菱形戦車

菱形戦車(2)

●ありがたいことではあるが、この年末にひどく急な仕事が入り、その締切が25、26、27日と3連続だったので家にこもりきり。

昨日は神保町N社の仕事納めの打ち上げで、昼過ぎから事務所内で鍋パーティだったのだが結局行けず。

今週行ったところといえば、野田の火葬場くらい。明日は(天気がよければ)散歩に出掛けよう。そして「げんしけん」と「王妃マルゴ」を買おう(SO-122さんの書評で出たのを知った)。

F1017569 ●ウクライナ、マスターボックス(MB)製1:72、マークI戦車(雌型)の続き。

それほどパーツ数もなく、パーツの整合だの形状だのに深刻な問題もなく、何となくパタパタと組み上げてしまった。

うーん。なかなか格好よいぞ。

F1017577 ●細部について少々。

▼前面のバイザーフラップが別部品で開閉が選択可能なのは、エアフィックスに対するアドバンテージ。やはりこういう部分が開いていると「生きている車輌」感が出る。

前照灯もエアにはなかったパーツだが、取り付け架は角柱状であまりよくないので、エッチングの切れ端で作り直した。もっともひどく小さなパーツの、そのまたステイ部分なので、最終的に取り付けるまでに3つも紛失してしまった。部屋のホコリのどこかに、小さな金属部品が紛れているはず。やれやれ。実は最初になくした2つが「比較的よくできたステイ」で、現在付いているものは車体側のベロの長さが不足気味。

なお、取り付けダボなどはなく接着箇所が曖昧なので、ボービントンのMk.IIの写真を参考にした。さて、ライトがあるからにはコードがあるはずだが、どこから出てどう這わせているのか不明。

履帯は現時点では仮に巻いてあるだけで、左右に僅かにあるバリなども処理していない。しかしそれ以前に、やはりベルト式だと誘導輪、起動輪部分での実感に欠ける。とはいっても、丸ごと自作するのは嫌だなあ……。

また、誘導輪は前端のカーブより大きく、わずかに見えているものなので、ここはパーツ化してほしかった。

F1017576F1017571  ▼左右スポンソンはこんな感じ。

前回書いたように、天井だけ別部品。幸い、(片側の裏面突起が成型不良だった問題を除けば)合いは悪くないが、こうして写真で拡大すると、わずかに隙間がわかる。

スポンソン内のターレットは2つずつ別のパーツ枝で、そのせいか(これも前回書いたが)2つずつで銃眼のスリット幅が違う。写真のようにプラバンを貼って幅を調節した。

銃の先端は、銃口が直接露出しているわけではなく、ポッチ部分もスリーブの一部のようなのでそのまま。

F1017567 ▼車体上部の手榴弾避けネット。プラパーツの枠は斜めの部材も一体になっているのだが、エッチング用説明書(小さな紙切れ)で、その斜め部分を削り落とすよう指示されている。

実物は枠の他の部分とは別の、薄く細い板なのだろうか? クローズアップの写真があまりないので、どうもよくわからない。

ちなみにネットは、このキットでは綺麗に枠と同じ形になっているが、実車は張り方にバリエーションがあり、枠を越えてスポンソンの上にまで張っているもの、枠自体を後方に延長し屋根が長いものなどもある。wikipediaに出ている写真の雌型は、枠自体がなくもっと高い柱を立ててテントのようにネットを張っている。

エッチングパーツは周囲に枠があり、また中央縦にも枠線があるが、実物はネットを張った上からいちいち枠で止めたりしていないようなので、単純にネットのみのパーツにしてもらったほうがよかった気がする。しかも、これのおかげで中央部分が非常に折りづらい。

本当はもっと網の線自体が細く、中がはっきり見えるのが望ましいが、小スケールのエッチングにそこまで求めるのは酷かも。

F1017575 ▼屋根のない天井はこんな感じ。

エアフィックスにはマフラーが入っているが、オリジナル状態では車外にマフラーはなく、排気管は車体天井面に穴が開いているだけ(ボービントンのMk.IIを見ると、車内にマフラーがあるようにも見えるが、単に火傷しないようにカバーが巻いてあるだけかも)。雨/異物避けに小さな三角屋根をそれぞれに付けている。

