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オチキスのトリビア

●facebookに先に投稿した話の焼き直し。

「タミヤからオチキスが出る!」という話をした後に、邦人さんから「前の(ルノーR35)とどう違うの?」と言われた。積んでいる砲塔はまったく同じ、車格も同等、車体も同じように鋳造で丸っこく、実際、フランス戦車マニアでなければそう思ってしまうくらいに“キャラ被り”なのは確かだと思う。

そんなわけで、蛇足ながら、ルノーR35とオチキスH35/38/39との簡単な識別点や、「実はここが大きく違う」点、ほかオチキスの特徴など、「オチキスのうんちく」をまとめてみた。これまで書いてきたことの繰り返しもあり、フランス戦車好きなら「そんなん知ってるわい」ということも多いと思うので、まあ、生温い目で見て頂ければ。

ということで、つらつらと。

●オチキス軽戦車概説

▼オチキス製軽戦車はもともと、フランス軍の軽歩兵戦車に対するオチキス社の自主案としてスタートしたもの。戦車開発諮問委員会に計画案が提出されたが、政治的配慮で、改めて要目が示されて国内メーカー数社で競作されることに。結局、この競作のなかから、ルノーR35、オチキスH35、FCM36の3種が採用されることに。このうちFCM36は将来性が買われての採用で、制式化も生産も遅れたうえ、生産量も多くない。

▼オチキス製の最初の試作車は、無砲塔・ケースメート式で機銃装備。後の量産車とは大きく形が異なっていた。その後、装甲増厚が指示され、さらにルノーと共通の砲塔を搭載することになって量産車のスタイルに。

▼オチキスH35はとりあえず採用され200+200輌が発注されたものの、量産車の試験で不整地での操縦性能に著しく難があることが判り、歩兵科は最初の100輌以上の受け取りを拒否。これまた政治的配慮で、残りは騎兵科に押し付けられることに。歩兵科の軽戦車の主力はルノーR35に。その後エンジンが強化され操縦性能も改善されたが、こちらは再び歩兵科での使用がメインに。

▼一般に、エンジン強化前の旧車体のものをH35、エンジン強化された新車体で短砲身37mmSA18装備のものをH38、新車体で長砲身37mmSA38装備をH39と呼ぶことが多いが、これは(戦時中からすでに使われ始めていたらしい)通称。正式名称は、Char léger modèle 1935 H(オチキス製軽戦車1935年型、Hはオチキス社略号)、新車体はChar léger modèle 1935 H modifié 39(オチキス製軽戦車1935年型、39年改型)で、武装による呼び方の別はない。なお、少数ながら旧車体で長砲身に換装されたものも存在する。

▼昔々のエレールのオチキスのキットはH35、H38、H39が選べる贅沢なキットだったが、実際には旧車体のH35はエンジンルームが違うだけでなく、履帯も若干狭いなど細かい違いが多いようで、今日的な目で見るとちょっと無理がある。

●オチキスH35/38/39とルノーR35の違いなど

National_museum_of_military_history_bulg ▼ルノーR35の転輪は片側5つ。オチキスは片側6つ。ルノーの転輪は一貫してゴムリム付き。オチキスは初期はゴムリム付きだが、新車体になってからは全鋼製に。(写真はブルガリア、ソフィアにある現存車。wikimedia commons、File:National Museum of Military History, Bulgaria, Sofia 2012 PD 072.jpg、Bin im Garten氏による)

▼両車種とも似通ったはさみ式ボギー・サスペンションだが、ルノーはゴムスプリングで片側2.5組、オチキスはコイルスプリングで片側3組。ちなみにオチキスのコイルスプリングは、ソミュールの展示車のクローズアップ写真を見るに、巻きが逆方向の2重式になっているらしい。

▼両車種とも鋳造の丸っこさが目に付くが、実際の構成は異なっており、ルノーのシャーシは圧延鋼板製(車体前端と後端は鋳造パーツ。なお、車体前端上面も圧延鋼板)。オチキスはシャーシを含め基本パーツ全てが鋳造。オチキスの車体構成は、車体前部、車台中部右、車台中部左、車台後部、戦闘室、エンジンルーム上部の6パーツ。上掲のソフィアの写真で確認できるように、車体上部の張り出しの下端に、シャーシパーツとの継ぎ目が来る。

▼前述のように、オチキスは試作段階では無砲塔。ルノーは連装機銃装備のものだったが、後に国営ピュトー工場でルノー向けに37mm砲装備の新砲塔が設計され、オチキスも同一の砲塔を積むことに。

▼ルノーの操縦席は左寄り。オチキスの操縦席は右寄り。駆動系の配置の問題によるものと思われるが、なぜ逆?

