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ソミュアのケグレス(8)――キャビン周り・その4/荷台

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

●キャビン工作の続き。

キャビンはすっかり組み立ててしまうと足元部分がうまく塗れなくなってしまうので、どうしようかあれこれ考えた結果、前後左右の4面を組んで、床に着脱可能ですっぽりかぶせることができるようにした。ここで屋根も付けてしまいたいところだが、そうすると窓ガラスが入れづらくなるので、こちらも未接着。

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▼一応キャビンの形がフィックスできたので、屋根の第二次切削工作。フロントガラスより前の「ひさし」部分を下方に追加するとともに、全体形も若干削り直した。

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キットの屋根パーツでは、ひさし部分の下端ラインは地面と平行になっているのだが、現存実車の写真を見ると、どうも前に向けて傾いている感じだったので、そのように工作。

平面形は、ややドアのラインとフィットしておらず、前方に向けてもう少し絞り込まないといけないようだ。もっとも、この後ドア上には細く雨どい(?)が付くので、あまり厳密に段差を解消する必要はない。

▼ドアに蝶番を追加。

エバーグリーンの0.65mm径(たぶん)の丸棒を(例によっていい加減な治具を作って)同じ長さに切って、左右3カ所ずつに接着。およびその段階での(恒例の)仮組写真。

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実を言えば、実車の蝶番は軸部分が継ぎ目にぴったりくっついておらず、わずかに外側に飛び出た感じになっているのだが、そこまで細かく工作すると、6カ所の形と位置を揃えるのが面倒になってくるので、手を抜いた。というわけで、現状では「そこに蝶番がある」という記号的表現にとどまっている。タミヤのロレーヌのサス・スプリングを「記号的表現だ」と批判しておきながら、このザマ!

仮組写真は前回とほとんど変わりがないが、少なくともちょっと揺らしたらすぐにキャビンが崩壊するような、トランプタワー状態(もちろん元大統領所有のビルではなく)ではなくなった。

キャビン周りのディテールとしては、他に方向指示器や屋根上の牽引状態表示板などがあるが、その辺は追々。

●キャビンの基本形は山場を越した感じなので、荷台にも手を付け始める。

荷台に関しては、初回でも触れたように、ソミュールにある現存実車とキットでは基本形状そのものに違いがある。キットのような仕様(床中央が窪んだ逆凸型)とソミュールの実車の仕様(床面がフラット)の両方があったのか、キットが正しくソミュールのものは誤ったレストアなのか、あるいはキットが間違っているのか――そのへんをきちんと判断するには資料不足で、とりあえずはおとなしく、キットの仕様に従うことにする。

▼キットのパーツ構成に従えば、荷台の後部の床中央にはウインチ(たぶん)がある。こんな場所にウインチがあったら、人が乗るにも荷物を載せるにも邪魔臭くて仕方がないと思うのだが、それでいいのかフランス人。

といっても、前述のように積極的に存在を否定する材料もないので、その通りに組むことにする。ただし、キットのウインチ・ドラムのパーツは平面形が(型ズレで)きちんと丸くなっていないので、両端をヤスってから丸く切り抜いたプラバンを足して、とりあえずパッと見は丸く見えるよう修正した(ドラムの胴の部分はきちんと円筒になっていない)。またこれが本当にウインチであるなら、フック付きワイヤーとかが巻かれていて然るべきだとも思うが、その辺も資料不足でよく判らないので放置することにした。

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ちなみに、キットのシャーシにはちゃんとこのウインチ・ドラムに接続する位置にギアがあり、駆動系が接続している。ソミュールの現存実車に、そのギアボックスはないが、ギアボックスに繋がるシャフトらしいものが中途まである。

▼キットには幌パーツは付属していないが、実際には、後部荷台の幌は掛かっているのが常態のようだ。手元にそれほど多数の当時の写真があるわけではないが、幌無し状態のものは、キャビン屋根の形が違うタイプで2枚しか見つけられなかった(うち1枚は、どうやら熱帯地での使用)。というわけで、「面倒くさいなー」などと思いつつも、珍しく幌など作ってみることにする。

悩ましいことに、写真に残っている幌の形にバラツキがあって、どれが標準の形状なのかがよくわからない。とりあえずは、キャビン/荷台の形状がキットと同じと思われる、“L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM 1939-40”、p209の車輛におおよそ従うことにする(同じ車輛の各方向からの写真があるわけではないので、あくまでおおよそ)。幌内部に関してはソミュールの実車を参考にするが、これは幌の形が微妙に違うので、あくまで参考程度。

ただし、前述のように幌の形にバラツキがあると言っても、全体の形状が、よくある「数本の横骨に帆布を掛けたもの」ではなく、縦方向にも多数の骨があって、ガッチリと形状を保持している――ガチガチの矯正下着入りというか、一言で言うと「クリノリン・スタイル」であることは共通している。さすが「おフランス」、オシャレざます(そうか?)。

そんなわけで、これまた「プラバン組み」で基本形状を作ることにする。

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基本材料は1mmプラバン。屋根部分は4mm幅に切ったものをスダレ状に並べて製作。おおよそ形状が出来上がったものは以下。

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後面は巻き上げた状態に作るつもりなので、現在は全開放状態。この後、若干の凹凸を付けるとか、上から薄いプラバンやプラペーパーを貼るなどして、ディテールを付けていく予定。

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コメント

0.65mmを均等に切る治具
いいですね〜、単純素朴でマネします。
幌なんかもきちんと均等に分割されたプラ板が組み上げられ
昔の漫画本の付録を思い起こします。
整然とした幌をどう料理して仕上げるか興味あります。

投稿: hiranuma | 2021年3月12日 (金) 20時54分

ソフトスキンを作っても、展開した幌を作ったことはないので、さて、この先どうしようか、という感じです。

投稿: かば◎ | 2021年3月14日 (日) 15時32分

ウインチが荷台の中央にあるなんて.... 動力の回転軸の変換から考えれば一番簡単なのでしょうけど。
そこに七輪を置いて秋刀魚を焼くのにちょうど良さそうな位置ですね。
回転機構を活かしてシシケバブのキッチンカーに改造もできそう!

投稿: hn-nh | 2021年3月16日 (火) 12時11分

>hn-nhさん

ドネルケバブの屋台がこの車で出ていたら足繁く通いますよ、私(笑)。

でも、出入り口で肉が回っていたら、やっぱり出入りしにくくてしょうがないですね。

「配置的に都合がいい」ということであれば、そもそも荷台の床を「逆凸」にせずにフラットにすれば、ドイツのハーフトラック同様、同じ位置でウインチが床下になってうまく収まるんじゃないかと……。
っていうか、ソミュールの実車は床がフラットなんですけどね。
キットの形状、大ウソだったらどうしよう……。

投稿: かば◎ | 2021年3月16日 (火) 16時51分

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