製作記・レビュー

FIAT CR-32 "Chirri" AZ model 1:72

●しばらく前にチェコ、AZmodel製の1:72、FIAT CR32のキットを買ってきて、そのままキットの山の上に積んであったのだが、こういう、日本語でレビューの上りそうのないキットの紹介をするのも意味がなくもない気がするので、とりあえず簡単に(だいぶ飛行機製作から遠ざかっていて、このキットを近々いじる予定もないので本当に簡単に)。

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同社からは同じ72のCR.32キットが数種出ていて、私が買ったのはそのうちExport(輸出仕様)と但し書きのあるもの(キット番号AZ7612)。ボックスアートは中国空軍機。箱裏がオーストリア空軍、ドイツ空軍、中国空軍の塗装/デカール説明。

実際にはCR.32の最大の国外ユーザーはハンガリーだと思うのだが、これに関してはハンガリーだけで別キット(AZ7613)。他、本家イタリア空軍(AZ7620)とスペイン内乱(AZ7621)が出ている、らしい。プラパーツは全キットおそらく共通で、箱とデカールだけの違いではないかと思う。

●実機は1933年初飛行、34年から生産開始された、世代的にはソ連のI-15やイギリスのグラディエーター、ドイツのHe51や日本の九五戦、チェコのアヴィアB-534あたりと同じ「最後の複葉戦闘機」群のひとつ。もっともイタリアが恐ろしいのは、これの後にもう一度新設計でCR.42という(まさに「最後の最後」の)複葉戦闘機を開発・生産していることで、その保守性が目立つ。ソ連もI-152、I-153とI-15の改良型を開発・生産しているが、一方で世界初の低翼単葉引込脚の戦闘機I-16を実用化したりしている。

形式名のCRは設計者チェレスティーノ・ロザテッリの頭文字とされることもあるようだが、同じロザテッリ設計の爆撃機BR.20(日本が輸入したイ式重爆)のことを考えると、「カッチャ・ロザテッリ=ロザテッリ(設計)の戦闘機」の頭文字ではないかと思う。もっとも、マッキのMC.202などは「マッキ/カストルディ(設計者)」の略だというし、レッジャーネRe.2000、サボイア・マルケッティSM.79、カプローニCa.311などはメーカー名の頭文字。さらに同じフィアット社でもG.55などは設計者のカブリエリの頭文字だけという具合で、イタリア機の型番はおよそ統一性がない。

CR.32はまっさらの新型というよりは、直前のCR.30をちょっと絞って小型化し性能向上させた改良型という感じ。CR.1に始まるロザテッリの戦闘機の共通の特徴としてW型トラスの支柱がある。第一次大戦中のフィアット・アンサルドS.V.Aも同じ支柱形式だが、これもロザテッリが関わっているらしい。

飛行張り線と着陸張り線を省くその支柱形式はオシャレと言えなくもないが、機首周りは液冷エンジンのくせに割とゴツゴツしていて、尾翼のアウトラインなども含め、AVIA B-534やハインケルHe-51のようなスマートさには欠ける。

スペイン内乱時にはすでにやや旧式化していたもののそれなりに活躍。第二次大戦突入時にもイタリア空軍ではなお戦闘機として最多(保有戦闘機の約3分の2!!)だったらしい。何なんでしょう、この中途半端ぶり(ここまで来ると逆に「イタリア空軍、パねぇな!」と言いたくなる感じ)。

●キットは海外産の72レシプロ単発機キットとしてはよくあるキャラメル箱入りで、プラパーツの枝は2枚。

風防パーツはインジェクションではなく、透明シートに輪郭が印刷されたもの。綺麗に切り抜いて折るのはやや面倒な気もするが、仮に分厚いインジェクションパーツが入っていたりするよりは、こちらのほうがはるかにマシ。デカールは上掲の箱裏塗装図にある4種に対応。印刷は綺麗でズレもない。

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説明書は3色刷り? もっとも色付きが活かされているのはメーカーロゴと機種名、塗料リストくらいなものなので特に意味なし。

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機種名部分にあるように、一応、CR.32と小改良型(武装強化型)のCR.32bis、消炎延長排気管付きのCR.32CNのコンパチということになっていて、実際、後2者に対応したパーツも入っているのだが、付属のデカールの塗装例にCR.32CNは含まれておらず、果たしてこれをコンパチに含めていいのやら、ちょっと怪しい。

●余談。過去、CR.32の1:72キットとしては、往年の名作、Supermodelのものがある(大学生の時、初めて行った海外旅行の際にフィレンツェの模型屋で買ったキットが、まだ未完成のままストック棚の奥に眠っているはず)。

SupermodelのCR.32は、scalematesによれば1973年の発売。確か翼面、胴体の布張り部は手彫りっぽい有機的な布目模様、リブなども強調気味で、コクピット後方、胴体側面のパネルはなんだか大げさな筋彫りだったような。Supermodelはイタレリの初期に内紛で?分離独立したメーカーで、大戦中のイタリア空軍機を中心に製品展開していたが、その後活動停滞。現在、旧製品の金型の多くはイタレリに移っているようで、いくつかは基本設計はそのままに、部分的に金型がアップデートされてイタレリブランドで再版されている。以前(もう10年以上前)、イタレリから1:72のレッジャーネRe2000が出たので買ってみたら中身はSupermodelで、そのこと自体にも、しかし意外に細かくアップデートの手が入っていたことにも驚いたことがある。当時書いたレビューはこちら

その後、CR.32に関しても同様に改修版がイタレリから発売されて、イタレリのサイトのカタログページを見ると、CN型の延長排気管を追加、“のっぺり”だった機首上面も別パーツ化されて空気取入口のモールドが追加されるなど、結構進化しているようだ。欲しいと思っていたのだが、日本国内でイタレリ製品を卸しているタミヤは、このキットは扱っていないようで(売れ筋でないと判断した?)国内ではあまり出回っていない。結局、買いそびれているうちにAZのものが出て買ってしまったので、イタレリ版があっても流石にもう買わないかも。

ちなみに、現在48ではSpecial Hobbyから出ているが、これはどうやら昔のクラエア(Classic Airframes)の再販物らしい。

●AZのキットのディテールを少々。

胴体はこんな感じ。アゴのラジエーターを通った空気は、その後部にある前後二段のギャップから排出されるのだが、下翼付け根上の後方ギャップに比べ、前方ギャップ(左写真で言うと、一番左のランナーゲートのちょっと前方)は浅すぎる感じ。

胴体内側には一応、コクピット部のフレームなどがモールドされている。実際のCR.32のコクピット内部はもうちょっと凝った構造のような気がするが、72ならこれくらいでもよいかも。

全体のモールドは、古いSupermodel製に比べると上品だが、最近の大メーカー製インジェクションに比べるとかなり“有機的”な印象で若干ヌルめ。なんというか、90年代あたりの「古き良きチェコ製簡易インジェクション」の雰囲気を残している気がする。

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機首上面は別パーツで、三連の気化器空気取り入れ口?のモールドがあるが、吸気口なのか何なのかちょっと怪しげな形状のうえ、真ん中の穴は型の傷みなのか埋まってしまっている。昔のSupermodelのキットではここは胴体と一体(左右分割)で上面はつんつるてんだったような気がするが、新しいイタレリ版ではこのキット同様に別パーツ化されている。イタレリ版ではどんな表現になっているか、ちょっと気になるところ。

機首先端部はSupermodel同様の分割。オイルクーラーの冷却フィンのモールドがあるが、デカールにチョイスされ、箱絵にもなっている中国空軍機は極初期の生産機で、このフィンガない。箱絵にもなっているくらいだからフィンなしの機首パーツも入っているんだろうと期待したのだが、実際には説明書で「中国空軍機にする場合は削ってね」とシレッと指示されているだけだった。

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翼のリブ表現はSupermodelに比べればおとなしめ。上翼前側、左右2カ所ずつに、押し出しピン跡のような丸いモールドがあるが、これは実機にもある、支柱と翼桁の接合部に対応したパッチか何かのようだ。

W字の翼間支柱は、Supermodel同様に1本ずつバラバラでちょっと組み立ては面倒くさそう。

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総じて、さすが21世紀の最新キット!Supermodelに比べて格段の進歩!――とまでは行かないものの、それなりに良いキットではないかと思う(歯切れの悪いほめ方)。

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ノームかグノームか

 ●フランスの航空機エンジンのGnomeは、正確には語頭の「G」も発音して「グノーム」と読むのが正しいらしい。大学の時にフランス語を習っていたのに知らんかったよ……。

「日本人にとってなじみが薄い読み方をする」というだけで、実際には英語に比べてずっと綴りと読みは規則的なフランス語だが、「gn」という綴りは、通常は「ニュ」という発音を表す。地方名の「ブルターニュ(Bretagne)」や「シャンパーニュ(Champagne )」、ファッション・ブランドの「アニェス・ベ(agnès b. )」(日本では普通「アニエス・ベー」と表記)、三銃士の主人公の「ダルタニャン(D'Artagnan )」 などがその例だにゃん。実際、フランス語の子音の綴りの発音解説サイトなどを見ても、「gnはニュと読む」としか触れられていないのが普通。

というわけで、Gnomeについても、フランス語の正確な発音だとおそらく「ニョーム」で、それだとカナ表記としてもなんだか据わりが悪いので慣用で(英語読みとしても通用する)「ノーム」、なのだと思っていた。

もっとも、では語頭だと必ず「グヌ」になるのかというとそうでもなく、このGnome(地精)とか、Gnostique(グノーシス派の)とかは外来語(ギリシャ語由来)だからGも発音する、くらいの感じらしい(そもそも語頭にGnが来る単語は珍しく、手元の中辞典では、この2単語の関連語・派生語も含めて10数語しか出ていなかった)。

まあ、Gnomeの場合イギリスでもライセンス生産されていたりして、その場合は当然英語読みするだろうし、そもそもファンタジー世界のキャラ名として「ノーム」もそれなりに通っているので、「ノーム」と読んだままでも構わないと思うけれども。

●ちなみにフランスのエンジンのGnomeは、第一次大戦機ファンには「グノーム(ノーム)」、第二次大戦機ファンなら「グノーム・ローン(ノーム・ローン)」の名前で馴染みがあるのではと思う。

もともと「グノーム」と「ル・ローン」は別会社だったのが1915年に合併。グノーム・ローン(正式な社名はSociété des Moteurs Gnome et Rhône/ソシエテ・デ・モトゥール・グノーム・エ・ローン。間の&(et)を略してGnome-Rhôneと表記されることもあるが、これはブランド名かも)となる。

合併してからもしばらくは「グノーム」「ル・ローン」両系統のエンジンを作っていたが、興味深いのは、この両系列のエンジンは連合国側、枢軸国側両方の陣営で使われていたこと。例えばフォッカー・アインデッカーは一貫してグノーム系列のエンジンを使用しているし、フォッカーDr.IやフォッカーD.VIIIはル・ローンを搭載している。両方ともドイツのエンジン・メーカー、オーベルウーゼルでコピー生産されたものだが、単純にパクっているわけではなく、(少なくとも初期モデルに関しては)きちんと戦前にライセンス権を購入しているらしい。

……というわけで、ドイツのオーベルウーゼルに関しては、「フランスのロータリーエンジンを作っていた会社」みたいなイメージでいたのだが、今回ちょっと調べ直してもうちょっと面白い(入り組んだ)経緯が判った。

そもそもは1890年代、ドイツのオーベルウーゼルが小型ながらパワフルな単気筒エンジンを開発してGnomと名付け商品化、ヒット作となる。おそらく、「小さいがしっかり仕事する」というようなイメージから、Gnom(地精・小人)の名を付けたのではないかと思う。これをフランスの会社がライセンス権を購入して生産(綴りはフランス語でGnomeとなる)、さらにはその技術をもとに多気筒のロータリーエンジンを開発し、これが前記のGnomeシリーズとなった、のだそうだ。

●グノーム・ローンは、戦間期から戦後の一時期までは、バイクや自動車も手掛けていて、エレールからは下のような大戦中のオートバイの1:35キットも出ていた(というか、今でも出ているかも)。箱には車種形式など書かれていないが、実際には「AX2」という800ccのオートバイ(+サイドカー)で、1938年に登場。軍用としては1940年までに約2700台がサイドカー付きで生産されたらしい(キットの説明書とか「Kfz. der Wehrmacht」とかより)。

