戦争と模型
●「オレ、この戦争が終わったら結婚するんだ(or 告白するんだ)」というのはラノベ系でよく言及される死亡フラグだが、
オレ、この戦争が終わったらズベズダの新製品を買うんだ!
というのは、いったい何のフラグを立てていることになるのだろう。
(別にこんな言い訳がましいことを書く必要はないと思うが)一応断っておくと、決して私自身はロシアのウクライナ侵攻を支持してはいない。ただ、現行の政権の行為へ反対の意を表するのと、その国・地域の文化や文物を拒否するのは違うと思う。もちろん、「ロシア製品を買う」ということは、些少であってもロシア経済を回すことにつながるので、少なくとも戦争が続いている間は買いづらいし、ズベズダという会社そのものがプーチン政権/ウクライナ侵攻を積極的に支持する姿勢を打ち出しているとかいうことになると、それまた話が別だけれど(してないよね?)。
ズベズダの比較的最近の製品といえば、私はSU-85、T-28、T-35を買っているが、直近の新製品では、STZ-5トラクターはできれば欲しい一品。T-34の「フォルモチカ」(ズベズダの製品名だと「ウラルマシ」)もそのうち買おうと思いつつ買いそびれたまま(T-34 1942~43年型は、ドラゴンのキットがあまりよくないので)。
もっとも、現在のこの情勢下では、ウクライナ製の模型が(輸入ルートが万全に機能しているといい難いので、その辺の不安定さはあるものの)それなりに購入できる一方で、ロシアとの間の貿易や決済がどんどん絞られていて、ズベズダ製品はぱったり入ってきていない模様。仮に戦闘そのものが何らかの形で終了もしくは沈静化しても、ロシアとの交易自体が復活するのはいつになるのか判らない。下手をすると、再びズベズダの新製品を普通に買うことができる時代は、当分戻ってこない可能性もある。
それを考えると、冒頭の一言は「ズベズダ新製品は金輪際買えなくなるフラグ」かも……。
●それにしても、世界のどこかでは常に戦争が起こっているのに、今回のロシアによるウクライナ侵攻は、特に日常との「圧倒的地続き感」が強い(むしろ、湾岸戦争にしろイラクにしろアフガンにしろ、いつもどこかで「遠い国の他人事」的感覚でいたというほうが正しいのかもしれない)。単に戦争当事国の両方とも、そこから模型をよく買う国だというだけじゃなくてね……。
ともあれ、普段、「戦争に使われる兵器のプラモデルを趣味で作っている」身としては、実際にそうした兵器が人々の命や生活を脅かしている事態が現実に起きていることを見せつけられると、どうにももぞもぞと居心地が悪い(たとえ自分の趣味の中心は昔に終わった戦争に使われた兵器だとしても)。
ここで、「普段、兵器の模型を作って、その背景なども調べているからこそ、戦争の悲惨さについてもよく判る」などと言い訳がましいことを言うつもりもない。もちろん、そうした知識を得やすくなることは確かだと思うが、それによってモデラー個人がどういう主義思想に至るかはその人次第で、実際にモデラーの内の会話を聞いていても、右もいれば左もいる。一方では変に決めつけてくる者もいて、旧「河馬之巣」HPをやっていた頃には、ネトウヨ系の人から「同志と見込んで云々」というお便り(BBSへの書き込み)を頂いたこともある。勘弁してくれ。
今回の戦争で模型関係のSNSなどを覗いていても、「ロシア戦車は当分作りたくない」とか言う人もいる(屁理屈じみたことを言うと、T-34は“出身”がハリコフ機関車工場だからウクライナ戦車だよ!と強弁することは可能かもしれない。もっとも設計主任のコーシュキンもモロゾフもロシア人だと思うが)。あるいは、「ちょっと当分兵器のプラモ自体作りたくないかも」という人もいるかもしれない。「いや、模型は模型なんだし、現実の戦争と関係ないでしょ」という人ももちろんいると思う。そのどれが正しいと言うつもりもまたなくて、その辺もまた、自分で自分の「落としどころ」を見つけるしかないのだと思う。
私としては、前述のような「もぞもぞ感」を感じつつも模型は作るだろうが、できれば、さっさと戦争は解決してくれて、もうちょっとその「もぞもぞ感」が軽減された状況になって欲しいと思う(兵器の模型を作っていること自体は変わらないので、今次の戦争が片付いても皆無にはならない)。
