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ソミュアのケグレス(10)――細部ディテール

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

前回記事から、1カ月以上も間が開いてしまった。締め切り仕事に追われたり、工作上も、どうしたらいいのかなかなかイメージが沸かなかったり、そもそもディテールがよく判らない部分があったり……というのが手が止まった直接の原因なのだが、一度手が止まると、ずるずるとサボり癖が付いてしまいがち。いかんね。

そうこうしているうちにもう5月(一応、SUMICON 2021の締切は5月末)。さすがにヤバイので、気合を入れ直すことにする。

●幌も作って、車輛の全体形はおおよそ出来上がっているので、後はあっちこっちのディテール工作ということになる。

というわけで、まずはシャーシの後端。

キットには当然、シャーシ後面のパーツが入っているのだが、そのパーツは、左右についている荷台への乗り組み用ステップの支柱までの幅しかない。そのため、そのまま付けると、支柱より外側は「レジン打ちっ放し」のシャーシ後端の面が見えてしまう。それはどうにも変に感じたので、後面パーツは新たに作り直すことにする。

問題は、

  • 戦時中のMCG5のシャーシ後面ディテールがしっかり判る写真が(少なくとも私の手元には)ない。
  • ソミュールの実車のwalkaround写真の中には、シャーシ後面が写っているものがあるが、以前に書いたように、ソミュールの実車はキットとは荷台の形状も異なり、レストアの度合いも不明で、シャーシ後面ディテールもそのまま鵜呑みにしてよいか判らない。

ということなのだが、そこでいくら考え込んでも状況が改善するわけでもないので、おとなしくソミュールの実車準拠で作ることにした。下、左写真がキットのパーツままを仮付けしてみたもの。右写真が作り直したパーツ。

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ステップの大きさも、牽引具基部形状もキットのパーツとは全く違い、こうなると、キットのパーツは何を根拠にこういう形状にしたのかが気になる、……いやまあ、気になっても、もう作り直しちゃったわけだけれど。牽引具本体は(これまたソミュールの実車とはちょっと形状が違うのだが)キットパーツをそのまま流用した。

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菱形メッシュのすべり止めパターンのあるステップは、買ってからたぶん30年くらい死蔵したままだった、Lynx製のエッチングを使った。よくある真鍮や洋白ではなく、おそらくステンレス製で、切り出すのに非常に苦労した(ペンナイフの刃が一度でダメになった)。

とはいえ、こんなものをストックしていることすら忘れていたので(最初は「イタレリのI号戦車のフェンダーでも切り出して使うか?」なんて考えていて、念のためにエッチングのストックをひっくり返していて発見した)、ほんの端っこだけでも有効活用できてよかった。問題は、これがあともう一枚あることだ(VOMAGの8.8cmFlaK自走砲のバキュームフォームキットを持っていたので、たぶん、そのデッキに使おうと思って買ったのだと思う)。この先使う機会がまたあるかどうか。

ステップの支柱は単純なL字でなく、途中でわずかに角度が変わっているらしい(単にぶつかって変形した可能性もありそうだが)。強度を考えると金属部品を使いたい部分なのでエッチングパーツの余白を使用。ただしそれでは厚みが足りないので、0.3mmプラバンを貼って厚みを付けた。

●シャーシの前後左右には、いかにもフランス車輛という感じの「ブタの尾」形のフックが付く。……のだが、私のキットには、フックのパーツが3つしか入っていなかった。仕方がないので、1つは自作することにする。

「ものすごく複雑」というわけでもないが、いざ作ろうと思うと面倒な形状で、どうしようかあれこれ考えた結果、結局、次のような手順で作った。

  1. ちょうどフックの太さに合う程度の太めの伸ばしランナーを作成。
  2. そのまま(できればまだあまり冷めないうちに)適度な太さの金属棒に巻き付けて、一巻きのコイル状にする。
  3. 巻き戻りが発生しないよう、沸騰するやかんの湯気に当てて形状を固定。
  4. 適当なところで切断し、先端を削って尖らせる。
  5. 根本側も削ったり潰したりしてシャーシへの固定部を作成。
  6. リベットを追加。

もっとも、ちょうど合う太さのアルミ線(曲げ・削りしやすい)があれば、そのほうがずっと製作は楽だったと思う。

20210411_211726 20210501_042526

左写真はキットのパーツと、上記手順の(4)の段階の自作パーツ。右写真はシャーシ後端に取り付けた状態。

なお、このフックの製作中に気付いたことだが、

  • キットのフックは前部用と後部用が同一形状だが、ソミュールの実車は前部と後部とで形状が異なる。前部フックはブタの尾状というよりは、もっと単純なJ字に近く、後部はブタの尾状だが基部形状がもうちょっと凝っている。ただし、ソミュールの展示車輛とは別車輛のレストア中の実車で、キットのフックとほぼ同形のものを前部に付けている例は確認できる。
  • キットの指定(そしてソミュールの実車)では、フックは「下から上に巻き上がる」形で付けるようになっているが、「上から下」で付けている例もある(多連装迫撃砲搭載の改造車輛)。

結局「何が何やらよーわからん」なので、おとなしくキット準拠で作ることにする。方針一定してないなあ。

●足回りの追加工作。

しばらく前まで、誘導輪軸はランナーの挿しっ放し、転輪ボギー軸部分も穴開きのままで放置してあったが、工作を追加して仕上げる。

誘導輪軸は、挿してあったランナーを切り詰め、基部の板と、軸端のボルト頭を工作。ボルト頭は都合の良い大きさの流用モールドが見つからなかったので、プラ棒を六角形に削った。

