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2020年12月

ゆく年2020

●よく考えたら、今年は一つも模型を完成させていないかもしれない。

あっ。もしかしたら去年も。そう考えると、SUMICONって(というか締め切りって)偉大だなあ、と。

●例年通り今日は川崎の実家に行って、そのまま新年を迎える予定。皆様よいお年を。

来年にはコロナ禍が沈静化してくれるといいな、と思うけれど、

・世界の時間距離が(例えば第一次大戦時のスペイン風邪の時と比べても)格段に短く、(規制されているとはいえ)交通量も多い時代にあって、

・しかも濃淡はあっても各国で感染拡大予防策を取っているため、逆にその分感染拡大の期間は伸びることになる。

――というようなことを考えると、来年いっぱいもどうなのかなあ、という気もする。

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オースチン装甲車Mk.III MASTER BOX 1:72

20201230_154827 ●タミヤの「マーダーI改めロレーヌ」は、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませる部分が多く、作業していて悶々としてくるので、箸休め的に浮気する(……と、そんな感じでそのまま放置してしまうことも多いので気を付けたい)。

ネタはあまり悩まずに手っ取り早く形になるミニスケール、ウクライナ・MASTER BOX(MB)1:72のオースチン装甲車Mk.III。MiniArtから最近1:35でのシリーズ展開が始まったばかりのネタで、ネット上でそれを見て「ああ、そういえばミニスケールのヤツを持ってたなあ」と思い出して引っ張り出してきたもの。

●買ったのは数年前。確か、かさぱのす氏達と飲み会をした時に、donjiさんだか誰だったかが買ったのを見せてもらい、出来の良さに惹かれてその後購入したもの。

MBは「第一次大戦100年記念」として、2014年からMk.I/Mk.II菱形戦車のキットを数バリエーション発売。さらにその後追加したのがオースチンのキットで、この「Mk.III」と、後輪がダブルになった「Mk.IV」(ただし、通常はMk.IVという呼称は用いず、1918年型と呼ばれることが多い仕様)の2種が出ている。

実車はオースチンが第一次世界大戦中、帝政ロシア政府の求めに応じて開発・生産したもので、初期の生産型(Mk.I~Mk.III)は主にロシア軍で使われ、さらにロシア革命の混乱期には赤白両陣営で使われただけでなく、革命戦争にちょっかいを出したり巻き込まれたりした周辺諸国も鹵獲使用したりしている。1918年型は革命で輸出が差し止めになったのでイギリス本国が接収したり、他国(日本を含む)に輸出されたりしている。

●出来が良いので、基本、キットのストレート組み。ちなみに同社のMk.I菱形戦車雌型も発売後まもなく買って、組むだけは組んでいるが、これも(ベルト式の履帯がいまいちなのを除けば)非常によいキットだった。

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塗装の便を考えて、現時点では車輪は未接着。車輪まで仮組みして写真を撮りたかったが、取付穴がユルユルだったので断念した。

若干なりと手を入れたのは、

  • フェンダー、機銃防護板を薄削り。
  • ボンネット横の取っ手を金属線(0.2mm径くらいのエナメル線)で作り変え。
  • そのままキットのパーツを使ったら、完成までに必ず折ってしまいそうな右面の乗降ステップを金属支柱に交換。
  • シャーシ前端のフックを金属線製に交換。これも破損が怖かったのはもちろん、キットパーツを片方ピンセット・カタパルトで飛ばしてしまったため。ついでに、キットパーツでは再現されていなかった軽いヒネリも加えた。
  • 銃塔の下の円筒形に膨らんだ部分に、キットは小さなライトの部品が付くが、(塗装例との関係で)取り付けず、基部のモールドも削り落とした。
  • 同じ部分、CADデータに基づく金型切削の際に入ってしまった表面の縦縞状の軽い凹凸を、目立たないように軽くヤスリ掛け。

……など。

●キット指定の塗装例/デカールは、基本、ロシア革命時のあっちこっちの陣営+大戦後のドイツ、オーストリアのもの。ここの塗装例については、箱裏の塗装図に一応国旗が示されているものの、何年何月の何軍といった細かい説明は何も書かれていない。

そのあたりは、このサイトのレビューで解説が載っていて非常に助かる。


●若干の日々の報告。

月曜日、散歩に出て、夕方に鎌倉の大町・小町間にある通称「お妾さんトンネル」を久々に通る。

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このトンネルに関しては以前にもちょろっと紹介したことがあるが、大町の奥の谷戸(しかもその支谷)をずんずん登って行って、もうほとんど尾根目前、というところにある。路面にはタイヤ跡があるが、普通の乗用車は通れるのかなあ。軽自動車でないと無理な気もする。

1枚目は大町側の入り口。もうちょっと早い時季に通っていれば、紅葉がもっと綺麗だったかも。

2枚目も大町側の入り口で、さらに近づいたところ。葉の間に見える空で、尾根のてっぺんからトンネルまでは数mしかないだろうことがわかる。「これなら切通でもよかったんじゃ?」レベル。しかし、鎌倉にはこんなふうに、「登って登って、もう尾根直前」に掘られた古い小トンネルがいくつかある。どれも、「いや、これは地元の人じゃないと知らないよな」という位置にあり、またどれもなかなか雰囲気があってよい。

3,4枚目はトンネル内部。昔懐かしいタイムトンネル風。元はたぶん素掘りのトンネルだったのが、現在ではコルゲート板のライナーで覆われている。

5枚目は小町側の入り口。トンネルを抜けた先は急坂で、それを降りると腹切りやぐら(新田勢の鎌倉攻めの際、北条一門が集団自決したとされるやぐら(横穴))の下あたりに出る。

ちなみに俗称が「お妾さんトンネル」なのは、その昔、地元の有力者がお妾さんのもとに通うために掘らせたためである由。どっちからどっちに通ったのかまでは知らない。

●同日。鎌倉駅前まで出たら、鶴岡八幡宮の狛犬までがマスクをしていた。

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●話は前後するが、先週、披露山から撮った富士山。この季節、晴れていればだいたい夕景の富士山は美しい。

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ロレーヌへの道(7)――続・車体前部

●タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の製作記の続き。

●前々回、未工作で残っていた、車体前面ハッチの、裏側の消火器ホルダー(たぶん)に対応する極小リベットを作る。

リベット・ボルト類に関しては、私はもっぱら、「ジャンクパーツから移植する」「MasterClubのレジン製リベットを植える」のどちらかの方法を取っている。しかし、この場所のリベットは小さすぎて、そのどちらも使えない。

  • MasterClubのリベット類は、そもそも0.4mmまでしかない(たぶん)。
  • そぎ取り・移植法の場合、相手が小さすぎ、接着剤で溶けてなくなってしまう可能性が大きい。もちろん「溶けないタイプの糊で付けて、後からサーフェサーか何かで固定しろよ」というツッコミもあろうが、それ以前に目と手が追い付かない。