▼両車種とも追加装備で尾橇があるが、形状は別々。ルノーは車体後面にエンジン点検ハッチがあるため、尾橇はそれを避けて基部がちょっと凝った形状。オチキスはもうちょっと素直な形状。尾橇の支持部はルノーは鉄骨の組合せ、オチキスは板材。

Hnose ▼ルノーは車体前端に楕円のメーカー銘板がねじ止めされている。オチキスは前面にデカデカと社名が鋳込んである。オチキスは下請け工場の別や、おそらく生産時期によって、ロゴに何種かのバリエーションがある。詳しくは別記事参照のこと。鮮明な写真で詳細に確認できるなら、もっとバリエーションは増えそう。

なお、記事中、出典として「chars-francais.net」の写真にたびたび言及、リンクを張っているが、記事中のリンクは全て切れているので注意。サイト、「chars-francais.net」自体は復活しているが、オチキスH35~39の大量の写真は現在はサムネイルしか見られない模様。

オマケ

オチキスは第一次大戦前からの大手軍需メーカーで、1897年型~1914年型重機関銃が特に有名(日本も採用)。創業者はアメリカ人のベンジャミン・ホチキス。

なお、(以前にも一度書いたことがあるが)文房具の米ホチキス社の創業者とは親戚(or兄弟or従兄弟)で、ステープラー(いわゆるホチキス)は機関銃の装弾機構を参考に作られたという話があって、私も昔は「へー、そうなんだー」と思っていたのだが、これは俗説。両社創業者はともに米コネチカット州出身ではあるものの、血縁だったかどうかも確認できないとのこと(wikipediaのステープラーの項に記述あり)。

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コメント

キットが発売されたら、車体前面の社名ロゴのバリエーション、どこかのメーカーからアフターパーツで出ませんかね~。( ̄∇ ̄)

投稿: M.N | 2025年2月 5日 (水) 20時03分

>M.Nさん

特定の車輛を作りたいという場合は、「あ、ロゴが違うや」ということもあり得るし、需要はなくもない……のかな?

まあ3Dプリントが主流の今は、レジンキットのようにある程度生産して在庫を抱える必要はなく、データで持っていればいいので、この手のパーツも出しやすいかもしれませんね。

投稿: かば◎ | 2025年2月 6日 (木) 14時34分

あれ?
そういえば、ルノーもオチキスも、商標の関係か、キット名称に社名が入ってないぞ?
もしかしたら、キット前面の社名もまるまる省略されてたり!?

……と不安になって、改めてトイフェアの完成見本の写真を見直してみたら、ちゃんと入っていました。
よ、よかった。

投稿: かば◎ | 2025年2月 7日 (金) 10時36分

かば◎さん

タミヤニュースの今月号にT-34の写真が3点(webで見たからもっとあるのかも)掲載されています。Photo by Saikiと撮影者が。
これはもしかしたらT-34のリニューアルの前兆か!?
と勝手に妄想。

投稿: hiranuma | 2025年2月 7日 (金) 14時48分

>hiranumaさん

斉木さんのアレはフィンランド軍装備を取り上げる不定期連載のようなので、製品化との関連性は薄そうな気がします。

それより、miniartが本気でT-34-76に取り組み始めたらスゴイことになる気が。ソ連戦車とはいえ、ハルキウ(ハリコフ)生まれなのでウクライナのメーカーが出してもよさそうだし。いや、でもロシア市場で売れないから今からT-34は無しかなあ。

まあ、出たとしてもキットひとつあたりのお値段もまたスゴイことになりそうですが。

私は昔買ったminiartのSU-122を大事に組もうと思います(そのうちに)。

投稿: かば◎ | 2025年2月 8日 (土) 01時55分

発売日は5月24日(土)!
価格は税込み¥3520だそうです。( ̄∇ ̄)

投稿: M.N | 2025年4月 2日 (水) 18時55分

発売日は5月24日(土)!
価格は税込み¥3520だそうです。( ̄∇ ̄)

投稿: M.N | 2025年4月 2日 (水) 18時58分

ちなみに
横浜AFVの会って6月末になったのね

投稿: めがーぬ | 2025年4月 3日 (木) 12時51分

や。皆さん、ご無沙汰しています。生きています。
そろそろ適当な近況でも投稿・更新しようかと思ってます。

>M.Nさん

おお。発売日確定しましたか。これは買わねば。
3520円……昔の軽戦車キットの価格を思えばアレですが、今日的にはなかなか優しいお値段ですな。

>めがーぬさん

そうなんですよ!
私も、「そういえば3月だったよな。何か新作完成させたいな」なんて思って検索してみたら、6月だって……。
それまでには何かできるかなー。

投稿: かば◎ | 2025年4月 3日 (木) 14時10分

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