働く自転車

神保町の日々

●月曜日に神保町の事務所に出掛け、そのまま泥沼状態に陥り2晩事務所で過ごす羽目になって水曜の晩に帰宅。点取り占いにも、

心配することがある 5点

たまにはよいことを言え 8点

と、相変わらず何が何だかわからないけれども何となく気分の悪いことを言われる。

●事務所で夜遅くまで気疲れのする作業をしていると、だんだん妙なテンションになってくるもので、K女史、P女史と私の3人チーム内で、なぜか今頃ジンギスカンの「めざせモスクワ(Moskau)」その他がブレイク中。

●仕事の“元請”から資料を届けるように言われ、事務所を出ようとしたらK女史に自転車のキーを渡された。

神保町界隈には「いもや」という天ぷら・とんかつのチェーンがあるのだが、そのうち、事務所に近い1軒が先日店仕舞いした。その店でもいわゆる「働く自転車」を使っていたのだが、そのうち1台が店仕舞いとともに廃棄処分になると聞きつけたK女史、さっそく交渉して貰い受けてきた。さすが働く自転車研究会。行動力あるなあ。

P1000137b 知り合いの自転車屋で整備し直し、その自転車が現在事務所のビルの前に停めてある。半ば社用車と化しつつあり、近所に出掛ける際には乗っていくよう薦められるという次第。……書類封筒届けるのに出前自転車かよぅ。

というわけで、出掛ける前に、アルファさんの「きみかっこいいじゃないか」風に1枚。とはいえピンボケ。

●裏口から回ってきた台風のおかげで、昨日今日と涼しい。汗だくにならない日、冷房無しで窓を開けて寝られる夜はどれくらいぶりになるやら。

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自転車と飛行艇と陸攻

●相も変わらず仕事で汲々の日々。23日月曜日まで銀座松屋で開かれていた「ゲゲゲ展」の無料招待券を持っていたのだが結局行けなかった。くうう。

働く自転車研究関連。

往年の名自転車に、山口ベニー号というのがある。

山口自転車は大正年間に創業、戦後は一時オートバイの製造にも乗り出したものの過当競争により倒産、丸紅資本が入り丸紅山口自転車として活動を続けるも、結局その後消滅したメーカー、であるらしい。

どうもあれこれサイトを見ると、山口ベニーというのは単一の車種ではなくて、実用車(いわゆる働く自転車)寄りのものからスポーツタイプ、婦人用(といっても今風ママチャリではなくデカいもの)までひっくるめたブランド名のようなものであったらしい。

Benny01 とにかく「山口ベニー号」は、現在でも一線で「働く自転車」として活躍中のものがあり、K女史あたりから名前をよく聞いていたのだが、そのK女史が先日、ある自転車屋で、倉庫からこんなものが出てきたからやろうと言われたとかで、ベニー号のエンブレムを嬉々として事務所に持ってきた。

本来は前部フェンダー先端上に付くもので、クロームめっきも美しいが、それはそれとして飛行機マニアとして気になったのが形状。下面の水切り段差に加えて、ほとんど痕跡くらいに“退化”しているものの垂直尾翼と主翼(それともドルニエ式スポンソン?)位置の突起があって、明らかに飛行艇を模している。

「速さ」とか「軽快さ」を表すのに飛行機を使うのはよくありそうな話で、実際、他社製「働く自転車」で紡錘形のジェット機風エンブレムのものもあるのだが、飛行艇というのはどうもマニアック過ぎる。まさかベニー号は水陸両用だった、というわけでもないだろうし。

山口自転車は戦時中に川西飛行機の下請けをしていました、なんて話があると「ナルホド」だが、どうもそんな気配はなさそう(そもそもweb上に同社社史はごく簡単なものしか見当たらない)。謎。

●27日金曜日、神保町の事務所はまたまたC社長のバイオリン道楽の会合があり、5時に追い出される。

ちょうどこの日は先日も書いた「アジア-パシフィックの自転車生活デザイン展」の楽日だったので、P女史とともに事務所から六本木ミッドタウンの会場に直行。先に行っていたK女史と合流しあれこれ展示を観る。

