古典機

「る・ろぉん」の続き

●相変わらず、あっちをいじったり、こっちをいじったり、いじらなかったり、の模型製作ライフ。

そんなうちのひとつ、ハセガワ製ル・ローン(キット名称「ル・ローヌ110馬力エンジン(ドイツバージョン オーバーウルゼルUr.II)」が、一応、エンジンらしい形になってきたので、これについて書くことにする。以前の作業についてはこちら

Img20240424023613 前回記事以降の進捗点(第一段階)は、おおよそ次のような感じ。

・継ぎ目を消したシリンダーにシリンダーヘッドと、さらにその上のロッカーアーム関連部品を接着。

・各シリンダーをクランクケースに接着。後々の塗装で、クランクケースとシリンダーの色調をちょっと変えたい、というようなことを考えると、ここで接着するより塗ってから着けたいところなのだが、そうなると、インテイクパイプの擦り合わせができないので仕方なく。

・インテイクパイプの整形。結構微妙なカープを描いているパイプに、がっつり入っているパーティングラインと押し出しピン痕を消す。押し出しピン痕はずいぶん昔に埋めるだけはしてあったので、今回は削るだけ。なお、実物はたぶん薄板を丸めてパイプにしているのではと思うが、その場合どこかに接合線があるはず。しかし、現存の実物の写真を見てもどこにあるのかわからないので、とりあえずはそのまま。

写真は、上記工作段階のエンジンを後ろ側から見たところ。ル・ローンの見た目上の大きな特徴であるインテイクパイプは、80馬力のル・ローン9Cまではクランクケースの前側から出るが、110馬力の9Jでは、写真のように後ろ側から出る。なお、写真ではインテイクパイプが5本だけ取り付けてあるが、これは仮組で、この段階では接着していない。

もうここまで来ると、「部分ごとに塗り分けてから組み上げる」ことなど考えずに、全て組み上げてしまって、あとから筆が届く限りでアクセント的に塗り分けたり、スミイレ等々で誤魔化したりというふうにしたほうがいいかなあ、などとも思ったりする(昨今のタミヤのキットのようにパチピタでもないので)。

●ここまで作っての感想は、

「良くも悪くもハセガワのキットだなあ」

というもの。

古いキット(発売は1980年代?)なので部品の精度等も「それなり」。もちろんハセガワ製/日本製のキットとしてある程度の水準には達しているので、「合わない/組めない」という個所はなく、組立説明書に従って部品を付けていけば、製品写真通りにきちんと仕上がってくれる(はず)。

ただしその一方で、(ハセガワのキットにありがちだが)「きっちりと実物のスケールモデルとして、ディテールを再現しよう」という気合のようなものはあまり感じられない。

気付いた差異などを以下に羅列。

各シリンダーのフィンの数は、実物(キットになっているドイツ型のオーバーウーゼルUr.IIも、オリジナルのル・ローン9Jも)は恐らく32枚だが、キットは25枚。細かいフィンなので、「正確に数が合ってないとイヤ!」とは言わないが、やはり約2割も違うとちょっと間引き感はあるかも。もちろん、こういう細かく薄い彫刻が金型代に直結するので略したい、というのも判るけれども(もっともハセガワの場合、金型代節約のために略したいというより、単純に「適当にそれらしくフィンを重ねときゃいいや」だった可能性もありそうな気がする)。

シリンダーが、実物に比べて細め。シリンダーの外側2/3のフィンの径は、実物ではクランクケースへの接続部より太いのだが、キットでは同径くらいになっている。その結果クランクケースよりもシリンダー部分がボリューム不足に感じる。ただし、インテイクパイプが付くとシリンダー間が若干埋まるので、ボリューム不足感は緩和されるかも。

クランクケース外周部のディテールが違う。実物ではシリンダーとシリンダーの間部分には半月型の窪みが設けられているのだが、キットでは直線的な段差になっている。シリンダーの根元のディテールも不足。実際は、シリンダー根元のリング外周には、締付用?の刻みがある。

プッシュロッドは切り揃えられた金属棒のパーツが付属しているが、実物よりやや太目。しかも、シリンダー上部のロッカーアームへの接続部には、実物にはないごついジョイント部品(A8)が付く。このジョイントは、実物の何かを再現しようというものではなく、単純に金属棒をプラパーツに繋げるためだけの目的で入っているらしい。

型抜きのためのパーツのテーパーがややきつめで、そのため、特に後面の補器類の形状がいびつになっていたりする。また、割と目立つ場所に押し出しピン痕があることも多い。

Img20240428230634 クランクケース後面には、中心軸を取り巻くように大きなギアパーツがあり(上写真中央部)、これが、本来なら補器類に繋がる小ギア(右写真)に噛み合うようになっているらしいのだが、キットには、その小ギアの部品はあるものの、大ギアとは間隔を設けて噛み合わないようになっている。たぶん、噛み合うようにすると可動にしなければならなくなるのを避けたのだと思う。ただし、ここは組んでしまえばほとんど見えない。

それ以外にも、細部ディテールの際現に関しては、随所に「まあ、適当にそれらしくやっときゃいいかな」感がある。

……などなど。そんなわけで、一応、キットはル・ローン(のドイツ版ライセンス生産型)と銘打っているのだが、全体的にパチモンくさいというか、「“ル・ローン(Le Rhône)”じゃなくて、“る・ろぉん”かな?」みたいなイメージ。

●もちろん、「それらしく」は出来ているし、あまり厳しいことを言うと、「それじゃ、プラバンを丸く切り出してシリンダーから全部自分で作れ」なんて話になってしまう。

それでは身も蓋もないし、当然ながら私自身にそんな気力もない。一方で、「じゃあ、まるっきりストレートで作って、塗装でそれらしく」というのも面白くない(私自身に塗装で凝る技量もない)ので、いつもながらの「まあ、キットの素性を活かしながら、『ちょっとだけ手を入れてみましたよ』という形跡だけ残す」というアプローチで行くことにする。

それにしても、「キットの素性を活かす」って便利な言葉だな……。

まず、上にも書いた「シリンダー根元のリング外周に、締付用?の刻みがある」点は、シリンダーをクランクケースに着けてしまってから気付いたのだが、割と「手を加えた感」が出るところのように感じたので、TFマンリーコさん直伝の“秘技エナメルシンナー剥がし”でシリンダーをもぎ取り、付け根に追加工作した。

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0.3mmプラバンで帯材を作り、それを細切れにして貼り付けることで刻み目を作成。刻み目の数は、限られた資料写真からはちょっと読み取りづらかったのだが、とりあえず7つと判断した(正解かどうかはちょっと不確か)。

プッシュロッドは、キット付属の金属棒は使わないことにし、プラストラクトのプラ棒(0.9mm径)で代用。ロッカーアームのリンクに直付けした。

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というところが、現状工作第二段階。

なお、キットは実物通り、基部と独立してエンジン本体は回転できるようになっている。仮付けして、ぶんぶん回してみた。

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今回は以上。

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ずしのむし

●すっかり御無沙汰ですが生きてます。

(前回も書いたが)季節労働の追い込みはいよいよ切羽詰まってきており、地域の自治会役員の仕事も滞っていて、もう泣きそう。

そして、先日ケン太さんからコメントを頂くまで開催日を忘れていた「東京AFVの会」が、もう明日(それ以前に何度かネットで確認して、「今年はだいぶ早いぞ」と思っていたのに)。行けるかどうかは今日のこれからの頑張り次第? 行けるとしても、当然ながら、持っていく完成品は何も無し。

