製作記・レビュー

ホルトの鈍牛(2)

●RODEN 1:35、ホルト重砲牽引車(HOLT 75 Artillery Tractor)の製作記。

すでにあっちこっち並行で手を付けてしまっており、そのまま書くとだいぶ混乱した内容になってしまうので、部分ごとに少しずつ。

前回書いたように、キットの箱を開けてまず気になった、「トタン屋根」中央のヒケ。ここは目立つ箇所なので、なんとか直したい。

web上で、海外の製作記事など読むと、薄いアルミ板(缶ビールか何かを切り広げたもの)でコルゲート板を自作している人もいたが、さすがにそれは大変そうだ。

考えられる方策はいくつかあるが、

(1).ちょうど大きさ/ピッチの合う波板(コルゲート板)を調達・流用する。

これに関しては、鉄道模型屋、東急ハンズ等当たってみたが、使えそうなものが見付けられなかった。もともと横浜の東急ハンズは規模が小さいが、とはいっても、渋谷のハンズに行ってありそうな気もしなかったので、早々に諦める。

(2).パテで埋める。

hn-nhさんからは、「コルケートを型取りしたヘラをつくってエポキシパテ刷り込む」さらに一歩突っ込んだ解決法も提案されたが、そもそも私は「パテ作業経験値」というものが極めて低いので(そもそもパテに類するものを常備していないことが多い)、これはパス。

(3).裏の棟木分、上面のヒケごと切断。「三枚おろし」にして、棟木+ヒケ部分を除去して再接着する(その分、幅が狭くなる)。

これもhn-nhさんから頂いた案。実際には屋根の裏側に幅一杯の枠が付くので、幅が狭くなる対処法は避けたい。というわけで不採用。

(4).波板の谷の部分に発生しているヒケ穴をドリルでさらい、プラ棒を差し込んで埋めていき、後に整形。

ヒケの対処法としては私が多用する方法なのだが、この屋根の場合は範囲が広すぎる(箇所が多すぎる)うえ、波板の山の部分にも若干のヒケが出ているために不可。

結局は、(3)と(4)の折衷のような、以下のような方法で対処した。

▼屋根の中心線に沿って、レザーソー、ヤスリを使い、ヒケごと削り落とし、溝を彫る。

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▼溝をプラ材の帯で埋める。接着剤をたっぷり使い、その後、両側に瞬着もわずかに流した。使用したのはwaveの0.3mmプラバンの2枚重ね。

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▼波板の山部分に沿って粗く削った後、棒ヤスリ、「神ヤス」などを使って谷部分を削り込んでいく。

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これでなんとかヒケ対処は終了。

●この屋根パーツは、(個々のパーツは比較的大味な)RODENにしては割と薄く仕上がっているのだが、それでも、左右端部分は若干厚みが目立つ。

というわけで、ここも若干削り込んだ。とはいえ、波板なので、結局上面のヒケ処理同様、棒ヤスリと神ヤスで谷の一つ一つを削り込んでいかねばならず、非常に手間が掛かった。ある程度薄くしたところで面倒になり終了。

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左側がbefore。右がafter。

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宇治金時

●梅雨に入った、と思ったらすぐに明けてしまった感あり。連日アホ暑い。

●糖尿病だろうとこれは外せぬ。鎌倉浪花家の宇治金時。6月19日、今年の初かき氷。

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20180620_181917 ●6月20日、仕事で出かけた帰り、横浜から乗った京急のエアポート急行新逗子行きが、たまたま「ドレミファ・インバータ車」だった。少数ながらまだまだ頑張っているようでちょっと嬉しい。

スマホの動画で音を録ってみた(映っているのは私の足)。内容は杉田駅(たぶん)への停車と発車の様子。特徴的な「ルルル~」は発車時のみだが、停まる直前の「ヒューン…ヒューン…」も結構好き。

右上は乗った車輛の車内タグ。「インテル入ってる」的な「powered by SIEMENS」が素敵。

●鉄道ネタ繋がり。

駅ナンバリングに使われている路線略号、上記京浜急行線は「KK」。個人的には、ぜひ「KQ」を主張してほしかった。

一方、さらに身近な横須賀線は「JO」。……じょこすか線? あるいはドイツ語読み? と思ったら、JR東日本の路線は全部一文字目にJが付くのだそうだ。さらに言えば2文字目のOも不思議だが、これは直通運転している総武線快速と共通させるため、両方で重なる文字を拾ってきたらしい。なんだかもう、よくわからん。

●6月27日。仕事で神保町に行ったついでに寄った秋葉原のYSで、miniartのIII号B型車体のリニューアル・パーツばら売りを発見。

miniartは、期間限定ながら「古いIII号B型を持っている人には新規パーツを送るヨ!」と太っ腹なサービスを告知していたが、私の持っているのはC型なので、さすがに「送ってよ」とは言えず。とはいえ、C型の修正にもある程度使えそうなので、「欲しい!」と思っていたもの。そもそも同店のばら売り品は、たまたま出た時に行き会わないと買えないので、今回はかなりラッキー。

価格は2袋計で900円。

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写真4枚目は、私の持っているC型キットの車体前部上面板とエンジンデッキ。こちらのパーツのディテールは古い資料に基づくもの。新パーツではエンジンデッキ上面ディテールが大幅に改定されているだけでなく、車体前部上面板で、ハッチ周囲が別体になっている表現も追加されている。

もっとも、車体前部上面板はそのまま流用できそうだが、エンジンデッキに関しては、B型キットとC型キットでは完全に前後長が違うため、流用するにしても切り刻む必要がありそう。しかし、実車においてB型とC型のデッキの違いがどうなっているのか、実はいまひとつよく判らない。

●名越の尾根道で、表面がキノコだらけの樹の幹に、びっしりと尾の長い寄生バチがたかっているのに気付いた。個体差があるものの、大きなものは尾を含めて10センチほどもあり、時折飛び回る翅音もそれなりに大きくて、虫嫌いな人は悲鳴を上げそう。

この手のハチも群れることがあるんだなあ。いや、それ以前に、この樹が(卵を産み付ける相手になる)キバチやカミキリムシの幼虫だらけなのか?

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おそらく、オオホシオナガバチという種類。たぶん別種と思われる、もっと小型で体色の黒いオナガバチも何匹か一緒にいた。

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ホルトの鈍牛

20180615_220846 ●6月に入り、恒例、「週末模型親父」さんのところのSUMICONスタート。

wz.34装甲車、ヴィッカース6t戦車と、このところ未完成リタイアが続いたこともあって、今回は参加をパスするつもりでいたのだが、どうにも(個人的に)そそられるアイテムが発売になり、たまらず購入してしまったので、エントリー締切(6月20日)の直前になって駆け込み参加した。

●それが、先日下北沢のサニーで購入した3つのキットの2つ目。RODEN 1:35、ホルト75重砲牽引車(HOLT Artillery Tractor)。

1024pxholt_75_gun_tractor_replica_8 もともと農業用のトラクターとして開発・生産された車輛だが、折からの大戦勃発で砲牽引車としても多用され、その一方では、近代戦車の開発の祖ともなったことで(知る人ぞ知る程度には)有名。右写真はwikimedia commonsより。

リトル・ウィリーを経由して開発されたイギリスの菱形戦車は「参考にした」程度らしいが、フランスのシュナイダーCA1サン・シャモン、ドイツのA7Vあたりは、直接ホルトの足回りの設計を流用・拡大改良したりして作られたようだ。

実際には、ホルトのトラクターにはあれこれバリエーションが多くあるらしいが、キットのものは75hpエンジンを搭載したホルト75と呼ばれるタイプで、主に英米軍で使用され、イギリスではライセンス生産も行われたらしい。ちなみに、砲牽引時の速度は時速3km/m。

なお、第一次大戦で登場した戦車は左右の履帯の差動で方向を変えるスキッドステア方式を使っているが、ホルトのトラクターは前部に操向輪を備える、もうちょっと原始的な方式となっている(後のハーフトラックのような装輪・装軌のイイトコ取り、なんてことはこれっぽっちも思っていなさそうだ)。

何はともあれ、ラジエーターからエンジンから何もかも、シャーシフレームに取り付けたそのまま剥き出しの格好は魅力的(……と思うかどうかは大いに個人差がありそうだが)。一般に、非装甲の軍用車輛は「ソフトスキン」と呼ばれるが、この車輛の場合はボディと呼べる部分は(屋根を除いて)ほぼ何もないので、いわば「ノースキン」。……なんだか下ネタっぽい?

