっきりしない(クローズアップの写真資料がない)うえ、「バックルから先」に関しても、どう作っていいやら明確にイメージが浮かばなかったのが止まっていた理由。

実物形状に関しては、悩んでいても特に回答が出てくるわけでもないので、適当に作りやすい形状で行くことにする(ちなみにソミュールの現存実車の留め具は片バックル)。いっそ、PassionのKV用エッチング(2輌分ある)に、特に使い道を指定せず「装具品の固定に使ってください」と入っているベルト部品から、バックルから先を切り取って流用することも考えたのだが、これは、すでに付けてしまってあるベルト本体部と微妙に幅が合わない等々の理由で断念した。

比較的簡単な方法から七面倒な方法まで、「さすがにそれは安直過ぎるだろう」「そんなんやってられるかー」などあれこれ検討の結果、以下のような方法で片バックル(らしきもの)を表現することにした。

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(1).適当な太さの角棒を用意し、細い銅線(モーターをばらしたエナメル線)を巻き付ける。

(2).一辺の真ん中で切り離し、四角いバックルの元になる枠を作る。要するに金属線で小リングを作る工程の丸を角にしただけ。

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(3).細切りのプラペーパーに通して、片面(裏面)で瞬間接着剤で固定。

(4).片側で切り離してベルトの長さを切り揃え(左上)、さらにベルト先端を尖らせる(右)。

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(5).すでに取り付けてある幌各所の留めベルトに、作った「バックルから先」を、位置を揃えて接着。この時点で、「ちょっと残したベルト先端が長すぎた?」と感じたので……。

(6).ベルト先端の長さを切り詰め、改めてベルト先を舌状に切り、さらにひねったり曲げたりしてちょっと表情を付けた。

●追記。

今回はバックルから先を別に作って後付けする「なんちゃって工作」で済ませたが、この方法で作ったバックル枠を利用して、片バックル式であれば「実際に締めることができるベルト」も製作可能。今回作って余ったバックル枠とプラペーパーのベルトを使って、試しに一つ作ってみた。

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爪まで作るとなるとさらに一段面倒になるが、ベルトホールを追加する程度であれば、針でつついてなんとなるかも。

●これで残る細部工作は、バックミラー、ラジエーター留め具、ドア上の雨どいくらいになった。この週末には終わらせたい(希望的スケジューリング)。

●以前に書いたように、このソミュアMCG5には以下のバリエーションがあり、さらには以下の用途に用いられた、らしい(原型となったMCG4、発展形のMCLは除く)。

ソミュアMCG5 通常牽引車型(d'accompagnement ):(一応)このキットの仕様。荷台と牽引フックを持つ。105mm野砲(シュナイダー105L Mle.1936)とか155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)、あるいはそれらの弾薬トレーラーの牽引に使用。

ソミュアMCG5 回収車型(de dépannage):荷台後部に簡易クレーン付き。155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)の部隊における砲や車輛の回収、およびM1897 75mm野砲の運用部隊で牽引にも使用。

ソミュアMCG11:車体後部に第五輪(カプラー)を備えた砲牽引専用車。155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)の牽引に使用。

このキットの通常牽引車型の場合、(これまでは)牽引対象となる砲は高いレジンキットしかなく、回収車型なら新しいIBGの75mmとペアリングできたのにと、ちょっと残念に思っていたのだが……。

なんと、Das Werkから、シュナイダー155mmが発売になるそうだ。製品案内のページはこちら。もっとも、今回発売されるのは木製スポーク車輪付きの(第一次大戦当時のままの)仕様。ハーフトラックに引かせるにはゴムタイヤ付き改修仕様であることが望ましい。そのタイプもいずれ発売されそうな気がするので、その時は作って組み合わせてみたい気も。

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ソミュアのケグレス(10)――細部ディテール

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

前回記事から、1カ月以上も間が開いてしまった。締め切り仕事に追われたり、工作上も、どうしたらいいのかなかなかイメージが沸かなかったり、そもそもディテールがよく判らない部分があったり……というのが手が止まった直接の原因なのだが、一度手が止まると、ずるずるとサボり癖が付いてしまいがち。いかんね。

