製作記・レビュー

新製品ニュース

●前回記事へのコメントで、めがーぬさんから第一報を聞いて仰天したニュース。タミヤから、

  • IV号戦車F型
  • マーダーI(7.5cnPaK40搭載ロレーヌ牽引車)

が発売される由。7月1日、2日に開催された静岡模型教材共同組合主催の商談会の場で発表されたらしく、3日付のタミヤのツイッターでも公表されている。

田宮会長が旧製品のリニューアルを積極的に図っていきたいと語っていた旨、“ハラT”青木伸也氏のつぶやきで読んだ覚えがあるのだが、上のIV号F型はその流れかな、と思う。

旧キットで出ていたD型ではないのは違いがあり過ぎて既存の設計データや部品の使い回しが基本全くできなくなるためかと思う。よくよく写真を見ると、見本の前の札に「砲塔、車体上部、履帯、人形など主要な部分は新規開発。(グレー成型色の部分)」と書かれていて、要するに車体下部や転輪等は、既存のH初期型キットからの流用ということになる。中型ハブキャップの幅広転輪はすでにH型キットで使われているのでそのまま、履帯はベルト式でなく部分連結式に変更だろうか。ハンガリー軍IV号戦車の“主力”がF型だったことを考えると、タミヤのY氏の陰謀もありそうな気もするが、それなら38(t)がG型ではなかったのが解せぬ(笑)。

タミヤの最近の新製品の傾向を見ると、特定の仕様・塗装例に準拠した構成にしている場合と(たとえば38(t))、塗装例とは細かい仕様が違っていても比較的標準的な構成でまとめている場合と(例えばKV)の2系統があるような気がしているが(あるはそこまで考えていないのかもしれないが)、このIV号F型の場合はどんな出し方をしてくるのかもちょっと気になる。

もっとも、F型以降は傑作・新作キットがすでに存在しているのに対し、D型は今なお最もマトモなキットが、最初の箱組からすでに難儀な旧トライスター(現ホビーボス)であることを考えると、「なんでD型じゃないんだ!」と言いたいIV号マニアは多そう。F型じゃ大戦初期(フランス戦まで)のシーンにも使えないしね。

ロレーヌベースのマーダーIについてはさらに驚き。今世紀に入ってからのタミヤの新製品で、個人的に「ええっ、そんなの出すの?」と最も驚いたのはルノーUEだったような気がするが「(シムカとかはUEの後だったし、ちんまいキットだったのでまだショックが小さかった)、それに匹敵するかも。しかし、原型のロレーヌ牽引車は、展開として想定はしているだろうけれど、いつ出してくれることやら……。

もういっそのこと、マーダーIとロレーヌ牽引車のコンパチにしてくれないかな……。38(t)ベースのマーダーIIIなどと違って大胆なレイアウト変更とかはないわけだし。

●上で名前の出た青木氏は現在タミヤのKV-1をこつこつ組み上げてそろそろ塗装に入ろうかという段階に到達している。しかし改めて考えると、氏はタミヤのKV発売に前後して「タミヤの新KVの部品取り用に」と、トランぺッターのKVを2輌も新規調達したはずなのに、パーツを一つも流用した気配がない。

私自身はといえば、とりあえず部品取り用のトラペKV(KV-2)を1輌持っていて、誘導輪はそちらを使おうか迷い中。転輪のゴム抑え板もできればトラペのものを使いたいのだが、今後のことを考えると、ゴム抑え板はそのまま使うのではなく、複製量産して使いたい感じ。

小さく平たいパーツなので、型自体は「おゆまるくん」の片面取りでいいとして、複製材料はお手軽で/安価で/気泡が残りづらいのは何がいいのだろうか。KVのゴム抑え板程度だと複製材料の量自体少なくて済むので、キット一つ複製するような量のものは確実に余す(そして使い切る前にダメにする)可能性が高い。もう数十年前に、KV初期型転輪を作るのに2液混合無発泡ウレタンを使って以来、まともに複製はしたことがなく、「複製経験値」が著しく低いので、適当な材料がぱっと浮かばない。「ちょっとした複製ならこういうのがいいよ」というお勧めがあればぜひご教授下さい。

さらに脱線。青木氏のツイートの中に、「ねこちぐら」に名前を残したことで(ごく一部で)有名なフォン・ツィーグラー博士の名前が出てきて、久しぶりにその名前に接して懐かしくなる。あまりに懐かしかったので、20年以上前に書いた「ニイガタハシリマイマイ」の記事を復活させてみた。

今読むと「なんで一種しかいないのに学名に亜種名が付いてるんだよ」とか、「殻が軽量といっているカタツムリがかかとにあたってもビックリはするかもしれないけど骨折はしないよな」とか、いろいろツッコミどころはあるもののそのまま。

●前回記事に関わるこぼれ話。

▼裁判員・補充裁判員には日当・交通費が支払われる。日当は拘束時間当たりで一日一万円が限度。交通費は「こうやって来ています」という申告は不要で、勝手に裁判所側で経路と値段が算定される。書いてあった金額は私が実際に使っている交通費より若干低く、基本「一番安い経路」で算定されるらしい。今回は天気が悪い日も多く、逗子駅と自宅間はバスを使うことも多かったので交通費的には足が出た感じ。

もっとも、徒歩の部分のキロなんぼで計算されるらしいので、「逗子から横浜地裁まで歩いてこい!」というようなことにはならない。

▼現在はネットが発達している世の中なので、事件によってはネット上にも様々な情報が流れていることがある。基本、裁判員裁判の対象になるのは注目度が高い重大事件であることが多いので、それだけネット上の情報も多くなる。が、あくまで裁判員が下す判断は法廷に出てくる証拠にのみ基づかなければならないので、「予断に結び付きかねないので、わざわざ調べるようなことはしないでください」と念押しされた。

▼横浜地裁は裁判員制度導入直前に改築されていて、そのため、実は細かいところで裁判員制度に適した建物の構造になってないんですよ、というような話を聞いた。

ちなみに裁判員制度が導入されてほぼ10年。裁判官のほうも、若手は最初からこの制度下で裁判を行っているわけだが、ベテランはこの制度導入前あら仕事しているわけで、それまでは(裁く対象である被告人は別としても)基本は検事、弁護人という「法律のプロ」と仕事を進めていればよかったものが、いきなり素人を相手に、引率の先生か添乗員みたいな仕事をしなければいけなくなったわけで、なかなか大変そう。裁判官に求められる資質も違ってきているのかもしれない。

ただし、「裁判を身近で判りやすいものにする」「裁判の中に一般市民の感覚を取り入れる」という制度の目的の一方で、うがった見方をすれば、「素人の裁判員たちを上手に、それと気付かせないように意見誘導してまとめ上げる」のが優れた裁判官であるということになりかねない、という危惧も当然ある(今回の裁判では逆に「えっ、裁判官って、素人の裁判員の言うことをいちいちそこまで取り上げて検討するの?」と思ったりしたが)。

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KV-1 1941年型 初期生産車 タミヤ 1:35(その2)

●タミヤの新作、「KV-1 1941年型 初期生産車」のチェックの続き。

履帯その他足回り関連

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履帯は全履板が同一でセンターガイドがある初期標準の構成。1940年型後期の一部ではセンターガイドがない履板が混ぜ履きで使用され、1941年型の中盤からは2分割履板が混ぜ履きされるようになる。

パーツの裏面には押し出しピン跡があるが、さほど凹凸はないので、スポンジやすりで少し削る程度でなんとなかるのではないかと思う(まだ試していない)。

左写真はマスタークラブ(旧版のレジン製)との比較。ディテールは(タミヤのほうがやや硬めかな?とは思うものの)大差なし。ピッチは、この写真ではタミヤ側が上部転輪に合わせて垂れた状態になっているパーツのため、画像の右端と左端とで違いが生じているように見えるが、実際にはほとんど差はない。ただし、キットの履帯は右用・左用で共通なので、連結ピンの内側・外側は区別されていない。

カステンの可動履帯がポンコツなせいで、手軽に(安価に)使える別売履帯がないのはKV製作上の悩みの一つだが、今回のタミヤのパーツは、上側の履帯のたるみが、タミヤの上部転輪間隔に合わせてあるのが他社への流用時のネックになりそう。もっとも、トランぺッターに流用するのであれば、(上部転輪基部が別部品なので)最初から履帯のたるみに合わせて上部転輪を配置するという手もある。

今回改めて写真は撮っていないが、ブロンコ、トランぺッター、カステンの履帯の比較はこちら

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左はタミヤの転輪サスダンパー。右は比較用のトランぺッター。タミヤのダンパーは下部側面がストレートになっているのに対し、トラペのものは基部のボルトに対応して段差がある(下部が幅広になっている感じ?)。

現存車輛の細部写真をあれこれ見比べてみると、タミヤのようにストンとなっているタイプもあるようだが、トラペのような形状のもののほうが一般的。

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サスペンションアーム(写真左)は、基部のキャップのボルトが6つの初期型標準の形質。41年型からは3つに減らされたタイプが使われるようになる。キットの仕様(41年型の最初期)の場合にどちらだったかは微妙なところ。40年型後期の一部では、溝は6つのまま、ボルトは3つに間引きされているものもあるようだ。

起動輪用のスクレーパー(写真右)は起動輪側の脚が別部品の2パーツ。写真は本体側。先端側外側に補強用のリブがあって、キットのパーツもやや片側(下側)に寄っているが、実車はもっと下に寄っている感じ。直しても直さなくても、ほとんど目立たない部分ではあるけれど。なお、青木氏の書き込みで知ったが、二股に分かれた脚部の間は完全に素通しではなく、補強板が入っている。

フェンダー

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トランぺッターの初期型KVは、おそらく、「フロントバヤ・イルストルツィヤ」の図面に引きずられて、フェンダー幅が広いミスがあったが、今回のタミヤのキットの幅は適正。ただし、フェンダー外側のL字材は、旧キットやトランぺッターでは小リベットのモールドがあったのに対して、今回の新キットはのっぺりしている(……というのを、邦人さんに言われて初めて気付いた。観察眼不足)。

2枚目写真は私の作りかけのトランぺッターで、幅詰め工作の結果無くなってしまったL字材部分を再生、ベロはプラペーパーで、小リベットはその裏側から針でつついて再現したもの。ただし、この工作は「幅詰め前のキットのモールドに在ったから再生しておこう」というもので、実車においてこの部分に必ず小リベットがあるのかどうかは未検証。

そもそも現存実車の場合、フェンダーは破損しやすい薄い鉄板のためレストアされていることが多く、あまり参考にはならない。一方で戦時中の写真ではリベットの有無が確認できるほどの鮮明なクローズアップにはなかなかお目にかかれない。

ただ、フェンダーもオリジナルである可能性が高そうな、アバディーンにあった鋳造砲塔の1941年型では小リベットがある。しかし一方で、「グランドパワー」1997/10号、p40ではリベットはないように見え(それほどクローズアップではないので、単に「見えていない」可能性もある)、また同号p39の写真ではフェンダー裏が写っているが、それにもリベットは確認できない。

とりあえずこれについては、個人的には、それほど目立つ場所でもなく、「あるともないとも言い切れないので、現状、このままでいいかな」というスタンス。ヌルい。

フェンダーステイに関してはすべて穴開きタイプ。片面に押し出しピン跡があるので、工具箱に隠れる場所以外は綺麗に消しておきたい。なお、この仕様では全穴あきでいいのだが、1941年型の中盤以降は時期により、位置により穴あきでないステイも使われるようになるので、改造する人は注意。

砲塔

なにしろ「KVの溶接砲塔は非対称(左側面前方がより強く絞られている)」というのを、このキットの発売発表後にようやく知ったくらいなのでまったく偉そうなことは言えないのだが、とにかく、それが再現されているというのは目玉の一つだろうと思う。

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砲塔の形式それ自体については、以前にまとめた記事を参照してほしい。同記事中では、「標準型溶接砲塔(タイプ3)」とした形式にあたる。

タミヤとしても気合の入っている部分のようで、単純な左右分割ではなく、ほぼ実物同様の面構成のパーツを貼り合わせるようになっているが、合わせは非常に良い。接合部の埋め込みボルト表現、バッスル下に側面・後面の装甲厚が出ている表現なども芸が細かい。また、全面に圧延キズの再現モールドが割と派手目に入っている(旧シリーズのKV-2を彷彿とさせる)。それ自体はいいのだが、同じく圧延鋼板で組み立てている車体は表面がスベスベなのとのギャップが気になる。