●表題の話。

当ブログにもしばしば載せているように、あちこち歩き回る合間に虫(主に昆虫だが、その他の小動物含め)の写真を撮るのが、模型ほどではないにしろ趣味の一つ。

写真それ自体はまったくの我流だし、機材も何も追加していないスマホのベア状態の撮りっ放しでしかないのだが、それでも、「数撃ちゃ当たる」式で、たまにはなかなかいい(自画自賛)クローズアップ写真が撮れる。

そんな写真が、「まあまあ」以上を選んでも300~400種類分くらいは貯まってきたので、特にご近所(逗子市内+α)のものを、写真と短い解説文でまとめておきたいと思うようになった。逗子に引っ越してきてからすでに30年近く、虫の写真を好んで撮り始めてからでも10数年は経っているが、その間にも、「最近、アレ見ないなあ」とか「やけにアレが増えてきたなあ」など、変化を感じることも増えて、何かしら記録に残す意味もあるのでは、と考え始めたのも理由のひとつ。

実を言うと、数年前にもそう思って何ページか分は試しに作ってみたのだが、2年前?のHDDクラッシュで見事消失。もっともその後も虫の写真は貯まり続けているので、「なんとかしとこか」という気持ちがまたもたげてきた、という次第。

Sample01改めて1ページ作り直してみたのが右だが、もともとレイアウトのセンス等はあまり備わっていないので、「暫定の暫定案」程度。今考えているところとしては、

  • 制作に個別に手間は掛けたくないので、できれば統一フォーマットを作って、そこに写真と文章をはめればOKという形にしたい。
  • ただし、写真は横位置と縦位置のものが混在している(撮った時の対象の姿勢などにも関わっているので、これは仕方がない)ので、少なくともそれぞれ用のフォーマットは必要になる。
  • また、使っているスマホの機種変更によって、縦横比が違う写真がある。できればトリミングなどの余計な手間は掛けたくない(が、そのまま使うとなると、ここでまたフォーマットが2種増えてしまう)。
  • できれば「写真1枚+文章」に収めたいが、種によっては2枚以上の写真を使いたいものもある(性的二形の差が大きいとか、翅の裏表を見せたいとか)ので、それへの対応も課題。
  • とりあえずはPDF形式にしてデジタルで保存するだけでなく、プリントしてバインダー形式にしておく?(と、目・科・属別に整理した時に、後から追加しやすい)

などなど。

Img20231005163910 ●相変わらず、プレッツェル(ブレーツェル)のマイブーム継続中。

前回記事で、スナックタイプのプレッツェルのトルコ産のものを紹介したが、パンタイプのプレッツェルも、横浜駅CIEL内のパン屋、トムキャット・ベーカリーでも売っているのを知って試してみた。

見た目はちょっとふっくらした感じ(お店のサイトに出ている写真とずいぶん感じが違うのはどうしたわけだろう?)。食べてみた印象は……。

「普通に美味しい塩バターパン」

の感じが強い。いや、一般的にはこっちのほうが「美味しい」と思う人は多いかもしれないんだけど、正統的な「ブレーツェル」感は鎌倉の山田さん(Bergfeld)に負ける。でもって、私は山田さんのほうが好き。

Img20231102132608 ●模型話もちょっと。

(割としばしばそんなことを言っているが)仕事が煮詰まっているときは「しっかり考証しながら工作を進める」のではなく「無心に単純作業をする」のを息抜き代わりにすることが多い。

今回それで取り出したのは、ハセガワの1:8「ル・ローヌ110馬力エンジン」。

同社がかつて出したミュージアムモデル(と銘打った)、フォッカーDr.Iからの別売で、同じくフォッカーDr.I搭載のシュパンダウ機銃、シリーズの別製品ソッピース・キャメルF.Iからの別売として、クレルジェ9Bエンジンとヴィッカース機銃も出ていた。

その昔、シュパンダウとヴィッカース機銃は作った(そしてどこか行ってしまった)。クレルジェは未組立で棚で仮眠中(熟睡中?)。

ル・ローンは初期のもっと低馬力のものも含め、多数の航空機に搭載された大ベストセラーのフランス製ロータリー・エンジン(マツダのそれではなくて、「エンジン自体が回る」という意味のロータリー)。フランス製なのに、なんで敵国ドイツのDr.Iに載ってるねん、という話だが、これは第一次大戦前にきっちりライセンス契約が結ばれている。もっとも、110馬力の9Jが開発されたのは戦争が始まってからだから、やはり若干のパチモン要素はあるかもしれない。

個人的には、ハセガワは(もちろん国内メーカーだけにある程度以上の質は保持されているものの)「ちょっと信用ならないところがある」印象があるメーカーだが、このル・ローンはそれなりによくできていると思う(と、言い切れるほどル・ローンのエキスパートというわけでもないが)。とはいえ、組立上の一大課題は、張り合わせ式のシリンダーの、細かいフィンの間にしっかり張り合わせラインが出てしまうこと。

ナイフでほじほじというのも間に合わないし、極細のヤスリも入らないので、結局は800番のペーパーを2つ折りにして、その折り目部分を突っ込んでヤスリ掛けをした。

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左写真、左側が作業後、右側が作業前。それなりに目立たないレベルまで消せていると思う。

なお、数日前、この作業をしながら何の気なしにシリンダーの数を数えたら、本来9本あるべきところ、8本しかない! 作業の途中で失くしたのか? それとも、そもそも過去いじっているときに、どこか別の場所に間違えて入れてしまったのか? ……と思って焦ったのだが、しばらくして、自分が座っているすぐ脇の、別の模型箱の上に1つぽつんと立っているのを発見した。

というわけで、めでたく9本に戻った記念撮影が右写真。手前右に転がっているのは、ル・ローンのシリンダーのヤスリ掛けの前に作っていた、SU-100用の増加燃料タンク。「それこそ、パーツを張り合わせるだけだろう!」と言うなかれ。SU用のタンクはちょっと面倒なのだ(という話はまたいずれ)。

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郵便機がらみの脱線話(2)

20220227_200939 ●前回に続いて押入れの守り神的ストックのレビュー(守り神がやおよろず状態)。フランス製の簡易インジェクション、HiTech 1:48のブレゲー14B2。

武骨で、四角くて、頑丈そうで……およそ「洗練された格好良さ」とは無縁な感じだが、しばらく見ていると、それが逆にちょっと魅力的に見えてくる感じの機体。

フランスお得意の(というか、戦間期までは各国がしきりに開発していた)多座多用途機のハシリにして初期の成功例のひとつで、これの後継機が前回のポテーズ25や、同メーカーのブレゲー19あたり、ということになる。

大昔、オーロラの1:48シリーズにも取り上げられていたくらいなので、第一次大戦機のキット化アイテムとしては最古参の部類ということになる。実は、私は子供時代にオーロラのブレゲーを組み立てたことがある……らしい。「らしい」というのは、おぼろげな記憶で、「やけに角ばった感じの、それなりの大きさがある複葉機のキットだったこと」「主翼を前から押している地上員のフィギュアが付いていたように思うこと」くらいしか覚えていないからだが、該当するキットは、おそらく、オーロラのブレゲー14しかない。

まだプラモデル趣味に目覚める前で、当時の子どもの常として「時々プラモデルを接着剤ベタベタで捏ね上げるだけ」だった私が、なぜ輸入品の第一次大戦機などというマニアックな品を手にすることになったのか、今では確かめようもない謎である。