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例によってつまみ食いしてちょっといじってあるが、車輛本体のパーツ構成は2枚目写真のような感じ。これに(箱絵にあるように)フィギュア3体が付く。

Scalematesによれば、発売は1970年代後半で、タミヤのBMW R75サイドカーから数年後の発売ということになるが、出来としては同程度だろうか。1:35インジェクションのバイクのキットの常として、ワイヤースポークは太目で実感を損ねているため、なんとかしたいところ(まあ、頑張っているとは思うけれど)。SWASH DESIGNのタイヤ&スポーク・セットに交換するのが最もスマートな解決法だとは思うが、同製品は現在メーカー在庫切れ。

ちなみに、キットの箱の中には、これに使おうと思って調達したのであろう1:48第一次大戦機用のワイヤースポークのエッチングパーツが入っていた。大きさ的にはちょうどいいくらいの感じだが、もちろん型押しはされておらず平板で、しかも硬そうな洋白だかステンレスだかのエッチングなので扱いづらそう。

20200909_142237黒いセイバー。( → )

(いやまあ、なんとなく。そう読めちゃったので)

●セブンイレブンのコーヒーから、通常のホットコーヒー(ブレンド)の一段上の「高級キリマンジェロブレンド」がいつの間にか姿を消してしまい、地味にショック。

と言いつつも、実際に+αのお金を払って飲んだことはあまりなく、実は「コーヒーを10杯飲んだら1杯ただ」のクーポンを使うとキリマンジェロブレンドもそのままただだったので、そんな時だけありがたく飲んでいただけなのだが(セブンイレブンには「そんなヤツに飲ませるために商品化したんじゃねえ!」と言われそう)。

●久々に(資料整理のため)神保町の事務所に行ったので(17日)、夕方、事務所を出てから、「(hn-nhさんのブログで知った)消えゆく御茶ノ水駅の古レール柱屋根の見納めに行くか……」などと思いつつ文坂(駿河台下からお茶の水駅方面への明大通りの坂道)を歩いていたら、坂を登り切ったあたりで事務所から「スマホの充電アダプターとケーブル忘れてるぞ~」と電話。一度事務所に戻ったら再び坂を上る気力をなくし、結局、御茶ノ水駅は見ず。まあ、もう屋根の撤去は終わっちゃってたかもしれないし……(すっぱいぶどう的な)。

なお、その際に、今年初めに設置された鉄腕アトムのデザインマンホール蓋を発見。あ、これって、こんなところにあったんだ~。

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アトムは明大の図書館棟の前あたり。ウランちゃんはもっと坂の下、三省堂前への斜めの脇道への分岐近く。実はアトムよりさらに駅寄りにお茶の水博士のマンホール蓋もあったはず(帰宅後検索して知った)。

この千代田区の「アトム」はじめ、今年初めに都内各所で設置されたデザインマンホールに関しては、マンホールカードの特別版が3月に発行・配布開始されるはずだったのだが、コロナ禍の影響で配布が延期に。開始時期については「改めてお知らせいたします」のままとなっている。

20200918_162930 ●ひと夏に一度は食べたい浪花家(鎌倉浪花家)の宇治金時。

涼しくなる前に、なんとか今年も食べた。写真の角度のせいもあるが、去年よりも若干、盛りが低くなったような……(もっとも、以前の盛りが多過ぎた気もする)。

●前回投稿した日の前後、件のヒメグルミの樹を見に行ったら、すっかり果肉は腐った実がまだいくつも落ちていたので3度目の収穫。しかし「果肉がほとんど残っていなくて処理が簡単でラッキー♪」と思ったのは早計で、洗って干した後で割ってみたら、中の仁はほとんどが痛んでいて、無事なものは1割もなかった。実が落ちて早々に収穫しないとだめなようだ。

代わりに、と言っては何だが、カヤの実やぎんなんがちらほら落ち始め。逗子と鎌倉の2カ所でカヤの実を少しだけ収穫。重曹溶液に漬けてアク抜き中。

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III号戦車D型 FIRST TO FIGHT 1:72

20200829_005947 ●先月末に川崎の実家に行った帰り、横浜のVOLKSで、FIRST TO FIGHTの比較的最近出た製品、III号戦車D型(1:72)を買ったので、そのレビューなど。

以前にも書いているように、「FIRST TO FOGHT / WRSESIEŃ 1939」は、1939年9月(WRSESIEŃ 1939)のドイツのポーランド侵攻当時の両軍の車輛、火砲、兵士などを1:72で展開しているシリーズ。他ではキット化されづらいポーランド軍車輛や、ドイツ軍車輛のなかでもちょっとマイナーな初期の仕様のものを取り上げているうえ、このIII号戦車D型でシリーズの通し番号はすでに73と、なかなか充実したラインナップに成長している。キットの開発・生産はポーランドのIBG社が請け負っているそうで、IBG自体が展開している「THE WORLD AT WAR」シリーズのキットとはパーツ設計上かなりの共通点がある。

関連する先行キットのレビュー。

あれ。THE WORLD AT WARのIII号B型のレビュー書いてないや。

●というわけでキット内容。

構成はシリーズ共通のもので、モノの大小にかかわらず同一サイズの箱に、戦史、実車解説、組立・塗装説明などが書かれた表紙含め全12ページの小冊子付き。もっとも冊子は全編ポーランド語のみの対訳無しなので、基本は絵を見て「ふーん」と思う程度(もちろん、本気で読むつもりがあればスキャンしてOCRソフトにかけてGoogle翻訳さんに助けてもらうという手もないわけでもない)。

パーツは枝三枚、それからデカール。デカールはポーランド戦時の国籍マークの白十字だけで、複数キットで共通のもの。

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8つ転輪の初期型III号としては、THE WORLD AT WARシリーズでしばらく前に出たIII号戦車B型に次ぐもので、前述のように両キットは同じIBG社の手によるもののため、砲塔パーツの基本設計などは共通(ただしディテールはきちんと両型で違えている)、モールドの精密さなども似通っているが、こちらのD型のほうが後発キットであるため、「改良されてるなあ」と思わせる部分もある。

E型以降の「標準型」III号戦車とは基本、何から何まで違うので、むしろ、同じFIRST TO FOGHTのIII号戦車E型/III号指揮戦車E型とは部品設計上共通する部分はない。また、いささかトンデモな部分があったIII号戦車E型/III号指揮戦車E型よりも今回のこのキットのほうがだいぶ出来がいいように思う。

▼足回り

その「改良されてるなあ」と思う新機軸が足回り。このシリーズ、足回りは基本、履帯含めて一体成型のいわゆる「ロコ方式」なのだが、その場合、複列の転輪類は表裏一緒、逆に転輪が単列の場合は履帯の複列のガイドホーンが繋がってしまって、ちょっと斜めから見た時に実感を損ねることになる。

が、このキットでは、転輪・上部転輪は履帯の半分と一緒に別パーツ化され、また起動輪・誘導輪も履帯とは別にして(起動輪は表側のみ)、全体の再現度を上げている。

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  • 転輪のボギーアームが内側転輪のリム部分と一体化していてやや実感を損ねている。
  • 起動輪の歯部分がやや分厚い上、表側と裏側で厚みが違っている。
  • THE WORLD AT WARシリーズを含めての欠点だが、CADデータのコピペのせいか転輪のパターンの向きがすべて揃っているのが不自然。
  • とにかくパーツのゲートが多くて処理・整形が面倒。

などの欠点はあるものの、従来の処理よりはかなり精密度が上がっている感じがする。なお、分割された転輪部分の部品の合いはそれほど悪くなく、若干のすり合わせのみで歪みも隙間もなく接着できる(どのみち、変に曲がったりしなければ多少隙間が出来ても見えないが)。

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上の2枚の写真は、とりあえず組んでみたこのD型キット(左)と、比較用の THE WORLD AT WAR のB型の足回り。B型キットでは起動輪も一体成型のため、表裏の歯が繋がって「厚切りなると」状態になってしまっている。

▼車体

常識的な上下分割。複雑なサスペンションはスライド型を用いた一発抜き。ショックアブソーバーの細いアームなどは「ロッド」ではなく「板」になってしまっているが、どのみち足回りの間からチラ見えする程度なので、(個人的には)これで十分。シャーシの後面はマフラー等一体。オーバーハング下は実車ではルーバーとかメッシュとかになっているのではと思うが、このキットではべったり埋まっている(が、これまたひっくり返さない限りは見えないので、このスケールなら気にしない)。

D型って、こんなにシャーシ後面が鋭くナナメなの? というのが若干気になったが、実車写真では陰になるのでばっちり確認できるものが見当たらない。なお、miniartの35のD型も似たような感じのようだ。

エンジンルーム左右の通風孔は別部品。

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  • OVM類は、ジャッキなど縦に高いもの以外は一体モールド。シリーズ共通ではあるが、消火器が「カマボコ形」になっているのはちょっと寂しい。THE WORLD AT WARシリーズのII号戦車のように別部品だったら嬉しかったが、まあ、この程度は我慢。
  • このシリーズ共通だが、操縦席左側のクラッペは車体上部と一体成型。抜きの方向の関係で形が潰れているのは致し方ないとして、THE WORLD AT WARのB型のクラッペはまだまだクラッペらしく見えなくもない感じだったのが、このキットではもっと崩れた形状。クローズアップで撮っておくのを忘れた。
  • シャーシ前面の四角いブレーキ点検パネルはシャーシと一体成型で、抜きの関係で上辺のエッジが斜めになっている。
  • 本来、B~D型では、主砲のクリーニングロッドはアンテナケース側面に取り付けられているが、キットではアンテナケース横のフェンダー上に取り付けるようになっているうえ、75mmクラスの主砲でないとおかしいくらいに太い。フェンダー上に取付穴が開いているのも困りもの。
  • 戦闘室とエンジンルームの間に本来あるべき分割線がない。
  • 車体前部牽引具上の左右の前照灯、車体後部のスモークキャンドルの取付位置が曖昧。前照灯はもしかしたら牽引具上にポチッと出っ張っている極小の突起の上に接着しろということなのかもしれないが、その場合は接着面が小さすぎてとてもまともに取り付けられない。
  • 車体前部の牽引具のL字ピンの頭が成型の都合で水平になっていて、見た目上もちょっとよくない上に折れやすい。

もっとも、ミニスケールのキットとしてはディテールは比較的細かい方だと思う。

▼砲塔

シリーズは違うものの、同じIBG社の手によるTHE WORLD AT WARシリーズのA型、B型と基本設計は同じパーツ。ただし細部ディテールのモールドは微妙に違っている。キューポラはB型までの単純な円筒形のものではなく、IV号戦車B型以降と同型のがっちりした装甲シャッター付きのもの。パーツは一発抜きだがそれなりの形になっている、と思う。

内部防盾と一体の主砲・同軸機銃のパーツは、明らかにTHE WORLD AT WARシリーズのB型と同じ設計データに基づくものなのだが、THE WORLD AT WARシリーズのB型ではスライド型を用いて砲口に穴のモールドを付けていたのに対して、こちらは単純な2面抜きで砲口部にランナーゲートが来ている。

ちなみにD型までの砲塔は、主砲は同じ37mmKwKでも、E型以降の砲塔とは(側面ハッチが片開きだ、というだけではなくて)基本設計自体が別物。砲塔前半部の傾斜もきつく、その分、砲塔前面はE型以降の砲塔よりも狭いはず。……というのを、最近まで「まあ、何か違うっぽいよね」くらいにしか認識しておらず、改めて資料をひっくり返して再確認した。

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  • 周囲のハッチ/クラッペ類は一体モールドで、そのため、下辺はきちんとエッジが出ておらず、砲塔本体とナナメに接続している。THE WORLD AT WARシリーズのA型、B型でも同様だったのだが、よりパーツを抜きやすくするためか、さらに下辺エッジがダルく感じる。
  • THE WORLD AT WARシリーズのA型、B型同様、同軸機銃が太過ぎ。車体前面機銃も同じMG34だが、そちらのパーツはまだマシ。
  • 主砲の駐退器カバー部分にヒケが出ていた。

●そんなこんなで、とりあえず組み上げてみた。

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8つ転輪の初期型III号戦車は後の6つ転輪の標準型よりも車体が長く、特にD型はB/C型よりも後端オーバーハング部が長いので、さらに間延び感がある(車体長はIV号戦車よりも長い)。