三角屋根のパーツは端だけ削がれて薄く見えるようにしているだけのパーツだが、見た目充分なのでそのまま使用。

なお、本来排気管の開口部はごくわずかに出っ張っているようなのだが、三角屋根とネットの屋根でどうせほとんど見えないので追加工作はしなかった。

F1017573 ▼方向転換補助用リンバー。

車輪内外の張り合わせは、このキットで最も合わせづらい(ゲートの数が多く、方向合わせのダボが埋まり加減になっている、など)が、それでもそう大したことはない。

ちなみに実車では、このリンバーはそれほどしっかり出来ているものではないらしく、車輪が斜めに歪んでいたりする。もっとも模型でそれをやると、単に工作が下手だったように見えてしまうかも。

リンバー最後部上面が白いのは、後面に貼るエッチングが(本来窪んでいるべきところ)いかにも上から貼りましたふうに見えて情けなかったので、それに若干かぶさるようにプラペーパーを貼ったもの。

F1017572 ▼車体後面。

中央にあるのはマフラーに見えるが、実はリンバーを持ち上げるため(?)の油圧シリンダ。

リンバー補助のスプリングのパーツは、片面が一体、片面が2本ずつ別パーツ(確かエアフィックスと同じ構成)。パーツ枝から切り離す際に破損しやすいので注意が必要(私、2本ほど折りました)。

●写真は主にここのものを参考にした。Mk.IIの項は、なぜかMk.VとMk.IVの写真が紛れ込んでいるので注意。

WWI MODELLER / Walkarounds

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菱形戦車

●20日。仕事で勝鬨に行く(町名の正式な表記は『勝どき』だが、常用漢字にないからとひらがなに置き換えるのはちょっと見場が悪いと思う。2文字以上の漢字の一部だけかなにするのは特に)。

行きは浜松町で都営大江戸線に乗り換える。大江戸線の大門(浜松町)駅のアナウンスは、時々「だいもん、浜マッチョ」に聞こえる。浜マッチョってどんなのだ、と聞かれても困るが、まあ、六鹿さんのところの「あれが先生のビキニイェーガー」みたいなのを想像していただければ。ここんとこをスクロールダウンして2013/05/20付「進撃のKV-2」参照。

帰りはバスにのって、久しぶりに勝鬨橋の上を通った。勝鬨橋は中心部が大型船の通航のために跳ね上げ開閉する橋で、1940年に完成。1970年を最後に開閉は行われていないそうだが、橋自体はそのままで、可動部のたもとの操作室なども残っている。

数字部分はwikipediaで調べたのだが、それを読むまで、橋がバンザイして開くから勝鬨橋で、勝鬨橋があるから地名が勝鬨なのだと思っていた。しかし、町名は勝鬨橋に因んでいると中央区のサイトにあるものの、勝鬨橋が最初ではなく、実際には、橋が架かる前に「勝鬨の渡し」というのがあったそうだ。日露戦争の旅順陥落時の戦勝記念に、海軍発祥の地である近隣の築地に記念碑「勝鬨の碑」を建て、ほぼそれと同時期に渡し舟が始められたので「勝鬨の渡し」である由。

……例によって今後一生使わなそうな知識。

●勝鬨からバスで銀座に出て、京橋の画廊に写真家・関洋さん、HN「都市蝶」さんの蝶の写真を見に行く。前日銀座の個展でご本人にお会いしたが、今回は会えず。写真も今回は6枚飾ってあるだけだったが、やはり綺麗。

●沖縄物産ショップ「わした」に寄ったがレジが混んでいたので買い物はせず、初めて奥の狭い飲食コーナーでソーキそばを食べる。ちょっと贅沢をしてもずくの天ぷらをトッピングで追加。

