チャバ

ホビーボス 1:35, 39Mチャバ(レビューその3)

●昔、「トリビアの泉」でやっていた話題なのだが、マジャル語(ハンガリー語)では、「塩が足りない」ことを「シオタラン」と言うのだそうだ。

というわけで、トルディほどではないものの、やはりなんだかちょっと「シオタラン」(一味足りない)気がしないでもないHOBBYBOSSの新製品、「Hungarian 39M CSABA Armored Car」のレビュー。

3回目は塗装とマーキング、およびデカールで取り上げられている車両の仕様に関しての話。作り始めているわけでもないのに、何を長々書いてるんだって感じ。しつこくて済みません。

なお、チャバの開発史、ハンガリーAFVの塗装とマーキング等に関しては、ウェブサイト“The Honvéd - Hungarian Armed Forces”に詳しい。特に、

は、以下を書く上でも大いに参考にさせてもらった。

●ごくごく大雑把な流れで言うと、戦前~大戦初期のハンガリー軍車輌(AFV、ソフトスキン含む)の基本塗装はグリーンをベースに、オーカー(サンドイエロー)、ブラウンを塗った三色迷彩。中盤以降はグリーン単色(多少の例外あり、後述)になる。

三色迷彩は、これまた塗り分けがくっきりとしたものと、境目が吹き付けのままでボケているものとがある。前者のほうが、比較的初期のものというイメージがあるが(私には)、実際には時期の差というよりはメーカーによる違いという部分が大きいようだ。

本題の39Mチャバに関しては、基本、当初はすべて「塗り分けはっきりタイプの三色迷彩」だったようだ(ただし、数多くはないが、ボカシ迷彩に見えるものもある。これは後述の単色塗装導入前に再塗装されたものではないかと思う)。

その後、1942年タイプの国籍マーク(黒四角に白十字)に切り替わるのに合わせて、車体も単色に塗り替えられている。前述のように、大戦後半のハンガリー軍AFVの塗装は(ドイツから供給されたものは除き)グリーンの単色が一般的なのだが、チャバの場合は、(グリーン単色と思われるものもあるが)かなり明るい色の単色塗装があり、これはサンドイエローで塗られているものと考えられている。

また、ちょっと珍しい例として、サンドイエロー単色塗装の上にブラウン/グリーン(あるいはその片方)を使って迷彩を施した(つまりほぼドイツ軍式迷彩)のチャバの写真も一例確認できた。モスクワのゴーリキー・パークでの鹵獲兵器展覧会の写真で、他にもニムロードやパナールなどが写っている。1942年型国籍マーク部分を綺麗に避けて迷彩色が塗られているので、現地部隊で後から色を重ねたのではないかと思う。

なお、トゥラーン中戦車の場合は3色迷彩で1942年型国籍マークのものがあるのだが、チャバでは3色迷彩で1942年型国籍マークのものは見当たらない(少なくとも私が見た写真の中には)。

迷彩色3色(グリーン、オーカー、ブラウン)の色調なのだが、上記サイトの解説によれば、当時の資料中にも色の名前でしか載っておらず、正確に色調を特定できる工業規格番号のようなものは不明らしい。ちなみにキットは塗色をMr.HOBBY(Mr.カラーと水性ホビーカラー)、ファレホ(バジェホ)、モデルマスター、タミヤ、ハンブロールで指定している。

グリーン(Dark Green)はMr.カラーではC70ダークグリーン(WWIIドイツ戦車)が指定されているが、その他のカラーでは該当色無しになっている。えー。近似色はあると思うけどなあ。

オーカー(Sandy Yellow/Dark Yellow)はMr.カラー:C39ダークイエロー(WWIIドイツ戦車ほか)、ファレホ:824 Ger.Cam.Orange Ochre、タミヤ:XF59デザートイエロー、ハンブロール:93 Desert Yellow Matt。Model Masterで該当色無し。

ブラウン(Wood Brawn)はMr.カラー:C43ウッドブラウン、ファレホ:983 Flat Earth、タミヤ該当なし、ハンブロール:186 Brown Matt、Model Master:1711 brown。しかし、ウェブ上のカラーチャートで見る限り、Mr.カラー:C43ウッドブラウンはいいとしても、ファレホのフラットアースはいくらなんでも明るすぎないか?

