ロレーヌへの道(6)――貨物室の床
●タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の製作記の続き。
●後部貨物室の床がどうなっているのかの考証に関しては、主に初回と第4回に書いた通り。結局のところ、いまだに「上げ底の床面があったかどうか」に関して結論は出ていないのだが、とりあえず、なかったという前提で工作を続行中。
第4回に書いて以降、車体側面のもう一枚に関しても、貨物室下部の一段厚くなった部分の切削加工を完了。
上げ底の床板が無くなったために見えてしまうシャーシ床面について、ディテール追加の工作を行った。資料は主にモスクワの10.5cm自走砲の、レストア途中のwalkaround写真。
●まずは、装甲板の入隅部分にフレームを追加。さらにその部分にリベットも付けていく。リベットを付ける作業というのは、(それなりに数もあるので)面倒なのだが、目に見えて精密感が増すので充足感がある。いやまあ、こればっかりやりたくはないけどね。
ちなみに今回この部分に使用したリベットは、タミヤ48のマーダーIIIの転輪外周からの剥ぎ取り。
転輪サスに対応したバルジ(外側から見れば窪み)部分は、プラの厚みもあって若干実車より大きい感じなのだが、だからといってちまちま作り直すほどの意味も感じなかったので、立ち上げり部分が丸かったのをやや直線的に削り直した程度。
フレームに関しては、(キットのモールドとの兼ね合いもあり)あまり段差を大げさにしたくなったのと、上記バルジ周りの縁との厚みの差も表現したかったので、0.2mmの透明プラバンを使った。……が、上の写真でもわかるように、透明プラバンを使うと工作個所が見づらく、リベットを付ける際にちょっと面倒だった。
特に左右部分に関しては、側面板の厚みを削った分、床板端に階段状の段差ができてしまい、それを埋めた跡が透明プラバンを通して見えてしまっているのも見づらさの一因になった。薄いし、普通のプラバンより丈夫だし、でも普通のスチレン系接着剤も使えるのでいい素材なんですけどね(タミヤの0.2mm透明プラバン)。
ちなみに、上写真の状態では、側面板は後端までがっちり接着はしていない(接着してしまうと誘導輪基部が邪魔をして後面板がはまらなくなるため)。こまごまといじる場合、指定の組立手順を無視することが多くなるが、その分、「あ、しまった、後からじゃ付かないや」と慌てるケースもしばしば出てくる。今回は事前に気づけて良かった。
話は前後するが、側面板のやや前側にある、サススプリングのストッパーの取付ボルト(リベット?)は、キットでは1つしかないが、実際には(表側のモールドを見ればわかるように)2カ所ないとおかしいので、下にもう一つ追加した。キットでは上げ底の床板に干渉するので省略したのではと思う。写真に撮ったらバレバレだが、追加した下側のリベットが上より明らかに小さかった。どうせ組み上げたら目立たないので作り直さない。
●後端部のリブの工作。おそらく、後面板には牽引具等々が付いているため、通常のフレームだけでは強度的に不安があって付けられたものではないかと思う。タミヤのキットでは、このリブと同一レベルで床板が張られた解釈になっていて、パンダではこのリブとシャーシ底面の間くらいの高さで、やはり別に床板があるという解釈。うーん。どっちも根拠が知りたい。
もちろん、このままだと床は凸凹しているし足は引っかけそうだし、別途床を張っていた方が使い勝手がよさそうなのは確かだけれど。
上の写真では未工作だった、後面板の「ドイツ軍が追加した牽引具に対応したリベット」の除去と移動を行い、また、下部の(元からある)牽引具基部のリベットを追加した。
床中央の、ドレイン穴とドレインキャップ?と思える丸い窪みについては、周囲にごくごく小さいボルトだかリベットだかがあるような、ないような……。まあ、とにかくあまりよく判らないので放置した。
とりあえず、貨物室の下半分に関しては、(エンジンルームとの間の隔壁を除いては)おおよそ工作終了。
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コメント
>>ごくごく小さいボルトだかリベットだかがあるような、ないような……。
そうですね、解らないものを分からないまま作る曖昧さは模型につきものです。
突き詰めたあとは、ありそうな感じで仕上げる。
頑張ってください、このあとの工作がとっても楽しみです。
投稿: hiranuma | 2020年12月24日 (木) 22時40分
>hiranumaさん
もちろん、後で「張り増した床板があった」ことが確認出来たら、この辺の工作は全部無駄になるわけですが。
投稿: かば◎ | 2020年12月24日 (木) 22時48分
うーむ。ロレーヌシュレッパーへの改造は、ひとすじ縄ではいかないですね。私もひそかに企んではいましたが、ちょっと怯みます。何も考えずに始めてしまえば腹も座るのでしょうが...笑
Passionmodelsから今度マーダー1用のエッチングセットが出るみたいですけど、サスペンションの板バネ枚数の修正用パーツ(例えば側面に貼って誤魔化す)が入ったらうれしいけど。
投稿: hn-nh | 2020年12月27日 (日) 09時01分
>hn-nhさん
「うっかり、軽い気持ちで手を出したら泥沼だった」ってこと、模型製作にはよくありますよね……。
まあ、あらかじめその辺が全部わかっていたら、おいそれと製作に着手できなくなってしまいますが。
ちょっと前に、どこのメーカーだったかな……オペル・ブリッツ用その他で、本当に板を重ねてリーフスプリングを作るエッチングセットがありましたね。
ロレーヌであれをやると、かなり大判のエッチングになってしまいそう。
投稿: かば◎ | 2020年12月27日 (日) 10時54分
かば◎さん
いらぬプレッシャーになるかもと思いコメントしませんでしたが、
0.2mmプラ板を1mm程度の幅でカットして反りを入れて重ね合わせ
接着してみました。
厚さは変わらず2mmでいい感じです。
板バネの境目の感じが心配でしたが、カットする刃物を同じ向きですれば
カット面がやや斜めになり板バネを重ねた感じになる様です。
接着を普通+流し込みにするか、流し込みだけにするかはテストしてみてだと思います。
出来るかどうかの試しだったので、どちらだったか忘れました。
もし、これを行うとするなら
・治具的なものをセットして同寸になる様に。
・出来たら断面側も(これが困難)作れたらgood!
私はルノーUEのキャタピラのピンをどうするかで0.4mmドリルで開口中。
伸ばしランナーをスライスして穴にセットするのは歩留まりが悪すぎてダメそう。
裏側で実験したら4個中2個しか再現できなかった、、。
投稿: hiranuma | 2020年12月27日 (日) 20時21分
>hiranumaさん
ロレーヌのサスに関して言えば、リーフスプリングそのものを作るのは、「同じものを6組も作るのが面倒」くらいで、基本それほど困難というものではないと思っています。
問題は、それをサスボギーに装着する中央の留め具部分で、これを6組、綺麗に同じ形に見せるように作るのが、さらに面倒かなと。
いっそ、ここはキットの部品を削り残して、スプリングは左右別に作ってみるのはどうか……なんて夢想していたりします。
投稿: かば◎ | 2020年12月27日 (日) 22時30分