大砲

四一式山砲(完成)

●だらだらと製作記を重ねるものの、いつまで経っても完成しない/そのうちフェイドアウト、というのが私の模型製作の常態だが、ソミュアMCG5完成の余勢を駆って、長年、とりあえず迷彩塗装だけして放り出してあった、ファインモールドの1:35、「四一式山砲(山砲兵)」を完成させた。

製作記事それ自体は、2013年の12月にちょろっと書いただけ。もっとも大胆なディテールアップ等はしていないので、そもそもあまり書くこともない。

一週間前の状態(前回記事)からは、若干ウェザリング(墨入れとウェザリングマスターのハイライト)を足しているのだが、正直言って大した変化はない。……が、これ以上やっても単に薄汚さが増すだけのような気がしたので、これで完成ということにする。

●あっちこっちの角度からの完成写真。

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●口径は75mmだが、山砲として分解運搬なども考え小型軽量に作ってあり、模型としても全長10cm弱、幅は4cm強のちんまりとしたもの。明治末期に制式化された砲なので、構造もあちこちに古風な部分もあり、組んでいて結構楽しかった(といっても、組んだのは何年も前だが)。

前回書いたように、妙な迷彩は中華民国軍所属という設定のため。

2013年春に書いたキット紹介からの丸々コピーだが、

「抗戰時期陸軍武器装備 野戰砲兵篇」によれば、中国ではこの砲は非常に好まれ、そのため国内数箇所の工場でコピー生産も行われた。

漢陽兵工廠(現・湖北省武漢市):民国10年(1921年)に開発もしくは生産開始され、「漢十年式75山砲」と呼ばれる。

太原兵工廠(現・山西省太原市):民国13年(1924年)に開発もしくは生産開始され、「晉造一三式」と呼ばれる。

瀋陽兵工廠(現・遼寧省瀋陽市):民国14年(1925年)に開発もしくは生産開始され、「遼一四式」と呼ばれる。

これは生産拠点を複数設けて大量生産を行ったというよりも、当時の状況で言えば、太原兵工廠は閻錫山、瀋陽兵工廠は奉天軍閥の影響下にあり、要するに、中央と有力軍閥がそれぞれ勝手に生産したということらしい。というわけで、(呼び分けるのも面倒臭いので)四一式山砲は中央軍で使われただけでなく、晋綏軍(山西省、綏遠省を地盤とした閻錫山率いる軍)、東北軍では野戦砲兵の主力として使われた。

実戦では、1933年の熱河戦はじめ、日中本格開戦後の太原会戦(日本側呼称は太原作戦)などでも大量に使用された。この間、中央軍では、装備の統一も意図して、ボフォース75mmM1930山砲を標準装備と定めて導入を進めていたが、まだ一部の部隊では四一式山砲を使用していたらしい。

この迷彩自体、「抗戰時期陸軍武器装備 野戰砲兵篇」に出ていた不鮮明な写真の1枚を参考にしたもの。当然ながらモノクロ写真なので、使用されていた迷彩色がこの系統の色でよいのかどうかはまったく不明。

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週末大雨

●「今年の梅雨は早い」と言われていながら実際にはなかなか梅雨入りしなかったり、「梅雨なのにあまり降らないね」なんて思っていたら、いきなりドカ降りしたり。

当地神奈川の隣県にある(しかも県境を越えてすぐ隣町の)熱海では、大規模な土石流が発生。地区名に聞き覚えがあると思ったら、一昨年の春に近所のご夫婦に誘われて行って泊まった保養所のすぐ下というか、脇というか、とにかく宿からの出入りで何度か通ったあたりがざっくり崩れたのだった。

一昨年に遊びに行った時も、(特に問題の伊豆山地区は)急傾斜地の多い逗子・鎌倉なんて比較にならない、坂の町・尾道よりもさらに厳しい感じで、海に向けて落ち込む急斜面にしがみつくように家やらホテルやらがあって、「すごいところだな」という感想を持ったのを思い出した。

被災地の方々には心よりお見舞いを。行方不明の方々は、一人でも多く無事で見つかりますように。

●わが町逗子でも、私の住んでいる場所からはだいぶ遠いものの、横横の逗子インターで土砂崩れが発生した。近所にも少々危なそうな場所もいくつかある。あまり近寄らないようにしないと。

●3日土曜日。久しぶりにオンラインでF模同窓会飲み会。出席者:はるとまん(たまん)、田一田(でんでん)、私の3名。後になって石黒氏から「済まん、寝過ごした~」というメールが来た。夜8時からの飲み会で寝過ごすって、いったいどういう……。

万年幹事のたまん氏からの、「誰か別の人がやって」というリクエストに応じて私がホストになったが、初めて使ってみようと思ったGoogleMeetは、あれこれいじったものの結局予約方法etcが判らず。

結局Zoomで予約したが、今度は当日・予約時間になって入ろうとしたら、「ミーティングは4日12時からの予定です」などと訳の分からないことを言われて入れなかったり。何度か入り直したりしているうち、数分遅れでたまん氏と合流できた。最初なぜ入れなかったのか等々は今なお謎。

お約束の微妙な音声のラグなどで喋りづらいなかながら、例によって近況報告だの他愛もない話だの。

1年以上前から消息不明の赤板先行氏は、結局その後も音沙汰無し。でんでん氏が自宅に行ってみたところ、片付けられた様子もないが住んでいる様子もない、とのこと。電話やネットは解約されているらしい。実家住所や会社が分かっていればすぐに何があったのかはっきりするのだが、一度会社に行ったことがあるというでんでん氏も、社名や場所を覚えていない由。

私自身、(でんでん氏ほどではないものの)そこそこ赤板氏とは仲が良かったつもりでいるが、それでも、(聞いた覚えがある気はするが)本名は覚えていないし、社名等はそもそも聞いた覚えがない。

ネット上の付き合いというのは、結局のところ、ネットでの連絡が途絶えてしまうとそれっきり、何の伝手もなくなってしまう可能性がある怖さがあるのを改めて思い知った。もちろん、それを以て、「ネットでの付き合いなんて薄っぺらで」なんてことを言い出すつもりは毛頭ない。それは、単純に付き合いのチャンネルとその性格の差であって、付き合いの深さ浅さとは別問題だろうと思う。……とはいっても、何があったかも判らないのはモヤモヤする。

●毎度、SUMICONが終わって、とりあえず一つ何か仕上げることができると、そのまま勢いに乗ってガンガン模型を作れそうな気がしてくる。

たいていは「気がしてくる」だけで、結局いつものスローペースなつまみ食いモデリング生活に戻ってしまうのだが、今回はちょっと気持ちを引っ張って、迷彩塗装まではしたものの仕上げをせずに放り出してあったファインモールドの四一式山砲にウェザリングを施してみた。

me20さんが、2014年に作り始めて放り出してあったカルロ・アルマートP40の製作を再開しているのにちょっと刺激されたもの。ちなみに私の四一式山砲も、改めて調べてみたら、組み立てたのは2013年末。(とりあえず)迷彩塗装を塗ったのは2018年の春だった。