後年のドイツ軍の3色迷彩の規定はダークイエローをベース色にグリーン、ブラウンを重ねるが、ハンガリー軍の3色迷彩はグリーンがベースで、特にチャバの場合、3色の面積はあまり均等でなく、グリーンと他の2色が2:1:1から、せいぜい1.5:1:1くらいであることが多いようだ。

パターンはランダムで、例えばOA vz.30装甲車や一時期のヘッツァーのように「別車輌でも配色・パターンがすべて共通」といった面倒くさい状況にはなっていない。なお、上記サイトには、チャバのくっきりした塗り分けは刷毛による手塗りでそうなっているのではなく、型紙を使用していると書かれているが、それにしては、同一のブロック形状が他の場所に現れている例が見当たらない気がする。

というわけで、キットの塗装説明図は【I】から【IV】まですべて同一パターンで描かれているが、これは作図上の面倒を省いてコピペしただけで、実際にはパターンはバラバラ。また、オーカー、ブラウンのパッチは1つ1つがもっと小さめで丸っこい感じの場合が多いようだ。

F1011452b ●キットの指定塗装はすべて3色迷彩時期のもので、付属のデカールは右のような感じ。何しろ、いつ作るか判らないキットなので、保護紙をかけたままの不鮮明な写真で失礼。

メインとなるAシートと、忘れているのに気付いて後から足したのか、国章(と前に書いたが、正確には国家盾章が真ん中に入った装甲部隊徽章)のみの小さなBシートの2枚。

車両登録番号は5種類含まれているが、塗装説明図ではそのうち4種類しか取り上げられていない。……なぜ?

しかも、各塗装説明に、いつ、どこの何部隊なのかの説明がまったくなかったり、デカールシートに含まれているのにどこに使うのか指示されていないマークがあったり、あるいは用意されているデカールだけでは指定の車輌の実車通りのマーキングを再現できなかったり、特にデカール関連では「シオタラン」感たっぷり。しっかりしてくれHOBBYBOSS。

●というわけで、キットの塗装説明図に即して、デカールに取り上げられた特定車輌の塗装とマーキング、仕様に関しての検証。なお、デカールに取り上げられている登録番号の車輌は、すべてネット上で実車写真が確認できる。

上で紹介したサイトのチャバのページに、各車輌番号ごとに整理した写真も出ているので参照して頂きたい(なお、下の記述では上のサイトに出ていない写真も参照している)。

【塗装例 I 】 車両登録番号:Pc127

第1偵察大隊(1. felderítő zászlóalj )所属。1940年秋~1941年春。「ハンガリー十字」と呼ばれる末広がりの十字に国家色をあしらった国籍マークは、1940年9月の北トランシルバニア占領に先立って試験的に導入されたもの。対ソ戦開始前にはお馴染みのバルケンクロイツ似のマークが正式に制定されることになる。

国籍マークは、デカールでは3つのサイズが用意されていて、エンジンデッキが大、車体前部・砲塔左右・車体右が中、車体左が(工具を避ける形で)小、という具合になっている。少なくとも私が知っているPc127の写真は前方からの1枚だけだが、同じ時期・同じ部隊の別写真では、車体右側の国籍マークも、砲塔のマークよりわずかに小さいケース(ただしデカールの国籍マーク小よりは大きい)、逆に車体左側の国籍マークも砲塔と同じ大きさに見えるケース(そもそもキットは工具の取り付け位置がちょっと高めのようだ)がある。

塗装図ではなぜか省かれているが、車体前部の国籍マーク右側の細長い三角の装甲部分に、第1偵察大隊の部隊マークである「稲妻矢印」が描かれている。同じマークは、車体後面(ナンバープレートが描かれている面)の右端にもある。前部の部隊マークは前向き、後部のマークは垂直で下向き。

この部隊マークはデカールにも入っているのだが(23、24)、なぜか塗装図では無視されている。また、実際のマークはプレーンな白で、デカールのように黒縁は付いていない。さらに、デカールの23と24は鏡写しだが、実際には車体前部・後部ともに23の形。

また、説明書では図示されていないが、装甲部隊徽章(デカール番号27)も、しっかり記入されている可能性は高い。記入位置は決まっており、車体中央部の縦ジグザグリベット列の前側上隅。【塗装例 IV 】右側面の指示を参照のこと。なお【塗装例 IV 】では右側面しか指示されていないが、実際には左右とも同じ場所に記入されている。