そうこうしているうちにもう5月(一応、SUMICON 2021の締切は5月末)。さすがにヤバイので、気合を入れ直すことにする。

●幌も作って、車輛の全体形はおおよそ出来上がっているので、後はあっちこっちのディテール工作ということになる。

というわけで、まずはシャーシの後端。

キットには当然、シャーシ後面のパーツが入っているのだが、そのパーツは、左右についている荷台への乗り組み用ステップの支柱までの幅しかない。そのため、そのまま付けると、支柱より外側は「レジン打ちっ放し」のシャーシ後端の面が見えてしまう。それはどうにも変に感じたので、後面パーツは新たに作り直すことにする。

問題は、

  • 戦時中のMCG5のシャーシ後面ディテールがしっかり判る写真が(少なくとも私の手元には)ない。
  • ソミュールの実車のwalkaround写真の中には、シャーシ後面が写っているものがあるが、以前に書いたように、ソミュールの実車はキットとは荷台の形状も異なり、レストアの度合いも不明で、シャーシ後面ディテールもそのまま鵜呑みにしてよいか判らない。

ということなのだが、そこでいくら考え込んでも状況が改善するわけでもないので、おとなしくソミュールの実車準拠で作ることにした。下、左写真がキットのパーツままを仮付けしてみたもの。右写真が作り直したパーツ。

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ステップの大きさも、牽引具基部形状もキットのパーツとは全く違い、こうなると、キットのパーツは何を根拠にこういう形状にしたのかが気になる、……いやまあ、気になっても、もう作り直しちゃったわけだけれど。牽引具本体は(これまたソミュールの実車とはちょっと形状が違うのだが)キットパーツをそのまま流用した。

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菱形メッシュのすべり止めパターンのあるステップは、買ってからたぶん30年くらい死蔵したままだった、Lynx製のエッチングを使った。よくある真鍮や洋白ではなく、おそらくステンレス製で、切り出すのに非常に苦労した(ペンナイフの刃が一度でダメになった)。

とはいえ、こんなものをストックしていることすら忘れていたので(最初は「イタレリのI号戦車のフェンダーでも切り出して使うか?」なんて考えていて、念のためにエッチングのストックをひっくり返していて発見した)、ほんの端っこだけでも有効活用できてよかった。問題は、これがあともう一枚あることだ(VOMAGの8.8cmFlaK自走砲のバキュームフォームキットを持っていたので、たぶん、そのデッキに使おうと思って買ったのだと思う)。この先使う機会がまたあるかどうか。

ステップの支柱は単純なL字でなく、途中でわずかに角度が変わっているらしい(単にぶつかって変形した可能性もありそうだが)。強度を考えると金属部品を使いたい部分なのでエッチングパーツの余白を使用。ただしそれでは厚みが足りないので、0.3mmプラバンを貼って厚みを付けた。

●シャーシの前後左右には、いかにもフランス車輛という感じの「ブタの尾」形のフックが付く。……のだが、私のキットには、フックのパーツが3つしか入っていなかった。仕方がないので、1つは自作することにする。

「ものすごく複雑」というわけでもないが、いざ作ろうと思うと面倒な形状で、どうしようかあれこれ考えた結果、結局、次のような手順で作った。

  1. ちょうどフックの太さに合う程度の太めの伸ばしランナーを作成。
  2. そのまま(できればまだあまり冷めないうちに)適度な太さの金属棒に巻き付けて、一巻きのコイル状にする。
  3. 巻き戻りが発生しないよう、沸騰するやかんの湯気に当てて形状を固定。
  4. 適当なところで切断し、先端を削って尖らせる。
  5. 根本側も削ったり潰したりしてシャーシへの固定部を作成。
  6. リベットを追加。

もっとも、ちょうど合う太さのアルミ線(曲げ・削りしやすい)があれば、そのほうがずっと製作は楽だったと思う。

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左写真はキットのパーツと、上記手順の(4)の段階の自作パーツ。右写真はシャーシ後端に取り付けた状態。

