古典機

郵便機がらみの脱線話(2)

20220227_200939 ●前回に続いて押入れの守り神的ストックのレビュー(守り神がやおよろず状態)。フランス製の簡易インジェクション、HiTech 1:48のブレゲー14B2。

武骨で、四角くて、頑丈そうで……およそ「洗練された格好良さ」とは無縁な感じだが、しばらく見ていると、それが逆にちょっと魅力的に見えてくる感じの機体。

フランスお得意の(というか、戦間期までは各国がしきりに開発していた)多座多用途機のハシリにして初期の成功例のひとつで、これの後継機が前回のポテーズ25や、同メーカーのブレゲー19あたり、ということになる。

大昔、オーロラの1:48シリーズにも取り上げられていたくらいなので、第一次大戦機のキット化アイテムとしては最古参の部類ということになる。実は、私は子供時代にオーロラのブレゲーを組み立てたことがある……らしい。「らしい」というのは、おぼろげな記憶で、「やけに角ばった感じの、それなりの大きさがある複葉機のキットだったこと」「主翼を前から押している地上員のフィギュアが付いていたように思うこと」くらいしか覚えていないからだが、該当するキットは、おそらく、オーロラのブレゲー14しかない。

まだプラモデル趣味に目覚める前で、当時の子どもの常として「時々プラモデルを接着剤ベタベタで捏ね上げるだけ」だった私が、なぜ輸入品の第一次大戦機などというマニアックな品を手にすることになったのか、今では確かめようもない謎である。

閑話休題。そんなキット化史を持つブレゲー14だが、その後は長く後継キットに恵まれない時代が続いた。

80年代、悪名高い草創期の簡易インジェクションメーカー、マーリンから72キットが発売され、(よせばいいのに)入手したことがあるが、でろでろのプラパーツ(前回のHITKITの比ではない)というだけでやる気を無くすのに、なんと私の入手したキットは、胴体の同じ側が2つ入っていた。購入した模型店に連絡をしたら、「えっ!? では、すぐに交換します。在庫確認しますんで……。あっ! 申し訳ありません、こっちの在庫も同じ側が2つでした……」と言われた。右左別々で2枚ずつならパーツだけ交換で済んだのに……(これって前にも書いたような気がする)。

そうした前史の末に、ようやく手に入れた比較的まともなキットが、このHiTech製の1:48 ブレゲー14B2ということになる。なお、72ではペガサス、その後AZmodelからもキットが出ている。

ちなみにキット名称末尾の「B2」は(たとえばメッサーシュミットBf109E-4、みたいな)生産順によるサブタイプ記号ではなく、フランス独自の機種識別記号で、爆撃機(Bombardier)で複座(2人乗り)を示す。ニューポール17C1、モランソルニエ406C1とかも同様で、これは戦闘機(Chasseur)で単座。

ブレゲー14の主要生産型としては、他に偵察機型のA2があって、これも「偵察機・2人」の略号だが、Aが何の頭文字なのかはよく判らない。フランス語で偵察機は「Avion de reconnaissance」だが、「Avion」は単純に航空機のことだから略号にするならRを使いそう。Accompagné(随伴)とか、あるいは実際にこのA2機が配属されたCorps d'Armeéを示しているのかも。

ちなみにこの頃のフランスの陸上の航空隊は全体が陸軍に所属していたはずなので、後者のCorps d'Armeé(直訳すれば陸上部隊)は陸軍所属を示すのではなく、爆撃隊とか戦闘機隊とかと並列で、偵察・空撮・弾着観測・リエゾンなどの地上支援を担当する部隊のことであるらしい。

●前置きが長くなったが、そろそろキットの中身を。

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中身は簡易インジェクション製の主要プラパーツ、レジンとメタルの小物パーツ、エッチング、デカールとインスト。

単発機とはいえ結構大柄な機体で、2枚目写真にあるように、手のひらと比べても主翼はだいぶ大きい。胴体横・後席脇に窓があるのはたぶん爆撃型の特徴。下翼に出っ張りがあるのも爆撃型の特徴で、この出っ張りは下翼下面に装着されたミシュラン製の爆弾架(小型爆弾なら左右各16個懸架可能)のもの。下翼後縁が、ほぼ全スパンに渡ってフラップになっているのも爆撃機型だけの特徴らしい。ちなみにアエロポスタル社で使用された郵便機は、おそらく窓や爆弾架のないA2仕様をベースにしているのではないかと思う。また郵便機型は(ネット上で作例等見ると)下翼左右(B型で爆弾架のあるあたり)に貨物(郵便袋?)収納用のコンテナをぶら下げているようだ。

胴体表面の布張りの縫い目、翼のリブ表現などはそれなり。簡易インジェクションで第一次大戦機を出し始めたころのエデュアルド並み、くらいか(通じにくい評価)。私の入手したキットでは、下翼の爆弾架部分の表側に、あまり目立たないながらも、わずかにヒケがあった。裏側ならエッチングを貼るので、いくらヒケててもいいのに……。

胴体下面はモールドの方向もあってつんつるてんだが、実機は何かディテールがあるかもしれない(資料不足でよく判らない)。

びっしりとルーバーの入った機首側面は、プラパーツは一段窪んでいて、エッチングパーツを貼る構成。

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割と大判のエッチング(横約10センチ)は、前述の機首側面パネル、爆弾架、後席機銃架、窓枠、前面ラジエーターのシャッターなど。機首側面のルーバーがペッタンコ表現なのはちょっと残念な感じがするが、かといって、ここを綺麗に膨らませて、かつ綺麗に形を揃えるというのは非常に面倒くさそうだ。

メタルキャストパーツはペラ、脚柱、機銃。本機に使われたプロペラは数種あるらしいが、キットは最も標準的に用いられたラチエ製。レジンパーツは機首前面のラジエター、車輪、座席と、オカリナのような形の排気管。

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デカールシートは、確か今はもう活動停止してしまったエアロマスターデカール製の美しい印刷のもの。縦横13cmちょっと程度あるが、塗装例1種のみに対応。シリアルNo1333はボックスアートの実機写真にある機体で、説明書によれば1918年6月、エスカドリーユBR117所属である由。フランス航空隊の中隊(エスカドリーユ)名は機種別になっていて、BRはブレゲー装備を示す。

たとえばエースとして名高いジョルジュ・ギヌメールの所属は第3戦闘機中隊だが、モラン・ソルニエ装備時代はMS3、ニューポール時代はN3、スパッドに替わってからはSpa3と変遷している。

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郵便機がらみの脱線話(1)

●ロシアのウクライナ侵攻が始まってしまった。

独ソ戦の話ではなく、まさか21世紀の今になって「ハリコフ攻防戦」が現実に起きるなどとは思わなかった。

多くのウクライナ人にとっては「隣国(他国)の侵攻」である一方で、プーチンにとっては(あるいは多くのロシア人にとっては)「自国内の問題」という意識なんだろうなあ、と思ったりする。そういえば、ロシアの民族的英雄であるイリヤ・ムロメッツは「キエフの大公」に忠誠を使っているのだった。

それはそれとして、NHKのニュースにおいても、「第二の都市ハリコフへ云々」と言っているのがちょっと気になった。当然ながら報道は立場としてはウクライナ寄りなのだけれど、それでいてなぜに都市名はロシア語? ハルキウって言うべきなんじゃないの? いや、それを言うならキエフもロシア語名で、ウクライナ名はキィフ? 一方でなぜリヴィウだけは各ニュースでウクライナ名? などと、なんだか脇道に逸れたあたりが気になったりする。

ちなみに、ウクライナ外務省推奨の正しい地名呼称(より現地発音に近い表記)は、キエフ→クィイヴ、ハリコフ→ハルキヴ、そして国名は「ウクライーナ」だそうだ。

●24日木曜日に3回目のCOVID-19ワクチン接種。当初2回はファイザーで今回はモデルナ。もともと1,2回目の時は「同種のワクチンを」と言っていたのが、なんで急に「交互接種は有効」ということになったのか、どうにアヤシイものを感じてしまうのだが、明確に「そりゃおかしいだろ」という根拠を持っているわけでもないので大勢に流される。翌日肩が痛かったが、特に発熱などはなかった。