▼気になった箇所のみ、若干手を入れた。

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砲塔クラッペ・ピストルポートは一体モールドのため下辺エッジが斜めになっていて印象が悪かったので削り込んでエッジを立てた。側面ハッチについては、下側にある小リベットを再生するのが面倒くさかったのでそのままとした。砲塔上の手すりは0.3mm金属線に交換。

操縦手席左側のクラッペは、一体モールドでまるっきり形が崩れていたので(一度はそのままにしようと思ったのだが、結局我慢できずに)作り直した。対空機銃架左側に飛び出した部分がクラッペにかぶさるような形になっていて、このままでクラッペが開閉できない格好になってしまっているのだが、そのままとした。ちなみにTHE WORLD AT WARのB型も操縦手席左のクラッペは一体モールドなのだが、本キットほどは形が崩れていなかった。

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クリーニングロッドは作り直し、装着位置もアンテナケース側面に。フェンダーにあったパーツ取付穴は埋めた。気合の入った(そして工作力のある)ミニスケール・モデラーなら、埋めた後のフェンダーパターンも再生するかもしれないが、私はそのまま。ちなみに元パーツは右写真のように巨大。先端どころかロッド部分さえ37mm砲身に入りそうにない。

戦闘室とエンジンデッキの間には筋彫りを追加した。

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主砲と同軸機銃には穴開け加工。同軸機銃はいかにも太く、以前にIII号A型を作った際にはフジミ76のI号戦車のMG15のパーツの銃身と交換したのだが、ストックが尽きてきたのでこのキットに関しては左右から削り込んでほんの少し細くしただけ。

フェンダー先端裏側は削り込んで薄くした(前後とも)。牽引具のL字ピンは0.3mm金属線、前照灯の柄の部分は0.5mm金属線に交換した。

●FIRST TO FIGHT、THE WORLD AT WARの初期型III号戦車勢揃いの図。

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左からA型、B型(ここまでがTHE WORLD AT WARシリーズ)、D型(本キット)、E型(後2者がFIRST TO FIGHT)。E型はキットとしては指揮戦車E型のものだが、以前のレビューで書いたように中身は「通常の戦車型にアンテナを付けただけ」のお手軽キット。しかも履帯、フェンダー、転輪ディテールは40cmm履帯幅仕様になってしまっているなど、出来としては一段落ちる。

なお、FIRST TO FIGHTでは本キットのバリエーションとしてIII号指揮戦車D1型も出ているのだが、これは指揮戦車E型のキットとは大違いで、砲塔や車体上部は戦車型と別に新規にパーツを起こしているらしい。これはぜひ欲しい。

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梅雨明け

●コロナ禍の影響もあり、仕事自体は全般的には低調なのだが、それでも重なるときは重なるもの。久しぶりに真面目に(集中的に)仕事しなければいけなかったりして、すっかり更新がご無沙汰に。

そんなこんなで、ある程度まとまりのある話を書くようなネタもなく、近況報告的にあれこれつらつらと。

●兄が濃厚接触者として1週間自宅隔離になった、と連絡を貰う。一応、30日の検査では陰性で、今のところ症状も出ていないので大丈夫だろうとのこと。とはいえ、老母と同居で食事の面倒なども見ているので、そちらのほうが問題。とりあえずデリバリーなどでしのぐ由。

●KV小ネタ。

タミヤの新KVの転輪については以前にも書いたが、トランぺッターの転輪と比較して、ディテール的に至らない点がいくつかあり、そのあたりの改良を試みてみる。

(1).リム部の小リブの位置が裏側で間違えていることについては、どのみち組んでしまえば見えないので(車輛の前後から床下を覗き込めば、全く見えないということはないのだが)、そのままスルーする。

(2).ハブ部・ゴム抑え板のディテール不足に関しては、ハブ両脇の2カ所の小ボルト?部分に関してはタミヤのほうがいい感じはするが、ハブ周囲のリングが別体である表現、およびそのリングのグリップ用?刻みが省略されている問題のほうがより大きいので、これらに関しては、トランぺッターのパーツの流用を検討。

(3).内外の転輪の向かい合わせになった面で、ゴム抑え板の表現が全く無視されている問題。内側転輪の表側に関しては、組立後も覗き込めばちらりと見えないこともないにもかかわらず、キットのパーツはその部分が窪んだ状態になっている。これに関しては、上記(2)とセットで考え、(2)で余ることになるタミヤのゴム抑え板パーツのハブ部をくり抜き、軸が通るようにして内側転輪に取り付ける。

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1枚目写真。タミヤの転輪の外側の表裏(左側)、内側の表裏(右側)。内側転輪の裏にはしっかりゴム抑え板のモールドがあるので、表裏ひっくり返して使用できればちょっと楽だが、裏側は前述のようにリム部の小リブの位置を間違えているので、その手は使えない。外側転輪の表には別パーツのゴム抑え板を載せてある。

2枚目写真。ゴム抑え板パーツの元の状態(左)と、軸が通るようにくり抜いた状態(右)。

3枚目写真。軸部をくり抜いたゴム抑え板を内側転輪の表に載せてみたところ。軸部の位置合わせ用の凸は余計なので(本来、内外のリムの穴位置は揃っていないので)削り取ってある。

ここまでやってみての小まとめ。とりあえず、覗き込んで見える部分にはゴム抑え板が装着できたが、この部分の土台の立ち上がりが外側転輪表より若干高く、ゴム抑え板部分に厚みが出てしまう(軸部分は貫通しているので、転輪の間隙には影響しない)。内側転輪に流用するゴム抑え板の中心をくり抜くのは、それほど難易度の高い工作ではないものの、ちょうどよい太さのドリルやヤスリがあるわけでもないので結構面倒くさい。暫定結論。……これをあと11個分やるんだったら(しかも苦労してトラペ以上のものが出来るわけでもないのなら)、素直に転輪それ自体、トラペから持ってきた方がいいんじゃね?

ちなみにそうせずに、こんな面倒な工作を試してみたのは、手元にトラペのリブ付き転輪の余剰がなかったため(リブ付きでないほうはある)。

●はい人28号さんからコメントで情報を頂いたのだが、Passion Modelsから、タミヤKV用のエッチングパーツの発売予告が出た。8月下旬予定とのこと。

内容はラジエーターグリル、車体後端オーバーハング部のメッシュは当然として、フェンダーステイ、ハッチ裏のロック用リングなど。さらにプレス済みのオーバーハング下の整風板、挽き物のピストルポート装甲栓、DT機銃と、思ったよりも贅沢な内容。個人的にはラジエーターグリルと後部のメッシュだけの簡易セットでよかったんだがなあ、という気もするけれど、予価1800円だそうなので、そこそこリーズナブルかな。

ラジエーターグリルはちゃんと前方が平らの形状になっているようだ。いやまあ、なっていなきゃ困るんだけれど、これまで意外に再現していないセットが多いので、一安心。

別途、ツールボックス(の蓋と取っ手)のセットも同時に発売になるらしい。

●1日土曜日。晴れたので、午後、鎌倉方面に散歩に出る。

小坪から稲村ケ崎方面の景色を眺めていると、極楽寺坂よりもさらに稲村ケ崎側に、山腹を斜めに上がる道が見えて、「あの道はどこに通じているのだろう」と以前から少し気になっていたところを目標に歩く(といっても、今の世の中はGoogleMapsを開くと「どこに通じているのだろう」は判ってしまうわけで、実際に歩きに行く段階では、すでに「まあ、歩いたことがない道だし、行ってみるか」程度になっているわけだが)。

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写真は、その坂の上から、鎌倉の海(由比ガ浜、材木座海岸)を隔てて逗子側を撮ったもの。すでに夕方だったので、薄暗い写真で失礼。

黄色矢印が二子山高角砲台跡(二子山上ノ山)、赤井矢印が小坪高角砲台跡(披露山)、黄緑矢印は西小坪海面砲台跡(飯島)。こうしてみると披露山に比べ二子山の方がだいぶ高いことも判る。その高いほうの二子山に12.7cm単装が、低い披露山に12.7cm連装が配備されていたのはどういう理由なのだろうか。

例えば、軍港横須賀(あるいは東京湾)に向け、内側は単装で外側は連装とか、そんな基準があったのではないか、などとぼんやり考えてみて、帰宅してからGoogleのマイマップに三浦半島の高角砲台を配備された砲の種類別に色分けしてプロットしてみたのが、結局は位置それ自体には何の法則性も見い出せなかった。

小坪海面砲台は、こうしてみると鎌倉湾の防衛用という感じだが……いくらなんでも鎌倉の海に上陸作戦なんてしないだろう。いや、それでも入り江に小型艦船など入り込まれると困るので、とりあえず防備はしておかなきゃいけない的なものなのか?

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割と久しぶりに極楽寺のあたりを歩いたが、江ノ電の極楽寺駅が大改装されていた。元の駅舎正面は残っているが、裏手が大々的にリニューアルされて新しい大きな駅舎になり、さらに元からの入り口の左手に大きな新しい、「入り口広場」と言ってもいいような入り口が出来ている。元の姿がほぼそのまま(左写真)なのは喜ばしいが、その横が新しく変わり過ぎていて、旧入り口がいかにも「保存された展示物」的に見えてしまうのはちょっと寂しいかも。

●自然科学のなかでも古生物学、および身近な昆虫等々の観察が好きなことがあって、生物関連の本や記事は割とよく読む方だが、「単系統群」と「クラウングループ」の違いがどうもよく判らない。

●「メイドインアビス」9巻発売、娘がさっそく購入していたので、こちらもさっそく借りて読む。

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蓼食う虫も

●世の中はいつまた緊急事態宣言が発令されても不思議ではない状況だが(感染拡大のレベルは十分緊急事態だが、経済活動的にもう出せない、と踏みとどまっている感じ)、霞が関の某官庁に資料の閲覧/コピーに行ったついでに、大回りして久しぶりに秋葉原に寄り道。イエローサブマリンのパーツばら売りコーナーで、こんなものを見つけて買ってきた。

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ホビーボスのルノーR35、長砲身型(キット名称はR39)に付属の尾橇パーツ。

長辺で15cmに満たない小さめの枝で1200円という値付けには「くっ……足元見やがって!」と思わなくもないが(他キットの、車体パーツ入りの大きな枝でも500円とかだったりするので)、それでも3Dプリントやレジンのアフターパーツを買うよりは安いし、スチロール樹脂の扱いやすさもメリットではあるので、結局購入。

国産品のようにパーツ請求のシステムがあるもの以外は、おそらく枝ごとの値付けは店員さんの見積り次第なのではないかと思うが、まあ、過去このコーナーで「うわ。これはお買い得だ」と思ったパーツもないわけではないので、プラスマイナスという感じ。

実際に組んでみたのが以下。

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実際に組んでみるまでは、「尾橇関連のパーツが他枝にもいくつか分散していて、部分的に自作の必要性も出てくるかも」とも思っていたが、入手した枝(Hパーツ)だけで間に合った。他、長砲身SA38の砲尾、同軸機銃の機関部などのパーツがいくつか入っていて余る。

ルノーR35の場合、後面両側にエンジンアクセスハッチがあるため、似たようなオチキスに比べると尾橇形状がやや複雑になっている。そのため組立てもちょっと面倒で、特に水平のY字の部材はなかなか角度が決めづらい(パーツに位置決めのダボなどが足りないのも一因)。また、形状のためかランナーゲートが多く、細かくパーティングライン、押し出しピンに由来する小さなバリなどあるのも面倒さの増加要因。

ただし、ホビーボスとタミヤの間で(砲塔の大きさは顕著に違うものの)車体の大きさとレイアウトは大差ないようで、大きな変更はなくタミヤの車体に取り付けられそう。

尾橇側のエンジン始動用クランクハンドル支持用のパイプと、タミヤの後面パネルのハンドル差込口とはほんのわずかに位置のずれがあるようだが、パッと見て明らかに違うというほどでもないので放置の予定。なお、組立時に(この角度では見づらいが)クランクハンドル支持用のパイプに穴開けし、尾橇プレートの後上端のエッジが立っていたのをヤスって丸めた。また、後ろ側に付く始動用クランクハンドルの支持リングと、チェーン掛け用の突起パーツは、破損を防ぐために現時点ではまだ取り付けていない。