なお、このフックの製作中に気付いたことだが、

  • キットのフックは前部用と後部用が同一形状だが、ソミュールの実車は前部と後部とで形状が異なる。前部フックはブタの尾状というよりは、もっと単純なJ字に近く、後部はブタの尾状だが基部形状がもうちょっと凝っている。ただし、ソミュールの展示車輛とは別車輛のレストア中の実車で、キットのフックとほぼ同形のものを前部に付けている例は確認できる。
  • キットの指定(そしてソミュールの実車)では、フックは「下から上に巻き上がる」形で付けるようになっているが、「上から下」で付けている例もある(多連装迫撃砲搭載の改造車輛)。

結局「何が何やらよーわからん」なので、おとなしくキット準拠で作ることにする。方針一定してないなあ。

●足回りの追加工作。

しばらく前まで、誘導輪軸はランナーの挿しっ放し、転輪ボギー軸部分も穴開きのままで放置してあったが、工作を追加して仕上げる。

誘導輪軸は、挿してあったランナーを切り詰め、基部の板と、軸端のボルト頭を工作。ボルト頭は都合の良い大きさの流用モールドが見つからなかったので、プラ棒を六角形に削った。

転輪ボギー軸部分は、工作の都合上貫通させてしまった軸穴と表面のモールド位置が一致しておらず、どうしようかちょっと迷ったが、結局(この期に及んで)表面のモールドを一度削り落とし、八角形の座金部分から作り直した。プラバンを小さな正八角形に切り出すというのが面倒くさい(下写真右側の灰色部分)。

実はソミュールの現存実車では、この軸部分の中心に丸+十字の切れ込みの穴が開いていて、その表現をどうするかで試行錯誤して、なかなかうまく行かずに頭を抱えていたのだが、改めて戦時中の実車写真を見ると、どれもそんな穴など開いていなかった。

どうやら、ソミュールの実車は外側のカバーか何かが外れているか、それともレストアの結果で別形状になっているらしい。というわけで、改めて丸く切り抜いたプラバンを貼って終了。それにしても、直径数ミリの丸を切り出すのは、これもそこそこ面倒。私はロットリングの円定規を使って、針でケガいて切り抜いているのだが、他の皆さんはどうしているんですかね? WAVEだったかで、小円切出し済みプラバン/多サイズ詰め合わせみたいな商品も売っていた気がするが、特定のサイズだけ使って他が盛大に余りそうな気もする。

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ソミュアのケグレス(9)――荷台・その2

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

なんだかそろそろ息切れしてきた感もあるような、ないような。でもまあ、リタイアはしないよう頑張りたい。

●とりあえず、現状の仮組写真。荷台に幌が付いて、おおよそ、全体形はこれで整った感じ?

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●前回からの進捗は、主に幌の造形。

1mmプラバンで幌の基本形を「箱組み」したところまで前回書いたが、完成後(覗き込まないとほとんど見えないとはいえ)「いかにもプラバンをバタバタ貼り合わせました」的な内部が見えてしまうとちょっと情けないので、プラ材で「クリノリン」風の細かい幌骨を入れた。

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ソミュールの実車の場合、前後方向の骨はすべて板材なのだが、当時の実車の幌写真を見ると、屋根部分はもうちょっと角が出ている感じがしたので、屋根は丸棒、側面だけ板材にした。当時の幌内部の写真は(少なくとも私の手元には)ないので、幌骨の密度などはソミュール実車を参考にした(これも正確ではなく適当)。

後面の巻き上げた幌は、エポパテで捏ね上げるか、実際にティッシュなどを丸めて作るかするのが一般的な気がするが、前者は不得意だし(そもそも我が家にパテの在庫がないし)後者は幌の他の部分とのテクスチャを合わせるのが面倒な気がしたので、これまたプラバン積層から削り出した。

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写真はまだ削っている途中の写真で、この後に左右を一度切り離したり、シワを彫り足したりした。

幌は荷台に若干かぶさる形に装着されるので、前面・側面は、基本形の上から0.3mmプラバンを貼り増した。前面が黄色のプラバン、側面がグレーのプラバンなのは特に深い意味は無し。ただ、前面はおおよそキャビンに隠れるので適当でいい一方、側面はそこそこ表情を付ける必要があり、グレーのプラバン(WAVEの方眼プラバン)は柔らかめなので、シワを掘るのが楽そうと思ったのも一因。