例によって、ウォッシングしたり、ウェザリングマスターで誤魔化したりして、現状がこんな感じ。ちょっとメリハリが足りない気がするので、もう一度墨入れなどするかも。

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ちなみにこの妙な迷彩は、帝国陸軍所属ではなく、中華民国陸軍が戦前に輸入した四一式山砲、もしくは「漢十年式75山砲」「晉造一三式山砲」などの、中国国内のいくつかの工廠で作られたコピー品という設定で作っているため。

フィギュアでも添えないと判らないけれども(添えても判らない?)。

●逗子市から、ワクチン接種の先行予約の案内状が来て、ウェブ経由で予約を取ったところ、そのまますぐに接種日を(月半ばで)決めることができた。新型コロナワクチンの接種は壮大な(しかも拙速な)臨床実験だなあ、とは思うものの、放っておいて感染が拡大し放題になるよりは相対的にリスクが低いと判断できる、ということなのだと思うので、受けろというなら特に文句は言わずに受けに行きたいと思う。

とはいえ、インフルエンザでもその年の流行のタイプに合わせないとワクチンの有効性は下がるわけで、現在どんどん変異株が登場している新型コロナが、現行のワクチンで本当に対処できるのかしらん。

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Wz.14/19 100mm榴弾砲 IBG 1:35

20210219_213319 ●IBGの新製品、Wz.14/19 100mm榴弾砲・機械化部隊型(Wz.14/19 100mm Howitzer Motorized Military、#35060)を購入したので、簡単にそのキット紹介など。

新製品とは言っても、実際にはすでに数年前(Scalematesによれば2014年)に出ているシュコダ100mm榴弾砲 vz.14/19に新パーツをいくつか追加したバリエーション・キットで、シリーズ5作目ということになる。一応、以前の4作のラインナップを記しておくと、

  • シュコダ100mm榴弾砲 vz.14/19(#35025):vz.14榴弾砲を第一次大戦後に改良・長砲身化したタイプ。
  • シュコダ100mm榴弾砲 vz.14(#35026):キット番号はこちらが後だが、砲自体はこちらが第一次大戦中にオーストリア・ハンガリー軍向けに生産され使われた最初のタイプ。
  • 10cm LeFH 14/19 (t)(#35027):車輛牽引用にゴムタイヤを付けたvz.14/19。LeFH 14/19 (t)は接収使用したドイツ軍呼称。
  • Obice da 100/17 Mod. 16(#35028):イタリア軍型。山砲タイプ?

●実際の砲は、上にも書いたように当時オーストリア・ハンガリー領だったチェコのシュコダ社が同国軍向けに開発した榴弾砲で、最初のvz.14(14年型、の意)、オーストリア・ハンガリー軍名称「10 cm M.14 Feldhaubitze」は、同軍で6500門近く、さらにその山砲型であるM.16は350門近くが使われたらしい。

大戦中の鹵獲、および戦後の賠償で同砲を大量に入手したイタリアでは、独自の改修なども加えつつ、第二次大戦まで使用している。

一方、戦後独立したチェコスロバキアでは、シュコダ社が長砲身化した改良型であるvz.14/19を開発。これはポーランド、ギリシャ、ユーゴスラビアなどに輸出された。特にポーランドでは、1920年のソ・ポ戦争当時に多数を購入しただけでなく、1928年~39年にライセンス生産も行われている。

また、ドイツは大戦初期にチェコ、ポーランド、ギリシャ、ユーゴの砲を接収・鹵獲、主に二線級部隊で使用している。

20210219_213427 ●というわけで、今回私が購入したのは、ポーランド生産型で、車輛牽引用のゴムタイヤ付きのもの。

あー。S Modelのポルスキ・フィアットのハーフトラックを買うときに、「どうせ牽引させる砲もないし」と、基本形のwz.34を買っちゃったけど、こんなことなら砲牽引車型のC4Pにしとくんだったー。

先行キットのシュコダ100mm榴弾砲 vz.14/19(#35025)、Obice da 100/17 Mod. 16(#35028)の2種に関しては、発売後間もないころに、hideさんが簡単なレビューを上げている。それにしても、hideさんは音沙汰なくなって久しいが、今頃どうしているやら。ちなみに、その時のレビューでhideさんは「da100/17は伊軍お馴染みガントラックの備砲になって(中略)ついでに出さないかなぁ、IBG」と書いている。出しましたよー。出ましたよー。(→コレ

さて、hideさんのレビューを読んで貰えれば、実はそれ以上あまり言うことない気もするが、それでは身も蓋もないので改めて紹介。中身は、プラパーツの枝が大小取り混ぜて6枚。金属製削り出し砲身が付属、デカールが1枚。エッチングは無し。

▼まずはプラパーツについて。基本パーツの以下の2枝はシリーズの先行キットと共通。

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左がA枝。基本、砲架周りのパーツ。右がB枝で揺架に付く細部パーツや防盾関係。B枝のパーツでかなりの割合を占めるフェンダー付き防盾や、いかにも旧式野砲っぽい、防盾前に付く椅子などは、シュコダ製のオリジナルの3バリエーションに使うもので、今回のポーランド型の場合はごっそり不要パーツとなる。

残りの小さな枝群が以下。

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一番右のG枝は砲身(とその関連パーツ2つ)だが、前述のように砲身は金属挽き物が入っているので、こちらを使う人は少なそう。左のH枝2枚はポーランド型の車輪。もしかしたら、やはりIBGから最近出た75mm mle.1897のポーランド仕様にも使い回しできるのかもしれない。まん中のI枝はポーランド仕様の(フェンダーが付いていない)防盾ほか。なぜか組立説明書のパーツ展開図では、このパーツも「×2」(つまり2枚入り)と表記されている。「小パーツの中に2組必要になるものがあるのか? 欠品か?」と一瞬焦ったが、どうもそういうこともなく、単に説明書の表記ミスのようだ。

G枝(砲身)はシリーズ最初のキットにも入っていた枝で、残る3枝(H枝2枚とI枝)が今回のポーランド型用の新パーツということになる。

プラパーツ群は全体に「良くも悪くもIBG」な感じで、即座に「これはアカン」と断じるような部分はない(と思う)が、全体的にシャープさや細部ディテールは不足している。

「全体的にピリッとしないなあ」以外に、現時点で個人的にだいぶ気になっている点は以下の2つ。

・尾栓は開いた状態……なのかと思いきや、右写真のパーツを側面の窪みにはめ込むよう指示されている。するとどうなるかというと……尾栓の左右は「閉じた状態」を表しているにもかかわらず、肝心の中心部は筒抜け。「町京子ちゃんの首はどこにある?」状態。なんだそりゃ。