Dujee01 先日も触れた「三菱十字号」実車が右写真。

戦後すぐ、三菱重工業が余剰となった航空機用ジュラルミンの有効活用と技術者、工員の雇用確保のために開発した自転車で、設計主任は九六式陸上攻撃機、一式陸上攻撃機の設計で名高い本庄季郎技師。

残っていた航空機資材の有効活用ということでは、旧中島飛行機、再生間もなくの富士重工業が、爆撃機「銀河」の尾輪を使って試作車を作ったスクーター「ラビット号」が有名だが、こちらはこちらで独創的。

K女史経由で頂いた解説パンフには、フレームの曲げモーメントを一般車と比較で計算した手書き図なども載っていて、単に「材料の再利用でヤッツケで作りました」ではないこだわりが感じられてイイ。デザインも斬新だし、イチジク形の後ろ荷台も妙にお茶目で、これが戦後すぐの1947年(昭和22年)製というのがすごい。もっともその一方で、斜めのメインフレームの上面に打たれたリベット列はよく見るとわずかに不揃いで、手作り感がある。

スチール製が当たり前だった当時、軽量な十字号は性能もよく、長距離レースでも好成績を上げたらしいのだが、新機軸を盛り込みすぎて販売は伸びず、社内でもあまり評価されず、三菱重工の自転車製造自体短命に終わった由。状態がいい車体があれば、今でもちょっと乗ってみたい気はするがなあ。

他、展示品のなかにはビクトリア朝時代の現代型自転車のハシリ(エマさんが乗っていたようなヤツ)、バングラデシュのリキシャ、戦時中のスイス陸軍の軍用自転車、現代の工房製の斬新な自転車、それからもちろん数台の「働く自転車」もあって、なかなか見応えがあった。

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ばねばねのくねくね

●土曜日、へばりかけだが午後から神保町に行く。

有楽町に寄り道し、「わしたショップ」で買い物。スポーツにあまり興味がなく、高校野球も(K女史言うところの)「東海大相撲」が勝ち進んでいることを知っているのみで、他にどこが残っているのかも(そもそもどこが出ているのかも)知らない状態だったが、「わした」に着いたのは、その東海大相模を大差で興南が破り優勝を決めた直後。「わした」は大賑わいで、店頭で興南優勝記念に“ちんすこう”を配っていた。

P女史に、今度機会があったらマブヤードリンクを買ってきてと頼まれていたので、K女史分も含めマブヤードリンク2種と、自分用にミキを購入。また、先日のスナックパインが好評だったので、食べそびれたメンバーにも味見させてやろうと再び購入。

100821_160018 ●というわけで、その飲み物3種。マブヤードリンクは沖縄伊藤園から発売されているもので、缶入りは先日紹介のシークァーサージュース、ペットボトルは乳酸飲料系。

「ミキ」は、おそらく言葉としては日本の神酒と同じなのだろうが、沖縄、奄美独特の飲み物で、ごく簡単に言うと、アルコール分のまったくない甘酒のようなもの。子供の頃、奄美大島に行った時に飲まされて、味はどうあれ、そのどろっとした食感があまり好きになれなかったのだが、先日川崎の実家で改めて飲んだらそれなりに美味かった。

以前から沖縄物産を扱う店で目撃したことはあったので、「そうか、沖縄にも奄美と同じミキがあるのか」と思っていたのだが、沖縄産ミキは今回初挑戦。ただし、初めて飲んだ沖縄ミキは、奄美ミキとだいぶ違った。どちらも米が主原料でどろりとしているのは同様だが、