ちなみに現存の博物館車両の装甲板表面はかなりの「あばた面」になっているものが多いが、これは水没していたり地面に埋まっていたりして表面がサビサビになっていたせいなので、模型であまり表面をボコボコにするのは実感を損ねる(と、個人的には思う)。

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ハメ合わせのために一部切り欠きがある状態ではあるものの、砲塔リング部のギアと、砲塔側のカバーが再現されているのはタミヤとしては珍しい処理という気がする。

砲尾は全く再現されていないので、このままで「外れてひっくり返った砲塔」のジオラマ等にはできないが、エンジンデッキ上の点検ハッチがすべて開閉選択式であることもあわせて、独ソ戦の緒戦期によく見られる「撃破・放棄されたKV」を再現したい人への配慮ではないかと思う。

展開と改造

車体上面の砲塔リングガードの取付穴、戦闘室前面の増加装甲の取付穴は非貫通。先述のように転輪パーツはより初期のタイプへの展開を見越した枝配置。というわけで、いつになるかは判らないが、より初期の形式のKV発売を想定しているのは確かだと思う。

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特に、砲塔側面、車体側面の上部転輪の間に非貫通穴が用意されており、いわゆる“エクラナミ”(旧シリーズでの名称、KV-1B)はほぼ確実。旧キットはベース車体が1941年型の中盤以降のため、ヌエ的な仕様になってしまっていたが、今回のキットの車体をベースにするなら、より正確な仕様となる。

なお、エクラナミの場合は今回のキットでセットされた「リブ付きの後期型・緩衝ゴム内蔵転輪」でも標準型転輪でも、どちらでも構わない。

車体前面の増加装甲無しも想定されていることを考えると、KV-2(標準型)の発売もありそう。大砲塔のKV-2初期型は車体ディテールがかなり違うので考えづらい。

▼一方、「タミヤの最初のKV」であった鋳造砲塔型のKV-1は1941年型の中盤以降の仕様で、今回のキットとは単に砲塔・転輪の違いだけでなく、車体自体にボルトの間引き、ハッチ形状の変更などの改修が入っているため、そのものズバリの仕様のリニューアル発売は考えづらい。

ただし、より初期の生産車(おそらく1941年内)で、今回のキットと基本同一の仕様の車体に鋳造砲塔を載せたものはあるので、(どこまでディテールのバランスをとるかという問題はあるが)旧キットの砲塔を持ってきて載せ替えるお手軽改造はありかな、と思う。

目玉の「新しい、非対称砲塔」を使わないことになっちゃうけど。

▼フライング気味に、手元に余っていたトランぺッターの増加装甲パーツを使ってエクラナミを作ってしまおうか、などとちょっと考えて、パーツを合わせてみた。

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砲塔の増加装甲に関しては、上下幅はピッタリ合う。砲塔後端の傾きはごくわずかにずれがある。これも含めて、ぴったりフィットさせるには若干の調整が必要。また、写真の右側面に比べ、(非対称が再現されているため)湾曲具合が深くなっている左側面は、微調整の必要性がより高そう。

「ほぼ合っている」だけに、むしろ微調整が面倒くさそうで、「うーん。これならおとなしくタミヤのエクラナミの発売を待っていた方がいいかな」に傾き中。なお、当然ながら主砲の交換、上部転輪の交換も必要になる。

▼KV-2に改造する場合は、車体の増加装甲、砲塔リングガード等はすべて取り付けず、砲塔の交換、転輪・上部転輪の交換が必要になる。そもそも形状の把握に難があるタミヤの旧キットの砲塔を載せるのは、「新しい酒を古い革袋に入れる」ようなものでバランスが悪く、個人的にはお勧めしない。

トランぺッターの砲塔、転輪・上部転輪をコンバートしてくるのはよいが、個人的には「そこまでするなら素直にトランぺッターに手を入れて作った方がいいじゃね?」という感じはする。

▼最初にちょっと書いたように、キット指定の塗装例にある第116旅団の「スターリンのために」は、左フェンダー雑具箱の前のワクに筒形増加燃料タンクが載っている。右フェンダー上がどうなっているかは判らないが、このタイプの燃料タンクの標準搭載位置は右フェンダーの3ワクと左フェンダーの2ワク。

燃料タンクそのものは標準化されたものなので、T-34あたりから流用可能(ただし持ち手のついた両面は緩く窪んだタイプが一般的なようだ)。フェンダー上に固定用ベルトの留め具があるだけで、タンク本体をホールドする受け具のようなものはなく、フェンダーに直置きされているらしい。

こんくるーじょん

なんとなく海外サイトのキットレビュー風に。新キットだけにシャープさは十分、組み立て易さには(タミヤらしく)十分配慮された良いキットであるのは確かだが、ディーテール的には手放しで褒めづらい部分がいくつかある。

自分で手に入れてチェックしてみるまでは、「トランぺッターのキットも十分いいんだけれど、これからのKVキットのスタンダードはタミヤになるんだろうな」と思っていたのだが、「残念ながら」という気持ちではあるが、実際には、トランぺッターに負けているとは言わないまでも、置き換え切れていない感じ(トランぺッターの価値はまだまだ高い)。トランぺッターもあれやこれや弱点のあるキットなので、このへんでビシッと決定版的キットを出してほしかった……。

身も蓋も無い言い方をすると、もしもガッツリと手を入れてKVを作ることを考えるのであれば、このキットをベースにしつつ、転輪その他パーツをごそっと入れ替えるためにトラペのキットを1輌手に入れてもいいかな、という感じ。トラペのKVシリーズは後になって発売された一群を除いては、2000円そこそこで買えるので、ディテールアップ用のアフターパーツと考えてもそう高くはない。

「Recommended」よりは高め、「Highly recommended」のマイナス、といった感じかな?

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KV-1 1941年型 初期生産車 タミヤ 1:35(その1)

20200617_121446 ●なお新型コロナ感染症の第2波が心配されるところではあるが、用事があって一か月ぶりくらいに多摩川を越えたので、秋葉原に寄り道。期待の新作、タミヤの「KV-1 1941年型 初期生産車」を購入。ついでにパッションのルノーR35用エッチングも買いたいと思ったのだが、秋葉原駅周辺の店ではどこも品切れだった。

というわけで、とりあえず、ある程度主要部品を合わせてみたりした時点での簡単なキットレビューを。

FBのAFV模型のニュースグループでも、このキットを買った(あるいはもう作った)という書き込みは多く、タミヤの新作キットであるからにはそれなりに話題に上るのは当然にしても、「えっ、KVってこんなに人気だったんだ!?」と 思ってしまうほど。いずれにしても、「ピタピタと部品の合わせが決まる」とか、「旧作と比べてモールドもディテールも格段に向上」とかは多くの人が書いていることだと思うのでここではもうちょっと重箱の隅というか、個人的な「気になり部分」や、仕様としては重なっていないものの、特に直接のライバルとなるトランぺッターのキットとの部分比較などを試みることにする。

ニュルンベルク・トイフェアにおける発表時にあれこれ書いたこととは一部重なるが、ご容赦を。

仕様について

発表時のキット名称は「KV-1 1941年初期生産型」だったが、発売にあたって、「KV-1 1941年型 初期生産車」に改められた。

KV戦車のタイプ分け(年式)は、基本、後の研究者による便宜的なものなので、資料によって(使う人によって)若干の違いがある。しかし一応は、以下のような分け方が最も一般的だろうと思う。

  • 1939年型:主砲がL-11
  • 1940年型:主砲がF-32
  • 1941年型:主砲がZIS-5
  • 1942年型:主砲がZIS-5、かつ車体が装甲強化型(エンジンデッキが後部まで水平で、後端装甲が平板)

キットの「1941年型」もこの分類に準拠している。

KVはもともとレニングラードにあったキーロフ工場で生産が行われていたが、ドイツの侵攻により、工場がチェリャビンスクに疎開。1941年10月からは、このチェリャビンスクの工場でZIS-5搭載型の生産が始まる。キットは、ちょうどこの、生産が始まったばかりの頃のZIS-5搭載車を再現している。

(もう少し細かく言うと、キーロフ工場が疎開するよりも前にチェリャビンスク・トラクター工場でKVの生産準備と限定的な生産は始まっており、これに疎開してきたキーロフ工場が合わさって、10月初旬に「チェリャビンスク・キーロフ工場」と改称される。……ややこし。)

したがって、KV戦車に関しては、ドイツ軍側からの「相手を舐めてかかって侵攻してみたら、味方の対戦車砲弾をことごとく跳ね返して進んでくる怪物に遭遇して驚愕」というイメージが濃厚だが、少なくとも独ソ開戦(1941年6月)時点のジオラマなどに登場させるのは不適ということになる。

この点で、発表時の「KV-1 1941年初期生産型」という名称は、同年初めに生産されたように読めてしまって紛らわしく、訂正されたのはよかったと思う。もちろん、「1941年型 初期生産車」だって十分に紛らわしい、と言われればその通りなのだが、これはタイプ分けとして上記の方式が浸透している以上仕方がない(もちろん、「1941年10月生産車」とかいった言い方も可能ではあるが)。

さて、KVの1940年型(F-32搭載型)は、レニングラード工場では1941年夏(6-8月)にごっつい増加装甲型(いわゆる“エクラナミ”、タミヤの旧キットバリエーションのKV-1B)が生産され、その後、装甲強化型砲塔が登場したり、車体ハッチがより簡易なものに変更されたりしているのだが、疎開先のチェリャビンスクでは、移転に伴うごたごたか、サプライチェーンの問題か、それらの改修は反映されていない、より古い形質のKVが生産されている。

10月になってZIS-5搭載型が生産され始めた当初もその状態は変わらず、ものすごく大雑把に言うと、「搭載砲は最新型なのに、車体の形質はむしろやや旧型」という仕様のものが生産されることになる。キットが再現しているのは、まさにこの仕様で、具体的には、

  • 1941年の前半に生産された、1940年型標準型と同型の溶接砲塔にZIS-5搭載。側方ペリスコープ下に跳弾リブがあるなど、標準的な1940年型砲塔に比べ若干のアップデート。
  • ベース車体はほぼ標準的な1940年型と変わらないが、これに砲塔リングガードや車体前面の増加装甲を装着。
  • 転輪は1941年夏(エクラナミの途中あたり)から年内いっぱいくらいの生産車で主に使われている、リム部に小リブのある後期型・緩衝ゴム内蔵転輪。履帯は全リンクがセンターガイド付きの初期標準の仕様。

……などなど(詳しくは後述)。既存(トランぺッターとかズベズダとか)のキットのスキマを狙ったような感じになっている。ただし、キットの箱絵/デカールに採用されている第116戦車旅団の「スターリンのために」の実車と比べると、(部分的に仕様の異なる転輪を履いている、フェンダー上に筒形増加燃料タンクがあるなど)わずかに仕様の差がある。

なお、チェリャビンスク・キーロフ工場のZIS-5搭載型は、ZIS-5が搭載されるようになって間もなく鋳造砲塔が登場、さらには緩衝ゴムを内蔵しない全鋼製転輪やエンジンデッキパネルのボルトの間引きなど、また新たな簡略化改修が重ねられていくことになる。

パーツ構成

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  • A・Pパーツ(2枚):転輪等、フェンダー上の工具箱など。A枝とP枝は連結状態で、A側が起動輪、誘導輪、転輪の緩衝ゴム抑え板、P側が転輪本体と鋼製上部転輪。P側の差し替えで、初期の標準型緩衝ゴム内蔵転輪に対応することを想定しているものと思われる。(上写真左)
  • Bパーツ:フェンダー、車体後面板、前端のアングル材など。
  • Cパーツ:箱組の車体基本パーツ。
  • Dパーツ(2枚):部分連結式の履帯、サスペンションアームなど。
  • E・Qパーツ:砲塔関連パーツ。E枝が砲塔本体で、Q枝が主砲のZIS-5の砲身や防盾周り、砲塔リングガードなど。これも転輪枝同様、Q枝部分の差し替えで1940年型への含みを持たせているものと思われる。(上写真右がQパーツ。一部パーツ切り離し済)
  • Fパーツ:透明部品(前照灯レンズとフィギュア用ゴーグル)。
  • ほか、ポリキャップ、ワイヤー用糸、デカール。