何か、こんなことを書くこと自体も少々言い訳がましいけれど。
●自宅PCの外付けHDDが昇天してしまった。
突然、「かーちゃ?かーちゃ?かーちゃ?」みたいな異音が続き、作業中のファイルが反応しなくなり、結局、その外付けHDDを接続したままではPC自体が立ち上がらなくなってしまった。外すときちんと起動するので、とりあえずこうして「かばぶ」は更新できる。
しかし、外付けのHDDに入っていた多量のデータが失われてしまって半べそ状態。もちろんHDDはいつかは壊れるものだし、同じHDDを2つ用意して片方に常にコピーしておくとかいった、きちんとしたバックアップ体制をとっていなかった私の自己責任。それにしても、もうちょっと何かしらの前兆とか、壊れるにしても若干の「あれ、おかしいな」期間があってくれれば……。
以前のHDDから移したものも含めて、過去の仕事の記録が全部飛んでしまったが、これについては、偉い作家さんとかではないので将来的に「かば◎全著作集」など編纂される可能性も皆無。実際に現在の仕事で参照する必要が出てきそうな最近のものは、内臓HDD側にあるメールのログである程度カバーできるので、比較的軽傷。ただし、実際に不具合が発生した時に作業していたものは保存できず(したがって仮に外付けHDD内のデータが復旧できてもこれは復活できず)、その資料の大部分も失われてしまって、これは大問題。
個人的にショックが大きいのは、ネット上で漁った模型関連の資料(主に写真)の集積がごっそり焼失してしまったことで、ある程度は再び集めることができるとしても、元のサイト自体がなくなってしまったもの、不明なものなども多い。ちなみに、今になっては資料的価値は低いものの、「小国空軍/小国陸軍キットリスト」や「シャール・ファイル(WW2フランス陸軍キットリスト)」、「KVマニアックス」などの旧河馬乃巣時代のコンテンツも全消失。
●一方で(前回の更新時に書きそびれたが)スマホ(Android)を新調した。2016年末から使っていた前代スマホは、さすがに機能的にも動作的にもあれこれ不調が出てきたため(実際には、不具合発生による無償交換などで、その間2回ほど同一機種でリニューアルしている)。前回記事で、添付の写真の縦横比が2種類あるのは、撮影したスマホの機種が変わったため(より横長なのが旧機種)。
利用しているのはJCOM(SIMフリー)なのだが、JCOMで売られている機種変更のラインナップは著しく機種数が限られていてイマイチだったので、ネット上で(本来はY!Mobile用の)中国製スマホ(OPPO Reno5A)をかみさん分とともに購入した。
ちなみにJCOMはauの回線なので、今回(2日土曜日)発生のトラブルはもろにかぶってしまい、現在、電話は不通(日曜夕には復旧していた)。
●母が一時体調不良。数日ほとんど食事をとらないとか、湿疹が出たとかで心配したのは収まって一安心していたら、同居の兄から急遽連絡が来て、せん妄状態(意味不明の言動)という。ちなみに普段の母は、認知症のため物忘れはひどくなっているものの、行動そのものは割としっかりしていて、足腰は弱っておらず自分のことはだいたい自分でできる。
かなり気をもんだが、翌日にはまるで普通に戻っていたとのこと。とりあえずはほっとしたが、今後もこのようなことはあり得ると思うので心構えをしておく必要がある。
●そんなこんなで身辺あれこれありすぎ、前回書いた「何とか徐々に復調したい所存」がなかなか果たせずにいる。
っていうか、とにかく消えちゃった直近の仕事を何とかせにゃ。
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コメント
ズベスダ製品の購入悩みますね。今年は欲しいキットいっぱいあったのに。(何で去年発売できなかったのかなんて思っちゃいます)
国内には当分入ってこないだろうしロシアのサイトだと今は決済できないよなーと思ってましたが、どうやら周辺国だとズベズダ製品ひっぱれるようですね。
ラトビアのショップで STZ-5 とT-70B を買ってみました。ロシアじゃないからペイパル決済できたし、荷物発送の連絡が来ました。来週くらいに届くかもしれない。
ズベスダに経済的な支援になることをするのはどうなんだろうとも思いつつ、ラトビアの経済に寄与するなら許されるかなと...
