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2021年10月

陶片追放

●毎年の季節労働がいよいよ大詰めで精神的にもだいぶ圧迫感。

●という折も折だが、本日(28日)、昼食に久しぶりに外食。かみさんと、近所の奥さんと3人で鎌倉の韓国料理屋。マッコリを飲みつつ参鶏湯を食べる。参鶏湯も、何年か前に新橋で食べて以来かな。もうたぶん30年以上前、コリアレポートの辺さんに新宿で奢ってもらった「初・参鶏湯」の感動は忘れられない。

●買い物に行くという女性陣2人と別れ、鎌倉から海岸回りで家まで歩いて帰る。

途中、材木座の街のなかでフォード・モデルA(?)のクーペを見た。一応、ラジエーターの上部にはフォードのロゴ。

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しかし……あれ。フォード・モデルAって、横置きサス・スプリングじゃなかったっけ。下を覗いてみると、左右に縦置きのリーフスプリングがある。しかも右ハンドルだし。

改めて写真を見てみると、ボディに比べてシャーシも長い感じで、フロントバンパーがだいぶ前に飛び出ている気がする。レプリカ? それとも、何かのシャーシにフォードのボディだけかぶせた?

20211028_140101●鎌倉の材木座海岸沖の和賀江島は鎌倉時代の船着場の遺跡で、そのため、材木座の砂浜に落ちている陶磁器のかけらには、古く宋の時代のものなども混じっているそうだ(以前にもちょっと書いた気がするし、hn-nhさんもブログで触れていたことがあるような……)。

なんてことを聞くと、ついつい気になって拾ってしまうのだが、そもそも陶磁器について何の目利きでもないので、宋の時代のものも、その辺の百均で売っているものも区別がつかない。そもそも史料としてそれなりに価値のあるものなら専門家が頑張って拾っていそうだし、そうでもないのにどこかに持ち込んで見てもらうのも迷惑になるだけの気がする。というわけで、結局は海岸に置いてくる。

ちなみに「陶片」と聞くとつい後に「追放」と続けてしまうのは高校時代に世界史を選択した名残。

なお、高校の社会科はなんだかあれこれ様変わりしていて、何年か前から世界史は必修だったのが、来年度からはその内容も変わって、「歴史総合」「地理総合」が必修化されるそうだ。

●歴史繋がり。

23日土曜日から、名越切通の中途にある「まんだら堂やぐら群」が21年末の公開中。今回の公開は12月13日まで。いつも通り、土日月および祝日のみ公開(10:00~16:00)。

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「やぐら」は中世の墓地で、まんだら堂やぐら群は、一つ一つのやぐらは小さく素っ気ないが、集積度は鎌倉周辺のやぐら群の中では最上位クラス。いわば中世の「鎌倉霊園」。

まだ平場のイチョウもモミジも青々と茂っていて、紅葉の気配はまったくなし。公開期間ギリギリ最後あたり、もしも綺麗に色づいたらその時はまた写真を載せるかも。

20211028_211157 ●ロッテのガムの包み紙に、正方形にするためのキリトリ線と「おりがみ部」の文字が。どうやらそういうキャンペーンで、「ただ捨てるんじゃなく、折り紙として遊んでください」というメッセージらしい。

せっかくなので折り鶴を2羽折って……飽きた。折り紙のレパートリー、ほとんどないし。「おりがみ部」さんごめんなさい。

●忙しければ忙しいほど、「まったく何にも手を入れず、バタバタと接着して完成する模型が作りたい!」と思ったりするのだが(忙しくなくてもそういう衝動は時々ある)、それさえ今は手に付かない。

っていうより、仕事が片付いたら、ちゃんとルノーR35再開したいよ……。

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I号戦車の履帯

●15日金曜日。

午前中、パソコンを立ち上げてとりあえず仕事のメールチェックを使用と思ったら、サーバーに繋がらない。

「あれ? メールサーバー不調?」と思ったら、事務所のメールサーバーだけではなく、JCOMのメールも開けない。あれれ? ネット自体繋がってないじゃん!!

とりあえず、モデムの電源を引っこ抜いて、しばらくして繋ぎ直してみたり、パソコン自体を立ち上げ直してみたりと、お約束の一通りをやってみたが復旧の気配はまるでなし。スマホであれこれ検索してみようと試みるも、スマホもうまくネットに繋がらない。あれ?wi-fiもおかしい? JCOMの回線自体トラブってる?

なんだかんだジタバタして、結局どうにもならず、JCOMのサポートに電話しようと、固定電話の子機を取り上げたら、親機がダウンしている旨の表示。あれ? 電話もダメ? ……ってことは!