●ルノーR35はそれほど仕様の差が激しい戦車ではないが、それでも細かく見るとあれこれ選択肢がある。

▼生産時期による仕様差。

・初期生産型:車体前部上面に増加装甲。誘導輪は基本穴開き。

・中期生産型:車体前部の増加装甲は無くなる。誘導輪の穴はパッチでふさがれる。タミヤのキットの仕様。

・後期生産型:操縦席左右スリットの上がヒサシ状に出っ張る。エンジンデッキ上のグリル周囲に跳弾リブ追加。

・R40:足回りが新型になる。車体は当然ながら後期生産型の仕様。長砲身。

me20さんが増加装甲付き・誘導輪穴開きの初期型を作っている。me20さんらしい丁寧な工作が見もの。ほぼほぼ工作完了時点の姿がこちら

▼このほかに、厳密に生産時期とはリンクしていない(ある程度はリンクしている)以下のような部分的な仕様差がある。

・砲塔視察装置が双眼鏡型(シュレティアン式)かスリット型か。双眼鏡型が当初の仕様だが、初期生産型でも交換されたものがある。

・搭載砲が37mm短砲身SA-18か、長砲身SA-38か。生産末期にはSA-38が最初から付けられていたものもあるようだが、既生産車でも交換されたものがあるようだ。オチキスほど長砲身型は多くない印象。

・右フェンダー上の工具箱が高いか低いか。初期生産型はだいたい低いようで、その後ぼちぼち高いものが混じるようになる、という感じだったかな?(←うろ覚え)

・尾橇付きか無しか。R40はすべて尾橇付きなので、後期は最初から尾橇付きで生産されたものがあったらしい。が、既生産車でも追加装備されたものが結構ありそう。

タミヤは順に、「スリット型/工具箱高/尾橇無し」仕様。

▼特別仕様車。

・フェンダー前方左右に、超壕用の粗朶(そだ)束搭載レールを装着したもの。一応、現地改造とかではなくある程度の数が用意されたらしく、写真も複数確認できる。

・無線搭載車。砲塔右後部のアンテナ穴は通常はパッチでふさがれているが、この部分にアンテナが立てられている。ある程度の部隊単位で一輌、隊長車用に配備された――というようなものかと思っていたが、一部隊丸ごとアンテナ付きという例もあるようで、使われ方は謎。

私はどうせ作るなら、ちょっと変わった粗朶束レール付きか、アンテナ付きを作ろうなどとボンヤリ思っていたのだが、特にアンテナ付きのほうは塗装ヤマーキングなどがしっかり分かる車輛が尾橇付きだったのでちょっと悩んでいたところ。このパーツが運良く手に入ったので、アンテナ付きを作ろうかな……。

●逗子市立図書館で借りて読んでいた「アゲハチョウの世界:その進化と多様性」(吉川寛/海野和男、平凡社)を読み終わったので、返却して今度はこんな本を借りてきた。

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似たような本ではあるけれど、片や現実には存在しない、人の空想した変な生き物図鑑。もう片方は現実の変な生き物図鑑。まだ全く読んでいないので、イマジネーションの限りなさを感じることになるか、「事実は小説より奇なり」と思うことになるかは、これからのお楽しみ。

なお、別にニイガタハシリマイマイやイリオモテウラオモテガエルの設定を深化させる目的で借りてきたわけではない。単純にこういうのが好きなのだ。

●読み終わった「アゲハチョウの世界」は、単純に、チョウの中でもおそらく一番人気で、地元逗子でも結構たくさんの種類に会えるアゲハチョウ科についてもうちょっと親しもうか、くらいの感じで借りてきたもの。大判でそれほど分厚くなく、写真も綺麗だったので。

が、読み進めてみるとはるかに期待以上の(そして結構マニアックな)内容で、アゲハチョウ科のなかでの進化(枝分かれ)の様子、食草(食樹)選択のメカニズムやその変化の仕組み、ジャコウアゲハ系その他の毒蝶への擬態の広がりなど、非常に読みごたえがあった。

ウマノスズクサというと、「あ、ジャコウアゲハの食草ね」というイメージだったのだが、実際にはアゲハチョウ科の祖先のもともとの食草がこの科だったと考えられるらしい。そこからクスノキ等を食すアオスジアゲハの仲間や、柑橘類を食すナミアゲハや黒いアゲハの一群が分岐、さらにはナミアゲハなど「黄色いアゲハ」系からセリ科を食すキアゲハ系が分岐したらしい。身近なアゲハから、つい「ミカン食うのがアゲハチョウ科の主流」みたいに考えていたが、どうやらそうではなかったようだ。

なお、狭義のアゲハチョウ(ナミアゲハ)とキアゲハの関係で言うと、ナミアゲハのほうが身近なせいでそちらの方が普通種と思ってしまうのだが(実際に日本ではそちらが普通種だろうが)、世界的にはキアゲハ系の方がずっと分布域が広いのだそうだ。ほほー。

そんな具合で、いい意味で予想を裏切った本だったのだが、問題はどうにも「編集(チェック)が行き届いてないなあ」感があること。

本はおおまかに、前半の(文章主体の)解説パート、後半の「美しい世界のアゲハチョウ写真集」パートに分かれているのだが、冒頭に出てくる世界のアゲハチョウの属一覧表の順番と、後半の写真集(こちらも属ごとにまとめて掲載)の順番が違っていて対照しづらい。しかも、そもそも表にない属が出てきて戸惑う(表には別名で出ているのだろうか?)。

また文章は複数の人が書いているのだが、そのため、同一種について場所によって「メスグロキアゲハ」だったり「クロキアゲハ」だったりする(しかも文章の最後になってようやく「クロキアゲハ(メスグロキアゲハ)」と書かれている。初出のとこに書いといてよ!)。また、前半の解説ページにもそれなりに写真は多いが、どうも「綺麗な写真を掲載する」ほうに重きを置いていて、本文としっかりリンクできていないように思う箇所もいくつか。また、p60本文中に「(図14、15)」とありながら、図15はどこにも見当たらない。……などなど。

20200711_175923 ちなみに逗子では、

  • アゲハチョウ(ナミアゲハ)
  • キアゲハ
  • ジャコウアゲハ
  • クロアゲハ
  • モンキアゲハ
  • ナガサキアゲハ
  • カラスアゲハ
  • アオスジアゲハ

に、割と普通に遭うことができる(さすがにカラスアゲハやナガサキアゲハはそう頻繁ではないが)。右は今日撮ったばかり、名越切通のぬかるみで吸水していたモンキアゲハ。もともと南方系のチョウだが、近年の逗子では一番頻繁にみるアゲハチョウ科かも。

●最も興味深かったのは、食草(食樹)選択のメカニズムと、進化との関わり。

そもそも、なぜ多くの昆虫が狭食性(ごく限られた種類の食物(多くは植物)しか食べない)のかというのは、以前から非常に気になっていたこと。生きていく上では、例えば単一の科の植物しか食べられないよりも、さまざまな種類の葉っぱを食べる広食性であったほうが有利な気がする(実際に、広食性を獲得しているマイマイガは、大発生すると山を丸裸にしてしまうほどの猛威を振るう)。

これについてのドンピシャの解説には今のところお目にかかったことがないが、比較的判りやすかったのは、北大農学部のとある講義のページにある解説。

植物は分類群ごとに様々な二次的代謝産物を有していますが、これは植食者に対する忌避・有毒物質として進化したという説があります。植食性の昆虫は、それぞれある種の物質に対してそれを克服する適応をしてきましたが、多くの種類の物質には対応していないために利用できる植物種が限られてしまいます。しかしその植物を利用できる植食者も少ないために、競争が緩和される利点もあって狭食性が維持されています。

これに私の生半可な知識を足して考えると、おおよそ、次のような感じであるらしい。

▼植物の生成する化合物には、直接に生存に関係する一次的代謝産物と、例えば自身の捕食者からの防衛や、逆に自分にとって有益な昆虫の誘引などに使われる二次的代謝産物とがある。人が薬効成分として利用するものも多くは二次的代謝産物である。二次的代謝産物は、植物ごとにその内容が異なる。

▼自らを食する昆虫に対する防衛として分泌する(昆虫に対して毒となる)二次的代謝産物だが、特定の昆虫は、進化の過程でその毒を克服する機能(酵素など)を獲得。さらには、逆にその二次的代謝産物を、「自分が(というか幼虫が)食べてもいい植物」を識別する目印として利用する。アゲハチョウ科の場合、メスの前脚の先端に、それら二次的代謝産物を「味見」して植樹を見分けるための器官が備わっている。ちなみに造花のプラスティックの葉っぱに柑橘系の二次的代謝物質を塗ると、ナミアゲハはせっせと産卵するそうだ。

▼特に昆虫の場合は体も小さく、多種多様な植物の二次代謝産物(毒物)にすべて対応するような機能を持つことは効率的でも現実的でもない。逆に特定の種に特化することにより、「他の虫が食べないものを自分だけは食べられる」状態を保つことができる。現実的には同じ科の植物を複数の種が奪い合うことは珍しくないが、それでも競争率がむやみに上がることはあまりない(外来種の問題などは除く)。

▼実際には、ある種の食草(食樹)が分泌する二次代謝産物は何種類もあり、昆虫もそれらの複数をキーとして利用している。進化の過程では、それらキーとなる代謝産物(あるいはそれに対応する酵素)などがある程度重複する別の植物種に「乗り換える」形で、いわば生き残るための「新天地」を獲得。これが別種の昆虫が枝分かれしていく一因になっているらしい。

▼体の大きい脊椎動物などでは、複数の耐性を獲得することもそれほど難しくないためか、あるいはそれぞれの植物が持つ二次代謝産物の毒性が体に与える影響も相対的に少ないこともあってか、昆虫と違って無理なく広食性を得ることができる。もちろん、ごく少量でも人間一人くらいコロリと倒してしまう猛毒を持つ植物も少なくないが。一方で、猛毒のトリカブトを平気でもしゃもしゃ食べるイモムシも、実際に見たことがある。逆に、ササしか食わないパンダとかユーカリしか食わないコアラみたいなヤツもいるわけで……。何なのかねアレは。

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新製品ニュース

●前回記事へのコメントで、めがーぬさんから第一報を聞いて仰天したニュース。タミヤから、

  • IV号戦車F型
  • マーダーI(7.5cnPaK40搭載ロレーヌ牽引車)

が発売される由。7月1日、2日に開催された静岡模型教材共同組合主催の商談会の場で発表されたらしく、3日付のタミヤのツイッターでも公表されている。

田宮会長が旧製品のリニューアルを積極的に図っていきたいと語っていた旨、“ハラT”青木伸也氏のつぶやきで読んだ覚えがあるのだが、上のIV号F型はその流れかな、と思う。

旧キットで出ていたD型ではないのは違いがあり過ぎて既存の設計データや部品の使い回しが基本全くできなくなるためかと思う。よくよく写真を見ると、見本の前の札に「砲塔、車体上部、履帯、人形など主要な部分は新規開発。(グレー成型色の部分)」と書かれていて、要するに車体下部や転輪等は、既存のH初期型キットからの流用ということになる。中型ハブキャップの幅広転輪はすでにH型キットで使われているのでそのまま、履帯はベルト式でなく部分連結式に変更だろうか。ハンガリー軍IV号戦車の“主力”がF型だったことを考えると、タミヤのY氏の陰謀もありそうな気もするが、それなら38(t)がG型ではなかったのが解せぬ(笑)。

タミヤの最近の新製品の傾向を見ると、特定の仕様・塗装例に準拠した構成にしている場合と(たとえば38(t))、塗装例とは細かい仕様が違っていても比較的標準的な構成でまとめている場合と(例えばKV)の2系統があるような気がしているが(あるはそこまで考えていないのかもしれないが)、このIV号F型の場合はどんな出し方をしてくるのかもちょっと気になる。

もっとも、F型以降は傑作・新作キットがすでに存在しているのに対し、D型は今なお最もマトモなキットが、最初の箱組からすでに難儀な旧トライスター(現ホビーボス)であることを考えると、「なんでD型じゃないんだ!」と言いたいIV号マニアは多そう。F型じゃ大戦初期(フランス戦まで)のシーンにも使えないしね。

ロレーヌベースのマーダーIについてはさらに驚き。今世紀に入ってからのタミヤの新製品で、個人的に「ええっ、そんなの出すの?」と最も驚いたのはルノーUEだったような気がするが「(シムカとかはUEの後だったし、ちんまいキットだったのでまだショックが小さかった)、それに匹敵するかも。しかし、原型のロレーヌ牽引車は、展開として想定はしているだろうけれど、いつ出してくれることやら……。