ウクライナのメーカーではICMが新製品を発売してこんな状況でも頑張ってますが、MiniArtは新製品発表が途絶えてしまってるのはちょっと気がかりです。何らかのダメージ受けてるのかな。
HDDはいつ壊れるか分からないから怖いですね。かばのす時代のコンテンツ消失は本当に残念です。
投稿: ミカンセーキ | 2022年7月 3日 (日) 14時54分
HDDのクラッシュは大変なことでしたね、お察しします。
仕事のデータが喪失したら食べていけないし、趣味のデータが無くなると生きがいに支障をきたしますね。かば◎資産の減退は残念です。
私の場合は、プラモデルの資料情報をUSBメモリに保存しています。
HDDに比べたら容量は少ないかもしれませんか最近はかなり大容量のメモリーが出ていてしかも安いので使い分けした方が安全かもしれません。
ソビエト・ロシアの6輪装甲車の3台目を作っているのでメーカーも含めてカスっているのかもしれません(イースタンエクスプレスは違うのか??)。しかもT34やKV-2のキット(古い)と関連書籍もストックしており順次作る予定です。
そうだ!!次はズベズタのT35。
昔から子供はチャンバラごっこをして遊んできたものです。
いいとか悪いとかの概念ではなく、兵器の持つ機能美が模型の趣味として続いているのは当然なので気にすることはないと思います。
かば◎さんの模型談義を見たいです。
投稿: hiranuma | 2022年7月 3日 (日) 19時13分
>ミカンセーキさん
おお!ラトビア経由!
それはいいですね。うーん。我が家の場合は通販で買うとかみさんにバレて怒られるしなあ。
ICMの新製品については、一度だけ、横浜のヨドバシでラフリーを見たのですが、持ち合わせがなく買いそびれました。その後一回も目撃せず……。しかし結構高かったです(確か7000円台)。
同じ車種をAl.Byのレジンキットですでに持っているというのもあって、ちょっと考えちゃいます。
河馬乃巣時代のコンテンツに関しては、個人的に「思い出」として惜しくはあるのですが、さすがに資料的な価値は余りないだろう、というのが(若干の)救いではあります。
うーん。しかし貯め込んだ資料写真がなー。
>hiranumaさん
USBメモリーは、データをあっちこっち持ち運びするには便利ですが、ずっと保存しておく媒体としてはちょっと怪しいですよ(私もこれまで、数本ダメにしていますし)。
もっとも、データを小分けにしておくことで、ダメになった時のリスクを小さくしておくという点では大きな意味があると思いますが。
投稿: かば◎ | 2022年7月 6日 (水) 00時10分
HDDクラッシュ、災難でしたな・・・
テラバイト時代になるとHDDクラッシュで失う情報の莫大さに戦慄します。
のでわたしは貧乏ななりに外付けはマメに入手して手動ミラーリングとかしてますです。
実物資料画像とか、当方にも90年代末期からの収集が多少ありますので、必要な「あれ保存してない?」的なのがあれば言ってくだされば探しますですよ。
ズベズダは私もほしい新製品が多いので、今の状況は呪わしいことです。
全く違う話になりますが、こないだ海でギンカクラゲの生きてるの見ました。色が嘘っぽい青で、特撮クリーチャーっぽいクラゲですな。
投稿: みやまえ | 2022年7月 6日 (水) 22時23分
新製品情報ですが
タミヤのコメット、とうとう出るのか~という感想です