20220226_153957_burst01 ●久しぶりに佐助稲荷に行く。

どうも小学生女子としては趣味の方向がよくわからない我が家のお嬢が、先週末だったか、一人で佐助稲荷に行って来たのを聞いて、「そういえばすっかりご無沙汰だな」と思い出したため。

数年前の台風による倒木で大被害を受け、本殿と拝殿が潰れてしまったと聞いてから行っていないから、少なくとも3年以上行っていないかも。考えてみれば、近年、山歩きは逗子から南側・西側が主で、衣張山・朝比奈方面以外の鎌倉外縁の山もほとんど歩いていない。

久々に行った佐助稲荷は、拝殿は白木造りの新しいものが建っていたが、その奥の本殿は倒壊・撤去されたままで、陶器の小さな狐がぎっしりと並べられた中に、神棚に毛の生えたような小さな仮の本殿が置かれていた。本殿脇からは、本来は尾根上の大仏ハイキングコースに上がる道があるのだが、そちらはなお通行止めのようだ。参道の鳥居の列も、以前は木製の古いものが混じり、また腐って倒れて根元しか残っていないものもちらほらあったような気がするのだが、ほぼすべて樹脂製の新しいものになり、抜けも補充されているようだ。

●hn-nhさんが昨年買ったキットのリストを挙げた中に、AZUR-FRROMの1:72 ポテーズ25があって中身が非常に気になっていたのだが、hn-nhさんのブログ「ミカンセーキ」にレビューが上がった。

Le Potez25 de l'Aeropostale

hn-nhさんのことなので、単に「キットの出来はこーじゃ」みたいな味気ないものではなく、(もともと軍用の多用途機として開発されたものの)サンテクスの著作でも有名な郵便飛行の使用機として活躍したあたりをじっくり書いていて、読んでワクワクする。

もちろんキットの紹介も抜かりなく、一緒に購入されたらしいSpecial Hobbyの郵便機入りデカールのインストに従って、後部銃座を普通の座席に改造する作業も済ましていたりしてなかなか楽しい。

もともと、AZURはチェコのMPM/Special Hobby系の中で、フランス企画の機体をリリースするラインナップだったと思う(箱に「Design and conception in France. Tooling and molding in Czech Republic(設計・企画はフランスで、製造・生産はチェコで)」と書かれている)。FRROMはそのまた派生レーベルで、今度はルーマニア企画でキット開発が行われているらしく、FRROMは「From Romania」の意味ではないかと思う。それを示すかのように、最初はルーマニア国産のIAR-39とか、ルーマニア型(双発型)のサヴォイア・マルケッティ79とか、ルーマニア関わりの機体が多かったのだが、その後は割と曖昧で、同じキットのバリエーションが、AZURとAZUR-FRROM、Special Hobbyとレーベルをまたがったりしていることも多い。

ポテーズ25は、さすが戦間期に割合ヒットした機体だけに、ロレーヌ型もイスパノ型もルーマニア軍で使用されているらしく、FRROMで取り上げるだけの関連性はあるようだ。

●さて、そのフランスの郵便飛行会社でエールフランスの前身でもある「アエロポスタル」は、いろいろな機体を郵便機として使用しているのだが、なかでも代表的なものが、第一次大戦機払い下げのブレゲー14、上記のポテーズ25、そしてより新型で大型のラテコエール(ラテ)28が三羽烏、というところではないかと思う。

hn-nhさんのところで新しいAZUR FRROMのキットを見ると、ビシッとキレもよく、私も一つ欲しくなってしまうのだが、実は我が家には、もっと古いポーランド製の簡易インジェクションキットであるHITKIT製の1:72 ポテーズ25が、エンジン違いで2、3種ストックがある。一方では、第一次大戦直後の郵便飛行草創期の主役だったブレゲー14も、フランス製簡易インジェクションのHiTech製、1:48キットがある(もしかしたらペガサス製の1:72キットもある)。

特に前者については、AZUR FRROMのキットを見てしまうととてもこれから作る気にはなれないシロモノだが、せめて賑やかしで(くやしんぼうで)キット紹介くらいはしておこうと思う(どちらも純軍用機仕様なので、郵便機としての話題からは逸れてしまうが)。

20220227_201100 ●まずはHITKIT、1:72のポテーズ25。

ポーランド製の簡易インジェクションで、scalematesによれば90年代半ばのリリースだったらしい。各種搭載エンジン別にバリエーションキット化されていて、私も「まさかこんな機種がキット化されるとは!」と舞い上がってしまって、数種買い込んで、そのまま死蔵して今に至る。紹介するのは、たまたま押し入れの目につくところにあった、グノーム・ローン「ジュピター」エンジン搭載型。輸出仕様で、キットのデカールはフィンランド空軍1、エストニア空軍2、クロアチア空軍2、ユーゴスラビア空軍1に対応。マニアック過ぎる……。

キットは薄っぺらいキャラメル箱入りで、構成は、「いかにも(一昔前の)簡易インジェクション」という基本プラパーツ、エッチングパーツ、メタルキャストパーツ(エンジンのみ)、デカールと説明書。

肝心のプラパーツはこんな感じ。

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1枚目は2枚合わせの上翼と左右胴体。貼り合せる内側は、粘土をこねくり回した跡?みたいな表面。胴体は、左側はまだいいとして、右側は下縁に沿ってウネウネとヒケ(というか波打ち?)が生じていた(写真2枚目)。小物パーツ(3,4枚目)は、モールドの状態は見ての通りで、取り付ける前にバリだの荒れだのをクリーニングするの大変そうだが、コクピット内のフレームもパーツ化されていたり(それがキットの胴体パーツにきちんと収まるのかどうかは別問題)、たぶんエンジンの別に応じてペラも2種入っていたりと、キット企画・設計者の気合は十分に感じられる。……のが、逆にわびしい。この気合に見合う技術があればなあ。

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ジュピター・エンジンは、ころんと、これだけ一つメタルキャストのパーツが入っている。このエンジンが付く機首部分のパーツが右写真で、上で紹介した胴体パーツの先端を切り飛ばして挿げ替えろという、なかなかスパルタンな構成。なお、キットの基本胴体はロレーヌやイスパノ装備型にはとても見えないので、おそらく、ポーランド仕様のブリストル・ジュピター装備型を基本にしているのだと思う。さすがポーランド製キット。ちなみにポーランド軍仕様は、同じジュピター装備でも、エンジンにタウネンドリングが付いているなどの違いもある。

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エッチングパーツは左写真のような感じで、プラパーツとは隔絶の出来。しかし、AZUR-FRROMのポテーズにも専用のエッチングは付いているだろうし、これだけ有効活用する必然性も高そうにない。デカールはシート自体が端の方で変色していて、今でもちゃんと使えるかどうか不安な状態。

●長くなったので、HiTech 1:48のブレゲー14B2のレビューは改めて。

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素晴らしきヒコーキ野郎(6)

20211206_214855 ●2021年末、軸足の定まらないつまみ食いモデリング、その2。

今回は、いったい何年「ちょっと触っては箱に戻し」を繰り返してるんだ、という、旧インパクト~パイロの「マーチン・ハンダサイドNo.3」。

前回記事、「素晴らしきヒコーキ野郎(5)」は2018年12月15日。第一回記事、「素晴らしきヒコーキ野郎」はなんと2009年11月22日。しょーがねーなーもう。

●以前にも書いたように、この一連のキット(全6機種)は、1965年公開の映画「素晴らしきヒコーキ野郎」とのタイアップ商品として、最初「INPACT KITS」という会社から発売されたもの(綴りがIMPACT、ではないことに注意)。Scalematesによれば初版発売は1966年だそうなので、発売以来55年という超ベテランキット。