もういっそのこと、マーダーIとロレーヌ牽引車のコンパチにしてくれないかな……。38(t)ベースのマーダーIIIなどと違って大胆なレイアウト変更とかはないわけだし。

●上で名前の出た青木氏は現在タミヤのKV-1をこつこつ組み上げてそろそろ塗装に入ろうかという段階に到達している。しかし改めて考えると、氏はタミヤのKV発売に前後して「タミヤの新KVの部品取り用に」と、トランぺッターのKVを2輌も新規調達したはずなのに、パーツを一つも流用した気配がない。

私自身はといえば、とりあえず部品取り用のトラペKV(KV-2)を1輌持っていて、誘導輪はそちらを使おうか迷い中。転輪のゴム抑え板もできればトラペのものを使いたいのだが、今後のことを考えると、ゴム抑え板はそのまま使うのではなく、複製量産して使いたい感じ。

小さく平たいパーツなので、型自体は「おゆまるくん」の片面取りでいいとして、複製材料はお手軽で/安価で/気泡が残りづらいのは何がいいのだろうか。KVのゴム抑え板程度だと複製材料の量自体少なくて済むので、キット一つ複製するような量のものは確実に余す(そして使い切る前にダメにする)可能性が高い。もう数十年前に、KV初期型転輪を作るのに2液混合無発泡ウレタンを使って以来、まともに複製はしたことがなく、「複製経験値」が著しく低いので、適当な材料がぱっと浮かばない。「ちょっとした複製ならこういうのがいいよ」というお勧めがあればぜひご教授下さい。

さらに脱線。青木氏のツイートの中に、「ねこちぐら」に名前を残したことで(ごく一部で)有名なフォン・ツィーグラー博士の名前が出てきて、久しぶりにその名前に接して懐かしくなる。あまりに懐かしかったので、20年以上前に書いた「ニイガタハシリマイマイ」の記事を復活させてみた。

今読むと「なんで一種しかいないのに学名に亜種名が付いてるんだよ」とか、「殻が軽量といっているカタツムリがかかとにあたってもビックリはするかもしれないけど骨折はしないよな」とか、いろいろツッコミどころはあるもののそのまま。

●前回記事に関わるこぼれ話。

▼裁判員・補充裁判員には日当・交通費が支払われる。日当は拘束時間当たりで一日一万円が限度。交通費は「こうやって来ています」という申告は不要で、勝手に裁判所側で経路と値段が算定される。書いてあった金額は私が実際に使っている交通費より若干低く、基本「一番安い経路」で算定されるらしい。今回は天気が悪い日も多く、逗子駅と自宅間はバスを使うことも多かったので交通費的には足が出た感じ。

もっとも、徒歩の部分のキロなんぼで計算されるらしいので、「逗子から横浜地裁まで歩いてこい!」というようなことにはならない。

▼現在はネットが発達している世の中なので、事件によってはネット上にも様々な情報が流れていることがある。基本、裁判員裁判の対象になるのは注目度が高い重大事件であることが多いので、それだけネット上の情報も多くなる。が、あくまで裁判員が下す判断は法廷に出てくる証拠にのみ基づかなければならないので、「予断に結び付きかねないので、わざわざ調べるようなことはしないでください」と念押しされた。

▼横浜地裁は裁判員制度導入直前に改築されていて、そのため、実は細かいところで裁判員制度に適した建物の構造になってないんですよ、というような話を聞いた。

ちなみに裁判員制度が導入されてほぼ10年。裁判官のほうも、若手は最初からこの制度下で裁判を行っているわけだが、ベテランはこの制度導入前あら仕事しているわけで、それまでは(裁く対象である被告人は別としても)基本は検事、弁護人という「法律のプロ」と仕事を進めていればよかったものが、いきなり素人を相手に、引率の先生か添乗員みたいな仕事をしなければいけなくなったわけで、なかなか大変そう。裁判官に求められる資質も違ってきているのかもしれない。

ただし、「裁判を身近で判りやすいものにする」「裁判の中に一般市民の感覚を取り入れる」という制度の目的の一方で、うがった見方をすれば、「素人の裁判員たちを上手に、それと気付かせないように意見誘導してまとめ上げる」のが優れた裁判官であるということになりかねない、という危惧も当然ある(今回の裁判では逆に「えっ、裁判官って、素人の裁判員の言うことをいちいちそこまで取り上げて検討するの?」と思ったりしたが)。

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KV-1 1941年型 初期生産車 タミヤ 1:35(その2)

●タミヤの新作、「KV-1 1941年型 初期生産車」のチェックの続き。

履帯その他足回り関連

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履帯は全履板が同一でセンターガイドがある初期標準の構成。1940年型後期の一部ではセンターガイドがない履板が混ぜ履きで使用され、1941年型の中盤からは2分割履板が混ぜ履きされるようになる。

パーツの裏面には押し出しピン跡があるが、さほど凹凸はないので、スポンジやすりで少し削る程度でなんとなかるのではないかと思う(まだ試していない)。

左写真はマスタークラブ(旧版のレジン製)との比較。ディテールは(タミヤのほうがやや硬めかな?とは思うものの)大差なし。ピッチは、この写真ではタミヤ側が上部転輪に合わせて垂れた状態になっているパーツのため、画像の右端と左端とで違いが生じているように見えるが、実際にはほとんど差はない。ただし、キットの履帯は右用・左用で共通なので、連結ピンの内側・外側は区別されていない。

カステンの可動履帯がポンコツなせいで、手軽に(安価に)使える別売履帯がないのはKV製作上の悩みの一つだが、今回のタミヤのパーツは、上側の履帯のたるみが、タミヤの上部転輪間隔に合わせてあるのが他社への流用時のネックになりそう。もっとも、トランぺッターに流用するのであれば、(上部転輪基部が別部品なので)最初から履帯のたるみに合わせて上部転輪を配置するという手もある。

今回改めて写真は撮っていないが、ブロンコ、トランぺッター、カステンの履帯の比較はこちら

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左はタミヤの転輪サスダンパー。右は比較用のトランぺッター。タミヤのダンパーは下部側面がストレートになっているのに対し、トラペのものは基部のボルトに対応して段差がある(下部が幅広になっている感じ?)。

現存車輛の細部写真をあれこれ見比べてみると、タミヤのようにストンとなっているタイプもあるようだが、トラペのような形状のもののほうが一般的。

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サスペンションアーム(写真左)は、基部のキャップのボルトが6つの初期型標準の形質。41年型からは3つに減らされたタイプが使われるようになる。キットの仕様(41年型の最初期)の場合にどちらだったかは微妙なところ。40年型後期の一部では、溝は6つのまま、ボルトは3つに間引きされているものもあるようだ。

起動輪用のスクレーパー(写真右)は起動輪側の脚が別部品の2パーツ。写真は本体側。先端側外側に補強用のリブがあって、キットのパーツもやや片側(下側)に寄っているが、実車はもっと下に寄っている感じ。直しても直さなくても、ほとんど目立たない部分ではあるけれど。なお、青木氏の書き込みで知ったが、二股に分かれた脚部の間は完全に素通しではなく、補強板が入っている。

フェンダー

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トランぺッターの初期型KVは、おそらく、「フロントバヤ・イルストルツィヤ」の図面に引きずられて、フェンダー幅が広いミスがあったが、今回のタミヤのキットの幅は適正。ただし、フェンダー外側のL字材は、旧キットやトランぺッターでは小リベットのモールドがあったのに対して、今回の新キットはのっぺりしている(……というのを、邦人さんに言われて初めて気付いた。観察眼不足)。

2枚目写真は私の作りかけのトランぺッターで、幅詰め工作の結果無くなってしまったL字材部分を再生、ベロはプラペーパーで、小リベットはその裏側から針でつついて再現したもの。ただし、この工作は「幅詰め前のキットのモールドに在ったから再生しておこう」というもので、実車においてこの部分に必ず小リベットがあるのかどうかは未検証。

そもそも現存実車の場合、フェンダーは破損しやすい薄い鉄板のためレストアされていることが多く、あまり参考にはならない。一方で戦時中の写真ではリベットの有無が確認できるほどの鮮明なクローズアップにはなかなかお目にかかれない。

ただ、フェンダーもオリジナルである可能性が高そうな、アバディーンにあった鋳造砲塔の1941年型では小リベットがある。しかし一方で、「グランドパワー」1997/10号、p40ではリベットはないように見え(それほどクローズアップではないので、単に「見えていない」可能性もある)、また同号p39の写真ではフェンダー裏が写っているが、それにもリベットは確認できない。

とりあえずこれについては、個人的には、それほど目立つ場所でもなく、「あるともないとも言い切れないので、現状、このままでいいかな」というスタンス。ヌルい。

フェンダーステイに関してはすべて穴開きタイプ。片面に押し出しピン跡があるので、工具箱に隠れる場所以外は綺麗に消しておきたい。なお、この仕様では全穴あきでいいのだが、1941年型の中盤以降は時期により、位置により穴あきでないステイも使われるようになるので、改造する人は注意。

砲塔

なにしろ「KVの溶接砲塔は非対称(左側面前方がより強く絞られている)」というのを、このキットの発売発表後にようやく知ったくらいなのでまったく偉そうなことは言えないのだが、とにかく、それが再現されているというのは目玉の一つだろうと思う。

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砲塔の形式それ自体については、以前にまとめた記事を参照してほしい。同記事中では、「標準型溶接砲塔(タイプ3)」とした形式にあたる。

タミヤとしても気合の入っている部分のようで、単純な左右分割ではなく、ほぼ実物同様の面構成のパーツを貼り合わせるようになっているが、合わせは非常に良い。接合部の埋め込みボルト表現、バッスル下に側面・後面の装甲厚が出ている表現なども芸が細かい。また、全面に圧延キズの再現モールドが割と派手目に入っている(旧シリーズのKV-2を彷彿とさせる)。それ自体はいいのだが、同じく圧延鋼板で組み立てている車体は表面がスベスベなのとのギャップが気になる。

ちなみに現存の博物館車両の装甲板表面はかなりの「あばた面」になっているものが多いが、これは水没していたり地面に埋まっていたりして表面がサビサビになっていたせいなので、模型であまり表面をボコボコにするのは実感を損ねる(と、個人的には思う)。

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ハメ合わせのために一部切り欠きがある状態ではあるものの、砲塔リング部のギアと、砲塔側のカバーが再現されているのはタミヤとしては珍しい処理という気がする。

砲尾は全く再現されていないので、このままで「外れてひっくり返った砲塔」のジオラマ等にはできないが、エンジンデッキ上の点検ハッチがすべて開閉選択式であることもあわせて、独ソ戦の緒戦期によく見られる「撃破・放棄されたKV」を再現したい人への配慮ではないかと思う。

展開と改造

車体上面の砲塔リングガードの取付穴、戦闘室前面の増加装甲の取付穴は非貫通。先述のように転輪パーツはより初期のタイプへの展開を見越した枝配置。というわけで、いつになるかは判らないが、より初期の形式のKV発売を想定しているのは確かだと思う。

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特に、砲塔側面、車体側面の上部転輪の間に非貫通穴が用意されており、いわゆる“エクラナミ”(旧シリーズでの名称、KV-1B)はほぼ確実。旧キットはベース車体が1941年型の中盤以降のため、ヌエ的な仕様になってしまっていたが、今回のキットの車体をベースにするなら、より正確な仕様となる。

なお、エクラナミの場合は今回のキットでセットされた「リブ付きの後期型・緩衝ゴム内蔵転輪」でも標準型転輪でも、どちらでも構わない。

車体前面の増加装甲無しも想定されていることを考えると、KV-2(標準型)の発売もありそう。大砲塔のKV-2初期型は車体ディテールがかなり違うので考えづらい。

▼一方、「タミヤの最初のKV」であった鋳造砲塔型のKV-1は1941年型の中盤以降の仕様で、今回のキットとは単に砲塔・転輪の違いだけでなく、車体自体にボルトの間引き、ハッチ形状の変更などの改修が入っているため、そのものズバリの仕様のリニューアル発売は考えづらい。

ただし、より初期の生産車(おそらく1941年内)で、今回のキットと基本同一の仕様の車体に鋳造砲塔を載せたものはあるので、(どこまでディテールのバランスをとるかという問題はあるが)旧キットの砲塔を持ってきて載せ替えるお手軽改造はありかな、と思う。

