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新製品ニュース

●前回記事へのコメントで、めがーぬさんから第一報を聞いて仰天したニュース。タミヤから、

  • IV号戦車F型
  • マーダーI(7.5cnPaK40搭載ロレーヌ牽引車)

が発売される由。7月1日、2日に開催された静岡模型教材共同組合主催の商談会の場で発表されたらしく、3日付のタミヤのツイッターでも公表されている。

田宮会長が旧製品のリニューアルを積極的に図っていきたいと語っていた旨、“ハラT”青木伸也氏のつぶやきで読んだ覚えがあるのだが、上のIV号F型はその流れかな、と思う。

旧キットで出ていたD型ではないのは違いがあり過ぎて既存の設計データや部品の使い回しが基本全くできなくなるためかと思う。よくよく写真を見ると、見本の前の札に「砲塔、車体上部、履帯、人形など主要な部分は新規開発。(グレー成型色の部分)」と書かれていて、要するに車体下部や転輪等は、既存のH初期型キットからの流用ということになる。中型ハブキャップの幅広転輪はすでにH型キットで使われているのでそのまま、履帯はベルト式でなく部分連結式に変更だろうか。ハンガリー軍IV号戦車の“主力”がF型だったことを考えると、タミヤのY氏の陰謀もありそうな気もするが、それなら38(t)がG型ではなかったのが解せぬ(笑)。

タミヤの最近の新製品の傾向を見ると、特定の仕様・塗装例に準拠した構成にしている場合と(たとえば38(t))、塗装例とは細かい仕様が違っていても比較的標準的な構成でまとめている場合と(例えばKV)の2系統があるような気がしているが(あるはそこまで考えていないのかもしれないが)、このIV号F型の場合はどんな出し方をしてくるのかもちょっと気になる。

もっとも、F型以降は傑作・新作キットがすでに存在しているのに対し、D型は今なお最もマトモなキットが、最初の箱組からすでに難儀な旧トライスター(現ホビーボス)であることを考えると、「なんでD型じゃないんだ!」と言いたいIV号マニアは多そう。F型じゃ大戦初期(フランス戦まで)のシーンにも使えないしね。

ロレーヌベースのマーダーIについてはさらに驚き。今世紀に入ってからのタミヤの新製品で、個人的に「ええっ、そんなの出すの?」と最も驚いたのはルノーUEだったような気がするが「(シムカとかはUEの後だったし、ちんまいキットだったのでまだショックが小さかった)、それに匹敵するかも。しかし、原型のロレーヌ牽引車は、展開として想定はしているだろうけれど、いつ出してくれることやら……。

もういっそのこと、マーダーIとロレーヌ牽引車のコンパチにしてくれないかな……。38(t)ベースのマーダーIIIなどと違って大胆なレイアウト変更とかはないわけだし。

●上で名前の出た青木氏は現在タミヤのKV-1をこつこつ組み上げてそろそろ塗装に入ろうかという段階に到達している。しかし改めて考えると、氏はタミヤのKV発売に前後して「タミヤの新KVの部品取り用に」と、トランぺッターのKVを2輌も新規調達したはずなのに、パーツを一つも流用した気配がない。

私自身はといえば、とりあえず部品取り用のトラペKV(KV-2)を1輌持っていて、誘導輪はそちらを使おうか迷い中。転輪のゴム抑え板もできればトラペのものを使いたいのだが、今後のことを考えると、ゴム抑え板はそのまま使うのではなく、複製量産して使いたい感じ。

小さく平たいパーツなので、型自体は「おゆまるくん」の片面取りでいいとして、複製材料はお手軽で/安価で/気泡が残りづらいのは何がいいのだろうか。KVのゴム抑え板程度だと複製材料の量自体少なくて済むので、キット一つ複製するような量のものは確実に余す(そして使い切る前にダメにする)可能性が高い。もう数十年前に、KV初期型転輪を作るのに2液混合無発泡ウレタンを使って以来、まともに複製はしたことがなく、「複製経験値」が著しく低いので、適当な材料がぱっと浮かばない。「ちょっとした複製ならこういうのがいいよ」というお勧めがあればぜひご教授下さい。