右写真の後ろ側に写っているのが、その最初のINPACT版のアブロ複葉機(AVRO BIPLANE)で、先日鎌倉でhn-nhさんとお茶を飲んだ時の話のタネに持って行ったもの。映画ポスターのロゴと同じ字体で、キットのシリーズ名が書かれている。ちなみに映画の原題名は「Those Magnificent Men in Their Flying Machines」、キットのアオリは「Those Magnificent Flying Machines」。

再販版のパイロの箱絵は、その後の再々販版のライフライク、再々々販版のリンドバーグでも一貫して使われているもので(箱の縦横比やロゴは変わっているものの)、それはそれで味があるが、初版のオシャレさは一段上な気がする。たぶん映画との絡みがあって、そのままでは使えないのかも。

●さて、このマーチン・ハンダサイド、数年前に舟型の木製胴体をニス塗り仕上げ風に塗装してあった。木製であることを強調しようと、何種類かの茶色をまだらに塗って(一種類を塗ってはヤスって、またその上に別の茶色を塗ってヤスって、というような感じ)上からクリアオレンジを塗って仕上げていたのだが、ちょっと、古びた家具ならいいけれども、本来は新品であるはずの胴体にあまりに色むらが出来過ぎている感じが気になっていた。

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そんなわけで一歩後退覚悟で、今までの塗装をヤスって削り落とした。

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●そこから胴体を再度塗装。もともと塗装のテクニックが低いのは自覚しているので、今回は変な欲は出さないことにして、ベージュのプラ地(若干、以前の塗装の残りムラあり)に薄くタミヤエナメルのレッドブラウンを塗り、さらにクリアオレンジを重ねた。というわけで現状こんな感じ。

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以前よりはちょっとサッパリした感じに。何だかバイオリンっぽい!

胴体上面は結構ムラが残っている感じだが、ここは主翼のケタが付いたり、燃料タンクが載ったりするので、若干のムラがあって構わないかな……。

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「あ」モデル

●年間の仕事上の最大の山場を越えた虚脱状態からいまだ脱出できておらず、模型製作も低調。

一つのキットに集中するモチベーションが沸いてこないので、あれこれキットをとっかえひっかえ取り出しては、ちょっと眺めたりいじったりしてまた箱に戻す、などということを繰り返している。

20211202_232053 ●そんななかで、最近いじったのが、A modelの1:72、IAR-80A。

A modelについては、以前に一度、ニューポールIVのキット評をUPしたことがあるが、もう一度、ざっとこのメーカーの説明を。

A modelはたぶんウクライナの会社で――と、最初から「たぶん」が付くところがなんとも情けないが、これは、キットの箱にも説明書にも、どこにも会社の所在地とか、「made in どこそこ」とか書かれていないため。箱横のロゴ下には、「ワールド・ワイド・ディストリビューター」として、ポーランドのIBG(International Bussiness Group)の名前とワルシャワの住所/連絡先が書かれている。IBGが独自キットを出すより、A modelが出回り始めた方が早かったと思うから、IBGって商社活動の方が先だったんだなあ……と今さらながら思ったりする。

箱の横には実機説明・キット内容説明が複数言語で書かれているが、それも英語とロシア語、もしくは英語とドイツ語とロシア語で、ローデンのようにウクライナ語は書かれていない。

「ウクライナ産」の証拠がどこにもないじゃないか、と突っ込みたくなる感じだが、日本でこれらのキットを扱っているバウマンのサイトには「Amodel from UKRAINA」と書かれている。キット名称や説明に多々怪しいところがあるバウマンが言っているだけだとやや根拠に乏しいが、ポーランドの通販サイトのJadarHobbyでも「Amodel (Ukraine)」と書かれているので、まず間違いないと思う。

我が家には右に上げた3キットのほか、以前にキット評を書いたニューポールIVと、あとは確かUTI-4(ポリカルポフI-16の複座練習機型)があったはず。とにかく初期のキットは簡易インジェクションとしても出来は悪い方で、(悪名高いマーリンやヴィーディーとまではいかないものの)モールドはでろでろ、ぱっと見でも、かなり削り合せないとそのまま接着もできない風のものが多かった気がする。

――箱を開けて見たとたん、「あ……」と言って二の句が継げずに箱を閉めちゃうから「あ・モデル」なんだよ。

と、誰かが言っていたような気が。

比較的初期の製品であるUTI-4も、翼弦長などは修正してあったものの、一部パーツは古いレベル72のU-16のデッドコピーだったような記憶がある(うろ覚え)。それでも、他ではまず出さないような珍機・迷機・マイナー機を次々に出すので、(私のような)アホなマニアがついつい手を出してしまう、いわば「マニアホイホイ」なメーカーでもある。

ただ、一時期以降は結構質も向上してきて(とはいっても、まともなインジェクションメーカーに太刀打ちできるレベルではない)、写真に上げた3キットやニューポールIVあたりは「好きなら手に取っていいかも」くらいには仕上がっている。とはいえ、これまたニューポールIVの時に書いたように、昔のひどいキットが箱替え・デカール替え/一部パーツ替えで番号が新しくなって出ている例もあるようなので、かなりの地雷含みではある。

▼せっかくなので上に上げた3キットの中身紹介を少々。

最初はIAR-80A。

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前述のように、ちょっとだけお手付きなので、箱の中には切り離した胴体や主翼ほか一部パーツがバラバラと入っている(カウリング胴部や胴体前半部は左右を接着済み)。

このキット、どうも純正A model製ではない気配もあって、パーツ枝には「Master 44」という謎のタグが。以前は、実機の生産国であるルーマニア製のキットをリボックスして売っているものかと思っていたのだが、Scalematesを見ると、ルーマニアのレーベルである「Parc」からはA modelと同時期に1種のキットしか出ていないのに対して、A modelからは細かくバリエーションで5,6種出ている。しかも前述のようにキットの枝のタグは「Parc」ではない。

角の丸いパーツ枝形状、枝の交点にいちいち出ている樹脂のヒケの穴などは他のA modelキットと似通っているので、「Master 44」とは単純に下請けの金型メーカーである可能性もある。いやまあ、それが判ったとしても何がどうということはないけれども。

A modelからは、私が持っているIAR-80Aのほかにも、-80、-80C、-81など何種もバリエーションが出ていて、それへの対応のためか胴体は前半と後半で別パーツ(そしてその擦り合わせは結構苦労しそう)。

ちなみに実機は、ルーマニアがライセンス生産していたポーランドのPZL P.24の胴体後半の設計をそのまま丸パクリして低翼単葉引込脚機をでっち上げたというもの。いかにも旧式なPZLの固定脚ガル翼機が、いきなりスポーツ機じみた外見に生まれ変わっているのはビックリだが、垂直尾翼の形状はP.11cともそっくり。

ちなみに箱の右上にあるポートレートは「Constantin Pomut(コンスタンチン・ポムート、と読めばいいのか?)」で、キットの塗装例の機体に乗っていたエース・パイロット。ただし以前にはハリケーンに乗っていて、何機をIARで落としたのか(あるいは落としていないのか)はよく判らない。

▼2番目はユーゴスラビア仕様のホーカー・フューリー。フューリーの72のインジェクションキットは、古くはマッチボックスからも出ていて、「マイナー機ほど出来がいい」と言われるマッチボックスらしくそれなりにいいキットだったのだが、形式はMk.IIだったので輸出型には対応していなかった。

A modelのこのキットはユーゴスラビアに輸出、また一部ライセンス生産されたMk.Iで、脚柱がV字でなくI字の一本脚であるなどの外形上の差がある。A modelからは、この他、イスパノスイザのエンジンを搭載したイスパノ・フューリーも発売されている。