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・ポーランド軍用の防盾は、私の入手したキットでは、やや中心が膨らんだような形状になっていた(下写真では、上縁部分の影の付き方でなんとなくわかるのではないかと思う)。ポーランド型の防盾は実は平らじゃない、なんてこともあり得るのか?とも思ったが、ランナーそのものがややねじれが出ていたので、やはり単純にパーツに反りが生じているようだ。

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実のところ、シュコダ100mm榴弾砲 vz.14/19の防盾についてhideさんが書いているように、このポーランド仕様の防盾もやや厚めで、できれば0.3mm板あたりで作り直したいところではあるが、そこそこ表面ディテールのモールドがあり、かつ、下部は緩やかに曲がっているので、自作はそこそこ面倒くさそう。悩ましい。

▼金属砲身について。

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金属砲身付きなんて、なかなか贅沢だね!……というのは、まあ、その通りなのだが。これについては、hideさんがすでに言及している通り、

  • ライフリングがやや大げさ。
  • ライフリングの切削屑が、そのまま砲口奥に残っている。
  • 中途の"たが"のように太くなっている部分のプロポーションがややおかしい。

など、あれこれ問題がある。しかし、ライフリングが大げさだからと言って、逆にライフリングのないプラの砲身を使う(自分でライフリングを再現する?)という人はまずいないだろうし、切削屑については掻き出すとなると面倒くさそうだが、黒く塗ってしまえば処理しなくても構わないかもしれない。

プロポーションに関しては、プラ砲身のほうを使えば削って「たが」を作り直すことは可能かもしれないが、その場合、砲身の台座部分駐退復座レールに乗る部分も(たがに合わせて溝があるので)作り直す必要が出てくる。結局のところ、「これはこういうキットだから」と割り切って作るのがよさそうだ。いや、だって金属砲身もったいないでしょ(←貧乏性)。

▼デカールは4種類、とはいっても、防盾表側、向かって左上に記入される女性名が4バリエーションあるだけ。

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入っている名前は、MARYŚKA(マリシュカ、マリアの愛称?)、BAŚKA(バシュカ、バルバラの愛称)、URSZULA(ウルシュラ)、ZOŚKA(ゾシュカ、ゾフィアの愛称)の4つ。実は先に発売された同じくIBG製の、大戦後半、自由ポーランド軍で使われたアメリカ製75mm mle.1897のキットにも同様の女性名デカール(ゾシュカを除く3種)が入っていて、「そんなに大砲に同じ名前ばっかり付けてるのかよ、ポーランド人!」って感じ。アントン、ベルタ、ツェーザー、ドーラ……みたいにアルファベットに対応しているっぽくもないし。

も一つ問題は、箱絵はオリーブグリーン一色だが、説明書の塗装説明は1939年戦役時の第10機械化騎兵旅団所属の3色迷彩のみで、「名前は4つの中から自由に選んでね」状態。ナニソレ。

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獲らぬ狸の

●8日日曜日。灌仏会。要するにブッダマス。極楽寺で甘茶を頂き、忍性塔を見たついでにふらふら散歩。月影地蔵裏から尾根道に上がり、鎌倉山、夫婦池公園と歩いて、最終的に深沢まで。

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鎌倉山2丁目、喫茶店「マウンテン」前の(私にとっては)初見の丸ポスト。鎌倉の数ある丸ポストの中でも、おそらく1,2を争う小洒落た立地。

●11日水曜日。「逗子拾い食いの会」初会合。

facebookの逗子のニュースグループで、身近な山菜の収穫報告をしているうち、「お互いに採ったものを試食しよう」という話になり、鎌倉の焼き鳥屋「秀吉」で焼き鳥を食い、酒を飲みつつあれこれつつく。

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イタドリの「ピリ辛メンマ風」は、私のレシピを元に改良した知人のもの(上写真2枚目)のほうが美味かった。炒める際に紹興酒を使った由。ぬう。資金力の差なのか!?

3枚目はT女史が持ってきた「茹でヒメジョオン」。意外に普通の青菜風。

二次会に小町通の飲み屋さんに行ったら、たまたま、年配のママさんが奄美大島出身だった。

●18日水曜日。

午前中、雨の中、打ち合わせで猿楽町(神田のほうの)。神保町N社に寄って、昼飯を奢ってもらう。

秋葉原に寄って、例によってVOLKS、YSを覗く。最近発売され、欲しいと思っていたRB Modelの35(t)砲身がYSに入荷していたので購入。

●というわけで、RB Model製、3.7cmA-3(ドイツ軍呼称 3.7cm KwK34(t))砲身。

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基本、私は、「キットのパーツはまったく長さが違う」とか「著しくディテールに誤りがある」とか「ひどく型ズレがある」とかでない限り、わざわざ別売の金属砲身に交換したいとは思わないのだが、やはりこういう多孔式マズルブレーキの表現は金属パーツに分がある。これで税込み648円(YSで)はかなりお買い得感がある。

もっとも、ブロンコのLT vz.35/Pz.Kpfw.35(t)/R-2のプラパーツもかなり頑張っていて、そのまま使うのにそう不足はない感じ。それでもわざわざこのパーツを買ったのは、ブロンコにこのパーツを使い、ブロンコのパーツは以前買ったスペシャルアーマーのシュコダ3.7cm KPUV vz.37対戦車砲に玉突き流用しよう、などと皮算用したため。

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写真は1枚目がブロンコのパーツ。スライド型を使って砲口も開口している。2枚目がCMKの35(t)のもの。頑張っているのは確かだが、ランナーゲート部分などちょっと苦しい。3枚目はPassionのCMK用。駐退復座機カバーの代替レジンパーツ入りで、これはこれでCMKに使いたい。4枚目(最後)がスペシャルアーマーの対戦車砲のマズルブレーキのパーツで、つんつるてん。ちなみに砲身はKPUV vz.37対戦車砲のほうが長いので、ブロンコからはマズルブレーキ部分だけ切り取って流用することになる。

(以下4/25追記)

改めてRBの砲身を眺めていたら、マズルブレーキ部分に、縦方向に孔の空白域が存在していることに気付いた。ええっ。35(t)のマズルブレーキって、こんなふうになってたの?――と思って資料をあれこれチェック。

ぱっと見、全周にわたって孔があるようにしか見えないのだが、カレメグダンの現存実車のwalkaroundで、実際、マズルブレーキの下面部分は(通常の写真では確認しづらいものの)本当に孔がない部分があるようだというのが確認できた。写真はこちら

 

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ぼいて75mm資料写真+α

●前回予告の通り、“かさぴー”こと、かさぱのす氏から頂いたフィンランド土産写真を何枚か。

最近、フィンランドでは、戦時中に使用されたダグラスDC-2「ハンシン・ユッカ」号が美しくレストアされて公開され、かさぱのす氏は遠路それを見に行ったのだそう(うらやましい)。ハンシン・ユッカ号とはどんな飛行機だったのかというエピソードも面白いのだが、ここでは割愛する(興味のある方は「北欧空戦史」を読んでいただきたい)。