閑話休題。そんなキット化史を持つブレゲー14だが、その後は長く後継キットに恵まれない時代が続いた。

80年代、悪名高い草創期の簡易インジェクションメーカー、マーリンから72キットが発売され、(よせばいいのに)入手したことがあるが、でろでろのプラパーツ(前回のHITKITの比ではない)というだけでやる気を無くすのに、なんと私の入手したキットは、胴体の同じ側が2つ入っていた。購入した模型店に連絡をしたら、「えっ!? では、すぐに交換します。在庫確認しますんで……。あっ! 申し訳ありません、こっちの在庫も同じ側が2つでした……」と言われた。右左別々で2枚ずつならパーツだけ交換で済んだのに……(これって前にも書いたような気がする)。

そうした前史の末に、ようやく手に入れた比較的まともなキットが、このHiTech製の1:48 ブレゲー14B2ということになる。なお、72ではペガサス、その後AZmodelからもキットが出ている。

ちなみにキット名称末尾の「B2」は(たとえばメッサーシュミットBf109E-4、みたいな)生産順によるサブタイプ記号ではなく、フランス独自の機種識別記号で、爆撃機(Bombardier)で複座(2人乗り)を示す。ニューポール17C1、モランソルニエ406C1とかも同様で、これは戦闘機(Chasseur)で単座。

ブレゲー14の主要生産型としては、他に偵察機型のA2があって、これも「偵察機・2人」の略号だが、Aが何の頭文字なのかはよく判らない。フランス語で偵察機は「Avion de reconnaissance」だが、「Avion」は単純に航空機のことだから略号にするならRを使いそう。Accompagné(随伴)とか、あるいは実際にこのA2機が配属されたCorps d'Armeéを示しているのかも。

ちなみにこの頃のフランスの陸上の航空隊は全体が陸軍に所属していたはずなので、後者のCorps d'Armeé(直訳すれば陸上部隊)は陸軍所属を示すのではなく、爆撃隊とか戦闘機隊とかと並列で、偵察・空撮・弾着観測・リエゾンなどの地上支援を担当する部隊のことであるらしい。

●前置きが長くなったが、そろそろキットの中身を。

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中身は簡易インジェクション製の主要プラパーツ、レジンとメタルの小物パーツ、エッチング、デカールとインスト。

単発機とはいえ結構大柄な機体で、2枚目写真にあるように、手のひらと比べても主翼はだいぶ大きい。胴体横・後席脇に窓があるのはたぶん爆撃型の特徴。下翼に出っ張りがあるのも爆撃型の特徴で、この出っ張りは下翼下面に装着されたミシュラン製の爆弾架(小型爆弾なら左右各16個懸架可能)のもの。下翼後縁が、ほぼ全スパンに渡ってフラップになっているのも爆撃機型だけの特徴らしい。ちなみにアエロポスタル社で使用された郵便機は、おそらく窓や爆弾架のないA2仕様をベースにしているのではないかと思う。また郵便機型は(ネット上で作例等見ると)下翼左右(B型で爆弾架のあるあたり)に貨物(郵便袋?)収納用のコンテナをぶら下げているようだ。

胴体表面の布張りの縫い目、翼のリブ表現などはそれなり。簡易インジェクションで第一次大戦機を出し始めたころのエデュアルド並み、くらいか(通じにくい評価)。私の入手したキットでは、下翼の爆弾架部分の表側に、あまり目立たないながらも、わずかにヒケがあった。裏側ならエッチングを貼るので、いくらヒケててもいいのに……。

胴体下面はモールドの方向もあってつんつるてんだが、実機は何かディテールがあるかもしれない(資料不足でよく判らない)。

びっしりとルーバーの入った機首側面は、プラパーツは一段窪んでいて、エッチングパーツを貼る構成。

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割と大判のエッチング(横約10センチ)は、前述の機首側面パネル、爆弾架、後席機銃架、窓枠、前面ラジエーターのシャッターなど。機首側面のルーバーがペッタンコ表現なのはちょっと残念な感じがするが、かといって、ここを綺麗に膨らませて、かつ綺麗に形を揃えるというのは非常に面倒くさそうだ。

メタルキャストパーツはペラ、脚柱、機銃。本機に使われたプロペラは数種あるらしいが、キットは最も標準的に用いられたラチエ製。レジンパーツは機首前面のラジエター、車輪、座席と、オカリナのような形の排気管。

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デカールシートは、確か今はもう活動停止してしまったエアロマスターデカール製の美しい印刷のもの。縦横13cmちょっと程度あるが、塗装例1種のみに対応。シリアルNo1333はボックスアートの実機写真にある機体で、説明書によれば1918年6月、エスカドリーユBR117所属である由。フランス航空隊の中隊(エスカドリーユ)名は機種別になっていて、BRはブレゲー装備を示す。

たとえばエースとして名高いジョルジュ・ギヌメールの所属は第3戦闘機中隊だが、モラン・ソルニエ装備時代はMS3、ニューポール時代はN3、スパッドに替わってからはSpa3と変遷している。

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郵便機がらみの脱線話(1)

●ロシアのウクライナ侵攻が始まってしまった。

独ソ戦の話ではなく、まさか21世紀の今になって「ハリコフ攻防戦」が現実に起きるなどとは思わなかった。

多くのウクライナ人にとっては「隣国(他国)の侵攻」である一方で、プーチンにとっては(あるいは多くのロシア人にとっては)「自国内の問題」という意識なんだろうなあ、と思ったりする。そういえば、ロシアの民族的英雄であるイリヤ・ムロメッツは「キエフの大公」に忠誠を使っているのだった。

それはそれとして、NHKのニュースにおいても、「第二の都市ハリコフへ云々」と言っているのがちょっと気になった。当然ながら報道は立場としてはウクライナ寄りなのだけれど、それでいてなぜに都市名はロシア語? ハルキウって言うべきなんじゃないの? いや、それを言うならキエフもロシア語名で、ウクライナ名はキィフ? 一方でなぜリヴィウだけは各ニュースでウクライナ名? などと、なんだか脇道に逸れたあたりが気になったりする。

ちなみに、ウクライナ外務省推奨の正しい地名呼称(より現地発音に近い表記)は、キエフ→クィイヴ、ハリコフ→ハルキヴ、そして国名は「ウクライーナ」だそうだ。

●24日木曜日に3回目のCOVID-19ワクチン接種。当初2回はファイザーで今回はモデルナ。もともと1,2回目の時は「同種のワクチンを」と言っていたのが、なんで急に「交互接種は有効」ということになったのか、どうにアヤシイものを感じてしまうのだが、明確に「そりゃおかしいだろ」という根拠を持っているわけでもないので大勢に流される。翌日肩が痛かったが、特に発熱などはなかった。

20220226_153957_burst01 ●久しぶりに佐助稲荷に行く。

どうも小学生女子としては趣味の方向がよくわからない我が家のお嬢が、先週末だったか、一人で佐助稲荷に行って来たのを聞いて、「そういえばすっかりご無沙汰だな」と思い出したため。

数年前の台風による倒木で大被害を受け、本殿と拝殿が潰れてしまったと聞いてから行っていないから、少なくとも3年以上行っていないかも。考えてみれば、近年、山歩きは逗子から南側・西側が主で、衣張山・朝比奈方面以外の鎌倉外縁の山もほとんど歩いていない。

久々に行った佐助稲荷は、拝殿は白木造りの新しいものが建っていたが、その奥の本殿は倒壊・撤去されたままで、陶器の小さな狐がぎっしりと並べられた中に、神棚に毛の生えたような小さな仮の本殿が置かれていた。本殿脇からは、本来は尾根上の大仏ハイキングコースに上がる道があるのだが、そちらはなお通行止めのようだ。参道の鳥居の列も、以前は木製の古いものが混じり、また腐って倒れて根元しか残っていないものもちらほらあったような気がするのだが、ほぼすべて樹脂製の新しいものになり、抜けも補充されているようだ。

