« ソミュアのケグレス(13)――塗装開始 | トップページ | 週末大雨 »

ソミュアのケグレス(14)――塗装(ひとまず)完了

●本日6月30日は、「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」の(1カ月延長された)最終日。

私の参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)は、なんとか以下の姿まで漕ぎつけた。

20210630_161945 20210630_162307 20210630_162229 20210630_16204920210630_162121

実をいうと、前照灯のライトレンズを入れていない!とか、100%完成とは言い難い部分もあるのだが(クロームシルバーがビン底で固まっていて、綺麗に銀を塗れていないため)、とりあえずSUMICON的にはこれで投了ってことで勘弁してつかぁさい。

●全体塗装に関しては、前回述べたように、タミヤの缶スプレー、AS-24「ダークグリーン(ドイツ空軍)」の一発吹き。これにクレオスの「Mr.ウェザリングカラー」のスポットイエロー(こちらがメイン)、フェイスグリーン(こちらはごく少し)でウォッシング。さらに油彩のバートンとアンバーでウォッシング。

あとは、「どんなに(私のような)塗装素人でもこれを使えばなんとか見られるようになる」お手軽兵器、タミヤのウェザリングマスターのAセットとEセットを適当に。これで、単色でも何となく色彩ムラの表情が出てくるとともに、全体的にもやや明るくなる。

とはいっても、塗装手順はきっちり私の中で体系化されているわけではなく、いつもながら行き当たりばったりで、上記の「トッピング」あれこれの順番も適当。かつやり直しもアリ。

●幌の外側は、上記の缶スプレー吹きの後で、タミヤエナメルのオリーブグリーンとレッドブラウン、バフの混色で上塗りした……が、乾いてから見直すと、「ほとんどオリーブドラブのビン生塗装?」。わざわざ混ぜた意味なし。

実際にフランス軍車輛の幌布って何色?という、確実性のある資料等は手元になく(当時のモノクロ写真だと、車体に合わせて迷彩してある例も多いようだ)、ソミュールの展示車輛なども参考に、「なんとなく布っぽくカーキ方向に振ろう」という以外の何の根拠もない。

●細部塗装の(個人的に思うところの)ミソ部分は、30年代のケグレス方式の独特の構造・パターンの履帯の塗り分け。

この履帯はソミュアだけでなく、ユニックやルノーFTケグレス=インスタンあたりともパターンはほぼ同一。残念ながらソミュールのソミュアMGCの実車はなんだか珍妙な流用履帯を履いているが、幸い、ユニックP107はオリジナルの履帯が残っている。以下はwikimedia commons、"File:Unic P107, Musée des Blindés, France, pic-9.JPG"(Alf van Beem)から切り出し加工したもの。

2560pxunic_p107_muse_des_blinds_france_p

布もしきはゴムのベルト式履帯、というのがケグレス方式の特徴のひとつだが、初期のいかにもゴムベルト然としたものと違い、この形式の履帯は、

  • ゴムベルトのベースに
  • 接地面には金属(鉄)製のコの字断面のシュープレートを並べ、
  • さらにその中央にゴムパッドをボルト止め。

という構造になっているらしい。

そんなわけで、作例もなんとなくそう感じられる表現を心掛けた(と、偉そうに言えるほどの塗装ではない)。

まずは全体をゴム色として、フラットブラックにレッドブラウンを混色したものを塗装。さらに接地面は中央のゴムパッド部分を残し、左右の金属シュー部分は、メタリックグレイにレッドブラウンを混色したものを塗装。どのみち、キットの接地面のモールド自体も不確かなものなので、ここで注意深く塗り分けるなどということはせず、あくまで「ざっと塗る」程度。

その後、油彩のアンバーを薄く溶いて足回り全体をじゃぼじゃぼウォッシング。これによって、「自然に塗り分けを誤魔化す」。

ウォッシングがおおよそ乾いてきたら、パステルの赤茶の粉を、細い綿棒の先で金属部分の窪みに、次に黒エンピツの粉を金属部分のエッジに擦り付け、あまり単調にならないよう若干の表情付け。さらにタミヤのウェザリングマスターのグレーやタン系の色でゴムパッドのエッジを目立たせて修了。

