大乙嫁語り展
●21日日曜日、息子のところのチビの(保育園の)運動会があり、本郷台まで出かける。
なにしろ保育園なので、ほとんどよちよち歩きの幼児からいて、その年代層も混じった演目の場合は、本人がボーっとしているのを大人が抱えて強引に進行させたり、常にどこかで大声で泣き叫んでいるのも複数いたりで、なかなか混沌とした状況。
うちのチビは、もうそこそこ大きいので、その辺は大丈夫。体操で一人だけテンポがズレていたり動作が逆だったり、かけっこが意外に早かったりで、それなりに見ていて面白かった。
●折よく、本郷台駅前のあーすぷらざ(神奈川県立の公共施設)で「大乙嫁語り展」というのをやっていて、運動会帰りにいそいそと見に行く。
というより、私が「乙嫁語り」を読んでいるのを知っている息子から、当日に「こんなのやってるよ。行けば?」と教わって、初めてそんな催しをやっているのを知ったもの。偉いぞ息子よ。おかげでせっかくの機会を見逃さずに済んだ。
●「乙嫁語り」は森薫によるマンガ作品で、エンターブレイン刊の漫画雑誌(「Fellows!」→「ハルタ」→「青騎士」)に連載。単行本は現時点で第14巻まで出ている。
19世紀半ば過ぎの中央アジアを舞台にした群像劇で、この地域の民俗を調査する若いイギリス人、ヘンリー・スミスを狂言回しに、各地の「乙嫁」(特に第一の「乙嫁」であるアミルさんと夫のカルルクを中心に)とその周辺の人々のあれやこれや(さらには人間からも離れて自然)を描く。長編第一作でヴィクトリアン・メイドを描いた「エマ」に続いて、同作者の趣味全開。そして描き込み全開。私が、単行本が出るたびに買っているマンガはいくつかあるが、その中でも気に入っている1本。
●会場は、専用の撮影機器は不可でもスマホでの撮影は可で、割と太っ腹。
もちろん、会場で直接観るならまだしも、スマホで撮って照明等が写り込んだ絵を見るくらいなら単行本見ろよ、という話なのだが、せっかく撮ってきたのでいくつか。
まずは(カバー)表紙画集。ただし最後の1枚(夫sとじゃれるライラ・ライリ)は表紙ではない。どこに使われた絵かなー(会場で説明が添えてあったかどうかもちゃんと見ていない)。もちろん会場にはもっとたくさん展示されていた。
表紙はカラーの人物とセピア調の背景は別々に描かれていて、後から合成している由。会場では人物と背景がペアで展示されていた。
下は背景の一例と展示の様子。この背景は「うろたえるパリヤさん」(上写真の5枚目)と組になっている第8巻のもの。
●カラーの群像。カバー裏表紙のもの。美しい(そして細かい)。
実際の本では値段とかバーコードのタグとかが重ねられているし、若干のトリミングもあるので、一枚絵としてしっかり見られるのはよい。
もっとも、裏表紙までしっかり鑑賞していなくて、「えーっと、こんな絵あったっけ」などと思ったりしたので、大きな声で「愛読者」とは言えないかも。
●本編のモノクロページの原画はラフのコピーを添えて展示されていた。下は、アミルさんがカルルクのもとに嫁いできた、まさに物語の最初も最初、第一巻冒頭のシーン。
よく見ると、ラフ段階では夫婦とカルルクの両親だけで、祖父母や姉家族が一緒ではなかったことが判る(現地で見たときは気が付かなかった。ボンヤリ過ぎる)。
●それぞれの絵にはキャプションとして「~が苦労した」とか、作者のコメントも添えられて、またその他に作者インタビューなどの掲示もあって興味深かった。下写真のように、執筆風景の動画も流されていた。
最近はPC上でペンタブなどを使って描く漫画家が増えているが、この作者は昔ながらの手描き。「うわー。職人だなー」という感じ。
●アラル海湖畔編の双子、ライラとレイリのライラは「ライラとマジュヌーン」、ペルシャ編のアニスとシ―リーンのシ―リーンは「ホスローとシ―リーン」、どちらも詩人ニザーミーの作品で有名なペルシャのロマンスから名前を採ったんだろうなあ、と思う。なお、どちらも東洋文庫で読んだはずだが、話の中身はすっかり忘れている。
ちなみにエリック・クラプトン(デレク&ドミノス)の「レイラ(Layla)」は「ライラとマジュヌーン」をモチーフにしていて、名前は「ライラ」の英語読み。曲のおかげで、なんだか英語圏では「よくありそうな名前」に思ってしまっていたが、実はそうではないらしい。
「カレイドスター」の“お蝶夫人”、レイラ・ハミルトンさんは大富豪令嬢だが、実はお父さん、ああ見えて元々はロック野郎?