転輪ボギー軸部分は、工作の都合上貫通させてしまった軸穴と表面のモールド位置が一致しておらず、どうしようかちょっと迷ったが、結局(この期に及んで)表面のモールドを一度削り落とし、八角形の座金部分から作り直した。プラバンを小さな正八角形に切り出すというのが面倒くさい(下写真右側の灰色部分)。

実はソミュールの現存実車では、この軸部分の中心に丸+十字の切れ込みの穴が開いていて、その表現をどうするかで試行錯誤して、なかなかうまく行かずに頭を抱えていたのだが、改めて戦時中の実車写真を見ると、どれもそんな穴など開いていなかった。

どうやら、ソミュールの実車は外側のカバーか何かが外れているか、それともレストアの結果で別形状になっているらしい。というわけで、改めて丸く切り抜いたプラバンを貼って終了。それにしても、直径数ミリの丸を切り出すのは、これもそこそこ面倒。私はロットリングの円定規を使って、針でケガいて切り抜いているのだが、他の皆さんはどうしているんですかね? WAVEだったかで、小円切出し済みプラバン/多サイズ詰め合わせみたいな商品も売っていた気がするが、特定のサイズだけ使って他が盛大に余りそうな気もする。

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コメント

かば◎さん
直径数ミリの丸を切り出すのは?
ロットリングの定規で罫書き抜きは新鮮な感じです。

私が行なっっているのは順不同ですが
①プラ房や伸ばしランナーをスライスしてヤスリで平滑にする
 ※TRUSCO(トラスコ) ミニチューブカッターを使う手もあり
②オルファのサークルカッターで切り抜く
③カールのクラフトポンチで打ち抜く
④打ち抜きポンチを使う(各サイズを用意する)
⑤プラ板を円弧に近くカットして指先で摘んでヤスリがけする
 ※これはサイズにもよりますが案外できるもので数個までなら有効です。

投稿: hiranuma | 2021年5月 5日 (水) 20時10分

>hiranumaさん

サークルカッターで数ミリまで対応できるものがあるのは朗報です!
型番等教えていただけますか?

以前、極小の円も切り出すことができるという売り文句のサークルカッターを購入したんですが、これはガタツキがあって(少なくともプラバン切り抜き用には)全く使い物になりませんでした。

http://kabanos.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/code-vs-40.html

ちなみにポンチは数サイズなら手元にあります(が、今回必要だった2.5mm径は持っていませんでした)。

投稿: かば◎ | 2021年5月 5日 (水) 21時24分

[オルファ:OLFA ラチェットコンパスカッター]をアマゾンで検索してみてください。
私が使っているものと進化しているみたいです。
2.5mmは限界値だと思います。
サークルカッターで切れるか?
何度か試す必要があると思いますがトライ!
写真が見つからないのですが小さい径を切るために使うのでサークルを大きく使う出っ張りは切ってしまってます。使うと分かるのですがこれが長いとスイングして使いづらいのです。
カールのポンチは、径が合えば使えます:1.8 2.0 4.7 4.8 6.0 6.3を所有しています。
※1.8 2.0はスマイルポンチ

投稿: hiranuma | 2021年5月 5日 (水) 21時56分

かば◎さん
先の投稿を訂正
私が持っているのは古いタイプのせいかもっと大きいサイズ:10mmでした。
新型は直径1.6mmとあるので使ってみる価値はあるかもしれません。

投稿: hiranuma | 2021年5月 5日 (水) 22時05分

何度もごめんなさい。
1.6cmなので対応無理です。
ポンチかプラ棒スライスが現実的です。

投稿: hiranuma | 2021年5月 5日 (水) 22時08分

オルファのサークルカッターは、ラチェット式ではないですが使っています。
最少半径が5mm(直径10mm)なので、使い勝手の良し悪しは別として、円を切る性能自体は一緒ですね。

大きい円を切る時に使っていますが、今回のような場合にはちょっと。

投稿: かば◎ | 2021年5月 5日 (水) 22時43分

わたしならまずボギーに2.5mmのあなを開けて、2.5mmのプラ棒を挿して接着後におおまかに切り取って、しかるのち欲しい厚さまで削るのですが、
わたしの作ったのって雑なんで、参考になりませんな・・・トホホ・・・

投稿: みやまえ | 2021年5月 6日 (木) 20時33分

モデラーズの「切れているプラ材セット」だと思いますが,現在は入手困難でしょう.

投稿: 青木伸也 | 2021年5月 6日 (木) 20時46分

>みやまえさん

ああ、その方法が取れる場所なら、私もそうしたかも……。
ただ、ここはそもそも転輪ボギーの軸としてアルミパイプが埋まっていて、しかもそれがきっちり中心に来ていないのです。そこに2.5mmの穴を掘り直すのは、かなりの大工事になってしまいます。
実はもともと、ここにはちゃんとボギー軸終端部のモールドがあったものを、足回りの組み立てをやりやすくするために穴を開けて潰しちゃったのは自分なんですが。

投稿: かば◎ | 2021年5月 7日 (金) 04時33分

>青木せんせ

え。あれ、なくなっちゃったんだ!

投稿: かば◎ | 2021年5月 7日 (金) 04時33分

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