とにかく、このキットに関しては「砲塔の非対称が再現された」というのが大きなポイントという気がするが、それも含めて、以下、細かいあれこれ。気になった部分について、ブロックごとにつらつらと。

車体基本パーツ

旧キットは車体がフェンダーを境に上下分割されていたが、新版は実車同様の構成。トランぺッターでは見落とされていた「上部転輪位置の不均等」も表現されている。ただし、絶対的な位置そのものに関しては、後ろ2つの上部転輪もトランぺッターのキットと若干のズレがあり、タミヤのキットのほうが、全体的に前方に寄っている。差異は微妙なものなので、どちらがより正確なのか、現時点では判断は保留したい。ただ、左側面最後部の上部転輪基部と、最後部転輪用ダンパーの位置関係からすると、タミヤのほうが実物に近そうな感じはする(もちろんそれだけで断言はできないが)。

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エンジンルーム上面パネルは、横方向のボルト数が11本の1940年型車体の標準。ボルトは平頭。パネル最前部、砲塔リング左右の3本のボルトは、トランぺッターの1940年型キットでは中央の1本(右写真黄色矢印)が忘れられていたが、このキットでは抜かりなく再現。

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エンジンパネルの吊り下げリングは、トランぺッターでは別部品で再現されていたが(左写真ライトグレーのパーツ)、組み立て易さ重視で極小パーツを嫌うタミヤでは一体成型。数は前方パネルで4か所、後方パネルで2か所、点検ハッチに1カ所(ちなみにトランぺッターは後方パネルにも4か所付けているが、これはモスクワ中央軍事博物館の展示車輛に引きずられた誤り)。

当然、タミヤのモールドに穴は開いていないので、0.5mmのドリルで開口した。トラペのパーツとは大きさが違うが、トラペが別パーツ化のために大きくしたという感じではなく、タミヤのモールドがやや小さい感じ。また、タミヤのキットではすべてお行儀よく穴が左右を向くことになるが、実車は自由回転するのか、あるいはアイボルトになっていて締め方の問題なのか、向きはてんでんばらばらなのが普通。モールドをいったん切り落として向きを変えるか、それともそもそもトラペのパーツに交換してしまうか悩み中。

中央の点検ハッチは、このリングが中央1か所の初期型形質。これがレニングラード工場の1940年型でも後期の型や、1941年型の標準的仕様では左右2カ所になる。点検ハッチのリングには、砲塔の手すりに引っ掛けてハッチを開位置で固定するためのフックが付いているのだが、キットではさっぱり省略されている(ちなみに旧キットでは上面に一体成型だった)。これは本来付いていて然るべき部品なので、パーツを含めておいて欲しかった。

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ラジエーターグリル、および後端オーバーハング下のメッシュはプラパーツ。ラジエーターグリル部が別パーツなのはトランぺッターと一緒で(ただしトラペと違ってメッシュ下のルーバーは再現されていない)、これは後々、アフターパーツのエッチングなどと交換する場合には都合がよい。一体モールドだった旧キットは、このメッシュが前端まで同じ断面形のカマボコ型だったと思うが、そのような形状なのはたぶんKV-2の初期型だけで、通常はこのように先端が潰れている。別売のエッチングパーツでも、これは再現されていないものが結構多い。

なお、エッチングで組む場合にこの断面変化は曲げが面倒になる部分で(アベールでもなかなか難しかった)、たぶんこれから出るであろうタミヤ用エッチングパーツ(パッションとか)では一工夫欲しいところ。

右写真で一緒に写っている車体前端のアングル材は、初期型車体標準の、埋め込みボルトが11本のタイプ。1940年型でも、第371工場で生産されたという装甲強化型砲塔を載せたタイプ(1941年の初秋生産)では8本に減っているが、チェリャビンスク工場では、ZIS-5搭載型になってもまだ11本タイプが使われていたらしい。同工場での生産車ではその後1本おきに間引く感じで6本になり、さらにその後は埋め込みボルト自体が廃止されてしまったようだ。というわけで、前後のタイプに改造しようという人はご注意を。

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湾曲した車体後面板の下端は、シャーシの床板との間に段差ができる仕様。

レニングラードで作られた1940年型では、この部分は床板とツライチになるように面取りされている(トランぺッターのキットでは初期型車体でもそのようになっていないので注意)。一方で、このキットの仕様に最も近いと思われる、モスクワ中央軍事博物館の屋外展示車輛では段差付きになっているので、キットの仕様で組むのであれば、段差付きのままでよいようだ。もしかしたら、チェリャビンスク工場での生産車は最初から(手間を省くために)段差付きであったのかもしれない。

シャーシ前面増加装甲は、向かって右下角に切り欠きがないタイプ。もともとこの切り欠きは、車体側に埋め込みボルトの溶接痕があって、そのままでは増加装甲が干渉して浮き上がってしまうのを、最初は溶接痕のほうを丁寧に削って平らにしていたものを、後にはお手軽に増加装甲側に切り欠きを作って対処するようになった――というものではないかと思う。

エクラナミあたりだと切り欠きはないのが普通で、1940年型でも短バッスル砲塔(バッスル下が丸でも角でも)だと切り欠き付きが普通になっている感じ。問題はキットの仕様だが、これも実際には切り欠き付きの可能性が高いのではと思う。なお、キットでは車体側の埋め込みボルト痕は再現されていない。

転輪と上部転輪

転輪は先述のように、リム部に小リブのある緩衝ゴム内蔵転輪のなかでも後期のタイプ。実際には、キットの塗装例にある、第116戦車旅団の「スターリンのために」号は、少なくとも左側第一転輪はちょっと珍しい、リブが小さくまばらなタイプを使っている(詳しくはセータ☆さんの記事「KV-1 ハーフリブ・タイプ転輪」を参照のこと)が、キットにはこのタイプの転輪は付属していない。

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写真1枚目は、右から、今回のタミヤの転輪。中が同タイプのトランぺッターの転輪。左は今から30年くらい前だったか、タミヤのKV-2を当時出来る範囲の技術力でとことん手を入れて作ろう!と思った時にタミヤの転輪では我慢できず、原型を作って知人にレジンで複製してもらった自作の緩衝ゴム内蔵転輪(標準型)。ちなみにそのKV工作は、転輪を作っただけで力尽きた。

写真2枚目は、より詳細に比較するため、タミヤとトランぺッターの転輪を並べて、おおよそ正面から撮ったもの。全体の径はタミヤとトランぺッターで変わらず、内側のゴム抑え板の径も変わらない。全体のモールドもタミヤのものはシャープでよく見えるが――

 (1).ゴム抑え板の中心部分、転輪ハブ部分がトラペに比べてやや大きい。実車のパーツと比べると、トラペのもののほうがバランスが良いように感じる。ただし、ゴム抑え板パーツ単体で見ると目立つ径の違いが、実際に(この写真のように)転輪に付けてしまうとそれほどは目立たない。

 (2).しかし、それよりも気になるのは、ハブキャップ周りのリング部分に本来ある8カ所の刻み目が、トラペでは再現されている(私の30年前の自作パーツでも再現している)一方で、タミヤのパーツではさっぱり無視されていること。うーん。これはちょっと……。

 (3).また、このゴム抑え板は転輪の表側と裏側、さらには向かい合わせになった内側と、4面ですべて同じはずだが、タミヤの転輪パーツでは、3枚目の写真にみるように、外側転輪の内側はモールドがないつんつるてん、内側転輪の内側(変な言い方)ではそれさえもなく窪んだ形状になっている。実際、組み上げてしまえば見えにくい部分ではあるが、全く見えないというわけでもなく、この処理はちょっと残念。

 (4).「どうせ見えないからいい」と言ってしまえばそれきりだが、タミヤの転輪では、転輪の表と裏でリム部の小リブの位置が鏡写しになっている。実際には(トラペの転輪でそうなっているように)穴とリブの位置関係は正面から見たときに表側も裏側も一緒のはず。穴の位置は表裏で固定のため、リブ位置は表裏で穴を挟んで反対側にズレることになる。4枚目の写真が転輪裏側の両社比較で、タミヤの転輪のリブ配置がトランぺッターの逆(そしてタミヤの転輪の表側とも逆)になっていることがわかる。

 (5).さらに一点。タミヤのキットは転輪の内側・外側、さらにゴム抑え板の3パーツそれぞれに位置決めダボがあり、転輪の内外は穴の位置がきっちり揃い、ゴム抑え板はリム部のリブに対し、ゴム抑え板のリブがやや時計回りにズレた位置ですべて揃うようになっている。しかし、実際の転輪は緩衝ゴムを挟んでそれぞれのパーツは独立しているため、位置は個々の転輪でてんでんばらばらのはず。キットのようにすべて揃っていては逆に不自然。

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上部転輪はチェリャビンスクで導入されたものと思われる全鋼製のもの。初期型への展開に備えてか、リブ付き転輪リム部と同一枝。

起動輪と誘導輪

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起動輪はきちんと16枚歯。旧キットでは歯数が余計で、トランぺッターではロットによって(?)スプロケット固定ボルトの位置ズレがあるなど、意外に恵まれていなかったパーツなので、素直にそのまま使えるパーツが出たのは嬉しい。

トラペのパーツに比べると若干メリハリに乏しく、ちょっとノッペリして見えるかもしれないが、実車も段差はそれほどなく、むしろこちらの方がイメージに近い。中央皿形カバーは初期型標準の16本ボルトタイプ。

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一方でいささか問題ありに思えるのが誘導輪。形状的にはほとんど変わらないのだが、径が明らかに違う。青木氏の書き込みで知ったがタミヤの旧キットの誘導輪と比べでも小径とのことなので(そもそも小径だということ自体、氏の書き込みで知ったのだが)、トラペと旧キットの誘導輪径はほぼ同じ、新キットだけ小さい、ということであるらしい。直径はトラペが約19.5mm、タミヤは17.8mm程度で、1.5mm以上の差がある。

写真からの読み取りとか、実車の計測の過程とかで「やや大きい/小さい」くらいの差が出るのは普通にあるだろうが、サイズが1割も違うとなると、明らかに元になった寸法データ自体が異なっている。

手元の資料中に、実車の正確な誘導輪径は見つけられなかったが、「フロントバヤ・イルストルツィヤ」に掲載されている1:35の図面のサイズはトランぺッターのものに等しく、また、何輌かの現存車輛のおおよそ真側面の写真から、転輪と誘導輪の大きさの比を計って比べた結果でもトランぺッターのほうが正確そう。ええ、どういうこと……?

「実は全く相似形で大小2種の誘導輪があった」とかいう大どんでん返しの結末だったりすると、「2種類の誘導輪が簡単に手に入るようになってラッキー♪」だが、さすがにそんなことはなさそうな気がする。

長くなったので続きは改めて。

6/27追記:グムカ(高田さん)のツイッターによれば、KV-1Sには、KV標準型のものと相似形で小径の誘導輪が使われているそうだ。ただし、1Sであってもすべて小径であるわけではないらしい。問題は、その小径の誘導輪がいつから使われ始めているかで、より綿密な検証が必要になりそう。しかしそこでネックになるのは、大小あったとして、それが同じ形をしている(相似形である)ことで、「いやいや、明らかに違うものだと判るように、外形的特徴も変えといてくれよキーロフスキー!」と、声を大にして言いたい。

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図書館

20200612_142214 ●市立図書館が、なお制限はあるものの閲覧・貸出再開されたので、12日金曜日、久々に本を借りに行く。

常に入り浸るほど「図書館ホリック」ではないものの、行けないとなると何だかむずむずし出すくらいには図書館好きではある。

利用頻度を下げるために貸出期間が3週間に伸びており、まとめて3冊借りてきた。持って帰るのが重かった……。

▼「増補・改訂 アイヌ文化の基礎知識」監修:アイヌ民族博物館 増補・改訂版監修:小島恭子 草風館

たまたまアイヌ関係の棚が目に入って、その中で割と読み易そうで、書名通りに「基礎知識」のレベルが上がりそうだったので借りてきた本。私自身が琉球系ということもあって、「ヤマトではない日本」は常に興味の対象。