さらに脱線。青木氏のツイートの中に、「ねこちぐら」に名前を残したことで(ごく一部で)有名なフォン・ツィーグラー博士の名前が出てきて、久しぶりにその名前に接して懐かしくなる。あまりに懐かしかったので、20年以上前に書いた「ニイガタハシリマイマイ」の記事を復活させてみた。

今読むと「なんで一種しかいないのに学名に亜種名が付いてるんだよ」とか、「殻が軽量といっているカタツムリがかかとにあたってもビックリはするかもしれないけど骨折はしないよな」とか、いろいろツッコミどころはあるもののそのまま。

●前回記事に関わるこぼれ話。

▼裁判員・補充裁判員には日当・交通費が支払われる。日当は拘束時間当たりで一日一万円が限度。交通費は「こうやって来ています」という申告は不要で、勝手に裁判所側で経路と値段が算定される。書いてあった金額は私が実際に使っている交通費より若干低く、基本「一番安い経路」で算定されるらしい。今回は天気が悪い日も多く、逗子駅と自宅間はバスを使うことも多かったので交通費的には足が出た感じ。

もっとも、徒歩の部分のキロなんぼで計算されるらしいので、「逗子から横浜地裁まで歩いてこい!」というようなことにはならない。

▼現在はネットが発達している世の中なので、事件によってはネット上にも様々な情報が流れていることがある。基本、裁判員裁判の対象になるのは注目度が高い重大事件であることが多いので、それだけネット上の情報も多くなる。が、あくまで裁判員が下す判断は法廷に出てくる証拠にのみ基づかなければならないので、「予断に結び付きかねないので、わざわざ調べるようなことはしないでください」と念押しされた。

▼横浜地裁は裁判員制度導入直前に改築されていて、そのため、実は細かいところで裁判員制度に適した建物の構造になってないんですよ、というような話を聞いた。

ちなみに裁判員制度が導入されてほぼ10年。裁判官のほうも、若手は最初からこの制度下で裁判を行っているわけだが、ベテランはこの制度導入前あら仕事しているわけで、それまでは(裁く対象である被告人は別としても)基本は検事、弁護人という「法律のプロ」と仕事を進めていればよかったものが、いきなり素人を相手に、引率の先生か添乗員みたいな仕事をしなければいけなくなったわけで、なかなか大変そう。裁判官に求められる資質も違ってきているのかもしれない。

ただし、「裁判を身近で判りやすいものにする」「裁判の中に一般市民の感覚を取り入れる」という制度の目的の一方で、うがった見方をすれば、「素人の裁判員たちを上手に、それと気付かせないように意見誘導してまとめ上げる」のが優れた裁判官であるということになりかねない、という危惧も当然ある(今回の裁判では逆に「えっ、裁判官って、素人の裁判員の言うことをいちいちそこまで取り上げて検討するの?」と思ったりしたが)。

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コメント

現在素組み中のタミヤKV-1が仕上がったら,次に独ソ戦開始時点の仕様のKV-1を,タミヤベースにトラペのパーツを流用して作ってみたいと思っています(計画).その頃にはタミヤ用エッチングパーツも出ているだろうし.
タミヤの砲塔を,前後の稜に溶接ラインが見えるタイプに改造する場合,手を加えた部分の装甲板のテクスチャーをどうするかが問題ですが.(全面を一旦ツルツルに削って統一することになりそう)
現時点ではトラペのパーツを注型複製するよりトラペのキットを買った方が安いよ.