さて、氏曰く、「今回もやたらあちこちでPaK97/38に出くわし」たのだそうで、モデラー視点の思わずウヒウヒ言ってしまうような(←キモチワルイ)写真を撮ってきてくれた。実際は頂いた分だけでももっと数があるが、今回はそのなかから、個人的にこれは面白いと思うものをいくつかピックアップした。

全部見たい!という人は、いずれ、かさぱのす氏のサイト「あんてーくし」に載ることを期待しよう。

●まずはミッケリ歩兵博物館にある屋外展示品。

Gedc9260b▼写真右下隅に見える車体後端でわかるように、T-20コムソモレッツに牽引された状態で展示されている。wikimedia commonsに何枚か写真が上げられているものと同一個体だが、commonsでは牽引状態になっていないので、その後展示状態が変更になったのだと思う。

車輪はスポークが凹凸交互になった穴開きタイプで、基本、イタレリのキットに入っているのと同じもの(ただし、イタレリのパーツはリムの取付が表裏逆のようだ)。フィンランド軍が使用したPaK97/38は、写真で確認できる限りどれも穴開きタイプを使っている。このタイプは、穴なしタイプに比べ、ゴムリムの幅が増しているようだ。

Measureedgedc9260b▼そしてこういうのがモデラー視点の有難いところで、かさぴー氏は、わざわざ砲身の主要寸法を計ってきた由。私自身はPaK97/38をもう一度は作らないと思うが(さすがにあれを再度やるのはちょっと……)、今後作る方は参考にしてほしい。

写真に示された部分はそれぞれ、

A:マズルブレーキ先端(謎突起の手前まで)の長さ=305mm
B:マズルブレーキから謎突起後端までの全長=405mm
C:マズルブレーキから砲身前端中央(第一の窪み)までの全長=1110mm
D:中央の窪みから砲身前端後部(砲盾手前、第二の窪み)までの長さ=870mm

なお、謎突起とあるのは、実際には、砲身が後座した際に駐退復座レールにはまり込むローラー(これについての考察は、過去記事を参照のこと)。また、砲身前端(マズルブレーキから砲盾手前まで)の全長は1980mmだそうだ。数値には若干の測定誤差もありえるのであくまで参考に、とのこと。

現行2種あるPaK97/38の1:35インジェクションキットだが、ドラゴンは各部バランスがだいぶおかしく、イタレリ製のほうがスタイルがよいが、寸法的にもイタレリが近いのが確認できると思う(ただしイタレリのものはマズルブレーキが大きすぎ?)。

Gedc9270b▼防盾正面。

防盾は50mmPaK38からの流用なのだが、PaK38より砲身が太いので、開口部上部の形状は修正されている。この写真を見ると、開口部上端のカーブはなんだかちょっとガタガタしているので、PaK38用としてすでに生産されていた装甲板を削り直して使っているのかもしれない。

砲身が一段太くなり、駐退複座レールにかかっている部分には、左右2カ所の突起とボルト頭がある。この写真ではボルト頭が突起の上に付いているが、私は突起の横に付けてしまった。うわあ、間違えた!?……と思ったのだが、横に付いている個体も確かにあった。謎。

謎といえば、下部防盾の上下に付いている、ちょっとつぶれた筒状の突起も用途不明。下の小さいほうの筒は、表裏両方に付いているらしい。

なお、これを1:35の模型で再現するのは難しそうだが、防盾の尖頭ボルトにはすべて横穴が開いている。ゆるみ止めの針金通し用? それともスパナ無しで棒で締緩できるように?

Gedc9262b▼砲尾。砲身それ自体は、もともとフランス製のM1978 75mm野砲のものなので、フランスの工廠の刻印、製造番号が入っている。写真ではちょっと見づらいが、この個体の製造年は1915年。メーカー名は、この「A.BS」が最もよく見られるが、他にも何種類か確認できるようだ。

尾栓は隔螺式でも鎖栓式でもない独特の形式(円形であるという点では隔螺式に似ているが、スライドさせて開閉する機構的には鎖栓式に近い)。

尾栓中央にある撃針をハンマーでパッチンと叩いて発射するのは拳銃などと同じ。右写真では頭が見切れているが、ハンマーが起きた状態になっている。撃針部分は安全装置が掛かった状態になっている。意外だったのは、安全装置のノッチ上に刻まれているのがドイツ語であることで、左はSICHER(安全)、右はおそらくFEUER(発射)。つまり、砲身はフランス製でも尾栓はドイツ製ということになる。尾栓は発射の圧力を受け止めるので、砲身より寿命が短い?

砲身上のブロック状の部品はオリジナルのM1978 75mm野砲には見られず、また、一部製造番号を削って取付られているので、ドイツで付けられたものらしい。この写真には写っていないが、左側にある照準器の台座と同形のように見える。もっとも、繊細な光学機器をこんな場所には取り付けないように思うし、防盾も邪魔になる。何に使われるのか謎。この部分にカバーが被せられていることも多い。

Gedc9268b▼脚後端の駐鋤。ちなみに脚は50mmPaK38と基本同一。

開閉用(?)の取っ手は、向こう側が畳んだ状態、手前側が起こした状態になっているので、それぞれ、どのようにロックされるのかがよく判って興味深い。

牽引用のリングは手前側の脚の駐鋤に取り付けられていて、リング基部は駐鋤上端で3カ所、面部分で左右3カ所ずつ、計9カ所でボルト止めされている(右写真では面部分の3カ所と上端の1カ所だけ確認できる)。別個体では面部分のボルト頭がキャッスルナットのものも確認できる(単純に方向が逆になっているだけかも)。手前側の脚だけ、駐鋤付け根部分が一段太くなっているのは牽引時に力が掛かるための補強かと思われるが、拡大型のPaK40では両方同じ太さになっているようだ。

Gedc9272b▼右脚中ほどに付いているトラベルロック。左右の脚を閉じ、砲に若干の仰角をかけ、このロックアームの前面にある2つのくさびを駐退複座レール後端の穴(写真右上にわずかに見える)に差し込み、ロックアーム左側は左脚に固定する。

2つのくさびは、この写真では右が縦、左が横になっているが、自由回転してこんなふうになっているのか、もともとこういう形に固定されているのか不明。なお、私は左右同形に作ってしまった。

脚上に付いている可倒式のツメは、駐鋤部に取り付ける、人力移動用補助車輪用。補助車輪も砲の車輪と同形なのだが、(このツメの寸法から考えて)穴なしホイールの薄いタイプしか使えないようだ。