というわけで、別の方法を考えることにする。

最初は、「針先でつついて、カルデラ状の凹凸を作って塗料で埋めるか」などという方法も考えたのだが(その昔、飛行機模型のリベット再現法/リベットモールド再生法として模型誌で読んだ方法)、あまりうまく行きそうにない気がしたので、伸ばしランナー埋め込み法で行くことにする。

●念のため、ランナータグ部分などで試行した後、何とかなりそうだったのでキットのパーツに手を付ける。

① リベットを植える位置をパーツに書き込む。リベットは8カ所。最初は0.2mmの穴を開けたが、ちょっと小さすぎる感じだったので0.3mmで開け直した。0.2mmと0.3mmでは1.5倍も違うわけで、0.3mmでは逆にやや大きめかも(実はこのために新たに0.2mmのドリル刃を買ってきてまで工作したのだが)。0.25mmのドリル刃などあるといいのかもしれないが、さすがに市販品でそんな半端サイズはまず見ない。

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② 伸ばしランナーを植える。細く伸ばしたランナーを切って、テーパーでしっかり止まるところまで差し込む(というか、裏から引っ張る)。薄いプラバン(下写真の例では0.3mm)の切れ端にU字の切れ込みを入れ、飛び出た伸ばしランナーを切れ込みにはめて高さを揃えて余りを切り飛ばす(切り詰めすぎたり、根元で折れたりしてしまうのを防ぐため)。裏側はしっかり接着して止める(でないと、次の工作ステップでリベットが穴の中に潜り込んでしまったりする。ランナータグでの試験中に一カ所そうなった)。

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③ ペーパー(スポンジベースの「神ヤス」を使った)で高さを低めていく。あまり不揃いにならないよう、削り過ぎないよう注意しつつ削って終了。ちなみに斜め下の逆三角形の内装ヒンジのリベットは移植。だいたいこの大きさくらいが、私が「これなら移植でいいか」と思える限度。ヒンジリベットの下の一個が今回付けたものと同じくらいなのは移植時の失敗で、安定的にこの大きさを移植するのはやはり(私には)困難。

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実を言えば、この方法の場合最もネックになるのは「正しい位置に穴を開けることが出来るか」というところだと思う(これはMasterClubのレジン製リベットを植える際にも言える)。移植の場合、接着時にスライドさせて位置を微調整出来るが、穴開けの場合はそれが出来ない。今回も、向かって一番右上の穴はずれてしまったので、一度伸ばしランナーで埋めて開け直した。

●オマケ。

車体前部、シャーシ内側の一部の穴を埋めた。乗員室内部を作るかどうか、実はまだ決心が付かないのだが、今やっておかないと、「やっぱり前面フラップを開けよう」となった場合に面倒になるため。

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プラ材(キットのパーツのタグなど)を接着。隙間も瞬着で埋めて削る。

個人的には塗装(と、それに関連して工作手順)が面倒になるインテリアはやりたくないが、最前線でドンパチする車輛ではないので、全部締め切っているのも「生きている車輛」感が薄い。アイアンサイドのレジンのトランスミッションもここで有効活用すべきではないか、とも思う。でもやっぱり面倒だなー。

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逗子銀座の越境蓋

●逗子駅前の逗子銀座商店街の歩道上のマンホールには、同商店街専用のカラーシールを貼り込んだ専用蓋(3種類)が主に使われているのだが、ここ最近、他自治体の蓋が複数枚、紛れ込んでいるようだ(気づいたのは昨日、25日夜)。

改めて今日(26日土曜日)、日中に商店街を歩いて写真を撮ってきた。

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1枚目は県内、二宮町。松原と海、その向こうの富士山のデザイン蓋。防錆塗料も黒々としていて新品蓋のようだ。古本屋のととら堂への入口あたりの歩道。下端に「にのみや うすい」の文字。ちなみに二宮町の汚水用蓋は、単に文字替えではなくて絵柄も違うらしい。なんだかちょっと贅沢。

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いきなり遠距離のうえに、合併によって現存しない町のマンホール蓋。富山県福岡町(現・高岡市)。町のシンボルマーク(なぜか町章とは別にシンボルマークがある)と町の花サクラとコイ。福岡町は養鯉業が盛んで、シンボルマークも跳ねるコイの図案化である由。下端に「福岡町 下水道」の文字。「魚屋修二」前(まさかコイが描いてあるから?)。

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3枚目はクレヨンしんちゃんの住む埼玉県春日部市のもの。市の花フジを一面に配し、下端に「かすかべし おすい」の文字。「ハマまで5分」のちょっと脇。

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4,5枚目。最初に挙げた二宮の隣、大磯町のものが2枚あった。「珠屋」の前と、その向かいのキングプラザ前。クロマツとサザンカとカモメと海。左上に墨書体で大きく「大磯」。こんなふうに自治体名を入れているのはやや珍しい? 下端に小さく「おすい」の文字。

実は大磯の文字がデザインと一体化しているために、最初は文字に気付かず、最初は「松、海、カモメってどこだぁ?」と、それだけを手掛かりに検索してしまった。

●基本、下水道というのは自治体(市町村)が管理していて、その自治体が定めたマンホール蓋を使っているため、例えば隣接していて下水道の管路が市町村境をまたいでいるとかいう場合以外、原則として他の自治体の蓋が使われることはない。

が、例外的に、何か工事の都合や、蓋交換に際しての仮置きなどといった理由で、(おそらく請負業者が他に担当している自治体の手持ちの蓋などを流用したために)まるで無関係の自治体の蓋が置かれることが稀にある。こういうケースを、マンホール蓋のマニア(マンホーラー)の呼称で「越境蓋」と言う由。たとえば東京都下水道局広報誌のこちらの記事などを参照のこと。

テンポラリーで置かれるものなので、しばらくするとその自治体の正規の蓋に置き換えられてしまうことが多いようだ。実際、「日本マンホール蓋学会」サイトの逗子市のページを見ると、過去にも、商店街(タイルの模様から見て逗子銀座商店街)の工事の際に、越境蓋がそれなりの数、使われていたことがあるようだ(それらの蓋は今回の蓋とは全然別の自治体のもので、現在はすでに見ることが出来ない)。

上で紹介の蓋も、さて、いつまで見られるやら。

●オマケ。越境蓋は短期で正規のものに置き換えられてしまう、と書いたばかりだが、なかなか消えないものもある。

下は、逗子市桜山の、県道24号にある越境蓋。

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デザイン自体は珍しくもなんともないJIS柄だが、中心のマークが逗子市章ではない。これはいったいどこのマーク?と不思議に思っていたのだが、川崎の実家近辺で同じデザインを見て、川崎市章に「下水」の文字を組み合わせたマークと判明。何たる偶然。

それはさておき、この蓋を確認したのはマンホール蓋に興味を持ち始めた一昨年あたりのことで、その当時から割と使い込まれた姿で、今に至るもそのまま使われている。絵柄が全国共通のものなので放置されているのかも。

●オマケ2。小坪漁港のちょっと手前当たりの路上で、変なマークのハンドホール(人が入れる大型のマンホールではなく、手を入れるくらいの小型のもの)蓋を発見したのは今年の初め(左写真)。