タイヤはトレッドパターンの細かいほう(キットのタイプ II )を履いている(少なくとも残っている写真では)。

【塗装例 II 】 車両登録番号:Pc125

キットの塗装指示では、砲塔前面に半丸同心円のマーク(デカール番号6)を貼り付けるように指示されているが、これは第1騎兵旅団装甲大隊(1. lovasdandar páncélos zászlóalj )の部隊マーク(実際には馬蹄を示しているらしい)。しかし、実際にはPc125は、上の【塗装例 I 】と同じ第1偵察大隊所属車で、しかも第1偵察大隊マーキングのまま大破した写真が残っている。というわけで、塗装指示は大間違いである可能性が高そう。

部隊マークを活かす場合、車両登録番号はPc140、Pc144、Pc148、Pc154、Pc176が同部隊所属であるのは写真で確認できる。部隊マークの記入位置は、塗装図では砲塔前面だけだが、車体後面右上にも記入するのが基本。

また、国籍マークのスタイルは塗装図と同じ細いタイプでよいのだが、側面の国籍マークは、砲塔両側にあって車体にはなかったり、砲塔になくて車体にあったり、砲塔にも車体にもなかったり、いろいろバリエーションがある。時期によって違うのか、中隊/小隊の別などで違うのかはよく判らない。車体側面に記入の場合、キットのように左側面が小さなマークでよいのかという問題もある(おそらくこの部隊のものと思われる車両の写真で、右側面と同じ大きさの国籍マークを記入したものがある。その場合、当然、工具は国籍マークにかぶる形になる)。ただし車体前部のマークは共通のようだ。

写真で確認できる範囲で、前期車番の車輌の仕様を記すと、

Pc140:後方から写した写真が2種あり、片方は部隊マークが記入されていないが片方にはある。部隊マークが記入されていない時期があったことが判る。斜め前方からの写真では砲塔前面に部隊マークがあり、車体前面、車体側面(右側が写っている)に国籍マーク。装甲部隊徽章の有無は不鮮明でよく判らず。タイヤはパターンII(細かいほう)。

Pc144:砲塔側面、車体側面ともに国籍マーク無し。車体前部あり。装甲部隊徽章よく判らず。後方からの写真無し。タイヤはパターンII(細かいほう)。

Pc148:斜め後方から写した写真があるがあまり鮮明ではない。とりあえず砲塔側面に国籍マークはないようだが、車体側面にはもしかしたらあるかもしれない。後面所定位置にナンバーと部隊マーク。タイヤはパターンII(細かいほう)。

Pc154:斜め後方からの不鮮明な写真が1枚。しかも樹木の枝でカムフラージュされており、車番と部隊マークが確認できるのみ。タイヤはパターンII(細かいほう)。

Pc176:斜め前からの写真が1枚。車体側面は国籍マークがなく、装甲部隊徽章のみ。砲塔側面に国籍マークがあるかどうかは光線の関係で白く飛んでいてよく判らないが、どうもないような気がする。タイヤはパターンI(粗いほう)。

車両登録番号を活かす場合、所属は前記のように第1偵察大隊となる。Pc.125号車の写真は1941年の新国籍マーク導入後のもので、国籍マークはキットの塗装説明図とほぼ同じ細いタイプ(ただし、キットのデカール9より白+緑部分がわずかに広めかも)。ただし、記入位置は車体前部に加え、かなり大きめのものが砲塔左右。車体左右に記入はなく、エンジンデッキ上にもなさそう。というわけで、キット付属のデカールの国籍マークでは対応できない。

なお、【塗装例 I 】で述べたのと同じ場所に白い稲妻矢印の部隊マークが入る。

Pc125号車は、写真で確認できる限りでは、キットに含まれていない第3のタイプのタイヤを履いている(前々回の記事参照)。

【塗装例 III 】 車両登録番号:Pc175

私が知っているPc175号車の現存写真は2枚。スタンダードな形状の1941年型国籍マーク付き(つまりは、おおよそ1941年夏から1942年一杯くらいということになる)。実車写真で確認できるPc175号車は、訓練部隊所属。上記サイトの写真キャプションによれば、“Ludivika Academy Armoured Training Squadron”だが、最初の単語は“Ludovica”のスペルミス。ルドヴィカ・アカデミアはオーストリア=ハンガリー帝国時代からの歴史を持つ、ブダペシュトにある軍学校。

