« 逗子銀座の越境蓋 | トップページ | オースチン装甲車Mk.III MASTER BOX 1:72 »

ロレーヌへの道(7)――続・車体前部

●タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の製作記の続き。

●前々回、未工作で残っていた、車体前面ハッチの、裏側の消火器ホルダー(たぶん)に対応する極小リベットを作る。

リベット・ボルト類に関しては、私はもっぱら、「ジャンクパーツから移植する」「MasterClubのレジン製リベットを植える」のどちらかの方法を取っている。しかし、この場所のリベットは小さすぎて、そのどちらも使えない。

  • MasterClubのリベット類は、そもそも0.4mmまでしかない(たぶん)。
  • そぎ取り・移植法の場合、相手が小さすぎ、接着剤で溶けてなくなってしまう可能性が大きい。もちろん「溶けないタイプの糊で付けて、後からサーフェサーか何かで固定しろよ」というツッコミもあろうが、それ以前に目と手が追い付かない。

というわけで、別の方法を考えることにする。

最初は、「針先でつついて、カルデラ状の凹凸を作って塗料で埋めるか」などという方法も考えたのだが(その昔、飛行機模型のリベット再現法/リベットモールド再生法として模型誌で読んだ方法)、あまりうまく行きそうにない気がしたので、伸ばしランナー埋め込み法で行くことにする。

●念のため、ランナータグ部分などで試行した後、何とかなりそうだったのでキットのパーツに手を付ける。

① リベットを植える位置をパーツに書き込む。リベットは8カ所。最初は0.2mmの穴を開けたが、ちょっと小さすぎる感じだったので0.3mmで開け直した。0.2mmと0.3mmでは1.5倍も違うわけで、0.3mmでは逆にやや大きめかも(実はこのために新たに0.2mmのドリル刃を買ってきてまで工作したのだが)。0.25mmのドリル刃などあるといいのかもしれないが、さすがに市販品でそんな半端サイズはまず見ない。

20201228_004249

② 伸ばしランナーを植える。細く伸ばしたランナーを切って、テーパーでしっかり止まるところまで差し込む(というか、裏から引っ張る)。薄いプラバン(下写真の例では0.3mm)の切れ端にU字の切れ込みを入れ、飛び出た伸ばしランナーを切れ込みにはめて高さを揃えて余りを切り飛ばす(切り詰めすぎたり、根元で折れたりしてしまうのを防ぐため)。裏側はしっかり接着して止める(でないと、次の工作ステップでリベットが穴の中に潜り込んでしまったりする。ランナータグでの試験中に一カ所そうなった)。

20201228_012859 20201228_012955

③ ペーパー(スポンジベースの「神ヤス」を使った)で高さを低めていく。あまり不揃いにならないよう、削り過ぎないよう注意しつつ削って終了。ちなみに斜め下の逆三角形の内装ヒンジのリベットは移植。だいたいこの大きさくらいが、私が「これなら移植でいいか」と思える限度。ヒンジリベットの下の一個が今回付けたものと同じくらいなのは移植時の失敗で、安定的にこの大きさを移植するのはやはり(私には)困難。

20201228_014824 20201228_025443

実を言えば、この方法の場合最もネックになるのは「正しい位置に穴を開けることが出来るか」というところだと思う(これはMasterClubのレジン製リベットを植える際にも言える)。移植の場合、接着時にスライドさせて位置を微調整出来るが、穴開けの場合はそれが出来ない。今回も、向かって一番右上の穴はずれてしまったので、一度伸ばしランナーで埋めて開け直した。

●オマケ。

車体前部、シャーシ内側の一部の穴を埋めた。乗員室内部を作るかどうか、実はまだ決心が付かないのだが、今やっておかないと、「やっぱり前面フラップを開けよう」となった場合に面倒になるため。

20201227_200036 20201228_022237

プラ材(キットのパーツのタグなど)を接着。隙間も瞬着で埋めて削る。

個人的には塗装(と、それに関連して工作手順)が面倒になるインテリアはやりたくないが、最前線でドンパチする車輛ではないので、全部締め切っているのも「生きている車輛」感が薄い。アイアンサイドのレジンのトランスミッションもここで有効活用すべきではないか、とも思う。でもやっぱり面倒だなー。

|

« 逗子銀座の越境蓋 | トップページ | オースチン装甲車Mk.III MASTER BOX 1:72 »

製作記・レビュー」カテゴリの記事

ロレーヌ」カテゴリの記事

コメント

トランスミッションは組み込んだところを見てみたいな。ハッチを閉じるとあまりに地味だし。ハンドルの類で何か流用できるのがあるといいのですけどね。

極小リベットは悩みですね。私はベスペの床板のドットの削ぎ取り移植が最小かな。リベットを先に置いて、流し込み接着剤を脇からそっとかすらせて..