▼「世界の戦車 1915~1945」ピーター・チェンバレン&クリス・エリス 大日本絵画

AFVマニアならおなじみの、第二次大戦までの戦車のエンサイクロペディア。この日本語版が発売されるよりも前から英語版の(より大判の)原著は持っていて、そのせいで日本語版は結局買わなかった。今から見ると、たぶん内容的には「えー?」という部分も結構あるのではと思うが、マイナーな戦車の系統とか、概略を知るのにものすごくお世話になった本。戦車を生産していない国を含め、小国の使用(輸入)状況について巻末にまとめてあるのが個人的にはポイントが高い。とはいっても、英語が不得意な私は内容をしっかり読み込んであるわけではなく(まあ、そもそも読み込むようなタイプの本でもないが)、この際改めてざっと読んでみようと思って。

▼「重戦車大隊記録集1陸軍編」ウォルフガング・シュナイダー 大日本絵画

ティーガーを作る人には、おそらくバイブルとも言えるのではないかという大冊の1巻目(2はSS編)。大戦後半のドイツ軍は基本的に対象から外れる私は絶対に買わない本ではあるけれど、かといって興味がないわけではなく(ティーガーのキットも一応持っているし)、ちょっとした「お勉強」用に。

●「Pokémon GO」につき、NIANTICから公式発表。再来月、2020年8月上旬予定のアップデートをもって、32ビット版Android端末への「Pokémon GO」のサポートを終了するとのこと。

こうした足切りの基準になるにもかかわらず、スマホの公表されたスペックには32bitなのか64bitなのか明記されていないのが普通だそうで、そのこと自体、端末メーカーに文句を言いたいところだが、とりあえず、「CPU-Z」というアプリで、私のスマホがどちらなのか確認できた。……32bitだった。あうう。

「Pokémon GO」のために端末を買い替えるのも癪だし(お金もないし)、どうしたってそのうち、端末がヘタれば買い替えることになるので、それまで「Pokémon GO」は封印ということにしようと思う。

そもそもここ数日の、アプリが起動できない不具合に関しても、公式発表では「Android 5 または 6 の一部の端末」で発生していることになっているが、これって要するに32bit端末ということなのではないだろうか。

当然、そのうち32bitがサポート対象外になるのは当然だったとしても、今回の不具合発生が「ああもう、やってらんないや~」のきっかけになったような気も(ちなみに不具合は現在も未解消)。

●「アハトゥンク・パンツァー」の著者、尾藤さんの「パンツァーメモ」の掲示板で掲示板で、尾藤さんに、スロバキア軍の38(t)、完成していたらブログで見せて下さいと言われてギクリとする。……数年前、完成直前まで持っていって、それっきりになっていたので。

どこにしまったっけな、と、身近な模型箱をごそごそと漁って、なんとか本体は発見。ブレダ20mm搭載I号戦車A型(未塗装)とともに、ヴィッカース水陸両用戦車の箱にしまってあった(この脈絡のなさ……)。

というわけで、製作記の現状の最終回(ちなみに2016年の4月)から何の進展もしていないのだが、現状は以下の通り。

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私の35AFVの作りかけの中では、最も完成に近い状態かも。しかし、なんでここまで塗って中途半端に放置するかなあ。

なぜか起動輪が片方行方不明。履帯もないが、これは本来のキットの箱に入っているはず……だが、それがどこにいったやら。そっちの箱にもう片方の起動輪も入っているといいなあ。

ちなみに尾藤さんの「パンツァーメモ」では、III号E型、F型に続いて、38(t)戦車各型の完成品写真が披露されている。特に38(t)に関しては、個人的に電撃戦の主役であるA型、B型がツボなのだが、尾藤さんの作品で、意外に細かくA型とB型が違うのを知ってびっくり。物干し竿みたいなアンテナくらいしか違わないのかと思っていた。

A型は転輪も違うというのは知らなかった。スロバキア陸軍の、チェコ迷彩の最初の5輌はどうだったかなあ、と思って写真を漁ってみたが、3色迷彩の時期ののV-3000が初期型転輪っぽいかな?という感じ。カーキに塗り直されたV-3003は通常転輪のようだ。

戦争中盤以降に入手したドイツ軍の中古車両の中にも何輌かのA型が混じっているが、こちらは流石に後期型(というか標準型)の転輪に交換されているかもしれない。

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ブロック崩し

●「ブロンコ沼」から女神さまが現れて、

「あなたが使うのは、この歯数が正しくてサイズが違う起動輪でしょうか、それともサイズが正しくて歯数が違う起動輪でしょうか」

と訊ねるので、そっと見なかったふりをして森の外に出ることにしました(これにてひとまずお話はおしまい)。

……ここで「いえ、女神さま! 私が使うのはサイズも歯数も正しい起動輪でございます!」と言ったら、女神さまは褒めてくれるのかなあ。「よくぞ申しました、ではこのサイズが違う起動輪も、歯数が違う起動輪もあなたに授けましょう」って言われても嬉しくないしなあ。

●というわけで、ひとまずオチキスに関してはそれぞれ(3キット)そっと箱にパーツを戻して、何かとてつもない精神の高揚期が来るまで再び熟成させておこう……と思ったのだが、その前に。

起動輪ほどではないものの、これまた簡単に対処は出来そうもないと思った「誘導輪の形状が変(より正確には、再現度が(かなり)不十分)」という問題だが、(前回も触れたように)hn-nhさんは、過去、オチキスの自走砲の工作で、キットのパーツをコリコリ削ってそれなりの形に仕上げていたことが判明。その写真がある記事はこちら

いやいやいやいや。ちょっと待って。一度リム部を削り落すとかじゃなくて、キットのパーツを彫り込むだけで、そんなふうにできるの?

というわけで、「そっと箱にしまう」前に、私自身も削ってみることにした。主に使用した工具は、丸棒ヤスリ(の先端)と、先日も紹介した刃先を研いだマイクロドライバー(マイナス)。結果はこちら。

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左がピットロード/トラペ、右がブロンコ。2つ削るのに1日がかりだった(もちろん、そればかりやっていたわけではないが)。

総括:やってできないことはない、ということは、とにかく判明(が、もちろん面倒臭い)。また、ここまで削ってもhn-nhさんほどディスク部の「ふっくら感」は再現できていない。しかし、これ以上削るとリム部内側のあたりでパーツに穴を開けちゃいそうなんだよなあ。また、仕上がり具合もhn-nhさんの作例よりだいぶ粗い。前回、hn-nhさんを「人間ろくろ」と評したが、改めて「人間NC旋盤」と呼ぶことにしたい。

ちなみにわざわざ別会社のものを1個ずつ削っているのは、最初、「部品をオシャカにするかもしれないから、小リベットのモールドがないブロンコを実験台にしよう」ということで右を削り、次に「なんとかなりそうだから(本番として)トラペを削ろう」と左を削ったため。

なお、実際に作業した感じではブロンコのもののほうがプラが柔らかく削りやすかったが、me20さんの評にあるように、ちょっとケバ立つ感じがした。また、ここまで削ってしまうと片方を捨てるのももったいないし、どうせ両方一緒に見えるわけでもないので、これで1輌分として削り作業は終了、ということにしたい気も。

●今回キット比較をするために改めて押入れのストックの山をごそごそしていたら、久しぶりに目にするキットとか、「あっ、これ、前に探していて見つからなかったやつだ!」なんていうのも出てきたり。

「久々に目にした」一つがこれ。チェコ、KP製の1:72「AERO MB-200」。箱が汚いのはご勘弁。

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KPはまだ東欧が「共産圏」だった頃のチェコスロバキアで活動していたメーカー。というか、ボチボチ新製品もあるようで、今でも活動しているらしい。

そもそもNOVO-FROG以外、「東側」のプラモデルなんてなかなか日本の模型店には出回っていない頃から、KPは結構模型店の棚で見かけることが多く、後から思うに、「さすがチェコは先進工業国」ということなのか、それともプラモデル趣味が存在する文化があったのか。初期の製品は、アヴィアS-199(メッサーシュミットBf109の戦後チェコスロバキア生産型)とか、レトフŠ-328、アヴィアB-534、B-35といった国産機中心で、アイテム的には変わり種、しかし技術はちょっと……という感じだった。

しかし、その後次第に技術が向上して、このMB-200は、(scalematesによれば)1985年発売で、まだ東欧革命前のものだが、「かなり素敵なキット」と言える内容になっている。

ちなみにキット名称はチェコの航空機メーカーAEROの名を冠しているが、実機はフランス、マルセル・ブロック社が開発した双発重爆で、アエロはライセンス権を取得して生産したもの。本国フランスでは、第二次大戦でもまだ少数(本来の爆撃機としてではなく偵察や輸送用途で)使われたらしい。ちなみに、後継機種で低翼・引込脚になったMB210も、キットがエレールから出ている。

マルセル・ブロック(Marcel Bloch)はユダヤ系の航空機技術者で、彼のメーカーはこの爆撃機のほか、第二次大戦勃発時にはMB150シリーズという空冷エンジン装備の単発戦闘機も開発・生産しているものの、これはぼろぼろ欠陥が露呈してほとんど活躍できなかったなど、あまりぱっとしない。しかし、戦後は姓を兄のレジスタンス時代の変名に改名し、会社名も「マルセル・ブロック社」から「マルセル・ダッソー社」に変更。その後、超ベストセラーのジェット戦闘機、ミラージュ・シリーズを生み出している。戦前・戦中はぱっとしないのに、戦後大躍進したという点では、ミグなどとも近いかも。

なお、「Dassault」はもともと「D'Assault」(英語ならof assault)。つまり「マルセル・ダッソー」は「突撃マルセル」の意味なわけで、なかなかスゴイ名前。「突貫カメ君」っぽい。

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KPの初期の製品はパーツも分厚く、バリも結構出ていて難物感が高かったが、このキットは部品もシャープでスッキリしている。

飛行機モデルといえば胴体は左右分割が普通だが、旧式機らしく四角い断面のこの機の場合は大胆に箱組。4枚目写真にあるように、エンジンナセルも箱組。整流板かよー、みたいな細かいリブのある主翼表面も綺麗なモールド。ただし、尾翼周りなど一部にちょっとだけバリがあり、透明パーツの透明度もやや低め。デカールはかなり黄変していて使えなさそうだが、そもそも私はフランス機として作りたい気がする(あるいはスペイン共和国軍とかブルガリア軍とか)ので無問題。手書き感あふれる組立説明図も素敵。

何と言うか、非常に主観的な話になってしまうが、「ワクワク感溢れる模型って、こういうものだよなあ」と思わせる内容。問題は、決して誰もがワクワクするわけではないアイテム選択だろうが、また、そういうアイテムに(傍目では理解しづらい)力の入り方が見られるところが、ワクワク感を覚える源のような気もする。

……いや、そこまで褒めるなら仕舞い込んでないで作れって(←自分ツッコミ)。

●ブロックが出てきた在庫の山のブロック崩しの発見物その2。ロシア、マケット/モデリストの1:48、モラン・ソルニエG/H。

これは以前「そういえばあれ、どこに行ったかなあ」と探して見つけられなかったもの。意外に山の浅いところにあった。

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左の汚いのが箱の表。右が裏。そう、このキット、外箱と内箱でまったく同じ紙を使っているのだ。もちろん、内箱の方がやや小さめに折ってある。

マケットは陸物キットを見ても想像できるように、ここ自体がメーカーではなくてあっちこっちの金型(あるいは最終製品)を扱っている商社のような感じなので、このキットも併記している「モデリスト」のほうがそもそものメーカーなのかも。

箱にはローマン・アルファベットで「Moran G」、キリル文字で「Моран Ж」と書かれている。形式の「G」が、ロシア語だと「Г(ゲー)」ではなく「Ж(ジェー)」になるのは何故? 音じゃなくてアルファベットの順番?

箱は横幅で25cm弱しかなく、一昔前の1:72大戦機クラス。しかも箱を開けたら、なぜか2機分入っていた……。ありゃま。

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もちろん最初から2機入りだったということではなく(そういうキットも世の中にはあるが)、なんとなく、後からもう一つ、何かの機会に入手したようなおぼろげな記憶が。そのまま一つの箱にまとめて忘れていたらしい。

小さい箱に2機分なのに箱に大分余裕があり、(古典機ゆえということもあるが)パーツ構成はごく簡単。

こういうロシア・東欧製の怪しいキットだと、モールドもでろでろだったりすることも多いのだが、このキット場合は、(飛行機キットの肝の一つと言える)主翼後縁が素晴らしくシャープに薄い(それでいて、一機のほうの主翼はプラにゴミか何かが混入してまだらになっている)。

古典機によくある、裏側が窪んだ翼型は、本来ならリブとリブの間の布地は凹んでいるのではなく、むしろやや出っ張っているくらいでないと変なのだが、これは圧倒的多数の古典機キットが等しく間違えているので、ことさらこのキットを責めても仕方がない、美しい主翼に比べて、尾翼はボッテリしているのはご愛敬。

さて、中身は2機分だが、それぞれちょっと流通経路に違いがあったらしく、説明書も2種類入っていた。ひとつはA4版表裏でペラリと一枚。

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片面はまさに「組立説明図」なのだが、昔のレベル72の説明図もこんな感じだったかなー、みたいな簡単なもの。いや、キット自体の構成もこんなもんだし。しかしもう片面はキットの内容からするとギャップも甚だしい、ちょっと本格的な細部図解も含めた図面。これを見てディテールアップしろと!?