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何枚かを合わせてある幌布の段差を表現する必要もあったので、幌の上面には薄い(0.1mm?)のプラペーパーを貼り増しすることにし、その幌骨表現を付けるために、天井には伸ばしランナーを貼った。

幌布同士や、幌と荷台の止めベルトはプラペーパーで追加。荷台への接続は、荷台の枠に通したロッドにベルトを通す仕組み。ロッド自体は0.5mmの金属棒を使ったが、荷台の枠の穴開けは、ドリルの刃が両側2本までしか届かず、中央の枠はロッドの金属棒自体の先を少し研いで、ドリル代わりにグリグリして開けた。本物のドリルほどではないが、レジン程度の硬さ(しかもこの程度の厚み)なら、それほど苦労無く穴開けできる。

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上面と側面の幌布は、ソミュールの現存実車(およびいくつかの実車写真)では、前面と側面同様に、相互の幌布をまたいだ形の止めベルトで繋がっているのだが、作例のお手本とした車輛(“L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM 1939-40”、p209)ではそうなっていない。クローズアップ写真などないので詳細が判らないのだが、とりあえず「なんとなくこんな形?」みたいなディテール工作を施した。いい加減だなあ。

「謎留め具」の先端は何かループのようなものが付いているようだったので、極細の金属線を(下地に穴を開けて通して)再現した。裏側にシッポがちょっと残っているが、どうせ出来上がってしまえばほとんど見えないので放置。

表面のシワはプラバンの上から少し彫り込んで表現した。実際にはもっと「引っ吊りシワ」などあったほうがそれらしいのだが、もともと割とピンと張って張られている幌で、それなりにシワを多く彫ると、今度はその下のフレームに張り付いた部分の表現も必要になってくる。あちこち留め具があるので、自然な「引っ張り方向」も難しい。これ以上シワをつけようがない上面とのバランスの問題もあるので、あまり深入りしない方が無難かも。

幌の前面と側面、側面下と荷台、それから後面の巻き上げた幌、それぞれの止めベルトにはバックルが付くが、それに関しては今後追加の予定。どんな方法で(できるだけ楽に)バックルを表現するか、なお考慮中(というか思い付いていないので手が止まり中)。

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ソミュアのケグレス(8)――キャビン周り・その4/荷台

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

●キャビン工作の続き。

キャビンはすっかり組み立ててしまうと足元部分がうまく塗れなくなってしまうので、どうしようかあれこれ考えた結果、前後左右の4面を組んで、床に着脱可能ですっぽりかぶせることができるようにした。ここで屋根も付けてしまいたいところだが、そうすると窓ガラスが入れづらくなるので、こちらも未接着。

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▼一応キャビンの形がフィックスできたので、屋根の第二次切削工作。フロントガラスより前の「ひさし」部分を下方に追加するとともに、全体形も若干削り直した。

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キットの屋根パーツでは、ひさし部分の下端ラインは地面と平行になっているのだが、現存実車の写真を見ると、どうも前に向けて傾いている感じだったので、そのように工作。

平面形は、ややドアのラインとフィットしておらず、前方に向けてもう少し絞り込まないといけないようだ。もっとも、この後ドア上には細く雨どい(?)が付くので、あまり厳密に段差を解消する必要はない。

▼ドアに蝶番を追加。

エバーグリーンの0.65mm径(たぶん)の丸棒を(例によっていい加減な治具を作って)同じ長さに切って、左右3カ所ずつに接着。およびその段階での(恒例の)仮組写真。

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実を言えば、実車の蝶番は軸部分が継ぎ目にぴったりくっついておらず、わずかに外側に飛び出た感じになっているのだが、そこまで細かく工作すると、6カ所の形と位置を揃えるのが面倒になってくるので、手を抜いた。というわけで、現状では「そこに蝶番がある」という記号的表現にとどまっている。タミヤのロレーヌのサス・スプリングを「記号的表現だ」と批判しておきながら、このザマ!

