●なんと3日続けてFTFネタ。
C4P牽引車の記事を書いたところで、それよりも前に同じくFTFのポーランド型プロッツェを買ってきて、レビューを書こうと思いつつそのままだったことを思い出した。
今年の6月、ローデンのホルト75、IBG(THE WORLD AT WAR)のII号戦車a1~a3型と一緒に、これまた下北沢のサニーで購入したもの。
製品番号050、製品名は「KRUPP PROTZE W WERSJI POLSKIEJ」(クルップ・プロッツェ ポーランド仕様)。
●実車について。
クルップ・プロッツェ(クルップ・ボクサー)は、ドイツ・クルップ社製の有名な軍用6輪トラック……なのだけれど、キットは珍しいポーランド軍仕様。当然ながら、インジェクションキットとしてはこれまた初のキット化。
プロッツェ自体は超有名車輛だが、ポーランド軍仕様は非常に謎が多く、資料としては、はなはだ不十分な写真が少数あるだけではないかと思う。私が知っている限りでは、それなりにディテールが判る程度に鮮明な写真は、一部が写っているだけの2、3枚。あとは、全体のスタイルが判るものの不鮮明な写真が数枚。なんとか「あ、プロッツェだ」とと分かる程度のボケボケ写真を合わせても、全部で10枚あるかないか程度。……よくそんな車輛をキット化したものだと思う。
上の箱絵を見て貰った方が早いのだが、ポーランド仕様のプロッツェは前向き3列の座席を持つスタッフカー型で、ハンガリー軍仕様のようなドアは無し。ただし、ハンガリー軍仕様と似たマクドナルドのロゴのような後輪フェンダーを持つ。
使われた台数もはっきりしないが、少数が第10騎兵旅団(いわゆる「黒旅団」)に配備されたらしい。第10騎兵旅団はスタニスワフ・マチェク大佐率いるエリート機械化部隊で、軽戦車をはじめとする各種装甲車輛・ソフトスキンを多数装備。軍装も独特で、第一次大戦型のドイツ軍型ヘルメットやベレー帽、黒革のハーフ・コートを着用していた。……ドイツ軍と間違われたりしなかったんだろうか。
なお、マチェク大佐(後に将軍)と第10騎兵旅団は奮戦しつつハンガリーまで後退、その後フランスに逃れて第10装甲旅団としてルノーR35等を装備して戦い、さらにその後はイギリスで編成されたポーランド第1機甲師団の中核となって、ノルマンディーではファレーズで奮戦している。ポーランド人しぶとし。
●キット内容。
パーツ構成は以下の通り。
写真1枚目の左側の枝(エンジンボンネットとウィンドウ+ダッシュボードなど)と写真2枚目の枝(シャーシとタイヤなど)は、同じくFTFから出ているドイツ軍仕様のプロッツェ(対戦車砲牽引型のSd.Kfz.69と兵員輸送型のSd.Kfz.70)と共通パーツだろうと思う。また、FTFからはプロッツェベースの装甲指揮車、Sd.Kfz.247 ausf.Aも出ていて、シャーシはこちらとも共用のようだ。
私が持っているFTFの車輛キットのなかでは初めてフィギュア付き。また、FTFのポーランド軍車輛のキットとしては珍しくデカール付き。車輛登録番号6種に対応。……これって写真で確認できた全番号を入れてるんじゃないだろうか。
●若干の細部チェック。
エンジンフード部分はスライド型を使って前面グリルを一体モールド。このスケールであれば十分な出来だと思う。ただ、ドラゴンやICMの同スケールのプロッツェと比べてどうか、というのは未確認(もちろん両社のキットはドイツ軍型)。
ウィンドウ+ダッシュボードは、計器類等はそれなりのモールド。ただし、運転席側ウィンドウが2分割されていることと、方向指示器の位置はドイツ軍仕様(ポーランド仕様では方向指示器はウインドウ枠横)。ワイパーは流石にゴツイ……。
ポーランド型独特のボディはもっさり気味だが、そもそもろくな資料もないので仕方ない面もあるかも。独特の「マクドナルド・フェンダー」(勝手に命名)は予備タイヤと一体の別部品。一体モールドの中列座席横の手すり(というかひじ掛け? 転落防止バー?)は太めのうえに内側が平らで、あまり見栄えが良くないので金属線か伸ばしランナーで作り替えた方が良さそう。
シャーシはサス部のダブルウィッシュボーンがブロック状に一体成形。後輪の前後を連結するはさみ式サスアーム形状は、プロッツェのなかでもエンジンが強化された後期型、L2H143のものなのだが、ポーランド軍仕様は、“Pojazny w Wojsku Polskim (Polish Army Vehicles) 1918-1939”によれば初期型のL2H43シャーシ。L2H143とL2H43では後輪の間隔も僅かに違うのだが、模型的には誤差の範囲。サスアーム形状も組んでしまえばほぼ見えない。
フィギュアは第10騎兵旅団のベレー帽&ドイツ軍型ヘルメットのコート姿の兵士が1体ずつ。
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