さて、国籍マークに関してはおおよそ正しそうなのだが(左側面がやや小さ過ぎかもしれないが)、問題は、この訓練部隊所属車輌は、実戦部隊配属の車輌には見られない特徴として、砲塔にやや大きめに(部隊内における)車番を記入しているところにある。記入位置は砲塔側面前半、丸いバイザーフラップの下。Pc175号車の車番はL45.。デカールは付属していないので、実車写真通りのマーキングを再現したい場合には、自分で手書くなり何なりする必要がある。面倒臭っ(;;)。タイヤはパターンI(粗いほう)。

同一部隊の所属車としては、他に、Pc146のL42号車、Pc175号車の写真に後続車として写っているL44(車両登録番号不明)がある。

▼【塗装例 IV 】 車両登録番号:Pc119

丸い国籍マークは、第2偵察大隊( 2. Felderítő zászlóalj )独特のもの。一般的な1941年型の八角形国籍マークのバリエーションという感じがするが、実は使われ始めたのはこちらの方が早く、第1大隊のハンガリー十字(末広がり十字)とほぼ同時期に導入されたものであるそうな。とはいえ、1941年型とよく似ているためか、(第1大隊のハンガリー十字と違い)対ソ戦が始まってからも1941年一杯は使われ続けたらしい。以上、前出のサイトの受け売り。

Pc119も正しくこの部隊の所属車で、「2.F.-」のマーキングも写真で確認できる。

ようやく、何の修正もなくストレートに行けるのか!?

……と言いたいところなのだが、惜しい。この部隊は車体後面、ナンバーの右側にも大きく国籍マークを記入しているのだ(記入できる面積ほぼいっぱいの大きなもの)。さらに、このPc119号車は、キットに含まれないタイプのトレッドパターンのタイヤを使用している。

▼【塗装例 * 】 車両登録番号:Pc124

塗装図で解説されていないが、デカールに含まれている車両登録番号が一つ残っている。このPc124号車は第1偵察大隊所属で、対ソ戦開始前の、「ハンガリー十字」国籍マーク入りの時期の写真が残されている。というわけで、注意点は【塗装例 I 】とまったく同じ。タイヤはパターンII(細かいほう)を履いている。また、残されている写真では戦闘室上面左後ろ隅に小さな旗が立っている。ちょうどその位置に小さな丸いパッチがあるが、ここに立てられているのだろうか。

●というわけで、用意されているデカールが見事に全部、(正確を期すのであれば)そのままでは使えないという、「やってくれるぜHOBBYBOSS」状態になっている。

……広東省の方角に向かって、皆で「シオタラン!」と叫ぼう。

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ホビーボス 1:35, 39Mチャバ(レビューその2)

F1011380bHOBBYBOSSの新製品、「Hungarian 39M CSABA Armored Car」、レビューの続き。

前回記事作成時に、エッチングパーツに「2014」と年次が入っているのに気付いた。エッチングは一昨年に完成していて、それからキット発売までに約2年かかってるのか?

あるいは何かキット設計上のポカがあって、発売までにすったもんだしたのか?(そういえば、さすがに2年前とはいかないものの、秋葉原のYSでキットの見本を見たのはだいぶ前だったような気がする)

●それはそれとして。まずは車体。全体形は、それほどじっくり見比べたわけではないが、実車写真から感じるイメージとそう遠くない。

全面に打たれたリベットは、大きさ、形状など実車では画一ではないが、キットもとりあえず大きさに関しては気を使って区別しているようだ。いくつか気になった点を以下に。

F1011465b ・金型からの抜きに関しては角度的にそうきつくないように思うのだが、車体上部後端のリベット列(横方向の4本)に“めくれ”が生じてしまっていた(すべての製品でそうなっているのか、私の手に入れたキットがたまたまそうだったのかは判らないが)。一度削って植え直す必要があるかもしれない。

