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2021年3月

ソミュアのケグレス(9)――荷台・その2

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

なんだかそろそろ息切れしてきた感もあるような、ないような。でもまあ、リタイアはしないよう頑張りたい。

●とりあえず、現状の仮組写真。荷台に幌が付いて、おおよそ、全体形はこれで整った感じ?

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●前回からの進捗は、主に幌の造形。

1mmプラバンで幌の基本形を「箱組み」したところまで前回書いたが、完成後(覗き込まないとほとんど見えないとはいえ)「いかにもプラバンをバタバタ貼り合わせました」的な内部が見えてしまうとちょっと情けないので、プラ材で「クリノリン」風の細かい幌骨を入れた。

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ソミュールの実車の場合、前後方向の骨はすべて板材なのだが、当時の実車の幌写真を見ると、屋根部分はもうちょっと角が出ている感じがしたので、屋根は丸棒、側面だけ板材にした。当時の幌内部の写真は(少なくとも私の手元には)ないので、幌骨の密度などはソミュール実車を参考にした(これも正確ではなく適当)。

後面の巻き上げた幌は、エポパテで捏ね上げるか、実際にティッシュなどを丸めて作るかするのが一般的な気がするが、前者は不得意だし(そもそも我が家にパテの在庫がないし)後者は幌の他の部分とのテクスチャを合わせるのが面倒な気がしたので、これまたプラバン積層から削り出した。

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写真はまだ削っている途中の写真で、この後に左右を一度切り離したり、シワを彫り足したりした。

幌は荷台に若干かぶさる形に装着されるので、前面・側面は、基本形の上から0.3mmプラバンを貼り増した。前面が黄色のプラバン、側面がグレーのプラバンなのは特に深い意味は無し。ただ、前面はおおよそキャビンに隠れるので適当でいい一方、側面はそこそこ表情を付ける必要があり、グレーのプラバン(WAVEの方眼プラバン)は柔らかめなので、シワを掘るのが楽そうと思ったのも一因。

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何枚かを合わせてある幌布の段差を表現する必要もあったので、幌の上面には薄い(0.1mm?)のプラペーパーを貼り増しすることにし、その幌骨表現を付けるために、天井には伸ばしランナーを貼った。

幌布同士や、幌と荷台の止めベルトはプラペーパーで追加。荷台への接続は、荷台の枠に通したロッドにベルトを通す仕組み。ロッド自体は0.5mmの金属棒を使ったが、荷台の枠の穴開けは、ドリルの刃が両側2本までしか届かず、中央の枠はロッドの金属棒自体の先を少し研いで、ドリル代わりにグリグリして開けた。本物のドリルほどではないが、レジン程度の硬さ(しかもこの程度の厚み)なら、それほど苦労無く穴開けできる。

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上面と側面の幌布は、ソミュールの現存実車(およびいくつかの実車写真)では、前面と側面同様に、相互の幌布をまたいだ形の止めベルトで繋がっているのだが、作例のお手本とした車輛(“L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM 1939-40”、p209)ではそうなっていない。クローズアップ写真などないので詳細が判らないのだが、とりあえず「なんとなくこんな形?」みたいなディテール工作を施した。いい加減だなあ。

「謎留め具」の先端は何かループのようなものが付いているようだったので、極細の金属線を(下地に穴を開けて通して)再現した。裏側にシッポがちょっと残っているが、どうせ出来上がってしまえばほとんど見えないので放置。

表面のシワはプラバンの上から少し彫り込んで表現した。実際にはもっと「引っ吊りシワ」などあったほうがそれらしいのだが、もともと割とピンと張って張られている幌で、それなりにシワを多く彫ると、今度はその下のフレームに張り付いた部分の表現も必要になってくる。あちこち留め具があるので、自然な「引っ張り方向」も難しい。これ以上シワをつけようがない上面とのバランスの問題もあるので、あまり深入りしない方が無難かも。

幌の前面と側面、側面下と荷台、それから後面の巻き上げた幌、それぞれの止めベルトにはバックルが付くが、それに関しては今後追加の予定。どんな方法で(できるだけ楽に)バックルを表現するか、なお考慮中(というか思い付いていないので手が止まり中)。

