ブレゲ―27

ブレゲ―のバッタ(2)

●Azur 1:72のブレゲー27(Breguet 27)。ごくごくわずかな進捗。

機首下のオイルクーラー(?)と、主脚、尾輪を付けた。ほか、下翼と胴体のわずかな隙間を埋めるなどの地道な作業を少々。

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主脚、前回もすでに付いてる写真があったことにお気付きの方もいるかもしれないが、あれはただ単に差し込んであっただけ。なお、主脚パーツはそれぞれ左右貼り合わせだが、スパッツと車輪は一体。まあ、72なら許容範囲かな……。

翼面積の大半を担っている上翼が付いてないこの状態だと、「ラスト・エグザイル」のヴァンシップっぽい。そういえば、2種付いていて余った方の胴体でヴァンシップを作ろうか、なんて考えていたのを思い出した。

ちなみに上写真の胴体は、ラジエーターが機首にある輸出型(Breguet 273?)。

尾輪は以下のような感じ。

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キットのままだと細い支柱がいずれ折れそうな気がしたので、金属線に交換。その際、キットのパーツは支柱がテールブームに対し垂直に付いてしまう感じだったのを後傾させた。支柱の長さはキットのパーツに準拠させたのだが、実機写真と見比べるとちょっと長めだったかも。今更面倒なのでもう直さない。

なお、この尾輪も、機種のオイルクーラーもそうだが、パーツには接着位置のガイドになるようなものがなく、組立説明図でもおおまかに「このへんにツケル」みたいな指示しかない(結局は塗装説明の側面図を参考にした)。

●なんでこんなわずかな進捗を書いたかと言うと、脚を付けた結果として

キットのキャラメル箱の中に(物理的に)入らなくなったので、そのまま箱に放り込んで、また長期放置というわけにいかなくなった

――という、(状況的には)大きな変化があったというのがひとつの理由。いやまあ、そんな状態で放置してある在庫も結構あるんですがね(エレールのアルカンシエルとか)。

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ブレゲ―のバッタ

20181218_204619 ●久しぶりに「飛行機を作りたい気分」になり、インパクト/パイロのマーチン・ハンダサイドをいじっているわけだが、作りかけで放り出してあるキットは他にもたくさんある。

そんななかから、マーチン・ハンダサイドと並行していじるためにもう一つ掘り出してきた(こんなことをしているから共倒れになって完成しなくなるわけだが)。

ものは、Azurの1:72、ブレゲ―27(Breguet 27)。

●実機について。

戦間期のフランス製偵察機だが、とにかく、一見して「いったいこりゃ何の冗談?」と言いたいスタイルをしている。胴体は後部偵察員/銃手のすぐ後ろで断ち切れたようになっていて、そこからブームが伸びて尾翼ユニットを支えている。なんというか、頭でっかちで胴が小さいバッタの幼虫のようだ。もちろん、後部偵察員/銃手の視界・射界をとことんよくしたかったのだろうが、それにしたってこれは……。

20181218_214237 エンジンは側面に排気口が1・2・2・1という、イスパノ・スイザ系らしい配置。主翼はフランスが大好きな一葉半(セスキプラン)形式だが、上翼が、これまたバカでかい。72キットのなかで、ここだけが48キットなの?と思うほど。ここまで違ったら、もう下翼無しのパラソル翼でいいんじゃないかなあ……(ということで生まれたのがレ・ミュロー110シリーズなのかもしれない)。

同じ一葉半でも、ニューポール・ドラージュ42シリーズなどだと、主翼支柱がそのまま下方まで突き抜け、主脚支柱の一部も兼ねていて、前方から見ると逆三角形のラインがとてもオシャレに見えるのだが、この機の場合は、主脚は胴体と主翼支柱の中間あたりに、唐突に一本支柱で付いている。左右間隔は広いので滑走の安定性は高そうだが、なんだかこれまた格好悪い。

というわけで、見るからにゲテモノな飛行機なのだが、不思議なのは、飛行機のスタイリングに関してかなり辛口の評論をすることが多い佐貫亦男先生が、どういうわけかこの機を誉めていること。