説明書に書かれたデータによれば、自重は15トン。エンジンは……見るからに巨大なのに75hp。最高時速は「24キロ以下」だそうだが、砲牽引時は3km/hだそうだ。

それでもこんなのがガタピシグォーグォー言いながらのそのそ走ってきたら(実際うるさそう)、迫力があるのは間違いない。まさにフルドドの中のフルドド。ヘイズルもびっくり。エルアライラーも一目散に逃げだしそう。――ちなみにこれらの言葉で検索すると、まるごと固有名詞を流用したガンダム・シリーズがごっそり引っかかるが、もちろん私が言っているのは原作のほう

●キットの中身。

(ギアケースの中身などは省略されているものの)フルインテリアキットに近いので、それなりのパーツ数。

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写真は順番に、A~Hパーツ。足回りのDパーツは同じ枝が2枚。履帯のGパーツは4枚入っているので、合計パーツ枝数は12枚。屋根・フェンダーのHパーツ(写真最後)の枝が大きく約15cm×約30cm。履帯のGパーツが小さく約7cm×約13cm。その他は全部共通サイズで約11cm×約21cm。

この他に小さめのデカールシートが1枚。アメリカの欧州派遣軍(1918年)とイギリス軍(1917年)の2種の塗装例に対応。

●パーツは全体的に、「あ、RODENだな……」という印象。同社最初の1:35キットであるロールス・ロイス装甲車ほどではないが、全体的にちょっと大味なモールド。

本来、非装甲車輛なので(全体としてはマッシブでも)細部は華奢な造りだが、パーツの厚みがもろに表に出てしまう箇所が随所にある。また、抜きテーパーがきつめで、本来真っ直ぐであるべきところが斜めだったり、パーティングラインを境に山なりになっていたりする箇所多数。

ほか、気になった部分をいくつかピックアップ。

▼屋根パーツは波板だが、裏側中央に棟木が一体モールドになっているために、表面中央にヒケが生じてしまった。これはかなり目立つ部分なので困りもの。

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▼屋根パーツと同じ枝に履帯部分のフェンダーパーツがある。緩やかなM字形状にモールドしてあるが、実はこれは表面パターンをうまく抜くためのもので、組み立てる際に両端を下に折り曲げて使う仕組み(裏にV字溝が彫ってある)。なるほど、アイデアだなあ、とは思うが、後々表面に亀裂とかできないかちょっと心配。

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なお、表面パターンはぱっと見、菱形網目に見えて、実は菱形部分のほうが逆に浮き上がっているちょっと珍しいパターン。普通の網パターンを間違えてそうしちゃったんじゃないの?と一瞬思ったが、ボービントンの実車を見たら、実際に菱形のほうが浮いたパターンだった(ちょっとキットと印象は異なるが)。

▼巨大なラジエーターはこの車輛の顔。ここにヒケだのなんだのがあると製作意欲を著しく削ぐことになるが、幸い、割と綺麗な出来。ついでにエンジンも非常に巨大(これで75hp!)。友情出演はタミヤの自転車兄貴。ラジエーター上部、エンジン側面に「HOLT」のメーカーロゴが入っている。本来、各文字の端部には小さくツノが付いた字体なのだが、キットはその表現が弱く、一見、単純なゴチック体に見える。……が、許容範囲のレベルだろうと思う。

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ロッカーアーム部分などはヘッドと一体で精密感に欠ける(しかもヘッド中央にヒケが出ていたりする)。エンジンも剥き出しなので、ある程度手を入れないとオモチャっぽくなりそう。

▼履帯はハメコミ式で、一応可動だが、ある程度曲げるとぽろぽろ外れてしまう。最終的には接着した方がよさそう。

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シュープレート表面は、まずまず満足すべきレベルだが、裏は多少問題あり。リンク部の形状はだいぶいい加減で、本来は側面に2つずつの穴があり、また、ホイールと接する部分は実際にはL字のレール状になっている。

シュープレート裏面には、リンク部にシュープレートを固定する2カ所のボルトのほかに3カ所の丸い凸があり(左右端および中央)、なんだか意図したモールドっぽく見えるものの、どうもただの押し出しピン跡のようだ。

▼ほか、押し出しピン跡が不必要に出っ張っているパーツが多数。もちろん、「単純に削ればOK」というものがほとんどだが、なんだか久しぶりに「懐かしの東欧キット」テイストに触れた気がする。

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●すでに製作に取り掛かっているのだが、それについてはまた改めて。

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THE WORLD AT WAR 1:72 II号戦車a1/a2/a3型

20180615_224233 ●先日買ったIII号戦車A型の出来が思ったより良かったので、ますます欲しくなったIBGの新シリーズ「THE WORLD AT WAR」の1:72、II号戦車a1/a2/a3型。

先週、仕事で都内に出たついでに下北沢のサニーにまで足を伸ばして、他2キットと合わせて買ってきた。一緒に買ってきた他2つについてはまた改めて。

ちなみに、メーカーのIBG modelsだが、IBGは「INTERNATIONAL BUSINESS GROUP」の略だそうだ。どこぞのコンピューター会社のパクリ名か?(IBM=International Business Machines)というのを通り越して、なんだか架空請求詐欺会社っぽいな……。

●実車について。

a型はII号戦車の増加試作型で、「ENCYCLOPEDIA OF GERMAN TANKS」によればa1~a3型の合計で75輌、「アハトゥンク・パンツァー第7集」によれば、a1:25輌、a2:25輌、a3:50輌の計100輌が生産されたとある。

生産途中で細かく改良が行われたようだが、a1からa3に至る過程で外形的に何か差異しが生じているのか(いないのか)は、よく判らない。なお、「ENCYCLOPEDIA OF GERMAN TANKS」には、a1型10輌の生産の後、「ゴムタイヤ付き鋳造誘導輪」が導入されたという記述があるが、とりあえずweb上で漁った写真10数枚を見る限りでは、ゴムリム付き誘導輪などというものは確認できない。

すでに車体形状は、後の本格量産型とあまり変わらない姿になっているが、車体後部がb型以降よりも寸詰まりで、後の型にはあるエンジンルーム右後端の四角い小グリルがないこと、左後部に大きな円形のグリルがあることが大きな特徴。

足回りは後の本格量産型と違い6つの小転輪を持ち、2輪ずつシーソー式の板バネサスで懸架、さらに外側に補強桁が付けられている(b型まで)。起動輪はa型独特のもの(b型では、後のc型以降とよく似た形状のものに改められる)。

なお、このキットを組んでみて改めて気付いたのだが、a型のみの特徴として、砲塔側面右前部、左後部のクラッペも、中央に突起がある(後の型は完全にフラット)。もっとも、他のクラッペのように視察用スリットはなく、突起は他のクラッペと形状を似せるために設けられているようだ。操縦席右側のクラッペはa型ではスリット付き。ここはb型では視察スリットがないフラットタイプになるが、後の型では再びスリット付きに戻される。

●なぜか箱絵は起動輪がb型っぽいし、砲塔右前部クラッペもb型以降の仕様。操縦手前面クラッペはA型以降のタイプ。いやいや、よく見ると前面に増加装甲取付リベットがあるし。

さらによく見ると、砲塔ハッチから上半身を出している車長の襟の兵科色は装甲科のピンクではなく通信科のレモンイエロー。なんでやねん。いや、1940年以降のバルケンクロイツが描かれているし、通常の戦車部隊から引き上げられて、通信部隊に連絡用に払い下げになった車輛かな? もっとも、デカールはポーランド戦時のマーキングだけで、標準タイプのバルケンクロイツはセットされていない。(再び)なんでやねん。

……という具合に、どうも箱絵はキット内容に不安を抱かせかねないものなのだが、実際の中身は、かなり力の入った内容。

プラパーツは枝2枚。加えて、小さなデカールシートが1枚。そして実車解説・組立説明・塗装解説の小冊子(英・独語)が同梱されている。

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モールドはかなりシャープ。足回りこそ履帯含めまるごと一体の「ロコ方式」だが、OVMや各部クラッペなど、上部のディテールはだいぶ細かく別部品になっている。同時に発売されたIII号戦車A型ではOVMはジャッキとS字シャックルを除きフェンダーに一体モールド、操縦手席左側のクラッペも(抜きの関係で形が崩れた)一体モールドだったのと比べると、こちらのほうが再現度は高め。

ただし、それだけ細かくても組立説明は付属小冊子の半ページ。確かに工程としてはそう多くないが、この図だと取付位置、方向などがやや判りにくい。塗装指示用の4面図が取付位置の参考になるが、それでもまだ判断に迷う部分はある。

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●気になった部分や見どころ等々。

おおよそ、a型の特徴と考えられる部分は過不足なく表現されている。ただ、車体左右クラッペ前方に、跳弾リブのようなモールドが施されている。ここに跳弾リブが付くのは、主生産型になってから(しかもB型以降)のはずなので、削り取る必要がある。

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上右の写真にも写っているが、戦闘室右側面に大き目のリブ状モールドが2カ所ある。これだけでは「ナンダコリャ?」なモールドだが、資料を見て正体判明。b型以前はこの位置にある、燃料注入口ハッチのヒンジを表したかったらしい。

さらにその後方にも前後方向に長い突起がモールドされているが、これはエンジンルームの通風孔。

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砲塔をFTF(First To Fight)のII号戦車D型のものと比べてみた。もともと「FTFのキットの中身はIBG製」という話はどこかで聞いた覚えがあるのだが、実際に比較してみると、FTFのD型用は周囲のクラッペが一体モールド、このa型用はクラッペが別部品という違いはあるものの、全体の形状、砲塔上面のモールドは瓜二つ。図らずも、両シリーズとも根は一緒、というのが確認できた。

ただし、先日III号A型のレビューで書いたように、FTFは一応、IBGとは別会社らしいので、IBGに委託してキット開発・生産してもらっているという感じなのだろうか?

