I号戦車B型のあれやこれや(3)
●漫然と「I号戦車いじり」続行中。
●最初のレビューにも書いたように、タミヤの第一転輪サスペンションのコイルスプリングは、線径が細く巻きが多い、A型標準に近い見た目(写真1枚目)。一方で、アカデミーのキットはA型後期~B型に用いられた強化型の外見になっている(写真2枚目)。
単純に模型としてみた場合には、タミヤはサスアームからスプリング、ショックアブソーバーまでまとめて1パーツなので組立が非常に楽。ただし、スプリングやサスアームの台座部分は一部が車体側にモールドされているので、仮に他社製パーツに交換しようというような場合には余計に手間がかかる(タミヤあるある)。
一方アカデミーは4パーツ。前述のようにパッと見た目はこちらほのうがずっといいが、実はスプリングがちゃんと螺旋になっていなくて、裏側で逆傾きの「斜め蛇腹」になっている(組んでしまえば見えないので、そのままで十分だが)。
タミヤのサスのほうも、完成時にはあまり目立つ部分ではないので「サクっと作りたい」人の場合はスルー推奨だが、私はA型で一度いじった経験もあり、せっかくなのでコイルスプリング部を作り直すことにした。
線材は0.7mmのアルミ線を利用(ちなみに、以前のA型では0.5mm径を使った)。VOLKSで購入。確か50cmで1本200円弱だった。
むしろ、適度な太さの芯材探しに手間取ったが、こちらは、結局アカデミーのキットの車台前端部のツッパリ棒パーツ(B49)を使った。特に使わなくても問題ない部材だったので、箱の中に余っていたもの。
基本、アルミ線はあまり弾性がないので、きつく巻くと巻かれたままになるのだが、とりあえず、間隔を調整したらあとの加工中にずれないように瞬着で固定。キットパーツのスプリング部分を切除し、見合う長さに切った新造部分をはめ込んだ。
バネの巻きは両方とも右巻き(右上がり)。ちょっと巻きが緩かった(巻き数が少なかった)かも。A型の時は「ちょっと巻き過ぎた」感があった。なかなか一度では決まらんもんですな(でも面倒なので作り直さない)。
●車体各部の吊り下げフックを付ける。
細かい部分だが、ここもアカデミーとタミヤのキット化に対する姿勢が伺える。
B型になってから使われ始めた「横型フック」(私が勝手にそう呼んでいるだけで、他で通用する名称ではない)は、タミヤは座金部分は車体/砲塔側にモールド。フック部分だけが別パーツ。その分パーツ自体は小さくなるが、ランナーゲートは接着部分側ではなく、フック上側にあるので、一部ランナーを「持ち手」として残したまま接着し、しっかり固定した後に切り離し/ランナーゲートの処理を行うことが可能。
こういう極小パーツは「ピンセットミサイル」「カーペットモンスター」のダブル攻撃で紛失してしまうことも多いので、これは有り難い。しかも、後述の「縦型フック」も合わせ、必要数より数個余分に入っている。これまた有り難い。
一方、同じ「横型フック」について、アカデミーは座金も含めて1パーツ(つまり、実物と同様)。フック部分の横腹に開いている2つの穴に関しても、貫通はしていないものの凹モールドで表現している。再現性に関して言えば、タミヤのパーツよりもはるかに高い。ただし、こちらはランナーゲートが接着部にあるので、パーツの切り離し後に、極小パーツをつまんで処理する必要があるうえ、パーツ数も必要数きっかりしかない。神経を使う。
私は、アカデミーの方は、0.4mmドリルでフック横腹の穴を追加。前述のように、もともと凹モールドがあるので穴あけ加工は楽(当然、ランナーに付いた状態で加工)。(その後、資料写真を見直したら、2つの穴は同じサイズではなく、外側のほうがやや大きいことが判ったので、外側を0.5mmドリルで拡大した)
タミヤの方は、フック部分に厚みがあって外形的にはイマイチ感あり。背も低めなので、2か所の穴を表現するのは諦めた。このフックに関しては、どこからか3Dプリントパーツも出ていたような気がするので、お金とやる気に余裕のある人は交換してみても良いかも。
A型以来の「縦型フック」に関しても、同様の傾向がある。
こちらはタミヤも座金と一体で1パーツとなっているが、やはりランナーゲートを接着面とは別のところに設けてあり、接着後に処理ができるのが非常にありがたい。