目玉の「新しい、非対称砲塔」を使わないことになっちゃうけど。

▼フライング気味に、手元に余っていたトランぺッターの増加装甲パーツを使ってエクラナミを作ってしまおうか、などとちょっと考えて、パーツを合わせてみた。

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砲塔の増加装甲に関しては、上下幅はピッタリ合う。砲塔後端の傾きはごくわずかにずれがある。これも含めて、ぴったりフィットさせるには若干の調整が必要。また、写真の右側面に比べ、(非対称が再現されているため)湾曲具合が深くなっている左側面は、微調整の必要性がより高そう。

「ほぼ合っている」だけに、むしろ微調整が面倒くさそうで、「うーん。これならおとなしくタミヤのエクラナミの発売を待っていた方がいいかな」に傾き中。なお、当然ながら主砲の交換、上部転輪の交換も必要になる。

▼KV-2に改造する場合は、車体の増加装甲、砲塔リングガード等はすべて取り付けず、砲塔の交換、転輪・上部転輪の交換が必要になる。そもそも形状の把握に難があるタミヤの旧キットの砲塔を載せるのは、「新しい酒を古い革袋に入れる」ようなものでバランスが悪く、個人的にはお勧めしない。

トランぺッターの砲塔、転輪・上部転輪をコンバートしてくるのはよいが、個人的には「そこまでするなら素直にトランぺッターに手を入れて作った方がいいじゃね?」という感じはする。

▼最初にちょっと書いたように、キット指定の塗装例にある第116旅団の「スターリンのために」は、左フェンダー雑具箱の前のワクに筒形増加燃料タンクが載っている。右フェンダー上がどうなっているかは判らないが、このタイプの燃料タンクの標準搭載位置は右フェンダーの3ワクと左フェンダーの2ワク。

燃料タンクそのものは標準化されたものなので、T-34あたりから流用可能(ただし持ち手のついた両面は緩く窪んだタイプが一般的なようだ)。フェンダー上に固定用ベルトの留め具があるだけで、タンク本体をホールドする受け具のようなものはなく、フェンダーに直置きされているらしい。

こんくるーじょん

なんとなく海外サイトのキットレビュー風に。新キットだけにシャープさは十分、組み立て易さには(タミヤらしく)十分配慮された良いキットであるのは確かだが、ディーテール的には手放しで褒めづらい部分がいくつかある。

自分で手に入れてチェックしてみるまでは、「トランぺッターのキットも十分いいんだけれど、これからのKVキットのスタンダードはタミヤになるんだろうな」と思っていたのだが、「残念ながら」という気持ちではあるが、実際には、トランぺッターに負けているとは言わないまでも、置き換え切れていない感じ(トランぺッターの価値はまだまだ高い)。トランぺッターもあれやこれや弱点のあるキットなので、このへんでビシッと決定版的キットを出してほしかった……。

身も蓋も無い言い方をすると、もしもガッツリと手を入れてKVを作ることを考えるのであれば、このキットをベースにしつつ、転輪その他パーツをごそっと入れ替えるためにトラペのキットを1輌手に入れてもいいかな、という感じ。トラペのKVシリーズは後になって発売された一群を除いては、2000円そこそこで買えるので、ディテールアップ用のアフターパーツと考えてもそう高くはない。

「Recommended」よりは高め、「Highly recommended」のマイナス、といった感じかな?

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KV-1 1941年型 初期生産車 タミヤ 1:35(その1)

20200617_121446 ●なお新型コロナ感染症の第2波が心配されるところではあるが、用事があって一か月ぶりくらいに多摩川を越えたので、秋葉原に寄り道。期待の新作、タミヤの「KV-1 1941年型 初期生産車」を購入。ついでにパッションのルノーR35用エッチングも買いたいと思ったのだが、秋葉原駅周辺の店ではどこも品切れだった。

というわけで、とりあえず、ある程度主要部品を合わせてみたりした時点での簡単なキットレビューを。

FBのAFV模型のニュースグループでも、このキットを買った(あるいはもう作った)という書き込みは多く、タミヤの新作キットであるからにはそれなりに話題に上るのは当然にしても、「えっ、KVってこんなに人気だったんだ!?」と 思ってしまうほど。いずれにしても、「ピタピタと部品の合わせが決まる」とか、「旧作と比べてモールドもディテールも格段に向上」とかは多くの人が書いていることだと思うのでここではもうちょっと重箱の隅というか、個人的な「気になり部分」や、仕様としては重なっていないものの、特に直接のライバルとなるトランぺッターのキットとの部分比較などを試みることにする。

ニュルンベルク・トイフェアにおける発表時にあれこれ書いたこととは一部重なるが、ご容赦を。

仕様について

発表時のキット名称は「KV-1 1941年初期生産型」だったが、発売にあたって、「KV-1 1941年型 初期生産車」に改められた。

KV戦車のタイプ分け(年式)は、基本、後の研究者による便宜的なものなので、資料によって(使う人によって)若干の違いがある。しかし一応は、以下のような分け方が最も一般的だろうと思う。

  • 1939年型:主砲がL-11
  • 1940年型:主砲がF-32
  • 1941年型:主砲がZIS-5
  • 1942年型:主砲がZIS-5、かつ車体が装甲強化型(エンジンデッキが後部まで水平で、後端装甲が平板)

キットの「1941年型」もこの分類に準拠している。

KVはもともとレニングラードにあったキーロフ工場で生産が行われていたが、ドイツの侵攻により、工場がチェリャビンスクに疎開。1941年10月からは、このチェリャビンスクの工場でZIS-5搭載型の生産が始まる。キットは、ちょうどこの、生産が始まったばかりの頃のZIS-5搭載車を再現している。

(もう少し細かく言うと、キーロフ工場が疎開するよりも前にチェリャビンスク・トラクター工場でKVの生産準備と限定的な生産は始まっており、これに疎開してきたキーロフ工場が合わさって、10月初旬に「チェリャビンスク・キーロフ工場」と改称される。……ややこし。)

したがって、KV戦車に関しては、ドイツ軍側からの「相手を舐めてかかって侵攻してみたら、味方の対戦車砲弾をことごとく跳ね返して進んでくる怪物に遭遇して驚愕」というイメージが濃厚だが、少なくとも独ソ開戦(1941年6月)時点のジオラマなどに登場させるのは不適ということになる。

この点で、発表時の「KV-1 1941年初期生産型」という名称は、同年初めに生産されたように読めてしまって紛らわしく、訂正されたのはよかったと思う。もちろん、「1941年型 初期生産車」だって十分に紛らわしい、と言われればその通りなのだが、これはタイプ分けとして上記の方式が浸透している以上仕方がない(もちろん、「1941年10月生産車」とかいった言い方も可能ではあるが)。

さて、KVの1940年型(F-32搭載型)は、レニングラード工場では1941年夏(6-8月)にごっつい増加装甲型(いわゆる“エクラナミ”、タミヤの旧キットバリエーションのKV-1B)が生産され、その後、装甲強化型砲塔が登場したり、車体ハッチがより簡易なものに変更されたりしているのだが、疎開先のチェリャビンスクでは、移転に伴うごたごたか、サプライチェーンの問題か、それらの改修は反映されていない、より古い形質のKVが生産されている。

10月になってZIS-5搭載型が生産され始めた当初もその状態は変わらず、ものすごく大雑把に言うと、「搭載砲は最新型なのに、車体の形質はむしろやや旧型」という仕様のものが生産されることになる。キットが再現しているのは、まさにこの仕様で、具体的には、

  • 1941年の前半に生産された、1940年型標準型と同型の溶接砲塔にZIS-5搭載。側方ペリスコープ下に跳弾リブがあるなど、標準的な1940年型砲塔に比べ若干のアップデート。
  • ベース車体はほぼ標準的な1940年型と変わらないが、これに砲塔リングガードや車体前面の増加装甲を装着。
  • 転輪は1941年夏(エクラナミの途中あたり)から年内いっぱいくらいの生産車で主に使われている、リム部に小リブのある後期型・緩衝ゴム内蔵転輪。履帯は全リンクがセンターガイド付きの初期標準の仕様。

……などなど(詳しくは後述)。既存(トランぺッターとかズベズダとか)のキットのスキマを狙ったような感じになっている。ただし、キットの箱絵/デカールに採用されている第116戦車旅団の「スターリンのために」の実車と比べると、(部分的に仕様の異なる転輪を履いている、フェンダー上に筒形増加燃料タンクがあるなど)わずかに仕様の差がある。

なお、チェリャビンスク・キーロフ工場のZIS-5搭載型は、ZIS-5が搭載されるようになって間もなく鋳造砲塔が登場、さらには緩衝ゴムを内蔵しない全鋼製転輪やエンジンデッキパネルのボルトの間引きなど、また新たな簡略化改修が重ねられていくことになる。

パーツ構成

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  • A・Pパーツ(2枚):転輪等、フェンダー上の工具箱など。A枝とP枝は連結状態で、A側が起動輪、誘導輪、転輪の緩衝ゴム抑え板、P側が転輪本体と鋼製上部転輪。P側の差し替えで、初期の標準型緩衝ゴム内蔵転輪に対応することを想定しているものと思われる。(上写真左)
  • Bパーツ:フェンダー、車体後面板、前端のアングル材など。
  • Cパーツ:箱組の車体基本パーツ。
  • Dパーツ(2枚):部分連結式の履帯、サスペンションアームなど。
  • E・Qパーツ:砲塔関連パーツ。E枝が砲塔本体で、Q枝が主砲のZIS-5の砲身や防盾周り、砲塔リングガードなど。これも転輪枝同様、Q枝部分の差し替えで1940年型への含みを持たせているものと思われる。(上写真右がQパーツ。一部パーツ切り離し済)
  • Fパーツ:透明部品(前照灯レンズとフィギュア用ゴーグル)。
  • ほか、ポリキャップ、ワイヤー用糸、デカール。

とにかく、このキットに関しては「砲塔の非対称が再現された」というのが大きなポイントという気がするが、それも含めて、以下、細かいあれこれ。気になった部分について、ブロックごとにつらつらと。

車体基本パーツ

旧キットは車体がフェンダーを境に上下分割されていたが、新版は実車同様の構成。トランぺッターでは見落とされていた「上部転輪位置の不均等」も表現されている。ただし、絶対的な位置そのものに関しては、後ろ2つの上部転輪もトランぺッターのキットと若干のズレがあり、タミヤのキットのほうが、全体的に前方に寄っている。差異は微妙なものなので、どちらがより正確なのか、現時点では判断は保留したい。ただ、左側面最後部の上部転輪基部と、最後部転輪用ダンパーの位置関係からすると、タミヤのほうが実物に近そうな感じはする(もちろんそれだけで断言はできないが)。

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エンジンルーム上面パネルは、横方向のボルト数が11本の1940年型車体の標準。ボルトは平頭。パネル最前部、砲塔リング左右の3本のボルトは、トランぺッターの1940年型キットでは中央の1本(右写真黄色矢印)が忘れられていたが、このキットでは抜かりなく再現。

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エンジンパネルの吊り下げリングは、トランぺッターでは別部品で再現されていたが(左写真ライトグレーのパーツ)、組み立て易さ重視で極小パーツを嫌うタミヤでは一体成型。数は前方パネルで4か所、後方パネルで2か所、点検ハッチに1カ所(ちなみにトランぺッターは後方パネルにも4か所付けているが、これはモスクワ中央軍事博物館の展示車輛に引きずられた誤り)。

当然、タミヤのモールドに穴は開いていないので、0.5mmのドリルで開口した。トラペのパーツとは大きさが違うが、トラペが別パーツ化のために大きくしたという感じではなく、タミヤのモールドがやや小さい感じ。また、タミヤのキットではすべてお行儀よく穴が左右を向くことになるが、実車は自由回転するのか、あるいはアイボルトになっていて締め方の問題なのか、向きはてんでんばらばらなのが普通。モールドをいったん切り落として向きを変えるか、それともそもそもトラペのパーツに交換してしまうか悩み中。

中央の点検ハッチは、このリングが中央1か所の初期型形質。これがレニングラード工場の1940年型でも後期の型や、1941年型の標準的仕様では左右2カ所になる。点検ハッチのリングには、砲塔の手すりに引っ掛けてハッチを開位置で固定するためのフックが付いているのだが、キットではさっぱり省略されている(ちなみに旧キットでは上面に一体成型だった)。これは本来付いていて然るべき部品なので、パーツを含めておいて欲しかった。