●パロラ所蔵のもの。

Gedc8653b▼駐退複座器前面や、砲身先端のローラー部分のディテールがよく判る。このローラーはオリジナルのM1978 75mm野砲にもあって、この砲の特徴になっている。

ただし、オリジナルのM1897 75mm野砲ではローラー基部は砲身から直接出ているのに対して、PaK38/97では、マズルブレーキを取り付けるための都合なのかどうかよく判らないが、砲身とは別体の基部が新造されている。この写真でよく判るように、新造されたローラー基部の円筒は、砲身よりも下方に偏心している。いい加減に取り付けられているわけではなく、最初からそのような形状。

なお、上で触れたように、下部防盾に付いている筒状の突起(小)が、防盾裏にもあるのがこの写真で確認できる。

Gedc8656b▼同一個体の車輪。

よく見ると、ミッケリ歩兵博物館所蔵の砲とはリム部分の形状が違っていて、スポークにボルト止めする部分だけがフランジになっている。

画像検索すると、カナダのバーデン基地博物館で保存されている個体もこの車輪を付けているようなので、これももともとドイツ製なのは確かなようだ。

Gedc8778b●最後の1枚はハメーンリンナのもの。砲身先端の上面。

前述の、砲身前端ローラー部の別体で、

Lose ←→ Fest

と刻まれているが、大体想像が付くとおり、「緩め」「締め」の意味だそうで、ここは新造部品なので当然ドイツ語。後方の溝がちょっと食い違っているが、これを合わせると前方に抜けるとか、そんな感じなのだろうか?(その後他の写真を見ていたら、後ろ側のリングの溝は結構位置がいい加減だということが判った。前後の溝位置を合わせるものではなさそう) 前方に刻まれているのは製造番号とメーカー名?

●そして「+α」。オマケで頂いたミッケリ歩兵博物館所蔵の75mmPaK40の写真。

Gedc9277b▼まずは全景。PaK40も、継続戦争終盤に大量に供与されたので、フィンランド国内にはだいぶ残っているらしい。PaK40は、PaK97/38(というよりPaK38)よりもさらに車輪にバリエーションがあるようなのだが、この個体は、8本スポーク穴開きタイプを付け、さらにゴムリムも側面に穴のあるタイプを使っている。

どうもPaK40というとタミヤのキットの刷り込みのせいか、穴のない、リブが凹凸交互になった車輪が普通のような気がしてしまうのだが、少なくともフィンランドに渡ったものに関しては、穴無しホイールは一般的ではないようだ。

なお、かさぱのす氏によれば、「マズルブレーキから第一のクビレ(駐退器に載る手前まで)の長さは2190mm」だそうな。

Gedc9289b▼車輪クローズアップ。

ゴムリムの穴が向こう側にしっかり貫通しているのが確認できる。おそらく、空気入りではないソリッドなゴムリムの柔軟性を上げるためのもので、ソ連のBTやT-34のゴムリムの穴と同じものなのだと思う。BTやT-34のゴムリムの穴も貫通している。

ホイール部は、スポーク間の「水かき」状のヒレが、小穴つきのものは大きく、無しのものは小さく、交互になっているタイプだが、これが全部同じ大きさになっているものもある。スポーク裏側は窪んでいるがプレス製ではなく、リブなどもあって鋳造部品であることが別写真で確認できる。

ほか、車輪形状としては、リブ(スポーク)が凹凸交互になっていて穴開きのもの(上に写真がある、同じくミッケリのPaK97/38のものとよく似た形状)もある。

車軸部外側のリングは、人力移動時に牽引用ロープを掛けるためのもの(野砲には一般的な装備)。

Gedc9280b▼さらにゴムリムをクローズアップ。単純な長円形断面ではなく、まず上下に2つ穴を開けて、その間を後から切り欠いたような形状。おそらくゴムリムのための木型をそんなふうに作ったのではないだろうか。

ちなみに、ドラゴンのPaK40のキットには3種のホイールが入っていて、そのうちひとつは(少なくとも一番最初に出たキットでは)このタイプを表現しているものになっている。ただし、ゴムリム側ではなく、ホイール側の外周側面に穴(というか窪み)があるような、妙な表現になっているようだ(現行のキットでは別タイプのホイールに差し替えになっている可能性がある)。

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ぼいて75mm(7)

F1018000●前々回にちらっと書いたように、週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コンの締切が1ヶ月延びたので、一度は「組立完了」としたPaK97/38をまた分解してしまった。

組立後に形状が判ったスライド小防盾のリンク機構を改めて再現するのがその主目的。

接着してあった防盾を無理矢理剥がし、この際に支柱も多少ダメになるかと思ったが、特に曲げたり折ったりもせず外すことができた。

F1017891F1018001●リンク機構は、揺架左右からアームが出ていて、これがスライド小防盾内側に突き出しているヒンジに接続している。

キットの防盾は(それからそれを真似た私のもともとの工作も)内側も外側も同じ形に開口しているが、実際には、小防盾のヒンジをクリアするため、内側は上端のL字材の直下まで、直線的に開口している。右が当初工作した際の形状、左が内側防盾を切って、ヒンジを工作した状態。

F1018003bここで問題は、防盾を付けてしまうと狭くてリンクアームの工作ができず、かといって防盾を付ける前だとリンクアームの長さと角度がうまく決まらない、という点。

結局、ある程度形状を作ったアームをヒンジに接着せずに挟み込んだ状態で防盾を接着し、その後角度を調整して、アーム下部を揺架に接着した。しかし、下端はほぼ見えないので救われているものの、やはり事前の調節不足で、アームが長過ぎたかも。

●加えて、付け忘れていた拉縄(りゅうじょう)も追加した。

普通、拉縄というのは野砲・榴弾砲の撃発装置のうち、いわば「引き金」にあたる部分なのだが、この砲の場合は、撃鉄(ハンマー)を引き起こすためのもので、そのため、そもそも拉縄と呼んで正しいのかどうかも実はよくわからない。

ドラゴンの尾栓パーツはそこそこ細かくハンマーや、そのスプリングの入ったシリンダーなどのディテールがモールドしてある。拉縄は、錨形のハンマーの端に小さなリンクを介して繋がっていて、さらに、シリンダーの端のリング状の突起を通って砲の右側に垂れている。

F1018033これをどう追加するのかいささか悩んだのだが、結局はほぼ実物通りに作るしかないと判断。

ハンマーの端にエッチングソーで切れ込みを入れ、ソクウで余った、小穴の開いたエッチングパーツを切り詰めてリンクアームを再現。これにミシン糸を結んだ。シリンダー端の小リングは、エバーグリーンの0.75mm丸棒の輪切りを接着した後に0.4mmドリルで開口した。

ところで、現存のPaK97/38では、この拉縄が付いているものはほとんどなく、長さがどうもよく判らない(ここのものは付いているのだが、端まで写っていないので、やはり長さが判らない)。