しかし、もう片方の説明書はさらに面白い。こちらはA4版2枚、裏表の4ページ。

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1ページ目は英語のそれなりの長文の実機解説。下に出典資料も列記してあるのが誠実。2ページ目が組立説明なのだが……。いやこれ、組立説明図って言えるの? 翼の取付け等については全く触れられていない一方で、胴体の図解は詳細で、一部構成品については「これはキットのパーツに含まれていないが自分でなんとかせぇ」みたいなことが書かれている。スパルタ!?

興味深いのは、こちらの説明書ではキット名称が「モラン・ソルニエ H」になっていること。実を言えば、キットはG型とH型の折衷のようなところがあり、H型として組む方がより簡単、ということであるらしい。また、箱はG型表記なので、もともと最初の説明書が入っていたものであるらしいことが判る。

3ページ目はモラン・ソルニエH型(G型との相違点含む)の1:48図面。この図解で、キットの主翼は基本H型で、G型の場合はリブ一つ分スパンが長いらしいことが判る。そして4ページ目は改造の手引きとして、モラン単葉機のライセンス生産型である、ドイツのファルツE.I/IIの図面と相違点の解説。スバラスゴイ。

ちなみにこのモランG/Hは、有名なフォッカー単葉機に非常によく似ているが、これは、戦前のベストセラーでドイツで(ファルツが)ライセンス生産もされていた本機のデザインを、フォッカーがほとんど丸パクリしたため。はっきり言って、見た目上は尾翼が尖っているか、“コンマ”形か、くらいの違いしかない。ただしフォッカー単葉機は本機と違って鋼管フレームを採用したこと、初めて実用的なプロペラ・機銃同調装置を搭載したことで「名機」として歴史に名を残すことになった。

●他にも、いつどういう経緯で入手したのかさえ全然覚えていない、(いろいろな意味で悪名高き)フェアリー企画の1:72「満州国軍オースチン装甲車」なんてのも出てきたりしたが、これはまたいつか、機会があれば。

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ほっち、きっす、頬寄せて♪(3)

●まさか3回も続けて書くことになろうとは。

とにかく逐一見ていくと、3種あるインジェクションキットのどれもがそれぞれに「脛に傷」を持っていて、いいとこ取りで組み合わせるにしても、「この点から見るとこのパーツを使いたいんだけれど、かといってここに問題があるし」みたいな悩ましい状況に。

いや、そんなところでグダグダ言ってないで、ETS35(世界初の3Dプリントによる1:35戦車のフルキット)を作れば?という身も蓋も無い解決法もあるが、この不良在庫の山を抱えている状態で軽戦車に3万円出せるかってばよ。

●というわけで足回り編。まずは転輪。

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左が3社比較で、左からエレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。ブロンコとトラペはほぼ同サイズ(約11.5mm径)、エレールは心持ち大きい(約12mm径)。リム部の厚みは、見てわかるように左から右の順に薄くなっている。オチキスの転輪は、H35時代にはゴムリム付きだが、新車体になって以降は全鋼製に変わり、リム部は薄くなっている。この点でトラペの転輪が最も“らしい”感じ。一方でH35を作るのであればエレールのものを使うのがよいかもしれない。ブロンコはちょっとどっち付かずだなあ……。

ハブ周りのディテールはエレールとブロンコで似ていて、なにやらリング状の板が6本の小リベットで止まっている状態。ブロンコはもっとシンプルに、四方に小突起とボルト。PMMSのレビューでは「The detail on the road wheels is better represented on the Bronco wheels」と書かれているのだが、レストア中の実車の転輪を見ると、ブロンコやエレールのようなリングのディテールはなく、トラペのものが近い。ただし、トラペではハブ周りに4カ所ある突起が、実車では3か所。まあ、どちらにしても組んでしまえばサスペンションボギーに隠れてほとんど見えなくなるはずだが。

なお、H35のゴムリム付き転輪ではどのようなディテールなのかは未確認。

右写真はパーツ枝に付いた状態のブロンコの転輪だが、ご覧のように一つ(右上)はなぜか成型ミスでハブ部が余計に出っ張っている。

●転輪ボギー。

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同じく左からエレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。ブロンコとトラペは同サイズだが(高さ約15.5mm)、エレールのものは2mm近く小さい。昔、エレールのキットを作った際、そのまま組んだらどうもシャコタンに見えてしまい、ボギーの取り付け位置を若干下にずらしたような覚えがあるので、これは新キット2種に分がありそう。

ブロンコのパーツはサス軸近くに四角いパッチが当たったような状態になっているが、これは片側3組ずつあるサスボギーのうち、最前方用の1組のみで、後方2組は他2社と同様の仕様。実際にこのパッチの当たったサスボギーはソミュール、ソフィアの現存車輛で最前方の1組に使用されている。ただし、クビンカの実車では左右全ボギーがこの仕様で、最前方だけに限って使用されるものでもないらしい。

一方、戦時中の実車写真を見ると、最前方ボギーでもこの「パッチ当て」ではない例は多いので、エレールやトラペのような構成でも誤りではない。ざっと見た印象では、どうも生産後期の車体でちらほら見られる仕様のようなので、変形や破損などの不具合が生じたための補強かもしれない。また、ここまで広いパッチではなく、軸部寄りの部分だけにもっと狭いパッチが当てられている例もあるいようだ。

サススプリングに関しては、エレールのパーツは明らかに細く/短く貧弱で、「さすがにこれはいかがなものか」レベル。ブロンコはプラパーツの軸に本物のスプリングをかぶせる構成。トラペはプラパーツだが、スプリングの表現が細く密過ぎる。なお、実車は(おそらく同じ線径で)巻きの細いスプリングと太いスプリングの2重になっているので、よりこだわりたい人は金属線等で自作のこと。

なにはともあれ、「既存キットの組み合わせでよりよい後期型オチキスをでっちあげる」ことを考えた場合、ベース車体をどうするかは激しく悩ましいところだが(me20さんのように「とりあえずピットロード/トラペのキットを作る」という基本方針を最初に設定しているのは賢明)、少なくとも、転輪に関しては「ブロンコのボギーにトラペの転輪を組み合わせる」もしくはme20さんのように「トラペのボギー/転輪にブロンコのスプリングを組み合わせる」のがよさそう。ボギーは五十歩百歩だが、わずかにトラペのもののほうがモールドがくっきりしている感じで、ということは後者の組み合わせかな……。

●誘導輪。

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3社ともおおよそ同径(17mm前後)。後期型の穴無し・プレーンのディスク・タイプに加えて、エレールはリブ付き・穴開きの初期型(H35用)、ピットロード/トランぺッターは前期から後期への過渡期に用いられたリブ付き・穴無しタイプが付属している。トラペのリブ付きタイプは、裏側に穴位置がモールドしてあり、自分で開口することでエレールと同じ初期型誘導輪も作れるようになっている。ただし、穴開き/穴無しに限らず、新車体ではリブ付きの誘導輪はまず用いられていない(少なくとも私は実例を見たことがない)。

後期型の誘導輪のみを比較してみたのが右写真で、上がエレール。下左がトラペ、下右がブロンコ。3社ともほぼ同形状だが、ブロンコのみハブ周囲の小リベットの表現がない。しかしそれ以上に問題なのは、3社ともまっ平らなディスク状であること。実際には単純な円盤ではなく、表から見て、リム部に向けて引っ込んだ形状になっている。

以下実車写真は、ソフィアの国立軍事史博物館所蔵車輛。wikimedia commons、National Museum of Military History, Bulgaria, Sofia 2012 PD 075.jpg(作者:Bin im Garten)より切り出し加工。

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なお、hn-nhさんは、以前に手掛けた(そして仕上げ前で中断中?)の、ブロンコ・ベースの75mmPaK搭載自走砲で、この形状の誘導輪をきちんと再現している。製作記はこちら。最初に読んだ時にはおそらく「ああ、何か手を加えているんだな」くらいで読み飛ばしていたのではないかと思うが、今回改めてキットパーツの形状を実物を見比べて違いに呆然。しかし、hn-nhさんはどうやらコリコリと手作業でキットパーツを彫り込んで改修しているらしい。恐るべし。

しかしバレンタインの転輪のゴムリムの際も思ったが、どうしてhn-nhさんはそんな「人間ろくろ」みたいな作業が可能なのか。謎。

●そしてさらに混迷の度合いが深まるのが起動輪。

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これに関しては、キットの箱に一緒に放り込んであった別売履帯付属の起動輪にも参加してもらった。左から、エレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。4番目のレジンの起動輪は、たぶん今はもうないLINK MODEL WORKSHOPというブランドの非可動インジェクション履帯に付属していたもの。ネットでパーツ枝の写真を見ると、現在HOBBYBOSSで出ている履帯と同じものかもしれない(確証無し)。一番右のメタル製はモデルカステン。非可動式のものだが、可動式のセットにも同じものが入っているかもしれない(ルノーR35用はそうだったので)。

とにかく、本来なら全部同じ形であるべきなのだが、ぱっと見で歯の大きさや形状はまちまち。それ以上に、ブロンコのものだけ他に比べて明らかに小さい。なんでこうなったー!! ブロンコ以外の起動輪は、歯を除いた直径はおおよそ15mm(エレールはやや大きめ)。ブロンコは13mm強しかない。

検証のため、ほぼ真横から撮った実車写真を加工して、起動輪と誘導輪の径を比べてみた。上の写真と同じく、wikimedia commons、ソフィアに現存のもの。ファイル名:National Museum of Military History, Bulgaria, Sofia 2012 PD 071.jpg(作者:Bin im Garten)より。

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完全に等距離ではなくそれぞれ若干斜めなので「だいたいこんな感じ」でしかないのだが、おおよそ、歯を除いた起動輪径は誘導輪のリム片側分を除いた程度。ブロンコを除く「大きい子組」の方が、バランス的には適正。

なお、歯の形状に関しては、エレールは歯が幅広過ぎて、なんだか子供が描いたひまわりの花のよう。トラペのものは歯が小さ過ぎるように見える。ブロンコのものも歯の大きさはトラペとあまり変わりないが、小径であるぶん、バランス的にはちょっとマシ。モデルカステンのものは「ランズベルク軽戦車の履帯のセンターガイドかっ!?」(判りにくい例え)と言いたくなるほど、明らかに長すぎ。

しかしここで、更なる問題が。

上の「集合写真」に小さく番号が振ってあるのだが、エレール、ブロンコは歯数が22。トラペと別売履帯にセットされた2種は歯数が24と、これまた2グループに分かれてしまった。現存車輛の起動輪の歯数を数えてみたところ、正解は22本。となると、おそらくサイズ的に適正で歯数が正しいのは、最古のエレールだけということになってしまう。なんでこうなったー!!(再)

(追記:ここで取り上げている「ブロンコのキット」はCB-35019で、同社のオチキスの初版、CB-35001には径が他社とほぼ同じで歯数が24本のものが入っているらしい。me20さんに教えていただいた。詳細は後述)

しかも、「それならエレールを使おう」と思っても、今度は別売の履帯のどれもが上手くはまらない可能性も出てくる(フリウルはどうなんだろう?)。さすがにエレールのカチカチ履帯は使いたくない。

●ここでちょっと趣向を変えて、PMMSのブロンコ・オチキスのレビューについて。著者はTerry Ashley氏。

前回ちょろっと触れたように、このレビューでは、エレールとトラペのキットはややオーバーサイズで、ブロンコのキットがより正確であると評価している。根拠の一つとして、シュピールベルガーの「Beute-Kraftfahrzeuge und-Panzer der deutschen Wehrmacht」(『鹵獲戦車』として邦訳も出ている)に掲載されたドイル氏の1:35図面と関連データを挙げている。以下引用。

Comparing the parts to known data and plans including the side view 1:35 plans by Hilary Louis Doyle in the Spielberger “Beute-Kraftfahrzeuge und-Panzer der deutschen Wehrmacht” (Booty motor vehicles and tanks of the German army) book and associated diagrams and reference pictures show the dimensions of the Bronco kit to be well within reasonable tolerances. These sources also show the Trumpeter and Heller hulls and turrets to be oversized which are quite noticeable when comparing the parts directly.