●hn-nhさんが昨年買ったキットのリストを挙げた中に、AZUR-FRROMの1:72 ポテーズ25があって中身が非常に気になっていたのだが、hn-nhさんのブログ「ミカンセーキ」にレビューが上がった。

Le Potez25 de l'Aeropostale

hn-nhさんのことなので、単に「キットの出来はこーじゃ」みたいな味気ないものではなく、(もともと軍用の多用途機として開発されたものの)サンテクスの著作でも有名な郵便飛行の使用機として活躍したあたりをじっくり書いていて、読んでワクワクする。

もちろんキットの紹介も抜かりなく、一緒に購入されたらしいSpecial Hobbyの郵便機入りデカールのインストに従って、後部銃座を普通の座席に改造する作業も済ましていたりしてなかなか楽しい。

もともと、AZURはチェコのMPM/Special Hobby系の中で、フランス企画の機体をリリースするラインナップだったと思う(箱に「Design and conception in France. Tooling and molding in Czech Republic(設計・企画はフランスで、製造・生産はチェコで)」と書かれている)。FRROMはそのまた派生レーベルで、今度はルーマニア企画でキット開発が行われているらしく、FRROMは「From Romania」の意味ではないかと思う。それを示すかのように、最初はルーマニア国産のIAR-39とか、ルーマニア型(双発型)のサヴォイア・マルケッティ79とか、ルーマニア関わりの機体が多かったのだが、その後は割と曖昧で、同じキットのバリエーションが、AZURとAZUR-FRROM、Special Hobbyとレーベルをまたがったりしていることも多い。

ポテーズ25は、さすが戦間期に割合ヒットした機体だけに、ロレーヌ型もイスパノ型もルーマニア軍で使用されているらしく、FRROMで取り上げるだけの関連性はあるようだ。

●さて、そのフランスの郵便飛行会社でエールフランスの前身でもある「アエロポスタル」は、いろいろな機体を郵便機として使用しているのだが、なかでも代表的なものが、第一次大戦機払い下げのブレゲー14、上記のポテーズ25、そしてより新型で大型のラテコエール(ラテ)28が三羽烏、というところではないかと思う。

hn-nhさんのところで新しいAZUR FRROMのキットを見ると、ビシッとキレもよく、私も一つ欲しくなってしまうのだが、実は我が家には、もっと古いポーランド製の簡易インジェクションキットであるHITKIT製の1:72 ポテーズ25が、エンジン違いで2、3種ストックがある。一方では、第一次大戦直後の郵便飛行草創期の主役だったブレゲー14も、フランス製簡易インジェクションのHiTech製、1:48キットがある(もしかしたらペガサス製の1:72キットもある)。

特に前者については、AZUR FRROMのキットを見てしまうととてもこれから作る気にはなれないシロモノだが、せめて賑やかしで(くやしんぼうで)キット紹介くらいはしておこうと思う(どちらも純軍用機仕様なので、郵便機としての話題からは逸れてしまうが)。

20220227_201100 ●まずはHITKIT、1:72のポテーズ25。

ポーランド製の簡易インジェクションで、scalematesによれば90年代半ばのリリースだったらしい。各種搭載エンジン別にバリエーションキット化されていて、私も「まさかこんな機種がキット化されるとは!」と舞い上がってしまって、数種買い込んで、そのまま死蔵して今に至る。紹介するのは、たまたま押し入れの目につくところにあった、グノーム・ローン「ジュピター」エンジン搭載型。輸出仕様で、キットのデカールはフィンランド空軍1、エストニア空軍2、クロアチア空軍2、ユーゴスラビア空軍1に対応。マニアック過ぎる……。

キットは薄っぺらいキャラメル箱入りで、構成は、「いかにも(一昔前の)簡易インジェクション」という基本プラパーツ、エッチングパーツ、メタルキャストパーツ(エンジンのみ)、デカールと説明書。

肝心のプラパーツはこんな感じ。

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1枚目は2枚合わせの上翼と左右胴体。貼り合せる内側は、粘土をこねくり回した跡?みたいな表面。胴体は、左側はまだいいとして、右側は下縁に沿ってウネウネとヒケ(というか波打ち?)が生じていた(写真2枚目)。小物パーツ(3,4枚目)は、モールドの状態は見ての通りで、取り付ける前にバリだの荒れだのをクリーニングするの大変そうだが、コクピット内のフレームもパーツ化されていたり(それがキットの胴体パーツにきちんと収まるのかどうかは別問題)、たぶんエンジンの別に応じてペラも2種入っていたりと、キット企画・設計者の気合は十分に感じられる。……のが、逆にわびしい。この気合に見合う技術があればなあ。

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ジュピター・エンジンは、ころんと、これだけ一つメタルキャストのパーツが入っている。このエンジンが付く機首部分のパーツが右写真で、上で紹介した胴体パーツの先端を切り飛ばして挿げ替えろという、なかなかスパルタンな構成。なお、キットの基本胴体はロレーヌやイスパノ装備型にはとても見えないので、おそらく、ポーランド仕様のブリストル・ジュピター装備型を基本にしているのだと思う。さすがポーランド製キット。ちなみにポーランド軍仕様は、同じジュピター装備でも、エンジンにタウネンドリングが付いているなどの違いもある。

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エッチングパーツは左写真のような感じで、プラパーツとは隔絶の出来。しかし、AZUR-FRROMのポテーズにも専用のエッチングは付いているだろうし、これだけ有効活用する必然性も高そうにない。デカールはシート自体が端の方で変色していて、今でもちゃんと使えるかどうか不安な状態。

●長くなったので、HiTech 1:48のブレゲー14B2のレビューは改めて。

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素晴らしきヒコーキ野郎(6)

20211206_214855 ●2021年末、軸足の定まらないつまみ食いモデリング、その2。

今回は、いったい何年「ちょっと触っては箱に戻し」を繰り返してるんだ、という、旧インパクト~パイロの「マーチン・ハンダサイドNo.3」。

前回記事、「素晴らしきヒコーキ野郎(5)」は2018年12月15日。第一回記事、「素晴らしきヒコーキ野郎」はなんと2009年11月22日。しょーがねーなーもう。

●以前にも書いたように、この一連のキット(全6機種)は、1965年公開の映画「素晴らしきヒコーキ野郎」とのタイアップ商品として、最初「INPACT KITS」という会社から発売されたもの(綴りがIMPACT、ではないことに注意)。Scalematesによれば初版発売は1966年だそうなので、発売以来55年という超ベテランキット。

右写真の後ろ側に写っているのが、その最初のINPACT版のアブロ複葉機(AVRO BIPLANE)で、先日鎌倉でhn-nhさんとお茶を飲んだ時の話のタネに持って行ったもの。映画ポスターのロゴと同じ字体で、キットのシリーズ名が書かれている。ちなみに映画の原題名は「Those Magnificent Men in Their Flying Machines」、キットのアオリは「Those Magnificent Flying Machines」。

再販版のパイロの箱絵は、その後の再々販版のライフライク、再々々販版のリンドバーグでも一貫して使われているもので(箱の縦横比やロゴは変わっているものの)、それはそれで味があるが、初版のオシャレさは一段上な気がする。たぶん映画との絡みがあって、そのままでは使えないのかも。

●さて、このマーチン・ハンダサイド、数年前に舟型の木製胴体をニス塗り仕上げ風に塗装してあった。木製であることを強調しようと、何種類かの茶色をまだらに塗って(一種類を塗ってはヤスって、またその上に別の茶色を塗ってヤスって、というような感じ)上からクリアオレンジを塗って仕上げていたのだが、ちょっと、古びた家具ならいいけれども、本来は新品であるはずの胴体にあまりに色むらが出来過ぎている感じが気になっていた。

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そんなわけで一歩後退覚悟で、今までの塗装をヤスって削り落とした。

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●そこから胴体を再度塗装。もともと塗装のテクニックが低いのは自覚しているので、今回は変な欲は出さないことにして、ベージュのプラ地(若干、以前の塗装の残りムラあり)に薄くタミヤエナメルのレッドブラウンを塗り、さらにクリアオレンジを重ねた。というわけで現状こんな感じ。

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以前よりはちょっとサッパリした感じに。何だかバイオリンっぽい!

