つれづれSU-100(4)
●さらに行き当たりばったり度が増している、ドラゴンのSU-100製作記。4回目。
前回書いたように、キューポラと操縦手ハッチの改修もとりあえず終えて(操縦手ハッチはペリスコープ周りの工作を残しているが)、「もう山場は越えたぜ!」みたいな気分でいたのだが、戦闘室周りの溶接痕を入れながら、現存実車の写真を改めて見ていて、これまで見落としていたディテールの差異に気が付いた。……いまさら!!
写真はキットのままの戦闘室上面だが、戦闘室前部ハッチの右側のヒンジは、その横の長方形のバルジと干渉するような形で、左側に比べ半分くらいの幅になっている(黄色矢印)。
また、戦闘室後部ハッチの前方ヒンジは、後面に掛かる後方ヒンジや前部ハッチのヒンジ同様、噛み合わせが2・2の4つになっている(赤矢印)。
実際にこのような仕様の車輛もあるのだが、それは、もうちょっと後の生産型のようで、少なくとも、戦闘室後面が組み継ぎの戦中型(初期型)の場合は、
- 前部ハッチ右側と長方形バルジとの間隔がもう少し開いていて、ヒンジ幅も削られていない。
- 後部ハッチ前方ヒンジは、噛み合わせが3・3の6つ。
すでにキューポラもベンチレーターカバーも付けてしまった後で、上面ディテールを修正するのはかなり面倒臭く、一時は見なかった振りをしようかとも思ったのだが、結局(ため息をつきつつ)改修に着手。
前部ハッチ右側ヒンジと長方形バルジとの間隔が広い点に関しては、(1).長方形バルジ自体の幅が狭い、(2).前部ハッチの幅が狭い(あるいは左に寄っている)、(3).その複合――などの理由が考えられるのだが、砲基部カバーのボルトなどとの位置関係から、とりあえず(1)の可能性が高いと判断、バルジのモールドを削り取って作り替えることにした。
キューポラとヒンジに挟まれた長方形のバルジ部分を削り取るのは、案の定面倒くさかった……。
このあと、(当然ながら)後方ハッチの前側ヒンジも削り取っている。
そして、バルジと後部ハッチ前側ヒンジを作り替えた状態が以下。
長方形バルジ上にある、内部機器と関連しているらしい“ミステリーサークル”は、初回に書いたように、戦闘室後面が組み継ぎの初期型でもドラゴンのキットが表現している「後端に横並び」タイプも見られるのだが、作り直したついでに「前端・後端に縦並び」タイプに変更した。
●さらに、作り直した後部ハッチ前方ヒンジ上に、ロック爪とダンパーを作る。
キットのような後期標準の噛み合わせ4つヒンジの場合は、右ヒンジにロック爪、左ヒンジにダンパーなのだが、噛み合わせ6つヒンジではロック爪・ダンパーの両方が右ヒンジに付いている。おそらく、6つ→4つに変更した際、小型のヒンジに両方は乗らなくなったので、ダンパーを左に振り分けたのではないかと思う。
こうして写真で拡大すると工作の粗さが目立つが、そのへんは「メガネをしていても老眼をカバーしきれない」&「工作力自体がそんなもん」の相乗によるもの。
ダンパーに対応するコの字ストッパーは、プラバンかプラペーパーで作ろうかとも思ったが、それではちょっと触っただけで壊れそうなので、面倒ではあったがエッチングパーツの枠の余白から切り出して作成した。見えているより脚は長く作ってあって、プラパーツ側に差し込み穴を作って固定してあるので丈夫。
なお、このストッパーのダンパーに当たる面はやや後傾していて、そのため、全開時のハッチは垂直ではなく、やや前に傾いた形になる。
何はともあれ、この手の極小パーツは、作る面倒もさることながら、「作っている最中に飛ばして作り直す羽目になる」というのがコワイ(そして悲しい)。実際この部分の工作では、ヒンジの噛み合わせ部をひとつ、ロック爪の根元の軸受け部をひとつ、行方不明にした。
●戦闘室上面ディテールの作り直し前に進めていた溶接跡追加工作。
いつもながら、主に伸ばしランナーの接着剤溶かし方式。一部、戦闘室後面・上面間や、戦闘室後部の「三角コーナー」肩部などは伸ばしランナーは足さず、「キットのパーツを彫り込んで接着剤でちょっと溶かしてぐりぐり」式で処理した。
T-34系列、KV系列の工作をする際には、いつも「ソ連戦車っぽい溶接痕にしたいなあ」と思いながら作業しているのだが、なかなか思ったようにはできない。
車体とフェンダー間の溶接痕は未工作。
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