階下に降りて確認してみたら、かみさんがカーペットを干すだか何だかでテレビその他を動かしていて、その過程で、我が家の回線関係の大本のコンセントが引っこ抜かれていた。

四苦八苦していた小一時間を返せ!

――久々にコンセント一つ、回線一本で仕事も何も立ち行かなくなってしまう恐怖を味わった。

いざというときに代替で仕事できる環境をそれなりに身近に確保しておかないとなあ。

20211011_182436 ●数日前の夜。

近所の公園にタヌキがおったぞな。

しばらく前にも同じ公園で目撃していて、その時は、体中の毛が抜けてゴワゴワの肌がむき出しになった謎生物姿だった(ダニ疥癬症によるもの)。今回はそれよりだいぶ毛があるが、同じ個体が若干回復したのか、それとも別個体なのかはよくわからない。

ちなみに中央右上のカエルの水飲み台脇に、もう一匹目が光っている!と、ラインで写真を見せた知り合いが言っていたが、実際には「もう一匹」ではなくて、カエルのお腹から突き出ている水道の蛇口が反射しているだけ。

去年、一つ向こうの山で(昼間に)遭遇したタヌキの話と動画はこちら

●基本、模型は模型屋で買うことが多い。

今の世の中、ネット通販で買った方が欲しいキットの買いそびれはないし、むしろ通販のほうが安かったりもするのだが、それだけに、通販に慣れすぎるとあれもこれもとタガが外れてしまいそうで怖い、というのが理由の一つ。いやまあ、それだけの小遣いの元手もないけれど。

もう一つは、やはり店頭でキットの山を前にして物色するのが好き、というのが二つ目。地元逗子の模型屋は壊滅状態ではあるけれども、仕事で街へ出たついでに大きな模型屋に寄れるのは、首都圏在住者の贅沢でもある。

――なんていう建前でいつつ、ついつい(そしてたぶんものすごく久しぶりに)amazonで買い物。

購入したのは、T-Rex Studioの「Pz.Kpfw.I TRACKS Early type(I号戦車用初期型履帯)」。私としては、先日入手したCHINO MODELSのTKS用履帯に続いて、モデラー人生2度目の3Dプリント製品。

実は先日、下北沢のサニーに行ったときに(前回記事)、あれば買おうと思っていたのだが、残念ながら扱っていない由。(「TAKOMの後期型履帯ならあります」と勧められたのだが、それも中身はT-Rex製らしい)。

そのうち、秋葉原にでも行ったときにあれば買うかなあ、くらいに思っていたのだが、「そもそも、どこか扱っている模型店はあるんだろうか」とネットで検索してみたら、通販のM.S modelsに一つだけ!在庫があった。この時点で「どこかで見掛けたら買おうかな」が「これを買い逃したらもう入手できないかも」に意識が切り替わってしまい、“ショッピングカート”に放り込んで……どうせ滅多にしない通販を頼むなら、ついでに何か頼もうかと物色している何分かの間に……在庫切れに!

うっわ。

これでますます「今買わねば」スイッチが入ってしまって、ちょっと探してみたら、amazon上にまだ残っていた。というわけで、あわてて注文した次第。踊らされてるなあ。

なお、品物は水曜日に注文して、「お届け予定」は15日金曜日だったが、翌日の木曜日にはもう届いた。ちなみに製品の箱は7×7×4cmで、手のひらにすっぽり入るくらいの小さいものだが、届けられたamazonの箱は、タミヤの小さ目な1:35戦車・車両のキットが3つは収まりそうな感じ。その昔、

「♪あ~あ~、無駄にでかいボール箱~。
あ~あ~、横にアマゾンの~、マーク~♪」 ((c)ワンカップP)

と、メイコ姐さんが歌っていた通り。

さて、モノはこんな感じ。

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モデルカステンの可動式I号履帯と似たような、「クリッカブル」と「ピン挿し」の折衷型のような形式で、片方は履板にモールドされている突起に引っ掛けて繋ぎ、反対側はピンを挿すというもの。どちら側にピンを挿すかで、履板は右用・左用に分かれており、別々の袋に入っている。挿すピンはカステンのものよりずっと長く、履板中央のかみ合わせを超える長さがある。ピンそれ自体も3Dプリント製品。履板の成形そのものはシャープで美しい。

それにしても、そもそもI号戦車用の連結履帯なんて、別売の履帯製品の中ではかなり小さい部類なのだが、CHINO MODELのTKS用履帯を苦労して繋いだ(と言ってもまだせいぜい20リンク弱)あとでは、「うわ~デケぇ~。扱うの楽~」と感じる。

