バレンタイン復活の日(3)
●結局、バレンタインの製作を続行中。
T-34-85は、「新型コロナのせいで履帯も買いに行けないじゃないか!」なんてヤキモキしていたのだが、MiniArtがリブの多い500mmワッフルを出しそうな雰囲気になっているので、「それを待ってもいいかな」なんて思い始めていたり。……MiniArtのD-5T搭載初期型発売にも追いつかれてしまいそう。
●転輪の改修は楽に数をこなせる方法が思いつかず、結局、一個一個「うが~面倒臭ぇ~」と唸りつつ手作業で直す「苦悶式工作法」を採らざるを得なかったが、たぶん、あれをやらなかったら、いつまでも「転輪、直した方がよかったかなあ」とウジウジ心に引っかかっていたはず。済ませたおかげで、「あとはもうオマケの工作のようなもの」という楽な気分で作業を進めることができる。やっててよかった苦悶式。
実際、車体上部に関して言えば(買って早々にやっつけた防盾以外は)ちょっと気になった細部ディテールをつまみ食い的に工作しているだけで、切った貼ったの大掛かりな工作はしていない、というのもあるけれど。
●というわけで、重箱の隅的工作の進捗報告。まずは砲塔工作。
すでに発売直後の様子見の延長で、
- 防盾の形状修正と「同軸機銃部張り出しタイプ」への改造
- 防盾カバー部の擲弾発射部の形状修正
- 砲塔後部のバラストを兼ねていると思われる通風孔付き鋳造パーツ部分の継ぎ目消しと形状修正
等については工作済み。
改めてその続きということで、上面ディテールをいじりつつ取り付けていく。
①、防盾カバー部上面左右には、実物にない分割ラインが出来てしまう。何かの取付部かと思われるフチ付きボルト穴のモールドを横切っているので、構わず消してしまって後から再生。
②、直接照準用のツノは強度的にも薄さ的にも金属板で作り替えた方がいいのだが、下部の二股の処理や取付が面倒臭そうなので、キットのパーツの二股をくり抜くとともに薄削りして使うことにした。
③、ハッチ前側には、開閉補助用かと思われる謎のシャクトリムシ機構があるようだ。あるいはこれを引っ張ってハッチを開けるのか? (AFVクラブやMiniArtのキットには含まれているが)タミヤのキットではさっぱり省略されているので適当に追加。
④、右後部のアンテナベース台座を薄削り。
⑤、左側のアンテナベースは、柄の部分をエッチングパーツの切れ端で薄く作り替えようと思って一度は切り出したのだが、よくよく現存実車の写真を見たら、実物でも結構厚みがあったのでキットのまま。裏面にコードを追加した。なお、この付け根部分は、AFVクラブのキットのように丸く一段盛り上がっているものもあるが、タミヤのように割と薄くベタ付けになっているように見えるものもある。ちょっと混乱したが、結局キットのままとした(単に面倒くさかった、というのもある)。
⑥、中央後方には、ハッチを開状態にしたときにロックするためのものだろうか? 三角形のベロが立っている。キットのモールドは低く厚いので、金属板で作り直した。三角のパーツを立てて貼るだけでは強度的に不安なので、0.3mmドリルで連続して穴を開けてから繋げてスリットを作り、“根っこ”を深く差し込んだ。
●操縦手用バイザーは開閉選択式。キットのパーツの裏側は、おそらくヒケを防ぐために彫り込んだ形状になっているが、実物はどうやら鋼鉄のムクなので、そのように修正。ついでに軸の表現も追加。
なお、この写真ではちょうど開いたバイザーに隠れる位置に、丸いポッチがある。当初、「何か内側にある機構の取付ボルトかな?」などとボンヤリ思っていたのだが、バイザーを取り付けてみて、開いたバイザーのダンパー(というかストッパー?)らしいと判明。
●すでにフェンダーを車体に接着してしまってから、最後部のフェンダーステイが、車体側にモールドされたステイのベロと前後方向にズレが発生していることに気付いた。ふんがー!