いかにもスタンドとか屋台とかで食べるようなチープな感じなのだが、妙に美味し。

●有楽町・交通会館で、ふと思いついて献血センターに寄ってみたのだが、現在服用中の薬、ペンタサは服用後72時間空けないといけない由。一応、毎日服用するように言われている薬なので、事実上献血不可能。役立たず感横溢。

ここ数年来、真夏に有楽町献血センターで献血をしてハーゲンダッツのアイスクリームを貰おうというのが私の密かな野望であり、今回はその予行演習のつもりだったのだが、いきなり野望が潰えてしまった。

ちなみに献血をするとハーゲンダッツのミニカップが貰えるようになっていたのは数年前の夏に目撃したきりなので、実際今でもそうかどうかは不明。

●「マルハナバチ国勢調査」(正式には「クラウドシステムを用いた市民参加型マルハナバチ類国勢調査」というらしい)には、ここ半年ほど、うまいこと写真が撮れるたびに投稿していたのだが、先日連絡が来て、なんと、11月の月間賞を頂いた。

F1017564 寒くなって活動が低調になる時季、おそらく報告数も少なくなっているなか、たまたま遅くまで頑張って蜜集めに飛来しているアザミの藪を見つけ、もふもふにも触らせてもらいながら、しばしば写真を撮っては送っていたのが効を奏したらしい。

3つほど賞品候補があるなかから「ニホンミツバチの純粋蜂蜜」の小瓶を選択。今日(21日)になって届いた。

ニホンミツバチは、現在の養蜂の主流となっているセイヨウミツバチに比べ、蜜の収量が少なく(1/5~1/10)、巣箱へ定着しづらいなどの難点がある一方、蜜は濃厚で栄養価も高いのだとか。基本、年に一度しか採取できないので、蜜は自然とミツバチが訪れる花全部の混合で、そのためニホンミツバチの蜜は「百花蜜」と呼ばれる由。

小さな丸パンを軽くトーストして、ちぎった小片にたっぷり塗って試食。セイヨウミツバチとどれだけ違うのか具体的に言えるほと日常的にハチミツを食っていないが、それでも濃い感じはして、じんわりと嬉しくなる味。料理とかに使うのはもったいないが、パンに塗るだけなのも芸がない気が。ハチミツの味を楽しむ何か別の方法募集中。

「『辛坊さんはどう?』橋下徹大阪市長が都知事選出馬を勧める」

というニュースタイトルを見て、

「えっ、知事候補に南辛坊なのか?」

と、半ば本気で思った。しかも、なんだか本当にそれでいいような気がしてきた。

F1017558 ●2014年は第一次世界大戦開戦から100年で、それに合わせ、模型界でも第一次大戦ものの注目度が上がっており、新製品も出始めている。

そんなひとつが、ウクライナ、マスターボックス(MB)の新製品、1:72のMark I 菱形戦車。数十年前のエアフィックスの1:76以来のインジェクションのMk.Iということになる。MB版は雄型、雌型の同時発売で、今後、Mk.II含めバリエーションもいくつか出る。

なお、LANDSHIPS WW1 FORUMで、MBに「1:35は出ないのか!」と直接質問を送った猛者がいるのだが、答えは「まず1:71で出してみて、売れたら考える」だそうだ。

▼ひとつ試しに買ってみた。雌型のほうにしたのは、ほぼ同等のスケールである古いエアフィックスの雄型のストックがあるためで、作り比べるにしても全く同じじゃ面白くないなあ、などと思ったため。もっとも帰宅して押入れを開けてみたが、エアフィックスのキットはどこに行ったやら見つからなかった。だめぢゃん。

ちなみにエアフィックスも、発売から約40年?の時を経て、最近、いきなりバリエーションキットで雌型を出している。

F1017561 ▼パタパタとりあえず基本形を組んでみたのが右の写真。

MBのキットはずいぶん昔のI号戦車A型ブレダ20mm装備型以来買ったことがないのだが、それよりはだいぶ進化しているようで、基本となるパーツの合いは非常によい。

エアフィックスのキットの弱点の一つは、部品の抜きの関係でスポンソンの上下面がつんつるてんだったことだが、このキットではきっちりリベット列がモールドされていて一日の長がある。