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もともと表面にパターンのないロコ方式足回りなので、今更とやかく言うほどのことではないかもしれないが、履帯の装着方向が逆。

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組立説明図に誤りあり。戦闘室後方のクラッペのパーツは「W3」と書かれているが、これは正しくはM8。そもそもW3は右側足回りのパーツなので、その点では間違いようがないが、クラッペのパーツはスリット有りのM8とスリットなしのW7とがあるので注意する必要がある。

また、フェンダー上に付くOVM類は、OVM側には取付ポッチがあるのに、フェンダー側には一部を除いて取付穴がなく、位置決めに多少苦労する。上記塗装説明図や実車写真などを見ながら取り付けた。

S字シャックルに関しては、キットの指示(組立説明図や塗装図)では横向きに付けるようになっているのに対し、「アハトゥンク・パンツァー」では縦方向になっている。明確に判断できる写真がなくちょっと迷ったが、最終的には横向きに付けた(下の写真では付け忘れているが、このあと取り付けた)。

また、ワイヤーカッターはキットの塗装図では若干斜めになっているが、これはほぼ真っ直ぐに付けた。実車写真で真っ直ぐなように見えた――と書くとなんだかもっともらしいが、そもそも上方向から写したものではないので、個人的に「なんとなくそう見える」くらいの気分的なもの。

●なにはともあれ、とにかく組み上げてみた。前述のように、同時発売のはずのIII号A型よりも部品分割は細かく、ゲートやパーティングラインを処理するにも保持するだけで一苦労という感じで(しかも2、3度床に落として捜索する羽目になったし)、若干苦労した。

上述の側面の燃料注入口に関しては、流石にモールドのままでは不足を感じたので、それらしく作り直した(百均で買った2mm径のポンチが役に立った)。後方の側面通風孔に関しては、工具箱の陰ということもあってそのまま。

III号戦車の時は機銃を交換したが、今回はIII号ほどは太くなかったので、とりあえずそのままにしている。

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いかにも試作車然とした、後方の円形グリルが素敵。

ついでに、前回組んだIII号戦車A型や、FTFのII号戦車D型とも並べて撮ってみた。

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トランペッター 1:35 KV-1 1942年型鋳造砲塔(その3)

●トランペッター 1:35、KV-1 1942年型鋳造砲塔(キット名称「Russia KV-1 model 1942 Lightweight Cast Turret」)のレビューなんだか考証なんだか製作記なんだか、いずれにしても中途半端な徒然話。細部パーツ編の続き。

20180430_180335戦闘室前面増加装甲

戦闘室前面の増加装甲は、パーツ共用化により初期型で一般的な背の低いものしか入っていないため、プラバンで背の高いタイプを新造した。

一応、おおよその時系列的に言うと、この部分の増加装甲は1940年型エクラナミで導入され、その後1940年型後期から1941年型初期にかけては背の低いもの(通常、上端がごくわずかに戦闘室前面の上にはみ出る程度)が使われている。

おそらく、エクラナミの生産末期からは、この背の低い増加装甲に加えて、車体ハッチ前方部分にハッチガード用のリブが追加されるようになり、以降、これが標準に。

なお、車体に火炎放射器を装着したタイプで、増加装甲が無くハッチガードだけあるものが確認できるが(例えばサイト「Beutepanzer」にある、この車輛)、これは火炎放射器の装着に増加装甲が邪魔だったためではと思われる。

1941年型の中盤、おそらくは鋳造砲塔の導入あたりから、ハッチガードの役割も兼ねてということか、背の高いタイプの増加装甲が用いられるようになる。高さはおよそ、砲塔リングガード上端と等しいが、リングガードと違い砲塔下端との干渉を考慮する必要はないため、リングガードよりもだいぶ高いものも見られる。hn-nhさんの記事によれば、“KV Tanks on the Battlefield”ほかに、「背の低い増加装甲付きはUZTM製、背の高い増加装甲付きは第200工場製」の記述がある由。それぞれの工場での生産時期が判らないが、並行生産されていた時期もあるのだろうか?

タミヤのキットで表現されている両肩を切り落としたタイプは、レンドリースの見返りに技術参考品としてイギリスに渡り、現在ボーヴィントンの博物館に展示されている車輛で見られるもの。ただしこのタイプの増加装甲はソ連軍での使用例はあまり見られない。……というより、今回改めて手持ちの写真をざっと見た限りでは存在が確認できなかった。

背の高い増加装甲の場合、車体から引き出される前照灯・ホーン用のコード用の切り欠きもあるが、このコードの引き出し場所は41年型の中盤くらいから(?)やや車体内側寄りに移動しているようだ。キットの車体上部には、この2通りの位置に対応した非貫通のダボ穴があって選択できるようになっているが、なぜかキットでは外側の穴を使用するよう指定されている(初期型用の背の低い増加装甲のモールドに合わせたものか?)。41年型のキットではどうなってますかね?>hn-nhさん

ただし、キットの内側取付指定穴は、実際よりちょっと内側過ぎるようだ(5/5追記)。

20180427_111637車体下部前面増加装甲

これもエクラナミの途中から装着されるようになった増加装甲。戦闘室前面同様に溶接でベタ付けされているもの。

右写真はパーツを裏側から撮ったもので、左下端が一部薄くなっている。これは、この部分に切り欠きがある仕様に対応、選択式にしたものと思われるが、説明書では特にこの切り欠き部分には触れられておらず、そのまま接着するよう指示がある。また、実際、パロラの1942年型の現存実車でもこの部分に切り欠きは存在しない。

あくまでざっと写真を見ての印象だが、

  • 最初にこの増加装甲がエクラナミで導入された当初は切り欠きがなく(パロラのエクラナミにもない)、
  • しかしほどなく(エクラナミの生産途中で)切り欠きが設けられるようになり、以後、切り欠き有りが標準に。
  • その後1942年型登場前あたりでまた切り欠き無しが復活。

という流れのような気がする。いやまあ、単に「いろいろあった」なのかもしれないけれど。ちなみにボーヴィントンの鋳造砲塔付き1941年型は切り欠きがあり、アバディーンの同形式では切り欠きがない。トランペッターのエクラナミ(『Russia KV-1's Ehkranami』、アイテム番号NO.00357)の同じ個所のパーツには切り欠きは設けられていない。

この切り欠きに関しては、以前にセータ☆さんがどこかで触れていたような気が……。違ったかな。

とりあえず、この切り欠きそれ自体の存在理由については、どうも、この部分に装甲板接合用の埋め込みボルトがあるのが理由のようだ(たとえばモスクワ中央軍事博物館のこの車輛)。溶接してしまっている埋め込みボルトに後からアクセスする必要があるとは思えないので(また、前面装甲板に増加装甲を付けた後で車櫃を組み立てるとも思えないので)、これは、溶接痕の盛り上がりのせいで装甲板が浮いてしまうのを避けるためではないかと思われる。

左にあって右にないのは、トーションバーサスの関係で、左右で埋め込みボルトの位置が違うためらしい。最初期と後期とで切り欠きがないのは、最初は溶接痕を丁寧に削り落としていたのではと想像。1942年型の場合は「この部分の埋め込みボルトが省略されて溶接痕の盛り上がりが最初からなかった」か、あるいは「構わず無理やりくっつけた」か……。キットのパーツのように裏をちょっと削って干渉しないようにした、なんてことはないと思う。

ちなみにキットの車体は各型共通だが、この場所に埋め込みボルトの溶接痕は再現されていない。

また、牽引具基部の切り欠きは、パーツでは左右が牽引具基部に合わせて丸く切られているが、実車ではもっと適当に角を立てて(つまり6角形に)切り抜かれているものが多く見られる。どうも初期は「角」が普通で、41年型中盤以降、「丸」になっているような気がするが、しっかり調べ尽しているわけではなく、要調査続行。