なんとかネットで市町村章をつきとめ、茨城県土浦市のものだと判明した。

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しかし、ちょっと前に、右のような蓋に交換されてしまった。これはこれで他で見たことがないのだが、越境蓋なのか、それとも何かしら汎用な蓋なのかよく判らない。

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ロレーヌへの道(6)――貨物室の床

●タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の製作記の続き。

●後部貨物室の床がどうなっているのかの考証に関しては、主に初回第4回に書いた通り。結局のところ、いまだに「上げ底の床面があったかどうか」に関して結論は出ていないのだが、とりあえず、なかったという前提で工作を続行中。

第4回に書いて以降、車体側面のもう一枚に関しても、貨物室下部の一段厚くなった部分の切削加工を完了。

上げ底の床板が無くなったために見えてしまうシャーシ床面について、ディテール追加の工作を行った。資料は主にモスクワの10.5cm自走砲の、レストア途中のwalkaround写真。

SCALEMODELS.ru:САУ 10,5 cm LeFH 18-4 auf Geschutzwagen Lr.S. (f) Alkett, музей Моторы Войны, Москва, Россия

●まずは、装甲板の入隅部分にフレームを追加。さらにその部分にリベットも付けていく。リベットを付ける作業というのは、(それなりに数もあるので)面倒なのだが、目に見えて精密感が増すので充足感がある。いやまあ、こればっかりやりたくはないけどね。

ちなみに今回この部分に使用したリベットは、タミヤ48のマーダーIIIの転輪外周からの剥ぎ取り。

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転輪サスに対応したバルジ(外側から見れば窪み)部分は、プラの厚みもあって若干実車より大きい感じなのだが、だからといってちまちま作り直すほどの意味も感じなかったので、立ち上げり部分が丸かったのをやや直線的に削り直した程度。

フレームに関しては、(キットのモールドとの兼ね合いもあり)あまり段差を大げさにしたくなったのと、上記バルジ周りの縁との厚みの差も表現したかったので、0.2mmの透明プラバンを使った。……が、上の写真でもわかるように、透明プラバンを使うと工作個所が見づらく、リベットを付ける際にちょっと面倒だった。

特に左右部分に関しては、側面板の厚みを削った分、床板端に階段状の段差ができてしまい、それを埋めた跡が透明プラバンを通して見えてしまっているのも見づらさの一因になった。薄いし、普通のプラバンより丈夫だし、でも普通のスチレン系接着剤も使えるのでいい素材なんですけどね(タミヤの0.2mm透明プラバン)。

ちなみに、上写真の状態では、側面板は後端までがっちり接着はしていない(接着してしまうと誘導輪基部が邪魔をして後面板がはまらなくなるため)。こまごまといじる場合、指定の組立手順を無視することが多くなるが、その分、「あ、しまった、後からじゃ付かないや」と慌てるケースもしばしば出てくる。今回は事前に気づけて良かった。

話は前後するが、側面板のやや前側にある、サススプリングのストッパーの取付ボルト(リベット?)は、キットでは1つしかないが、実際には(表側のモールドを見ればわかるように)2カ所ないとおかしいので、下にもう一つ追加した。キットでは上げ底の床板に干渉するので省略したのではと思う。写真に撮ったらバレバレだが、追加した下側のリベットが上より明らかに小さかった。どうせ組み上げたら目立たないので作り直さない。

●後端部のリブの工作。おそらく、後面板には牽引具等々が付いているため、通常のフレームだけでは強度的に不安があって付けられたものではないかと思う。タミヤのキットでは、このリブと同一レベルで床板が張られた解釈になっていて、パンダではこのリブとシャーシ底面の間くらいの高さで、やはり別に床板があるという解釈。うーん。どっちも根拠が知りたい。

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もちろん、このままだと床は凸凹しているし足は引っかけそうだし、別途床を張っていた方が使い勝手がよさそうなのは確かだけれど。

上の写真では未工作だった、後面板の「ドイツ軍が追加した牽引具に対応したリベット」の除去と移動を行い、また、下部の(元からある)牽引具基部のリベットを追加した。

床中央の、ドレイン穴とドレインキャップ?と思える丸い窪みについては、周囲にごくごく小さいボルトだかリベットだかがあるような、ないような……。まあ、とにかくあまりよく判らないので放置した。

とりあえず、貨物室の下半分に関しては、(エンジンルームとの間の隔壁を除いては)おおよそ工作終了。

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くろぬま閉店

●鎌倉・御成通りの(駄菓子屋向け雑貨店、とでも言えばいいのだろうか? 元はたぶん紙屋)「くろぬま」が先月半ばで閉店してしまった。

約10年前の大風でお店の南面が倒壊し、そこをベニヤ等々で応急修理して「これ、そのままでいいの?」状態で営業を続けていたが(下左写真に写っている左側)、張り紙によれば、おじいちゃん店主がお亡くなりになったらしい。ご冥福をお祈りしたい。

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個人的には、「くろぬま」は時折気が向いたときに「点取占い」を仕入れる店で、昔、神保町の事務所で缶詰作業をしていた時期には台紙ごと買って事務所の壁にぶら下げていたことも。そういえば最近はあまり買ってなかったなあ。

●facebookでT.Wongさんに教えていただいた話。

CAMs(Combat Armour Models/戰甲模型)のヴィッカース6t戦車のフィンランド仕様は、これまでに、評価試験用に1輌輸入した標準型(キット番号A008)と、メインの輸入分である後期型車体のボフォース37mm砲搭載仕様(キット番号A009)が出ているが、来年2月目途で、後期型車体の継続戦争における45mm砲搭載改修型(いわゆるT-26E)を発売する由(キット番号A010)。A009同様、エンジンルーム内を含めてインテリア付き。

個人的にはインテリアまで作り込む趣味はあまりないので、インテリア無しの廉価版が欲しいなあ、などと思わなくもないが、いずれにしてもフィンランド型は1輌欲しいかも。あまり活躍できなかったとはいえ、虎の子の新鋭戦車として参戦した冬戦争仕様(ボフォース搭載仕様)が欲しい。そちらはもう出ているはずなのだが、模型店では未見。

●今年3月初め、東京で「マンホールカード特別版」12種の発行が予定されていたのだが、新型コロナ感染症拡大予防の観点から配布が延期されていた。

20201210_180758 それが、ついこの間たまたま確認したら、11月19日から配布が始まっていた。3月に取りやめたものを、その時期をはるかに上回る規模でコロナ第三波が猖獗を極めている今になって再開するっていうのはどうなの?と思わなくもないが、それはそれとして、たまたまついでがあって千代田区版と世田谷区版の配布場所近くに行ったので、その2つを貰ってきた。千代田区の絵柄は、先日実物を見に行った、お茶の水の明大通りのアトム

配布場所は世田谷区が東急世田谷線三軒茶屋駅改札脇の「三軒茶屋観光案内所」、千代田区は千代田区役所向かいの「千代田区観光案内所」(神保町の事務所の近く)。 全12種配布場所リストはこちら。さすがにわざわざリスクを冒して遠出して貰いに行くタイミングではないと思うし、たまたま近くに行く「要」で「急」な用事なんてあるかなあ。