試しに何枚か繋いでみた。

連結時の精度については、噛み合わせがすんなり入る場合と、ちょっとヒネリを利かせてねじ込まないといけない場合あり。若干の(見た目では判らないほどの)変形や誤差はありそう。ピンも素直に奥まで入る場合と、途中で引っかかってなかなか入らない場合があった。箱には「2時間で完成」と誇らしげに書かれているが、本当かよ……。ちょっと不安。また、ピンはMaster Clubのレジンピン/リベット類のような、「最後のテーパーでキュっと締まる」感はなく、接着無しでは場合によっては抜け落ちも発生しそうな不安も少々。

●ちなみに、I号戦車用履帯は、モデルカステンの可動式でもガイドホーンの形の違いでA型用、B型用の2酒類が出ているが、これは確か、ガイドホーンの形状(アウトライン)の違いによるもの。

今回私が買った「初期型履帯」はさらにそれ以前のもので、ガイドホーンにおむすび型の穴が開いている。T-Rexのほかには、Master Clubのメタル製のものが出ているらしい。

すでにポーランド戦の頃には穴無し履帯が用いられているので、普通に作る分にはキット付属の履帯とかカステンの履帯とかで十分なのだが、中国陸軍が輸入使用したものは、輸入時点ママの穴開き履帯なので、このタイプがぜひ1両分は欲しかった。存在を知った頃はまだMaster Clubの製品もT Rexもなく、「履帯の1枚ごとに穴開け加工するなんて無理~」と、げんなりしていたのだった。

とはいっても、中国軍のI号戦車A型、いったいいつ作るんだ……。

●仕事の締切山盛りセール中であり、模型製作はまるっきり停滞中。

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model 139WC/WSM/WT special hobby 1:72

●仕事から私事から、妙に忙しい。

前月末には、兄が勤めるビジネスホテルが立地する商店街が主催する“まちゼミ”で講師が足りないというので無理矢理駆り出されて第一回の講座をした(オンラインで)。「何の話でもいい、模型でもいい」と頼まれて、なるべく一般の人でも聞ける話題をということで、鎌倉・三浦の山歩きをネタに喋ったのだが、コロナ禍で「おうち趣味」がクローズアップされている今、模型ネタの方がよかったんじゃないかと思ったりもする。今週末に第二回の予定。

ほか、医者嫌いの母を大学病院に連れて行ったり、仕事で久々に(しかし2週続けて)多摩川を渡って都内に行ったり。

●その都内行きの2回目。行き帰り井の頭線を利用したので、帰りに下北沢のサニーへ行く。

20211004_234650 実はICMのFCM35(フランス戦車)を買う気十分で行ったのだが、店内をあれこれ見て回っているうち、こんなキットを発見。うわ。こんなん出てるの知らんかったわ!

そもそも「model 139」という名称でそれがナニモノかわかる人はほとんどいないのではないかと思うのだが、正体は戦間期のアメリカ製の双発爆撃機、マーチンB-10の輸出型。宮崎駿の「雑想ノート」でも有名な、

馬丁式重轟炸機

である(馬丁はメーカー名のマーチンの音写)。

私自身は、「雑想ノート」よりもだいぶ以前、大学時代に、当時絶版だった「中国的天空」をコウ中村さんに借りて読んだ時からのこの機体のファンで、いつかは作りたいと思っていたもの。実をいえば、そのためにずーーーーーっと昔にWilliams Bros製の1:72のマーチンB-10のキットは買って持っているのだが(そしてこれはこれで気合の入ったいいキットなのだが)、「まさか、これが新キットで出ていたなんて!」という衝撃と誘惑に負けた。

●サニーの店頭で見たとき、このキットと重ねてAZUR FRROMの同じマーチン139も積んであったのだが、こちらのspecial hobbyのキットの方が、ほんの少しだけ安かった。AZURもspecial hobbyも、どちらもチェコのMPM系列(そもそもMPMというもの自体が今も存続しているのかよくわからないが)なので、基本同一のキットのようだ。Scalematesを見ても同系キットとして扱われている。

AZUR FRROM版はいくつかバリエーションが出ていて、最初が「B-10 Export WC/WAN」(中国軍、アルゼンチン軍)、2番目が「B-10 Export WH-2/WAA」(オランダ東インド軍、オランダ軍)、3番目が「B-10B in US Service」(米陸軍)。私が買ったspecial hobby版は中国軍、タイ軍、トルコ軍のデカール入りで、基本、AZUR FRROM版の最初のキットの箱替え・デカール替えのようだ。Scalematesでは新パーツが加わっているように書かれているが、ネット上でAZUR FRROM版の中身を見る限り、パーツの差異は判らなかった。