ブロンコの連結履帯付きを買うんじゃなかった
IBGは2号のa1/a2/a3、b を1/35 で出すそうな。
今後もFTF的なアイテムが出るのかも。
投稿: めがーぬ | 2022年7月 7日 (木) 01時11分
>みやまえさん
資料写真の集積もそうですが、ルノーR35の仕様を登録番号順にまとめたエクセルシートもなくなっちゃったとか、なんだかもういろいろ痛いです。
もっと分散させておけばよかった……。
ギンカクラゲは何かのはずみで大量に打ち上げられたのを見たことがありますが、本当になんだか不思議な感じの生き物ですよね。
ところで、逗子は海開きしたばっかりですが、つい先日、大量にカツオノエボシが漂着したという話も。怖。
>めがーぬさん
コメットは割と好きな戦車ではありますが、買うかどうかとなるとなー。
アキリーズも買っていないしなー。
IBGは、同社(および関連ブランド)72から35化を図ってくれるのであれば、ぜひぜひ、同社72の初期のラインナップにあるポルスキフィアット508IIIシリーズを35化してほしいです。
S-modelのバキュームも各種持っているんですが、初期の製品なので、「とにかくある程度形にしよう」という決意で手を付けて挫折、というのを何度か繰り返しています。
投稿: かば◎ | 2022年7月 7日 (木) 14時09分
コメット出ますか!
いいですね!
ついでにチャレンジャーも出してほしいです。
カツオノエボシは打ち上げられてるのを見ました。
砂浜に青いビニール袋が空気の残ってる部分だけ残して埋まってるのかと思うくらい嘘くさい小ささですね。
あれはある意味地雷かも。
何故か東京湾側では見たことないです。
東京湾側はもっぱらアンドンクラゲです。でもお盆過ぎないと出てこないす。
刺されてもウナジェルぬれば蚊に刺されたより軽く収まるかもです。
投稿: みやまえ | 2022年7月 8日 (金) 23時04分
お久しぶり!
私は現用AFVメインだから今回のウクライナ侵攻に登場する物は、TVとかに流れているので作り難いなぁ&楽しめないよな・・・という感じです。
ズベズダも心情的には買い難いよなぁとは思ってしまってる。(良い製品だし欲しい物はあるが)
私はこの戦争が終わるまで、買うかどうかは棚上げにしようかと思ってます。
データの件はいくら頑張っても無くなる時は無くなりますよ。(CDに保存いていたデータもダメになった事あるので)かばさんのKVの記事が保存されていないかデータ探してみますね。(KVのブログのデータ保存しているかもしれないので)
投稿: ケン太 | 2022年7月17日 (日) 21時32分
>ケン太さん
いろいろと理屈をつけることは可能だと思うのですが、こういう事態が起きると、戦車が「暴虐と殺戮のための装置」であることを突き付けられてイヤな気分になる一方で、しかし普段は確かに、その「暴虐と殺戮の性能」をこそ愛でていることは言い訳のしようがない気がしています。
実を言えば、上に「自分の趣味の中心は昔に終わった戦争に使われた兵器」と書きはしましたが、この戦争でニュース等を見るにつけ、「ちょっと一度はT-90あたり作ってみたい」気も少々してくるあたり、我ながら業が深い感じもします。
いやマジで、そう思いつつも、「全ての戦車は博物館送りになってくれればいい」とも思っていたりもするのですが。
投稿: かば◎ | 2022年7月23日 (土) 23時24分