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「JEEP JEEP JEEP」

20210321_191927 ●数日前、ネット経由で、大塚康生先生の訃報を聞いた(3月15日逝去)。

もちろん、大塚康生と言えば、宮崎駿と並んで(というか組んで)日本のアニメの現在の隆盛の礎を作った人であるのだけれど、我々モデラーからすると、「ミリタリーヴィークルマニアの草分け」であるとともに、伝説のメーカーMAXの製品監修初め、模型開発においても特筆すべき足跡を残した人。

私自身は、親しくお話をするといった機会はなく、モデラーの集まり等で何度かはお会いして、ご挨拶程度はしたことがある、くらい。ただ、そういう場で、「ものすごく楽しそう」という雰囲気が伝わってくるのが、非常に印象的だった。

旧MAXの製品に関しては、実際に新製品としてそれが出ていた時代には、「何か、かなりこだわっている、すごいキットだそうだ」という話は伝わっていたものの、例にもれず(当時は)ドイツ軍車輛一辺倒だった私はスルーしてしまった。その後、トミー版やイタレリ版で1,2種手に入れ、さらに中古品で、確かダッジの6輪はオリジナルのMAX版を(何かのはずみで)入手してストックしているが、どれも完成させたことがないので、あまり大きなことは言えないけれど。

ご冥福をお祈りいたします。

●個人的には、「大塚先生といえばコレ」とまず思い出すもの、および実際に役に立たせていただいているものが、上に表紙写真を出した一冊。ホビージャパン別冊で1983年に発行された(今奥付を見て確認した)、「JEEP JEEP JEEP ―ウィリスMB、フォードGPW写真集」、大塚康生 編。「1」と書いてあるからには、うまく行けば続編も出してやろうという予定もあったのだろうと思う(もしも出たらどんな内容になっていたのか、というのも気になる)。

実際に大塚先生がどれだけ編集に関わっていたかはよく知らないが、マニアックな視点でウィリスMB/フォードGPWについてまとめていて、「写真集」と表題にはあるものの、その開発や使われ方、仕組みなどもくまなく勉強できる。要所に、ジープの性格をよく表した大塚先生のイラストが挟まれているのも素敵。マンガ(アニメ)調のイラストだけでなく、「ジープが町にやってきた―終戦時14歳の画帖から」(平凡社ライブラリー)に載っていたような、昔のスケッチの転載もある。「軍用車輛少年」だった大塚先生の面目躍如。

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連合軍車輛(特にアメリカ軍車輛)にあまり興味がなかったはずの私が、なぜこの本はたまたま入手したのか、今では思い出せないのだが、「よくぞ確保した!」と過去の自分を褒めておきたい。なにしろ「日本語で読めるジープの内容の濃い一冊本」なんて、これ以降も(たぶん)出ておらず、古本市場にも滅多に出回らない(出てもえらく高い)。

●最近のあれこれ。

10日ほど前、鎌倉の県立大船高校の近くにある「長窪の切通」に行ってきた。「古道」とか「切通」とか「変なトンネル」とかにはついつい野次馬根性で惹かれてしまう私だが、割と最近まで存在を知らなかったもの。

鎌倉の切通と言えば、古都鎌倉とその周辺の出入り口にあたる「鎌倉七口」が有名だが、もともと細かく尾根と谷戸が入り組んだ鎌倉近辺には他にも小隧道や切通が数多い。大船高校のあるあたり(高野)は古都鎌倉を囲む山の外側で、外側でも歴史のある山ノ内からもさらに外れた地区だが、おそらく、古い生活道路だったと思われる切通が2カ所も残っている。どちらも、尾根を横切るために開削したというよりは、現在大船高校がある高台への上り下りが容易なように、細い尾根筋の道を均す目的で掘ったらしいもの。

この2カ所の切通はGoogleMapsにも記載されていて、東側のひとつ、熊野神社の裏手の尾根を大船高校の裏に上る切通には「高野の切通し」、西側の高野公園の横手を上る切通には「長窪の切通し」と表示されている。

不思議なのは、呼び名にどうも混同が見られるらしいことで、鎌倉市役所サイトの「かまくら景観百選」に取り上げられている「31 高野の切通」は、記されている住所(高野4-4地先)からみて、GoogleMapsの「長窪の切通し」のほう(GoogleMapsの「高野の切通し」は住所が「大船」になる)。どちらかが間違えているのか、それとももともと適当なのかはよくわからないが、とにかく、今回見に行ったのは西側のほうの切通。