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ラジエーターグリル、および後端オーバーハング下のメッシュはプラパーツ。ラジエーターグリル部が別パーツなのはトランぺッターと一緒で(ただしトラペと違ってメッシュ下のルーバーは再現されていない)、これは後々、アフターパーツのエッチングなどと交換する場合には都合がよい。一体モールドだった旧キットは、このメッシュが前端まで同じ断面形のカマボコ型だったと思うが、そのような形状なのはたぶんKV-2の初期型だけで、通常はこのように先端が潰れている。別売のエッチングパーツでも、これは再現されていないものが結構多い。

なお、エッチングで組む場合にこの断面変化は曲げが面倒になる部分で(アベールでもなかなか難しかった)、たぶんこれから出るであろうタミヤ用エッチングパーツ(パッションとか)では一工夫欲しいところ。

右写真で一緒に写っている車体前端のアングル材は、初期型車体標準の、埋め込みボルトが11本のタイプ。1940年型でも、第371工場で生産されたという装甲強化型砲塔を載せたタイプ(1941年の初秋生産)では8本に減っているが、チェリャビンスク工場では、ZIS-5搭載型になってもまだ11本タイプが使われていたらしい。同工場での生産車ではその後1本おきに間引く感じで6本になり、さらにその後は埋め込みボルト自体が廃止されてしまったようだ。というわけで、前後のタイプに改造しようという人はご注意を。

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湾曲した車体後面板の下端は、シャーシの床板との間に段差ができる仕様。

レニングラードで作られた1940年型では、この部分は床板とツライチになるように面取りされている(トランぺッターのキットでは初期型車体でもそのようになっていないので注意)。一方で、このキットの仕様に最も近いと思われる、モスクワ中央軍事博物館の屋外展示車輛では段差付きになっているので、キットの仕様で組むのであれば、段差付きのままでよいようだ。もしかしたら、チェリャビンスク工場での生産車は最初から(手間を省くために)段差付きであったのかもしれない。

シャーシ前面増加装甲は、向かって右下角に切り欠きがないタイプ。もともとこの切り欠きは、車体側に埋め込みボルトの溶接痕があって、そのままでは増加装甲が干渉して浮き上がってしまうのを、最初は溶接痕のほうを丁寧に削って平らにしていたものを、後にはお手軽に増加装甲側に切り欠きを作って対処するようになった――というものではないかと思う。

エクラナミあたりだと切り欠きはないのが普通で、1940年型でも短バッスル砲塔(バッスル下が丸でも角でも)だと切り欠き付きが普通になっている感じ。問題はキットの仕様だが、これも実際には切り欠き付きの可能性が高いのではと思う。なお、キットでは車体側の埋め込みボルト痕は再現されていない。

転輪と上部転輪

転輪は先述のように、リム部に小リブのある緩衝ゴム内蔵転輪のなかでも後期のタイプ。実際には、キットの塗装例にある、第116戦車旅団の「スターリンのために」号は、少なくとも左側第一転輪はちょっと珍しい、リブが小さくまばらなタイプを使っている(詳しくはセータ☆さんの記事「KV-1 ハーフリブ・タイプ転輪」を参照のこと)が、キットにはこのタイプの転輪は付属していない。

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写真1枚目は、右から、今回のタミヤの転輪。中が同タイプのトランぺッターの転輪。左は今から30年くらい前だったか、タミヤのKV-2を当時出来る範囲の技術力でとことん手を入れて作ろう!と思った時にタミヤの転輪では我慢できず、原型を作って知人にレジンで複製してもらった自作の緩衝ゴム内蔵転輪(標準型)。ちなみにそのKV工作は、転輪を作っただけで力尽きた。

写真2枚目は、より詳細に比較するため、タミヤとトランぺッターの転輪を並べて、おおよそ正面から撮ったもの。全体の径はタミヤとトランぺッターで変わらず、内側のゴム抑え板の径も変わらない。全体のモールドもタミヤのものはシャープでよく見えるが――

 (1).ゴム抑え板の中心部分、転輪ハブ部分がトラペに比べてやや大きい。実車のパーツと比べると、トラペのもののほうがバランスが良いように感じる。ただし、ゴム抑え板パーツ単体で見ると目立つ径の違いが、実際に(この写真のように)転輪に付けてしまうとそれほどは目立たない。

 (2).しかし、それよりも気になるのは、ハブキャップ周りのリング部分に本来ある8カ所の刻み目が、トラペでは再現されている(私の30年前の自作パーツでも再現している)一方で、タミヤのパーツではさっぱり無視されていること。うーん。これはちょっと……。

 (3).また、このゴム抑え板は転輪の表側と裏側、さらには向かい合わせになった内側と、4面ですべて同じはずだが、タミヤの転輪パーツでは、3枚目の写真にみるように、外側転輪の内側はモールドがないつんつるてん、内側転輪の内側(変な言い方)ではそれさえもなく窪んだ形状になっている。実際、組み上げてしまえば見えにくい部分ではあるが、全く見えないというわけでもなく、この処理はちょっと残念。

 (4).「どうせ見えないからいい」と言ってしまえばそれきりだが、タミヤの転輪では、転輪の表と裏でリム部の小リブの位置が鏡写しになっている。実際には(トラペの転輪でそうなっているように)穴とリブの位置関係は正面から見たときに表側も裏側も一緒のはず。穴の位置は表裏で固定のため、リブ位置は表裏で穴を挟んで反対側にズレることになる。4枚目の写真が転輪裏側の両社比較で、タミヤの転輪のリブ配置がトランぺッターの逆(そしてタミヤの転輪の表側とも逆)になっていることがわかる。

 (5).さらに一点。タミヤのキットは転輪の内側・外側、さらにゴム抑え板の3パーツそれぞれに位置決めダボがあり、転輪の内外は穴の位置がきっちり揃い、ゴム抑え板はリム部のリブに対し、ゴム抑え板のリブがやや時計回りにズレた位置ですべて揃うようになっている。しかし、実際の転輪は緩衝ゴムを挟んでそれぞれのパーツは独立しているため、位置は個々の転輪でてんでんばらばらのはず。キットのようにすべて揃っていては逆に不自然。

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上部転輪はチェリャビンスクで導入されたものと思われる全鋼製のもの。初期型への展開に備えてか、リブ付き転輪リム部と同一枝。

起動輪と誘導輪

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起動輪はきちんと16枚歯。旧キットでは歯数が余計で、トランぺッターではロットによって(?)スプロケット固定ボルトの位置ズレがあるなど、意外に恵まれていなかったパーツなので、素直にそのまま使えるパーツが出たのは嬉しい。

トラペのパーツに比べると若干メリハリに乏しく、ちょっとノッペリして見えるかもしれないが、実車も段差はそれほどなく、むしろこちらの方がイメージに近い。中央皿形カバーは初期型標準の16本ボルトタイプ。

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一方でいささか問題ありに思えるのが誘導輪。形状的にはほとんど変わらないのだが、径が明らかに違う。青木氏の書き込みで知ったがタミヤの旧キットの誘導輪と比べでも小径とのことなので(そもそも小径だということ自体、氏の書き込みで知ったのだが)、トラペと旧キットの誘導輪径はほぼ同じ、新キットだけ小さい、ということであるらしい。直径はトラペが約19.5mm、タミヤは17.8mm程度で、1.5mm以上の差がある。

写真からの読み取りとか、実車の計測の過程とかで「やや大きい/小さい」くらいの差が出るのは普通にあるだろうが、サイズが1割も違うとなると、明らかに元になった寸法データ自体が異なっている。

手元の資料中に、実車の正確な誘導輪径は見つけられなかったが、「フロントバヤ・イルストルツィヤ」に掲載されている1:35の図面のサイズはトランぺッターのものに等しく、また、何輌かの現存車輛のおおよそ真側面の写真から、転輪と誘導輪の大きさの比を計って比べた結果でもトランぺッターのほうが正確そう。ええ、どういうこと……?

「実は全く相似形で大小2種の誘導輪があった」とかいう大どんでん返しの結末だったりすると、「2種類の誘導輪が簡単に手に入るようになってラッキー♪」だが、さすがにそんなことはなさそうな気がする。

長くなったので続きは改めて。

6/27追記:グムカ(高田さん)のツイッターによれば、KV-1Sには、KV標準型のものと相似形で小径の誘導輪が使われているそうだ。ただし、1Sであってもすべて小径であるわけではないらしい。問題は、その小径の誘導輪がいつから使われ始めているかで、より綿密な検証が必要になりそう。しかしそこでネックになるのは、大小あったとして、それが同じ形をしている(相似形である)ことで、「いやいや、明らかに違うものだと判るように、外形的特徴も変えといてくれよキーロフスキー!」と、声を大にして言いたい。

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図書館

20200612_142214 ●市立図書館が、なお制限はあるものの閲覧・貸出再開されたので、12日金曜日、久々に本を借りに行く。

常に入り浸るほど「図書館ホリック」ではないものの、行けないとなると何だかむずむずし出すくらいには図書館好きではある。

利用頻度を下げるために貸出期間が3週間に伸びており、まとめて3冊借りてきた。持って帰るのが重かった……。

▼「増補・改訂 アイヌ文化の基礎知識」監修:アイヌ民族博物館 増補・改訂版監修:小島恭子 草風館

たまたまアイヌ関係の棚が目に入って、その中で割と読み易そうで、書名通りに「基礎知識」のレベルが上がりそうだったので借りてきた本。私自身が琉球系ということもあって、「ヤマトではない日本」は常に興味の対象。

▼「世界の戦車 1915~1945」ピーター・チェンバレン&クリス・エリス 大日本絵画

AFVマニアならおなじみの、第二次大戦までの戦車のエンサイクロペディア。この日本語版が発売されるよりも前から英語版の(より大判の)原著は持っていて、そのせいで日本語版は結局買わなかった。今から見ると、たぶん内容的には「えー?」という部分も結構あるのではと思うが、マイナーな戦車の系統とか、概略を知るのにものすごくお世話になった本。戦車を生産していない国を含め、小国の使用(輸入)状況について巻末にまとめてあるのが個人的にはポイントが高い。とはいっても、英語が不得意な私は内容をしっかり読み込んであるわけではなく(まあ、そもそも読み込むようなタイプの本でもないが)、この際改めてざっと読んでみようと思って。

▼「重戦車大隊記録集1陸軍編」ウォルフガング・シュナイダー 大日本絵画

ティーガーを作る人には、おそらくバイブルとも言えるのではないかという大冊の1巻目(2はSS編)。大戦後半のドイツ軍は基本的に対象から外れる私は絶対に買わない本ではあるけれど、かといって興味がないわけではなく(ティーガーのキットも一応持っているし)、ちょっとした「お勉強」用に。

●「Pokémon GO」につき、NIANTICから公式発表。再来月、2020年8月上旬予定のアップデートをもって、32ビット版Android端末への「Pokémon GO」のサポートを終了するとのこと。

こうした足切りの基準になるにもかかわらず、スマホの公表されたスペックには32bitなのか64bitなのか明記されていないのが普通だそうで、そのこと自体、端末メーカーに文句を言いたいところだが、とりあえず、「CPU-Z」というアプリで、私のスマホがどちらなのか確認できた。……32bitだった。あうう。

「Pokémon GO」のために端末を買い替えるのも癪だし(お金もないし)、どうしたってそのうち、端末がヘタれば買い替えることになるので、それまで「Pokémon GO」は封印ということにしようと思う。

そもそもここ数日の、アプリが起動できない不具合に関しても、公式発表では「Android 5 または 6 の一部の端末」で発生していることになっているが、これって要するに32bit端末ということなのではないだろうか。

当然、そのうち32bitがサポート対象外になるのは当然だったとしても、今回の不具合発生が「ああもう、やってらんないや~」のきっかけになったような気も(ちなみに不具合は現在も未解消)。

●「アハトゥンク・パンツァー」の著者、尾藤さんの「パンツァーメモ」の掲示板で掲示板で、尾藤さんに、スロバキア軍の38(t)、完成していたらブログで見せて下さいと言われてギクリとする。……数年前、完成直前まで持っていって、それっきりになっていたので。

どこにしまったっけな、と、身近な模型箱をごそごそと漁って、なんとか本体は発見。ブレダ20mm搭載I号戦車A型(未塗装)とともに、ヴィッカース水陸両用戦車の箱にしまってあった(この脈絡のなさ……)。