おや。このボイテ本(原本のドイツ語版)、持ってますよ。……というわけで、掘り出してきて比較してみた。

まず第一に、掲載されたドイル図面(側面図)との直接比較。結果。図面の車体、砲塔のサイズはエレール、トラペに近く、ブロンコは明らかに小さい。ちなみにドイル図における砲塔の前後長は38mm。各社のAPX R砲塔のサイズは砲塔検証の記事を参照のこと。

20200524_112212 ただし、それよりも気になるのは、ドイル図面とは別に、各部の寸法が記入されたH35とH38の小さな三面図(左側面、平面、正面)が掲載されていること。残念ながらキャプションには、「35Hと38Hの主な違いはエンジンデッキで云々」みたいなことしか書いておらず、この図自体の由来は不明(ただし、図の但し書きはフランス語で入っている)。さらに残念なのは図が縮小され過ぎていて記入されている数字がほとんど読み取れないこと。しかし、全幅の数字は明らかに1950(mm)ではなく、めがーぬさんに教えて貰った(そしてトラペの説明書に書いてあった)1850と書いてあるようだ。

この数字を1:35にすると52.86mm。これは各社キットの車幅よりも小さい。ただ、以前の記事でちょっと誤解があったが、オチキスの「全幅」はフェンダーの両端間の距離ではなく、それよりさらに外側に突き出た起動輪中央間の距離のようだ。となると、各社とも既知の数字の1950mm(1:35で55.7mm)に近い。

しかしテリーさんがボイテ本を根拠に挙げているからには、もしかしたらその他の数字はブロンコのキットの寸法が近い、ということなのだろうか。というわけで、同じ図がネット上のどこかに転がっていないか探してみた結果がコレ

いつリンクが切れるか判らないので、一応、主要な数字を写しておいてみる。ただし、シュピールベルガー本より拡大されている図でも、手書きの数字は小さく潰れていてなかなか正確には読み取れない。

全長(履帯先端から後端まで):4220 ……これはwikipediaなどに出ている既知のデータと同じ。
全幅(フェンダーよりも外に突き出た起動輪中心の幅):1850 ……先述の通り。
全高(キューポラ先端まで):2.135もしくは2.155? ……文字が潰れて正確に判読できず。既知のデータでは2.15m

車体中心軸から前面左右の牽引シャックル中央まで(片側):260?
車体中心軸から左右の履帯内側まで(片側):630?
履帯幅:270?

地面から誘導輪軸:500 ……実際には履帯張度調整で稼働するので、若干の変動があるはず。
誘導輪軸から最後尾転輪ボギー中央:825?
各転輪ボギー中央間:960
起動輪軸から先頭転輪ボギー中央:765?

起動輪軸から砲塔中心:1660
砲塔中心から誘導輪軸:1840
車体先端から?砲塔中心:1870

車体高:1383? ……うまく判読できず

(ちなみに、この図自体はあくまで数字書き込み用のベースとしての用を満たすだけのもので、上部転輪が転輪ボギーの全く中央に合ったり、砲塔キューポラが砲塔の中心にあったりと、図面としてはまったくアテにならない。)

これらを35で割ってみた数字は、ドイル図面とおおよそ一致した。実際には、車体の大きさは3社でそう大きくは変わらず、明確に寸法が違う上部車体幅と砲塔の寸法は書かれていないので比較のしようがない。とにかくテリーさんと私の持っているボイテ本が、それぞれまったく内容が違う、なんてことがない限り、「この本をもとに判断するとブロンコがより正確」などとは言えないと思う。

* * *

さて、テリーさんのレビューがブロンコのキットのプラの質や表面の梨地仕上げまで褒めているのは、「まあ、個人の感性かな」ということにしておくが、それ以外にもこのレビューには興味深い記述がある。

それは、「実車の起動輪の歯数は22本だが、エレールは22本であるのに対してブロンコとトランぺッターは24本」、そして「ブロンコの誘導輪のハブのボルトは8本だが、エレールとトランぺッターでは6本」(ちなみに実車も6本)と書かれていること。

上にも書いたように、私の手元にあるブロンコの起動輪の歯数は22本だし、誘導輪のハブキャップの溝とボルト数は3社とも基本変わりはない。ハブ周りのホイールディスク面に打たれた小リベットに関しては、そもそもブロンコのパーツには存在していない。激謎!

しかし、改めてこのレビューに添えられたパーツ枝写真を見てみると、なんだかちょっと違和感がある。これでは小さくて判りづらいが、写真をコピーして、手元のソフトで拡大してみると……。

誘導輪のハブキャップは8溝・8ボルトだし、起動輪の歯数はたぶん24本ある! なんでだ!?

しかも私の手元にあるキットの枝とよくよく見比べると、起動輪はやや大きめに見えるし、そもそも起動輪と誘導輪が両方とも表側になっている(私の手元のパーツ枝だと、この写真の状態だと誘導輪は裏側になる)。どうやら、このキット評から私の入手したキットまでの間に、パーツに改修の手が入っているらしい。

実はキット評の対象となっているキットはブロンコの第一弾キットである「CB-35001」であるのに対して、私のキットはその後発売になった「CB-35019」。初版はレビューにあるような起動輪・誘導輪だったのか、あるいはテリーさんがレビューしたのはテストショットとのことなので(初期のショットと、その後発売直前のショットで改訂)、発売された正規版ではすべて「小起動輪と6溝誘導輪」になっているのかもしれない。もしかしたら、発売直前のテリーさんのキット評を見て慌てて改訂した、という可能性もあるかもしれない。

(追記:me20さん情報。やはりCB-35001には24枚歯で大径の起動輪のパーツが入っているそうだ)

が、これでブロンコだけやけに起動輪が小さい理由が想像できた。おそらく、

歯数を多く間違えているのに気付いて、とはいえ、すでにパーツ化してしまった履帯を作り直すのはコストが掛かり過ぎるので、起動輪を小径化することで歯数を2本減らした

――のではないだろうか。やりやがった! ブロンコのやつめ!

●とりあえずまたまた何か気になるネタが出てこない限り、オチキスのキット評に関してはこれでひとまず終了。

なんだか、実際にいじる日がちょっと遠のいたような気がする。オチキスより、おとなしくルノーでも作ろう……。

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ほっち、きっす、頬寄せて♪(2)

●オチキスH35~39キットの3社比較の続き。

当初は、me20さんの製作記事で判ったことの再確認も兼ねて、自分が作るときのための下調べでもしておくかあ~、くらいの軽い気持ちだったのだが、いろいろチェックを進めてみると、

これはとんでもないパンドラの箱を開けてしまったかも

感がひしひし。……最後に「希望」が残ってたらいいなあ。

●車体上部はこのような感じ。左からエレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。エレールのみは、エンジンルーム部分を別部品として、旧車体(H35)と新車体のコンパチにしている。H35のインジェクションキットは現時点でもエレールだけで(ブラチからブロンコ用の改造パーツは出ている)、この点だけでもエレールのキットの存在価値はまだまだあると思う。

20200520_12510820200520_125240

▼車体上部アウトライン

こうして並べてみると、明らかにブロンコのみ幅が狭く、アウトライン的にも砲塔横あたりで直線的になっていることが判る。もちろん寸法的にブロンコだけが正しい可能性も否定しないが、実車写真を見ると、上部車体の裾は全体が緩やかにカーブしていて、それに比べてブロンコは左右が直線的でちょっとイメージと違う。しかしその一方で、エレールはフェンダーが車体に隠れ過ぎな感じもする。ピットロード/トランぺッターはフェンダー自体がちょっと広いので、エレールよりはマシな感じ。

また、上部車体裾のアウトラインのカーブ具合は、実車では砲塔横の本棚の衝立状のフェンダー支持架部分で最も幅広となるが、エレール、ピットロード/トランぺッターとも、中心がちょっと後ろ寄りに感じる。これは戦闘室上面が後ろで広がり過ぎなことも一因かと思う。実際には、戦闘室上面も砲塔真横を幅のピークとして、後方に向かって絞られている。

砲塔位置もブロンコは他2社に比べて約2mmほども後ろにある。これも(正確な図面等がないので)どちらが正しいとパッと判断できない。また、(me20さんの指摘で知ったが)ピットロード/トランぺッターのキットは砲塔が車体に埋まり過ぎ。車体にべったり砲塔が乗った形になるが、実際には若干頸部が見えているのが正しい。この「首埋まり」はエレールのキットも同様。なお、ブロンコのキットは砲塔リング周りにリブ状のガードがある。これはソミュールの現存実車にはなく、クビンカのものにはあるので、生産時期、あるいは鋳造ブロックの製造工場の別によるものらしい。ちなみにクビンカの実車は砲塔後ろの刻印から、同車輛の前部ブロック同様、戦闘室ブロックもAPO(パリ・ウトロー製鉄所:Aciéries de Paris et d'Outreau)製であることが確認できる。

▼エンジンパネル

3社の新車体のエンジンパネルは、基本、右側グリルが横向きになった標準型。新車体は少なくとも800輌(発注は900輌)生産されているが、そのうち初期の100数十輌は、右側グリルも縦向きになっている(新車体は登録番号が40400番台からで、私が確認した最も若い横グリル装備車は40533号車。ただし、それ以降もしばらくは縦グリル、横グリルが混在している感じ。私が確認した最も番号が大きい縦グリル車は40600号車)。

しかし、3社同じ仕様の割には表現はまちまち。特にピットロード/トランぺッターの右グリルの位置と大きさは変。エレールは本来左右別のパネルであるはずが、分割線が無視されている。グリルの表現自体も、3社ともおざなり感がある。

また、実車のパネルは後端に軸があって後方に開くように出来ていて(側面上後端に軸頭が出ている)、そのため後端は丸く、車体との間には明瞭な溝があるが、それについては3社とも再現されていない。

▼上部車体後端

後端には車体下部との結合ボルトがあるのだが、エレール、ピットロード/トランぺッターのキットでは本来5カ所あるはずのボルトの溝が4か所しかない。予備転輪あるいは尾橇でほとんど隠れてしまうため、あっさり省略されてしまったらしい。また、エレールのキットは溝だけあってボルト自体はない。

▼エンジンルーム側面

なだらかに低くなっていた旧車体のエンジンルームに対し、新車体は、旧車体の丸っこいエンジンルームをベースに残したまま、箱型に上方に増築したような形状になっている。実車は次のような感じ。

Hotchkiss_h39

wikimedia commonsより。ブルガリア、ソフィアに現存の車輛。Hotchkiss H-39.jpgEdal Anton Lefterov作成。

とりあえず、戦闘室部分とは段差などはなく、かなりスムーズに面がつながっていることが判る。これに対して各社キットは以下の通り。エレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッターの順。

20200520_135648_20200523060101 20200520_135714_20200523060101 20200520_135737_20200523060101

ここも各社各様だが、いずれにしても、3社とも戦闘室後端からエンジンルームにかけて、特に側面上部で急激に絞られたような形状になっている。これは前述のように、本来は砲塔真横を最大幅として徐々に戦闘室上面の幅も絞られているはずが、エレールとピットロード/トランぺッターではむしろ逆に広がり、ブロンコでも最大幅のままになっていて、大きな段差が生じてしまっているため。

特にトラペではかなり極端な"えくぼ"が出来ており、増積されたエンジンルーム上部とH35の曲面を残した下部とのつながりもなだらかさが足りない印象。なお、トラペのキットでは本来あるはずの戦闘室/エンジンルーム間の継ぎ目もない。

この“ギャップ”を根本的に修正しようと思ったら、上部のエッジに生じている明瞭なS字カーブの前方をゴリゴリ削り込む(と、たぶん穴が開くので裏打ちは必須)。かつ、表面にも若干のパテ盛りが必要になるかも。うわ。面倒くせぇ!

