ベッカライ
●1月末日、母死去。
未明、入所している施設からの電話で知らされる。
その何日か前に、脚にチアノーゼが出ていると知らせがあって慌てて面会に行き、それなりに覚悟も出来ていたことではあるけれども、その一方で、頭の片隅では、昨年正月早々に転倒して骨折して手術、入所以来、何度も「いよいよ危ない」的なことを言われて持ち直してきた実績があって、今度もなんとなく乗り越えそうな、みたいなことも思っていた。
この一年は、こちらのこともよく判らない状態で、ほとんど会話もできなかったけれど、とにかく、最後は痛くも苦しくもなかった様子だし(夜半の見回りで死去していることに気付いたそうなので、本当のことは知りようがないけれども)、年齢(101歳)を考えると胸を張って(誰にだ?)大往生と言えると思う。
もう、母の周りの友人と言える人たちや、同年代の親族なども軒並み亡くなっていることもあって、ごく近しい身内――兄・甥と私・妻・娘と三人目の息子扱いのドイツ人P夫婦、母の一番下の叔母夫婦、母方の従弟妹2人だけで小ぢんまりと告別式も済ませた。あとは来月頭の納骨を待つのみ。
●ひとつ文句を言いたいことがある。
母がまだ元気なころに言っていたのだが、戦時中に若くして亡くなった母の母(私の祖母)が、今際の際に「節田からお迎えに来たよ……」と言い残して逝ったらしい。節田というのは現在、奄美空港があるちょっと南あたりの集落。祖母の実家はもともとその節田という集落の出だったらしいというのを、母自身がその言葉で初めて知ったのだとか。
それはそれとして。
母はそれを根拠に、「これから死んでいく人は、必ず何か一言言ってから逝くものだ」と決め込んでいて、父が亡くなった後、しばしば「何も言わないで勝手に逝った。薄情なんだから」とブツブツ文句を言っていた。
そこまで言うからには、きっと本人は、たとえその場にいなくとも、夢枕かなにかで一言知らせてくるだろうと密かに期待していたのだが、何もなかった。機会があれば「ちょっとどうなのよ」と詰問したいが、流石に現実世界の地球上に「魂の眠る地オレオール」は探し出せそうにない。
まあ、実は私が眠りこけていて気付かなかった、などということなら逆に申し訳ないが。
●そんなこんなで、がっつりと模型製作に取り組む精神的余裕もちょっと失くしていたのだが、現在はちょっと持ち直して、「なんとなく漫然と手を動かせるネタ」として、エレール 1:72の古いキット、モラン・ソルニエMS225と、ハセガワ 1:8、ル・ローン・エンジンをいじっている。製作記については、気が向いたらそのうちに。
●プレッツェル行脚、なお続く。
スナック・タイプのハード・プレッツェルについては、身近に確保ルートがあるフーバーのプレッツェル(HUOBER社のSCHWÄBISCHE KNUSPERBREZEL――直訳すると、シュワーベン風さくさくブレッツェル)が私の中ではスタンダード認定されていて、それで満足。
しかしパン・タイプのソフト・プレッツェルは、なかなか「これだ!」というのに出会えない。最初に食べた鎌倉ベルグフェルトのものが結局はイイ、というところで落ち着きかけたが、何度か食べているうち、「もうちょっと身にみっしり/もちもち感が欲しい」と思うようになった。決してドイツ人Pの「穴の大きさが……云々」に流されたわけではない。
もちろん、本場のドイツの「ブレーツェル」を知っているわけではないし、本場のものも店によってあれこれ違いがあるだろうから、当然、私自身の勝手な思い込み基準で探しているだけなのだが、ここ最近は、ついに「どこかに出かけたついでに、近くにプレッツェルを扱っているとネットに出ているパン屋があれば、わざわざ足を延ばしてみる」までにハマってしまった。
ところが、これがなかなか打率が低い。
文京区湯島のドイツパン専門店、「ベッケライ・テューリンガーヴァルト」に行った時には運悪く売り切れ。田園都市線・江田駅近くのオーストリア菓子屋の「ナッシュカッツェ」に行ったら、折悪く店主?が手を怪我していて生地の成形できないとかで生産休止中。新横浜の「シャンドブレ」もこれまた売り切れ。
っていうか、あるかどうか確かめてから行けよ!と、我ながら流石に反省して、金沢八景駅前の「ベーカリーハウス・アオキ」には電話。「ありますよ」というので取り置きしてもらって行ったら、