胴体上面は結構ムラが残っている感じだが、ここは主翼のケタが付いたり、燃料タンクが載ったりするので、若干のムラがあって構わないかな……。

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「あ」モデル

●年間の仕事上の最大の山場を越えた虚脱状態からいまだ脱出できておらず、模型製作も低調。

一つのキットに集中するモチベーションが沸いてこないので、あれこれキットをとっかえひっかえ取り出しては、ちょっと眺めたりいじったりしてまた箱に戻す、などということを繰り返している。

20211202_232053 ●そんななかで、最近いじったのが、A modelの1:72、IAR-80A。

A modelについては、以前に一度、ニューポールIVのキット評をUPしたことがあるが、もう一度、ざっとこのメーカーの説明を。

A modelはたぶんウクライナの会社で――と、最初から「たぶん」が付くところがなんとも情けないが、これは、キットの箱にも説明書にも、どこにも会社の所在地とか、「made in どこそこ」とか書かれていないため。箱横のロゴ下には、「ワールド・ワイド・ディストリビューター」として、ポーランドのIBG(International Bussiness Group)の名前とワルシャワの住所/連絡先が書かれている。IBGが独自キットを出すより、A modelが出回り始めた方が早かったと思うから、IBGって商社活動の方が先だったんだなあ……と今さらながら思ったりする。

箱の横には実機説明・キット内容説明が複数言語で書かれているが、それも英語とロシア語、もしくは英語とドイツ語とロシア語で、ローデンのようにウクライナ語は書かれていない。

「ウクライナ産」の証拠がどこにもないじゃないか、と突っ込みたくなる感じだが、日本でこれらのキットを扱っているバウマンのサイトには「Amodel from UKRAINA」と書かれている。キット名称や説明に多々怪しいところがあるバウマンが言っているだけだとやや根拠に乏しいが、ポーランドの通販サイトのJadarHobbyでも「Amodel (Ukraine)」と書かれているので、まず間違いないと思う。

我が家には右に上げた3キットのほか、以前にキット評を書いたニューポールIVと、あとは確かUTI-4(ポリカルポフI-16の複座練習機型)があったはず。とにかく初期のキットは簡易インジェクションとしても出来は悪い方で、(悪名高いマーリンやヴィーディーとまではいかないものの)モールドはでろでろ、ぱっと見でも、かなり削り合せないとそのまま接着もできない風のものが多かった気がする。

――箱を開けて見たとたん、「あ……」と言って二の句が継げずに箱を閉めちゃうから「あ・モデル」なんだよ。

と、誰かが言っていたような気が。

比較的初期の製品であるUTI-4も、翼弦長などは修正してあったものの、一部パーツは古いレベル72のU-16のデッドコピーだったような記憶がある(うろ覚え)。それでも、他ではまず出さないような珍機・迷機・マイナー機を次々に出すので、(私のような)アホなマニアがついつい手を出してしまう、いわば「マニアホイホイ」なメーカーでもある。

ただ、一時期以降は結構質も向上してきて(とはいっても、まともなインジェクションメーカーに太刀打ちできるレベルではない)、写真に上げた3キットやニューポールIVあたりは「好きなら手に取っていいかも」くらいには仕上がっている。とはいえ、これまたニューポールIVの時に書いたように、昔のひどいキットが箱替え・デカール替え/一部パーツ替えで番号が新しくなって出ている例もあるようなので、かなりの地雷含みではある。

▼せっかくなので上に上げた3キットの中身紹介を少々。

最初はIAR-80A。

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前述のように、ちょっとだけお手付きなので、箱の中には切り離した胴体や主翼ほか一部パーツがバラバラと入っている(カウリング胴部や胴体前半部は左右を接着済み)。

このキット、どうも純正A model製ではない気配もあって、パーツ枝には「Master 44」という謎のタグが。以前は、実機の生産国であるルーマニア製のキットをリボックスして売っているものかと思っていたのだが、Scalematesを見ると、ルーマニアのレーベルである「Parc」からはA modelと同時期に1種のキットしか出ていないのに対して、A modelからは細かくバリエーションで5,6種出ている。しかも前述のようにキットの枝のタグは「Parc」ではない。

角の丸いパーツ枝形状、枝の交点にいちいち出ている樹脂のヒケの穴などは他のA modelキットと似通っているので、「Master 44」とは単純に下請けの金型メーカーである可能性もある。いやまあ、それが判ったとしても何がどうということはないけれども。

A modelからは、私が持っているIAR-80Aのほかにも、-80、-80C、-81など何種もバリエーションが出ていて、それへの対応のためか胴体は前半と後半で別パーツ(そしてその擦り合わせは結構苦労しそう)。

ちなみに実機は、ルーマニアがライセンス生産していたポーランドのPZL P.24の胴体後半の設計をそのまま丸パクリして低翼単葉引込脚機をでっち上げたというもの。いかにも旧式なPZLの固定脚ガル翼機が、いきなりスポーツ機じみた外見に生まれ変わっているのはビックリだが、垂直尾翼の形状はP.11cともそっくり。

ちなみに箱の右上にあるポートレートは「Constantin Pomut(コンスタンチン・ポムート、と読めばいいのか?)」で、キットの塗装例の機体に乗っていたエース・パイロット。ただし以前にはハリケーンに乗っていて、何機をIARで落としたのか(あるいは落としていないのか)はよく判らない。

▼2番目はユーゴスラビア仕様のホーカー・フューリー。フューリーの72のインジェクションキットは、古くはマッチボックスからも出ていて、「マイナー機ほど出来がいい」と言われるマッチボックスらしくそれなりにいいキットだったのだが、形式はMk.IIだったので輸出型には対応していなかった。

A modelのこのキットはユーゴスラビアに輸出、また一部ライセンス生産されたMk.Iで、脚柱がV字でなくI字の一本脚であるなどの外形上の差がある。A modelからは、この他、イスパノスイザのエンジンを搭載したイスパノ・フューリーも発売されている。

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御覧のようにパーツは72小型機としては標準的な構成。IAR同様、パーツ一つ一つのキレはお世辞にもいいとは言えないが、コクピット内壁のモールドもあるし、「それなり」には仕上がっていると思う。ただ、型からの取り外し時に無理な力を掛けたのか、私の入手したキットでは、胴体右側の排気管のモールドが部分的に(ちぎれたような感じに)潰れていた。これはどうにかして(ついでに左右揃えて)作り直さないといけない。うわ。面倒。