一度気付くと気になるし、気になりだすとみっともないので、ステイの前側ラインで一度フェンダーを切断。わずかにフェンダーを削って長さを詰め、ステイの位置とベロの位置が合うように調整した。
また、前後のズレだけではなく、横方向にも隙間ができていたので、車体側のベロのモールドも作り直した。なお、車体側のボルト等との位置関係もあるので、「ベロを作り直すなら、フェンダーを切り詰める必要はなかったんじゃ?」とは行かない。
●エンジンルーム右側後部には、エンジンルームパネルの開閉ロック用……なのかどうかよく判らないが、謎の機構のモールドがある。キットでは省略されているが、直角に曲がったハンドルが突き出ているので、金属線で追加した。
●装備品類の工作の続き。右側の大型工具箱上に載せられた「くの字」上の工具は、履帯張度を調整するため誘導輪位置をスイングさせるための「てこ棒」で、同じヴィッカーズ社の6t戦車にも似た工具が搭載されている。
キットパーツの同工具の先端は、それだけ見ればなんだかもっともらしい形状に作られているものの、本来、誘導輪基部にある薄い長方形の穴に差し込んで使うものなので、先端はもっと単純な板状でないとおかしい。というわけで、プラバン片を使って修正。また、工具の取付け具も若干形状修正し、蝶ネジを追加した。蝶ネジは数年前にme20さんに一枝分けて頂いたブロンコの脚付きインジェクション・パーツ。これって今でも売っているのかしらん……。
蝶ネジは、最初はドラゴンのパンターの予備履帯の枝に入っているものを使おうと思っていたのだが、予備履帯の留め具部分に使うには脚付きの方が望ましく、そこに使うと他の箇所も形状を揃える必要があるので、このパーツで統一した。まあ、使えるパーツがあるのに(そしてこの先いくつ模型を完成させられるかもわからないのに)出し惜しみしていても仕方ないし。
なお、上記工具を実際にどのように使うかは、以下の写真が判りやすい。インペリアル・ウォー・ミュージアム(Imperial War Museum/IWM)のアーカイブより引用。
おじさんたちはヴィッカーズ社の工員だろうか?
とにかく、足回りの調整のデモンストレーションっぽい写真で、中央のハンチングの小太りおじさんは、おそらく、前回触れたフェンダー内側に突き出た誘導輪スイング機構のロックを緩めているか締めているかしているところ。右端のエプロンおじさんが件の「くの字」工具でスイング機構を動作中。向かって左端のしゃがんだオーバーオールおじさんは、おそらく履帯ピンを打ち込んでいるのだと思う。
●左側フェンダーの工具。シャベルは、ドイツ戦車によくあるようなポケットタイプではなく、枠状の薄板に開いた平たい三角の穴にブレードを突っ込んで固定するようになっている。
この三角穴のあるホルダーは、キットでは、下部がフェンダーと一体成型、上部はシャベルと一体成型になっているが、どちらも見た目が分厚過ぎる。当然、パッションのバレンタイン用エッチングセットなどにも含まれているが、今回はケチって買っていないので、ちまちまと薄削りした。なお、前方のツルハシの頭とともに、こちら側の留め具にも蝶ネジを追加した。
●左側フェンダー前方には、予備履帯4リンクが付く。ちょうど足回り用に繋いだブロンコの履帯で4リンク「おしゃか」が出たので、これを予備履帯に回す。キットのパーツとの比較は下のような感じ。なお、この後で連結部分にはピン孔を開け直した。
作り直したホルダーの右端のスリット部分に、固定用の蝶ネジが付く。これについては、まだ残っている電気系統の配線の工作の邪魔になりそうなので、現段階では取り付けない。なお予備履帯は、どうやら初期は装着位置が縦方向、Mk.II/IVの途中から横方向に変わるらしい。私は一応、キットの指示に従って横方向に付けるつもり。
●車幅表示灯と思われるパーツは、キットのものはカバーが分厚くライトが埋まったような状態になっていてあまり見栄えがよくないので、削り込んで薄くし、中のライトを改めて(適当な丸棒を輪切りにして)入れた。左がbefore、右がafter。
これも現時点では形状修正だけ終えて取り付けていない。なお、この車幅表示灯?は、写真のようにフェンダー水平部の前端にあるもの(キットの指示通り)と、もっと後ろ寄りにある場合とがあるようだ。おそらく後者の方がより初期の仕様で、より見えやすくするために前側に移動させたのではないかと想像(ただししっかり検証はしていない)。
●とりあえず、あとは電気系統を工作すれば組立終了、というところまで漕ぎつけた。製作記事の本数が他キットに比べて少ない!!
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