ナラ枯れ
●名越の大切岸上の尾根道を歩いていたら、ナラ(コナラ?)の大きな木の根元あたりが、まるできな粉を一袋ぶちまけたように粉だらけになっているのに気付いた。
よく見てみると、その大木はすでに立ち枯れていて、しかし枯れてからそれほど時は経っていないらしく、葉は落ち切っていなくて、この季節だというのに紅葉したように真っ茶色になっている。さらに気を付けて歩ていくと、「粉だらけの立ち枯れのナラの樹」は一本だけでなく、尾根道沿いだけで4本も5本もある。
帰宅して調べてみると、どうやらこれは、現在全国的に被害が拡大している「ナラ枯れ」という現象で、カシノナガキクイムシというキクイムシの食害をきっかけに「ナラ菌」と呼ばれる菌類が増殖、枯死に至るというものであるらしい。根元に積もった「きな粉」は、このキクイムシの食害で幹に開いた穴からこぼれ落ちた、木屑と虫糞が混じった「フラス」と呼ばれるもの。
ナラ枯れの実態やメカニズムについては、独立行政法人 森林総合研究所 関西支所が作成したパンフ、「ナラ枯れの被害をどう減らすか―里山林を守るために―」がよくまとまっていて判りやすい。
伝染病で何やらえらこいとになっているのは、人間の世界だけではなかったらしい。
調べた後で、改めて逗子の街を囲む山を眺めてみると、山肌の雑木林の中にぽつぽつと真っ茶色に立ち枯れた樹が見える。結構この辺りでも急速に拡大しているようだ。
ここ2年くらいでぱったり姿を見なくなってしまったトラマルハナバチとか、どうも身近なところでじわじわヤバイことが進行中という気が。
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コメント
ナラ枯れという現象があるんですね。コナラやミズナラ、シイノキなど里山の樹木に蔓延すると怖いですね。
若木は被害を受けにくいと書いてありましたが、やっぱり里山に人が入らなくて放置、更新されなくなっったことが大きいんですかね。
松茸が生えなくなったのも落ち葉が堆積して土壌が富栄養化しているのが影響しているみたいですね。戦時中に燃料不足で山に薪や落ち葉を集めにいってたために山が痩せて、戦後は松茸が大豊作だったとききます。うちの婆さんも昔は松茸を普通にすき焼きにいれて食べてた、と言ってました。
投稿: hn-nh | 2020年8月 9日 (日) 07時37分
昨日も名越大切岸上をちょっと歩いたのですが、気を付けて見てみると、現在は立ち枯れまで至っていない(まだ緑の葉を付けている)ナラの樹でも、すでにキクイムシのフラスが根元に積もり始めているものが多くありました。
どうやら、この夏を乗り越えられる(逗子の)ナラの樹はだいぶ少ないんじゃないか、という印象です。
仰る通り、三浦半島の山々の雑木林は基本は二次林なんですよね。もともとはまぐさ場として定期的に山焼きされて、林というよりは草地だった場所が多いのではないかと思います。
投稿: かば◎ | 2020年8月10日 (月) 10時28分