バレンタイン復活の日(4)
●オチキスだのルノーだのにちょっと気を取られている――のは否定しないが、バレンタインもじわじわ進行中。
というか、前回の段階から、車体前後のライト類と配線を済ませてしまえば、基本、工作は終了! 塗装を除くと、製作記は珍しくもたった4回! ヤッター!……という具合になるのではと考えていたのだが、ここまで来たところで、細かい"引っ掛かり"がいくつか出てきてしまった。面倒臭いなーこの戦車(面倒臭くしているのはお前だろう、というツッコミは置くとして)。
●とりあえず多少なりと進んだ部分。
車体後部に尾灯類?(パーツC45とC5)を付けて、引込部から配線を付けた。
もっとも、この部分がこのようなパーツ配置になっていて、それが綺麗に残っている現存車輛が見当たらず、ディテールはいまいちよく判らない(ただし、このC45とC5の形状のものがくっついている戦時中の実車写真は、とりあえずある)。
一応、キットではC45の筒状のものの先を赤で塗るよう指示されているので、これが尾灯であるのは確かなような(ただし、実車ではこの部分は本当に「筒」で、ライトそのものはその奥にあるようなので、ドリルで開口した)。
もう一つの、ちょっと後ろ側にあるC5は何なのか謎だが、後ろ向きのホーン?……とにかく、単純な板ではなく奥行きのある部品なので電装品だろうと判断して配線した。
引込部のポッチは現存車輛でも確認できるので、線が後ろ側から出ているのは確かだろうが、それが尾灯?とホーン?のどこに繋がるのかはわからず、結局、見切り発車的に真後ろのど真ん中に穴を開けて繋げた。
●車体前側の電装品でまず引っ掛かったのが、左フェンダー上に載っているホーンと思しきパーツとそのカバー(C6とC42)。
とりあえず、最初はキットの指定通り付けるつもりでいて、配線用のパイプが通るようにカバーに溝など彫っていたりしたのだが……。
改めて戦時中の実車写真を見直すと、このカバー(とホーン)は付いていたりいなかったり、付いているとしてももう少し小さめで縦長のカバーが内側寄りに付いていたり。
実際、キットのような大きさと配置(フェンダー中央)のものもあるのは確認できたが、防盾の機銃部が引っ込んだ初期型形質のものに限られているような。また、キット指定のソ連軍の「35-51」号車、「スターリンのために 52号車」のいずれもこのカバー(とホーン)が付いていないように見えるので、結局付けない(あるいは付けるとしても位置と形状を直す)ことにした。
そこで厄介なのが、キットのフェンダーにはカバーの取付位置に大きな凹部が設けられていることで、単なる穴なら埋めるだけで済むが、この場合、フェンダーの補強リブもその部分で途切れてしまっているのが悩ましい。
最終的には、穴を埋めて、その部分にかかる2本のリブも一度削り落としてしまい、プラペーパーの細切りを貼ってヤスってエッジを落として再生した。モールドにどれだけ近付けているかは塗装してみるまで不明(サーフェサーを塗って確かめるのが面倒)。どのみち予備履帯で隠れてしまうため、リブの後端の工作は適当で長さがまちまち。
予備履帯に関しては、前回、「まだ残っている電気系統の配線の工作の邪魔になりそうなので、現段階では取り付けない」と書いたのだが、車幅表示灯を後ろ側にずらして取り付けることにしようと思ったので、その位置決めの目安にする意味もあって、結局取り付けた。行き当たりばったり……。
●前述の車幅表示灯、車体前端左右に付く前照灯(そしてもしも付ける場合には前述のホーン)には、車体の引込部から電源コードが接続しているのだが、これがご丁寧に、フェンダーに這わせた保護パイプの中を通っている。なんでわざわざこんな妙に凝ったものを付けるかなあ。ドイツ戦車みたいに単純にコードを這わせたらいいじゃん!