というわけで、製作記の現状の最終回(ちなみに2016年の4月)から何の進展もしていないのだが、現状は以下の通り。

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私の35AFVの作りかけの中では、最も完成に近い状態かも。しかし、なんでここまで塗って中途半端に放置するかなあ。

なぜか起動輪が片方行方不明。履帯もないが、これは本来のキットの箱に入っているはず……だが、それがどこにいったやら。そっちの箱にもう片方の起動輪も入っているといいなあ。

ちなみに尾藤さんの「パンツァーメモ」では、III号E型、F型に続いて、38(t)戦車各型の完成品写真が披露されている。特に38(t)に関しては、個人的に電撃戦の主役であるA型、B型がツボなのだが、尾藤さんの作品で、意外に細かくA型とB型が違うのを知ってびっくり。物干し竿みたいなアンテナくらいしか違わないのかと思っていた。

A型は転輪も違うというのは知らなかった。スロバキア陸軍の、チェコ迷彩の最初の5輌はどうだったかなあ、と思って写真を漁ってみたが、3色迷彩の時期ののV-3000が初期型転輪っぽいかな?という感じ。カーキに塗り直されたV-3003は通常転輪のようだ。

戦争中盤以降に入手したドイツ軍の中古車両の中にも何輌かのA型が混じっているが、こちらは流石に後期型(というか標準型)の転輪に交換されているかもしれない。

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ブロック崩し

●「ブロンコ沼」から女神さまが現れて、

「あなたが使うのは、この歯数が正しくてサイズが違う起動輪でしょうか、それともサイズが正しくて歯数が違う起動輪でしょうか」

と訊ねるので、そっと見なかったふりをして森の外に出ることにしました(これにてひとまずお話はおしまい)。

……ここで「いえ、女神さま! 私が使うのはサイズも歯数も正しい起動輪でございます!」と言ったら、女神さまは褒めてくれるのかなあ。「よくぞ申しました、ではこのサイズが違う起動輪も、歯数が違う起動輪もあなたに授けましょう」って言われても嬉しくないしなあ。

●というわけで、ひとまずオチキスに関してはそれぞれ(3キット)そっと箱にパーツを戻して、何かとてつもない精神の高揚期が来るまで再び熟成させておこう……と思ったのだが、その前に。

起動輪ほどではないものの、これまた簡単に対処は出来そうもないと思った「誘導輪の形状が変(より正確には、再現度が(かなり)不十分)」という問題だが、(前回も触れたように)hn-nhさんは、過去、オチキスの自走砲の工作で、キットのパーツをコリコリ削ってそれなりの形に仕上げていたことが判明。その写真がある記事はこちら

いやいやいやいや。ちょっと待って。一度リム部を削り落すとかじゃなくて、キットのパーツを彫り込むだけで、そんなふうにできるの?

というわけで、「そっと箱にしまう」前に、私自身も削ってみることにした。主に使用した工具は、丸棒ヤスリ(の先端)と、先日も紹介した刃先を研いだマイクロドライバー(マイナス)。結果はこちら。

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左がピットロード/トラペ、右がブロンコ。2つ削るのに1日がかりだった(もちろん、そればかりやっていたわけではないが)。

総括:やってできないことはない、ということは、とにかく判明(が、もちろん面倒臭い)。また、ここまで削ってもhn-nhさんほどディスク部の「ふっくら感」は再現できていない。しかし、これ以上削るとリム部内側のあたりでパーツに穴を開けちゃいそうなんだよなあ。また、仕上がり具合もhn-nhさんの作例よりだいぶ粗い。前回、hn-nhさんを「人間ろくろ」と評したが、改めて「人間NC旋盤」と呼ぶことにしたい。

ちなみにわざわざ別会社のものを1個ずつ削っているのは、最初、「部品をオシャカにするかもしれないから、小リベットのモールドがないブロンコを実験台にしよう」ということで右を削り、次に「なんとかなりそうだから(本番として)トラペを削ろう」と左を削ったため。

なお、実際に作業した感じではブロンコのもののほうがプラが柔らかく削りやすかったが、me20さんの評にあるように、ちょっとケバ立つ感じがした。また、ここまで削ってしまうと片方を捨てるのももったいないし、どうせ両方一緒に見えるわけでもないので、これで1輌分として削り作業は終了、ということにしたい気も。

●今回キット比較をするために改めて押入れのストックの山をごそごそしていたら、久しぶりに目にするキットとか、「あっ、これ、前に探していて見つからなかったやつだ!」なんていうのも出てきたり。

「久々に目にした」一つがこれ。チェコ、KP製の1:72「AERO MB-200」。箱が汚いのはご勘弁。

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KPはまだ東欧が「共産圏」だった頃のチェコスロバキアで活動していたメーカー。というか、ボチボチ新製品もあるようで、今でも活動しているらしい。

そもそもNOVO-FROG以外、「東側」のプラモデルなんてなかなか日本の模型店には出回っていない頃から、KPは結構模型店の棚で見かけることが多く、後から思うに、「さすがチェコは先進工業国」ということなのか、それともプラモデル趣味が存在する文化があったのか。初期の製品は、アヴィアS-199(メッサーシュミットBf109の戦後チェコスロバキア生産型)とか、レトフŠ-328、アヴィアB-534、B-35といった国産機中心で、アイテム的には変わり種、しかし技術はちょっと……という感じだった。

しかし、その後次第に技術が向上して、このMB-200は、(scalematesによれば)1985年発売で、まだ東欧革命前のものだが、「かなり素敵なキット」と言える内容になっている。

ちなみにキット名称はチェコの航空機メーカーAEROの名を冠しているが、実機はフランス、マルセル・ブロック社が開発した双発重爆で、アエロはライセンス権を取得して生産したもの。本国フランスでは、第二次大戦でもまだ少数(本来の爆撃機としてではなく偵察や輸送用途で)使われたらしい。ちなみに、後継機種で低翼・引込脚になったMB210も、キットがエレールから出ている。

マルセル・ブロック(Marcel Bloch)はユダヤ系の航空機技術者で、彼のメーカーはこの爆撃機のほか、第二次大戦勃発時にはMB150シリーズという空冷エンジン装備の単発戦闘機も開発・生産しているものの、これはぼろぼろ欠陥が露呈してほとんど活躍できなかったなど、あまりぱっとしない。しかし、戦後は姓を兄のレジスタンス時代の変名に改名し、会社名も「マルセル・ブロック社」から「マルセル・ダッソー社」に変更。その後、超ベストセラーのジェット戦闘機、ミラージュ・シリーズを生み出している。戦前・戦中はぱっとしないのに、戦後大躍進したという点では、ミグなどとも近いかも。

なお、「Dassault」はもともと「D'Assault」(英語ならof assault)。つまり「マルセル・ダッソー」は「突撃マルセル」の意味なわけで、なかなかスゴイ名前。「突貫カメ君」っぽい。

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KPの初期の製品はパーツも分厚く、バリも結構出ていて難物感が高かったが、このキットは部品もシャープでスッキリしている。

飛行機モデルといえば胴体は左右分割が普通だが、旧式機らしく四角い断面のこの機の場合は大胆に箱組。4枚目写真にあるように、エンジンナセルも箱組。整流板かよー、みたいな細かいリブのある主翼表面も綺麗なモールド。ただし、尾翼周りなど一部にちょっとだけバリがあり、透明パーツの透明度もやや低め。デカールはかなり黄変していて使えなさそうだが、そもそも私はフランス機として作りたい気がする(あるいはスペイン共和国軍とかブルガリア軍とか)ので無問題。手書き感あふれる組立説明図も素敵。

何と言うか、非常に主観的な話になってしまうが、「ワクワク感溢れる模型って、こういうものだよなあ」と思わせる内容。問題は、決して誰もがワクワクするわけではないアイテム選択だろうが、また、そういうアイテムに(傍目では理解しづらい)力の入り方が見られるところが、ワクワク感を覚える源のような気もする。

……いや、そこまで褒めるなら仕舞い込んでないで作れって(←自分ツッコミ)。

●ブロックが出てきた在庫の山のブロック崩しの発見物その2。ロシア、マケット/モデリストの1:48、モラン・ソルニエG/H。

これは以前「そういえばあれ、どこに行ったかなあ」と探して見つけられなかったもの。意外に山の浅いところにあった。

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左の汚いのが箱の表。右が裏。そう、このキット、外箱と内箱でまったく同じ紙を使っているのだ。もちろん、内箱の方がやや小さめに折ってある。

マケットは陸物キットを見ても想像できるように、ここ自体がメーカーではなくてあっちこっちの金型(あるいは最終製品)を扱っている商社のような感じなので、このキットも併記している「モデリスト」のほうがそもそものメーカーなのかも。

箱にはローマン・アルファベットで「Moran G」、キリル文字で「Моран Ж」と書かれている。形式の「G」が、ロシア語だと「Г(ゲー)」ではなく「Ж(ジェー)」になるのは何故? 音じゃなくてアルファベットの順番?

箱は横幅で25cm弱しかなく、一昔前の1:72大戦機クラス。しかも箱を開けたら、なぜか2機分入っていた……。ありゃま。

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もちろん最初から2機入りだったということではなく(そういうキットも世の中にはあるが)、なんとなく、後からもう一つ、何かの機会に入手したようなおぼろげな記憶が。そのまま一つの箱にまとめて忘れていたらしい。

小さい箱に2機分なのに箱に大分余裕があり、(古典機ゆえということもあるが)パーツ構成はごく簡単。

こういうロシア・東欧製の怪しいキットだと、モールドもでろでろだったりすることも多いのだが、このキット場合は、(飛行機キットの肝の一つと言える)主翼後縁が素晴らしくシャープに薄い(それでいて、一機のほうの主翼はプラにゴミか何かが混入してまだらになっている)。

古典機によくある、裏側が窪んだ翼型は、本来ならリブとリブの間の布地は凹んでいるのではなく、むしろやや出っ張っているくらいでないと変なのだが、これは圧倒的多数の古典機キットが等しく間違えているので、ことさらこのキットを責めても仕方がない、美しい主翼に比べて、尾翼はボッテリしているのはご愛敬。

さて、中身は2機分だが、それぞれちょっと流通経路に違いがあったらしく、説明書も2種類入っていた。ひとつはA4版表裏でペラリと一枚。

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片面はまさに「組立説明図」なのだが、昔のレベル72の説明図もこんな感じだったかなー、みたいな簡単なもの。いや、キット自体の構成もこんなもんだし。しかしもう片面はキットの内容からするとギャップも甚だしい、ちょっと本格的な細部図解も含めた図面。これを見てディテールアップしろと!?

しかし、もう片方の説明書はさらに面白い。こちらはA4版2枚、裏表の4ページ。

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1ページ目は英語のそれなりの長文の実機解説。下に出典資料も列記してあるのが誠実。2ページ目が組立説明なのだが……。いやこれ、組立説明図って言えるの? 翼の取付け等については全く触れられていない一方で、胴体の図解は詳細で、一部構成品については「これはキットのパーツに含まれていないが自分でなんとかせぇ」みたいなことが書かれている。スパルタ!?

興味深いのは、こちらの説明書ではキット名称が「モラン・ソルニエ H」になっていること。実を言えば、キットはG型とH型の折衷のようなところがあり、H型として組む方がより簡単、ということであるらしい。また、箱はG型表記なので、もともと最初の説明書が入っていたものであるらしいことが判る。

3ページ目はモラン・ソルニエH型(G型との相違点含む)の1:48図面。この図解で、キットの主翼は基本H型で、G型の場合はリブ一つ分スパンが長いらしいことが判る。そして4ページ目は改造の手引きとして、モラン単葉機のライセンス生産型である、ドイツのファルツE.I/IIの図面と相違点の解説。スバラスゴイ。

ちなみにこのモランG/Hは、有名なフォッカー単葉機に非常によく似ているが、これは、戦前のベストセラーでドイツで(ファルツが)ライセンス生産もされていた本機のデザインを、フォッカーがほとんど丸パクリしたため。はっきり言って、見た目上は尾翼が尖っているか、“コンマ”形か、くらいの違いしかない。ただしフォッカー単葉機は本機と違って鋼管フレームを採用したこと、初めて実用的なプロペラ・機銃同調装置を搭載したことで「名機」として歴史に名を残すことになった。

●他にも、いつどういう経緯で入手したのかさえ全然覚えていない、(いろいろな意味で悪名高き)フェアリー企画の1:72「満州国軍オースチン装甲車」なんてのも出てきたりしたが、これはまたいつか、機会があれば。

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