  • コップに注いでみると、奄美ミキは真っ白だが、沖縄ミキは若干褐色がかっている。
  • 奄美ミキは甘酸っぱくて、言ってみればカルピスのような味。沖縄ミキは酸味はほとんどなく、どこか馴染みのある味だとしばらく考えたが、「すあまみたいな味」ということでP女史と意見の一致をみた。
  • 沖縄ミキは缶裏を見ると材料に麦(麦芽?)が加わっているが、奄美ミキには入っていない模様。逆に奄美ミキはサツマイモが入っているらしい。

●なんだかんだで仕事は全然進まず。行き帰りで畠中恵の「しゃばけ」シリーズの最新刊「ゆんでめて」を読了。

P1000048働く自転車研究関連。

いわゆる「働く自転車」の絶対条件とか不可欠の要素とかいったものではないのだが、この手の自転車に比較的しばしば見られる特徴の一つに、前輪フォークの追加ロッドがある。

ハンドル軸受け上部から左右に2本、前輪フォーク前端の前輪軸受け部まで渡されたロッドで、これが実に微妙な形状をしている。頂部にコイルスプリングがあり、下部は大きく前側に張り出すとともに、クネクネと波形を描く。自転車のメーカーをまたがって同じ形のものがよく装着されているので、比較的メジャーな追加パーツであることが判る。

が、問題はこれがいったい何の意味(用途)があるパーツなのか、という点。下部は加わる力を前に逃がす形状だし、上部にコイルスプリングがあることから見ても、素直に考えればサス強化用なのだが、そもそも前輪フォークにはダンパーもスプリングも付いていないのだから、ここまで伸縮やしなりを考えたロッドを付ける意味があるとは思えない。

研究会のK女史とS先生とも頭をひねってみたが埒が明かず、モヤモヤを抱えたままでいたのだが、先日、K女史が古い自転車屋のご主人(?)と話す機会があり、その際に用途を訊ねてみたとのこと。返って来た答は、

「意味なんて無い。ただの飾り」

であった由。おいおいおいおい。

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夏の大三角

●ほぼ毎日、終電とその数本前の間に帰ってくる。街灯や自動販売機やらがあふれた世界から見上げた夜空は、星が降るように見えるわけもないが、この時刻だとちょうど天頂付近にとりあえず夏の大三角形は見える。

七夕の時に書いたように、白鳥座のデネブは判るが、相変わらずアルタイルとベガはどっちがどっちか判らない。

――というわけで今調べたが、デネブに近い方がベガで遠い方がアルタイル。あるいは、白鳥がこちらに腹側を見せているとして、右翼側がベガで、左翼前方がアルタイル。ベガは全天で5番目に明るい恒星だそうなので(太陽は除く)、それでも見分けがつきそうだ(というよりも、天文ファン関係のサイトを見ると、夏の大三角は一番明るいベガを手掛かりにするよう書いてあることが多く、デネブは比較的暗いので目立たない、とある。オレの星のたどり方は常人と逆かぃ)。

まあ、ここまで調べたら次に見るまで覚えていそうだ。

●金曜日。夕方5時からC社長が事務所内で宴会を開くと言うので早々に追い出される。先日母から頼まれていたのに忘れていたノートを購入し、父の具合も見に川崎の実家に寄る。

私が来るというので父は起きて待っていたが、ほとんどの時間、椅子に座ったままうつらうつらしていた。

●コニー・ウィリス「航路」読了。臨死体験を科学的に解明しようとする心理学者と医者の話。個人的には「ドゥームズデイ・ブック」のほうが面白いと思った気がするが(といっても、ドゥームズデイの話の筋もうろ覚えだが)、それでもなかなか面白かった。

臨死状態を擬似的に体験する装置を開発して云々、という話なのだが、「過去」なのか「自分のアタマの中」なのかという違いはあるものの、ある装置を使って別の世界に行くという点では「ドゥームズデイ・ブック」や「犬は勘定に入れません」と共通したところもある。

小野不由美「屍鬼」に戻るべきところだが、その前に先に返却期限が来る森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を読まなくてはならない。

