シロマダラ
数日前の晩、近所のコンビニ裏の路地を通りかかったら、道の真ん中に小型のヘビがでろ~んと伸びていた。ああ、自転車かバイクにでも轢かれたのかな、かわいそうに……と思いつつも、スマホを近づけて写真を撮っていたら、突然にょろにょろ動き出して驚いた。なんだこのとろいヘビ……。
さて、この手の模様のあるヘビの場合、ずんぐりしてスタイルの悪いヤツはマムシ、シュッとスマートならアオダイショウの幼蛇、と判断するのが定石なのだが、そもそもそのいずれにしても、この写真のヘビのように模様の濃淡差は大きくない。
改めて調べてみると、どうやら、「まぼろしのヘビ」として、発見が時折ニュースネタに取り上げられることもある「シロマダラ」というヘビらしい。
なんだか、シロマダラを見たくて数年間探し求めた人の話まで出てきた。もっともその一方で、「実は小型で夜行性なので人目に付かないだけで、実は割と普通にそのへんにいる」という話もあったりして、「まぼろし」度には若干の疑問符も付く。
まあ、個人的には「滅多に見ないものを見て、ちょっと得したかな」くらいに思っておこう。
●他にも、あまり見ないようなヤツ、久しぶりに見たヤツなどとの邂逅がいくつか。
1.アカスジカメムシ。数年ぶりに見た美麗系のカメムシ。カメムシ界のダース・モールみたいなくっきりした赤黒の配色。もっとも、これに限らず、昆虫というのは特定の環境に居ついていることが多く、このアカスジカメムシも「セリ科の植物に集まる」のだそうで、この時も、セリ科のヤブジラミで発見。探してみると、同じヤブジラミの藪に3匹、4匹と見つかった。毎年、この時季にヤブジラミを見れば、当たり前に見つかるものなのかも。
2.披露山の肩のところで遭遇。肩のところだけ赤い模様がある、やや大きめのハムシ……? それなりに特徴があるので、割とすぐに同定できるだろうと思ったのに、ウェブ上でハムシで当たっても行きつかず。しばらくして、(前胸部の形状から)「ホタルの仲間かも?」と思い直して調べたら、すぐに判明。カタモンミナミボタル、という種類だそうだ。幼虫のエサは陸棲貝類だそうな。幼虫は光る、だけでなく、最近になって、成虫もごくかすかに光ることが判ったらしい。まあ、パッと見ても判らんけどね。
3.このへんの野山でよく見る小型のゴキブリはモリチャバネゴキブリなのだが、これは一回り大きく(といっても、家の中で見る「大きいゴキブリ」、クロゴキブリよりはだいぶ小ぶり)、しかも前胸部の色模様が全然違う。どうやら、キョウトゴキブリという、ややマイナーなゴキブリらしい。ゴキブリなんてそのへんに(大いに嫌われつつ)はびこっていて、害虫として逆に研究も進んでいるのではというイメージだが、キョウトゴキブリは、1970年になってようやく新種記載されたというマイナーぶり。しかも発見された京都では、「要注目種(絶滅危惧とまではいかないが、まあ、もしかしたら危ないかもしれないので見守ってみましょう、くらいの感じ)」として京都府レッドデータブックに載っている。それでいいのか、ゴキブリとして。
もっとも、ウェブ上にあるキョウトゴキブリの写真は、いまひとつ特徴をしっかり捉えられるものがなく、この写真が本当にキョウトゴキブリなのかどうかは、ちょっと自信がない(普通のチャバネでも、モリチャバネでもないし……という消去法の結果)。現在、環境省「いきものログ」の種名調べ支援で依頼中。
(7/4追記。環境省「いきものログ」の種名調べ支援で回答コメントを頂いた。どうやら、キョウトゴキブリではなく、同じくチャバネゴキブリ科のキスジゴキブリ、という種類らしい。キョウトゴキブリよりはもうちょっと一般的な種らしいのだが、それでも、もともとは南方系(西日本以南)のゴキブリで、関東では新参者のようだ。いずれにしても、家の中でゴソゴソしないでいてくれれば、あまりイヤではない)
4.ノコギリクワガタ♂の頭部(……だよね? 頭の後縁部がよく判らないけれど、ミヤマの赤褐色型じゃないよね?)。近年、身近にクワガタムシを見る機会はだんだん減っている感じで、せいぜい、ひと夏に一度か二度、それもコクワガタを見る程度?という感じなのだが久しぶりに(死骸とはいえ)大型の種のオスを見た。まだちゃんと、この手のものも生息しているんだなあ、と確認できた(もちろん、この個体は「ちゃんと」していないけれど)。
5.我が町逗子で、山の際に住んでいるとしばしば屋内に侵入されての遭遇が避けられないムカデ(トビズムカデ)。これはその中でも、過去最大級で、触角から曳航肢まで含めると12cm超。かみさんの絶叫に呼ばれて、捕獲・退治した。かみさんはこれまでに数度、ムカデに噛まれて半ばトラウマと化している。