●一応、簡単に実機解説。マーチンB-10は。米陸軍航空隊の双発爆撃機として初の低翼単葉・全金属機。原型機は1932年初飛行、量産型のB-10は1934年から配備が始まっている、らしい(wikipediaによる)。機内に爆弾槽を持つ金属機としては初期のもので、胴体は左右幅に比べ縦幅が大きい。……そんな不細工な魚みたいな外観と、中国での呼び名である「馬丁式」から来る荷車的イメージとが合致するのが魅力(私の中では)。

本国アメリカの軍用機としては、第二次大戦前に一線を退いているが、戦前に輸出型を購入したいくつかの国では大戦中も使用している。輸出型としてのこの機の名称はmodel 139Wで、special hobbyのキット名称になっている139WCはChina(中国仕様)、139WSMはShiam(タイ仕様)、139WTはTurkey(トルコ仕様)と、それぞれの輸出先の頭文字をくっつけたものであるらしい。

中国はこの機を9機購入。1938年の5月には、宮崎駿が「雑想ノート」で描いた日本本土「紙片爆撃」を敢行している。

●キット内容。とりあえずパーツをざっと。

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Aパーツ(写真上左):胴体と尾翼。レシプロ機のキットでは胴体パーツは左右分割が普通だが、このキットは、珍しく上下分割。

Bパーツ(写真上右):主翼とカウリング前面。

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Hパーツ(写真上左):エンジンおよび機内パーツ。

Iパーツ(写真上右):プロペラ、脚など。

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クリアパーツ/エッチングとデカール。デカールは中国空軍2塗装例(1403と3001)、タイ空軍、トルコ空軍各1例に対応。

枝記号がA、B以降かなり飛んでいるので、バリエーションキット間で結構パーツの入れ替えがあるらしい。H、Iパーツにおいても、不要パーツや選択パーツがそれなりにある。

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説明書はカラー印刷。

●内容についてもういくつか。

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ユンカースのような「全面トタン板」ではないが、ほぼ平らな側面は平滑な外板、丸まった上下面は波板を使っているのが本機の特徴。胴体を上下分割にしているのは、この波板部分を綺麗にモールドしたかったかららしい。ちなみに先行する(50年近く!)ウィリアムズのキットは左右分割。ウィリアムズの波板の具合はどうだったかなあ……。フィレットの中に主翼を差し込む!という他にほとんど類を見ない部品分割だったイメージばかり強く残っていて、他を覚えていない。なお、このキットの場合は、胴体(フィレット)と主翼は普通に突き合わせ。

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胴体上側の内面。下側もそうだが、細かいリブモールド付きで、床板や内壁の装置類も、72キットとしては十分な感じでパーツ化されている。リブモールド自体は細いものなので、胴体外側にヒケ等の影響は全く出ていない。

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主翼上下面はこんな感じ。あれ?と思ったのが、カウリングが小さなイボ付きであることと、上面部分でカウリング後端がまっすぐでなく後ろに長くなった形状であること。

ただ、説明書をよく見たら、イボについては削り落とすよう指示があった。どうやらエンジン違いの別の国向けの輸出型に対応したモールドであるらしい。

しかしもう一点のカウリングの後端に関しては未解決。確かウィリアムズのキットはもっと素直にまっすぐな後端だったと思う。実機が(特に中国空軍型が)どうだったかは、なにしろクローズアップ写真等に乏しいので今のところ判断できず。できればもうちょっと写真をかき集めて調べたい。

謎と言えば、キットのデカールに取り上げられている、中国空軍の「1403」号機。これは僚機の「1404」号機とともに、九州へ「紙片爆撃」を敢行したとされる機体。さてこの機番、キットのデカールでは白縁付きの赤で表現されているのだが、同一メーカーのレーベル違い?でプラパーツ自体は同一のはずのAzur FRROMの「B-10 Export WC/WAN」では、なぜか同じ「1403号機」が白縁付き青の番号になっている。

Azur FRROM版よりこのspecial hobby版のほうが発売が新しいので、より有力な説に従って赤に変えたのか(実際に赤が有力であるかどうかは知らない)、それとも「青だか赤だか判らないから、両方出しちゃえ~」ということだったのか、どうもよく判らない。ちなみに「1403号機」はほぼ真横から写した写真が残っているが、当然ながらモノクロ写真なので、「何かの色に白縁付きの番号」ということしか判らない。なお、その写真では胴体下面が上側面より淡い別の色で塗られているようにも見えるが、単に波板のせいでそう見えている可能性もある。いろいろ悩ましい。

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