ソミュアのケグレス(2)――足回りのフィッティング
●IBGからいきなり!な感じではあるけれど、7TPの発売が予告されて、今からうずうず状態。
CAMsのフィンランド軍型ヴィッカースに加え、ヴィッカース6t系列のキットはだいぶ恵まれてきたなあ……。CAMsはT-26までバリエーション展開したりするのかな?
●という話はさておき。「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の続き。
このキット製作工程のなかでも、おそらく一番の難関と思われる足回り工作。前回、とにかく転輪ボギーと履帯が何とかフィットするように調整したが、実際に足回り全体を組み上げるには、もう一苦労、二苦労する必要がある。
▼転輪ボギーと誘導輪桁。
誘導輪支持用の桁に関しては若干の歪みがあり、一番最初に茹でてある程度歪みを取ったのだが……実際に転輪ボギーをはめてみたら、転輪ボギーパーツと桁の左右幅が合っておらず、みっともなく前方に末広がりになってしまった。ぐはっ、なんじゃこりゃ!
一瞬、「桁を作り直すか……」という良くない考えが頭をよぎったのだが、どうせ履帯を巻いてしまえば桁の平面形など判らなくなってしまうのだし、そこだけ精度をよくしてどうすんだよ、という脳内反対意見を採用し、スルーすることにする(スルが3回)。
なお、この誘導輪支持桁のパーツは、最初の状態だと、誘導輪取付部のちょっと前側(後ろの左右連結棒位置)に板状部分があるのだが(前々回パーツ写真参照)、これは単純にレジンの湯流れをよくするためのバイパスで、実際にそのような構造材があるわけではないようだ。
▼さて、足回り全体の組付け。
説明書では下写真のように、まるで何でもないことのように「まあ、この番号の部品をここに付けてよ」と、ざっくりと説明してある。
が、実際には、
- 転輪ボギーはサス軸を中心にゆらゆらシーソー状態。
- 誘導輪も上掲パーツ写真のように、同一の軸から桁が伸びて上下動するとともに、履帯張度調整で前後に動く形。
- 位置がきっちり決まっているのは起動輪だけだが、履帯が巻き付いている部分が一体成型なので、転輪側の位置が決まらないと取り付ける角度を決められない。
- 履帯は上下部分が棒状に一体成型で、必要な長さより数コマ長く、しかも下側は本来、起動輪-転輪間と接地面とで角度が変わっているので、自分で場所を特定して曲げる(あるいは一度切って繋ぎ直す)必要がある。
という具合で、確実に組付けの基準にできるものがひとつもない。ちなみに説明書右の文章による組立ステップだと、誘導輪も取り付けた後に、最後に上側の履帯を付けろとあるが、それ、よほど慎重に位置決めしながら進めないと合わないよ……。
これがタミヤのキットなどの場合には、各パートの取付位置・角度がきっちりダボで固定され、規定の長さの履帯でウソのようにピタッと決まるわけだが、当然、このキットにそんな配慮無し。しかも履帯は前にアップした写真のように上下は真っすぐ棒状で、本来必要な長さより数コマ長いらしいことが判明。
ちなみに、前々回、
組立説明書に図解は最小限で、あとは「*番のパーツを*番に付けろ」という具合に文章でステップ解説してあるだけ。その一方で、パーツリストのようなものは入っていないので、どのパーツが何番なのか判らないし、パーツの過不足もしっかり確認できない。ただし、いくらなんでも番号で手順を説明しているのにリストがないのはおかしいので、私自身が購入後にどこかに仕舞って無くしてしまった可能性あり。
と書いたのだが、たまたまfacebookで同じキットを作っている方がいて聞いてみたところ、やはり最初からそのようなものは入っていなかったそうだ。部品番号の意味、全然ないぢゃん!!