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御覧のようにパーツは72小型機としては標準的な構成。IAR同様、パーツ一つ一つのキレはお世辞にもいいとは言えないが、コクピット内壁のモールドもあるし、「それなり」には仕上がっていると思う。ただ、型からの取り外し時に無理な力を掛けたのか、私の入手したキットでは、胴体右側の排気管のモールドが部分的に(ちぎれたような感じに)潰れていた。これはどうにかして(ついでに左右揃えて)作り直さないといけない。うわ。面倒。

▼最後のキットはスパッドS.A.4。

箱絵は後ろ姿なのでちょっと判りづらいが、これはとにかくスタイルが珍妙なので実機解説から。

第一次大戦前半、同調装置が一般化するまでは、とにかく「まっすぐ前に機銃を撃つ」ということが難しくかつ大きな課題で、イギリスでは空力性能を犠牲にして各種プッシャー式戦闘機が実用化され、フランスのニューポールあたりは上翼の上にさらに架台を組んでプロペラ圏外から撃ったりしていたわけだが、そこでもっと斬新な(悪夢のような)解決法を導入したのが、スパッドS.A.2と、その小改良型であるS.A.4(どこがどう違うのかよく判らないが、とにかくA modelからは両方発売されている)。

基本、ごく普通の牽引式の飛行機に、プロペラを迂回する形で支柱を付けて、プロペラの真ん前に銃座を取り付けてある。だいたいこの頃の飛行機というのはほぼ野原のままの飛行場から運用されていて、そこで尾輪式の機体は、ちょっと“つまづく”とつんのめって逆立ちをしてしまう。実際にそんな状態の写真はよく見るが、この機でそんな事態になると、機銃手は真後ろから高速回転するプロペラとエンジンがかぶさってくることになる。……ブラック職場過ぎる。

そんなわけで、本国フランスでは嫌われて、生産機の多数がロシアに里子に出されている。このS.A.4のキットの指定塗装もロシア空軍。

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小パーツ枝と一緒に写した10円玉との比較で判ると思うが、成型状態はお世辞にもいいとは言えないものの、細かいパーツはとことん細かい。ル・ローン・エンジンも吸気管が別パーツとなかなか凝っているが、果たしてこの極細パーツ群、破損させずに切り離すことは可能なんだろうか……。

前部機銃手ナセルの両側面には、直後の空冷星型エンジンの冷却を助けるためにダクトがあって入り口にメッシュが張られているのだが、キットでは頼りなさげなモールド表現のみ。もっとも、エッチングに張り替えるなどと余計なことを考えたりせず、塗装表現で済ます方が平和だろうなあ。

とりあえず模型として形態だけを見ると、奇抜な前部機銃手席の機構に加えて、デュペルデュサン以来の、ルイ・ベシュロー設計機の特徴である矢羽根状のシュッとした垂直尾翼とか、後のスパッドVIIやスパッドXIII同様の、張り線保持用の補助支柱とか、いろいろ見どころがあって、いつかものにしてみたいキットではある。……いつか、いつかね。

●新型コロナに関しては、新たな変異株であるオミクロン株の話題で持ち切り。

前回「来年は東京AFVの会は開催されるだろうか。またまた変異株も出て来て、でかい第6波とか第7波とか来そうな気もする」と書いたが、悪い方に予測が当たりそう。こうなると、今年、感染の波のちょうど合間にささっと開催できた関西AFVの会は大したものだと思う。

オミクロン株について。うちのかみさんは「鬼クローン株」だと思っていたらしいことが判明。強そう! そして質悪そう!

もっとも私自身、オミクロンというのがギリシャ・アルファベットだというのは判るが、何番目なのか等はよく知らない。最後の文字の「Ω(オメガ)」株とか出てくるとなんだか終末感が漂っていて怖いが、すでにオミクロンで文字数の半分は超えているようなので、来年にはオメガに到達しそう。

なお、慶応の湘南藤沢キャンパスに通っている知人によると、同キャンパスの校舎はギリシャ・アルファベットが割り振られていて、「オミクロン棟」もあるそうだ。

●昨晩(12月2日)から、あっちこっちで地震が起きて、震度5クラスの地震も2度。今朝の山梨の地震ではここ(神奈川東部)でも結構揺れた。コロナだけでも面倒なのに、大きい地震とか被せて来ないでほしいなあ。

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骨飛行機

●急ぎの締め切り仕事などあり、模型製作低調。

●前回、カッパーステイトのコードロンG.IVについて書いたところ、vol de nuitさんから、ボワザン10が欲しい旨のコメントを頂いた。10ではないけれど、ボワザンのキットなら持っていたなあ……と、押入れを開けたらすぐ目に付くところに目当てのキット、FLASHBACKのボワザン3が置いてあった。

改めて考えてみると、私の模型ストック(のなかの古典機ストック)には、この手の「胴体が単純に骨組だけ」飛行機が結構ある。

最新がカッパーステイトのコードロンG.IV(1:48)だが、ずいぶん昔にここでちょろっと紹介したことがあるバキュームフォームのフィアット/サボイア・ポミリオF5B(モーリス・ファルマン11のイタリア・ライセンス型)(1:72)ほかバキュームの「骨飛行機」が複数(実はコードロンG.IVもすでに72のバキュームで1機ある)。フィアット/サボイア・ポミリオF5BとコードロンG.IVのバキュームを紹介した昔の記事はこちら

インジェクションでは上記のボワザン3のほか、インパクト~パイロ~ライフライクのブリストル・ボックスカイト(アンリ・ファルマンのイギリス・ライセンス型)と、ブレリオXI(ともに1:48)がある。

一番の大物は、Metropolitanというレーベルから出た、1:24のコードロンG.3のマルチ・マテリアル・キット(scalematesの紹介ページ)。

これは(いわゆるプラモデルとは別の方向性で)精巧な車模型を出していたポケール設計によるもの。スケールモデルとして正確かどうかは置くとして、半透明樹脂製の翼にシール式の帆布を貼っていくとか、エンジンのシリンダーが金属製の挽き物であるとか、車輪はワイヤースポーク張り済みだとか、やたらに高級感のある「ハイソな大人の趣味」的なキットで、機会があれば写真入りで紹介したいが、今は天袋の奥底に仕舞い込んである。

そもそもガリガリにスケールモデルとして仕上げるべきキットでもなく、そのまま説明書通りに作ればいいようなものだが、そうしていないのは「作っちゃうと大きさ的に邪魔」というだけではなく、肝心の骨組み部分の金属部品が一部(というか大半)劣化しており、ちょっと力を加えるとポキポキ折れ、まるごと作り替える必要があるという極度に面倒なハードル付きであるため。

もともと入手時に中古品で、Metropolitanというレーベルだかメーカーだかもたぶんこれ一作で(前世紀のうちに)消滅しているので、部品請求などしようもない。

●そんな具合で、我が家は結構、「骨飛行機」まみれであることが判った。

そもそも、(私の理解が確かなら)飛行機の胴体というのは、飛行そのものの機能のうえからは、尾翼ユニットを支えるという以上の意味は持たない。そのため、黎明期の飛行機には、胴体は骨だけという機体が結構ある。その後、「単純に尾翼を支えるだけといっても、骨剥き出しよりはきちんとカバーした方が空力的に有利」というのが判ってちゃんと胴体らしくなっていくわけだが、特にプッシャー式の機体の場合はその胴体が邪魔になるので、第一次大戦中盤に至るまで、なお「骨飛行機」の形態は残ることになる。

そんなわけで、初期の飛行機好きの私の場合、もともと「骨飛行機」率が高くなる素地があるが、加えて、「骨だけ・張り線まみれ」の機体は、模型として非常に見栄えがする。

若き日の私は、自分の製作技術やら製作速度やらをよくよく顧みることもなく、そんな「模型映えする機体を格好良く作り上げる自分」を夢想して舞い上がってしまった結果が、この骨飛行機ストックの山なのではないかと思う。考えてみると、私自身がこれまでに完成させた「骨飛行機」は、古のレベル72のDH.2だけだ(たぶん学生時代)。……この先、1機くらいは作りたいなあ(ストックの何分の1だろう)。