仮組写真は前回とほとんど変わりがないが、少なくともちょっと揺らしたらすぐにキャビンが崩壊するような、トランプタワー状態(もちろん元大統領所有のビルではなく)ではなくなった。

キャビン周りのディテールとしては、他に方向指示器や屋根上の牽引状態表示板などがあるが、その辺は追々。

●キャビンの基本形は山場を越した感じなので、荷台にも手を付け始める。

荷台に関しては、初回でも触れたように、ソミュールにある現存実車とキットでは基本形状そのものに違いがある。キットのような仕様(床中央が窪んだ逆凸型)とソミュールの実車の仕様(床面がフラット)の両方があったのか、キットが正しくソミュールのものは誤ったレストアなのか、あるいはキットが間違っているのか――そのへんをきちんと判断するには資料不足で、とりあえずはおとなしく、キットの仕様に従うことにする。

▼キットのパーツ構成に従えば、荷台の後部の床中央にはウインチ(たぶん)がある。こんな場所にウインチがあったら、人が乗るにも荷物を載せるにも邪魔臭くて仕方がないと思うのだが、それでいいのかフランス人。

といっても、前述のように積極的に存在を否定する材料もないので、その通りに組むことにする。ただし、キットのウインチ・ドラムのパーツは平面形が(型ズレで)きちんと丸くなっていないので、両端をヤスってから丸く切り抜いたプラバンを足して、とりあえずパッと見は丸く見えるよう修正した(ドラムの胴の部分はきちんと円筒になっていない)。またこれが本当にウインチであるなら、フック付きワイヤーとかが巻かれていて然るべきだとも思うが、その辺も資料不足でよく判らないので放置することにした。

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ちなみに、キットのシャーシにはちゃんとこのウインチ・ドラムに接続する位置にギアがあり、駆動系が接続している。ソミュールの現存実車に、そのギアボックスはないが、ギアボックスに繋がるシャフトらしいものが中途まである。

▼キットには幌パーツは付属していないが、実際には、後部荷台の幌は掛かっているのが常態のようだ。手元にそれほど多数の当時の写真があるわけではないが、幌無し状態のものは、キャビン屋根の形が違うタイプで2枚しか見つけられなかった(うち1枚は、どうやら熱帯地での使用)。というわけで、「面倒くさいなー」などと思いつつも、珍しく幌など作ってみることにする。

悩ましいことに、写真に残っている幌の形にバラツキがあって、どれが標準の形状なのかがよくわからない。とりあえずは、キャビン/荷台の形状がキットと同じと思われる、“L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM 1939-40”、p209の車輛におおよそ従うことにする(同じ車輛の各方向からの写真があるわけではないので、あくまでおおよそ)。幌内部に関してはソミュールの実車を参考にするが、これは幌の形が微妙に違うので、あくまで参考程度。

ただし、前述のように幌の形にバラツキがあると言っても、全体の形状が、よくある「数本の横骨に帆布を掛けたもの」ではなく、縦方向にも多数の骨があって、ガッチリと形状を保持している――ガチガチの矯正下着入りというか、一言で言うと「クリノリン・スタイル」であることは共通している。さすが「おフランス」、オシャレざます(そうか?)。

そんなわけで、これまた「プラバン組み」で基本形状を作ることにする。

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基本材料は1mmプラバン。屋根部分は4mm幅に切ったものをスダレ状に並べて製作。おおよそ形状が出来上がったものは以下。

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後面は巻き上げた状態に作るつもりなので、現在は全開放状態。この後、若干の凹凸を付けるとか、上から薄いプラバンやプラペーパーを貼るなどして、ディテールを付けていく予定。

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ソミュアのケグレス(7)――エンジン・ボンネット

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

ドアの作成と並行して、エンジン・ボンネット周りもいじっていたので、そちらも続けてUPしてしまうことにする。なんだかアニメの「2話一挙放送」みたいな。

●キットのエンジン・ボンネットは、前面のラジエーターから上側面までゴロンと一体成型。モールドは、ラジエーター前面の筵(むしろ)のような表面が細かく再現されているのは高く評価すべき点で、もしここが縦線だけでのっぺりした表現だったりしたらと思うと、ちょっとコワイ。