●長くなったので足回りに関しては改めて(続くのか!)。

なお、PMMSには、ブロンコ、およびトランぺッター両者のキット評が出ている。特にブロンコのレビューではトラペのキットとの比較も若干含まれているのだが、筆者(Terry Ashley氏)はかなり明確に“ブロンコ推し”。寸法的にもブロンコのほうが正確であるとしている。ホント!?

それ以外についてもいろいろと不思議な点が多いレビューで、これについてもできれば次回触れたい。

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ほっち、きっす、頬寄せて♪

●……なんて、お馬鹿な替え歌を歌ってみたり。この元歌が判る人って、結構年配なんだろうなあ、と思いつつ。

●バレンタインをいじる一方で、me20さんのオチキス工作を横目で見ていて気になって、キットを引っ張り出してきたのは先に書いた通り。

結局、ブロンコとピットロード/トラペのどっちをベースにしたらいいのよ?ってところまでよく判らなくなってきたので、ついでに出してきたエレールのキットも含めて、シャーシ・パーツの比較をしてみた。

まずは比較検討の基準の参考として、実車写真を二葉ほど。

1024pxnational_museum_of_military_histor H38_yad_lashiryon_031

ともに、wikimedia commonsより。

左写真はブルガリア、ソフィアの国立軍事史博物館所蔵車輛、ファイル名:National Museum of Military History, Bulgaria, Sofia 2012 PD 071.jpg、作者:Bin im Garten

右写真はイスラエル、Yad la-Shiryon博物館所蔵車輛、ファイル名:Military vehicle in the Yad la-Shiryon Museum 031.jpg、作者:Anton Nosik、より切り出し加工。

●まずはブロンコ。

20200520_121738 20200520_194028

・シャーシ全長(後面ブロックが三角に出っ張った部分の頂点からギアハウジングの先端まで、以下同)は111.0mm。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは109.0mm。
・起動輪軸までは104.0mm。
・シャーシ幅は33.8mm。

なお、これらの寸法は凹凸のあるところにモノサシを当てて目測で測っているので、「まあ、そんな感じ」レベルと取って頂きたい(あとの2社も同様)。

車体前面に対してギアハウジング部は3社のうち最も突出しているが、実車と比べると突出し過ぎな感じもする。梨地仕上げも余り感じがよくない。ギアハウジング部のバルジ内側に、グリースポイント用かと思われる2か所ずつのボルトのモールドがあるのは3社のうちブロンコだけ。ギアハウジング内側のバルジは本来車体前端と一体鋳造でなだらかにつながっているのだが、キットは別パーツなので、パテ等で処理する必要あり。

上部転輪基部のディテールのモールドがあるのはこのキットのみ。

車体側面には、前部ブロック、後部ブロックとの接合線に溶接痕のモールドが入っているが、ここはボルト結合のはず。

●次にピットロード/トランぺッター。

20200520_121113 20200520_193921

・シャーシ全長は109.0mm。3社のうちで最も短い。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは108.5mm。ギアハウジングが車体の「おでこ」からほとんど前に出ていない。
・起動輪軸までは105.0mm。ただしキット指定の軸部はギアハウジング前下寄りに偏心している。ギアハウジング部中心までは103.0mm。
・シャーシ幅は33.8mm。ブロンコとピッタリ同寸。

寸法の数字の信頼性については同上。

こちらはブロンコと対照的にギアハウジング部のバルジが車体前端に対して引っ込み過ぎな感じ、というよりも、車体前端の「おでこ」部分がより切り立っているのが、ますます寸詰まったイメージを強調しているかもしれない。ギアハウジング部内側が車体前面と別部品になっているのはブロンコと似ている。バルジ内側部の傾斜具合(外周に向けての薄くなり具合)もこのキットが最も強調されている。ちょっと実車よりきつすぎるかな。

そしてme20さんを唖然とさせた、このキット最大の謎部分が、起動輪軸がギアハウジングの円周に対して中心でなく妙な位置に偏っていること。当然実車はそんなふうにはなっていない。キットはギアハウジングの中心位置に凸があるが、起動輪軸のパーツも凸なので、当然ながらそのままでは中心位置には取り付けられない。シャーシを設計し終えてから仮組みしてみたら何かしらの不具合が出て(フェンダーとの位置関係が変だったとか、ベルト式の履帯の長さが余ったとか)「しょうがないから軸を移しちゃえ!」みたいなしょうもない顛末があったのではないかと想像したのだが、どうだろうか。

また、車体前端上面部分が別部品になっていて、「おでこ」部分、オチキスのロゴの上に横一直線に実車にはない部品の接合線が来るのもこのキットの特徴。ここに貼った前面写真ではこの「おでこ」上部を取り付けていないが、その状態でも、上の実車写真と比べて明らかに前面の上半分が広過ぎなのが判る。

また、シャーシ側面写真で判るように、このキットでは、2カ所の上部転輪が、それぞれ転輪ボギーのちょうど中間に位置している。しかし、上の実車写真で判るように、実車ではそれぞれ外側に寄っており、キットの位置は明らかに間違い。ブロンコ、エレールのキットでは外側寄りになっている。

ピットロード/トランぺッターのキットは発売時、「ブロンコに対抗するためエレールを参考にバタバタと製品化された」と噂されたが、確かに砲塔は非常に似通っているものの、シャーシの設計は寸法的にも部品分割的にも大分違う。

●そして最も古株のエレール。

20200520_120756 20200520_194134

・シャーシ全長は112.5mm。3社のうちで最も長い。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは111.5mm。
・起動輪軸までは105.0mm。
・シャーシ幅は34.5mmで、3社のうち最も幅広(といっても1mm弱だが)。

車体前端のパーツが、ギアハウジングのバルジ含めて実車通りに一体なのは、なんと最も古いこのキットだけ。実は前端部の形状、バルジの突出具合も、このキットが一番実車に近いような気も……あれれ? ただし、ハウジング部バルジ内側はちょっとエッジが立ち過ぎな感じもする。

オチキスのロゴに関しては、3社とも最も一般的なタイプに近いのだが、特にこのエレールのものは長円形ではなく単なる長方形になってしまっている(他の2社も「角を丸めた長方形」にしかなっていないが)。

●なお、転輪ボギーの位置については、ブロンコとピットロート/トランぺッターはほぼピッタリ同一位置(左写真)。しかしエレールはボギー同士が若干近接(右写真)。そのぶん、最終的には転輪と起動輪、転輪と誘導輪は新しい2社のキットよりも離れた感じになるはず。どちらがより実車に近いかは……う~ん。足回りまでちゃんと仮組みしてみないと判んないや~。いや、昔作ったエレールのH35を掘り出してくれば実車写真との比較ができるのか?

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先述の上部転輪の位置の違いもこの写真でよく確認できる。ブロンコとエレールも上部転輪位置に差があるが、これは転輪ボギーの位置自体が違うので当然。

改めて、3社のシャーシの「面構え」部の比較。左からエレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。

20200520_122514

「おでこ」部分の角度や広さ、ギアハウジング部の突出具合の違いで、意外にそれぞれ印象が違う。ギアハウジング部のバルジはエレールが最も厚みがあって角ばっており、トラペが最も斜めに薄くなっているのが判る。

●そして3社のフェンダーの比較。左からエレール、ピットロード/トランぺッター、ブロンコ。なぜ上と順番が同じじゃないんだ!(←単に間違えただけ)

20200520_124750

各社パーツの幅は、

・エレール:9.5mm
・ピットロード/トランぺッター:11.0mm(10.0mm)
・ブロンコ:9.7mm

トラペのものが一目でわかるように幅広だが、実はブロンコのフェンダーだけが「シャーシパーツの上に載せるように接着する」形式になっていて、シャーシパーツの厚み分が加算されているためでもある。シャーシパーツの厚みを引くとカッコ内の数字になる(それでもわずかに他2社より幅広)。

各社パーツの長さは、

・エレール:全長117.5mm、直線部101.5mm
・ピットロード/トランぺッター:全長116.0mm、直線部100.5mm
・ブロンコ:全長117.2mm、直線部100.8mm

me20さんによれば、トラペのキットの起動輪をギアハウジング部中央に移して(つまり後方に移動して)組んだにも関わらず、カステンを履かせたらフェンダーに履帯が干渉してしまい、フェンダー屈曲部の内側を浚う必要が出たそうだ。う~ん。謎。もしかしたら起動輪の位置が高め? あ、誘導輪側も引っかかってるんだっけ。

なお、上記のフェンダー幅をシャーシ幅と合わせた全幅は、

・エレール:53.5mm
・ピットロード/トランぺッター:53.8mm
・ブロンコ:53.2mm

ということになる。複数の資料に出ている実車の全幅は195cm。この寸法が正しいとすると、1:35は55.7mmになるので……各社全部幅が足りないぢゃん!

(5月24日追記。オチキスは起動輪中央部がフェンダー端よりさらに外側に出っ張っているので、全幅は「フェンダー両端の幅」ではないらしい。というわけで、各社だいたい既知の数字の35分の1である55.7mmに近いと考えてよさそう)

●とりあえず今回はここまで。気が向いたら車体上部とかボギーの比較もするかも。

●割とどうでもいい話。

表題の元歌は、坂本九の「ほほを寄せて、キスをしようよ」という意味の歌なのだが、改めて調べてみると、曲名は「レットキス」。「キスをしよう」なら「レッツ・キス(Let's kiss)」なんじゃないの?……と思ったら、そもそもこの曲はフィンランド民謡で、原題の「Letkis」は「列になって踊ろう」というような意味なのだそうだ(wikipediaによる)。

「Let's kiss」だと思ったのはそもそも誤解だったわけだが、日本語の歌詞はその誤解を逆手に取って作られていたという次第。知らんかった……。ついでに言うと「ジェンカ」(この曲を含むフォークダンスのタイプの総称)と「ジェンガ」が頭の中でごっちゃになっていた。

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バレンタイン復活の日(4)

●オチキスだのルノーだのにちょっと気を取られている――のは否定しないが、バレンタインもじわじわ進行中。

というか、前回の段階から、車体前後のライト類と配線を済ませてしまえば、基本、工作は終了! 塗装を除くと、製作記は珍しくもたった4回! ヤッター!……という具合になるのではと考えていたのだが、ここまで来たところで、細かい"引っ掛かり"がいくつか出てきてしまった。面倒臭いなーこの戦車(面倒臭くしているのはお前だろう、というツッコミは置くとして)。

●とりあえず多少なりと進んだ部分。

車体後部に尾灯類?(パーツC45とC5)を付けて、引込部から配線を付けた。

20200519_202609

もっとも、この部分がこのようなパーツ配置になっていて、それが綺麗に残っている現存車輛が見当たらず、ディテールはいまいちよく判らない(ただし、このC45とC5の形状のものがくっついている戦時中の実車写真は、とりあえずある)。

一応、キットではC45の筒状のものの先を赤で塗るよう指示されているので、これが尾灯であるのは確かなような(ただし、実車ではこの部分は本当に「筒」で、ライトそのものはその奥にあるようなので、ドリルで開口した)。

もう一つの、ちょっと後ろ側にあるC5は何なのか謎だが、後ろ向きのホーン?……とにかく、単純な板ではなく奥行きのある部品なので電装品だろうと判断して配線した。

引込部のポッチは現存車輛でも確認できるので、線が後ろ側から出ているのは確かだろうが、それが尾灯?とホーン?のどこに繋がるのかはわからず、結局、見切り発車的に真後ろのど真ん中に穴を開けて繋げた。

●車体前側の電装品でまず引っ掛かったのが、左フェンダー上に載っているホーンと思しきパーツとそのカバー(C6とC42)。

とりあえず、最初はキットの指定通り付けるつもりでいて、配線用のパイプが通るようにカバーに溝など彫っていたりしたのだが……。

20200514_234837

改めて戦時中の実車写真を見直すと、このカバー(とホーン)は付いていたりいなかったり、付いているとしてももう少し小さめで縦長のカバーが内側寄りに付いていたり。

実際、キットのような大きさと配置(フェンダー中央)のものもあるのは確認できたが、防盾の機銃部が引っ込んだ初期型形質のものに限られているような。また、キット指定のソ連軍の「35-51」号車、「スターリンのために 52号車」のいずれもこのカバー(とホーン)が付いていないように見えるので、結局付けない(あるいは付けるとしても位置と形状を直す)ことにした。

そこで厄介なのが、キットのフェンダーにはカバーの取付位置に大きな凹部が設けられていることで、単なる穴なら埋めるだけで済むが、この場合、フェンダーの補強リブもその部分で途切れてしまっているのが悩ましい。

最終的には、穴を埋めて、その部分にかかる2本のリブも一度削り落としてしまい、プラペーパーの細切りを貼ってヤスってエッジを落として再生した。モールドにどれだけ近付けているかは塗装してみるまで不明(サーフェサーを塗って確かめるのが面倒)。どのみち予備履帯で隠れてしまうため、リブの後端の工作は適当で長さがまちまち。

予備履帯に関しては、前回、「まだ残っている電気系統の配線の工作の邪魔になりそうなので、現段階では取り付けない」と書いたのだが、車幅表示灯を後ろ側にずらして取り付けることにしようと思ったので、その位置決めの目安にする意味もあって、結局取り付けた。行き当たりばったり……。

20200514_23465220200519_195326

●前述の車幅表示灯、車体前端左右に付く前照灯(そしてもしも付ける場合には前述のホーン)には、車体の引込部から電源コードが接続しているのだが、これがご丁寧に、フェンダーに這わせた保護パイプの中を通っている。なんでわざわざこんな妙に凝ったものを付けるかなあ。ドイツ戦車みたいに単純にコードを這わせたらいいじゃん!

