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ほっち、きっす、頬寄せて♪

●……なんて、お馬鹿な替え歌を歌ってみたり。この元歌が判る人って、結構年配なんだろうなあ、と思いつつ。

●バレンタインをいじる一方で、me20さんのオチキス工作を横目で見ていて気になって、キットを引っ張り出してきたのは先に書いた通り。

結局、ブロンコとピットロード/トラペのどっちをベースにしたらいいのよ?ってところまでよく判らなくなってきたので、ついでに出してきたエレールのキットも含めて、シャーシ・パーツの比較をしてみた。

まずは比較検討の基準の参考として、実車写真を二葉ほど。

1024pxnational_museum_of_military_histor H38_yad_lashiryon_031

ともに、wikimedia commonsより。

左写真はブルガリア、ソフィアの国立軍事史博物館所蔵車輛、ファイル名:National Museum of Military History, Bulgaria, Sofia 2012 PD 071.jpg、作者:Bin im Garten

右写真はイスラエル、Yad la-Shiryon博物館所蔵車輛、ファイル名:Military vehicle in the Yad la-Shiryon Museum 031.jpg、作者:Anton Nosik、より切り出し加工。

●まずはブロンコ。

20200520_121738 20200520_194028

・シャーシ全長(後面ブロックが三角に出っ張った部分の頂点からギアハウジングの先端まで、以下同)は111.0mm。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは109.0mm。
・起動輪軸までは104.0mm。
・シャーシ幅は33.8mm。

なお、これらの寸法は凹凸のあるところにモノサシを当てて目測で測っているので、「まあ、そんな感じ」レベルと取って頂きたい(あとの2社も同様)。

車体前面に対してギアハウジング部は3社のうち最も突出しているが、実車と比べると突出し過ぎな感じもする。梨地仕上げも余り感じがよくない。ギアハウジング部のバルジ内側に、グリースポイント用かと思われる2か所ずつのボルトのモールドがあるのは3社のうちブロンコだけ。ギアハウジング内側のバルジは本来車体前端と一体鋳造でなだらかにつながっているのだが、キットは別パーツなので、パテ等で処理する必要あり。

上部転輪基部のディテールのモールドがあるのはこのキットのみ。

車体側面には、前部ブロック、後部ブロックとの接合線に溶接痕のモールドが入っているが、ここはボルト結合のはず。

●次にピットロード/トランぺッター。

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・シャーシ全長は109.0mm。3社のうちで最も短い。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは108.5mm。ギアハウジングが車体の「おでこ」からほとんど前に出ていない。
・起動輪軸までは105.0mm。ただしキット指定の軸部はギアハウジング前下寄りに偏心している。ギアハウジング部中心までは103.0mm。
・シャーシ幅は33.8mm。ブロンコとピッタリ同寸。

寸法の数字の信頼性については同上。

こちらはブロンコと対照的にギアハウジング部のバルジが車体前端に対して引っ込み過ぎな感じ、というよりも、車体前端の「おでこ」部分がより切り立っているのが、ますます寸詰まったイメージを強調しているかもしれない。ギアハウジング部内側が車体前面と別部品になっているのはブロンコと似ている。バルジ内側部の傾斜具合(外周に向けての薄くなり具合)もこのキットが最も強調されている。ちょっと実車よりきつすぎるかな。

そしてme20さんを唖然とさせた、このキット最大の謎部分が、起動輪軸がギアハウジングの円周に対して中心でなく妙な位置に偏っていること。当然実車はそんなふうにはなっていない。キットはギアハウジングの中心位置に凸があるが、起動輪軸のパーツも凸なので、当然ながらそのままでは中心位置には取り付けられない。シャーシを設計し終えてから仮組みしてみたら何かしらの不具合が出て(フェンダーとの位置関係が変だったとか、ベルト式の履帯の長さが余ったとか)「しょうがないから軸を移しちゃえ!」みたいなしょうもない顛末があったのではないかと想像したのだが、どうだろうか。

また、車体前端上面部分が別部品になっていて、「おでこ」部分、オチキスのロゴの上に横一直線に実車にはない部品の接合線が来るのもこのキットの特徴。ここに貼った前面写真ではこの「おでこ」上部を取り付けていないが、その状態でも、上の実車写真と比べて明らかに前面の上半分が広過ぎなのが判る。

また、シャーシ側面写真で判るように、このキットでは、2カ所の上部転輪が、それぞれ転輪ボギーのちょうど中間に位置している。しかし、上の実車写真で判るように、実車ではそれぞれ外側に寄っており、キットの位置は明らかに間違い。ブロンコ、エレールのキットでは外側寄りになっている。