結局、原型のm1897野砲の写真から判断したのだが、これまた、個体によって長さが違っていたりして、最終的には「まあ、だいたいこんなものならOK?」くらいのいい加減な決め方をした。いずれにせよ、ハンマーを起こすだけのヒモなので、一般的な拉縄に比べると非常に短い。

●改修作業を終えて、再び「組立完了」とした状態が以下。

F1018041 F1018045 F1018038 F1018135

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ぼいて75mm(6)

●75mm対戦車砲PaK97/38製作記の続き。最終ターンの防盾工作。

本来ならこういう“薄物”はエッチングに交換が望ましいのだが、

  • 市販のエッチングパーツは防盾の他に、(すでに工作が終わってしまった部分の)いろいろ余計なパーツがテンコ盛りでコストパフォーマンスが悪い。
  • そもそも防盾の他にエッチングパーでなければならない必然性のある部分が少ない(気がする)。
  • この砲にそこまで投資する気が起きない。
  • ウェブ上でパッと見た限りでは、いくつか出ているパーツも、防盾形状がなんだか怪しい気がする(きちんと確認したわけではなく、「あのブドウは酸っぱいに違いない」的)。

等々の理由により、防盾もキットパーツをベースに工作を進めることにする。最初のパーツ比較で検証したように、上部メイン防盾はドラゴンのもののほうが形状がよさそうなのでそちらを利用。下部防順はイタレリを使用した。

F1017806 ●下部防盾は一重で平板なので、単純に薄くする。イタレリの濃いプラ色のパーツが透けるまでヤスる。

素直に押し出しピン跡がある側を削り込んだのだが、なんと下側は押し出しピン跡がある方が表側だった。なぜだ!

右写真、下側はヤスった側がこちらを向いていて、モールドは向こう側のにあるものの影。表側のディテールは最後に再生した。なお、シャベルのブレードの受けは、キットのモールドの位置にあるものと、もっと端に寄っていて、ヒンジ下に付いているものとの2種があるようだ。

F1017890b●上部防盾は、外側はドラゴンのパーツを元に薄々に削ったうえに形状修正した。

右上が元パーツだが、これは50mm対戦車砲PaK38のパーツをそのまま流用しているため、砲身が通る中央スリットの形状が違い、頂部の補強板も、PaK97/38はリベットが上下2列のところ、PaK38と同じ3列で幅があり過ぎる。スリットは削り込み、補強板はイタレリのモールドを切り取って貼り付けた。

また、照準窓は位置、形状共にちょっとおかしい(平行四辺形になっていない)ので、やや外側に移動する感じで埋めたり削ったり。

さて、防盾工作手前で足踏みしていた最大の理由が、この二重のメイン防盾の内側をどうするかということ。表側を薄くした結果、元の内側パーツはサイズが合わず、自作が必要なのだが、それが面倒臭い、というよりも、うまい工作法がイメージできなかったため。

F1017895b 結局は、力技というか、中央部・曲面部・さらに外側の翼部と5パーツに分け、外側防盾の裏にスペーサーとして0.3mm板を噛ませた上に、順に貼り付けていった。中央部と曲面部は0.3mmプラバン、両翼部はドラゴンの内側防盾パーツのものを切り離して薄く削り直して使用。全体として、元パーツの2枚重ねのおよそ半分の厚みになっている。

なお、裏側のナット列は(両翼部はそのまま使っているので当然だが)すべてドラゴンのもの。ただしこれはだいぶオーバースケールなうえ、本来はキャッスルナットが使用されているようだ。

F1017891付属品の収納箱等々は、形状がよりよい(ように思われる)イタレリのものを使用。また、ここで白状しておくと、イタレリ、ドラゴンとも、砲身の通る中央スリット形状は表側・内側とも同一で、私も無批判にそうしてしまったのだが、実際には2枚の防盾に挟まれた小防盾と揺架を繋ぐリンク機構をクリアするため、内側は上端が四角く、照準器収納箱?が乗っているアングル材の直下まで開いている。砲架への取り付けが終わってからディテールが判る写真を見つけたので、後の祭り。

●こうして工作の終わった防盾を砲架に取り付けることになるのだが、この期に及んで、照準窓と照準器架の高さがうまく合わないことが判明。再度写真とにらめっこした結果、照準器架の基部のレベルが違いそうだということが判り、またまた照準器架パーツを切り刻んで微調整することに。

さらには、上部メイン防盾と下部防盾の位置関係もどうもうまくないことが判り、下部防盾の上部左右を削り込んだり、上部メイン防盾の下端を少々切り詰めたり。

改めてチェックすると、どうもドラゴンの上部メイン防盾は上下に間延びしすぎているらしい(とはいえ、イタレリでは寸詰まり過ぎのようだ)。発覚が遅かったので根本的な修正はできず、適当なところでお茶を濁すことにする。

●そんなこんなで、なんとか防盾を砲架に取り付け、ひと通りの工作が終わった状態を以下に。……拉縄(りゅうじょう)を付け忘れているが、これはそのうち追加の予定。

なお、下部防盾の上下に付いている謎の筒状突起の用途は不明。コントレールのプラパイプの内径をさらって薄くしたものをつぶし、長円形断面にして使用。上側の径の大きいほうは、両側面に丸穴が開いている。

フィンランドで展示されている個体にはどれも付いているようで、もしかしたらフィンランドで追加したものかもしれない(戦後の追加だったりしなければいいけれど……)。

Lf1017920 Lf1017931 Lf1017915 Lf1017917 Lf1017926 Lf1017927

週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コン・エントリー作としてはマウルティア完成を第一にしたいこと、これについては工作の様子をもうちょっと愛でていたいこともあって、この段階でひとまず休止。いずれ気が向いたときにフィンランドの3色迷彩で仕上げるつもり。

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ぼいて75mm(5)

●いつのまにやら、製作記も本命だったはずのマウルティアを追い抜いてしまった。

というわけで、イタレリベースで進めている75mm対戦車砲PaK97/38の下部砲架・脚部の工作あれこれ。

脚は初回に比較写真を載せたが、イタレリとドラゴンとで一見大差ないように見えるものの、細部ディテールの位置に細かいズレがある。イタレリのほうが実物に近い感じなのでそちらを使用したが、内側に結構大胆に押し出しピンの痕があり、その修正の手間が掛かる。

F1017715●駐鋤周辺。ほぼ左右対称に作られている脚だが、実際には、牽引具が付く左脚は駐鋤付け根が補強されていて、一段太くなっている。プラペーパーを巻いて表現した。

また、脚の内側にモールドされている連結具は、それぞれ脚から直角に出ていて、そのまま閉じると「へ」の字に角度が付いてしまう。基部も脚にガッチリとブロック状にくっついてモールドされているので、一度エッチングソーで切り離し、基部を工作し直した。ここも、右と左とで形状に差があり、左のほうが丈夫に出来ている。