車体前端の上下接合のL字部材

上の写真に写っているが、1942年型のキットには、埋め込みボルト痕のモールドがないものが入っている。1942年型の仕様としてはこれで正しいが、この埋め込みボルトの数の変遷はちょっとややこしい。

 ▼試作車(Uシリーズ)や極初期の生産車ではこの部分のボルトは異様に多く、17カ所もある。KV-2初期型砲塔でも17カ所タイプが見られるが、全部がそうであるかは未確認。コロミェツ氏によれば初期型砲塔は1940年の7、8月の生産車に搭載されているそうなので、下記の説明に従えば全車が17カ所タイプということになる。一方「4BO」の記事によれば、初期型砲塔搭載車の最後の数輌は11カ所の可能性があるようだ。

 ▼比較的早い時期に11カ所に減少。コロミェツ氏は40年9月~41年7月の生産車がこの仕様としている(Wydawnictwo Militaria No.320 “KW vol.III”)。この40年9月というのは、KV-1の形式で言うといわゆる1939年型(L-11搭載型)の生産途中ということになるようだ。

 ▼41年7月から、さらにボルト数が減って8カ所のものが使われ始める。時期で言うと、ちょうどエクラナミの生産途中、緩衝ゴム内蔵転輪に、小リブ付きリムが使われ始めたのと前後して、という感じ? ちなみにトランペッターのエクラナミのキットは、ボルト痕のモールドが11カ所のタイプが入っている。ちょっとモヤモヤするのだが、このボルトの打ち込み位置にはバリエーションがあるようで、左右端は部材の端に寄っているのが普通だが(たとえばこんな感じ、Dishmodelsより)、中に寄っていて左右に余裕のあるものも確認できる(例えばこの車輛)。

 ▼ここから先がさらにモヤモヤするところで、モスクワ中央軍事博物館のKV-1は、ボルト痕が6カ所に減っており、しかも上面にはないようだ。たとえばこの写真この写真。断言はできないが、フロントバヤ・イルストルツィヤ(フロントライン・イラストレイション)」の「KV史 第2巻(1941~1944)」の8ページの写真(写真番号7)も同じタイプに見える。

 ▼最終的に埋め込みボルトが省略される。ボーヴィントンアバディーンの鋳造砲塔型ではすでにボルト痕は確認できない。“KV Tanks on the Battlefield”p88掲載写真によると(というより、サイト4BO掲載の訂正情報によると)、「welded-only nose plate」は41年12月に導入されたものだそうだ。これは、41年型(ZIS-5搭載型)生産開始(41年10月)からちょっと後、ということになる。

20180504_200620 ●車体底面

個人的には「どうせ見えないからいいや」という感じなのだが、底面のディテールにも生産時期により差がある。これに関しては、サイト「4BO」に簡単な解説ページがある。

これによれば、キットの車体底面は、トーションバーの固定ボルトが6本から4本に減り、パネル間の結合ボルトが省略された41年1月以降の生産型に準拠したもの、ということになりそう。なお、上記4BOのページに添えられた図によれば車体前面(左方向)の埋め込みボルト位置にも差があり、これが増加装甲の切り欠きに関係している可能性もあるような気がする。

●キット(の仕様)と直接関係のない話あれこれ。その1。

トランスミッション点検ハッチに関して、第2回で「ミッション点検ハッチに関しては、装甲強化型砲塔でも(また、ZIS-5搭載型でも)まだ皿型のものが使われているのが確認できる」と書いたのだが、「レニングラード包囲突破」ジオラマ博物館展示の車輛は、1940年型後期型(F-32搭載・装甲強化短砲塔)だが、すでにツライチ・フラットタイプが使われている。例えばこの写真。サムネイルのページはこちら

ちなみにこの車輛は前方乗降ハッチもフチなしツライチ・フラットタイプ。ついでにエンジンハッチもフラットタイプ。

また、この車輛の履帯は「1ピースだがセンターガイドが全くないタイプ」を混ぜ履きしている点でも非常に興味深い。こちらが裏側。そしてこちらが表側

20180429_104734 ●その2。

ちょっとその気になって、第2回で触れた「1941年の8、9月にのみ作られたとされる皿型カバーのボルトが12本のタイプの起動輪」を作ってみた(写真中央)。

初期型のパーツを改造したもの。製作中の装甲強化短砲塔搭載型に使ってみるつもり。

●その3。

トランペッターの初期型用KVのフェンダーパーツの幅詰め工作をしてみた。以前KV-2用に同じ工作をした時には、フェンダーステイのベロ部分は特にいじらなかった(そのため、フェンダー外縁のL字材との関係が少しおかしかった)。

今回はもうちょっと凝って、フェンダーステイのベロも外縁L字材のベロより内側で終わるように削り、6本の取付ボルトも一度削り取って間隔を狭めて付け直した(内側は動かないので付け直したのは外側5本。場所により横着して4本)。

20180503_133804 20180503_201709

外側L字材の再生は、フェンダー側のベロがプラペーパー。裏から針でつついて極小リベットを表現。外側の立ち上がりは0.3mmプラバン。

なお、KVのフェンダーは裏側を縦方向に、中心付近に補強用のL字材が付けられている。トランペッターのキットはこの縦通材も再現されているが、幅詰め工作の結果、これが中心よりも外側寄りになってしまう。……が、どのみちほとんど見えないので放置した。

20180430_171141 ●その4。(5/5追記)

トランペッターの初期型KVのエンジンパネルは、前端左右(砲塔リングに掛かる円弧の左右)のボルトが2本ずつだが、ここは3本が標準(41年型では2本になる)。

製作中のKV-2と1940年型のパネルに、左右1本ずつボルト頭を追加した。

●追記。

上で紹介したサイト「4BO」を改めて読み直していたら、トランペッターのキットから各年式・各仕様を作る際の細かい「レシピ」が詳細にまとめられていた。

これまで3回書いてきた記事のほとんどがそのページに既出! うはははははは。

ちなみに1942年型・強化型鋳造砲塔(1942年2月~7月生産分)の記事はこちら。もっと後の、牽引具基部が円形になった仕様も別途ページが立てられている。砲塔ハッチは真ん中に「へそ」がない、というのは(さんざん写真を見ているはずなのに)言われて初めて気が付いた……。

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ミズ

●KV話は一回お休み。

20180414_110049 ●先日、散歩の途中で見かけたこの草。

丈の低い、林の中の下草で、見た目に特徴があるので調べやすそうだと思い、写真を撮って帰宅後調べてみたら、通称「ミズ」(正式な和名はウワバミソウ)という山菜だということが判明。

最近ますます身近な「食える山野草」に傾注しつつあるので、その後早速試してみたところ、なかなか悪くない感じだった。そんなわけで、昨28日、再び収穫してきて調理。

なんだか葉っぱはケヤキの木じみて、カサカサしていそうな見た目だが、その実、茎は柔らかく絞れそうなほど水っぽい。ミズという通称もそこから来ているとか。ちなみに和名のウワバミソウは、ヘビの出そうなじめじめした日陰に生えているからだそうだ。

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1枚目:収穫してきたミズ。
2枚目:皮剥く完了状態。葉柄をもぎつつ、そこから根元に向けてついでに皮を剥く感じ。割と適当で、剥き残しもあるかも。
3枚目:ざっくり刻んで軽く塩もみ。この後茹でる。
4枚目:茹でたものを、過半は白だしと塩で漬け(タッパーのほう)、残りは辛子醤油で漬けた。辛子醤油のほうは今日の昼食時に食べてしまい、タッパーの方は明日以降頂くつもり。

みずみずしさとシャクシャクとした食感がよく、「売ってる野菜なんじゃないの」レベルに癖もなく普通に美味しいが、それだけに逆に「どうしても採って食べたい」的アピールには弱い感じもする。

●かみさんとチビが、「何にでも牛乳を注ぐ女」という歌にはまっている。NHK Eテレの「びじゅチューン」という美術番組(と言っていいのか?)で流されていたもの。

いつまでリンクが有効かわからないが、NHKのミニ動画公開サイト「どーがレージ」の当該曲のページはこちら。また、NHKがyoutubeにUPしたものはこちら

「びじゅチューン」は、古今の名作美術品・工芸品をネタに、「これって……**してるように見えるよね?」的な妄想を歌+アニメに仕立てたもの。「何にでも牛乳を注ぐ女」は、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」が元。

他のネタのものもまとめて観てみたが、少なくとも私が聴いたうちでは、やはり「何にでも牛乳を注ぐ女」が「脳内こびりつき度」が最も高い気がする。「最初に聴いたから」という刷り込みではなく。

特に「牛乳~」ではなく、「ぎぅにぅ~」と粘っこく歌うところが(個人的に)ポイント。

F1013055 ●miniartの初期型III号戦車シリーズのキットは、初のインジェクションキットとしてかなり頑張ってキット化したなあ、という感じのものではあるが、資料不足もあり、怪しい部分も多々ある。