が、それ以外に関して言うと側面のルーバーは不揃いだし、ディテールは大味だし、原型工作時の削りや接着の跡などもなんとなく見えて、ソフトスキンの繊細さには不足している感じ。というわけで、ちょこちょこと細部のディテールを追加し、少しは繊細さを"窺わせる"ことを目指してみる。具体的には、

・ボンネット上側面の「縁」は、板金を折り返し加工しているのか、チューブ状になっているので、伸ばしランナーを削ってカマボコ断面にして貼り付けた。

・ボンネット上面中央の蝶番は、両側に細くベロがあるようなので、プラペーパーの細切りを貼った。

・ラジエーターの枠部前面は、キットはのっぺり一つの面になっているが、実際には段差があるのでプラバンを貼ってからヤスって薄くして再現。それに対応して枠部側面にも筋彫りを入れた。

・ラジエーター枠部前面下部には左右三カ所ずつ、ワッシャー付きネジ頭があるようなのでこれを追加。ただし、大きさ的に都合がよく移植したのはタミヤのヴェスペの起動輪ハブキャップのワッシャー付きナットで、やや突出が目立ち過ぎだったので取り付け後に若干頭をヤスった。なお、接着時に瞬着で一発でズレなく、周りを汚さずに付ける自信はなかったので、事前に接着位置にドリルで穴を掘り、プラ棒を埋めて「のりしろ」とし、通常のスチレン樹脂用接着剤でネジ頭(のつもりのナット)を付けた。

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・ボンネット側面板下部4カ所にある留め具(フック)は、実車とだいぶ形(というより状態)が違う。上端にリングが付いているのは実車同様だが、実車では扁平なリングの端にあるツメをボンネット側面板にある金具に引っかけるようになっていて(形状は違うが、仕組みは米軍のジープのボンネットストッパーと同じ)、引っかけたときに、輪は側面板に対し垂直に立つ形になる。キットのように横にべったり寝てしまうことはあり得ない。

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問題はそのリングをどう作るかだが、結局、0.5mmのアルミ線で一度リングを作ってから潰して扁平にした。形がやや不揃いだが、どうせこの大きさなら、付けてしまえば判らないって(適当)。

なお、このアルミ線は、以前にI号戦車A型を作った際、第一転輪のスプリングを作るのに買ったもの。加工するのに柔らかくて扱いやすく、しかし小さなもの向けなら十分な硬さもあるので、意外に重宝する(前回のドア内側のコの字の取っ手も、このアルミ線で作った)。

・ラジエーター前面には、「SOMUA」のロゴ・エンブレムが付く。当初は「取れちゃったことにしよう」などとも思っていたのだが、さすがにこれだけ自己主張が激しいエンブレムは、ないと点睛を欠く感は否めない。たぶん実物は真鍮製か何かだと思うので、真鍮エッチングで作れれば言うことなしなのだが、さすがにこれ一つだけのためにエッチングを製作するのは手間もコストも許容範囲を超えるので、プラバンから切り出すことにする。

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ナイフ、エッチングソー、ヤスリなど駆使してなんとか彫り上げたが、特に「S」字の上の隙間は外周からアクセスできないので難しく、結局、Sの中心のナナメ棒が細くなってしまった。

●というような工作を経て、ボンネット周りのbefore/afterが以下。

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ラジエーターとシャーシを結合する左右のディテールを除いては、この部分の追加工作は終了(のはず)。

●恒例、現状パーツによる仮組み。キャビン周りはなお若干のすり合わせが必要な感じで、一度マスキングテープなどで止めて、もっときちんと仮組みしてみるべきかも。

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ソミュアのケグレス(6)――キャビン周り・その3

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

●ドアを作る。

先述のように、キットのドアは真っ平らだが、実車のドアは緩やかに外側に向けて膨らんだ形状をしている。

どれくらいの膨らみ具合かは、先日削った屋根との現物合わせで決めたが(要するに適当)、端と中心との差がおおよそ1mm弱。つまり、1mm厚のプラバンを円弧断面に削れば、ほぼぴったり収まることになる。