・前述のように、リベットの大きさに関しては一応気を使ってメリハリを付けているようなのだが、形状は基本、すべて丸頭リベットになっている。しかし、実車ではエンジンその他内部機構の交換などの都合で一部のパネルはボルトもしくはネジで止められているのではないだろうか? どこがどのような形状なのか、なかなか鮮明なクローズアップがなくて確かめられないのだが、少なくとも車体前端上面の横列はマイナスネジが使われているようだ。また車体後部は、後面上側(上写真のAの面)はマイナスネジで、後部上面(Bの面)は尖頭ボルトが使われているのではないかと思う。

・車体後面には、上下の装甲板継ぎ目あたり、やや右寄りに、エンジンスタート用のハンドルを突っ込むのではないかと思われる小穴とそのカバーがあるようなのだが、キットでは無視されている。

F1011461 F1011446b ・車体前端装甲は、ほんのわずかだが、実車より横長な感じがしないでもない(あくまで個人的な印象)。上部左右のナナメのリベット列は、実車では左右端がもうちょっと内側にある。

・操縦席左右の三角形の装甲板には、エッチング・パーツの丸いパッチが付く。これは実車では単純なパッチではなく、内側にヒンジがあって開閉する。フェンダー上に前照灯など付いていないので、ここにライトがあるのではないかと思う。いや知らんけど。問題はその位置で、キットはエッチングを貼りつける位置が筋彫りで示されているが、実車と比べ、位置が後ろ過ぎる。下辺に6つあるリベットのうち、キットのモールドは後ろから三番目のリベットよりやや後ろに円の中心があるが、実車では後ろから三番目と四番目のリベットの間に来る。

車体ハッチ。前後操縦席上のキューポラ付きハッチは、半開状態で固定可能。その場合、前部ハッチは前縁右側に固定用アームが覗く。後部ハッチは側部右側(車体の前後方向を基準として)に固定用アームがあるようだ。

車体下部の乗降用ハッチは、表側の取っ手は別部品、裏側はモールド。裏側モールドも取っ手は横方向になっているが、開状態では縦になるものらしいので、情景など作る人は御注意。

F1011472b ●ころんと一発抜きで成形された砲塔本体。

下辺のリベットがその他と比べて大きいのは実車も同じ。しかし、実車はこれよりももっとメリハリがあるような印象。

各辺のリベットの数は(車体も含めて)おおよそ正しいようだが、一部に間違いもある。右写真で黄色で示した辺のリベットはキットでは8つになっているが、実車は7つ。一方、前端縦の列はリベット間隔が不揃いなのは実車通り。「たまに間違えている」だけで一応、ちゃんと表現しようという意欲はあったらしい。

F1011449 一方、砲塔前面は、キットは下辺に等間隔に11個の大リベットが並んでいるが、これは誤り。実車は10個で、向かって右側から3個、ちょっと間隔をあけて7個という具合になっている(主砲直下のひとつがない)。

なお、砲塔・車体のリベット列については、ぱっと目に付いたところだけは比較したが、すべての列について比較検討したわけではなく、もしかしたら他にも間違えている箇所はあるかも。しかしまあ、砲塔はAFVの顔なので、ここはちょっとこだわりたい気がする(個人的に)。

F1011448b武装

主武装のゾロトゥルン20mmについては、なんと砲身だけでなく全体をパーツ化してあり、スリーブの中に差し込む凝った構成。小国御用達で携行兵器としてもあちこちで使われているので、ゾロトゥルンだけ複数欲しい感じ。いや、フィギュア作らないけど。

しかしその一方で、なぜか隣の機銃(ゲバウアー 34/37M 8mm機関銃?)は、表に出ているスリーブがパーツ化されているのみで、銃身どころか(これはどうせスリーブに収まっているので要らないが)機関部もない。せっかくゾロトゥルンの砲尾があっても意味無し! もっとも、そもそも砲塔内部はつんつるてんで他に何もないが。

●後面と上面の2カ所にある砲塔ハッチ

F1011447b 砲塔後面の観音開きのハッチは、ペリスコープ部の表側が、なぜかシャッターを下ろして塞がれたような表現になっている。実車がこんなふうにできるのかどうか不明だが、少なくとも実車写真でこのような状態は見たことがない。

実際には、上に貼った写真の、砲塔の側面と同形状になっているはず。なお、このペリスコープを囲む丸いパッチ部分は、ドイツ風に言えば「クラッペ」で外側にはね上げて開閉することが可能。