私自身はC型のみ買って持っているが、砲塔内部にバスケットが付いているのは、どうせ中身は作らない私には関係ないとしても、B、C型ともにエンジンデッキのディテールが大きく違うのはなんとかしたい。

下写真はC型のパーツだが(前部上面はB型と共通?)、エンジンルームはルーバー形状が明らかに違い、後ろの斜めの面にあるはずの2カ所のアクセスハッチもない。車体前部は、ハッチ周辺が別体のパネルで皿ねじで止められているはずのディテールがまるっと無視されている。

F1013051 F1013048

……と、ずっと思っていたのだが、先日、miniartは突撃砲O型の発売を予告。それに合わせて、戦車型の方もエンジンデッキほかをリニューアルした改訂版を出すと発表した。

それ自体も「うわ、やるなあ、miniart」と思ったのだが、さらに驚いたことに(facebookのAFV模型グループ経由で知ったのだが)、なんと、miniartは「B型の旧版キットを持っている人には、B型用リニューアルパーツを無料で送付」するとのこと。

miniartはfacebookで発表するとともに、同社サイトにも告知をUPしている。エンジンデッキだけではなく、パネルラインの追加された前部上面板ほか、さらにエッチングパーツも付いてくるらしい。

すごい! えらい! それでC型の改訂版はいつ!? ……と興奮したのだが、よくよく考えると、B型車体の突撃砲Oシリーズを出すからこそB型の改訂版が出たのであって……もしかしたらC型はそのまま?

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トランペッター 1:35 KV-1 1942年型鋳造砲塔(その2)

●トランペッター 1:35、KV-1 1942年型鋳造砲塔(キット名称「Russia KV-1 model 1942 Lightweight Cast Turret」)の話の続き。今回は細かいパーツのあれやこれや。

とはいえ、1942年型鋳造砲塔のキモと言えるパーツの話は前回書いてしまったので、以降はもうちょっとボンヤリと、「トラペのKVにまつわる話」になる。

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フェンダー

以前にも書いたが、トラペのKVは、初期型(~1940年型)用と後期型(1941年型~)用とで、フェンダー幅が違う。写真は、初期型フェンダー上に後期型フェンダーを乗せてみたもので、およそ1.5mm、幅が異なっている。

これはマキシム・コロミェツ氏の著書、フロントバヤ・イルストルツィヤ(フロントライン・イラストレイション)のKV本(“ИСТОРИЯ ТАНКА КВ”)の図面でもそうなっており、キットが同書の図面を参考にキット化した可能性がある。ただしその他の場所で若干の寸法の差異があるので、この図面をそのままキット化したわけではなさそう。

もちろん問題は「実車ではどうなのか」という話。

フェンダーは現存車両では新造されていることも多いパーツなので悩ましいが、たぶんオリジナルと思われるノヴォクズネツクにある1941年型(主砲はZIS-5だが、フェンダーは支持架が6本ボルトの初期タイプ)にメジャーを当てている写真(たとえばこれこれ。DishModels.ruより)ではおおよそ650mm幅。これは後期型キットのほうのフェンダー幅に相当する。当時の実車写真でも、フェンダーからの履帯のはみだし具合は初期型と後期型で異なっているようには見えず、これは初期型用フェンダー・パーツの幅が誤っている可能性が高そう。

しかし前述のように、フェンダー支持架の取付ボルトが初期型は6本、後期型は4本なので、後期型のパーツをそのまま流用はできない。ちなみに私は、すでに組立済みのKV-2(標準型砲塔)では外側から幅を詰め、切り落としたエッジのディテールを新造した。

なお、後期型のフェンダーパーツなのだが、よく見ると前後に金型差し替えの継ぎ目がある。

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現在のところ、この部分が差し替えになったバリエーションキットは発売されていないと思う(ない……ないよね?)。ちょうどフェンダーが丸まっている部分を差し替えるようになっていることを考えると、これはもしかしたら、フィンランド軍仕様の1942年型鋳造砲塔を発売しようという計画があったのではないか!?……などと妄想。

ところがどっこい。フィンランドが鹵獲使用した「クリム」の1942年型鋳造砲塔は、砲塔上面が組み継ぎになっていない仕様なのだ。そんなわけで発売が中止になったのかもしれないなあ、などと妄想を重ねてみる。

ちなみに私自身、このタイプを買ったのは「フィンランド軍仕様に改造してもいいかも」なんてボンヤリ考えていたからだが、この仕様の差に気付いて「やっぱりやめよう……」にだいぶ傾き中。いや、砲塔上面の改造はそんなに「ものすごい手間」ではないと思うけれど、やはり「1輌しかないもの」の再現って大変だし(しかも実物が残っているのでかなり細かく判ってしまうし)。

ちなみにフェンダー支持架は、初期のKVは全部が穴あき、1941年型あたりでは砲塔横の2カ所のみ穴無し(乗員の乗降時の変形を防ぐためでは?と想像)だが、42年型ではなぜか前方の支持架が穴あきに戻り、逆にエンジンルーム横が穴無しになったものが多い。エンジンデッキにタンクデサントを乗せるためか?

20180324_102613転輪

トランペッターのKV系列は、1S系を除くと、右写真の4種をパーツ化している。一番右の全鋼製転輪が今回のキットにセットされているもの。

一番左はSMK、試作車~極初期の生産型に用いられた緩衝ゴム内蔵転輪の初期型。次が標準型。次は40年型エクラナミの中途あたりから41年型初期に用いられた緩衝ゴム内蔵転輪の後期型。他にも、緩衝ゴム内蔵転輪にはリム部の穴無しタイプや、リム部の小リブがもっと小さく一つ置きになったものなどがある。

1941年型~42年型標準の全鋼製転輪パーツは、緩衝ゴム内蔵転輪や誘導輪の繊細さに比べるとどうも大味で、リム部のフチやリブ(特にハブ部に接続している6本)がどうも厚ぼったい。hn-nhさんは一つ一つコリコリ削って薄くする工作を決行した模様。むはー。

タミヤの41年型のパーツはどうだったかしらん、どこかにストックがあったはずだし、全部交換しちゃろうか、などとも思ったが、タミヤのパーツのディテールのほうがマシだったかどうかは未確認。ただし、転輪内側の軸周りにある小リブはタミヤのパーツにはない(どうせ組んでしまえばほぼ見えないが)。

20180427_230837誘導輪

これは各タイプ共通。外側と内側とで、穴の形状が違うのはトラペのキットで初めて知った。

非常に細かい話だが、ハブキャップの取付ボルトに対応した、ボルト穴周辺の丸く平らな部分が大きくハブキャップからはみ出して見えるタイプと、ほとんど見えないタイプとがあるようだ(わかりにくい説明)。キットは後者で、こちらのほうが標準。

20180323_135125起動輪

トラペKVお約束工作その2。

以前にも書いたが、トラペKVシリーズの起動輪パーツは、表側のスプロケットの取付ボルト部のみが別金型のハメコミで、その取り付け設定がいい加減なため、生産ロットによって(一番肝心な)表側ボルト列の位置がまちまち。

本来は、取付ボルトはスプロケットの歯と同位置にある。今回、私が入手したこのキットに関しては、2つある起動輪表側パーツのうち片方はほぼボルト位置が正しく、修正不要だったのはラッキー(場合によっては両方植え替えることになる)。もう片方はボルトをいったん削り、位置をずらして再接着した。

hn-nhさん曰く、このボルトは実物に比べやや大きめとのことで、hn-nhさんはMasterClubのボルトに植え替えていた。おお、ブルジョアな。個人的にはボルトの大きさにはあまり違和感がない(パロラの実車写真でもこれくらいに見える)のと、ほとんどズレていなかったもう片側に合わせ、ボルト頭はキットのまま使った。なお、フリウル付属の金属製起動輪のボルトはキットよりややおとなしめ。実車写真とよく見比べると、むしろ、キットは歯の外周部との段差が実物よりちょっと強調気味かな?というのが目につくが、面倒なので放置。いずれ、両側ともにボルトの植え替えが必要な場合には、ついでに少し削ってもいいかも。

20180426_223917 ちなみに、キットの起動輪は中央の皿型カバーが別部品で、取付小ボルトの数(および取り付け部の窪み)が多い(16本)の初期型と、ボルトが少ない(8本)の後期型の別を再現している。

トランペッターのキットではパーツ化されていないものの、この中間に、ボルトが3本ごとに1本分間引きされたような形の、過渡期の12本タイプが存在する。コロミェツ氏によれば、12本タイプは1941年の8、9月にのみ作られたものだそうだ(Wydawnictwo Militaria No.320 “KW vol.III”)。