▼最後のキットはスパッドS.A.4。

箱絵は後ろ姿なのでちょっと判りづらいが、これはとにかくスタイルが珍妙なので実機解説から。

第一次大戦前半、同調装置が一般化するまでは、とにかく「まっすぐ前に機銃を撃つ」ということが難しくかつ大きな課題で、イギリスでは空力性能を犠牲にして各種プッシャー式戦闘機が実用化され、フランスのニューポールあたりは上翼の上にさらに架台を組んでプロペラ圏外から撃ったりしていたわけだが、そこでもっと斬新な(悪夢のような)解決法を導入したのが、スパッドS.A.2と、その小改良型であるS.A.4(どこがどう違うのかよく判らないが、とにかくA modelからは両方発売されている)。

基本、ごく普通の牽引式の飛行機に、プロペラを迂回する形で支柱を付けて、プロペラの真ん前に銃座を取り付けてある。だいたいこの頃の飛行機というのはほぼ野原のままの飛行場から運用されていて、そこで尾輪式の機体は、ちょっと“つまづく”とつんのめって逆立ちをしてしまう。実際にそんな状態の写真はよく見るが、この機でそんな事態になると、機銃手は真後ろから高速回転するプロペラとエンジンがかぶさってくることになる。……ブラック職場過ぎる。

そんなわけで、本国フランスでは嫌われて、生産機の多数がロシアに里子に出されている。このS.A.4のキットの指定塗装もロシア空軍。

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小パーツ枝と一緒に写した10円玉との比較で判ると思うが、成型状態はお世辞にもいいとは言えないものの、細かいパーツはとことん細かい。ル・ローン・エンジンも吸気管が別パーツとなかなか凝っているが、果たしてこの極細パーツ群、破損させずに切り離すことは可能なんだろうか……。

前部機銃手ナセルの両側面には、直後の空冷星型エンジンの冷却を助けるためにダクトがあって入り口にメッシュが張られているのだが、キットでは頼りなさげなモールド表現のみ。もっとも、エッチングに張り替えるなどと余計なことを考えたりせず、塗装表現で済ます方が平和だろうなあ。

とりあえず模型として形態だけを見ると、奇抜な前部機銃手席の機構に加えて、デュペルデュサン以来の、ルイ・ベシュロー設計機の特徴である矢羽根状のシュッとした垂直尾翼とか、後のスパッドVIIやスパッドXIII同様の、張り線保持用の補助支柱とか、いろいろ見どころがあって、いつかものにしてみたいキットではある。……いつか、いつかね。

●新型コロナに関しては、新たな変異株であるオミクロン株の話題で持ち切り。

前回「来年は東京AFVの会は開催されるだろうか。またまた変異株も出て来て、でかい第6波とか第7波とか来そうな気もする」と書いたが、悪い方に予測が当たりそう。こうなると、今年、感染の波のちょうど合間にささっと開催できた関西AFVの会は大したものだと思う。

オミクロン株について。うちのかみさんは「鬼クローン株」だと思っていたらしいことが判明。強そう! そして質悪そう!

もっとも私自身、オミクロンというのがギリシャ・アルファベットだというのは判るが、何番目なのか等はよく知らない。最後の文字の「Ω(オメガ)」株とか出てくるとなんだか終末感が漂っていて怖いが、すでにオミクロンで文字数の半分は超えているようなので、来年にはオメガに到達しそう。

なお、慶応の湘南藤沢キャンパスに通っている知人によると、同キャンパスの校舎はギリシャ・アルファベットが割り振られていて、「オミクロン棟」もあるそうだ。

●昨晩(12月2日)から、あっちこっちで地震が起きて、震度5クラスの地震も2度。今朝の山梨の地震ではここ(神奈川東部)でも結構揺れた。コロナだけでも面倒なのに、大きい地震とか被せて来ないでほしいなあ。

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骨飛行機

●急ぎの締め切り仕事などあり、模型製作低調。

●前回、カッパーステイトのコードロンG.IVについて書いたところ、vol de nuitさんから、ボワザン10が欲しい旨のコメントを頂いた。10ではないけれど、ボワザンのキットなら持っていたなあ……と、押入れを開けたらすぐ目に付くところに目当てのキット、FLASHBACKのボワザン3が置いてあった。

改めて考えてみると、私の模型ストック(のなかの古典機ストック)には、この手の「胴体が単純に骨組だけ」飛行機が結構ある。

最新がカッパーステイトのコードロンG.IV(1:48)だが、ずいぶん昔にここでちょろっと紹介したことがあるバキュームフォームのフィアット/サボイア・ポミリオF5B(モーリス・ファルマン11のイタリア・ライセンス型)(1:72)ほかバキュームの「骨飛行機」が複数(実はコードロンG.IVもすでに72のバキュームで1機ある)。フィアット/サボイア・ポミリオF5BとコードロンG.IVのバキュームを紹介した昔の記事はこちら

インジェクションでは上記のボワザン3のほか、インパクト~パイロ~ライフライクのブリストル・ボックスカイト(アンリ・ファルマンのイギリス・ライセンス型)と、ブレリオXI(ともに1:48)がある。

一番の大物は、Metropolitanというレーベルから出た、1:24のコードロンG.3のマルチ・マテリアル・キット(scalematesの紹介ページ)。

これは(いわゆるプラモデルとは別の方向性で)精巧な車模型を出していたポケール設計によるもの。スケールモデルとして正確かどうかは置くとして、半透明樹脂製の翼にシール式の帆布を貼っていくとか、エンジンのシリンダーが金属製の挽き物であるとか、車輪はワイヤースポーク張り済みだとか、やたらに高級感のある「ハイソな大人の趣味」的なキットで、機会があれば写真入りで紹介したいが、今は天袋の奥底に仕舞い込んである。

そもそもガリガリにスケールモデルとして仕上げるべきキットでもなく、そのまま説明書通りに作ればいいようなものだが、そうしていないのは「作っちゃうと大きさ的に邪魔」というだけではなく、肝心の骨組み部分の金属部品が一部(というか大半)劣化しており、ちょっと力を加えるとポキポキ折れ、まるごと作り替える必要があるという極度に面倒なハードル付きであるため。

もともと入手時に中古品で、Metropolitanというレーベルだかメーカーだかもたぶんこれ一作で(前世紀のうちに)消滅しているので、部品請求などしようもない。

●そんな具合で、我が家は結構、「骨飛行機」まみれであることが判った。

そもそも、(私の理解が確かなら)飛行機の胴体というのは、飛行そのものの機能のうえからは、尾翼ユニットを支えるという以上の意味は持たない。そのため、黎明期の飛行機には、胴体は骨だけという機体が結構ある。その後、「単純に尾翼を支えるだけといっても、骨剥き出しよりはきちんとカバーした方が空力的に有利」というのが判ってちゃんと胴体らしくなっていくわけだが、特にプッシャー式の機体の場合はその胴体が邪魔になるので、第一次大戦中盤に至るまで、なお「骨飛行機」の形態は残ることになる。

そんなわけで、初期の飛行機好きの私の場合、もともと「骨飛行機」率が高くなる素地があるが、加えて、「骨だけ・張り線まみれ」の機体は、模型として非常に見栄えがする。

若き日の私は、自分の製作技術やら製作速度やらをよくよく顧みることもなく、そんな「模型映えする機体を格好良く作り上げる自分」を夢想して舞い上がってしまった結果が、この骨飛行機ストックの山なのではないかと思う。考えてみると、私自身がこれまでに完成させた「骨飛行機」は、古のレベル72のDH.2だけだ(たぶん学生時代)。……この先、1機くらいは作りたいなあ(ストックの何分の1だろう)。

20210128_194224 ●せっかく久しぶりに取り出して中身を見たので、チェコ製簡易インジェクション・キット、FLASHBACKのボワザン3(VOISIN 3)の紹介。