投稿: 青木伸也 | 2020年7月 5日 (日) 00時25分

最近のタミヤは楽しみなの多いですね。
四号Fについてはアフリカごっこしたいです。
マーダーについては、Pak40がどんな構成になるのかが非常に気になります。
砲身グループと駐退レール一体だったら嫌だなぁ・・・

投稿: みやまえ | 2020年7月 5日 (日) 00時39分

パーツ複製はUVレジンが準備の手間が少なくて楽かなと思ったけど、複製作業にかける時間と手間と材料費を考えたら、
青木さんの言うようにトラぺのキットを部品どり用の「アフターパーツ」としてしまうのがコスパよいのかも。
どこかのサードパーティからレジンパーツが出たとしても2000円は軽く超えそうだし。

投稿: hn-nh | 2020年7月 5日 (日) 06時29分

>青木君、hn-nhさん

複製よりも、素直にトラペを買っちゃう……。うーん、やっぱりそうなりますか。
初期シリーズは2000円そこそこで買えちゃう、というのは、やはり大きいですね。どこかで見つけて調達することにします。

>みやまえさん

マーダーは決して嫌いじゃないんですが、やはり個人的にはベースとなったロレーヌ牽引車が欲しい!
マーダーIの実車は、ベースは基本無改造で、荷台?前に砲架を据え、荷台に弾薬箱を置き、戦闘室装甲板をかぶせただけのようなので、キットでベース部分がどれだけ再現されているかが気になります。

投稿: かば◎ | 2020年7月 5日 (日) 09時54分

かば@様。私トラペのキット、KV1の39年型、41年型、KV2の39年型をストックしておりまして、タミヤの新KV1も入手しました。これらを合体して1940年型をいつか製作しようと思っています。キットを部品どり用の「アフターパーツ」とするのは勿体無いことですが既にⅢ号指揮戦車で経験済み。目的の為にはいかなる犠牲も厭いません。現在ドイツの8輪重装甲車に傾注しており、パッションモデルズのエッチングが出た時点で製作計画を練るつもりです。それまでは製作のポイントとして、かば@様の記事に注意をはらい情報収集に努めます。

投稿: | 2020年7月 5日 (日) 19時46分

>はい人28号さん

凝り性のはい人28号さんが本気でKVに取り組むと、すごいものが出来そうです。楽しみなような怖いような。
記事にも書いたのですが、現時点で、タミヤのKVが決定版!というのにはちょっと至らない感じ。トラペとタミヤをうまく組み合わせるのがよいようです。

ただ、「タミヤをベースに、トラペのパーツをあれこれ流用する」というのが基本になりそうですが、それもケースバイケースで、例えば1940年型でも初期のものを作る場合には、エンジンデッキのボルトが尖頭タイプになっているトラペの車体のほうがいいという場合もあるかも。

投稿: かば◎ | 2020年7月 5日 (日) 20時05分

かば◎さん

この際だから整理のためにタミヤとトラぺでいい感じに作るための
部品取りを箇条書きにしていただけると助かります。

転輪を複製はやめた方がいいです。
トラぺを使えばいい。
でも、タミヤとトラぺの違いが何というのか転輪の蓋側周辺のR刻みだとしたら
タミヤのものを彫刻刀で刻めば済むのでそうすべきかと思います。
しかし誘導輪は決定的なのでどうせなら全て部品取りしたほうが効率がいいかもです。

彫刻刀:パワーグリップは優れものです。
https://www.amazon.co.jp/ミキショウ-Mikisyo-三木章-パワーグリップ彫刻刀-丸1-5MM/dp/B003PG0FSI?ref_=s9_apbd_otopr_hd_bw_b2E1nWF&pf_rd_r=ASN46J34RBEQZ21DF6N2&pf_rd_p=335fbda2-1623-5204-96d1-38355ed6d738&pf_rd_s=merchandised-search-10&pf_rd_t=BROWSE&pf_rd_i=2039563051

投稿: hiranuma | 2020年7月 5日 (日) 20時34分

>hiranumaさん

そうですね……。
唯一確実なのは、溶接タイプの砲塔はタミヤを使った方がいい、ということでしょうか。
あとは起動輪も、トラペのものはボルト位置がずれていることがあるのでタミヤが良いです。