ちなみにこの皿型カバーのボルト位置は、16本タイプおよび12本タイプでは外周のスプロケット取付ボルトのおよそ中央に来ることが多く(ただし例外もあるので、きっちりそこでなければいけない、というものでもないようだ)、8本タイプではズレているのが普通のようだ。やや謎。

サスペンション

サスペンションアーム基部のハブキャップは、初期は6本ボルトだったが、後期は3本ボルトになる。――というのはかなりざっくりした説明で、実際には、6本ボルト用に6カ所の窪みがあるものの、ボルトは3つだけで残り3カ所は穴が塞がれた過渡的な形質のものがあったり、ボルト用の窪みの形状が違ったり(U字形か丸形か)と、いろいろ細かい別があるようだ。

今回いじっている「Russia KV-1 model 1942 Lightweight Cast Turret」では(たぶん1941年型キット以降そうなっているのではと思うが)、ハブキャップ部分が別パーツになったサスアームがセットされていて、6本ボルトタイプと3本ボルトタイプの2種のハブキャップのパーツのうち、後者を使うよう指示されている。ちなみに、このボルト位置はサスアームとは無関係のようで、実車でも割とバラバラ。

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写真上左が取り付けたサスアームで、上右は不要部品として残った初期型サスアームキャップ。しかし不思議なことに、トランペッターの初期型KVでは、もともとキャップ部分も一体に成形されたサスアームの部品が入っている(写真下)。上右のキャップは、一体何に使うんだろう?

20180426_223617

車体ハッチ

車体前方の操縦手・無線手(機銃手)乗降用ハッチは、このキットでは平板でフチ付きのものがセットされている(下写真左)。このハッチに関しては、初期は周囲が緩くカーブした皿型のもの、その後まったくの平板なものに変わり、さらにキットパーツのフチ付きのものになる、というおおよその変遷過程だったのではと思う(割と適当な理解)。前回書いたように初期はハッチ周囲が上面板と別体だが、これは皿型ハッチに対応したもの。

20180427_111546 20180427_111557_2

トランスミッション点検ハッチも、初期は前方ハッチ同様の皿型ハッチで、周囲が別体であるかどうかも同じ。その後、周囲とほぼツライチの平板ハッチになる。これはアバディーンの1941年型で確認でき、タミヤの最初のキットでもこの仕様が表現されている。前方の乗降用ハッチで平板のものが使われだしたのは1940年型の末期(装甲強化型の短砲塔が使われだしたあたり。旧型砲塔でも戦闘室上部の増加装甲が付いているものは平板ハッチが多いようだ)なのだが、ミッション点検ハッチに関しては、装甲強化型砲塔でも(また、ZIS-5搭載型でも)まだ皿型のものが使われているのが確認できる。とりあえず、「前方が平板だから後方も平板」といった因果関係はないらしい。

キットに付属のトランスミッション点検ハッチはパロラの1942年型で確認できるもので(例えばこの写真)、初期の皿型ハッチのように車体面に対し盛り上がっているものの、初期の皿型ハッチの周囲がなだらかにカーブしているのに対し、このタイプはもっと直線的に、面取りされたような処理。車体側周囲の別体もない。また、初期の皿型ハッチよりもやや小径のようだ(キットもそのように表現されている)。一応、「1942年型(つまり後端が角型の車体)になって装甲板構成が変わったのに合わせてハッチも新型になった」ということではと思っているのだが、確証なし。

hn-nhさんの記事によれば、トラペは1941年型にもこのタイプのパーツがセットされているらしい(今、昔の『KV maniacs』の記事を見返したら、そちらにもそう書いてあった。自分では買っていないので、どこかで中身を覗いたか、誰かに教わって書いたらしい)。「フロントバヤ」の図面では、1941年型でもこのタイプのハッチで描かれていたりするので、例によってそれを鵜呑みにした可能性もありそう。

エンジン点検ハッチ

エンジン点検ハッチはふくらみ付きのものがセットされている(下左)。開状態固定用のワイヤーフックが付くアイボルトは左右2カ所。これに対し、初期型KVのキットではアイボルトが中央1カ所のものがセットされている(下右)。ふくらみ中央の突起は一応オプション・パーツが入っているが(A18)、取付指定無し。

20180427_111445 20180426_223717

エンジン点検ハッチに関しては、1940年型の終わりごろから、ふくらみのないフラットなものも使われている。コロミェツ氏によれば、フラットタイプが使われ始めたのは1940年8月の生産車からである由(Wydawnictwo Militaria No.320 “KW vol.III”)。アイボルトが左右2カ所になったのもおおよそこの時からではないかと思う。

しかしキットのような「ふくらみ付きでアイボルト2カ所」タイプもその後も使われていて、アバディーンの41年型はこのタイプ。「フロントバヤ」KV本2冊目の、1942年型生産ラインの写真(p11)でも、複数の車輛でふくらみ有りタイプが使われているのが確認できる(同じ写真はたとえばここ)。アイボルトが増えているので、単純に「古いパーツの使い回し」ということではないようだ。

一方、パロラの1942年型鋳造砲塔ではフラットタイプが使われており、ふくらみがない分素通しになってしまうのを防ぐためか、くさび形に防弾リブが溶接されている。溶接砲塔の1942年型で有名な「容赦なし(ベスポシャドヌイ)号」も確か同一の仕様で、トランペッターも、1942年型の溶接砲塔タイプのキット(KV-I model 1942 Simplified Turret Tank)ではこの「リブ付き平板ハッチ」のパーツをセットしていたはず。

なお、平板ハッチの初期(少なくとも1940年型)には防弾リブは付けられていないのが普通。41年型でどうだったかは未確認(なので、確認したほうがいいですよ>hn-nhさん)。

何はともあれ、hn-nhさんがブログ記事中で提示している疑問にはほとんどまともに答えられていない内容で申し訳ないッス。

(この後、もういっぺん続けます)

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トランペッター 1:35 KV-1 1942年型鋳造砲塔(その1)

●トランペッター初期のKVシリーズが最近再版された。

価格も発売当初からそれほど上がっておらず、無印のKV(という言い方も何か変だが、要するに大幅に改設計された1Sに至る前のKV)のキットとしては現時点で最もスタンダードと言える出来のキットなので、KVファンとしては喜ばしい。

と言っても、別に未購入のバリエーションを軒並み買い込んだりはしないけれど(履帯問題など、いくつかネックも存在するので)。

20180323_204921 ●ただ、「そういえばトランペッターの、後期型KVは1つも買っていなかったな……」と思い、再版ものなのか、それとも単なる売れ残り品だったのか、しばらく前に1942年型・鋳造砲塔型を購入。さらに先日、フリウルの2分割リンク混ぜ履きタイプの金属履帯を入手したのをきっかけにちょっといじり始めた。

折よくというか何というか、hn-nhさんもトラペのKV(1941年型鋳造砲塔)をいじり始めたということで、その記事をブログにUP。なんとなく身近の「KV濃度」が上がっている感じ(そちらの記事も一緒にどうぞ。リンク先は記事の1本目)。

そんなわけで、せっかくなのでキットレビューというか、若干の考証というか、中途半端なつまみ食い的チェック記事を。

●キット名称について。

今回いじっているキットは、キット名称でいうと、

Russia KV-1 model 1942 Lightweight Cast Turret(アイテム番号NO.00360)

ただし、このキット名称には若干の疑問がある。車体に関しては、エンジンデッキが後部まで水平になり、後端が直線的に処理されるようになった装甲強化型で、この点は一般に言うところの「1942年型」で問題はない。しかし砲塔は、下部3分の1ほどが末広がりになり、後面の機銃架周囲にリング状の防弾リブが設けられた後期型の鋳造砲塔で、私の認識としては、キット名称にあるような「軽量鋳造砲塔」ではなく、むしろ「装甲強化型鋳造砲塔」ではないかと思う。

逆にhn-nhさんが製作しているほう、

Russia KV-1 model 1942 Heavy Cast Turret Tank(アイテム番号NO.00359)

は、車体は装甲強化前の後端が曲面タイプ、砲塔も鋳造タイプが導入され始めた当初のもので、要するに、レンドリースの見返りに送られてアバディーンに置かれていたもの(要するにタミヤが最初にキット化したもの)と同一のタイプ。一般的な認識としては1941年型にあたり、砲塔もむしろこちらが「軽量型鋳造砲塔」ではないかと思う。

もっとも、それぞれキットの中身的には、車体と砲塔の組み合わせが順当なのは幸い。これが逆だったら2つ買って砲塔を交換する羽目になるところだった。

●キットの肝の部分。

キットのバリエーション上の特徴は、「1942年型(後端が角型の装甲強化車体)」であることと、「後期型の鋳造砲塔」であること(前述のように、トランペッターは「鋳造砲塔が載っていれば車体は変わっていなくても1942年型」という、ちょっと独特な形式分類をしている――単純にキット名称を付けるときに間違えた、というのでなければ)。