アカデミーもパーツの形状自体はタミヤと大きくは変わらないが、横型フック同様、ゲートは接着面にあるので処理が面倒。
この「縦型フック」は、フック下側の折り返し部分に2連の穴があり、これはさすがに両キットとも再現されていない。
「横型フック」の穴の再現をスルーしたタミヤのキットの方は、キットパーツそのままで組み立てたが(写真1枚目)、アカデミーは「横型フック」と統一性を持たせる意味もあって、折り返し部分を穴を開けた0.3mmプラバンに取り換えた。
パーツ形状が下側に向けて絞りがきついので、折り返し部と幅が不連続になってしまった。こうして写真で拡大すると粗が目立つが、堪忍してつかぁさい。
●防盾の中央には照準器用の小穴がある。
タミヤはモールドがあるのだが、アカデミーは(結構ディテールに凝っているこのキットには珍しく)忘れられているので、0.4mmのドリルで開口した。うーん。こうしてみると、ごくわずかに横にずれてますね。
●この後、車体・砲塔各部のクラッペを取り付けた。
両社とも薄くモールドされていて好感が持てるが、タミヤがクラッペ用の開口部にポッチを設けて配置や向きを間違えないよう配慮しているのに対し、アカデミーはそれがないので少々気を遣う。さらに、車体右前部の「視察スリットがあるようでない」クラッペについて、アカデミーは、一応、説明書で図示してはいるものの、ランナー上の配置では天地が逆になっていて、間違えて取り付けてしまう人もいそう。
もっとも、クラッペを開けたい人の場合、タミヤの「間違い防止」用ポッチは綺麗に削り取るひと手間が増えることになる。
●脱線のI号sIG33自走重歩兵砲についても若干の続き。
エンジンデッキに関しては、前方グリル部も自作し、基本形はほぼ出来上がった。
デッキ上面はキットの不要パーツ(4.7cm対戦車自走砲用)を利用。右後方グリルはキットパーツから一旦切り離して加工したもの。上面パーツの後縁をわずかに切り詰めることで、グリルが後面版と接するように調整している。エンジンルーム四周は0.5mmプラバン、前方グリルは0.3mmプラバン。
エンジンルーム前面形状は、キットのようではなく、訓練用車と似た形状ではと推察して、そのように工作した。
さて、このエンジンデッキを、キットの車台と素直に組み合わせるつもりでいたのだが……。
あれこれつつきまわしているうち、どうもドラゴンの車台の寸法の違いが気になってきた。全体的にあっちこっち微妙に違うのだが、一番気になったのは車台前面板の高さと形状。というわけで、いっそ古いイタレリのものと交換してしまおうか、という方向に傾き中。
というわけで、イタレリの車台、後端下に省略されている丸パネルとリベットを追加した。横一直線のリベット列は、ちょっと横幅が広すぎたかも。向かって右のバルジのベージュの丸はヒケを埋めた跡。
改めてイタレリをいじっていて驚いたのは、最古のキットであるにも関わらず寸法的には最新のタミヤやアカデミーと遜色ないこと、ボルト頭こそないものの、タミヤやアカデミーでも忘れられていた起動輪基部の装甲カバーがちゃんとモールドで表現されていること、カマボコ型に一体成型であるものの、第一転輪のサススプリングの巻きと傾きが適切だったこと(削り取ってしまったが)、など。
イタラエレイ(このキットの時代の正式会社名)、パねぇ。
ちなみに「ITALAEREI」は「ITAL(イタリアの)+AEREI(航空機)」の意味で、同社がもともと航空機模型メーカーで出発したことを示す。会社ロゴマークはその当時から変わっておらず、イタリアのトリコロールと飛行機のシルエットで描かれたAEREIの頭文字A。
イタレリ(ITALERI)に社名変更されたのは、「海外で読みやすいように」という配慮からとのことだが、それ以前から日本のモデラー間では「イタラエリ」という、新旧入り交じったような呼び方が定着していた。新社名「イタレリ」は、日本語の「至れり尽くせり」にも引っ掛けているんだという、どうにも嘘くさい説も聞いたことがある。
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