ピットロード/トランぺッターのキットは発売時、「ブロンコに対抗するためエレールを参考にバタバタと製品化された」と噂されたが、確かに砲塔は非常に似通っているものの、シャーシの設計は寸法的にも部品分割的にも大分違う。

●そして最も古株のエレール。

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・シャーシ全長は112.5mm。3社のうちで最も長い。
・ギアハウジングを含めない車体前端までは111.5mm。
・起動輪軸までは105.0mm。
・シャーシ幅は34.5mmで、3社のうち最も幅広(といっても1mm弱だが)。

車体前端のパーツが、ギアハウジングのバルジ含めて実車通りに一体なのは、なんと最も古いこのキットだけ。実は前端部の形状、バルジの突出具合も、このキットが一番実車に近いような気も……あれれ? ただし、ハウジング部バルジ内側はちょっとエッジが立ち過ぎな感じもする。

オチキスのロゴに関しては、3社とも最も一般的なタイプに近いのだが、特にこのエレールのものは長円形ではなく単なる長方形になってしまっている(他の2社も「角を丸めた長方形」にしかなっていないが)。

●なお、転輪ボギーの位置については、ブロンコとピットロート/トランぺッターはほぼピッタリ同一位置(左写真)。しかしエレールはボギー同士が若干近接(右写真)。そのぶん、最終的には転輪と起動輪、転輪と誘導輪は新しい2社のキットよりも離れた感じになるはず。どちらがより実車に近いかは……う~ん。足回りまでちゃんと仮組みしてみないと判んないや~。いや、昔作ったエレールのH35を掘り出してくれば実車写真との比較ができるのか?

20200520_122103 20200520_122143

先述の上部転輪の位置の違いもこの写真でよく確認できる。ブロンコとエレールも上部転輪位置に差があるが、これは転輪ボギーの位置自体が違うので当然。

改めて、3社のシャーシの「面構え」部の比較。左からエレール、ブロンコ、ピットロード/トランぺッター。

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「おでこ」部分の角度や広さ、ギアハウジング部の突出具合の違いで、意外にそれぞれ印象が違う。ギアハウジング部のバルジはエレールが最も厚みがあって角ばっており、トラペが最も斜めに薄くなっているのが判る。

●そして3社のフェンダーの比較。左からエレール、ピットロード/トランぺッター、ブロンコ。なぜ上と順番が同じじゃないんだ!(←単に間違えただけ)

20200520_124750

各社パーツの幅は、

・エレール:9.5mm
・ピットロード/トランぺッター:11.0mm(10.0mm)
・ブロンコ:9.7mm

トラペのものが一目でわかるように幅広だが、実はトラペのフェンダーだけが「シャーシパーツの上に載せるように接着する」形式になっていて、シャーシパーツの厚み分が加算されているためでもある。シャーシパーツの厚みを引くとカッコ内の数字になる(それでもわずかに他2社より幅広)。

各社パーツの長さは、

・エレール:全長117.5mm、直線部101.5mm
・ピットロード/トランぺッター:全長116.0mm、直線部100.5mm
・ブロンコ:全長117.2mm、直線部100.8mm

me20さんによれば、トラペのキットの起動輪をギアハウジング部中央に移して(つまり後方に移動して)組んだにも関わらず、カステンを履かせたらフェンダーに履帯が干渉してしまい、フェンダー屈曲部の内側を浚う必要が出たそうだ。う~ん。謎。もしかしたら起動輪の位置が高め? あ、誘導輪側も引っかかってるんだっけ。

なお、上記のフェンダー幅をシャーシ幅と合わせた全幅は、

・エレール:53.5mm
・ピットロード/トランぺッター:53.8mm
・ブロンコ:53.2mm

ということになる。複数の資料に出ている実車の全幅は195cm。この寸法が正しいとすると、1:35は55.7mmになるので……各社全部幅が足りないぢゃん!