20210128_194224 ●せっかく久しぶりに取り出して中身を見たので、チェコ製簡易インジェクション・キット、FLASHBACKのボワザン3(VOISIN 3)の紹介。

このボワザンやエトリッヒ・タウベはまっさらの新キットだったが、FLASHBACKは他にも、簡易インジェクション時代のエデュアルドのバリエーション・キットなども出していたので、たぶん系列のレーベルなのだと思う。

基本、FLASHBACKのキットは48がメインだが、ソッピース・ストラッターやこのボワザンなど、一部は72。「機体が大きいのは72?」とも思ったが、タウベも結構大きいしなあ。基準がよくわからない。

改めてFLASHBACKの製品リストなど見てみると、結構面白いネタが並んでいる。アヴィアチク(ベルグ)D.1とかハンザ・ブランデンブルクw29の48キットなんて、今でも他メーカーから出てないんじゃ……入手しておけばよかった。ちなみにアヴィアチクD.1は、マクタロウさんが素晴らしい完成品をサイトに上げている(→こちら)。

実機は飛行機黎明期の有力メーカー(というかデザイナー)のボワザン製で、第一次大戦の緒戦期に手ごろな性能だったこともあって多数作られた複座機。前席にオチキス機銃を装備し、どうやら、「世界で初めて敵機を撃墜した機体」でもあるらしい(1914年10月5日)。4輪の乳母車に翼と骨組み胴体をくっつけたような形式だが、人が乗っていない状態だと前輪は浮いて尾翼部分が接地する。全部がそうかどうかは判らないが、指定デカールの塗装だと、フランス軍機もイタリア軍機も、軍用機らしからぬ全面白色。これって、ボワザンの目止めドープが白だったのかな?

それはそれとしてキット内容。まずはプラパーツ。

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枝は2枚。翼とコクピット・ナセル関係の大枝と、支柱パーツの小枝。支柱パーツの枝は、古き良き時代のチェコ簡易を知っている人ならお馴染みの放射状のもの。MPMのバキューム・キットに入っている小物インジェクション・パーツもたいていこの形式だった。たぶん、射出時の圧力が低めでも樹脂が回りやすいように、ということなのだと思う。

成形そのものはいかにも「かつてのチェコ簡易」そのもので、若干の表面のざらつきやバリに発展しかけのパーティングラインなどあるものの、初期の簡易インジェクションによくあった「厚みの不均一」とか「盛大な型ズレ」などはない、まずは満足すべきレベルのもの。

エッチングパーツも2枚。

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写真の都合で右のほうが大きく見えるが、実際は左の方が2倍くらいの面積。後部胴体の骨組みはそのまま折り曲げて作る感じで、クロスの張り線もそのままエッチングになっている。その分、枠組み部分との太さ・厚みの差がちょっと足りない気もする。右は小物で、床板だの椅子だのスポークだの。

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あとはレジンパーツとデカール。エンジンはクランクケースにシリンダーを一つ一つ付けていく方式。なのはいいとして、エンジンの回転軸が歪んでるよ……。デカールは長年死蔵している間にちょっと汚れや黄ばみが出てしまったが、印刷そのものは薄く美しい。とはいっても、実際に貼ってみないことにはどうにも。

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説明書(右)の最終ページには張り線の手順が説明されているが、間違いがあって正誤表が入っている。が、なぜか私のキットには正誤表が4枚も入っていた。そんなサービス嬉しくない。それ以前に、張り線の多さとややこしさにクラクラする。

●そして、同じ箱の中に、それ以前に入手したものだと思われるボワザン3のバキュームキットが突っ込んであった。

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クラシック・プレーンというメーカー?の72。なんとびっくり、半割の胴体だけでなく、上下の主翼もすでにサンディングが終わっていた。ちゃんとこれを作り上げる気があったのか……。

ちなみに骨組みの後部胴体や翼間支柱は、バキュームのこの手のキットには割とよくあるが、「自分でよろしく作ってね」と、コントレールのプラ棒がセットされている。スパルタン。

●ついでにもう一つ、手近にあった「骨飛行機」。パイロ(旧インパクト)のブレゲーXI。

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旧インパクトの古典機6機シリーズは、1960年代に発売されたものだが、現在でもインジェクション・キットとしては(たぶん)全種がこのスケールで唯一であるだけでなく、それなりに古さは目立つものの、現在でもスケールモデルとして手に入れる+手を入れる価値が十分あるという点でも貴重。ブレゲーXIそれ自体は、旧フロッグ(その後NOVOほか)から72のキットはあるが、キットそのものの出来はこちらのほうがだいぶ上。

写真のキットはインパクトが無くなった後に再版されたパイロ版で、インパクト版では透明プラで成形されて「塗装でワイヤースポークを再現してね」形式だった車輪が、そのまま普通のプラになってしまったのが、中身的な違い。

コクピット上面は枠だけなので素通しで見えてしまうコクピット側面は、布張りにワイヤーのクロス張り線がモールドされているのは素敵だが、押し出しピン跡はなんとかしたい。また、私が入手したこのキットは、4枚目写真の脚支柱ほか、数カ所に成形不良(樹脂のショート)があった。

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素晴らしきヒコーキ野郎(5)

●ホルト75トラクターがとりあえず完成して、さて、次に何をいじろうかというところで、久しく遠ざかっていた飛行機を1機くらい何とかしたいと思い始めた。

作りかけのネタもずいぶんたくさんあるが、その中でも「何とかしたいネタ筆頭格」の1:48.マーチン・ハンダサイドを引っ張り出してきた。

製作記の前回は一昨年の12月。前々回はなんと2009年11月。……なんてこったい。

20181215_214807 ●いちいち遡って読む面倒を省くために、改めて簡単なキット紹介を。

キットは今は亡きパイロ社のものだが、これ自体も再版もので、初版はインパクト(Inpact)という会社から、(たぶん)1960年代後半、映画素晴らしきヒコーキ野郎」(Those Magnificent Men in Their Flying Machines)とのタイアップで発売された、古典機6機種シリーズの1機。

というわけでたっぷり50年前の、ほとんど骨董品と言えるキット。しかし、確かに各所に古さは見えるしパーツ数も多くはないが、決してオモチャじみてはおらず、しっかり「スケールモデル」としてこだわって作られていて、なんとかその素性の良さを活かして作ってやりたくなる。

このキットの機体は、説明書によれば、1911年型、マーチン・ハンダサイド3号機(Martin-Handasyde No.3)。発売された6機種の中ではおそらく最も無名で、実際、これを私が手に入れた頃(20年以上前)には、「これ、ホントにある機体なの?」と思ったくらいだが、最近になって、web上で何枚か、まさにこの3号機の写真を見つけることができた。

そんなこんなで、作るモチベーションも(わずかながら)アップしてきているところ。

●で、前回(2年前)からの進捗状況。木製ニス塗りであるらしい胴体を塗装した。

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とはいっても、これを塗ったのは(確か)もう半年くらいも前のことで、ここ数日「改めて作り始めた」と言っているのは、布地表現がモールドされている主尾翼表面に、スポンジヤスリを掛けて若干表現をおとなしめにしようとしているくらい。

なお、胴体の塗装に関しては、茶系のさまざまな色を塗ってはサンドペーパー等で粗く落とし、また塗り重ね、最後にタミヤエナメルのクリアオレンジを全体に塗るという方法を採った。

木の深みのようなものを出したくてそうしたのだが、なんとなくそれらしく出来たようにも、ちょっと汚らしいようにも見えるのが、私の塗装の腕のなさ。もしかしたらもう一度くらいクリアオレンジを重ねるかも。

20181215_224450 ●もう一点は、主脚前方の転倒防止スキッド先端の改修。

キットは先端が単純なムクの“ダマ”状になっていたので、一度切り離し、スプーン状に中をくりぬいた。

支柱は切り飛ばした分を延長してスプーン内側にリベットで止めてある状態を再現。

ちなみにこれも(たぶん)半年以上前に工作したもの。

●主脚柱も塗り分けて取り付けたり、エンジンも気化器部分を追加して塗ったりしたいのだが、実は(細かい塗り分けの説明が出ている)説明書がどこかに埋もれて行方不明になってしまった。なんという管理能力の低さ。