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今回は北鎌倉側から歩いた。1枚目写真は北鎌倉駅裏の道を大船方面に進んで、どん詰まりにある素掘りの隧道。この隧道も「かまくら景観百選」に「34 素掘りのトンネル」として取り上げられている。2~3枚目が今回目当ての切通。こうして写真に撮ると勾配がよく判らないが、2枚目写真は坂になっている切通の上側から下りを撮ったもの。2枚目は半ば,3枚目は出口近くから振り返って上り坂を撮ったもの。

最後の一枚は、切通を通って下の谷戸に抜け、振り返って出口を撮ったもの。左は「高野公園」の入り口で、右の住宅脇が切通。こんな感じなので、大船側から行こうと思ったら簡単には見つけられなかったかもしれない。

切通の多い鎌倉だが、この狭い道を、これだけ切り立った、垂直に近い両岸で掘り下げているのはちょっと珍しい気がする(朝夷奈切通の、峠を越えた横浜側に短距離だが似たような切り立った部分があるが)。まるでBTM-3を使って掘ったような!(判りにくい例え)

これだけ綺麗に切り立った崖面が残っているということは、この切通自体、それほど古いものではないのだと思うが、主要な街道などではないのでネット上で調べてもしっかり来歴などは出てこない。

20200224_165852 ちなみに東側の、熊野神社裏手の切通は、以前に2度ほど通ったことがある(その近くになかなか素敵なトンネルがあるので)。切通自体は、今回行ったものよりも、もうちょっと「開放感」のあるもの。写真は昨年2月撮影。

●春先のフキノトウの季節はとうに過ぎて、そろそろ他の春の山菜が出始める頃。

どうも天候の具合とか、草刈りのタイミングとかの問題で、ノビルは年によって出来・不出来の波が非常に大きいが、今年は、例年アテにしている場所がほぼ全滅状態。ひよひよと細っこい物しか生えていない。

一方で、アケビは毎年わさわさと生え放題で、今年も花が咲き始めるとともに芽も伸びてきたので、先週中ごろに初収穫。それから立て続けに3回ほど収穫した。

例によって、さっと茹でて「アケビ特盛たまごご飯」にして食べる。アケビの芽だけ辛子マヨネーズなどで食べるのもいいが、やはり生卵との相性が一番いい気がする。そうこうしているうち、「全然ダメ」と思っていたノビルも、ちょっとまともに生えている場所を見つけたので少々収穫。こちらは根の部分は出汁で漬けて、葉の部分はチヂミ(パジョン?)にして食べた。ノビルのチヂミだから「ノビチヂミ」?

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ソミュアのケグレス(8)――キャビン周り・その4/荷台

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

●キャビン工作の続き。

キャビンはすっかり組み立ててしまうと足元部分がうまく塗れなくなってしまうので、どうしようかあれこれ考えた結果、前後左右の4面を組んで、床に着脱可能ですっぽりかぶせることができるようにした。ここで屋根も付けてしまいたいところだが、そうすると窓ガラスが入れづらくなるので、こちらも未接着。

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▼一応キャビンの形がフィックスできたので、屋根の第二次切削工作。フロントガラスより前の「ひさし」部分を下方に追加するとともに、全体形も若干削り直した。

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キットの屋根パーツでは、ひさし部分の下端ラインは地面と平行になっているのだが、現存実車の写真を見ると、どうも前に向けて傾いている感じだったので、そのように工作。

平面形は、ややドアのラインとフィットしておらず、前方に向けてもう少し絞り込まないといけないようだ。もっとも、この後ドア上には細く雨どい(?)が付くので、あまり厳密に段差を解消する必要はない。

▼ドアに蝶番を追加。

エバーグリーンの0.65mm径(たぶん)の丸棒を(例によっていい加減な治具を作って)同じ長さに切って、左右3カ所ずつに接着。およびその段階での(恒例の)仮組写真。

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実を言えば、実車の蝶番は軸部分が継ぎ目にぴったりくっついておらず、わずかに外側に飛び出た感じになっているのだが、そこまで細かく工作すると、6カ所の形と位置を揃えるのが面倒になってくるので、手を抜いた。というわけで、現状では「そこに蝶番がある」という記号的表現にとどまっている。タミヤのロレーヌのサス・スプリングを「記号的表現だ」と批判しておきながら、このザマ!