●コロナ禍のため、名越切通の途中にある「まんだら堂やぐら群」はしばらく公開が取りやめになっていたのだが、久しぶりに、10月24日(土)~12月14日(月)(土、日、月、祝日のみ)に公開されており、最終日近くに行ってきた。

名越切通は旧都鎌倉を取り巻く山を越える旧道の「鎌倉七口」の一つで、七口の中で最も南の端にあり、江戸時代の東海道の脇往還である西浦賀道(戸塚-浦賀)の一部でもある。まんだら堂やぐら群は、その切通道の脇にある、中世(鎌倉~室町期)の横穴墳墓群。

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管理のおじさん曰く、今年は例年に比べ(珍しく)モミジが綺麗、である由。確かにまんだら堂以外でも今年はモミジが色鮮やかなのが目につく。どうも、秋にことさら激しい台風が来なかったために、いつもなら大風や塩害にやられて満足に紅葉できないモミジが、今年は無事に残っていたということであるらしい。

下は、最初の2枚は名越切通から大切岸の尾根道を通って鎌倉側、「鎌倉市こども自然ふれあいの森」の斜面のモミジ。最後の縦長の1枚は鎌倉・二階堂の杉本寺から金沢街道を隔てた滑川。

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もちろん、逗子鎌倉の山々は美しく紅葉する樹種自体、それほど割合が高くないので、綺麗なのは「そこだけ切り取って写真を撮っているから」。「鎌倉の紅葉」なんて、テレビで大層に取り上げられているのを見ることがあるが、「色とりどりの紅葉の山」を期待して来たらガッカリするのは必定。

●ちなみに上写真の行程(名越切通~大切岸~ハイランド~二階堂)で、ハイランドから二階堂方面に行くのに、久しぶりに衣張山に登ったのだが、昨年秋の台風で倒木だらけのひどい有様だった衣張山南斜面は、おおよそ普通に歩ける程度には復旧していた。ただし、一部は(1年以上経って)まだこんな感じ。

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●ずいぶん昔、真冬に(父母の郷里の)奄美大島に行ったときに、道端でアサガオが咲いていて、「さすが南国」と思ったのだが、ふと気づくと、逗子でも、この季節に当たり前のようにアサガオが咲いていた。

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このアサガオ、逗子鎌倉近辺では割とよく見る野生種で、外来種のアメリカアサガオか何かなのかな?と漠然と思っていたのだが、アメリカアサガオは萼(がく)が細長く尖り、反っているのだそう。というわけで、これは在来種のノアサガオのようだ。日本在来種とはいっても比較的南方系のものなので、この近辺に大昔から生えていたのかどうかはよくわからない。

●小野不由美「十二国記」シリーズ、「白銀の墟 玄の月」刊行時の読者キャンペーンで、「未刊行の短編一編をいち早く読める」プレゼントがようやく届く。パスワード付きのwebページで1編読めるサービスなのだが、ほんの掌編かと思いきや、70ページ近くの、それなりの長さのものだった。題名は「幽冥の岸」。良し。

来年刊行予定の短編集に収録予定であるらしい。楽しみだけど、さて、予定通りに出るかなあ。

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ロレーヌへの道(5)――車体前部

●ヴェスペからII号戦車を作るとか、マーダーIIIから38(t)戦車を作るとかじゃあるまいし。

車体のレイアウトもいじっていないし砲塔もないんだから、荷台周りをちょっといじればOKだよね。

……と思っていた時代が私にもありました。ええ。

「ちょっと進もうと思うたびに泥沼にはまるタミヤ」症候群、および基礎疾患「そんな細かいところまでいじんなくてもいいだろドイツ軍」に苦闘中。おとなしく、Pandaからベースのロレーヌ牽引車のキットが出るのを待っていればよかった、などと思うことしきり。いや、出るかどうか判らないけれど。

●というわけで、タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の製作記の続き。

まずは、上記のように「そんなにいじらなくていいよね?」と思っていた筆頭格の車体前部上面パーツ(キットのパーツ番号、C13)。これが結構な落とし穴だった。

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 キットのハッチのヒンジは外装式だが、これはドイツによる改修の可能性大(後述)。キットのヒンジのモールドは削り取り、きちんと左右と連続するよう筋彫りを追加(これがなかなか面倒)。ハッチ側に、内装式ヒンジの逆三角形のリベットを追加(なぜか車体側にはないが、車体側は装甲板ではなくフレームに接続しているためだろうと思う)。

 この部分のリベットはソミュールのマーダーIにはあり、モスクワの10.5cm自走砲、アバディーンの15cn自走砲にはない。オリジナルのロレーヌでも、どうもあるもの、ないものが混在している感じ。とりあえず、「ドイツが追加したもの」というわけではないようなので残した。

 ノテク・ライトの基部モールドを除去し穴埋め。

 予備履帯パーツの取付穴を埋める。こういう部分、穴ではなくて凸とか、薄い筋とかで指示しておいてくれると手間が少なくて済むのだが、迷いなく穴を開けてしまうところがタミヤ(以前に書いたようにそれがタミヤの強みでもあるのだが)。

 ドイツで追加されたジャッキの受け金具のモールドを除去。

 ジャッキ支持架基部モールドを除去し穴埋め。

 キットは逆Ⅴ字型のホーンガードが付くようになっている。これはドイツで追加したものではなく、オリジナルのロレーヌでも付いているものがあるようだが、それほど一般的ではない感じ。他には「ガード無し仕様」と「ガードが1本だけ仕様」があり、とりあえず1本型にしようかと、片側の穴を埋め、リベットもガードの縁モールドごと削ってから再生した。改めて写真を見てみると、結局ガードのないものが多いような気もするので、この後気が向いたらもう片方も同様に処理するかも。

 ハッチのこの部分の裏には、消火器?と思しき装備が付けられていて、ハッチ表にはそのホルダー用の極小リベットが8つあるはず(モスクワの10.5cm自走砲、アバディーンの15cm自走砲にはあるが、なぜかソミュールのマーダーにはない)。戦時中のオリジナルのロレーヌではそこまで詳細に確認できる写真がないのだが、少なくともハッチを空けた写真では内側の筒形装備はほぼ確実にあるので、リベットもあると考えるのが妥当だと思う。現時点で未工作だが、この後追加の予定。

続いて、操縦席~エンジンルーム上面パーツ(C12)。

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 後半部分は、対戦車砲PaK40の砲架が載るために本車輛で最もイジられている部分なので、ばっさり切り離す。ここは最初から覚悟の新造予定。

 トラベルクランプ保持棒の取付穴を埋める。

 トラベルクランプ取付架の穴を埋め、リベットを再生。

 ルーバー付きの左右パネルは後方にがばっと開く仕組みになっているので、この部分にヒンジ(たぶん内装式のヒンジなので、その取付リベット)が2つずつくらいあるのではとも思うのだが、自走砲型の場合、戦闘室装甲に隠れてよく判らない(そもそもソミュールのマーダー、アバディーンの15cm自走砲では、この部分は失われて鉄板で塞がれているので確認のしようがない)。引き続き要調査。

