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ソミュアのケグレス(3)――車体前端部の改修

●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON 2021」参加作、DESのソミュアMCG5(DES kit, #35023, SOMUA MCG5 d'accompagnement 1939/40)の製作記の第3回目。

●前回書いた、足回りの組み立てが一段落した段階では、

「やれやれ、これで一番面倒な部分はクリアした! あとはちょっと気になる部分とか、いじっていて楽しい部分にちょちょっと手を入れるだけだ!」

なんて、すっかり山場を越えた的な気分でいたのだが、実際には、まだまだ地雷原は抜けていないことが判明した。やれやれ。

●とりあえずシャーシが形になったので、上物に取り掛かろうと思い、キャビン周りの仮組みやすり合わせなどを作業中。

まず、キットのラジエーター~ボンネットのパーツは以下のような感じ。ボンネットサイドはシャーシフレームに乗っかるが、ラジエーターグリルの下端はそれより下に出っ張っている。これはこの当時の車(特にトラック)にはよくあること。組み立てる時は、この出っ張ったラジエーターグリル下端を、シャーシの前端に引っかける形になる。

一体成型のラジエーター~ボンネットパーツがやけに分厚いのは、その分変形がなくて助かっていると言えなくもないし、「ボンネットサイドのルーバーの高さが揃ってないじゃん!」というのは、キットのおおらかさだと取ってもらってスルー推奨。

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●が、この過程で嫌なことがわかった。

上の2、3枚目の写真に写っているキャビン床~前部フェンダーのパーツは、取付位置のガイドなどはないが、足回り(前輪と履帯)とフェンダーとの位置関係で、おおよそ位置は確定できる。

が、先述のようにラジエーター下端をシャーシ前端に引っかけた位置で固定すると、シャーシ床パーツとボンネットの位置関係がおかしくなり、キャビン前面とボンネットの間、あるいはキャビン前面とキャビン床パーツとの間に、3mmほども隙間が生じてしまう。

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●さすがにラジエーターグリルの下端を削り飛ばすわけにはいかないので、とりあえず、ボンネットを後退させることができるように、シャーシ前端のクロスメンバー(横方向の構造材)の上部をラジエーターグリルがはまる深さまで彫り込んでみる。

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その結果のbefore/afterが以下。

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左がキットのままの位置で、右が後退させたもの。そもそもキャビンとの接続部がガタガタしているので一見あまり変化がなく見えるが、ラジエーター前面のラインと、前輪サスペンション・スプリングの取付基部(黄色矢印)との位置関係に注意して頂けると、後退しているのが判りやすいと思う。フェンダーまでちょっと後退しているが、これは単に仮置きしたキャビン床パーツがずれただけ。

実際に、ソミュールの現存実車の写真を見ても、サスペンション・スプリングの前部取付架とラジエーター前面の位置関係はこれくらいの感じのようだ。下写真はwikimedia commonsの"1936 SOMUA MCG5, in the Musée des Blindés, France, pic-1.JPG"から切り出し加工した。

Mcg5s1

この位置で、(なおも調整は必要ながらも)なんとかキャビンとボンネットは適正位置で収まりそうだと判ったが、一方で、上の施術の結果、今度は「シャーシのクロスメンバーとラジエーターの前面がほぼ同一ラインになってしまう」という問題が発生した。ここはソミュールの現存実車などを見ても、やはりシャーシ側が一段引っ込んでいないと、どうも格好がつかない。

●ここでまたもう一つ、別の問題。

上の写真に写っているように、このキットは今回の製作開始よりも前にお手付き製作で前端の超壕ローラーを接着してあった。これまた上の写真のように、この超壕ローラーには、ローラー面に2カ所、対称位置に小穴が開いている。これは、エンジン始動時に小穴を前後水平位置にして、ローラーを突き抜ける形で始動用クランクハンドルを差し込むためのもの(のはず)。

ところがキットでは……。

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ローラーの穴をおおよそ前後水平にして接着してあったにも関わらず、シャーシ側の始動ハンドル接続部と思しき突起と、ローラーの穴とに、極端に上下差が生じている(写真左はシャーシ裏側から撮ったもの)。その突起とローラーがほとんど接触しかけるくらい接近しすぎているのも気になる。

これに関しては、

「いや、もうローラー付けちゃったし。きっとクランクハンドルは、この突起よりもっと下に別の接続部があるんだよ。はっはっは」

と見て見ぬふりをしようと決めていたのだが、先述のラジエーター先端後退問題での作業を行うにあたって、ローラーが邪魔になった。結局、これも同時に対処することにし、ローラー軸のちょっと上あたりで、シャーシフレームにエッチングソーを入れて一度切り離した。

●ローラーがなくなって作業しやすくなったので、上の写真で上面を一段彫り込んだあたり、ちょうどキットのモールドで第一クロスメンバーにあたるくらいを、ガリガリと削り込んで後退させた。

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ソミュールの実車写真を見ると、第一クロスメンバーなのか、あるいはそこまでの強度はない単純な保護プレートなのかよく判らないが、とにかく前端の横材は、キットの当初のモールドよりももっと縦に深さがあるようだ。そこで、エンジン始動用ハンドルの問題解決との兼ね合いで、上記の前端削り込みで露出したフライホイール?も削ってしまい、新たに基部となるパーツを付け直した(タミヤのヴェスペの上部転輪を削ったもの)。ほとんど見えなくなる部分なので、ほぼ気分の問題。

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そして、前面のディテールを新造・再生。ソミュールの実車写真を参考にしつつも、そもそもラジエーターとローラーの陰に隠れてよく見えないので、「まあ、なんとなくそれらしく」レベルの工作に止まっている。模型としても、この後、「ラジエーターとローラーの陰に隠れてよく見えない」状態になることを期待。

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コメント

かば◎さん

同じ様なことが私が作っているBA-3でもあるのでよく分かります。
レジンの硬い塊を削るのは難儀だったでしょうね。
顔にあたる箇所なので収まりがきちんとしていないと印象が違ってしまうので
手を入れた甲斐はあるのではないでしょうか。

投稿: hiranuma | 2021年2月13日 (土) 15時50分

>hiranumaさん

こういう改修って、最初から「ここはこうなっているからこう直す」というのがはっきりしているなら、それほど難儀な作業ではないんですが、手探りだと格段にしんどくなるんですよね。

もっとも、「エンジンボンネットの位置が定まった」だけで、キャビンとのフィッティング等はまだ全然なので道は長いです。

投稿: かば◎ | 2021年2月13日 (土) 23時22分

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