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ソミュアのケグレス(11)――細部ディテール・その2

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

(なんだか毎度そんな感じなのだが)最初のうちは調子よく作っているのに、終盤になると息切れし、モチベーションも下がってきてグダグダになるという悪癖のおかげで、せっかく延長された締切も、もう残すところあとわずか(6月末)。

流石にこれはイカンと思い直し、残りの工作を気合を入れ直して進めることにした。

●停滞の一因ともなっていた幌の留めベルトのバックルを作る。

「とにかくベルトだけは作って、バックルから先は別途作って後から貼り付けよう」とだけは考えて先送りにしてきたのだが、そもそも当時の実車のバックルがどんな形状であったかもはっきりしない(クローズアップの写真資料がない)うえ、「バックルから先」に関しても、どう作っていいやら明確にイメージが浮かばなかったのが止まっていた理由。

実物形状に関しては、悩んでいても特に回答が出てくるわけでもないので、適当に作りやすい形状で行くことにする(ちなみにソミュールの現存実車の留め具は片バックル)。いっそ、PassionのKV用エッチング(2輌分ある)に、特に使い道を指定せず「装具品の固定に使ってください」と入っているベルト部品から、バックルから先を切り取って流用することも考えたのだが、これは、すでに付けてしまってあるベルト本体部と微妙に幅が合わない等々の理由で断念した。

比較的簡単な方法から七面倒な方法まで、「さすがにそれは安直過ぎるだろう」「そんなんやってられるかー」などあれこれ検討の結果、以下のような方法で片バックル(らしきもの)を表現することにした。

20210615_213946 20210615_215349

(1).適当な太さの角棒を用意し、細い銅線(モーターをばらしたエナメル線)を巻き付ける。

(2).一辺の真ん中で切り離し、四角いバックルの元になる枠を作る。要するに金属線で小リングを作る工程の丸を角にしただけ。

20210618_234315 20210619_030335

(3).細切りのプラペーパーに通して、片面(裏面)で瞬間接着剤で固定。

(4).片側で切り離してベルトの長さを切り揃え(左上)、さらにベルト先端を尖らせる(右)。

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(5).すでに取り付けてある幌各所の留めベルトに、作った「バックルから先」を、位置を揃えて接着。この時点で、「ちょっと残したベルト先端が長すぎた?」と感じたので……。

(6).ベルト先端の長さを切り詰め、改めてベルト先を舌状に切り、さらにひねったり曲げたりしてちょっと表情を付けた。

●追記。

今回はバックルから先を別に作って後付けする「なんちゃって工作」で済ませたが、この方法で作ったバックル枠を利用して、片バックル式であれば「実際に締めることができるベルト」も製作可能。今回作って余ったバックル枠とプラペーパーのベルトを使って、試しに一つ作ってみた。

20210621_003824 20210621_003715

爪まで作るとなるとさらに一段面倒になるが、ベルトホールを追加する程度であれば、針でつついてなんとなるかも。

●これで残る細部工作は、バックミラー、ラジエーター留め具、ドア上の雨どいくらいになった。この週末には終わらせたい(希望的スケジューリング)。

●以前に書いたように、このソミュアMCG5には以下のバリエーションがあり、さらには以下の用途に用いられた、らしい(原型となったMCG4、発展形のMCLは除く)。

ソミュアMCG5 通常牽引車型(d'accompagnement ):(一応)このキットの仕様。荷台と牽引フックを持つ。105mm野砲(シュナイダー105L Mle.1936)とか155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)、あるいはそれらの弾薬トレーラーの牽引に使用。

ソミュアMCG5 回収車型(de dépannage):荷台後部に簡易クレーン付き。155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)の部隊における砲や車輛の回収、およびM1897 75mm野砲の運用部隊で牽引にも使用。

ソミュアMCG11:車体後部に第五輪(カプラー)を備えた砲牽引専用車。155mm野砲(シュナイダー155C Mle.1917)の牽引に使用。

このキットの通常牽引車型の場合、(これまでは)牽引対象となる砲は高いレジンキットしかなく、回収車型なら新しいIBGの75mmとペアリングできたのにと、ちょっと残念に思っていたのだが……。

なんと、Das Werkから、シュナイダー155mmが発売になるそうだ。製品案内のページはこちら。もっとも、今回発売されるのは木製スポーク車輪付きの(第一次大戦当時のままの)仕様。ハーフトラックに引かせるにはゴムタイヤ付き改修仕様であることが望ましい。そのタイプもいずれ発売されそうな気がするので、その時は作って組み合わせてみたい気も。

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コメント

かば◎さん
素晴らしい工作技術です!
四角いバックルをエナメル線で均一に作ってしまうとは!
それこそ眼から鱗です。

投稿: hiranuma | 2021年6月19日 (土) 23時46分

>hiranumaさん

金具の作り方自体は昔からある定番工作なので、要するに、こういうのは多くの場合、「自分が作ろうと思う物に使えそうな手法を(都合よく)思い出せるかどうか」だと思います。
今回はなんとかそれなりにハマりましたが、個人的には、結構、後になってから「うわ、もっといいやり方があったじゃーん」と思うこともしばしばです。

なお、上に書き足しましたが、今回の手法の応用で、「実際に締まるベルト」も一応は製作可能です。

投稿: かば◎ | 2021年6月21日 (月) 03時03分

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