プレッツェルという名前の、プレッツェル型の菓子パン
だった。生地も全然別物のデニッシュ系で、それに大量のアーモンド・スライスと砂糖コーティング。
実際、その手のもの(名前だけプレッツェルの菓子パン)がこの世に存在していることは知っていたのだが、この店に関しては、普通のプレッツェルの写真がネット上に出ていたので油断した。
「あっ……こういう“プレッツェル”ですか……」
と、出されたときに思わず言ってしまい、「え? あの、違いましたか?」「いえいえ、大丈夫です」なんて問答をしていたら、奥から店主?が出て来て、「もしかして、塩味の(正統の)プレッツェルをお求めに?」と尋ねられた。
曰く、「しばらく前まで、正統のプレッツェルも作っていたが、そちらは製造過程で劇薬を使う(焼く前に水酸化ナトリウム溶液にくぐらせる)ため、別に許認可が必要になってしまい、面倒で今は作っていない」由。
「だから、作っているお店があまりないんですよ。プレッツェルをお求めなら、ベッカライという名前の付いているお店に行かれるといいですよ」と教えられ、またその一方で、「わざわざ来ていただいたのに済みません」と謝られた。ちなみに、菓子パンのプレッツェルは、それはそれで普通に美味しかった。
前出の湯島の「ベッケライ・テューリンガーヴァルト」もそうだが、「BÄCKEREI(ベッカライもしくはベッケライ)」はドイツ語で「パン屋」の意(英語でいうベーカリー)。つまり、それが付いているお店はおおよそドイツパンの専門店と判断できる。フランス系のパンを多く扱う店が「ブーランジェリー」を名乗るのと同様。
●もっとも、その後ネットで検索すると、「ベッカライ/ベッケライ」を名乗る店でも、意外にプレッツェルは扱っていなかったりすることも判明。例えば大船の観音さんのちょっと向こうに「ベッカライジーベン」(カンプグルッペかっ!?)というドイツパン屋さんがあるらしいのだが、電話してみたところ「ウチでは扱っていません」と言われた。まあ、何はともあれ「これからはもっとちゃんと調べてから行こ……」と思ったのだった。
というようなこともありつつ、最近の戦績。
(1).鎌倉、御成通りの「ロティガール」のプレッツェル。
存在はちょっと前から知っていたものの、以前紹介した鎌倉駅の「Delifrance 鎌倉店」同様、太い部分にバターのフィリングの「ちょっと贅沢」系で結構お高い(500円)ため、試すのは後回しにしていたもの。いやまあ、美味しいけどね。
(2).新橋駅、ecute内の「le petit IMBISS(ル・プティ・インビス)」のプレッツェル。ドイツ風の「ちょい飲み屋」なのだが、なぜか店名はフランス語とドイツ語のちゃんぽん。プレッツェル等はテイクアウトもしていて、しかも(bergfeldほどではないが)お値段も比較的リーズナブル(プレーン:330円)。最も最近(土曜日)に、神保町に行くついでに寄って買ったもの。チーズコーティングのものもあったのでついでにそちらも。
ラウゲン液(水酸化ナトリウム溶液)処理由来の革靴のような皮の色艶と硬さ、中身のきめ細かなもちっと感など、今まで食べた中では「おお、これが一番オレ的プレッツェル・イメージに近いかも」感あり。
……ロケーション的にも寄りやすいので、今度また食べよ。
●つい最近買って読んだ「ハクメイとミコチ」最新刊(第12巻)に、とある本の中に、まるっきり曖昧な描写で登場する「キュウリ・サンドイッチ」を、ハクメイが味を想像して試行錯誤する話が出てくる。当然、実物がどんなものだかは全く不明で、ハクメイは「自分が想像したソレ」を求めているだけ。ああ、オレのプレッツェル行脚って、まさにこれだなあ、と思った。
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コメント
お母様、残念なことでした。
いまわのきわの一言って、自分は何言うんだろうなとか考えてしまいました。
水酸化ナトリウムはうちの母親がこんにゃくを固める水酸化カルシウムか炭酸ナトリウムと間違えて買ってきてしまったものが洗面台の下に死蔵されてたのですが、容器の蓋が空いてこぼれてしまい、洗面台のベニヤ板がぼろぼろになっちまいました。私はそこで存在に気が付き・・・床がビニール張りだったのが救いです。