もっとも、サーミ由来のスカンジナビアの名前でも「Laila」というのがあるそうだ。ハミルトンという姓は主にスコットランドの氏族由来だそうだが、レイラさん一家はスカンジナビア系も入っているのかも(どうでもいい話)。
●閑話。
ここ一年近く、PCメール宛に届くフィッシングのメールが急増している。当初amazonを騙って届いたメールについては、昨年7月の記事でも書いた。
その後は、偽装対象のバリエーションもどんどん増えてきていて、
- amazon
- ETC利用照会サービス事務局
- えきねっとサポートセンター(JR東日本ネットステーション)
- 三井住友カード
- PayPay
- エポスカード
- 楽天カード
- 三井住友信託銀行
- American Express
- JCBカード
多くは「アカウントが失効するので情報を更新せれ」とか「不審なアクセス/怪しい注文があったので確認せれ」とかなのだが、中にはちょっと毛色の変わったものもあって、
左は、キャンペーンに参加すると、かなりお得なポイント付加が得られるというもの。右は「受け取りポイントが増えます」という、一見どこが詐欺に通じるのかよく判らない通知だが、詳細を見るリンクをクリックすると何か抜き取りのステップに進むとかなのだと思う。ちなみに上は試しにhtmlを開いてみたが、下手をするとhtmlを開くだけでどこかに飛ばされる可能性もなくはない気がするので、普段は(確認する場合も)プレーンなテキストでしか開かないようにしている。
ちなみにこれらのメールは、多くがドメインが「.cn」という時点でニセモノなのがほぼ確定できるが(それ以前に使った覚えもないカードとか、車に乗らないのにETCとか)、たまに「.cn」以外のものもあるので注意が必要。
こうした「企業を騙る」ものとは別に、最近は続けて2通、
Subject: お久しぶりです。
--------
相変わらずお忙しくされていると伺いましたがお元気になさってますか?
また一緒にお食事でも行きたいですね。
Subject: 今日は忙しいですか?
