歩兵戦車マチルダ

マチルダさんに浮気

●29日水曜日。

神保町の事務所経由で、夏~秋の仕事の成果物が送られてきた。あー。今年もこの仕事がすっかり終わった。

今年も(特に終盤)バタバタして苦労したものの、仕上がってくるとなんだか「たったこれっぽっちのものか」などと思ったり。

●(遡るが)25日土曜日。久しぶりにお誘いがあり、川崎で赤板先行氏、でんでん氏と3人で飲む。

糖尿病で掛かりつけの医者・栄養士の「ストレスを溜めないよう、たまには制限を緩める日を設けて良し」の言葉に従い(というよりかなり拡大解釈?して)、リミッターを解除して飲んだり食ったり。

とはいっても以前のようにへろへろになるまで酔っぱらうこともなく、それなりにお行儀のよい時間に普通に帰宅。人のことは言えんが、あかばんはもっと腹を引っ込めろ。

20171128_101306 ●先日都内まで出掛けた折、秋葉原のイエローサブマリンでちょっとしたバーゲンコーナーが設けてあり、タミヤのレンドリース版マチルダが税込2900円とだいぶお安くなっていた。もともと必ず買おうと思いつつも、「タミヤならいつでも買えるし」と、つい買い逃していたアイテムなので、せっかくの機会を逃さず購入。

中途半端な状態のwz.34装甲車もキリキリ進めないといけないと思っているのだが、「うん、これは様子見……ただの様子見だから」などと訳の分からない自分への言い訳をしながら、ある程度組んでみた。

……ああ、自分でいちいちパーツを作らなくていい模型って、癒されるなあ(いや、普通プラモデルってそういうものだし)。

以下、キットの中身について気付いたこと、気になったことなどとりとめなく。

▼基本、2009年発売(だったはず)のイギリス軍仕様のマチルダの一部パーツ替えバリエーション・キット。形式名称としては、マチルダ(マチルダII)のMk.III/IVとまったく同じなのだが、細部ディテールはより後期の生産型の特徴を盛り込んであり、新型の履帯、小転輪からスキッドに替わった上部履帯支持機構、より後期の特徴を持ったサイド・スカート、スリットがなくなった前部ロッカー・ハッチなどが車両本体の大きな変更点。ほか、細部ディテールに関しいくつかの相違点あり(部品の使用・不使用など)。これにソ連兵のフィギュア2体、デカールなどが付く。

▼そんなわけで、今年(2017年)発売の新キットであるバレンタインに比べると、ベースキットはそこそこ古いのだが、防盾が寸詰まりだったり、特長的な転輪ゴムリムのふくらみが表現されていなかったりと、いささかピリッとしていない印象だったバレンタインよりも、こちらのほうが筋がいいような気がする。あくまで私の印象ですが。

▼サイドスカートに関しては、上部転輪取付用ネジ穴がないこと、点検ハッチヒンジが外部式になっていることを除くと、基本は先行キットと同形なのだが、実車では、前後の穴の形状にバリエーションが見られる。これについてはセータ☆さんの考証記事が詳しい(丸投げ)。同記事についての追記含め、有用な情報が多いので、まとめURLもついでに。

誘導輪支持架上下にはネジのモールドが追加されているが、実車の場合、ここはほぼツライチなので、キットは少々誇張された表現。

20171129_112852 ▼前部ロッカーハッチは本来あるべき取っ手が省略されていて、軽い凸モールドで位置だけが示されている。追加工作の都合から言えば、穴の開けやすい凹モールドにしてほしかった気がする。

T字型の取っ手は、伸ばしランナーなどで作るとすぐに壊れそうだったので、ジャンクパーツとして利用している48マーダーIII後部のカゴ状デッキの一部を切り刻んで流用した。博物館車両だと向きがだいぶ適当だが、生きている車輌の写真で見ると、おそらく横位置が閉状態。向かって右がやや傾いているのはちょっとした表情?(微妙)。

▼牽引具周り。キットの説明書の指定では、基部(C24+C25)を付けるように指定されているだけだが、キットにはリング(A7)やシャックル(A2)も入っている。ちなみに、イギリス軍仕様のキットではシャックルを取り付けるか、あるいはオプションでリングを付けるかが指示されている。

実際にはソ連軍の車輌でもリングやシャックルが付いているものは多く、また、リングを介してシャックルを取り付けている例も見受けられるので、そのようにした。リング(A7)は一体で完全な輪になっているので、イギリス軍仕様の説明書にあるように、一カ所を切断して通した後に再接着。

車体後部については未工作だが、少なくともリングは下げようかと思っている。

▼操縦席および砲手席上、砲塔ハッチ上の「グンドラフ式ペリスコープ(ビッカースMk.IVペリスコープ)」にはカバー(A8)を取り付けるよう指示されているが、これは実際には付いていない車体が多いようだ。私も付けないつもり。

20171128_101140 ▼誘導輪基部、ギアハウジングの内側には、パーツの抜きの関係で省略されているが、グリスポイント?か何かの突起が2カ所ずつある(おそらく、外周上部に付いているものと同形状)。どうせそんな部分、誰も見なさそうだが、適当にプラ棒の輪切りで追加した。

ちなみに、車体上部のオーバーハング部と車体下部を繋いでいる「ヒレ」状パーツだが、ここに見えている左右の2枚だけではなく、実際には中央にももう一枚(ただしオーバーハング部にすっかり隠れる短いもの)あるようだ。