●車体各部のハッチのヒンジについて。

上のルーバー部分についてはひとまず置くとして、この車輛にはハッチと呼べる場所が3カ所(乗員室の上下2枚のハッチと、車体右側の点検ハッチ)ある。

タミヤのキットでは、3カ所ともにごく単純な蝶番型の外装式ヒンジのモールドとなっているが、改めて実車写真をよく見ると、

・ソミュールのマーダーIは(キットの基本資料となっているようなので当然かもしれないが)3カ所とも外装式。

・アバディーンの15cm自走砲は3カ所とも内装式。

・モスクワの10.5cm自走砲は乗員室上ハッチが外装式、乗員室下ハッチと右点検ハッチは内装式。

戦時中の実車写真を見ると、少なくともマーダーIの場合は外装式の例が多いようだ。

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たとえば以前にも載せたこの写真(Bundesarchiv, Bild 101I-297-1701-21 / Müller, Karl / CC-BY-SA 3.0)だが、跳ね上げた乗員室前面ハッチ部内側の左右三角板にある、本来なら内装式ハッチヒンジのプレート式アームが通る穴がぽっかり開いているので、少なくともこの部分はすでに外装式ヒンジに改められていることが判る。

一方でオリジナルのロレーヌ牽引車の写真を見ると、はっきり内装式であると確認できる写真はあるが、外装式であると断言できる写真は見当たらなかった。というわけで、この外付けヒンジはドイツ軍の手に渡ってからの改修である可能性大。うーん。オリジナルの内装式は破損しやすかったのかしらん。

ちなみに、特に乗員室前面ハッチ(上側ハッチ)について言うと、全開状態のときに、外装式ヒンジの場合は(上写真のように)閉位置に対して180度か、むしろやや立ち気味になるのに対して、内装式ヒンジの場合は180度以上、もっと後ろ側に倒れ込むように開く。いずれにしても、単純に開いたままだと走行時の揺れでバッタンと閉まったりして危ないと思うが、ロック機構のようなものは見当たらない。ただし(ロレーヌでもマーダーIでも)半開状態の写真もあるので、何らかのストッパーは必ず付いているはずで、どうなっているのか謎。

とにかく、そんなわけで、ロレーヌを作る場合は3カ所ともヒンジを作り直す必要がある。まさに「ハッチ大作戦」。ハッジ・ハレフ・オマル・ベン・ハッジ・アル・アッバース・イブン・ハッジ・ダウド・アル・ゴサラ、と一息で言わされるくらい面倒。

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巡航戦車Mk.I(A9)CS THE WORLD AT WAR 1:72

20201204_193345 ●タミヤのロレーヌ製作記は一回お休み。

数日前に横浜VOLKSで買った、“THE WORLD AT WAR”シリーズの1:72、巡航戦車Mk.Iのキットレビューを。

“THE WORLD AT WAR”シリーズは、ポーランドIBG社による、主に大戦初期のAFVを出しているレーベル。これまではドイツ物ばかりだったが、今回、初めてそれ以外のアイテムとして、巡航戦車Mk.I(A9)を出してきた。2ポンド砲装備の通常型と、3.7インチ榴弾砲装備のCS(近接支援型)の2種の(たぶん)同時発売で、私が入手したのは、そのうちCSのほう(製品番号W-012、キット名称“A9 CS CLOSE SUPPORT BRITISH CRUISER TANK”)。

巡航戦車Mk.Iはポンコツ感あふれる外観が好きで、“THE WORLD AT WAR”から出ると聞いた時から「ぜひ欲しい」と待っていたもの。

Geckoの1:35(ブロンコからも出ているが、Geckoのほうがよさそう)も欲しいと思っていたのだが、私の製作ペースからすると35は買っても持て余しそうだし、キット自体も高いし……。お手軽なミニスケールで、それなりによいキットが出そうなら、それでもいいかな、と。

●実車について。

このA9は、「巡航戦車Mk.I」、つまり巡航戦車の第一弾ということになるが、設計そのものはイギリス陸軍が「巡航戦車」「歩兵戦車」の2本立てで行くと決める以前のもので、若干の紆余曲折はあったものの、中戦車Mk.IIIに替わる主力中戦車として開発が進められていたものだが、試作完成と前後して「2本立て」方針が決定する。

実際には本車輛は「足回りが高速走行には不向き」「エンジンが非力」と、巡航戦車に求められる要件(軽快さ)を満たしていなかったが、「いや、もう作っちゃったし」「装甲、薄いし」という消極的理由で、より本格的な、高速走行に適したクリスティー式の巡航戦車(A13)完成までの繋ぎとして採用された。

ちなみに、このA9をベースに歩兵支援用の「重装甲」の車輛として開発されたA10も、新たに設定された歩兵戦車の基準からすると軽装甲だと判断されて、「巡航戦車Mk.II」として採用されている。なんて場当たり的な。

内容は良くも悪くもメーカーのヴィッカーズ社らしさテンコ盛りな感じで、サスペンションはヴィッカーズ軽戦車やキャリア―系列同様の「スローモーション」タイプ。ただし前端・後端は大転輪とし、対になる内側は2つの小転輪とする特異な構成で、これはそのまま発展形である歩兵戦車バレンタインに引き継がれることになる(が、他にこの方式を真似た車輛は登場しなかった。「まあ、当たり前だよな」という感じ)。

操縦席左右に銃塔を備えた、要するに「多砲塔戦車」形式になったのは、開発者ジョン・カーデンの強硬な主張に基づくものだそうな(ちなみにそのカーデン自身は、開発途中の1935年末に飛行機事故で死亡している)。カーデンと言えば、カーデン・ロイド豆戦車の生みの親として名高いが、一方で、多砲塔の夢に憑りつかれた人でもあったらしい。が、結局はそのぶん乗員も増え、内部も窮屈で居住性・操作性は悪化している。そもそもこの銃塔、給弾ベルトが邪魔をして旋回範囲は見た目よりもっと狭かったらしい。ダメじゃん。

一方で、主砲塔は恐らく世界初の動力旋回式で、これはヴィッカーズ社が手掛けていた爆撃機の動力銃座から技術を応用したもの(時期を考えるとウェリントンか?)。航空機用動力銃座はボールトン・ポール社が開発、同社のオーバーストランドに初搭載され、その後各メーカーの機体に搭載されている。ちなみに巡航戦車Mk.Iの動力砲塔は油圧式だが、後の戦車は電動式に改められている、らしい。

また、対地雷の耐性を高めるための船底型車体も新しく、これは戦中の車輛では採用例は多くないものの、戦後はアメリカのパットン系列で一貫して用いられるなどそれなりに広まっている。

キット付属の小冊子によれば、50輌がヴィッカーズ社で生産され(T3492~T3542)、これらはすべて2ポンド砲搭載型。75輌がハーランド&ウルフ社で生産され(T7196~T7270)、うち39輌が2ポンド砲搭載、残り(前記登録番号のうちT7231~T7270)が3.7インチ榴弾砲(迫撃砲)搭載のCS型。合計で125輌が生産された。