●未だにタミヤのBTはいじれず。箱の中のビニールを開け枝を取り出しただけ。

●六本木(住所は赤坂)の東京ミッドタウンで、「アジア-パシフィックの自転車生活デザイン展」開催中(7/29~8/27、11:00-19:00)。

東京ミッドタウンサイト内の案内をそのまま引用すると、

クリーンな移動手段でありカルチャーでありアジアの産業でもある自転車に注目する展覧会。さまざまな自転車を「食べる」「走る」「遊ぶ」「働く」「考える」など人間のライフスタイルと結びつけてご紹介します。

だそうだが、主にその「働く」ジャンルに関連して、以前に紹介した「働く自転車研究会」も写真パネルその他で参加している。

「働く自転車」とは関係ないが、九六陸攻や一式陸攻で有名な三菱の本庄技師が戦後すぐに設計した、余剰ジュラルミン利用の「三菱十字号」という自転車も出展されているとか。そのうち暇を見つけてぜひ見に行きたい。

Byke01 ちなみに「働く自転車研究会」には、K女史によれば私も“すでに片足突っ込んでいる”そうだが、それにしては何もお手伝いしておらずどうも済みません。なお、左の写真は展示会とも何も関係なく、タミヤの1:35自転車を「働く自転車」仕様に改造中のもの。本当はスポークを張り替えるべきだが(前輪より後輪のほうがスポークが密なのは「働く自転車」の主要な特徴の一つ)、そこまでやるならフレーム自体組み直したいし、そうなると改造どころか「自作」になってしまうので早々に断念。それでも現在作業放棄中。

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働く自転車

●神保町で仕事。まだ始まったばかりだから、と言うべきか、始まったばかりなのに、と言うべきか、資料漁りの勘所みたいなものを掴めずにメゲ気味。

●昨年から神保町の“季節労働”の仲間の一人であるK女史は中央線快速のオレンジ車輌(201系?)の熱烈ファンであったり、業務用のゴツイ自転車ファンであったりと、なかなかマニアックな性癖をお持ちの方だが、最近、その後者のほうで「働く自転車研究会」というブログを始めた由。板塀とかコンクリのゴミ箱とかブリキのカタカタ鳴る傘付きの白熱電球の街灯とか、そんな昭和レトロな風景にしっくり来る車輌だが、探せばまだずいぶん現役はあるし、個々の車体を鑑賞する際のポイントなどもあるらしい。

業界的には「実用車」という括りになるらしく、ウィキペディアでもそのタイトルで記事ページが立てられているが、一般にそれで通じるかというとちょっと怪しいし、他の自転車は非実用的なのか、みたいな感じになってしまうので、「普通に判りやすい呼称」には研究会も悩んでいるらしい。ただ、ウィキペディアのそのページには特徴の列記もあり、これも観察の手助けになる。

学生の頃、正月だけ知り合いの寿司屋で出前のアルバイトをしたことがあって、その時にはこの手の自転車に乗ったし、また、昔かみさんが働いていた地中海料理屋にも一台あって、これに乗って犬の散歩にも行ったりした。夜に店が終わって、鷺宮から都立家政のあたりまで夕食を食いに2人乗りして行って、警官に怒られたりしたっけ。

その頃には重いなあ、ゴツイなあとしか思わなかったが、改めて言われてみれば確かにそれなりに風情がある。自動車で言えば乗用車に対する軽トラとか、そんな位置付けになるわけだが、自動車と違って車格自体は変わらないから、ツクリの差からすると民生車に対する軍用車のような感じと言っていいかもしれない。

そのうち、ぜひこの手の自転車としばしば併用されるリヤカー型サイドカーなども取り上げて頂きたい。

●鳩山首相辞意表明。しかも今期限りで政界も引退する意向であるらしい。細川さんかぃ。今更自民党復活の目もなさそうだし、ますます「もう誰にもどこにも票の入れ先がない」ということになりそう。

●ブロンコから、“ラッチェブム”搭載5tハーフトラックが出る由。もうドイツ物はガレージキットの余地はなくなりつつある感じだ。

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