投稿: hn-nh | 2020年12月28日 (月) 08時16分

伸ばしランナーの穴埋め式リベットは思いつかなかったです。
開けた箇所なら有効な方法ですね。
狭いコーナーではやはり接着しか、、

>リベットを先に置いて、流し込み接着剤を脇からそっと
置くと動くのでナイフの先などで留めるのでしょうね。
位置决めが難しい。
極小であればなおさら。
接着剤を変えるか?

投稿: hiranuma | 2020年12月28日 (月) 08時45分

>hn-nhさん、hiranumaさん


リベット/ボルト/ナットの工作は、やはり形のシャープさからするとMasterClubなんですけれど、工作の容易さ、位置決めのしやすさでは、そぎ取り移植に圧倒的軍配が上がりますね。

その点で今回の工作は、位置決めもしにくいし形も……いや、形はこれくらい小さいと、もう適当で構わないんですけども。

大きさ自体はきっちり穴と同一サイズになるので、そぎ取り工作よりちょっと正確かも(そぎ取り法の場合、そぎ取り方によっては若干大きさにバラツキが出てしまうので)。

極小リベットで思い出したんですが、昔、ミニスケールのガレージキットを出していたkimkimさんは、原型製作時、タミヤの旧III号のフェンダーのポツポツをそぎ取って使っていたような覚えが。

ヴェスペの床ってどんな感じでしたっけ。

投稿: かば◎ | 2020年12月28日 (月) 15時03分

かば◎さん

旧ヴェスペの床とフェンダーは小リベットだらけで、これを上手く削ぎ落としが
出来るなら極小のリベットの宝庫です。
私には、それでも接着は課題です。
接着はナイフの先に刺すか、マスキングテープを爪楊枝に裏向けに巻いて。
流し込み接着剤を使うならhn-nhさんの云う様には、、
いくつかトライ&エラーの実験が必要かと。

投稿: hiranuma | 2020年12月29日 (火) 18時53分

ヴェスペの床パーツの写真アップしておきます。
https://imgur.com/zKUL2by

メリットは同じサイズで数を揃えられるいうことでしょうか。ドラゴンの4号戦車のフェンダーも極小リベットが採取できますが、数がとれないので....

秋葉原YSのパーツコーナーで見つけましたが、タミヤさんにはこれだけでも別売して欲しいなー

ヴェスペの床から移植したリベットはこんな感じで役立ってます。
https://hnnh3.exblog.jp/dialog/images/viewer/?i=201910%2F27%2F40%2Fd0360340_07464756.jpg

投稿: hn-nh | 2020年12月30日 (水) 12時49分

hn-nhさん

ヴェスペ床のリベットはどの様に接着するのか具体的にご教示いただけませんでしょうか。
カットが難しい、接着がなお難しいです。

投稿: hiranuma | 2020年12月30日 (水) 14時28分

>hn-nhさん

おお。これはサイズ的にも量的にも、結構得難いものが……。

しかし最大の問題は、上の記事にも書いたように、こんな細かいの、そぎ取ることはできても、移植の過程で
(1).どこか行っちゃう。
(2).ナイフの先/針の先で切ったり潰したりしちゃう。
(3).接着剤で溶けちゃう。
(4).削いだリベットの表裏が判らなくなる(見えない)。
などのトラップ満載というところです。

いやほんと、よく移植できますね(写真にすでに使った跡が虫食いのように……)。

投稿: かば◎ | 2020年12月30日 (水) 21時27分

(1).どこか行っちゃう。
 A. そのためのヴェスペの床です。よっぽどのことがない限りは無限。

(2).ナイフの先/針の先で切ったり潰したりしちゃう。
 A. カッターではなく刃が曲線になってるナイフがいいですね。刃の腹の部分でリベットのところだけギュッと削ぐことできるし弾力で弾いて飛んでくこともないです。刃先に刺さないで掬ってそのまま接着したいところに載せます。

(3).接着剤で溶けちゃう。
 A. 速乾のセメントSP(薄紫のキャップのやつ)がいいですね。リベットを置いたところから少し離れたところに垂らして、筆先でリベットのところまで溶剤を押しやる程度に。乾くまでのわずかな時間にリベットの位置を微調整。

(4).削いだリベットの表裏が判らなくなる(見えない)。
A. わずかな光の反射の違いを...w

投稿: hn-nh | 2020年12月31日 (木) 18時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 逗子銀座の越境蓋 | トップページ | オースチン装甲車Mk.III MASTER BOX 1:72 »