AFVクラブのキットでは別パーツとして付属しているが、タミヤのキットではあっさり省略されているので、気になる場合は追加する必要がある。が、これまた現存実車ではあれこれ差があって、どんな状態がMk.II/IVの場合に標準なのかがよく判らない(ちなみにソミュールの実車は、一見2ポンド砲砲塔装備の初期型だが、実際には「MkIII架橋戦車の車体にMk.Iの砲塔を載せたハイブリッド再生車」だそうだ)。

まあ、あれこれ悩んでも仕方がないので、これも見切り発車で工作開始。とりあえず、現段階ではパイプのメイン部分を作成したところ。

20200519_195844

フェンダー上への分岐になる円筒形部分は、丸棒に溝を彫ってパイプ本体の白いプラ棒をはめ込んで接着、それから両側を切って削って薄くして……ああ、面倒くさい!

●さらにここまで来て発覚した、もう一つの面倒臭い部分。

アフリカ型のサンドシールドでなく、"ヨーロッパ型"として組む場合は、ゴム製フラップ付きの丸いフェンダー前後と、前側にだけ小さな側面の"垂れ"(B12、B13)が付く。これを付けてしまうと後から誘導輪が取り付けられなくなってしまう……足回りを塗装してから取り付けるのは面倒くさいな、などと思っていたのだが、"垂れ"接着後でも、どうやら斜めにヒネるように差し込むと誘導輪を取り付けられる様子。

というわけで取り付けて見て、実際に誘導輪も後付け可能であることも確認……したまではよかったのだが、今度は、履帯がこの"垂れ"の内側に干渉してしまうことが発覚。

キットの履帯とブロンコの可動履帯は幅自体はほぼピッタリ同じなので、ストレートに作れば干渉することはないはずなのだが、とにかくうまく入らない。一部憶測交じりだが、どうも次のような感じ。

・そもそもこの"垂れ"は、フェンダーに対して垂直ではなく、裾広がりに(前から見てハの字に)斜めに付く。

・タミヤのキットは本来、足回りを組み終えてからこの"垂れ"を取り付けるように指示されている。また"垂れ"(B12、B13)パーツ裏側の履帯に当たる部分はもともとえぐれてモールドされていて、どうも、足回りを組んだ上からこの"垂れ"を履帯に触れるか触れないかくらいで接着すると、適正な「ハの字」具合に取り付けられるようになっている。なお、履帯自体がフェンダーに対してギリギリ外側に位置しているのは実車通りの位置関係。

・私は足回り組み上げ前に"垂れ"を付けてしまったので、適正な角度よりも若干垂直に近くなってしまっていたらしい。加えて、誘導輪のゴムリム部を外側に膨らませる工作をしているために(もともとキットのゴムリム部とガイドホーンの間には隙間があったので、履帯の位置自体そうズレていないはずだが)、ますます余裕がなくなったらしい。

結局のところ、私がきちんと立て付けを確認していなかったのが悪いのかもしれないが、とにかく、タミヤのバレンタインに別売の履帯を交換装着しようとしている方はお気を付けを(ほとんどhn-nhさんへの私信?)。

なにはともあれ、そんなわけで、キットの"垂れ"パーツの内側をゴリゴリと削って薄くすることで対処した。

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左写真がキットのままの"垂れ"裏側。履帯に当たる部分の溝が判る。右は裏をさらって薄くする工作中。主に、一緒に写っている自作のチゼル(というかノミ?)を使用。これは確か100円ショップ由来のマイクロドライバーのマイナスを自分で研いだもの。安直な工具だが、なぜかとても重宝している。

取り付けた状態。

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"垂れ"部分と前面部分のゴムには、実車では継ぎ目はないので、このあと削って消している。また、ちょっとゴムらしい柔らかさを出そうと、若干波打ったようなふうに削ってあるが……効果のほどはちょっと微妙かな?

実際に履帯を取り付けてみて、様子をみたのが次の写真。

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●次回には「工作終了!」といきたい。

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オチキス天国、もしくはオチキス地獄

me20さんのところで、着々とオチキス製作記が進んでいて楽しい。

それに関して、私のところでもピットロード/トランぺッターのキットと、ブロンコのキットを引っ張り出して車体の比較などしていたのだが、どうせならエレールの車体も比べてみたいと思い始め、押入れの中をごそごそと捜索。

エレールのオチキスはその昔にH35として1輌作ったが、それ以外に未組立のストックも、グンゼ版のものが1つ(あるいは2つ)あったはず。……と思ったら、エレール/ハンブロール版の箱のものが出てきた。あ~。そういえばこれも持ってたんだっけ。

20200517_023125 と感慨に浸る間もなく、その箱と重なって、ピットロード/トランぺッターのオチキスがもう一箱出てきた。このところ手元に置いてブロンコと比べていたのは短砲身の(キット名称)「オチキスH38軽戦車」。新たに出てきたのは長砲身の「オチキスH39 重ロケットランチャー40型装備型」。ええっ。オレこんなのまで持ってたっけ!?

今にして思えば「どうしてくれようホトトギス」的に持て余すトホホなキットだが、きっと出たときには「わーい、おちきすのあたらしいきっとだぁ~」と舞い上がって買っちゃったんだろうな……。

右写真のキットのほかに、上記のように、グンゼ版エレールのキットが1つ(あるいは2つ)どこかにある。また、APX R砲塔比較レポートで使用したこげ茶のプラ色のエレールの砲塔は、旧版のエレールのルノーもしくはオチキスのキットのもののはず。これの車体はいったいどこにあるんだろう。自分のことながら、ちょっと背筋が寒くなってきた。

なお、そのうちもうちょっとまともな比較検証もしてみたいところだが、とりあえず、エレールの車体とトラペの車体を比べたところ、部品分割に関しては全く異なるものの、全体のアウトラインは非常に似通っていた。特に車体上部の後姿は、予備転輪ホルダーに隠れる上下結合ボルト溝が省略されているところまでそっくり同じ。なんだかもう。

ついでに(これはまた全然別のキットの箱から)、Vanatorul de care R-35製作時に“食い散らかし”た、ON THE MARK MODELのルノーR35/オチキスH35用のエッチングの残りが出てきた。未使用のもう1セットと、オチキス用尾橇セットは、トラペのH38のキットの箱に一緒にしまってあったもの。

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これらエッチングは、確かエレールしかなかった時代に買ったもの。ON THE MARKのエッチングは一見なかなか繊細に見えるが、実際には使えるパーツはあまり多くない(泣)。尾橇セットはそれなりに出来が良いように見えるが、トラペのキット、ブロンコのキットともに尾橇はプラパーツが入っていて、そこそこ薄く仕上がっているので、いまさら面倒な思いをしてエッチングは組まないかもしれない。とほほほ。

●トリビア(以前にも書いたかもしれない)。

よく、「文房具のホチキス(一般名称で言えばステープラー)は、軍需メーカーであるオチキス社(の係累?)が機関銃の装弾機構を参考に作発明した」と言われるが、これは俗説で、アメリカの(文房具の)ホチキス社と、フランスの(軍需メーカーの)オチキス社は創業者が親戚である可能性はあるものの(オチキス社の創業者は米系)、直接の関係を示す証拠は何も残っていないそうだ。

●ルノーR35およびオチキスH35~39搭載のAPX R砲塔について。

3Dプリント製品であるETS35のAPX R砲塔をセータ☆さんがお持ちだとのことで、「タテヨコの寸法を教えて!」とお願いしてあったのだが、予想の斜め上を超えるような回答が。詳しくは先の「APX R砲塔」の記事への追記、あるいは直接セータ☆さんによるレポートをどうぞ。

●以前にも紹介したことがある「マルハナバチ国勢調査」は、東北大学、山形大学の研究グループが中心となって行っている市民参加型のマルハナバチ類の分布調査。全国から、一般の人が撮ったマルハナバチの写真を位置情報付きで投稿してもらい、それを蓄積して分析・研究に役立てるもの(実を言うと私は最近、写真は撮るものの投稿はさぼっていて申し訳ない限り)。

そのマルハナバチ国勢調査の事務局からメールが来て、このほど、「マルハナバチ国勢調査」と「日本送粉サービス研究会」の協力により、「野生マルハナバチパンフレット」が作成された由。これまで送られてきたマルハナバチやその他ハナバチの写真からもいくつか使われているというので見てみたら、私が何年か前に近所で撮ったハキリバチの写真が採用されていた。縦横比から見て、まだ富士通のセパレート式の携帯を使っていた頃の写真。特にクレジットなど表示されるわけでもないが、何だかちょっと嬉しい。

パンフレット(第一版)は、「日本送粉サービス研究会」のこのページからPDFをダウンロードできる。また、使われた写真はこちら。

F1015933

写真の出来自体は「下手な鉄砲も数打てば」の結果でしかないが(しかもよく見るとピントが微妙に合っていない)、今見てもお腹にたっぷりとため込んだ花粉がなかなか可愛い。

それにしても、「マルハナバチ国勢調査」とセットになっていたから判るものの、「日本送粉サービス研究会」って、単独で聞いたら何の団体やら判らないな……。

●何かの模型を作るとき、そのディテールを知りたいと思ったら、現在は(車種・機種にもよるが)ネットで検索すれば、かなり豊富にwalkaround写真を集めることができたりする。その昔、「くぁ~っ、そうそう、この角度から撮った写真が見たかったんだよ!」と、たった1、2枚の写真のためだけに洋書を買ったりしたことがあることを思えば、まさに隔世の感がある。

もちろん、その特定の車種・機種名でも検索するが、それと合わせて、ある程度以上のwalkaround写真のライブラリが揃っているサイトとして、特に以下のあたりを探してみることも多い。

primeportal
SVSM
DishModels
LEGION AFV
SCALEMODELS WALKAROUNDS.ru

今回、オチキスに関して、それらに出ている以上の何かいい写真がないかしらん、と、あれこれ検索して漁っていて、以下のサイトにたどり着いた。

SCALENEWS Walkarounds

実を言うと、お目当てのオチキスの写真は少なかったのだが(それでも他にない写真があった)、たまげたのは、第二次大戦初頭にオランダ軍が使ったランズヴェルクL180(M38)装甲車の写真が348枚もストックされていたこと。この車種は、おそらく同一車輛と思われるもののレストア時の写真などもネットに上がっていて、また、wikimedia commonsにも結構写真があるのだが、それにしても約350枚はスゴイ。各部のヒンジとか留め具とかのクローズアップも多くて、オナカイッパイな感じ。

その昔、スコドロの「BLITZKRIEG」で知った時には、兄弟車輛のM36含め、いつかどちらかを作ってみたいと思ったものだが、ここまで詳細に資料があると、逆に軽い気持ちでスクラッチなど始められない感じ。

ちなみに、「T-28 walkaround」として150枚余りの写真が収められているが、これはもともとSA-Kuva(フィンランド軍写真アーカイブ)から持ってきたもので、T-28をフィンランドでバラしたパーツ写真集。いや、それwalkaroundって言うのか?

●ソ連時代の喜劇映画監督として有名であるらしい(映画にはほとんど詳しくない)レオニード・ガイダイという人がいるのだが、その名前が出てくるロシア語のページをGoogle翻訳に掛けたら「獅子座外大」と訳されてしまった。逆になんかスゴイ。

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