エレールのMS225、そういえば三十年くらい前に作ったのがあったなって引っ張り出してみました。このキットって、確か翼下面のエルロンのモールドがないんですよね。当時わからないからなんとなく筋彫してるんですが、実はエルロンの下にはホントに隙間なかったりして!とか当時思ったのを思い出しましたが、本当はどうなんでしょうね。
投稿: みやまえ | 2024年2月26日 (月) 19時52分
>みやまえさん
ありがとうございます。
ちなみに盟友・ハラT青木センセの御父上の最後の言葉は、
「伸也……ナスの煮物に鷹の爪は1.5本や……」
だったそうです(本当か、などというのは野暮)。
エレールのMS225、同社のキットの中でも古いので、いろいろと
「えー、なんだこりゃ」なところがありますね。
エルロンに関しては、下面はまるっきり無視されているし、上面も、部品分割線で上・外のラインはありますが、内側は無視されてますよね。頑張ってせっせと彫りました。
水平尾翼も、昇降舵の外側の分割線が間違えていて、実は後ろ前が逆になっています。このへん、いずれ写真でお見せできればと(今回、製作前の状態の写真は撮っていないので、「before-after」では載せられないんですが)。
投稿: かば◎ | 2024年2月26日 (月) 20時07分
心からご冥福をお祈りします。
うちの母親もだいぶ危ない状態でありまして
長男の受験が完了したら報告に行く予定だったり。
投稿: めがーぬ | 2024年2月27日 (火) 12時44分
>めがーぬさん
お悔みありがとうございます。
お母様心配ですね。
投稿: かば◎ | 2024年2月28日 (水) 00時50分
遅ればせながら、心よりご冥福をお祈りします。
去年は私の両親、姉と手術が連続で、いささか緊張を強いられました。
3月24日に横浜AFVの会があるので、終わった後に気分転換に飲みに行きませんか?
投稿: ケン太 | 2024年3月11日 (月) 21時15分
>ケン太さん
お悔みありがとうございます。
横浜AFVの会はぜひ行きたいと思っています(今のところ、持っていくもののアテがないのですが)。
終了後はぜひまた一杯やりましょう。
今度はビールをひっくり返さないお店がいいな。
投稿: かば◎ | 2024年3月13日 (水) 01時17分
>かば◎さん
>今のところ、持っていくもののアテがないのですが
もしかして・・・そのフリは完成への布石!?
>今度はビールをひっくり返さないお店がいいな。
去年行ったお店でビールこぼされましたっけ?
桜木町(元ドッグの辺り)の店の事かな??
あの時、私は思いっきりザックとかに溢されましたね(遠い目)
嫁に神奈川の地酒を出すお店があると聞いた事があったので、そこもいいかもしれないので聞いておきます。
あとA氏にも声かけときましょうか?
それでは
投稿: ケン太 | 2024年3月14日 (木) 22時08分
お母さまのご冥福をお祈り申し上げます。
静かに逝かれたことは何よりですが最後に何かを言ったのかは気になりますね。自分の家族もあちら側に行く前には必ず一言うルールにしよう。
横浜AFVの会は今年は行こうと思ってます。ぜひお会いしたいです。
手ぶらでもいけないのでちょこっとしたものを仕込んでます。(間に合うかな〜)
投稿: ミカンセーキ | 2024年3月20日 (水) 07時58分
>ミカンセーキさん、ケン太さん
たいへん、たいへん申し訳ない。
24日、地元自治会の会合が入ってしまいました。
年度末で予算の〆とか引継ぎとかいろいろあって抜けられません。
非常に残念ですが、今年の横浜AFVの会はお休みします。
>ミカンセーキさん
お悔みありがとうございます。
暑くならないうちに、山歩き行きましょうか。
ブログの様子をみると、だいぶお忙しいのかな?とも思いますが。
投稿: かば◎ | 2024年3月20日 (水) 20時01分
>かばさん
自治会ですか~それは残念!
A氏、横浜AFVの会来る予定だそうです。
良ければ自治会終わった後、気分転換に飲みにでも顔出してください。
私はフジミ1/76 JS-2持って行きます。
投稿: ケン太 | 2024年3月20日 (水) 23時27分