キットも、このハッチの内側は比較的(なぜか)凝っていて、内側のペリスコープ本体、その上に付く開閉アームなども別パーツ化されている。

F1011442b F1011443b これに対して砲塔上面ハッチは、内側はまるっきりつんつるてん。これは「ハッチを開けて乗員のフィギュアを乗せたい派」の人には困ったものだろうと思う。

39Mチャバで上面ハッチ内側が綺麗に写っている写真はなかなかなく、せいぜいこの程度のものしか見つけられなかったが、内部構造図や、バリエーション車輌である無線指揮車40Mの写真などから推測すると、ハッチ中央部に縦方向に2つのコの字の取っ手、ヒンジと反対側の中央に何らかのロック機構という感じらしい。ハッチ表側のリベットも、この内側ディテールに対応している。ただし、キットの表側リベット(特に取っ手のリベットの4つ)は離れすぎで、もうちょっと内側に寄っている感じではないかと思う。

なお、開閉ヒンジ(蝶番)はハッチ内側についているような表現になっているが(既存の図面でもそのように描かれているが)、実車写真を見ても内側にアームのようなものは見られず、単純にぱったんと前側に開いている。ハッチの開閉軸部分は表側にあるのではないかと思う(前段落でリンクを張った内部図でもそのように描かれている)。

F1011441b車外装備品。同じHOBBYBOSSのトルディは、工具箱以外、車外装備の工具類は一切無視でだいぶ寂しい感じだったが、このキットではジャッキ、つるはし、シャベル、バールがパーツ化されている。

なお、付属のエッチングパーツも、半分以上は工具(つるはし、バール、シャベル)の留め具。ただし、キットのパーツは単純にエッチングをΩ型に曲げるだけだが、実際はバックル付きのベルトではないかと思う。

ジャッキはフェンダー上に止める台座パーツを別にして、本体のみで5パーツ。トルディのジャッキと同じならもう一個欲しいなあ!……なんて思ったのだが、トルディのジャッキはこれよりももっと細身な外見のようだ。もちろんトルディのほうが重いので、単純に縦横比で「細身に見える」だけで、向こうのほうがゴツイのかもしれないが。もっとも、チャバのジャッキ自体、本当にこのような形をしているのかよく判らない。

(5/3追記。Nasi kandarさんから、同形のジャッキが確認できる写真がある旨コメントを頂いた。ありがとうございます)

(塗装とマーキングに関しては次回)

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ホビーボス 1:35, 39Mチャバ(レビューその1)

●前回書いたように、HOBBYBOSSの「Hungarian 39M CSABA Armored Car」を購入したので、そのレビュー。ディテールの検討と若干の考証。

ただし、パーツをざっと見て、気になったところをチェックしてみただけなので、目の付け所は割とバラバラ。やはり実際に作り始めてみないと気付かないところも多いと思う。

F1011381

●ボックスアートは割と勇ましく戦闘中といった風情のチャバ。

もっとも(マーキングのところで詳しく触れるが)箱絵のマーキングは対ソ戦以前の試験的国籍マーク。これを付けて出動したのは(外交交渉で獲得した)北トランシルバニア進駐くらいのはずなので、射撃中なら演習時ということになる。

なおHOBBYBOSSはボックスアートにおいて、ごく最近の例で言うと、フィンランド軍のT-50が複数進撃中(実際には1輌しか鹵獲使用していない)という、トンデモ素敵なボケをかましてくれている。それに比べると、このボックスアートはまともだ。

(……箱も小さめだしパーツ数もあっさり目なのになんでこんなに高いんだよぅ、という恨みがあるので若干辛口です。)

●話は前後するが、実車のチャバは、ハンガリー出身の自動車・軍事技術者、ニコラス・ストラウスラー(シュトラウシュレル・ミクローシュ)設計の装甲車で、オランダ東インド軍が使って日本軍とも対戦したアルヴィス・ストラウスラーAC3D装甲車とは兄弟分に当たる(実際全体のスタイルは非常によく似ている)。

ストラウスラー自身は大戦勃発前からイギリスで活動していて、イギリス空軍向けの爆弾トロリー、ノルマンディー上陸作戦で活躍した戦車浮航用DD装置(シャーマンDDで有名)などを開発した。要するに、ストラウスラー設計の兵器は、枢軸・連合両陣営で使用されたことになる。