窓をくり抜いてから削るか、削ってからくり抜くかは少々考えたが、くり抜いてから削ると窓枠部分と下部とで削り具合が不均等になりそうだったので、窓は後から開けることに。ただしゲージとして、あらかじめ窓部分を抜いた0.3mm方眼プラバンを裏に貼り合わせて(端部の厚みを保持する目的も兼ねて)、その後ゴリゴリと削る。下左写真は、右が削る前の下準備状態。左がおおよそ外形を削り終えた状態。

屋根と違って目安となる等高線などはないが、横から光を当てるなどしてカーブの具合を確認しつつ削り、おおよそ満足のいくカーブが仕上がったら、裏の方眼プラバンに従って窓を開ける。

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その後、ディテールを追加、フェンダーに合わせた下部の切り欠きも加工した。

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表側のレバーと裏側の窓ガラス上下用のハンドルはキットのドアパーツのモールドを移植。レバーの位置は、実車ではだいぶドアの端寄りのようなので、キットのモールド位置よりも外側に寄せて接着した。

裏側のレバーはキットにモールドがなく、コの字の取っ手は片方のドアにだけあったが(もう片方は成形不良で欠落)、そもそも形もよくなかったので、新たに製作した。新しく作った裏側のレバーは表側のレバーよりだいぶ低く、小さめになってしまったが、これは製作途中で仮組みしてみたら、表と同じ大きさで作ると椅子の背と干渉することが判明したため。実車はたぶん同じ形/同じ大きさだと思う。

また、実は取り付けてある高さも表より若干高くズレているのだが、これは帯状の凸部を深く考えずにキットパーツに合わせた幅で作ってしまったせいで(レバーはその凸部の下端近くにある)、本当は凸部をもうちょっと幅広に作るべきだった。実を言えば、窓ガラスの開閉ハンドルも、もう少し内側寄りが正しい。これもキットのモールドに無批判に従ってしまったせい。わざわざ鉛筆で十字に取り付け位置を記入してあるのがちょっと侘しい。

というわけで、ディテール的にはいい加減で、「まあ、内側にはそういうディテールがあるんですよ」という存在証明程度にしかなっていない。が、面倒なので作り直さない。はっはっは。私にそれほど高度かつ厳密な工作を求めてはいかんよ。

●もちろんドアを作ったら「はい、キャビンは終わり!」というわけにはいかず、各部をきちんとフィットさせる必要がある。そもそもキットのドアパーツは寸法がいい加減なので、新パーツは改めて前面・背面とすり合わせて寸法を出さないといけないのだが、その前面・背面と、位置決めの基準になる床面とのフィットが今一つキッチリしていない。当初、キットの背面パーツをそのまま床面に接着しようとしたら、前のめりに角度が付いた。

とりあえず、そのあたりは削り合わせて、床面と背面は一度は接着してあったのだが、ドアと、それを介しての前面とのフィッテイングを見ている間に、背面パーツの微妙な変形やパーツ端部の成形の粗さが嫌になってきて、結局、「細かな難点にひとつひとつ対処するよりは」と、床面から背面パーツをもぎ取って、新たにプラバンで作り直してしまった。

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椅子の背部分はキットパーツでは背面板と一体になっているため、これもプラバン+プラ棒でおおよその外形を作って削り出し。なんだか今回、プラ材からの削り出しばかりやっている気がする。荒目のスティックヤスリ、大活躍。

なお、新造した方の背面板で後部窓の上下にレール状のものがあるのは、実車の窓が横にスライドして開く構造になっているため。もちろん、それらしくプラバンの細切りを貼っているだけで、可動の再現は考えていない。

●キャビンに関しもうひとつ問題は、「全部組み上げてしまうと中が塗れない(特に椅子が塗り分けられない)」ということ。もちろん手間を惜しまない人なら、「塗りながら組めばいいじゃないか」ということになるのだが、塗装があまり好きではない私は、できれば後でまとめてやっつけたい。