▼そんなこんなで組立手順に悩む。
しかしいずれにせよ、最終的に足回りがちゃんと接地するには前輪との高さ合わせが必要になるので、とりあえず前輪を接着(これまた取り付け部分がボール状で、まったく角度フリーなので、変に歪まないように付けるには気を遣う)。続けて、後部履帯部足回りユニットの中心軸となるシャフトを接着。この時、転輪ボギーや誘導輪支持桁は自由に動くようにしておいて、下に履帯を敷き、前輪と合わせて角度を調整する。
前輪に関しては説明書に「0.5mm金属線を39mmに切ってでcontrol barを作ってね」と指示されている。長さからして、左右の車輪をつなぐタイロッド(名前合ってる?)のことだが、0.5mmではちょっと細すぎな気もしたので、それよりやや太めの(0.64mmだったかな?)エバーグリーンのプラ材を使った。
なお、本来はフロントアクスルとこのタイロッド、そして左右のアームが作る平面形は、タイロッド側が短い台形でないとおかしい(でないと、ハンドルを切ったときに左右の前輪の角度差が出ない)。が、車輪と一体成型されたアームを作り直すのも面倒でそのままとした(どうせ後々ほとんど見えないし)。
また、車輛に「生きている表情」を付けるため、ちょっと前輪を切った状態にしたい気もしたのだが、そうすると、今度はキットのパーツとして用意されているドラッグリンク(ステアリング・コネクティング・ロッド?……とにかくハンドル操作を前後動に変えて伝えるロッド)がうまく付かなくなりそうだったので、そのままとした。
上左の写真だと、前輪にややトー・アウト(前方に向けて前輪が逆ハの字に広がっている状態)が掛かっているように見えるが、これは単に写真写りの問題。ホントだよ!
▼その後の手順としては、
(1).履帯を下に仮に敷いた状態で、前輪と高さ・角度を合わせた転輪ボギーと、これも誘導輪を仮付けして角度を決めた誘導輪支持桁を接着固定。
(2).起動輪に上側の履帯を繋げ、右写真のようにわらび、ぜんまい、こごみみたいな状態に。その後、上部転輪と上側の履帯を接着し、起動輪の角度を決める。
(3).下側履帯の起動輪~転輪間と接地面を切り分ける。起動輪~転輪間は4コマとした。その後、起動輪~転輪間、接地面の順で接着固定。
(4).工程の2と3で固定した上下履帯の位置に合わせて、最終的に誘導輪を接着固定。なお、ここまでの過程で、上側の履帯は2コマ分、下側の履帯は1コマ分、長さを切り詰めて調整した。
▼足回りの組付け完了。
とりあえず上記の手順をイメージして、「よし、なんとかなりそう」とは思ったのだが、実際にはステップごとに調整が必要で、削ったり、一度付けたものをまたもぎ取って付け直したり、かなり難渋した。
それなりにきっちり出来上がっているように見えるが、実際には、真下から見ると履帯が蛇行していたり(いいんだよ!この角度から見てまともに見えれば!←開き直り)、転輪ボギーの裏側はだぼだぼ瞬着を流し込んであったり、内実はかなり野蛮な製作具合になっている。
ちなみに誘導輪を仮付けしているプラ棒は、ドラゴンのT-34の1940~41年型用角型燃料タンクのランナー(通常のランナーに張り出す形で枝がある)。径1.2mmほどの他にはない細さのランナーで、意外に重宝する。
また、転輪ボギー/誘導輪支持桁を支えるシャフトのアルミパイプのパーツが外側からも見えているが、これは工作手順の都合上、桁パーツから、外側のキャップ部分を削り取ったため(ディテールそれ自体も不足だったので)。この後再生予定。
起動輪は、キットのパーツでは外周に8本、一段窪んだ内周にも8本のボルト(ナット)のモールドがあるが、実際には内周は12本でキットは誤り。どうせ全体が大した出来ではないので直さない(横着の言い訳)。
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コメント
かば◎さん
問題ありと云いながら、足回りの工作が進んでいますね。
茹でると出汁が出るのか、いい感じですよ。
投稿: hiranuma | 2021年2月11日 (木) 20時52分