この直後、かみさんの強硬な主張により、ムカデ除けトラップ(毒エサ?)を購入して窓辺や玄関に設置。その効あってか、数日後、玄関脇でこれに近い大きさのものが1匹死んでいた(しかし、その前にもう一匹、屋内に侵入してかみさんが大騒ぎした)。
●ネットをうろうろしていて見つけたもの。
自由落下式の緊急脱出用救命艇。か……かっこコワイ!(カッコイイ+怖い)
海上の石油/ガス・プラントなどで使われるほか、損傷を受けた際に沈没までの時間が短いばら積み貨物船(バルクキャリア)の大型のものでは搭載が義務付けられているとのこと。型式によっては60m以上の高さからの落下試験などを行っている動画もあった。
●輸入食品屋などで、何やら怪しい(そしてお手頃なお値段の)食べ物を見つけると、とりあえず試してみたくなる。
というわけで、業務スーパーで見かけて、ついふらふらと買ってしまったお菓子2種。いずれもインド産(ロゴマークを見て判るように同一メーカー産)。
まず一つ目、左は「ギー・デーツ・ハルヴァ」。
「ハルヴァ」と名の付くお菓子は南アジアから東ヨーロッパ、さらには北西アフリカ(モロッコ)まで幅広く分布していて、以前、同じく業務スーパーで、トルコ産のハルヴァは買って食べたことがある。
トルコ産のほうは、何というか、サクっと柔らかく軽めの落雁という感じで、「まあ、うん、美味しいか、不味いかといえば、美味しいかな?」くらいの感じだったが、何しろ量がタッパー一杯くらいあったので、消費し切るにはちょっと時間がかかった。(その時に当「かばぶ」に感想を書いたような気もするのだが、いつだったか忘れた)
さて、今度のインド産のハルヴァだが、こちらは一口羊羹サイズの個包装で5つ入り。名前の通り、どうやらベースはデーツ(ナツメヤシ)をギー(バターオイル)で練ったもので、中にナッツが入っている。淡いクリーム色だったトルコのハルヴァとは、とにかく見た目からしてだいぶ違う。
……で、食べてみたのだが。個人的には、「うぎゃー。ナンダコリャ」レベルで美味しくない。先にトルコのハルヴァは「柔らかく軽めの落雁」と形容したが、こちらはゆべし?羊羹? ねっちょりもっちょり、しかもいかにも「動物性のオイル」感があるうえに、ベタ甘。せっかくのナッツの食感とか香ばしさとかも台無し。消費し切れるかな、コレ(泣)。
とにかく、「ハルヴァ」と名乗っていても、その中身は産地ほかでまるっきり千差万別らしいことが、これで分かった。米原万里がどこかで「美味しいなんてもんじゃない。こんなうまいお菓子生まれて初めて」と評していた極上ハルヴァに出会う道のりは遠そうだ。ちなみに米原さんが少女時代にチェコで食べたハルヴァは、どうやらギリシャ産らしい(ネットでこのエピソードに触れている記事によれば)。
二つ目。右写真、「ソアン・パプディ」。
「ギー・デーツ・ハルヴァ」で痛い目に遭ったのに、なんで同じメーカーの菓子に手を出すかね……と、自分でもちょっと思ったのだが、「この際とことん……」的な変なやる気が出てきたので。しかし、これが実は思ったよりも美味かった。
パッケージ写真は綺麗に四角く切り分けられて、中身も一応切れ目は入っているのだが、実際には非常に脆いので、無理に綺麗に取り出そうとするより、スプーンですくって食べる方が無難。
いやいや、それよりも……これはなんて形容したらいいんだろう。
上の「ギー・デーツ・ハルヴァ」よりも、むしろこちらのほうが、トルコ産の「ハルヴァ」に近い見た目と食感なのだが、トルコ・ハルヴァよりもはるかに軽い、ちょっと未体験の食感。デニッシュとか折り込みパイ生地のように(あるいはそれ以上に)薄い薄い層が重なり、フワサクっとしていて、それが、口の中でほろっとほどけて溶ける。wikipediaに記事があるのだが、見た目は全然違うものの、これは綿あめの親戚にあたるような菓子らしい。主成分は砂糖で、飴状態にした材料をパイ皮のように伸ばして重ね伸ばして重ねを繰り返して「サクフワ」状態に仕上げるのだそうだ。
砂糖がメインのお菓子なので結構甘いのだが、カルダモンが入って、さらにトッピングにピスタチオが載っていて、若干の清涼感もある。頻繁にリピートしたくなるかといえば微妙だが、これなら、知り合いに「うん、一度食べてみるといいよ」と薦めてみてもいいと思えるレベル。
●川崎の実家を処分することになり、荷物の整理とか、仲介の不動産業者との会合とかで、久々に(数回)実家に行く。うーん、ちょっと間があったら行こうかなあ、と思っていた、「砲台に消えた子供たち」講演会の当日も、結局実家行き。
●あー。今回も模型話まで進まなかった。
ところで、前回書き忘れたが、先月下旬のホビーショーで、(かねてから噂になっていた)「タミヤからI号戦車」の会場発表はなかったそうだ。
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