これに関してはあれこれ手順を考えたが、上記のように背面板の椅子の背を別部品として作ったついでということもあって、塗装の便を考え、床部品から椅子の座面をノコギリでスライスして切り離した。その後、ハンドルやペダル、レバー類を接着。基本はキットのパーツを(若干の疑問はありつつも)そのまま指定の場所に取り付けたが、ハンドルの軸は、誘導輪軸に使ったのと同じ、ドラゴンのT-34の角型燃料タンクのランナーがぴったりの太さだったので使った。妙に今回、このランナーの活躍場所が多い。

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後々の取付の際にズレなく簡単に取り付けられるよう、我ながら「余計な努力を……」と思ったものの、椅子の土台と座面の接合面にはわざわざダボを新設した。部分的に白いのは、ノコギリを入れた跡がデコボコになったのを(プラバンと瞬着で)修復したため。

そんなこんなで、結局、キャビンの前後上下左右6面のうち、4面が自作になってしまった。レジンキットの作り方として、何か間違っている気がする……。

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ソミュアのケグレス(5)――キャビン周り・その2

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

●おおよそ屋根は削り終わったが、キャビン側がきちんと形になっていないと、屋根の仕上げもできない。

本当はドアを削ろう……と思っていたのだが、窓をくりぬくのが面倒臭そうだったので後回しにし、まずはキャビン前面パーツをいじる。

このパーツで一番大きな問題は、前面がウネっていて、ボンネット部品と綺麗に合わさらないこと。おおよそ、真ん中が窪んでいる感じなので、人によってはポリパテを盛って削りそうだが、私自身はパテ工作が非常に苦手なので(というより、我が家にポリパテがないので)、とりあえず前面を粗く削り、プラバンを貼り増して削った。

側面にある小パネルのモールドと上部の燃料注入口のモールドは、当初は残しておくつもりだったのだが、このモールド自体もあまり綺麗でなく、またこの面自体も若干の凹凸があったので、ディテールは後で再生することにして、一緒に削り落としてしまった。

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また、この突出部の前面には、周囲に薄い鉄板で縁取りがある。

全体が直線なら単純にプラバンやプラペーパーを帯状に切って貼ればいいのだが、曲線もあるとなると、均等な幅に切るのが非常に面倒になる。

どんな手順で工作するかあれこれ悩んだ末、0.3mmのプラバンを一度少量の瞬着で仮止めし、外周を綺麗に削って合わせた後に剥がして、外周だけを細く切った。……というより、割と粗く切り出したのちに、細く均等な幅の帯になるよう手作業で削り込んでいった。

薄くてすぐにグニャグニャするプラバンを細く削り込んでいくというのは厄介で、削り始めてすぐに「こんな手順でやろうとするなんて、バカ?」と思ったが、もう始めてしまったものは仕方がないので、そのまま削り上げた。

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……型紙でも作って、まずは内側をくりぬいたプラバンを作って前面に貼り、そのあとで周囲を削り落とせばよかった。

その後周囲のモールドを再生。上面には、キットでは忘れられていた通風孔と思われるフラップを追加。また、垂直面と突出部の接合部(入隅部分)には、伸ばしランナーを接着した。

なお、レジンパーツとプラパーツを接着するには基本瞬着を使用するわけだが、側面のパネルと上部フラップについては、接着時に余裕をもって位置調整がしたかったので、ひと手間掛けて、レジンパーツの表面を浅く彫り込んでプラバン片を瞬着で接着。その後ツライチになるよう削り込んで接着面の「受け」とし、パーツを普通のプラ用接着剤で付けられるようにした。

まあ、こんなことしなくても、普通はゼリー状瞬着を使うか、プラ用接着剤で仮止めしてサラサラ瞬着を流し込むか、で済むんだけれども。

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先述の、前面周囲の「フチ」に関してはヤスってかなり薄くし、その上に小リベットを並べた。小リベットは(側面パネルのものも含めて)タミヤの48マーダーIIIの転輪周囲のもの。

以上の作業を終えて、また例によってシャーシ上に上物主要パーツを並べてみたのが以下。

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まだ道のりは遠そう。

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