(5月24日追記。オチキスは起動輪中央部がフェンダー端よりさらに外側に出っ張っているので、全幅は「フェンダー両端の幅」ではないらしい。というわけで、各社だいたい既知の数字の35分の1である55.7mmに近いと考えてよさそう)

●とりあえず今回はここまで。気が向いたら車体上部とかボギーの比較もするかも。

●割とどうでもいい話。

表題の元歌は、坂本九の「ほほを寄せて、キスをしようよ」という意味の歌なのだが、改めて調べてみると、曲名は「レットキス」。「キスをしよう」なら「レッツ・キス(Let's kiss)」なんじゃないの?……と思ったら、そもそもこの曲はフィンランド民謡で、原題の「Letkis」は「列になって踊ろう」というような意味なのだそうだ(wikipediaによる)。

「Let's kiss」だと思ったのはそもそも誤解だったわけだが、日本語の歌詞はその誤解を逆手に取って作られていたという次第。知らんかった……。ついでに言うと「ジェンカ」(この曲を含むフォークダンスのタイプの総称)と「ジェンガ」が頭の中でごっちゃになっていた。

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コメント

レットキスのメロディに幼稚園の時にダンスをした記憶が蘇りました。...前の子供の肩に手をかけて一緒に一歩前にステップ踏んで一歩後ろに戻って二歩前にジャンプ。列の先頭の子が違う列の子とジャンケンして負けた列の子達は勝った子の列の後ろについて、列はどんどん長くなって....まさかキスをしよう!なんて歌詞があったとは知らなんだ。

それはそうと、イスラエルの博物館のオチキスはエンブレムがペンキで稚拙に塗り分けてあるのが、どこかのおばあさんがキリストの壁画を修復してお猿になってしまったのと、どこか通じるものがありますねー。

投稿: hn-nh | 2020年5月21日 (木) 21時59分

>hn-nhさん

うわ。hn-nhさんに坂本九が通じないとは!
この若者めー!

坂本九版の「レットキス」はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=C7I-WVPvrsc

オチキスに関しては、引き続き足回りなどの比較検証などしているんですが、見れば見るほど……なんというか、泥沼の中にずぶずぶと沈んでいくような気分が。あうあう。

確かにエンブレムの塗り分けは、あの「おばさんイエス」の雰囲気がありますね。

投稿: かば◎ | 2020年5月21日 (木) 22時58分

>複数の資料に出ている実車の全幅は195cm。
>この寸法が正しいとすると、1:35は55.7mmになる

6.08フィート=1853mm というのが正しければ
52.9mm となり、それらしい結果に

投稿: めがーぬ | 2020年5月21日 (木) 23時14分

>>この元歌が判る人って、結構年配なんだろうなあ
すみません還暦過ぎて先月で1歳なので脳に刷り込まれてます...。

ボギーの位置もエレールのほうが正解のような気もしますね、起動輪/誘導輪とボギーの間隔がトラペのキットはかなり狭い感じで、それが履帯とフェンダーの隙間に影響しているのでは...。

投稿: me20 | 2020年5月22日 (金) 08時48分

>めがーぬさん

ええっ。その数字はどこ情報ですか?
というか、ピットロード/トランぺッターの説明書には全幅が1.85mって書いてあった……。明らかに「そちら側」の数字ですよね。

投稿: かば◎ | 2020年5月22日 (金) 09時50分

>me20さん

「ひとがせっかく余計な検証をしないで作ってるのに、わざわざフタ開けてんじゃねーーー!」という怨嗟の念がme20さんがお住いの方角から漂ってきている気がします。どうも済みません。

うーん。ボギーと起動輪・誘導輪の位置関係もエレールの方がよさそうですか……。
ますます、「エレールベースで、使えるものをブロ・トラから」という方針に傾きそうですが、しかしそうなると、各部古めかしいエレールを手直しする手間が……。

投稿: かば◎ | 2020年5月22日 (金) 10時03分

坂本九の声が脳内再生されてしまいました・・・らーんらーんららんらんら〜ん・・・
幼児の記憶力すごい・・・最近のことは片っ端から忘れていくのに・・・
頬寄せってってわりに前の人の肩に手を乗っけて列になってステップするだけなんすよね・・・オクラホマミキサーのほうが恥ずかしかったです・・・

皆さんに刺激されて探したらオチキスは棚からエレールとブロンコがでてまいりました。トラペは行方不明です。昔は買うたびにHPに記録してたんで、持ってるのはわかるんですが、どこ行ったかはわからなくて・・・

投稿: みやまえ | 2020年5月22日 (金) 21時46分

>みやまえさん

おおぅ。みやまえさんには坂本九が通じた(笑)。

しかし私は今回改めて調べるまで、あれがフィンランド民謡だとは知らなかったですよ。
音楽って、改めて調べると「えっ、そうだったの?」っていうことが結構出てきますね。
メリー・ホプキンの「悲しき天使(Those Were the Days)」が実はロシア歌謡だとか。
ボニー・Mの「ラスプーチン」が途中に「ウスクダラ」のメロディをまんま取り込んであるとか。

投稿: かば◎ | 2020年5月23日 (土) 00時00分

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