せっかく塗ってもほとんど隠れちゃったらもったいないな……などとも思ったが、荷台と履帯とが結構離れているので、合体後も割と見える。

20210630_030157 20210630_162205

●なお、前回、

取り外し-塗装-再固定の過程で、プラペーパーのベルトが切れてしまうのではと心配していたが、なんとか(取り扱い不注意で)一カ所を切っただけで済んだ。

と書いたのだが、その後あれこれ弄り回している過程で、固定ベルトが2カ所切れ、さらに幌前方縦列のベルトの「ベロ」部分が、缶スプレーの基本塗装の被膜で厚く硬くなっていたのが災いして3カ所で折れてしまった。

固定ベルトに関しては裏側で瞬着で固定。前方の縦列ベルトに関しては、折れた部分はバックルも一度削り落とし、再度バックル&ベルトのベロを作り直して再接着した。なお、作り方に慣れが出てきて、ベルトのバックル部分は今度のほうが美しく正確に四角くできた。……この経験、この先に活きることがあるのか?

●追加でさらに数枚のクローズアップ写真。

20210701_005001 20210701_005022 20210701_005059 20210701_005206

1枚目:屋根の「牽引状態表示板」はデカール。デカールストックの束の中から掘り出した、ハセガワ・モノグラム(旧オーロラ)のソッピース・キャメルのデカールシートの国籍マークから青と黄色をそれぞれ切り出して重ね貼りした。なぜそんなシートを持っていたのか――おそらくホビーショーのハセガワブースのジャンクコーナーで買ったのだと思うが、なぜそんなものを買おうと思ったのか自体が謎。シートの端はだいぶ黄ばんでいた。

窓ガラスはタミヤの0.2mm透明プラバンからの切り出し。屋根のひさしの影になっているせいで、フロントガラスは下半分しかないかのように見えるが、実際は上下2枚で、実車は上半分が跳ね上げ式。ドアガラスは左右とも中途半端に引き下げた状態にした。

2枚目:みやまえさんに「人力エッチング」と褒めてもらったSOMUAのエンブレムは、真鍮製という想定で金色に。ただし、明るい色に写っている写真があるのでそうかも?程度の根拠で、銀色とか白とかの可能性もありそう。

3枚目:自作したシャーシ後面は、少なくともキットのパーツよりは「それらしい」見た目ではあると思うが、実際にディテールとして正しいかは不明(今回はそんな場所ばかり)。右のフックは伸ばしランナーからの自作物。左フェンダーのナンバープレートは本来は黒地にトリコロール+番号ではないかと思うが、この大きさに貼れる小さな白数字が今のところ見つけられない。

4枚目:左端縦列の留めベルトのうち、上二つが上述の「いじっている間に折れてしまったのでバックルごと作り直し」の部分。

|

« ソミュアのケグレス(13)――塗装開始 | トップページ | 週末大雨 »

製作記・レビュー」カテゴリの記事

SOMUA MCG5」カテゴリの記事

コメント

ソミュアのケグレス(ソミュア ケグレスでもいいのかな)
制作記を面白くみさせてもらいました。
ライトレンズとナンバープレートデカールがセットできたら本完成ですね。
ゴムゴムのキャタピラーは本物らしく出来上がっていると思います。
半ツヤのボディーがリアルでよいと感じました。

投稿: hirnuma | 2021年7月 1日 (木) 10時40分

完成おめでとうございます!
やっぱ組んでから塗ったようには見えない塗り分けがすごすぎます!ちゃんと別パーツにしか見えない!
私がやったら絶対一体成形品をあと塗りしたってバレバレになると思います!
あとソミュアのロゴの精密感や、ホロのベルトなどの生きた感じ、すばらしいっす!
・・・おでこのはトレーラー牽引中表示器でしょうか。ドイツと共通な文化なんですね。