車体は、1940年型から41年型の初期までは基本タミヤでOKですが、エンジンデッキのボルトを尖頭タイプにしたいならトラペ。
上記よりも前の型、後の型ならトラペ。

転輪は基本トラペのものを使うのがよくて、上部転輪は1941年型以降はタミヤ。

こんな感じですかね。あとの細かい部分は仕様によってケースバイケースでしょう。

投稿: かば◎ | 2020年7月 6日 (月) 03時21分

本文を読み返してたら、そうですよね、IV号はD型がほしいですよね。
ブルムベアの弾薬車とか作れるのに。

投稿: みやまえ | 2020年7月 9日 (木) 21時52分

私もD型が欲しくてことあるごとに製品希望をリクエストしていました。
でもへそ曲がりなタミヤのことだからF型にするかもと思っていたのが当たりでした。
これで比べる戦車やフィギュアなど時期が全く違ってきますね。
転輪は既存のものを使用する様でゴムタイヤの幅クリヤーするのでしたっけ?
この調子で行くとシャーマンM4A2はどうなるか、、

投稿: hiranuma | 2020年7月 9日 (木) 22時46分

先の投稿間違いでM4A1(鋳造車体)です。

投稿: hiranuma | 2020年7月 9日 (木) 22時50分

>みやまえさん

>>ブルムベアの弾薬車とか作れるのに。

なんともマニアックな。
というより、私はそもそも「D型ベースの、ブルムベア用の弾薬車がある」ということ自体知りませんでしたよ。

>hiranumaさん

おそらく熱烈タミヤファンであるhiranumaさんには納得いかない話かもしれませんが、ここのところの新興メーカーからのIV号戦車攻勢からすると、そう遠くない将来にどこかのメーカーからかっちりした初期型IV号が出るような気もします。
再現度の高い初期型IV号を期待するのであれば、むしろそちらのほうがいいような気も……。

タミヤにとって「D型でなくF型」なのは、開発コスト的に致し方ないところかと思います。
「R35とかKVよりもIV号のほうが売れるでしょ!丸ごと新規開発したっていいじゃないの!」って考え方もあるでしょうが。

私自身「~から~が出たらいいなあ」という希望はもちろんあれこれありますが、基本、それは「出ればめっけもの」的な感じで、「出せ~出せ~」とは言いません(笑)。

投稿: かば◎ | 2020年7月10日 (金) 14時19分

今更ですがタミヤの新製品、マーダーⅠですか。(me20さんが小躍りしていそうですが…。(^_^;)

私的には付属の上を見上げる2体のフィギュアが良さそうなので(←そっちかい!)買いですね。

バリエーション展開としては15cm自走砲は有りそうですがロレーヌ牽引車の方はどうでしょうね…。(^_^;)

あ!タミヤニュースの「これだけは作ろう。」で出るとか。(^o^;)

Ⅳ号F型
>ハンガリー軍IV号戦車の“主力”がF型だった
あ!Σ(゚Д゚)そうでした。買わなくては!

余談ですが、新製品といえば来月発売予定のズベズダの1/35M4A2は値段の安さと付属の缶詰に吊られてポチてしまいました…。(^_^;)

投稿: M.N | 2020年7月11日 (土) 11時47分

>M.Nさん

他のメーカーだと、マーダーIを出すなら矢継ぎ早にバリエーションが出て、当然おおもとのロレーヌ牽引車も出るのでしょうが、タミヤはバリエーションは最小に抑えるし、当然最初から想定しているバリエーションに関しても「いつ出ることやら」ですからね。

私も、マーダーIが出た段階で、それほど手間なくロレーヌが作れそうならロレーヌそのものの発売を待たずに買っちゃいます。

投稿: かば◎ | 2020年7月11日 (土) 13時45分

>ズベズダの1/35M4A2
CGの時点で、トラベリングロックが76mm砲用だったので
イヤな予感はしていましたが・・・
転輪とか砲塔バスルとかスコップとか
似てないんじゃね?な箇所が多いキットの模様

投稿: めがーぬ | 2020年7月11日 (土) 15時40分

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