このボワザンやエトリッヒ・タウベはまっさらの新キットだったが、FLASHBACKは他にも、簡易インジェクション時代のエデュアルドのバリエーション・キットなども出していたので、たぶん系列のレーベルなのだと思う。

基本、FLASHBACKのキットは48がメインだが、ソッピース・ストラッターやこのボワザンなど、一部は72。「機体が大きいのは72?」とも思ったが、タウベも結構大きいしなあ。基準がよくわからない。

改めてFLASHBACKの製品リストなど見てみると、結構面白いネタが並んでいる。アヴィアチク(ベルグ)D.1とかハンザ・ブランデンブルクw29の48キットなんて、今でも他メーカーから出てないんじゃ……入手しておけばよかった。ちなみにアヴィアチクD.1は、マクタロウさんが素晴らしい完成品をサイトに上げている(→こちら)。

実機は飛行機黎明期の有力メーカー(というかデザイナー)のボワザン製で、第一次大戦の緒戦期に手ごろな性能だったこともあって多数作られた複座機。前席にオチキス機銃を装備し、どうやら、「世界で初めて敵機を撃墜した機体」でもあるらしい(1914年10月5日)。4輪の乳母車に翼と骨組み胴体をくっつけたような形式だが、人が乗っていない状態だと前輪は浮いて尾翼部分が接地する。全部がそうかどうかは判らないが、指定デカールの塗装だと、フランス軍機もイタリア軍機も、軍用機らしからぬ全面白色。これって、ボワザンの目止めドープが白だったのかな?

それはそれとしてキット内容。まずはプラパーツ。

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枝は2枚。翼とコクピット・ナセル関係の大枝と、支柱パーツの小枝。支柱パーツの枝は、古き良き時代のチェコ簡易を知っている人ならお馴染みの放射状のもの。MPMのバキューム・キットに入っている小物インジェクション・パーツもたいていこの形式だった。たぶん、射出時の圧力が低めでも樹脂が回りやすいように、ということなのだと思う。

成形そのものはいかにも「かつてのチェコ簡易」そのもので、若干の表面のざらつきやバリに発展しかけのパーティングラインなどあるものの、初期の簡易インジェクションによくあった「厚みの不均一」とか「盛大な型ズレ」などはない、まずは満足すべきレベルのもの。

エッチングパーツも2枚。

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写真の都合で右のほうが大きく見えるが、実際は左の方が2倍くらいの面積。後部胴体の骨組みはそのまま折り曲げて作る感じで、クロスの張り線もそのままエッチングになっている。その分、枠組み部分との太さ・厚みの差がちょっと足りない気もする。右は小物で、床板だの椅子だのスポークだの。

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あとはレジンパーツとデカール。エンジンはクランクケースにシリンダーを一つ一つ付けていく方式。なのはいいとして、エンジンの回転軸が歪んでるよ……。デカールは長年死蔵している間にちょっと汚れや黄ばみが出てしまったが、印刷そのものは薄く美しい。とはいっても、実際に貼ってみないことにはどうにも。

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説明書(右)の最終ページには張り線の手順が説明されているが、間違いがあって正誤表が入っている。が、なぜか私のキットには正誤表が4枚も入っていた。そんなサービス嬉しくない。それ以前に、張り線の多さとややこしさにクラクラする。

●そして、同じ箱の中に、それ以前に入手したものだと思われるボワザン3のバキュームキットが突っ込んであった。

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クラシック・プレーンというメーカー?の72。なんとびっくり、半割の胴体だけでなく、上下の主翼もすでにサンディングが終わっていた。ちゃんとこれを作り上げる気があったのか……。

ちなみに骨組みの後部胴体や翼間支柱は、バキュームのこの手のキットには割とよくあるが、「自分でよろしく作ってね」と、コントレールのプラ棒がセットされている。スパルタン。

●ついでにもう一つ、手近にあった「骨飛行機」。パイロ(旧インパクト)のブレゲーXI。

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旧インパクトの古典機6機シリーズは、1960年代に発売されたものだが、現在でもインジェクション・キットとしては(たぶん)全種がこのスケールで唯一であるだけでなく、それなりに古さは目立つものの、現在でもスケールモデルとして手に入れる+手を入れる価値が十分あるという点でも貴重。ブレゲーXIそれ自体は、旧フロッグ(その後NOVOほか)から72のキットはあるが、キットそのものの出来はこちらのほうがだいぶ上。

写真のキットはインパクトが無くなった後に再版されたパイロ版で、インパクト版では透明プラで成形されて「塗装でワイヤースポークを再現してね」形式だった車輪が、そのまま普通のプラになってしまったのが、中身的な違い。

コクピット上面は枠だけなので素通しで見えてしまうコクピット側面は、布張りにワイヤーのクロス張り線がモールドされているのは素敵だが、押し出しピン跡はなんとかしたい。また、私が入手したこのキットは、4枚目写真の脚支柱ほか、数カ所に成形不良(樹脂のショート)があった。

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素晴らしきヒコーキ野郎(5)

●ホルト75トラクターがとりあえず完成して、さて、次に何をいじろうかというところで、久しく遠ざかっていた飛行機を1機くらい何とかしたいと思い始めた。

作りかけのネタもずいぶんたくさんあるが、その中でも「何とかしたいネタ筆頭格」の1:48.マーチン・ハンダサイドを引っ張り出してきた。

製作記の前回は一昨年の12月。前々回はなんと2009年11月。……なんてこったい。

20181215_214807 ●いちいち遡って読む面倒を省くために、改めて簡単なキット紹介を。

キットは今は亡きパイロ社のものだが、これ自体も再版もので、初版はインパクト(Inpact)という会社から、(たぶん)1960年代後半、映画素晴らしきヒコーキ野郎」(Those Magnificent Men in Their Flying Machines)とのタイアップで発売された、古典機6機種シリーズの1機。

というわけでたっぷり50年前の、ほとんど骨董品と言えるキット。しかし、確かに各所に古さは見えるしパーツ数も多くはないが、決してオモチャじみてはおらず、しっかり「スケールモデル」としてこだわって作られていて、なんとかその素性の良さを活かして作ってやりたくなる。

このキットの機体は、説明書によれば、1911年型、マーチン・ハンダサイド3号機(Martin-Handasyde No.3)。発売された6機種の中ではおそらく最も無名で、実際、これを私が手に入れた頃(20年以上前)には、「これ、ホントにある機体なの?」と思ったくらいだが、最近になって、web上で何枚か、まさにこの3号機の写真を見つけることができた。

そんなこんなで、作るモチベーションも(わずかながら)アップしてきているところ。

●で、前回(2年前)からの進捗状況。木製ニス塗りであるらしい胴体を塗装した。

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とはいっても、これを塗ったのは(確か)もう半年くらいも前のことで、ここ数日「改めて作り始めた」と言っているのは、布地表現がモールドされている主尾翼表面に、スポンジヤスリを掛けて若干表現をおとなしめにしようとしているくらい。

なお、胴体の塗装に関しては、茶系のさまざまな色を塗ってはサンドペーパー等で粗く落とし、また塗り重ね、最後にタミヤエナメルのクリアオレンジを全体に塗るという方法を採った。

木の深みのようなものを出したくてそうしたのだが、なんとなくそれらしく出来たようにも、ちょっと汚らしいようにも見えるのが、私の塗装の腕のなさ。もしかしたらもう一度くらいクリアオレンジを重ねるかも。