F1017757 駐鋤は、左側は牽引具が付くのであれこれディテールが加わっている。牽引具はイタレリのパーツを使ったが、形がイマイチで、そのまま付けると変に斜め上に角度が付く。多少いじって少なくとも角度は修正したが、形状まではきちんと直せなかった。

牽引具を駐鋤に止めているキャッスルナットは(ここだけ解像度が高いのもちょっと変だが)マスタークラブの0.7mm。先日、I号戦車の起動輪用に買ったもの。まあ、I号戦車を、今後、山ほど作ったりはしないだろうし。実際には上辺にもボルト/ナットがあるのだが、牽引具の形状を直しきれなかった影響もあって、付ける余地がなかった。

F1017783 工作終了状態(左脚)はこんな感じ。

連結具上に付くクランプのパーツ、および折り畳み式の取っ手はドラゴンのパーツ。両者とも、イタレリのパーツもそう大差はないのだが、ほんのちょっと、ドラゴンのものがいい感じだった。

前側にある台形の突起は、取っ手を畳んだ時に留め金が噛み合うところ。厚みから考えて金属板が似つかわしいところだが、綺麗に切り出すのが面倒だったのでプラバンで。

F1017775F1017781●脚中央部。それぞれ、左側から見た左脚と右脚。

外側には手すりが2ヶ所付くのだが、キットの指定(というか、取り付け穴)は、両方とも真横にある(イタレリもドラゴンも)。

しかし、キットではロッド(クリーニングロッド?)も真横に付くようになっていて、説明図ではさらりと図示してあるのだが、そのままではもろに干渉してしまうはず。

実際には、中央部の手すりは斜め上向きについており、ロッドは外側の若干下に付くのが正しい。また、キットではロッドが右に1本、左に2本付くようになっているが、これは50mmPaK38の場合で、PaK97/38では両側1本ずつが正しいようだ。また、ロッドの止め具の形状も、PaK38とPaK97/38とでは違いがあるようだ。PaK97/38では、後ろ側は単純なカップ状の受け、前側がクランプになっている。なお、キットは前側の留め具位置が若干後ろ過ぎているようだったので修正した。

作例では、手すりの位置を修正するとともに、パーツ自体、若干細めのドラゴンのものを使用。ロッドはコントレールの丸棒から。

F1017778脚上面には、人力移動用補助車輪のホルダーが付く。可倒式のツメ部分は、ドラゴンの脚のモールドを削り取って来て加工。倒れた状態にした。後ろ側の固定のツメには三角の補強板が付く。また、前後のツメの内側には、出っ張った押し出しピン跡のような丸い突起がある。これは車輪のゴム部分が当たるところで、この突起を付けることで、ホイールリムの立ち上がり部分が脚に直接当たって塗料が剥げたりしないようにしているらしい。

ツメの位置自体にちょっとズレがあるせいでもあるのだが、作例のこの丸突起の位置は正しくなく、実際には、前側の可倒式のツメにほとんど隠れてしまうくらい、もっとツメ寄りにある。

右側脚の内側には、トラベルクランプが付く。イタレリのパーツを使用。前面2ヶ所の白いツメが、揺架後端の穴にはまって固定するらしい。パーツでは単純なリベットのようなモールドだったので、プラ材で修正。また、後面に小さな十字ハンドル、上面に小リベットを追加。

F1017779 ●脚前端部と下部砲架。ロッドのクランプは、プラパイプとプラ材とプラペーパーで何となくそれらしくごにょごにょと。

下部砲架は、ウルサイことを言い出すとだいぶあちこち形状が違うのだが、上部砲架や防盾にそこそこ隠れるので、手を入れるのは最小限とした。サスの後端部分を削ってドラゴンのパーツに交換。また、射撃時にサスにロックをかけている状態にモールドされているロック機構に若干のディテールを彫り込んだり盛ったり。

さらに、脚は開状態で固定し、脚と、サスロック機構との間のチェーンを、縒って潰した銅線で追加した。ただし、実際の射撃時には、このチェーンのどちらかの端はこの場所ではなく、ロック機構をロックする穴に挿し替えている可能性がある。

●車輪は、ドイツの対戦車砲のソリッドゴムタイヤではお馴染み、2本の溝で分割されたトレッド・パターン。キットのパーツは中央が盛り上がったモールドでお茶を濁している。

帯状のプラバンを貼って表現するか、溝を彫り込むかしばし悩んだが、結局彫り込むことにして、写真のような簡易工具を作った。

F1017770 F1017773当初、彫る刃はハセガワ・トライツールのエッチングソーを使おうかと思ったが、ちょっと薄過ぎる感じだったので、ペンナイフの刃の背中側に変更。土台にニットー76のIII号戦車の車体を使っているのは特に意味はなく、平らで、車輪の軸部がクリアできる穴が開いていればOK。単にたまたま部品取りで余ったパーツがすぐそこにあったため。

あとは、プラ材で適当な間隔を開けて瞬着で刃をがっちり接着、車輪をセットしてグルグル回すと所定位置に溝が彫れる。

●脚周りはこれで終了。あとは難関の防盾。

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ぼいて75mm(4)

●相変わらずネタも作業も地味な、イタレリ1:35、7.5cmPaK97/38製作記の続き。

砲本体と上部砲架の作業を進める。

●ここで(今さら)重大事実発覚。

前から、どうも上部砲架に揺架の後ろ側が隠れすぎる気がしていて、かといって、揺架を後ろにずらすと前側のバランスがおかしくなるし、単純に後ろを延長すると、ただでさえ長めの砲身がますます長くなってしまう。

結局、全体にバランスがおかしいのだろう、というような納得の仕方をしてスルーすることにしたのだが……。

上部砲架に揺架を取り付けかけて(というよりも一度は取り付けてしまってから)、初めて砲耳(というか、揺架についた仰俯軸受け?)の上下位置がおかしいことに気付いた。

97f1017320_2初回の主要パーツ比較で載せた写真なのだが、揺架に対する砲耳の位置はイタレリ、ドラゴンともにご覧の通り(下がイタレリ)。揺架にベロが付いた形になっているのだが、軸穴下に4つ並んでいるボルトは、揺架側面よりも上にある。

しかし実際には、ベロはこのボルトで揺架に固定されているものらしく、要するに、このボルトが揺架側面に来ていないとおかしいのである。

F10177462というわけで、イタレリの揺架からベロを削り取り、それにドラゴンのベロを削ぎ取ってきて高さを低めて接着した。ドラゴンのベロを使ったのは、単に、イタレリのベロを補修無しで使えるほど綺麗に削ぎ取るのが面倒だっただけの話。位置的には、ちょうど、ベロの角が斜めになっている部分が揺架から上に出る感じになるようだ。

別設計のキットが両社とも同じように間違えているというのも変な話だが、後追いのイタレリが、寸法的には手直ししつつ、この部分の位置関係はうっかりそのまま、先行のドラゴンを真似した可能性はあるかもしれない。