投稿: みやまえ | 2021年7月 1日 (木) 21時31分

>hiranumaさん

プレートそのものの地のデカール(黒い四角に、小さな三色旗入り)はあるんですけどね。

>みやまえさん

おでこは仰る通り、牽引状態標識です。
今は何にも引っ張っていないので、実際には立ててるのはおかしいんですけれど(一応、ここは可動に作ってありますが)、完成お披露目写真の段階で塗料が剥げたりするとみっともないので、立てたまま写真を撮りました。

投稿: かば◎ | 2021年7月 1日 (木) 23時25分

完成おめでとうございます。

>牽引状態標識
 私がこれについて知ったのは「Panzer Colors II」(1978年刊)の記述でした。また、アハパンの最終回(2005年)で紹介したこともありました。
いずれも古い話ですみません。

投稿: 尾藤 満 | 2021年7月 2日 (金) 21時27分

>尾藤さん

どうもありがとうございます。
フランス車輛のこの標識は、だいたい四角形で青バック付きなんですが、ドイツ車輛、たとえばオペル・ブリッツあたりは三角のみですよね。
ただ、「黄色三角」自体は大陸ヨーロッパで共通なんでしょうか。

(追記)
ちょっと検索してみたら、ドイツ語版のwikipediaに、「Anhängerdreieck」として載っていました。
アンヘンガードライエック、と読めば良いのでしょうか。直訳すれば、トレーラー三角形?

ドイツで規定されたのは1938年4月1日。ドイツ(と、直前に併合されたオーストリア)のほか、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、ソビエト連邦でも同様の規定があり、ただし、ドイツのものは内側からの照明が規定されていたものの、他国の場合は照明無しが多く、また四角や丸の地が付いているものがあった、というようなことが書かれています。現在のEU内でよくあるように、ヨーロッパ共通のものとして定めたということではないものの、一応、お互いに意識しておおよそ同じ感じに定めたというもののようですね。
(でもって、ドイツ語版wikipediaのページには、「フランスでの例」として、ソミュールのソミュアMCG5の写真が載っていました(^^;))

ちなみに多言語間リンクはなかったので、wikipediaの解説はドイツ語版だけのようです。

投稿: かば◎ | 2021年7月 3日 (土) 12時57分

完成おめでとうございます!
なんともそそられる車両ですね。カッコイイ。
また、かばさんの細かい工作が素晴らしいです。
良い刺激を頂きました。

投稿: マクタロウ | 2021年7月 3日 (土) 19時58分

>マクタロウさん

ありがとうございます。
マクタロウさんの緻密な工作にはなかなか及びませんが……。
まあ、とりあえず、「こんな機会がなければずーーーーっと不良在庫のままだっただろうな」というキットを一つ片付けることができてよかったです。

作り始めたときには「うわっ、なんじゃこのポンコツキットは!」とちょっと愕然としましたが、手を入れていくとやはりそれなりに愛着も出てきましたし。

投稿: かば◎ | 2021年7月 4日 (日) 00時47分

「牽引状態表示板」のことですが、牽引しているときとそうでないときの違いは?
ソミュアのケグレスの場合は回転して伏せ状態になるのかな?
UEトラクターにも付いているのですが回転するとは思えず上の傘にライトが内蔵されているのかな?くらいです。バスの行き先表示のようにスルスルと巻き上がって無表示になるとも思えません。どうなっているものが、、。
それにこの表示板は目立つから迷彩効果とは逆なので戦場ではどんなものかと疑問がぐるぐるしてしまいます。

投稿: hiranuma | 2021年7月10日 (土) 10時36分

>hiranumaさん

上のコメントにも書きましたが、本来は、何も牽引していないので倒しているはずです。オペル・ブリッツなどでもそうですよね?

UEの表示板は、倒せるようにも取り外せるようにも見えないので、照明の有無ではないかと思うのですが、確証は有りません。

投稿: かば◎ | 2021年7月10日 (土) 12時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ソミュアのケグレス(13)――塗装開始 | トップページ | 週末大雨 »