実戦では1940年のフランス戦と、アフリカ戦の初期に用いられたのみで早々に姿を消している。

●キット内容。このシリーズ標準の構成で、いわゆるロコ組みの一体成型の足回りだが、そもそも車輛自体が複雑なのでパーツは多め。同シリーズのII号戦車a1/a2/a3型は枝2枚、II号戦車b型はごく小さな枝を含めて3枚、III号戦車A型はこのキットと同じく枝5枚だったがパーツ枝の大きさが違い、全体のパーツ数ではそれなりに差がありそう。表紙含め全12ページの実車解説/組立説明の小冊子付きで、本文はFIRST TO FIGHTシリーズとは違い、おそらく輸出仕様として英独対訳。

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車体上部は下写真のような感じ。操縦席バルジの左右面は、IBG系キットの常としては一体成型しそうな部分だが、このキットでは別パーツとして細かいリベットやビジョンスリット部分などを表現している。一方でエンジンルーム左右の通風孔は一体で単純な階段状表現。

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主砲塔は側・後面が一体成型。側面のリベットは抜きの関係で涙滴形に、後面は垂直なのでリベットは一切省略されている。このシリーズにしては珍しくメインハッチは別パーツで開閉選択式。砲塔前面/防盾パーツは通常のA9とA9CSとで差し替えている枝。2ポンド砲の砲身はサスペンション他小パーツメインの枝(Kパーツ)に含まれているが、砲塔前面/防盾の形状が違うので、このキットから通常型の組み立ては不可。

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2つの副砲塔(銃塔)は、側面はスライド型を用いた一体成型。モールドはなかなか細かい。車体開口部に引っかけるツメなどはないので、接着しない場合は(何らかの工夫をしない限り)ポロポロ落ちることになる。

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足回り関係。丸ごと一体成型の足回りの弱点は、履帯の接地面のパターンがどうしてもほとんど省略されてしまうこと、転輪が複列である場合には間が埋まってしまうこと、逆に転輪が単列の場合は複列になった履帯のガイドホーンの間が埋まってしまうこと、などがある。このキットの場合は、まさに「履帯のガイドホーンの間が埋まっている」典型例のような状態で、長方形のブロックが続いているような状態はかなり情けない。

最近では足回りが一体成型でもスライド型等を用いて接地面パターンを再現したり、少し前にレビューしたFIRST TO FIGHTのIII号戦車D型のように、一部部品を分けて複列の転輪の間を表現したりするキットもあり、このキットでもちょっと一工夫欲しかったところ。

一方、おそらく船底型車体でサスペンションが車体からかなり浮いている状態のためか、サス関係は車体と一体化しておらず別パーツ化されていて、これがこのキットのパーツ数を増やす主因となっている。もちろんこれ自体はキットの細密度を上げていてよいのだが、このために、それ以上のパーツ数増加を招く履帯部分の分割化はできなかったのかも、とも想像される。

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もうひとつ、このキットで大きな問題と言えるのが、なぜかフェンダーが、大型のサンドシールド付きのアフリカ仕様のものになっていること。しかもその形状が左右で異なっている(左側は大きなサンドシールド付き、右側はほぼオープン)のもよくわからない。GeckoのA10/A10CSのキットもそうなっているようなので、アフリカ型としてはこれはスタンダードなのだろうか? 通風孔の吸気側で砂をなるべく吸い込まないようにするためとか?

いずれにしても、このキット自体は箱絵も付属デカールも1940年戦役時のものだし、キットの塗装図もサンドシールドなしの初期型形状となっている。

不思議なのは、2ポンド砲搭載型のキット(製品番号W-011、キット名称“A9 BRITISH CRUISER TANK MK.I WITH 2PDR. GUN”)では初期標準型形状のフェンダーのパーツが入っていること。そちらの枝記号はJ、このキットのフェンダーパーツの枝記号はE。キットの組み立て説明図のパーツ番号でもE4、E3と書かれているので、たまたま私が入手したキットでパーツを入れ間違えました、ということでもないらしい。謎。ちなみに、“THE WORLD AT WAR”シリーズではこのあとA10(巡航戦車Mk.II)の発売も予定されているらしく、このアフリカ仕様のフェンダーは、もともとはそちら向けにパーツ化されたものかもしれない。

とにかく、キット指定の(そして私が作りたい)1940年戦役時の仕様で作る場合にはフェンダーの改造が必至。面倒な……。

というわけで、フランス戦当時のA9が作りたい場合(特にこだわりがなければ)2ポンド砲型を購入する方が楽ができる。

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そしてデカール。ブンデスアルヒーフにある、まさにこの写真の車輛のもの。第1師団所属、1940年5月27日、カレーにて。いや、だったらなんでアフリカ型のフェンダーのパーツを入れちゃうのか、と。

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●履帯のガイドの問題、フェンダーの問題(これについては2ポンド砲型ならOK)などあるものの、それなりに細かく再現された好キットではないかと思う。

ただし、HENK OF HOLLANDのキット評によれば、全長は1:72としてはややオーバーサイズだそうだ。実際、付属の小冊子に載っている諸元によれば全長は5.79mで、1:72なら80.4mm。キットはフェンダー部分の実測値で85mm弱。アフリカ型で若干フェンダー前後のサイズが大きくなっているとしても、4mm程度は長いことになる。全幅はおおよそOK。

なお、HENK OF HOLLANDの作例では、キットの履帯部分を削り落とし、イタレリ(旧エッシー)のバレンタインの履帯に交換している。エッシーのバレンタインはバンダイ48の縮小コピーで、バレンタインとしては極初期にしか用いられていない履帯が入っている。キット指定のアフリカ戦線仕様で作るには問題があるが、そのおかげで、このキットには流用が可能になっている。とはいっても、 もともとデッドストックで持っているならまだしも、わざわざそのために探し出して買うのもなあ……。

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ロレーヌへの道(4)――とりあえずの着手

マーダーじゃなくてロレーヌを作るぞお。

……という不退転の決意(大げさ)を示すために、キットに最初のメス(じゃなくてペンナイフとヤスリ)を入れる。

●そんなわけで、タミヤ「ドイツ対戦車自走砲 マーダーI」改め「フランス軍ロレーヌ牽引車」の(ここでようやく)製作記。

まずはシャーシの後面板。マーダーIは弾薬トレーラーを牽引するため、後面バルジ中央に大きな連結器を増設していて、キットの後面板にもその基部がモールドされている(写真左、初回に出した写真の再掲)。

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ロレーヌに先祖返りさせる場合、これは不要なので削り取る。必要なモールドは消さないように注意しながら、この基部の凸部だけ削るのはひどく難儀な(それなのに地味な)作業で、さらに「二の字」のダボ穴はベースとなる装甲板表面よりさらに窪んでいるので埋める作業も必要になる。