AFVクラブのキットでは別パーツとして付属しているが、タミヤのキットではあっさり省略されているので、気になる場合は追加する必要がある。が、これまた現存実車ではあれこれ差があって、どんな状態がMk.II/IVの場合に標準なのかがよく判らない(ちなみにソミュールの実車は、一見2ポンド砲砲塔装備の初期型だが、実際には「MkIII架橋戦車の車体にMk.Iの砲塔を載せたハイブリッド再生車」だそうだ)。
まあ、あれこれ悩んでも仕方がないので、これも見切り発車で工作開始。とりあえず、現段階ではパイプのメイン部分を作成したところ。
フェンダー上への分岐になる円筒形部分は、丸棒に溝を彫ってパイプ本体の白いプラ棒をはめ込んで接着、それから両側を切って削って薄くして……ああ、面倒くさい!
●さらにここまで来て発覚した、もう一つの面倒臭い部分。
アフリカ型のサンドシールドでなく、"ヨーロッパ型"として組む場合は、ゴム製フラップ付きの丸いフェンダー前後と、前側にだけ小さな側面の"垂れ"(B12、B13)が付く。これを付けてしまうと後から誘導輪が取り付けられなくなってしまう……足回りを塗装してから取り付けるのは面倒くさいな、などと思っていたのだが、"垂れ"接着後でも、どうやら斜めにヒネるように差し込むと誘導輪を取り付けられる様子。
というわけで取り付けて見て、実際に誘導輪も後付け可能であることも確認……したまではよかったのだが、今度は、履帯がこの"垂れ"の内側に干渉してしまうことが発覚。
キットの履帯とブロンコの可動履帯は幅自体はほぼピッタリ同じなので、ストレートに作れば干渉することはないはずなのだが、とにかくうまく入らない。一部憶測交じりだが、どうも次のような感じ。
・そもそもこの"垂れ"は、フェンダーに対して垂直ではなく、裾広がりに(前から見てハの字に)斜めに付く。
・タミヤのキットは本来、足回りを組み終えてからこの"垂れ"を取り付けるように指示されている。また"垂れ"(B12、B13)パーツ裏側の履帯に当たる部分はもともとえぐれてモールドされていて、どうも、足回りを組んだ上からこの"垂れ"を履帯に触れるか触れないかくらいで接着すると、適正な「ハの字」具合に取り付けられるようになっている。なお、履帯自体がフェンダーに対してギリギリ外側に位置しているのは実車通りの位置関係。
・私は足回り組み上げ前に"垂れ"を付けてしまったので、適正な角度よりも若干垂直に近くなってしまっていたらしい。加えて、誘導輪のゴムリム部を外側に膨らませる工作をしているために(もともとキットのゴムリム部とガイドホーンの間には隙間があったので、履帯の位置自体そうズレていないはずだが)、ますます余裕がなくなったらしい。
結局のところ、私がきちんと立て付けを確認していなかったのが悪いのかもしれないが、とにかく、タミヤのバレンタインに別売の履帯を交換装着しようとしている方はお気を付けを(ほとんどhn-nhさんへの私信?)。
なにはともあれ、そんなわけで、キットの"垂れ"パーツの内側をゴリゴリと削って薄くすることで対処した。
左写真がキットのままの"垂れ"裏側。履帯に当たる部分の溝が判る。右は裏をさらって薄くする工作中。主に、一緒に写っている自作のチゼル(というかノミ?)を使用。これは確か100円ショップ由来のマイクロドライバーのマイナスを自分で研いだもの。安直な工具だが、なぜかとても重宝している。
取り付けた状態。
"垂れ"部分と前面部分のゴムには、実車では継ぎ目はないので、このあと削って消している。また、ちょっとゴムらしい柔らかさを出そうと、若干波打ったようなふうに削ってあるが……効果のほどはちょっと微妙かな?
実際に履帯を取り付けてみて、様子をみたのが次の写真。
●次回には「工作終了!」といきたい。
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