--------
急ぎでは無いので、お時間ある際にお返事ください。
あっ、電話でも大丈夫です♪
という、差出人名無しのメールが来た(差出アドレスはdocomoの携帯メール)。
最初は、誰だか判らんけどウッカリなヤツだなあ、と思ったが、これまた、実は最近増えている返信狙いの迷惑メールだそうだ。「迷惑メールに返信してみた」体験談をネットで見てみると、返信すると(とりあえず当初は?)コピペながら「送信先を間違えました/済みません」→「これも何かのご縁」と話を繋いでいって、最終的に有料チャットやら有料サイトやらに誘導するらしい。迂遠だなあ。
ちなみに、「ヒマだから騙されたフリでからかってやろう」で返信するのは、こちら側のアドレスが使用中のものであると拡散する原因になってしまうので、控えたほうが良い。
●ここ最近の、近所の虫。
1枚目:ナガサキアゲハのオス。名越切通にて。逗子には「黒いアゲハ」は何種かいるが、無尾なのはナガサキアゲハだけ。普通、昆虫は「オスが派手、メスは地味」ということが多いが、ナガサキアゲハはメスは後翅にかなり派手な斑紋があるのに対し、オスはほぼ真っ黒なのだそうだ。もちろん、昆虫自身の目で見ての派手・地味の基準は判らないけれども。
2枚目はコミスジ。3枚目の薄黄色の蛾はウスキクロテンヒメシャク(たぶん)。蛾の同定はなかなか面倒で、これも「シャクガの仲間かなあ」というのはとりあえず当たったものの、そこから先がまたちょっと苦労した(シャクガ自体かなり種類が多いので)。類似の近縁種もいるようなので、同定は「たぶん~かな?」レベル。4枚目はネコハエトリ。家の中でよく見るアダンソンハエトリよりも大きめかつ派手。
1枚目:コマルハナバチのオス。2枚目:ニホンミツバチ。ニホンミツバチとセイヨウミツバチは、正確には後翅の翅脈の細部を見ないと判別できないのだが、この写真では、ごく微かにその部分が確認できる。
3枚目はオオスズメバチ。できれば近寄りたくない相手だが、この時は樹液に夢中だったのである程度近寄って撮れた。私の小指くらいの大きさがあったので、巣作り前の女王バチかも。
4枚目:こういう極小の蛾の同定は(上のシャクガよりも)さらに面倒。最初は、この「ジャンピング土下座」スタイルから、身近でよく見るヨツスジヒメシンクイと近縁で、つまりはハマキガ科かと思ったのだが、まったくハズレだった。カザリバガ科のカザリバ(たぶん)。これまた同じカザリバガ科で類似の近縁種がいるので「たぶん」が付く。
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コメント
乙嫁語りは大好きです。展覧会の情報ありがとうございました。
本のシリーズを持っている娘にも、即、情報を送りました。
投稿: ヤマダヨシエ | 2023年5月25日 (木) 22時32分
>ヤマダヨシエ様
ちなみに入場料は400円でした。
内容を考えると、とてもお得な感じです。
そのままで、栄区近辺の戦災に関するものなど常設展示も観ることが出来ます。
投稿: かば◎ | 2023年5月27日 (土) 11時03分
大乙嫁展、行ってきました。
娘とは日時の折り合いがつかず、別行動でしたが。
早くいったのにさすが土曜日、若い人が沢山来て、小一時間もしないうちに結構いっぱいになりました。じっくり眺め、創作中の動画も見たりして堪能いたしました。感想の2冊のノートに、カバブ様の足跡を探してみましたが、見つかりませんでした…、グッズの欲しいのは14,900円もしたので涙をのんでやめました。と、昂奮のあまりごちゃごちゃ書きつらね、お見苦しい次第です。良い情報を有難うございました。
投稿: ヤマダヨシエ | 2023年6月17日 (土) 17時19分
>ヤマダヨシエ様
あの手のグッズは結構高いですよね~。
基本、マンガ作品はマンガの本それ自体があればいいや、というほうなので、私もグッズは買いませんでした。
まったく欲しくないか、というと、そういうこともないんですが、買っても、結局その後、「飾ると日に焼けたり汚れたりししそうだし」などと思って、どこか棚の奥深くにしまってそのままになりそうですし。
ところで、西小坪海面砲台の崖、数日前に散歩で通りかかって気が付いたんですが、南砲台直上あたりと、それよりももっと海前寺側と、2か所が(先日の悪天候で?)崩落していますね。
南砲台上のところにはブルーシートが掛けられていましたが、海前寺側は崩れたままの崖面が見えていました。
下の擁壁上の柵の内側は、崩れてきた土砂が道路まで落ちないよう、板で塞がれていました。
投稿: かば◎ | 2023年6月19日 (月) 01時00分
あら大変、崩落、ですか。友達誘って見に行きます。
貴重な情報を、いつもありがとうございます。
投稿: ヤマダヨシエ | 2023年6月19日 (月) 11時17分