●キットのパーツ構成は、車体下部と砲塔がスライド型で個別に成型(合わせてAパーツ)。足回りがBパーツで同一の枝が2枚。Cパーツは車体上部と前後のハッチ。Dパーツはハッチ、アンテナ、工具その他。Eパーツは砲塔前面・下面やフェンダー、武装など。個別になっているAパーツを除くと、枝は5枚。BパーツはD,Eの半分くらいの面積だし、Cパーツは部品が3つだけなので、パーツ数はさほど多くない。

タイヤはゴム製で2種。ごく小さなエッチングパーツとデカールシート2枚。

F1011454b F1011459b F1011456b F1011451

写真1枚目がB・Cパーツ(Cパーツは車体上部切り離し済みで2つのハッチ部分のみ)。2枚目がDパーツ、3枚目がEパーツ。4枚目のエッチングは、長辺が27mm弱。

全体のスタイルは、組み上げていないので何だが、「まあいいんじゃないかなあ」くらいの感じ(いい加減)。それが信頼に足る図面かどうかという問題はあるが、とりあえず、“Magyar Steel”(Csaba Becze, STRATUS, 2007)に出ている1:35の図面とはほぼぴったり整合する(砲塔前面下部の幅がわずかに違う程度?)。

なお、もうちょっと古い資料、“A MAGYAR KIRÁLYI HONVÉDSÉG FEGYVERZETE”( Bonhardt Attila, Sárhidai Gyula, Winkler Lázaló, ZRÍNYI KIADÓ)に掲載されている図面と“Magyar Steel”の図面は作図者が違うようなのだが、線の太さが違うだけで図面としてはかなり似通っている。

F1011466足回り。前述のようにタイヤは2種類入っている。前回も書いたが、私、「あれー。タイヤが2セットも入ってらぁ。入れるとき間違えたなこりゃ」なんて思ってました(←迂闊者)。

実車でよく見られるパターンは3種(他にもマイナーなバリエーションがあるかもしれない)で、そのうち2種がカバーされていることになる。一応、私の手元の資料やネット上でかき集めた実車写真を見ると、キットのパーツ図によるとII番、右写真の下のトレッドパターンが細かいほうが最も一般的であるようだ。

上の方の、トレッドパターンが粗めのほうのパーツには、側面に刻印が入っている。“Magyar Steel”の図にも書き込まれているが、刻印は「SARKANTYUS CORDATIC」。おそらくCORDATICがメーカー名で、検索してみると戦間期のカタログやらポスターやらの画像がヒットした。

メーカーそのものについて説明してくれているページは発見できなかったが、どうやらハンガリーにあったメーカーらしい。SARKANTYUSのほうはおそらく商品名で、検索したらゾウガメやら鳥やらがヒットしてちょっと混乱したが、マジャル語(ハンガリー語)のweb辞書を引いたら「拍車」と出た。タイヤの名称としてはふさわしそうだ。

Tire03 トレッドパターンの細かいほうには、刻印は入っていない。なお、実車写真でタイヤの刻印が読めるほどの鮮明なクローズアップはなかなかないが、数少ない例からみると、「SARKANTYUS CORDATIC」という刻印が入っているべきなのは、むしろトレッドパターンの細かいほうのタイプのタイヤなのではないか、という疑いが濃厚。あんだえー。

ちなみに、キットのタイヤが表現している2種以外に比較的よく見られるもう1種のトレッドパターンは右図のような感じ(白い部分が溝)。とある掲示板で拾い読みしたところによると、チャバのタイヤにはSARKANTYUS CORDATICのほかにFIRESTONEがあるそうだが、そのFIRESTONEのタイヤのパターンがどれに当たるのかは、現時点では私にはよく判らない。

2017/2/2追記。イギリス軍のスキャメル・パイオニア・トラクターに、右上図とそっくり同じパターンのタイヤを履いている例がある(もちろんタイヤサイズは違うだろうが)。IBGで発売予定のキットもCG絵ではそのパターンで、Firestoneのロゴが入っていた。というわけで、右上図のパターンのタイヤはFirestone製である可能性が高そう。

書き添えておくと、これらのタイヤは3種とも、前から見た時にトレッドパターンがV字になるのが正規の方向のようだ(わずかに例外はある)。キットの組立説明書では、左右で装着方向が逆になるように描かれているので注意が必要。