ほか、それらに付随して(あるいは前後して)細かい細部の変遷があるが、とりあえずバリエーションとしての大きな特徴は上記2点に集約できる。

▼車体

前述のように、鋳造砲塔だがより生産時期が前のタイプは「Russia KV-1 model 1942 Heavy Cast Turret Tank(アイテム番号NO.00359)」として、生産時期が同じだが装甲強化型の溶接砲塔を搭載したタイプは「Russia KV-I model 1942 Simplified Turret Tank (アイテム番号00358)」として発売されている。

トランペッターのKVシリーズは、とりあえずバスタブ型に成形された車体底面+側面内壁に、モールドが付加された側面板を重ねて貼るという、「バスタブ成型」と「箱組」の中間のような独特の車体パーツの構成。

バスタブ型の車体基本パーツはシリーズ共通。車体前部上面パーツ・シャーシ後面パーツもシリーズ共通で、側面パーツとエンジンルーム上面パーツ(後端の斜めの面と一体)を別にし、1942年型の車体を再現している。

20180427_110337 20180427_110400

なお、フェンダー支持架は、初期は車体側にリベット(ボルト)接合なのだが、1941年型になってしばらくして(たぶん)、単純な溶接に変更されている。キットの側面パーツは41年型まで共通でリベット止めされた支持架のベロがモールドされていて、hn-nhさんの記事によれば、41年型の場合は削り落とすよう説明書で指示されている模様。42年型の場合は最初からベロのモールドがない(当たり前だが)。

ちなみに上写真で側面後端エッジ付近がちょっと色が変わっているのは、若干のヒケがあったのを修正した痕。

車体前部は小部品の取り付け穴が非貫通で、タイプに合わせて説明図の指定に従って開ける形式。ただし、一部にパーツ共用の弊害も。

車体ハッチは、初期はハッチ周囲がドーナツ状に別体、後期(40年型の後期、装甲強化型短砲塔が載る頃から?)は車体に直にハッチ穴が開けられるようになる。キットはハッチ穴周囲のパーツを別にして形状差に対応しているが、当然ながら、後期型ではリング状に継ぎ目が出てしまうので、砲塔リング保護リブなどを取り付ける前に継ぎ目を埋める必要がある。1940年型末期以降の共通必要工作。

この際、面倒なので前面・側面との間の溶接ラインも一緒に削り落としてしまい、後から伸ばしランナーで再生した。ハッチの内部機構に対応したものと思われる2個の尖頭ボルトも一度削って、作業後に付け直した。

20180326_134204 20180329_121349

車体機銃に対応した跳弾リブとアンテナポスト保護リングは、どちらも中央部に雨抜き穴が設けられているので、その部分はそのように再現した。

ちなみに、車体後面下部の湾曲したパーツ(A12)はシリーズ全てで共通だが、実際には、キットのパーツのように下端で車体底面との間に段差ができるのは(多少の前後はあるかもしれないが)1941年型以降。それ以前の生産車では底面に合わせて面取りされている。つまり、こちらは前部上面とは逆に後期型基準になっていることにある(トランペッターが意識していたかどうかは怪しいが)。

もっともその一方で、後面下部パーツにモールドされた牽引シャックル基部は、埋め込みボルト表現のある初期型形質。1941年型の中盤以降(たぶん)、ここは単純な溶接になって埋め込みボルトは省略されているようなので、リング状のモールドは削り落とす必要がある。

▼砲塔

1942年型向けに生産された後期型の鋳造砲塔をキット化。

20180427_110457 20180427_110545 20180427_110620

タミヤが最初に出したタイプの鋳造砲塔と似ているが、前述のように、側面下3分の1ほどが裾広がりになっていること、後面機銃架周囲がリング状に盛り上がっていることが大きな差異。また、このタイプの砲塔の場合、上面板は普通に乗っているものと、組み継ぎになっているものとがある(後者の方がより後期の生産型か)。キットは御覧のように組み継ぎのタイプを再現している。

もしかしてこのタイプの砲塔は、「下3分の1が末広がりになっている」のではなく、逆に「上部が絞られている」のではないか……その分やや小型化されて、キット名称通りに「軽量タイプ」になっているのではないか……などと思ったりもしたのだが、現存実車の写真を見比べると、42年型(パロラ)では裾部が車体左右のリングガードをはみ出しているのに対し、41年型(アバディーン)ではリングガードの幅内に収まっている。やはりこちらの方が「装甲強化型」という捉え方でいいようだ。

なお、このタイプの砲塔の場合、バッスル下左右端に、「コバンザメの吸盤?」くらいに長大で顕著な湯口痕があり、そのため、バッスル下エッジのラインはかなり波打っている(標準型鋳造砲塔の場合もほぼ同じ個所に湯口があるが、もっと小さくおとなしい)。これはこのタイプの砲塔の大きな特徴でもあるので、ぜひ追加工作したい。

20180325_175411 ●お約束工作。

トランペッターのKVは3カ所の上部転輪が均等幅になっており、それはパーツが新しくなった42年型でもそのまま引き継いでいる。

実際には(ドイツのIII号戦車ほど顕著ではないものの)第1~第2上部転輪間は第2~第3間よりやや広い。きっちり計測したわけではないが、実車写真を見ても第2・第3上部転輪は(下部転輪と比べて)おおよそ正しい位置に見えるので、修正する場合は第1転輪をやや前にずらすだけでよさそう。

以前に書いたが、かさぱのす氏がパロラにある実車2輌にメジャーを当てて測ったところ、第1上部転輪~第2上部転輪間は1,835mmと1,840mm、第2上部転輪~第3上部転輪間は1,735mmと1,730mmだったそうだ。つまり、間隔差は100~110mmで、1:35換算で約3mm、第1上部転輪基部を前方にずらせばよいことになる。

長くなったので続きは次回。

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THE WORLD AT WAR 1:72 III号戦車A型

20180421_214928 ●ミニスケール(1:72)の新レーベル(というか新シリーズ?)、「THE WORLD AT WAR」の第一弾キットのひとつ、III号戦車A型(PANZERKAMPFWAGEN III AUSF.A)を買ってきたので、そのレビューなど。

購入は溝の口のイシハラi-Boxで、税抜き価格で2200円だった。

●実車について。

ご存知「遅れてきた主力戦車」III号戦車の一番最初の生産型。とはいっても、実質的には増加試作型で、10輌しか生産されておらず、実戦参加は1939年のポーランド戦のみ。

キットの箱絵およびデカールに取り上げられている「223号車」がポーランド戦時の写真として有名だが、所属は資料によって第2戦車師団と書かれていたり(GERMAN TANKS)、第1師団と書かれていたり(Wydawnictwo Militaria)。キット同梱の小冊子だと「ポーランド戦時は第1師団所属」らしい。

弱装甲(最大で15mm)と懸架装置の能力不足で、ポーランド戦後は早々と実戦部隊から引っ込められてしまったらしい。懸架装置はスイングアームの中途にコイルバネを配した独立懸架式で、その仕組みだけ見れば有名なクリスティー型サスペンションと一緒。III号A型の登場はクリスティー型よりだいぶ後なので、クリスティー型を参考にした可能性もあるかもしれないが、クリスティー型が車体側面上下幅一杯の長大なコイルスプリングを使っているのに対し、III号A型は申し訳程度の長さしかなく、とてもではないが高速で不整地を走れるようには見えない。結局、この後III号戦車は真打のE型登場まで足回りの試行錯誤を続けることになる。

●「新レーベル」とはいっても新しいメーカーではなく、ポーランドのIBG製で、箱の横にもIBG MODELSと書かれている。

IBGはもともと本体でも72陸物キットを出しているのだが、そちらの履帯もの(例えばトルディとかユニバーサルキャリアとか八九式とか)は部分連結式履帯がセットされている。それに対して、この新しい「THE WORLD AT WAR」シリーズは足回りがざっくり一体成型のロコ形式。要するにウォーゲームの駒にも使える比較的お手軽なキットで、同じくポーランドの72陸物キットシリーズ、「FIRST TO FIGHT」とよく似ている。実車解説の小冊子が同梱されているのも「FIRST TO FIGHT」と同じ。

ただし、「FIRST TO FIGHT」付属の小冊子がポーランド語のみなのに対して、こちら「THE WORLD AT WAR」のほうは(おそらく輸出品用に)英語・ドイツ語併記となっていて、非常にありがたい。版は「FIRST TO FIGHT」のものより僅かに大き目。ページ数は、「FIRST TO FIGHT」が表紙含め12ページなのに対しこちらは16ページ(下左の写真で右側に重ねてある2冊が「FIRST TO FIGHT」のもの)。