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スマホデビュー

●先月末に書いたように、震災直後から使っていた変なガラケー(富士通製F-04B)を水没させてしまったために、ついに先週からスマートフォン(韓国LG製LGS02)を使っている。

「まあ、使っていればそのうち慣れるよ」と周りにも言われているし、経験上自分でもそう思うのだが、とにかく今のところはほとんどちんぷんかんぷん。時折、何かの着信なのかお知らせなのか、短くバイブレーションが「ぶー」と鳴ったりするのだが、それが何だったのかさえ確認できなかったり。

ほぼちょうど1年前、PCを新しくした時にも思ったのだが、今のハードって、マニュアル的な紙の印刷物ってほとんどないんですなー。

●これまで使っていたガラケーは、キーボードユニットとディスプレイユニットが分離するという意味不明の機能がついていて、両方にバッテリーが入っているためにその分かさばるという「なんだこりゃ」な機種だった。唯一、1220万画素カメラ搭載で、虫の写真などを撮っても(マニュアルのピント機能はないので多分に偶然任せだが)時折結構綺麗な写真が撮れる点は気に入っていた(なぜそんな変な機種を使っていたかというと、機種変更時に、docomoショップの店頭で、「なるべく安くて、でも写真は綺麗に撮れるほうがいい」と言ったら、たまたま該当するのがコレだったため)。

とりあえず、スマホに替えてもカメラとしての用途は虫だの模型の進捗だのがメインとなる(すでに前回記事でも数枚は新しいスマホで撮っている)ので、引き出しの奥から「虫サイズ」の旧作を引っ張り出して写真を撮ってみた。

1:700 ファルマン1912年式水上機

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1:700 ツェッペリン・シュターケンR.VI

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ライティングだの何だのは全く工夫無く、単純に蛍光灯の下で撮っている。なんとなくピンボケ。求むスマホで(ある程度)綺麗な写真を(しかも楽に)撮れるノウハウ。

いやまあそれよりも、早く基本の操作を覚えないとなあ。

●ついでにネット環境も一新。プロバイダーがocnからJ:COMになった。

常用のメールアドレスもocnだったのでJ:COMのものに変更したのだが、その設定でまたひと悶着。

まずは、現時点で使っているocnのメールが、受信はできるが送信ができない状態になってしまった。

一方で新しいJ:COMのメールアカウントは、最初は送信も受信もできず。最終的には、windows10の場合はpopログイン名に@以下も必要(?)とか何とか、なんだか私にはよく判らないアレコレを試しているうちに、なんとか送受信ともできるようになった。

ocnの「送信できない」問題は、J:COMに問い合わせても(『それはocnに聞いてくださいよ』)、ocnに問い合わせても(『電信八号なんてマイナーなメールソフトの設定なんか判りません』)結局解決できなかった。まあ、ocnのアドレスを使うのは今月末までだし、受信だけできれば特に問題なし。

そんなわけで、メールアドレスが変わりましたので(直近、ある程度メールのやり取りがあった方には通知を差し上げましたが)、「おう、変わったんならこっちにも教えろや」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。

●後輩の村嶋君が手掛けた自主制作アニメが公開された。季節もの(?)。


●miniartから、同社III号戦車シリーズからの別売履帯が出た(製品番号Nr.35235)。

あれ?と思ったのが、その「Workable Track Links Set for Pz. III/IV. Early Type」という商品名。同社のサイトによれば、この履帯は

  • III号戦車A~F型
  • 突撃砲A型
  • IV号戦車A~E型

に適合、ということになっているのだが……。あれ。最近って、「初期のIII号戦車は36cm幅だけれど、IV号戦車は38cm幅だった」とかいう話になってなかったっけ。

そこでまた、「36cm幅というのは履帯本体幅で、ピンも合わせると38cm」とかいった話もあってなんだかまたややこしいことに。

ドイツ戦車の履帯だけの本、「Panzerketten: Die Gleisketten der deutschen Kettenfahrzeuge des Zweiten Weltkrieges」を見たりなんかすると、そのへんスッキリするのだろうか。

ちなみに当時の実車写真を見ると、III号戦車の初期型はセンターガイドの背が高くほとんど三角形に近いものから、割と普通の台形のものが多く、一方でIV号戦車の初期型は、逆にかなり背の低い台形のセンターガイドのものを履いている場合が多い感じ。少なくとも、多用されている履帯はIII号、IV号で別物らしい。

ちなみにPANZER TRACTSのIII号初期型の号によれば、使用している履帯は「Kgs6109/380/120」(リンク幅360mm、ピン長さ380mm)。IV号戦車のトラクツは手元にないが、サイト「Panzer IV Universe」によれば、A型が「Kgs6110/380/120」、B~E型が「Kgs6111/380/12」(やはりリンク幅360mm、ピン長さ380mm)だそうだ。

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素晴らしきヒコーキ野郎(4)

●え? いつからの続きなのコレ?

……という感じだが、前回はここ(2009年11月23日)。というわけで、1:48のマーチン・ハンダサイド(Martin-Handasyde No.3)のやけに気の長い製作記(しかも今回も進捗はごくわずか)。

Cimg1876m ●6機種出ているこのシリーズのなかでも、マーチン・ハンダサイドはおそらく最も無名の機体で、資料もないことだし大らかに作ろう……なんて思っていた時代が私にもありました。ええ。

実際、7年前にちょっといじった時には、機体に関してはこのマーチン・ハンダサイド3号機の次代のものと思われる写真しか見つけられなかったのだが、今回、改めていじるにあたって検索してみたら、キットのもとになった3号機そのものの写真が出てきた。たとえばここ

ネット恐るべし……。

以前に書いたように、鶴書房のcolour pocket encyclopedia、「初期の飛行機」には、

1910年春、より大型の第2号機が登場した。この機体は、その後4年半の存続中、一連の改造をほどこされた。原型のビーストン・エンジンをJ.A.P.35HPに換装し、アントワネット型の安定機構は通常のものに改められた。「マーチン・ハンダサイドの第3号製作機」というのは、この改造を誤解したものである。

とあるのだが、実機写真を見ると、主翼下面に「No.3 MARTIN HANDASYDE」と大書されており、新造なのか2号機の改造なのかは別として、少なくとも3号機と名付けられた機体は明らかに実在していたことになる。

それはそれとして、キットと写真を見比べると、主翼と胴体の接合部に関してはやはり古いキットなりだとか、主翼の厚みがもっとありそうだとか、あれこれツッコミどころはあるものの、かなりよく特徴を捉えていることがわかる。IMPACTすげえ……。

Cimg1879m ●というわけで(7年ぶりの)ごくわずかな進捗。

アントワネット似の舟型の浅い胴体の内側をとりあえず茶色に塗り、胴体上面を接着。隙間を埋め、突起部は後から全部作り直すことにして削り落とし、表面をヤスリ掛けした。

都合のいいことにプラ色がベージュなので、それも活かしつつ、木製胴体の感じが出るように塗っていきたい。

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A model 1:72 Nieuport IV

F1014617 ●先日、エアフィックスの新作古典機2機のレビューを書いた時にふと目に留まったので、久しぶりに引っ張り出してみた在庫。ついでなので、レビューを書いてみることにした(こんなキットの紹介をしている人は少なそうなので)。

A modelはウクライナのメーカー。主に1:72の飛行機キットを出しているが、多少の48、32や、144の大型機キットもある。別ブランドで陸物キットも出していたと思う。特に初期の製品は質の悪い簡易インジェクションキットの典型例のような、「こ、こりゃ作れねえ」というものもあったが、その後、技術的に改善されて、かなりマトモなキットも出るようになった。