いっそこの面のモールドはすべて削り落としてしまって後から再生するか、あるいはこの面自体を除去してしまってプラバンで作り直すかしたほうがよかったかもしれない(もっとも、オープントップの車輛なので、後者の場合は面の裏側のモールドも作り直す必要が出てくる……それが嫌だったのでちまちま削る道を選んだのだが)。

削り取った後は、牽引基部に隠れていた個所のリベットを再生。ここで悩んだのがリベットの位置。普通に考えれば上辺と同じ間隔・数でいいようにも思うが、もしかしたら、牽引基部下辺のリベットは、元のロレーヌのリベット穴を利用しているかもしれない。

と、一番最初の工作でいきなり行き詰ってしまいそうになったが、幸いなことに、セータ☆さんから、後面のリベット列がしっかり写ったロレーヌの実車写真を教えて貰い、上辺と同じ配置であることが確認できた。さらに、モスクワにある10.5cm自走砲のwalkaroundでも同様の配置であることが判って考証を補強できた。

なお、パーツの裏面にも連結具基部に対応したリベットがモールドしてあるので、そちらも削り取る(一部は位置をずらす)必要がある。

初回にも書いた、貨物室(戦闘室)床板問題。一部繰り返しになるが、簡単にまとめてみると、

  • タミヤのキットの戦闘室(貨物室)床板は、後端部の補強リブとツライチのかさ上げされたものになっており、前端はそのまま砲弾ラック下部になっている。
  • RPM、IRONSIDEのキットはシャーシ底面がそのまま床。
  • PandaのマーダーIは、底面とタミヤの床板の間くらいの位置で、これも別の床板がある解釈。砲弾ラック下部は床板から一段上にある。
  • ソミュールのマーダーIの現存車はシャーシ底面がそのまま床。
  • モスクワの10.5cm自走砲の現存車は、現在はかなり高い位置(左右の張り出しと同一レベル?)くらいに縞板(滑り止め模様付き鉄板)の床板が作ってある感じ(例えばこれ)だが、砲搭載レストア前はシャーシ底面がそのまま床。
  • 15cm自走砲は、戦時中の記録写真によれば、タミヤのキットと同一レベルで床があり、その下が何らかの収納部になっているらしい(シュピールベルガーの鹵獲車輛本に上方から撮った写真あり。ドイツ語版ではp137)。
  • 同じくシュピールベルガー本に出ている、出典不明のVBCP 38Lの透過図では、タミヤのキットと同一レベルに床板?と思われなくもないものが描かれている(char-farancois.netの同一図)。どこかでTRC 37Lの同様の図も見たような……。

悩ましいが、ロレーヌそれ自体の貨物室内の写真が手元にない以上、どう作るにしても想像の域を出ない。

一方で、タミヤのキットの側壁は上げ底の床板があるのが前提のパーツ形状になっていて、床板から下が一段厚くなっている。つまり、床板をなくすと芋づる式に手間が増えてしまうわけで、それが面倒で、とりあえず「タミヤのパーツに準拠した床板あり」設定で行くことにする。

もちろん、前端がPaK40の弾薬ラックのままではまずいので、この部分を切り飛ばし、プラバンで再生する。

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●……という床板工作は、実は、モスクワの10.5cm自走砲のwalkaround写真集を見つける前にやったもの。しかし、同車の砲搭載前のこの写真などを見ると、もともとかさ上げされた床板があったような痕跡すらない(補強リブより前方に、床板を付けてあったようなボルト跡とか、溶接跡とかが存在しない)。これは、ソミュールのマーダーに床板がないのも、元からだったんじゃ……。

そんなこんなで、改めて「床板無し設定」に大きく傾いた結果、今度は車台側面パーツを床板無しに合わせるための工作を始める。

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上がキットパーツママ。下が加工済み。床板パーツに隠れる下の部分は厚くなっているので、これを上側と同じになるまで削り込む。均一に厚みを削り飛ばす電動工具などあると楽そうだが(以前にkunihitoさんがIV号戦車D型の製作でそのような工具を使っているのを同氏のサイトで見た)、そのような文明の利器は我が家にないので、ペンナイフとマイナスドライバーを研いだノミでちまちま削っていく。

すごく面倒くさい。

マシニングセンタの摺動部をキサゲで削る職人になった気分(判りにくい例え)。後端部で少し段差が残っているのは、どうせリブに隠れるため。ああ。もう一枚これをやるのかあ……。

なお、パーツ上端に飛び出している三角形のモールドは、マーダーIの7.5cm砲弾用ラックの上板を支えるものなのでロレーヌには不要。これも綺麗に削り落とす。

●一般に、タミヤのキットは「部品の合いもよいうえ、取付間違いなどもないよう十分に配慮されていて非常に作りやすい」という評価だが、これはあくまで「説明書の指示通りに、指定のタイプ・仕様で作る」範囲であって、ちょっと型を変えてみようとか、考証上違っていると思われる部分を訂正しようと思ったりすると、むしろかなり面倒になることが多い。

これは、前述の「組み立てやすさ」とのバーターで、実物とは違う構造になっていたり、(指定の仕様で作る分には隠れてしまうところに)大穴があったりして、単純に「ここを変えよう」という作業以前に、ベーシック/ベアな状態に戻すための作業が加わってしまうため。結局のところ、普通に作る分にはやや面倒である他のメーカーの製品のほうが、ちょっと改造する場合には格段に楽になったりする。

もちろん、これはキット設計上のメーカーのポリシーの問題だし、それで得られる「ストレートに作る際の容易さ」はタミヤキットの大きなメリットでもあるので、それをことさらにとやかく言うつもりはない。

ただ、「これだけは作ろう」で、AFV模型の「改造する楽しみ」を最初に広めてくれたメーカーであるタミヤが、実は改造のベースとしては結構厄介だというのは、ちょっと皮肉な気もする。

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ロレーヌへの道(3)――タミヤ以外のキットと若干の補足

●タミヤ以外の35のロレーヌのキットについて少々。

▼レジンキット

まずはフランスのAl-By。確か同社の最初期のキットだったと思う。Al-Byのレジンキットは、同社独特のちょっと粘り気のある感じのレジンで出来ており、また「レジンキットはそういうもの」と言ってしまえばそれきりだが、ディテールはかなり一体成型の部分が多い。履帯は車体本体と同質のレジンである程度の長さが一体になったもの。ドライヤーなどで温めて柔らかくして取り付ける方式。確か、まだキヤホビーが青梅街道の北側の古~い建物にあった頃か、ホビースポットUが池袋にあった頃に買ったようなおぼろげな記憶が。

同社製レジンキットの共通の弱点として、平面があまり綺麗に出ていない傾向はあったものの、それなりに精密感のあるよいキットだったように記憶。確か起動輪の片方が行方不明になってしまってお蔵入りしてそのまま。今やストック棚の奥底のカンブリア紀の地層に埋まっている。

ほか、レジンキットとしてはMB modelsとかCommanderとか、割と古(いにしえ)のメーカーのいくつかから出ていたようだが、その辺の内容は未見(もしかしたら、この辺はドイツ軍自走砲型だけかも)。