仮組写真は前回とほとんど変わりがないが、少なくともちょっと揺らしたらすぐにキャビンが崩壊するような、トランプタワー状態(もちろん元大統領所有のビルではなく)ではなくなった。

キャビン周りのディテールとしては、他に方向指示器や屋根上の牽引状態表示板などがあるが、その辺は追々。

●キャビンの基本形は山場を越した感じなので、荷台にも手を付け始める。

荷台に関しては、初回でも触れたように、ソミュールにある現存実車とキットでは基本形状そのものに違いがある。キットのような仕様(床中央が窪んだ逆凸型)とソミュールの実車の仕様(床面がフラット)の両方があったのか、キットが正しくソミュールのものは誤ったレストアなのか、あるいはキットが間違っているのか――そのへんをきちんと判断するには資料不足で、とりあえずはおとなしく、キットの仕様に従うことにする。

▼キットのパーツ構成に従えば、荷台の後部の床中央にはウインチ(たぶん)がある。こんな場所にウインチがあったら、人が乗るにも荷物を載せるにも邪魔臭くて仕方がないと思うのだが、それでいいのかフランス人。

といっても、前述のように積極的に存在を否定する材料もないので、その通りに組むことにする。ただし、キットのウインチ・ドラムのパーツは平面形が(型ズレで)きちんと丸くなっていないので、両端をヤスってから丸く切り抜いたプラバンを足して、とりあえずパッと見は丸く見えるよう修正した(ドラムの胴の部分はきちんと円筒になっていない)。またこれが本当にウインチであるなら、フック付きワイヤーとかが巻かれていて然るべきだとも思うが、その辺も資料不足でよく判らないので放置することにした。

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ちなみに、キットのシャーシにはちゃんとこのウインチ・ドラムに接続する位置にギアがあり、駆動系が接続している。ソミュールの現存実車に、そのギアボックスはないが、ギアボックスに繋がるシャフトらしいものが中途まである。

▼キットには幌パーツは付属していないが、実際には、後部荷台の幌は掛かっているのが常態のようだ。手元にそれほど多数の当時の写真があるわけではないが、幌無し状態のものは、キャビン屋根の形が違うタイプで2枚しか見つけられなかった(うち1枚は、どうやら熱帯地での使用)。というわけで、「面倒くさいなー」などと思いつつも、珍しく幌など作ってみることにする。

悩ましいことに、写真に残っている幌の形にバラツキがあって、どれが標準の形状なのかがよくわからない。とりあえずは、キャビン/荷台の形状がキットと同じと思われる、“L'AUTOMOBILE SOUS L'UNIFORM 1939-40”、p209の車輛におおよそ従うことにする(同じ車輛の各方向からの写真があるわけではないので、あくまでおおよそ)。幌内部に関してはソミュールの実車を参考にするが、これは幌の形が微妙に違うので、あくまで参考程度。

ただし、前述のように幌の形にバラツキがあると言っても、全体の形状が、よくある「数本の横骨に帆布を掛けたもの」ではなく、縦方向にも多数の骨があって、ガッチリと形状を保持している――ガチガチの矯正下着入りというか、一言で言うと「クリノリン・スタイル」であることは共通している。さすが「おフランス」、オシャレざます(そうか?)。

そんなわけで、これまた「プラバン組み」で基本形状を作ることにする。

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基本材料は1mmプラバン。屋根部分は4mm幅に切ったものをスダレ状に並べて製作。おおよそ形状が出来上がったものは以下。

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後面は巻き上げた状態に作るつもりなので、現在は全開放状態。この後、若干の凹凸を付けるとか、上から薄いプラバンやプラペーパーを貼るなどして、ディテールを付けていく予定。

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ソミュアのケグレス(7)――エンジン・ボンネット

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記。

ドアの作成と並行して、エンジン・ボンネット周りもいじっていたので、そちらも続けてUPしてしまうことにする。なんだかアニメの「2話一挙放送」みたいな。

●キットのエンジン・ボンネットは、前面のラジエーターから上側面までゴロンと一体成型。モールドは、ラジエーター前面の筵(むしろ)のような表面が細かく再現されているのは高く評価すべき点で、もしここが縦線だけでのっぺりした表現だったりしたらと思うと、ちょっとコワイ。

が、それ以外に関して言うと側面のルーバーは不揃いだし、ディテールは大味だし、原型工作時の削りや接着の跡などもなんとなく見えて、ソフトスキンの繊細さには不足している感じ。というわけで、ちょこちょこと細部のディテールを追加し、少しは繊細さを"窺わせる"ことを目指してみる。具体的には、