「飛行機のスタイリング」(グリーンアロー出版社)のなかの第7章「フランスが腐るとき」のなかで、ブレゲ―27に関し、こんなふうに書いている。

 ブレゲ―19のあとを継いだブレゲ―27などはフランスらしいエスプリに満ちていた。すなわち、一葉半機の上翼だけに上反角をつけ、中央で前方倒立V字形支柱と風貌枠(その間に斜柱一本)によって支持し、両舷翼間支柱はV字形で、さらに張線はない。脚柱は単輪間隔を大きくとって左右一本だけにすぎない。
 これだけでもスッキリとしたが、スタイリングの目玉として後方偵察者席のすぐ後ろで胴体は細い梁へ急変し、それに垂直尾翼を立て、平面形が楕円の水平尾翼をその中ほどにつけた。“ヤッタ、いいぞ”と激励したくなるではないか!

ちなみに、章のタイトルからもわかるように、この時期のフランス機に対しては、佐貫先生はおおよそ否定的。そもそもブレゲ―27では好意的に書いているように思える一葉半形式についても、ニューポール・ドラージュにかんする記述中では、その流麗なスタイルを裏切る低速について「これはまず一葉半に問題があったにちがいない」とし、「この一葉半形式は第一次世界大戦の郷愁にすぎず、それを張線なしにスタイリングしただけの自己満足にとどまる」と切って捨てている。

それでも、各形式合わせて100機以上は生産されているようなので、それなりに見るべきところはあったのか……。いや、一代前のブレゲー19は世界中で使われて、ライセンス生産を含めると3000機近く生産されたらしいから、落差は大きい。やはり、このスタイルがうさんくさく思われたというのもあるんじゃなかろうか。とはいっても、模型としてはもちろん、このゲテモノ加減がよい(←変?)。

●キット概観。

AzurはMPM/Special hobby系の、いわゆる「チェコ簡易」。もっとも比較的最近発売されたものなので(といっても、今Scalemateで調べてみたらもう15年以上前の製品だった)、「いかにも簡易!」なデロデロざらざらしたものではなく、胴体表面なども型はきれいに磨かれていてパーツ表面に光沢があり、筋彫りも上品。

ただ、やはり簡易インジェクションだなと思うのは、プラパーツは主要部、胴体・翼・脚の他は数点のみで、コクピット内などの小パーツはレジン。パーツ数的にはレジンパーツの方が多い。風防はバキュームフォーム。

ちなみに、今回久々に掘り出した時点で、すでにコクピットは組んであり、胴体左右は貼り合わせてあったので、割とすぐに(飛行機模型製作時の中間地点的な)「士の字」になった。

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コクピットの中は前述のようにおおよそレジンパーツで、72としては十分すぎる出来。なお、この機のスタイルとして、最初に「(胴体が途中で断ち切れて)そこからブームが伸びて尾翼ユニットを支えている」と書いたが、コクピット内を見ると、床の中心に尾部に繋がる柱があって、そこからフットペダルや操縦桿も生えている状態。

つまり、「エンジンから尾翼に繋がる丈夫な柱」がむしろ胴体の本質で、コクピットを覆っているのはむしろナセルというかフェアリング程度のものであるらしい。

なお、下翼を付けた後で、前席の逆U字形の構造材とフットペダルの片方の部品が外れてコクピット内でカラカラ行っているのに気付いた。前者はなんとかピンセットで位置を調整して再接着したが、後者は奧過ぎて届かず、結局外れたまま。作りかけで長く放置しすぎるからこんなことに……。

20181218_214336 キットは胴体が2種入っていて、フランス空軍向けのBr270と、冷却器が機首前面にある輸出仕様のBr273の2種が作れるようになっている(説明書の塗装解説図ではそれぞれBr27とBr270になっているのだが、おそらく間違い)。輸出型のほうは(私の模型製作テーマのひとつでもある)中華民国空軍機のデカールが入っている

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