ただし、その「マトモなキット」の部類には、I.A.R.80(ルーマニア国産戦闘機)シリーズのように、もともとは他社製と思われるキットも混じっていたり、一方では、初期に出たほとんど救いようのないキットが、一部変わっているんだかいないんだか、製品番号が新しくなって再版されていたりもする。要するに、買って開けてみないと当たりか外れか判らないことが多いという、地雷原のようなメーカーである。それでいて、他のメーカーからは絶対出ないようなマイナーな機種が揃っているので、ついつい冒険したくなる。言わば模型界の木村飲料みたいな(判りにくい例え)。

●というわけで実機、ニューポールIV型の簡単な解説。

ニューポールと言えば、第一次大戦期の傑作機である、ギュスターブ・ドラージュ設計の一連のセスキプラン(一葉半)戦闘機(11とか17とか)が有名だが、この機体は戦前型の単葉機。

大戦直前から大戦前半の単葉機と言えば、ファルツやフォッカーにも模倣されて敵味方両方で使われたモラン・ソルニエの系列(GやH)が有名で、それらに比べるとニューポールの単葉は現在では割と影が薄い。主翼にテーパーをかけているのは若干凝っているものの、全体形にはなんとなく野暮ったい。それでも、戦前、それなりの数がフランス本国、イタリア、ロシアで軍用として使われたらしい。

キットの箱絵もロシア帝国軍航空隊所属で、右肩に描かれている肖像は、1913年、同型機に乗って世界で初めて宙返り飛行を行ったピョートル・ネステロフ。ちなみにネステロフは、第一次大戦において「初めて敵機を撃墜したパイロット」らしい。もちろん緒戦時に飛行機に武装はないので、ネステロフは得意の曲芸飛行の技術を駆使し、敵機の翼に自機の主脚をぶつけて破壊しようと試みたものの、結局そのまま体当たりとなって敵機と一緒に墜落して戦死したらしい。

F1014621 F1014627 ●キットは「粘土細工みたいなプラの塊」が入っていた初期のA modelとは一線を画す出来で、72の古典機としては十分納得できるもの。

72の単発の古典機としては細かいパーツの数もそれなりに多く、細い支柱類などもとことん細い。とはいえ、モールドがシャープかと言えばそうでもなく、歪みやヨレがあったりするので、部分的には金属線などで作り替えたほうがいいかもしれない。

F1014624 F1014622 主翼の布張り表現も(手作り感はあるものの)上品で好ましいもの。胴体側面もフレーム間がわずかに窪んでいる。ただし、この胴体の写真に見られるように、一部金型の荒れによる余計な凸凹もある。

淡いグレーのモールド色だが、まだらに茶色く汚れているのは、型抜き用の油が劣化・変質したもので、そのために若干ベタベタしている。この質の悪い油は昔のマケットやICMなどとも共通している。……買ってすぐに洗っておけばよかったかなあ。

F1014626 胴体は平面の中心に分割線が来ることを避けて、下面と上面がそれぞれ一方の側面と一体。つまり、L字断面のパーツ割という比較的珍しい構成。内側には(割と適当な感じではあるが)フレームのモールドがある(機体軸方向の角のフレームがないのはなぜ?)。このモールドが表面にヒケを生じていないのは、たまたまなのかもしれないが有り難い。

ただし、実機写真で確認できる限りではワイヤスポークむき出しの車輪は、ある程度仕方がないこととは言え、カバーが被せられた形状になっている。第一次大戦機の標準からするとだいぶ小径の車輪なので、使えるエッチングパーツなどもあまりなさそうな感じがする。なお、実機写真ではこの車輪が(前後から見て)ハの字に開いている例が見られるが、それが標準なのか、車軸がヘタっているのか、どうもよくわからない。

F1014619 デカールは、昔のイタレリやエレールの一部の製品のような、ガサガサの艶消し。色ずれもなく印刷はなかなか綺麗だが、買ってからもうだいぶ経つこともあって、使えるのかどうかはよく判らない。

大きなラウンデルと1/IX(あるいはXI/1)がロシア帝国軍航空隊所属機、シート右下のペナントがスウェーデン軍所属機。ネステロフが宙返りをしたのは1913年、説明図ではこのデカールの塗装例は1914年となっているので、別にネステロフ機を再現したものではないらしい。

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エアフィックス 1:72 FOKKER E.II & B.E.2c

F1014587 ●airfix新作の古典機2機の簡単なレビュー。ちなみに右写真では全く同一サイズの箱に見えるが、縦横のサイズは同じでも厚みが違い、フォッカーE.IIは薄いキャラメル箱、B.E.2cはもっと厚みがあって通常の内箱・外箱があるタイプ。

【FOKKER E.II EINDECKER】

▼フォッカーのアインデッカー(単葉機)といえばまっさきにイメージされるのはE.IIIだと思う。レベルの72やオーロラの48(正確に48だったっけ?)などをはじめ、過去キット化されたのもE.IIIが多かったが、実際、E.IIIはフォッカー・アインデッカーの主量産型で、E.IとE.IIの合計の倍以上作られているので、当然と言えば当然だろうと思う(ただし最近では、Wingnut Wingsから、E.I初期型、E.II/E.III初期型、E.III後期型、E.IVと、1:32でほぼ全バリエーションが出ている)。

今回のエアフィックスのキットは(なぜか)E.II。もっとも、E.IIとE.IIIの違いというのが、私にはどうもよくわからない。昔の鶴書房の「ポケットエンサイクロペディア/第1次大戦戦闘機」(ケネス・マンソン著の訳本)によれば「最も多い型は、翼幅が最初のE.1よりも大きくなったE.3」と書かれている。一方でwikipediaの「フォッカー・アインデッカー」の項には「E.I、E.IIよりわずかに翼弦の狭い、1.80 mの主翼を使用していた」とある。……逆じゃん!

そういえばwindosock datafileがあったかもしれん、と本棚を漁ったら、「#15 FOKKER E.III」が出てきた(残念だが、E.I/IIの巻は持っていないようだ)。これには、E.IIIはE.IIと「ほとんど同じ(almost identical)」とある。主要な違いは燃料タンクの増積と増設(メインタンクを大きくしたほか、重力式のサブタンクを追加)による航続距離増加で、その他、生産過程での若干の改良による外観変化があった由。

なお、エアフィックスのキットは、箱には「FOKKER E.II EINDECKER」としか書かれていないが、同社HPでは「後期型(FOKKER EII (late))」と書かれている。

Wingnut Wingsの解説やキット写真、実機写真などを見た範囲で違いを述べると、

  • 操縦席直後の上面のキャップは増設燃料タンクに対応したものかと思う。となると、キャップがあるのはE.IIIの特徴ということになるが、E.IIでも付いているものがある。E.IIもE.III仕様のアップデートが行われたらしいので、キャップ付きは「II改~III」ということになりそう。ちなみに(単なる窪みのモールドだが)このキャップはエアフィックスのキットにもある。
  • E.IIIは、初期の生産機を除いて右翼付け根にコンパスが付いている。
  • カウリング直後の胴体フェアリングが四角く大型なのはE.III初期までの特徴で、E.III標準型は左右ほぼ同形になる。

……ええと。要するにE.II後期(もしくは改修型)とE.IIIは、胴体側面のシリアルでしか区別できないってことでいいんしょうか。

F1012977 ▼パーツ全体は、おおよそ右のような感じ。枝は2枚。ウィンドシールドの透明部品は入っていないが、もともと複雑な形状ではないので、下手に厚いインジェクションパーツが入っているより、自作の方がいいものができるかも。

昔のレベル72のE.IIIは、確か胴体が左右分割、主翼は胴体下部とともに左右一体だったように記憶しているが、このエアフィックスの新作では、胴体は左右+水平尾翼と一体の下面。主翼は左右それぞれが別パーツ。

(追記。レベルのE.IIIは、胴体がП字断面で、そこにコクピットより後ろの底板をはめ込む形式でした。はほ/~氏からのコメントで思い出しました。過去、2機も作ってなんで忘れるかなあ)