・ボンネット上側面の「縁」は、板金を折り返し加工しているのか、チューブ状になっているので、伸ばしランナーを削ってカマボコ断面にして貼り付けた。

・ボンネット上面中央の蝶番は、両側に細くベロがあるようなので、プラペーパーの細切りを貼った。

・ラジエーターの枠部前面は、キットはのっぺり一つの面になっているが、実際には段差があるのでプラバンを貼ってからヤスって薄くして再現。それに対応して枠部側面にも筋彫りを入れた。

・ラジエーター枠部前面下部には左右三カ所ずつ、ワッシャー付きネジ頭があるようなのでこれを追加。ただし、大きさ的に都合がよく移植したのはタミヤのヴェスペの起動輪ハブキャップのワッシャー付きナットで、やや突出が目立ち過ぎだったので取り付け後に若干頭をヤスった。なお、接着時に瞬着で一発でズレなく、周りを汚さずに付ける自信はなかったので、事前に接着位置にドリルで穴を掘り、プラ棒を埋めて「のりしろ」とし、通常のスチレン樹脂用接着剤でネジ頭(のつもりのナット)を付けた。

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・ボンネット側面板下部4カ所にある留め具(フック)は、実車とだいぶ形(というより状態)が違う。上端にリングが付いているのは実車同様だが、実車では扁平なリングの端にあるツメをボンネット側面板にある金具に引っかけるようになっていて(形状は違うが、仕組みは米軍のジープのボンネットストッパーと同じ)、引っかけたときに、輪は側面板に対し垂直に立つ形になる。キットのように横にべったり寝てしまうことはあり得ない。

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問題はそのリングをどう作るかだが、結局、0.5mmのアルミ線で一度リングを作ってから潰して扁平にした。形がやや不揃いだが、どうせこの大きさなら、付けてしまえば判らないって(適当)。

なお、このアルミ線は、以前にI号戦車A型を作った際、第一転輪のスプリングを作るのに買ったもの。加工するのに柔らかくて扱いやすく、しかし小さなもの向けなら十分な硬さもあるので、意外に重宝する(前回のドア内側のコの字の取っ手も、このアルミ線で作った)。

・ラジエーター前面には、「SOMUA」のロゴ・エンブレムが付く。当初は「取れちゃったことにしよう」などとも思っていたのだが、さすがにこれだけ自己主張が激しいエンブレムは、ないと点睛を欠く感は否めない。たぶん実物は真鍮製か何かだと思うので、真鍮エッチングで作れれば言うことなしなのだが、さすがにこれ一つだけのためにエッチングを製作するのは手間もコストも許容範囲を超えるので、プラバンから切り出すことにする。

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ナイフ、エッチングソー、ヤスリなど駆使してなんとか彫り上げたが、特に「S」字の上の隙間は外周からアクセスできないので難しく、結局、Sの中心のナナメ棒が細くなってしまった。

●というような工作を経て、ボンネット周りのbefore/afterが以下。

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ラジエーターとシャーシを結合する左右のディテールを除いては、この部分の追加工作は終了(のはず)。

●恒例、現状パーツによる仮組み。キャビン周りはなお若干のすり合わせが必要な感じで、一度マスキングテープなどで止めて、もっときちんと仮組みしてみるべきかも。

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ソミュアのケグレス(6)――キャビン周り・その3

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。

●ドアを作る。

先述のように、キットのドアは真っ平らだが、実車のドアは緩やかに外側に向けて膨らんだ形状をしている。

どれくらいの膨らみ具合かは、先日削った屋根との現物合わせで決めたが(要するに適当)、端と中心との差がおおよそ1mm弱。つまり、1mm厚のプラバンを円弧断面に削れば、ほぼぴったり収まることになる。

窓をくり抜いてから削るか、削ってからくり抜くかは少々考えたが、くり抜いてから削ると窓枠部分と下部とで削り具合が不均等になりそうだったので、窓は後から開けることに。ただしゲージとして、あらかじめ窓部分を抜いた0.3mm方眼プラバンを裏に貼り合わせて(端部の厚みを保持する目的も兼ねて)、その後ゴリゴリと削る。下左写真は、右が削る前の下準備状態。左がおおよそ外形を削り終えた状態。