たぶん最新(そして最良)のレジンキットとしてBrachModelのものがある。これも私は未所持だが、hn-nhさんが15cm sFH 13/1自走砲型キットを製作しているので、詳しくはそちらの製作記を。

RPM

ロレーヌ初のインジェクションキット。今回、比較のために模型棚から発掘しようと思ったのだが(Al-Byのレジンキットよりは浅い白亜紀くらいの地層にある気がするのだが)発見できなかった。

おぼろげな記憶と、かつての「河馬之巣」のフランス軍車輛キットリストの記述を元に書くと、一応、成型状態はカッチリしているものの、ディテールの再現度は今一つ(というか今二つか三つ)。車体は箱組みだが、足回り基部に関して、なぜか床板と側板の位置が合わない。操縦席は簡単な椅子のモールドを除きからっぽ。

履帯は(少なくとも私の手元にあるものは)インジェクションの1リンクずつバラバラのものが入っているが、1リンクあたりゲートが5つもあるので組立は面倒くさそう。版によってはベルト式の履帯が入っているものもあるらしい。

同社からは、最初に37Lのキットが出て、そのあと、ドイツ軍の15cm sFH 13/1自走砲、砲兵観測車、そして兵員輸送型の38Lも発売されているが、同形式のバリエーションの箱替えとかデカール替えとかのリニューアル版もあって、ラインナップはかなり混沌としている。

VBCP 38Lのキットは37Lのキットに、兵員室部分の装甲板を上につぎ足す形で追加パーツが入っているが、そんなふうに装甲板を継ぎ足しているのはおそらく38Lの試作車で、生産型の兵員室側面板は一枚もののはず。また、この追加パーツのリベットは元の37Lキット部分よりかなり大げさで、そのままではかなり違和感のある出来。

一方で、少なくとも私が持っている版の38Lのキットには、かなり大判のエッチングパーツが入っていた。サススプリングの結束具とか、工具受けとか、そういえば兵員室の内側のフレームとかも入っていたような記憶が(あやふや)。

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RPMの37Lからそれほど間を置かずに発売になったもので、発売時には「箱替え?」と思ったのだが、全く別物。このキットはたまたまストック棚の浅いところにあってすぐに発見できた。

中身は簡易インジェクションと思しき基本パーツの枝3枚(車体、および足回り×2)、レジンのトランスミッションとエッチングパーツ、デカールという構成。

ディテールの再現度に関してはRPMより上なのだが、成型状態が甘いので、結局、「まあ、RPMよりはマシかな」程度に止まっている。ただ、運転室がレジンのトランスミッション込みでそれなりの内容で再現されているのはポイントが高い。車体側面パーツにもレバー(スロットル?)と操作ロッドがモールドされていたりする。

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タミヤのマーダーでは潰されたり撤去されたりしている部分、ラジエーターグリルと荷台の後面版は……。

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こんな感じ。前者は幅が合えば流用してもいいかもしれないが、若干寸足らずの可能性あり(ちゃんと測っていない)。後者は工具ラックがモールドされているのはいいのだが、そのため上部リベット列がその部分で飛んでいるのは「流石にそれはないんじゃない?」という感じ。厚みも不満なので、ここは自作かな。

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タミヤで不満のリーフスプリングは、一応、細かく重なった形状を再現しようという意図は感じられるものの、いかんせんモールドが甘くて、これでは代替流用候補には成り得ない。

PANDA hobby

とりあえず現時点ではマーダーI、15 cm sFH 13/1自走砲、10,5 cm LeFH 18/4自走砲と、ドイツ仕様の自走砲3種のみを発売している。実質的に、インジェクションでタミヤのライバルキットと言えるのはこれだけだと思う。といっても、私自身は持っていないのであまり詳しいことは言えない。

履帯はインジェクション非可動の1コマずつの連結式。少なくともサススプリング部分については(ネット上の写真を見る限りでは)パンダのほうがよさそう。操縦席に関してはタミヤ同様に再現されておらずハッチも閉状態。

●タミヤのキットについてのいくつかの補足。

▼たまたまジャンクパーツを漁っていたら、20年以上前に発売されたヴェスペのリーフスプリングのパーツがあったので並べて撮影。

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……なぜ退化しているですか(泣)。ドイツ製車体とフランス製車体の扱いの差?

これに関して、一時、「これ、奥行き削って長さも根元で切り詰めたら流用できるんじゃ……」と思ったのだが、曲がり具合が違うのでちょっと難しそう。先端に向けてしごいて曲がりをきつくすることも可能かもしれないが、12個同じように曲げるのは面倒くさそうだ。

▼履帯の装着方向に関して、説明書では、

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――このように指示されている。しかし実際には、フランス軍においても、ドイツ軍においても、装着方向は割といい加減。ドイツ軍車輛に限ると、装着方向はキットの指示とは逆方向のほうがむしろ多いような気もする。

▼足回り再び。

キットのサスペンション部品を改めてよく見ると、車体左側用のサス列(左写真の上側)、後ろ側の小転輪(右側)の横に、右側用サス列にはない謎の小突起がある。拡大して撮った写真が右。

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ソミュールの現存実車を見ると、確かにこの位置にだけ、このような突起がある(ただし、キットではまん中が単なる窪みだが、実車では穴が貫通している)。エル・アラメイン戦争博物館所蔵、あるいはイラクにあった15cm自走砲でも、同様にこの位置にある。

が、アバディーンの15cm自走砲では付いていない様子。戦時中の実車写真でも、これが確認できるものが見当たらない(奥まった位置にある小さな突起なので、陰になって見えていないだけの可能性もある。……何ナンダコリャ。

▼facebookで話題に上っていて(もともと平野義高さんが書き込んでいて、それが「AFV模型製作研究会」グループでシェアされていた)「ありゃ、ホントだ」とようやく気付いたネタ。

タミヤのリーフレットのソミュールの実車写真で、車両後部左下に、何やらどこかにぶつかってひしゃげたようなラックが写っていて、「これはいったい何なんだ」という話。大きさからすると、ジャッキ台かジェリカン用か?

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とはいえ、戦時中の実車の写真を見ると、ここに何らかの装備をぶら下げていると断言できるものは見当たらず、逆に(右写真のように)明らかに何もついていない例は確認できる(wikimedeia commons、ブンデスアルヒーフ所蔵のBundesarchiv Bild 101I-258-1326-14, Frankreich, "Marder I".jpg)。どうもソミュールの車輛のカスタム装備の可能性が高いのではと思う。

▼タミヤのキットの側面装甲は、運転室部分とエンジンルーム部分の境に装甲板の継ぎ目/段差がある。

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確かにソミュールの実車では確認できる特徴なのだが、他では確認できず(戦時中の実車写真では、そもそも鮮明なクローズアップが少ない)。もしやソミュールのマーダーだけの特殊仕様とか? などと、内心、結構戦々恐々。

なお、側面前下部にある車幅表示灯?(放射状のリブの付いた小ドームのモールド)は、元のロレーヌ由来の部品だが、マーダーIの場合はあったりなかったりなので個別車輛を作りたい場合は注意。

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