20181215_224450 ●もう一点は、主脚前方の転倒防止スキッド先端の改修。

キットは先端が単純なムクの“ダマ”状になっていたので、一度切り離し、スプーン状に中をくりぬいた。

支柱は切り飛ばした分を延長してスプーン内側にリベットで止めてある状態を再現。

ちなみにこれも(たぶん)半年以上前に工作したもの。

●主脚柱も塗り分けて取り付けたり、エンジンも気化器部分を追加して塗ったりしたいのだが、実は(細かい塗り分けの説明が出ている)説明書がどこかに埋もれて行方不明になってしまった。なんという管理能力の低さ。

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スマホデビュー

●先月末に書いたように、震災直後から使っていた変なガラケー(富士通製F-04B)を水没させてしまったために、ついに先週からスマートフォン(韓国LG製LGS02)を使っている。

「まあ、使っていればそのうち慣れるよ」と周りにも言われているし、経験上自分でもそう思うのだが、とにかく今のところはほとんどちんぷんかんぷん。時折、何かの着信なのかお知らせなのか、短くバイブレーションが「ぶー」と鳴ったりするのだが、それが何だったのかさえ確認できなかったり。

ほぼちょうど1年前、PCを新しくした時にも思ったのだが、今のハードって、マニュアル的な紙の印刷物ってほとんどないんですなー。

●これまで使っていたガラケーは、キーボードユニットとディスプレイユニットが分離するという意味不明の機能がついていて、両方にバッテリーが入っているためにその分かさばるという「なんだこりゃ」な機種だった。唯一、1220万画素カメラ搭載で、虫の写真などを撮っても(マニュアルのピント機能はないので多分に偶然任せだが)時折結構綺麗な写真が撮れる点は気に入っていた(なぜそんな変な機種を使っていたかというと、機種変更時に、docomoショップの店頭で、「なるべく安くて、でも写真は綺麗に撮れるほうがいい」と言ったら、たまたま該当するのがコレだったため)。

とりあえず、スマホに替えてもカメラとしての用途は虫だの模型の進捗だのがメインとなる(すでに前回記事でも数枚は新しいスマホで撮っている)ので、引き出しの奥から「虫サイズ」の旧作を引っ張り出して写真を撮ってみた。

1:700 ファルマン1912年式水上機

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20161212_220751 20161212_220728

1:700 ツェッペリン・シュターケンR.VI

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ライティングだの何だのは全く工夫無く、単純に蛍光灯の下で撮っている。なんとなくピンボケ。求むスマホで(ある程度)綺麗な写真を(しかも楽に)撮れるノウハウ。

いやまあそれよりも、早く基本の操作を覚えないとなあ。

●ついでにネット環境も一新。プロバイダーがocnからJ:COMになった。

常用のメールアドレスもocnだったのでJ:COMのものに変更したのだが、その設定でまたひと悶着。

まずは、現時点で使っているocnのメールが、受信はできるが送信ができない状態になってしまった。

一方で新しいJ:COMのメールアカウントは、最初は送信も受信もできず。最終的には、windows10の場合はpopログイン名に@以下も必要(?)とか何とか、なんだか私にはよく判らないアレコレを試しているうちに、なんとか送受信ともできるようになった。

ocnの「送信できない」問題は、J:COMに問い合わせても(『それはocnに聞いてくださいよ』)、ocnに問い合わせても(『電信八号なんてマイナーなメールソフトの設定なんか判りません』)結局解決できなかった。まあ、ocnのアドレスを使うのは今月末までだし、受信だけできれば特に問題なし。

そんなわけで、メールアドレスが変わりましたので(直近、ある程度メールのやり取りがあった方には通知を差し上げましたが)、「おう、変わったんならこっちにも教えろや」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

●後輩の村嶋君が手掛けた自主制作アニメが公開された。季節もの(?)。


●miniartから、同社III号戦車シリーズからの別売履帯が出た(製品番号Nr.35235)。

あれ?と思ったのが、その「Workable Track Links Set for Pz. III/IV. Early Type」という商品名。同社のサイトによれば、この履帯は

  • III号戦車A~F型
  • 突撃砲A型
  • IV号戦車A~E型

に適合、ということになっているのだが……。あれ。最近って、「初期のIII号戦車は36cm幅だけれど、IV号戦車は38cm幅だった」とかいう話になってなかったっけ。

そこでまた、「36cm幅というのは履帯本体幅で、ピンも合わせると38cm」とかいった話もあってなんだかまたややこしいことに。

ドイツ戦車の履帯だけの本、「Panzerketten: Die Gleisketten der deutschen Kettenfahrzeuge des Zweiten Weltkrieges」を見たりなんかすると、そのへんスッキリするのだろうか。

ちなみに当時の実車写真を見ると、III号戦車の初期型はセンターガイドの背が高くほとんど三角形に近いものから、割と普通の台形のものが多く、一方でIV号戦車の初期型は、逆にかなり背の低い台形のセンターガイドのものを履いている場合が多い感じ。少なくとも、多用されている履帯はIII号、IV号で別物らしい。

ちなみにPANZER TRACTSのIII号初期型の号によれば、使用している履帯は「Kgs6109/380/120」(リンク幅360mm、ピン長さ380mm)。IV号戦車のトラクツは手元にないが、サイト「Panzer IV Universe」によれば、A型が「Kgs6110/380/120」、B~E型が「Kgs6111/380/12」(やはりリンク幅360mm、ピン長さ380mm)だそうだ。

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素晴らしきヒコーキ野郎(4)

●え? いつからの続きなのコレ?

……という感じだが、前回はここ(2009年11月23日)。というわけで、1:48のマーチン・ハンダサイド(Martin-Handasyde No.3)のやけに気の長い製作記(しかも今回も進捗はごくわずか)。

Cimg1876m ●6機種出ているこのシリーズのなかでも、マーチン・ハンダサイドはおそらく最も無名の機体で、資料もないことだし大らかに作ろう……なんて思っていた時代が私にもありました。ええ。

実際、7年前にちょっといじった時には、機体に関してはこのマーチン・ハンダサイド3号機の次代のものと思われる写真しか見つけられなかったのだが、今回、改めていじるにあたって検索してみたら、キットのもとになった3号機そのものの写真が出てきた。たとえばここ

ネット恐るべし……。

以前に書いたように、鶴書房のcolour pocket encyclopedia、「初期の飛行機」には、

1910年春、より大型の第2号機が登場した。この機体は、その後4年半の存続中、一連の改造をほどこされた。原型のビーストン・エンジンをJ.A.P.35HPに換装し、アントワネット型の安定機構は通常のものに改められた。「マーチン・ハンダサイドの第3号製作機」というのは、この改造を誤解したものである。

とあるのだが、実機写真を見ると、主翼下面に「No.3 MARTIN HANDASYDE」と大書されており、新造なのか2号機の改造なのかは別として、少なくとも3号機と名付けられた機体は明らかに実在していたことになる。

それはそれとして、キットと写真を見比べると、主翼と胴体の接合部に関してはやはり古いキットなりだとか、主翼の厚みがもっとありそうだとか、あれこれツッコミどころはあるものの、かなりよく特徴を捉えていることがわかる。IMPACTすげえ……。

Cimg1879m ●というわけで(7年ぶりの)ごくわずかな進捗。

アントワネット似の舟型の浅い胴体の内側をとりあえず茶色に塗り、胴体上面を接着。隙間を埋め、突起部は後から全部作り直すことにして削り落とし、表面をヤスリ掛けした。

都合のいいことにプラ色がベージュなので、それも活かしつつ、木製胴体の感じが出るように塗っていきたい。

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