主翼は、流石新キットの薄さ。ただし、主翼下面は伝統的な古典機キットお約束の表現で、凹面にもかかわらず、リブ部分が浮き上がり、中間が窪んだ形状になっている。ここは逆に、リブ部分が若干窪んだ表現にするか、むしろまったく平板にしてくれたほうがよかったかも。

F1012975 F1012971 ▼胴体内側は布張り部分のフレーム表現はなし(もともと特に何かあるわけでもないが)。コクピット内部は操縦桿、前部燃料タンクの後端など、とりあえずのパーツは揃っている。操縦桿のグリップリングの中が抜けていないこと、操縦席にシートベルトがないこと(これはエアフィックスの場合、常に操縦手フィギュアが入っているためかと思う)が若干不満。

胴体下面は縫い目表現が細かく入っている。左右エッジ近くにパーツの接合ラインが来るので、綺麗に処理する必要がある。

F1012973 ▼金属パネルの機首上面は左のような感じ。ちなみに、機首上面は胴体側面に対して微妙にオーバーハングしていて、そのため、側面の金属パネル部分は上端近くで微妙に外側に反っている(というのをこのキットを買ってから実機写真を見ていて初めて気付いた)。

キットもこのオーバーハングは表現しているのだが、パーツの接合ラインはエッジではなく、側面上端近くの反りが始まるあたりにあるので、ここもまた接合ラインを綺麗に埋める必要がある。

写真の右肩に中途半端に写っているのは機首右側フェアリング。左側と形状が違うのはこのキットで初めて気付いて、「あれ? レベルのE.IIIは左右同形状だったような……」と思ったのだが、前述のように、左右で形状が違うのはE.III初期型までの特徴だった。

F1012969 F1012972 ▼エンジンはプッシュロッドも一体のころんと1パーツだが、72キットならこの程度で十分ではないかと個人的には思う。一方、カウリングと、それに続くフェアリングの縁はパーツの厚みがそのままで、この繊細なキットにしては、なんだかぶっきらぼうな処置だなあと思う。

F1012970 ▼プロペラは2種入っているが、使用するよう説明図で指示されているのはB7(写真右下)のみ。

ちなみに、airfixではフォッカーE.IIとB.E.2cをセットにし、さらに塗料も同梱した「Fokker E.II/BE2C Dogfight Doubles Gift Set」というのも出していて、同セットでは塗装例とデカールが異なるのだが、そこでも使用するプロペラはたぶん同じ。そこから考えると、この後、デカール替えで「FOKKER E.III (early)」とかを出すのではないかと思う。

F1012967 ▼デカールは1種のみで、1915年10月フランス、E.II 69/15、FFA 53所属のKurt von Crailsheim乗機。

全体がクリアドープリネン仕上げで、機首のみが、この系列の機体独特の、変てこちんなウネウネした磨き跡?のある金属板。胴体に斜めの黒・黄・黒・白の帯。塗装としてあまり面白みがある感じではないが、フォッカー・アインデッカーならこんなものだろう、という感じ。

車輪のゴム部の塗装指定が艶消しのライトグレーなのが新しいキットだなあ、という印象。カーボンブラックで補強された「黒いゴム」が登場するのは1910年頃らしいが、第一次大戦時にはまだそれほど普及はしていなかったようで、当時の実機写真を見ても「タイヤが白いなあ」というものが多い。余談だが、ロールス・ロイス装甲車のゴムタイヤも、1914年型だと白っぽいものが多い。

▼ところで、このレビューを書くためにパーツをよく見ていたら、シュパンダウ機銃のパーツが欠損していることに気付いた。買って袋を開けてすぐに撮影したはずの上の写真でも見当たらないので、もしかしたら最初から取れてしまっていたのかも……(パーツ全体写真、左上のエンジン隔壁隣)。さすがに買ってすぐならまだしも、今から請求するのもなんだし、どこからか72のシュパンダウを調達して来ないといけない。やれやれ。

【ROYAL AIRCRAFT B.E.2c】

▼いわゆる「フォッカーの懲罰」の代表的「やられ役」だったイギリス製単発複座の複葉機。それをフォッカーとペアで製品化するというのは、イギリスのメーカーとしてどうなんだろう。いや、むしろ「多少フォッカーが暴れまわったところで、ワシらは負けんのや」といいたいのかもしれないけれど。

名称のB.E.は「ブレリオ・エクスペリメンタル」の略で、トラクター式(牽引式)飛行機に使われた略号。ちなみにプッシャー式はF.E.(ファルマン・エクスペリメンタル)。

この手の「竹やり排気管の複葉複座機」といえば、過去、同じエアフィックスのR.E.8しかない時代が長かったが、ようやく、まともなインジェクションでこういう地味な機体が出たのは嬉しい(ちなみに、現在はRODENからこれと同じB.E.2cのキットがあるほか、大物キットではWingnut WingsからR.E.8が出ているらしい)。っていうか、こんなん出して大丈夫なのかエアフィックス。

実機を調べようと、手持ちのwindsock datafileを漁ってみたが、改良型のB.E.2eしか出てこなかった。windsock datafileを真面目に買っていたのは初期の頃だけなので、巻数から考えると、B.E.2cは持っていないかもしれない(B.E.2eは#14、B.E.2cは#42)。

▼部品構成はこんな感じ。

F1012963 F1012964 F1012966

これに加えて、風防の小さな透明パーツの枝がある。デカールも2つの塗装例に対応していて、箱の厚みだけでなく、中身もフォッカーよりちょっと贅沢な感じ。

F1012961 ▼さすがに新キットだけあり、主翼も薄く成型され上品な印象。もっとも、翼裏側の布張り表現が変なのはフォッカーE.IIと同じ(このキットだけでなく大抵のキットがそうだが)。

エルロンが、上下左右すべて、自重でわずかに垂れた表現になっているのは珍しい(私はこのキット以外には知らないが、もしかしたら、最近のWW1機キットのなかには例があるのかもしれない)。「細かいとこまでこだわってるぜ」的な感じで印象は悪くない。

F1012956 ▼エンジン回りのディテールに関しては、さすがに大昔のR.E.8あたりとは比べ物にならないくらいよく出来ている。

ただし、エンジンは排気管と一体成型なのだが、排気管が斜めに突き出るようなパーツ配置になっているために、箱の中で変形していた(写真は指でぐいぐいと、多少直してある)。下手したら折れているところで、これはちょっと配慮していてほしかったところ。

機首は胴体と別パーツだが、胴体パーツ流用で別タイプのキットが出る、などということがあるのかどうかはよく判らない。

F1012962 F1012957 ▼翼間支柱は1本ずつバラバラのもののほか、外側支柱は気球攻撃用のロケット弾付きで2本一体になったものと選択式。

翼間支柱はまず上翼に角度を決めて接着するよう説明書に指示があり、角度決めのための治具パーツも付属している。

胴体支柱は角度決めなどが容易なようにロの字型になっていて、当然ながらパーティングラインは支柱の側面に来る。

F1012958 ▼片方の塗装例で後席前に付けることになるルイス機銃はこんな感じ。「まあ、72ならこんなもん?」くらいの、ちょっと大らかな出来。

なお、下翼端を地面に擦らないように付けられている下面の半ループのパーツはかなり太めで、金属線か伸ばしランナーなどで作り替えたほうがいいかもしれない。

F1012955 ▼デカールは2つの塗装例に対応。

1916年9月、RFC(英国航空隊)2693号機、No.39(HD)スコードロン所属、ウィリアム・L・ロビンソン乗機。基本、前面クリアドープ仕上げのもの。

もう一機は、1916年12月、RNAS(英海軍航空隊)所属の8407号機。こちらは上面がキットの指定だとマットオリーブドラブ。要するにPC10(酸化鉄とカーボンをニスで溶いたもの、であるらしい)仕上げということになるのではと思う。下面はクリアドープリネン。

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