とりあえず、これで上部砲架と揺架・砲身の位置関係は改善されたが、キットそのものは、砲架に対し砲身が低まった位置関係でまとめられているわけで、今後防盾の取り付けで齟齬が出てこないかちょっと心配。

●と、ひと悶着あったものの、上部砲架に砲身・揺架を取り付けた。前回書いたように、ギア部のディテールの関係で、仰俯可動は諦めて固定。

F1017749 F1017751

仰俯ハンドルの中心には、砲手用の撃発ノブを追加。根元のボックスから、揺架後方に向け、撃発機構に繋がるケーブルが付く。ちなみにイタレリの揺架パーツには、左右にケーブル引き込み穴のモールドがあるが(窪み表現だけで貫通していない)、当然、実際には左側にしかない。

2つのハンドルのパーツそのものはドラゴンから。ハンドルの輪の部分に両社で大きな差はないのだが、イタレリのハンドルは取っ手が短く作り直しが必要だったので、手っ取り早くドラゴンから流用した。

照準器架もドラゴンから。イタレリのパーツはディテールがだいぶ貧相で、ここに関してはドラゴンのほうがしっかりした出来。ただし、内側部分の高さが低く、そのまま付けると砲手用ガードと干渉して、仰俯ができない位置関係になってしまう。一度内側上部を切り取ってかさ上げ。この時、後ろ側の長さも切り詰めた。また、外側の実際に照準器のスコープを付ける部分は、前方にベロだかフタだか、薄いモールドが伸びているのだが、現存品で確認できなかったのと、行く行く防盾を取り付ける際に干渉しそうだったので切り取った。

ちなみに、両社ともパーツは照準器架だけで、スコープはパーツ化されていないため、射撃状態の情景にするなら、スコープを自作する必要がある。

砲架右のシリンダー上部は、小キャップと小穴が並んだ状態に作ってある。これは現存品のwalkaround写真を参考にしたのだが、どうやら、小穴のほうは本来あったキャップが外れてしまった状態らしい。うがー。

前回作った仰俯ギアのカバーは意外にそれらしく出来ている気がしてお気に入り。ただし、先述の砲耳部の位置変更もあって、砲耳から等距離の円弧になっていない。砲架側の接続部が外に出っ張り過ぎているようだ。今さら直さないけれど。

●工作的にはようやく折り返し点。次回以降は下部砲架/脚。

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ぼいて75mm(3)

●仕事が煮詰まっていてヤヴァイ状況なりけり。

●そんななか(だからこそ)、PaK97/38に時折逃避中。なお、週末模型親父さんのところの「イタレリ作せり」コンへのエントリーは、マウルティアが本命、こっちはオマケなのに、マウルティアは工具ホルダーを作るのが面倒で放置中。いかんね。

F1017727 ●砲尾は、(砲腔から偏心して尾栓が付いているので)下側に向けて太くなっている。キットも一応はそうなっているのだが、特徴的な段差が表現されておらず、また、右下方向に偏って下ぶくれになっているのも無視されているので、プラバンを貼り増して削った。

上部に付くブロック状のディテールは、キットのモールドは前過ぎたので削り落として新造。

尾栓は、なぜかドラゴンのパーツが、イタレリの砲尾の穴にあつらえたようにピッタリはまる。純正のイタレリのパーツは径が足りずガタガタ。開閉回転用のレバーやハンマーなど、付随したモールドも(少なくともこの部分だけは)ドラゴンのもののほうが出来がよい。イタレリのものは貧弱すぎる。

F1017722 揺架にもあれこれ追加工作をして、砲身を載せてみたのが右の状態。

オリジナルのM1897野砲の拉縄(りゅうじょう)、と言っていいのかどうか、とにかくハンマーを引っ張る紐も残っているのだが、PaK97/38では、左側のハンドルから撃発装置に繋がるコードと、その先の“引き金”が追加されている。コードはまだ付けていないが、揺架後部左に小さく開いているのが、そのコードが通る穴。

F1017716F1017719●上部砲架・左側面は、仰俯ハンドルからの縦軸・ウォームギアのカバーがカマボコ型に一体モールドされていたので、一旦削り落として、ランナーやプラバンで作り直し。

右側面は、砲耳軸から繋がるシリンダー(ダンパー?)が、イタレリ、ドラゴンともにY字フォークまで含めて一体成型で実感に乏しかったので、これも作り直し。フォーク部はドラゴンのパーツから切り取って大幅に削り直し、シリンダー下のシャフト/蛇腹はイタレリのパーツから持ってきた。

●揺架後部下には仰俯用の弧状のギアが付いていて、イタレリのキットでも揺架に一体にモールドされているのだが、位置も後ろ過ぎ、どこにも繋がっていないのが丸見えになってしまう(ドラゴンも基本的には同様)。

F1017730というわけで、まずは上部砲架側にギアの接続部を工作。ドラゴンのキットには、この接続部の一部と思しき、何だか中途半端なパーツが1つあって、それを元に削ったり貼り増したり。

一方、揺架側のギアはイタレリもドラゴンもむき出しなのだが、実際にはホコリよけのカバーが掛かっているようなので、曲線のランナーにシワを彫り込んでカバーを製作中。伸縮が利かないので、揺架はそのまま上部砲架に接着し、長さを調整してギアの付け根とカバーを取り付ける予定。

前回の続き。

砲口直後の「謎突起」は一体何のためにあるのか、という話だが、その後、みやまえさんからのコメントで、

米軍によるM1897およびその米改良型のマニュアル

ウェブ上の記事、「フランスの“ななじゅうご”について語ろう」

を教えていただき、おおよそ疑問は解決した。何かに砲身を固定するとか、何かを固定するとかに使うイメージでいたのだが、あれは、砲身が後座した際にレールに収まるローラー(もしくはガイド)なのだそうだ。

F10177353703 なんでそんなところにローラーが?――と思わなくもないが、上記マニュアルの中の図解から考えるに、復座レールに通常接しているローラーは砲身側面のボルト位置、つまり右写真の①と②にあるらしい(写真上)。

発射時に、砲身が最大位置まで後座すると(写真下)、①の後部ローラーはレールからはみ出してしまうのだが、それに代わって③の先端部ローラー(部品はまだ付けていないが)がレールに収まって、②だけになってしまうことを防ぐ、という仕組みであるらしい。場合によってはレールにゴミとかホコリとか入りやすそうだし、頭がいいのか間が抜けているのか、どちらにも取れそうな機構。

ちなみにM3ハーフトラックの対戦車自走砲にも搭載されている米改良型では先端部ローラーがないが、代わって、砲身側のガイドレールが前方に延長されている。アメリカ型は、オリジナルに比べ砲身にやたらにタガがはまっているが、そのタガの部分の下にローラーがあるようだ。

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