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ちなみに、「FIRST TO FIGHTのキットもIBGが作っている」という話をどこかで聞いた気がするのだが、だとしても、「FIRST TO FIGHT」は小冊子に「FIRST TO FIGHT Sp. z o. o.」(Sp. z o. oはポーランドにおける有限会社の略号)と社名が書いてあるので、少なくとも別会社ではあるらしい。

さて、「FIRST TO FIGHT」は“副題”(というかシリーズ名?)に「WRZESIEŃ 1939(1939年9月)」と書かれていることからもわかるように、1939年9月のポーランド戦役に登場したポーランドおよびドイツの車両・砲・フィギュアに特化した展開をしている(今後ソ連物も加わるのかどうかは不明)。一方、「THE WORLD AT WAR」は、第一弾の4種のキットは、

W001 III号戦車A型
W002 II号戦車a1/a2/a3型
W003 突撃砲Oシリーズ
W004 IV号戦車A型
(3、4番目は未発売、あるいは日本未入荷)

車両の時期としては「FIRST TO FIGHT」と重なるが、すべて「その車両の試作型/増加試作型に相当する一番最初の生産型」というとことんマニアックな選択。III号A型は、惹かれはするもののブロンコのキットは高いし、その割に(ネットで見る限り)イマイチ感があるし、35で作るのもちょっとなあ、と思っていたので、このスケールでの手軽なキットの発売は嬉しかった。

また、特にII号a1~3型は、インジェクションとしては初のキット化のはず。ちなみに箱絵を見ると起動輪がb型風に描かれていて若干中身に不安を抱かせるが、中身はちゃんとa型になっているようだ(1~3の違いについてはよく判らない)。今回も、このII号も一緒に入手したかったのだが、イシハラには(もう売れてしまったのか)置いていなかった。

いずれにせよ、今後どういう基準でラインナップを続けていくのか非常に気になる。突撃砲O型がキット化される以上、III号B型はガチか?

●前置きが(しかも単純に比較対象に持ってきた「FIRST TO FIGHT」の説明が)長いし。

まあ、とりあえず中身。枝は大小取り混ぜて5枚。「ロコ組キット」としては、割と小パーツは多め。

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足回りは前述のように一発抜きで、とりあえず転輪・起動輪・誘導輪の表側のディテールは非常に良い感じ。しかし、起動輪の歯部分が「厚切りナルト」みたいになっているのはやや寂しく、ここだけでも表裏分割にしてくれたらなあ、と思わなくもない(まあ、そういうことを言い出すときりがないが)。あとは、「すべての転輪の穴の位置が正確に揃っている」のが、(一度気になりだすと)どうしても気になってしまうが、さすがにこれは修正しようなどと思わないのが無難か。

車体は、工具類は一部を除いて一体モールド。miniart35のB型、C型では当初無視されていた(最近発売の改訂版で追加された)車体前部ハッチ周囲の別体表現もきちんとなされているのはエライ(ブロンコのA型は最初からパネル表現が入っているようだ)。独特のサスペンションも必要十分の出来だと思う。

砲塔のハッチ、クラッペ類は一体成型で、そのため、下辺のエッジは斜めになっている。単純に彫り込むと大きさが違ってしまいそうだし、砲塔ハッチ下には小リベットのモールドもあるので、とりあえずは放置の方針。最も気になるのは連装の同軸機銃で、車体銃と比べても、いくらなんでも太すぎる。さすがにみっともないので削り落とし、フジミ76のI号戦車の機銃パーツと交換した。

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●最初はキットの中身を紹介してそれで終わり、と思っていたのだが、ついつい組み始め、そのまま約1日で組み立てを完了させてしまった。途中、車長ハッチを落として紛失してしまい、半日ほど見つからずベソをかきそうになったのは内緒。

なお、組み立て説明に関しては小冊子のなかにたった半ページで図示されているだけで、図が小さいために取り付け箇所・取り付け方向が曖昧なものもある(車長ハッチなど、方向決めのダボもないのでちょっと困った)。そのあたりは箱裏の4面図や別途資料で補った。

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外形の正確さについてはきちんと測って検証したりはしていないが、後の「本格量産型」III号に比べて何となく間延びした感じのある「増加試作型」III号の印象はよく出ていると思う。

(現時点で)キットに対しいじった部分は以下の通り。

  • 前述のように、主砲同軸機銃を交換。
  • 砲塔上面左右の手すりモールドを金属線(0.3mm)に交換。
  • 砲塔前面のアンテナガードも金属線(0.35mm)に交換。キットにもパーツが付いているが、太い上に単純なコの字形になっている。実物はかなり微妙な形状。作例は左右の角が尖りすぎたかも。
  • 車長ハッチは上面に突起モールドがある方が前。キットのパーツはハッチ両側に突起があるが、実物は左側だけのようなので右は削り取った。
  • 車長キューポラは成型の方向の都合で最前部・最後部の視察口が薄く曖昧になっていたので改めて開口。
  • 後部マッドフラップ内側パーツのエッジを薄々に。
  • 排気口を開口。
  • 前照灯は強度的に不安があったので接続部分を金属線で代替。

なお、本来はエンジンデッキ後半にぐるりとワイヤーが搭載されるのだが、キットでは省略されている。これはこの後付け加えたい。

やっぱりII号a型も欲しいな……。

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獲らぬ狸の

●8日日曜日。灌仏会。要するにブッダマス。極楽寺で甘茶を頂き、忍性塔を見たついでにふらふら散歩。月影地蔵裏から尾根道に上がり、鎌倉山、夫婦池公園と歩いて、最終的に深沢まで。

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鎌倉山2丁目、喫茶店「マウンテン」前の(私にとっては)初見の丸ポスト。鎌倉の数ある丸ポストの中でも、おそらく1,2を争う小洒落た立地。

●11日水曜日。「逗子拾い食いの会」初会合。

facebookの逗子のニュースグループで、身近な山菜の収穫報告をしているうち、「お互いに採ったものを試食しよう」という話になり、鎌倉の焼き鳥屋「秀吉」で焼き鳥を食い、酒を飲みつつあれこれつつく。

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イタドリの「ピリ辛メンマ風」は、私のレシピを元に改良した知人のもの(上写真2枚目)のほうが美味かった。炒める際に紹興酒を使った由。ぬう。資金力の差なのか!?

3枚目はT女史が持ってきた「茹でヒメジョオン」。意外に普通の青菜風。

二次会に小町通の飲み屋さんに行ったら、たまたま、年配のママさんが奄美大島出身だった。

●18日水曜日。

午前中、雨の中、打ち合わせで猿楽町(神田のほうの)。神保町N社に寄って、昼飯を奢ってもらう。

秋葉原に寄って、例によってVOLKS、YSを覗く。最近発売され、欲しいと思っていたRB Modelの35(t)砲身がYSに入荷していたので購入。

●というわけで、RB Model製、3.7cmA-3(ドイツ軍呼称 3.7cm KwK34(t))砲身。

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基本、私は、「キットのパーツはまったく長さが違う」とか「著しくディテールに誤りがある」とか「ひどく型ズレがある」とかでない限り、わざわざ別売の金属砲身に交換したいとは思わないのだが、やはりこういう多孔式マズルブレーキの表現は金属パーツに分がある。これで税込み648円(YSで)はかなりお買い得感がある。

もっとも、ブロンコのLT vz.35/Pz.Kpfw.35(t)/R-2のプラパーツもかなり頑張っていて、そのまま使うのにそう不足はない感じ。それでもわざわざこのパーツを買ったのは、ブロンコにこのパーツを使い、ブロンコのパーツは以前買ったスペシャルアーマーのシュコダ3.7cm KPUV vz.37対戦車砲に玉突き流用しよう、などと皮算用したため。

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写真は1枚目がブロンコのパーツ。スライド型を使って砲口も開口している。2枚目がCMKの35(t)のもの。頑張っているのは確かだが、ランナーゲート部分などちょっと苦しい。3枚目はPassionのCMK用。駐退復座機カバーの代替レジンパーツ入りで、これはこれでCMKに使いたい。4枚目(最後)がスペシャルアーマーの対戦車砲のマズルブレーキのパーツで、つんつるてん。ちなみに砲身はKPUV vz.37対戦車砲のほうが長いので、ブロンコからはマズルブレーキ部分だけ切り取って流用することになる。

(以下4/25追記)

改めてRBの砲身を眺めていたら、マズルブレーキ部分に、縦方向に孔の空白域が存在していることに気付いた。ええっ。35(t)のマズルブレーキって、こんなふうになってたの?――と思って資料をあれこれチェック。

ぱっと見、全周にわたって孔があるようにしか見えないのだが、カレメグダンの現存実車のwalkaroundで、実際、マズルブレーキの下面部分は(通常の写真では確認しづらいものの)本当に孔がない部分があるようだというのが確認できた。写真はこちら

 

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