さて、チャバの車輪は、だいぶきつくポジティブ・キャンバーが付いている(正面から見た時、タイヤに逆ハの字に角度が付いている)。詳しくはwikipediaのホイール・アライメントの項を読んでいただきたいが、とにかく、逆ハの字にしておくと、パワステなどがなくとも操舵が軽くなるのだそうだ。もっとも、チャバがやたらに横転している写真が多い気がするのは、もともと重心の高そうなことに加えてこのキャンバー角も一役買っているのではないか、とも思ったりする。

閑話休題。そこでキットなのだが、実際に組んでいないので推量混じりなものの、どうも前輪にはキャンバー角が付くものの、後輪はまっすく付くような構成になっている感じ(違っていたら済みません)。前輪のみのステアリングなら当然それでいいはずだが、実際には、チャバは後輪もステアリングするし、実車写真を見ても、後輪も逆ハの字になっている。写真ではよくわからないが、とりあえず“Magyar Steel”の図面によれば、前後輪のキャンバー角は同一。

(長くなったので今回はここまで)

 

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中国産茶葉100%

F1011201 F1011198 ●久木新道のセブン・イレブンが開店一周年だそうで卵と牛乳(だったかな?)の特売。かみさんが大量に卵を買ってきたので、ついでに烏龍茶のティーバッグも買って、久しぶりに茶葉蛋(烏龍茶煮卵)を作る。

作り方それ自体は単純で、一度普通に茹で卵を作り、殻にひびを入れて、濃く煮出した烏龍茶+塩+香料(五香紛を使用)で煮るだけ。

前に作ったときにちょっと味が薄めだったような覚えがあるので、今回は塩を多めに、ちょっと醤油と砂糖、料理酒も足した。

F1011381 ●25日、打ち合わせで神保町S社に行き、帰りに秋葉原に寄る。

HOBBYBOSSの39Mチャバ装甲車が出ていたので、「うわっ、高っ!」などと思いつつも(YSで税込み6050円)、流石にアイテム的に外せずついつい購入(なんてことを言いつつブロンコのズリーニィは買いそびれているのだが)。

とりあえず、ジャッキその他の車外装備の工具がちゃんと入っていること、デカールに国章が含まれていることは、同社のトルディよりも優れている点。もっとも、国章のデカールは別シートで追加されているので、やはり最初は忘れられていたのかもしれない。

タイヤはゴム製で、パーティングラインは消しづらいし接地面を削る処理もしにくいのはちょっと不満だが、プラ製で中途半端なトレッドパターンになってしまうよりはいいかもしれない。ちなみにタイヤは2セット入っていて、梱包時のミス?なんて思っていたら、実はパターン違いの選択パーツになっているのだった(説明書にも書いてあるのに、めがーぬさんに教えて貰って初めて気付いた)。

とはいえ、文句なしの出来のいいキットかというと、「あれ?」と思う部分も少々。これについては改めてレビュー記事を書きたい。

F1011204 ●秋葉原で小腹がすいたので、久しぶりにケバブを食べた。

ケバブサンド500円、ちょっと高めかもしれないが、中身はギッシリで、バーガーキングのワッパー級に食いでがある。もう一つおまけに、手も顔もベタベタになる。包み紙の底にはべっとり油が溜まるので、油断をしたらそれをこぼして服や持ち物までベタベタにしかねない。危険な食い物である。

しかし強烈に「肉食ってる!」感がする。たまに食いたくなるんだよな~。

●26日、GIS関連のイベントで、相模原の青山学院大学に行く。こちらのキャンパスに行くのは初めて。

横浜線の淵野辺駅が最寄りで、素直に東神奈川乗換で行くことになるかと思ったら、NAVITIMEさんに藤沢から小田急で回って町田で横浜線に乗り換えろという「なんだそりゃ」的なアドバイスを貰った。

いや、実際には東神奈川回りの経路が一番最初に出てきたのだが、藤沢回りも時間がさほど変わらないうえ、料金が200円以上安くなる(しかし乗換が3回または4回になる)。

結局はその通りの経路で行ったのだが、まず自宅近くのバスに乗り遅れ(これは完全に私が悪い)、その後連鎖反応的に逗子駅でも藤沢駅でも一歩違いで乗り遅れる羽目になった。いや、NAVITIME先生のせいじゃないですが。

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