ただし、スポンソン部分にスライド型を使って各面にモールドを入れているのはよいのだが、なぜか上面だけ別部品。目立つ上面エッジに合わせ目を持ってくるより、上面を一体成型して下面を別部品にするとか出来なかったのだろうか。

しかも、基本パーツの合いはいいと前述したが、なぜかこのスポンソン上面の片方の、裏面の銃塔回転軸を押さえる突起に成型不良があって干渉し、微妙にスポンソン本体と合わずに隙間が出来た。幸い、成型不良部分は外形に現れる部分ではなく、しっかり削り合わせをすればほぼぴったりはまってくれる。

雌型は両側のスポンソンにヴィッカース機銃2丁ずつを装備だが、計4つある銃塔の開口部の幅が、パーツ2つずつで違っている。幅が広いほうの両側に0.3mmプラバンを貼って調整した。

部品構成としてはエアフィックスと格段の差はないが、車体前面のバイザーハッチは別部品で開閉選択可能。

F1017557 エアフィックスのキットでは再現されていなかった、手榴弾避けの屋根のパーツが付属しているのは(これまた)一日の長。さらにその屋根の金網もエッチングで付属している。

軟質樹脂製の履帯は、柔らかくてよくフィットするのが若干の取り得。接続部の焼き止めピン部分が車体と干渉して浮き上がってしまいそうだと思ったが、足回り部の内外を張り合わせた真下に切り欠きがあって、これが留めピンの出っ張りを逃がすためのものであるらしい。なかなかよく考えている。

もっとも履帯の再現度そのものは、(このタイプの履帯を軟質樹脂で表現すれば、ほぼこうならざるを得ないとはいえ)エアフィックス時代からあまり進化のないベルト然としたもの。ここは半連結式・インジェクションでパーツ化して欲しかった。そのうちどこかからエッチングの履帯でも出そうな気がする。

▼考証的にも、(特に車体上面の)ディテール等に関しエアフィックスで誤っていた部分が正しくなっており、Mk.Iをこれから作るなら文句なくこのキット、というレベルには仕上がっている。が、「一日の長」といえる部分が各所にあると言っても、それらを合計して「40年の長」と言えるまでに優れているかといえば微妙な気はする。

それは、エアフィックスのキットがそれなりに良いキットであったこと、そもそも表面に細かいパーツがごちゃごちゃ付くような構成ではないこともあるが、MBのほうも、現代レベルで見て目の覚めるようなシャープさはないこと(部品の合いはいいと言ったが、補助車輪など、小部品はゲート等のクリーニングに手間取る)、目立つ履帯にあまり進歩が見られないことなども要因といえそう。

▼これを書くのに調べていて、海外のサイトでの製作記やレビューなどを見て判ったこと。

エアフィックスのキットは、Mk.Iと銘打っているものの、車体形状は小改良型のMk.IIに近いらしい。Mk.Iの特徴である補助車輪は付いているものの、

  • 車体上面の後ろ向きの楔形キューポラはMkII以降のもの。
  • 上面前方、操縦席の突出部の横幅が狭い。これは、Mk.IIで幅広の履帯導入が検討されたため(実際には幅広履帯は導入されず、グローサー・アタッチメントが使われた)。
  • 操縦席突出部上面のハッチはMk.I、Mk.IIに関わらず誤り。
  • 上面にエキゾースト・マフラーが付いているのは後の改修によるもので、本来は単純に3カ所、排気口が開いており、それぞれMBのキットにあるように小さな三角屋根のカバーが付いている。

したがって、エアフィックスのキットの素性を活かしてよりよく製作するには、補助車輪は付けず、若干のディテール修正を加えてMk.IIとして作るのがよいようだ。

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