屋根と違って目安となる等高線などはないが、横から光を当てるなどしてカーブの具合を確認しつつ削り、おおよそ満足のいくカーブが仕上がったら、裏の方眼プラバンに従って窓を開ける。

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その後、ディテールを追加、フェンダーに合わせた下部の切り欠きも加工した。

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表側のレバーと裏側の窓ガラス上下用のハンドルはキットのドアパーツのモールドを移植。レバーの位置は、実車ではだいぶドアの端寄りのようなので、キットのモールド位置よりも外側に寄せて接着した。

裏側のレバーはキットにモールドがなく、コの字の取っ手は片方のドアにだけあったが(もう片方は成形不良で欠落)、そもそも形もよくなかったので、新たに製作した。新しく作った裏側のレバーは表側のレバーよりだいぶ低く、小さめになってしまったが、これは製作途中で仮組みしてみたら、表と同じ大きさで作ると椅子の背と干渉することが判明したため。実車はたぶん同じ形/同じ大きさだと思う。

また、実は取り付けてある高さも表より若干高くズレているのだが、これは帯状の凸部を深く考えずにキットパーツに合わせた幅で作ってしまったせいで(レバーはその凸部の下端近くにある)、本当は凸部をもうちょっと幅広に作るべきだった。実を言えば、窓ガラスの開閉ハンドルも、もう少し内側寄りが正しい。これもキットのモールドに無批判に従ってしまったせい。わざわざ鉛筆で十字に取り付け位置を記入してあるのがちょっと侘しい。

というわけで、ディテール的にはいい加減で、「まあ、内側にはそういうディテールがあるんですよ」という存在証明程度にしかなっていない。が、面倒なので作り直さない。はっはっは。私にそれほど高度かつ厳密な工作を求めてはいかんよ。

●もちろんドアを作ったら「はい、キャビンは終わり!」というわけにはいかず、各部をきちんとフィットさせる必要がある。そもそもキットのドアパーツは寸法がいい加減なので、新パーツは改めて前面・背面とすり合わせて寸法を出さないといけないのだが、その前面・背面と、位置決めの基準になる床面とのフィットが今一つキッチリしていない。当初、キットの背面パーツをそのまま床面に接着しようとしたら、前のめりに角度が付いた。

とりあえず、そのあたりは削り合わせて、床面と背面は一度は接着してあったのだが、ドアと、それを介しての前面とのフィッテイングを見ている間に、背面パーツの微妙な変形やパーツ端部の成形の粗さが嫌になってきて、結局、「細かな難点にひとつひとつ対処するよりは」と、床面から背面パーツをもぎ取って、新たにプラバンで作り直してしまった。

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椅子の背部分はキットパーツでは背面板と一体になっているため、これもプラバン+プラ棒でおおよその外形を作って削り出し。なんだか今回、プラ材からの削り出しばかりやっている気がする。荒目のスティックヤスリ、大活躍。

なお、新造した方の背面板で後部窓の上下にレール状のものがあるのは、実車の窓が横にスライドして開く構造になっているため。もちろん、それらしくプラバンの細切りを貼っているだけで、可動の再現は考えていない。

●キャビンに関しもうひとつ問題は、「全部組み上げてしまうと中が塗れない(特に椅子が塗り分けられない)」ということ。もちろん手間を惜しまない人なら、「塗りながら組めばいいじゃないか」ということになるのだが、塗装があまり好きではない私は、できれば後でまとめてやっつけたい。

これに関してはあれこれ手順を考えたが、上記のように背面板の椅子の背を別部品として作ったついでということもあって、塗装の便を考え、床部品から椅子の座面をノコギリでスライスして切り離した。その後、ハンドルやペダル、レバー類を接着。基本はキットのパーツを(若干の疑問はありつつも)そのまま指定の場所に取り付けたが、ハンドルの軸は、誘導輪軸に使ったのと同じ、ドラゴンのT-34の角型燃料タンクのランナーがぴったりの太さだったので使った。妙に今回、このランナーの活躍場所が多い。

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後々の取付の際にズレなく簡単に取り付けられるよう、我ながら「余計な努力を……」と思ったものの、椅子の土台と座面の接合面にはわざわざダボを新設した。部分的に白いのは、ノコギリを入れた跡がデコボコになったのを(プラバンと瞬着で)修復したため。

そんなこんなで、結局、キャビンの前後上下左右6面のうち、4面が自作になってしまった。レジンキットの作り方として、何か間違っている気がする……。

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