オーバーハングの陰、ヒレの間には本来は水密ハッチがあるようなのだが、博物館車輌のなかにはツツヌケになっているものもあって、本来の仕様ではどうだったのかいまいち謎(見えない部分なのであまり本気で調べる意欲が……)。

20171128_101207 ▼防盾は、機銃部バルジの下にも開口部があるようだが、キットでは表現されていない。意図的にここをクローズアップで写した写真が手元になく、今一つ幅などはっきりしない感じだが、適当にぐりぐりと削って穴を開けた。

ちなみに、穴開けの手掛かりとして最初にドリルで穴を開けたのだが、勢い余って上面のスリット部までドリルの刃で突き破ってしまった。焦りつつ修復。激しくマヌケだ……。

▼砲身は、説明書ではD14パーツを使うように指定されているだけだが、これを含め2ポンド戦車砲の砲身は2本(D13、D14)、さらに3インチ榴弾砲(D12)も入っている。せっかくなので、私は3インチ榴弾砲を使ってCSタイプとした。

ちなみにイギリス軍仕様のキットではD13を使うよう指示されていて、両キットとも3インチ榴弾砲は不要部品扱い。ソ連へのレンドリース車輌にも3インチ榴弾砲搭載のCS型は含まれているので、説明書でも取り上げてコンパチにしてもよかったのではと思う。

▼同じことがキューポラにも言えて、わざわざ背の低いタイプ(D50)も用意されているのに、これについてはまったく触れられていない。

「わかる人だけわかって、ニヤリとしつつ使ってくれればいい」ということなのかもしれないが、模型を作る上で「選べる」というのはキットの魅力のひとつだと(個人的には)思うので、どうにも不思議。そもそもタミヤがそう矢継ぎ早にマチルダのバリエーション・キットをもう一つ出すとも思えないし。

ちなみに、背の低いタイプもソ連で使われているので、私はそちらを選ぼうかと思っている〈現時点では)。(そもそも背の低いタイプは、「キューポラ」と言えるのか?)

▼砲塔上面右前方にある丸いパッチ、その後方のより小さい四角いパッチは、それが存在しない車輌もあるようだ(例えばYad La-Shiryonの現存車輌)。生産時期との関わりかもしれないが、現時点で詳細不明。ベンチレータ周囲のドーナツ状リブもYad La-Shiryonn車輌には存在しない。

また、砲塔後方の小工具箱?(D59)は、このキットでは不要部品扱いだが、ソ連軍の車輌でもこれが付いているものはあるようだ。

▼砲塔右後方のビジョン・ポート(?)は、キットでは角型タイプだが(D58)、ここは実車では形状にいくつかバリエーションがある。おそらくキットのタイプより後期の生産型と思われる、丸型ベースのものも比較的多く確認できる。

「背の低いキューポラの場合は丸型」とかいう対応関係があったりすると厄介だと思ったが、実際にはそんなことはないようだ。安心。

▼後期の生産車(たぶん)はターレットリング・ガードが装着されているものがあり、ちょっと作ってみたい感じもするのだが、車体上面の工具の位置が若干移動しているようなので、その確認・調整が(工作以前に)やや面倒。

▼車体後部には、イギリス仕様のキットでは増加燃料タンクが付くが、このキットでは取付架も付いていない状態で組むよう指定されている。ただし、(セータ☆さんの考証記事にもあるが)実際にはソ連軍仕様でも増加燃料タンク(取付架のみの場合も含め)付きの車輌はある。

ここは取付架は残っている状態で組んでみたい、などとも思うが、本来は薄い板を折り曲げて作っている取付架が、キットのパーツではムクなので、そのままではちょっと使いづらい。

▼履帯は、カマボコ型のセンターガイドが(金型上、可能な形状であると思われるのに)前後方向に抜けていないのが残念。足回りに履かせる分はスカートもあってほとんど見えないが、予備履帯はちょっと目立つ。

なんとか穴を抜くか、取付具だけにして履帯は省くか……。

▼誘導輪は、キットのタイプは比較的初期のものであるらしい。後期は鋼製リムのものが多いらしいのだが、「スカートに隠れて見えづらい+ほとんど変わり映えがしない」にもかかわらず、改造は割と面倒くさそう。「まあ、キットのままでいいや」の方向に流れる可能性大。

▼デカールは細かくこちゃこちゃと印刷されているが、実際には説明書で取り上げられている塗装例は2例のみ、しかも片方はマーキング無しの冬季迷彩。結局、指定の塗装例で使うデカールは番号①②のみ。「1942年春・ロシア南部」で撃破された写真が残されている、砲塔に「D-7」、車体に「B-2」と書かれた車輌(結局、車番はどっちやねん)。

他のデカールは「自由にお使いください」という、いささか絶句ものの内容。

特に最近のタミヤは基本、あまり大判のデカールはセットしない印象があるので、渡渉ガイドの赤線とか書き込みとかも含めて欲しかったというのは贅沢な注文かもしれないが、それにしても、ちょっとこのデカール選択はお粗末な気が……(バレンタインのデカールもそう思ったが)。

レンドリース仕様ということで言えば、イギリスからの船出の際に「ソ連の盟友への贈り物!」などと車体に書き込まれた状態のものをデカールに含めるのも面白かったんじゃないか、などと思うがなあ……(それもデカールがそこそこ大判になるので「贅沢な注文」かも)。

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