プクサキナはヒンナを捧げるに値するか
●有名な猛毒のトリカブトにとことん似ている山菜、ニリンソウを葉山の山中で見つけて試しに食べてみた話は以前に書いた。
この時は単純に茹でて胡麻ドレッシングで食べて、「命賭けてまで食べるもんじゃないかな」という暫定的結論に達したのだが、その後、マンガ「ゴールデンカムイ」の登場人物アシリパさんが「肉の味を何倍にもする」と絶賛しているのを(改めて)知って、もう一度採りに行き、その後約1か月間、吊るして干しておいた(画像は野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社)第7巻より)。
その間、生乾きの時に、なんだか癖のある、とても美味しそうとは思えない匂いがしていたりなどして、だいぶ効能には懐疑的になっていたのだが、かといって試さずに捨てるのももったいなく、意を決して食べてみることにした。
●というわけで、作ってみました。
豚肉とプクサキナのオハウ。ノビル入り。
そもそも豚肉を使って、しかもそれを一度ごま油で炒めている時点でアイヌ料理とは言い難い気がするが、いいんだよ! 一応汁物(オハウ)なのは間違いないんだから! 味付けに味噌を入れることも考えたのだが、とにかく今回は肉とニリンソウ(プクサキナ)の相性を知るのが目的なので、単純に塩味(ほんの少し醤油)とした。
作った総量は上の写真の2倍ちょっとくらいだが、もちろん一人で全部食べた。
結論から言うと、一口食べて感極まって「ヒンナヒンナ!」(食事への感謝の言葉)を叫ぶほど美味しいとは思えず、また、煮たことによって先の独特のにおいが復活してきた(かみさんに、「すごいにおいがする!」と顔をしかめられた)。もちろん、自然の恵みを頂いている、という点でいえば、何はともあれヒンナは言わねばならないのだけれども。
とはいえ、不味いのかといえばそうでもなく、多少の癖のある匂いを我慢すれば、味はそこそこ。特に具を食べた後の(ちょっと緑茶っぽい見た目の)スープは、いい出汁が出てかなり美味だった。
う~ん。きっちりアイヌ風に、一度煮てから干したらもっと美味しくなるのかなあ……。
とりあえず、食べてから数時間たって呼吸困難も何も起こしていないので、少なくともトリカブトの混入はなかった模様。
●コロナ禍による「包囲網」はますます狭まっている感じで、日常の散歩コースの一つである披露山公園が閉鎖になってしまった。
非常事態宣言発令後、逗子海岸を含め、湘南の海岸にむしろ人があふれかえったことに対し、自治体より海岸への来訪自粛要請が出たが、そこから今度は近隣の公園に人が流れることを想定して、予め手を打ったということかと思う(ちょっと前に披露山公園に行った際には、いつも通り、それほど人がいるということもなかったので)。
●ずしのむし。
本日、ちょっと散歩に行こうと家をでたところで、玄関先でベニカミキリに遭遇。逗子では「ものすごく珍しい」というほどでもないが、この深い紅色と黒のコントラストは、出会うとちょっと得した気分になれるほど美しい。もう一枚は、ここ1、2週でちらほら目にするようになったアオスジアゲハ。
●ご時勢とは何の関係もないヒマ話。
「ガールズ&パンツァー」最終章のなかで、フランス戦車を使う学校の生徒たちが、フランスの俗謡「玉ねぎの歌」というのを歌っている(youtubeあたりにも上がっている)。これは有名な「クラリネットをこわしちゃった」の元歌であるらしく、特に「おーぱっきゃまらーどぱっきゃまらーど……」の部分は同一。
で、この「おーぱっきゃまらーど」が、フランス語の綴りでは「au pas, camarade」(いざ進まん戦友よ)だ、というのを今頃知った。単なる掛け声とか合いの手みたいなもんかと思ってたよ……。camaradeは英語だとcomrade、ドイツ語だとKamerade(「パンツァーリート」に出てくるKameraden(カメラーデン)は複数形)。
| 固定リンク
「かば◎の迂闊な日々」カテゴリの記事
- ドブ板(2024.10.07)
- Hiroshima, mon amour(2024.10.03)
- 8月のヨモヤマ(2024.08.25)
- ミニスケール2題(2024.07.04)
- シロマダラ(2024.06.24)
「いきもの」カテゴリの記事
- 8月のヨモヤマ(2024.08.25)
- シロマダラ(2024.06.24)
- 梅雨入り前のあれこれまとめ(2024.06.12)
- えろえろタイヤ(2024.05.07)
- 砂糖・油・揚げ(2024.05.01)
コメント
ニリンソウ、美味しかったら真似しようと思ってたのに・・・
わたしの散歩道にも生えてるっぽいのですが、なんか茎とかが赤くて禍々しいです・・・
クラリネットこわしちゃったは、ゴダールの映画で幼女が口ずさんでるのがあったと思いましたが、
「探偵」だったかな?「クラ〜リネッ」って聞き取れた記憶が。
投稿: みやまえ | 2020年4月27日 (月) 00時34分
>みやまえさん
>>茎とかが赤くて禍々しい
それ、ニリンソウじゃなくてアメリカフウロじゃないですか?
ゴダールの「探偵」は観たことがないです……。
投稿: かば◎ | 2020年4月27日 (月) 01時47分
披露山公園も閉鎖ですか。。。
これではGWの砲台観察もできないじゃないですかー
ひょっとして、猿舎のサルや動物小屋の家禽類に人間からコロナを感染させないようにとの配慮だったりして。
ニリンソウは完全に乾燥させてから煮るのがコツのようですね。
干すとお茶のような香りがでるらしい。
https://www.outdoorfoodgathering.jp/plant/nirinsou/
投稿: hn-nh | 2020年4月27日 (月) 17時10分
>hn-nhさん
実は私もこちらのサイトを参考にしたのです。
ほぼ一か月吊るして干したので、私が使ったニリンソウももうカラカラでした。
しかしどうしても独特の臭みが出てしまって。
「日干しにした」というのがポイントなのかなあ。陰干しにしたので発酵しちゃったとか……。
あるいは前回リンクを張ったアイヌの古老の話にあるように、「一度煮てから干す」というのがポイントなのかもしれません。
う~ん。もう一回チャレンジしてみるかなあ。
ちなみに、具を食べた後のスープは、本当にしっかりと出汁が効いて、しかもお茶のような味わいもあり、非常に美味でしたよ。
万が一、トリカブトが混入している可能性を考えると、絶対に他人に御馳走できないのが残念です。
投稿: かば◎ | 2020年4月27日 (月) 17時16分
>それ、ニリンソウじゃなくてアメリカフウロじゃないですか?
おお!調べたらそのようで・・・私はニリンソウを見たことがないということがわかりました・・・やっぱデッサン力ねえや俺・・・
投稿: みやまえ | 2020年4月28日 (火) 20時54分
>みやまえさん
私もニリンソウのエキスパート!とはとても言えませんが、ニリンソウの茎は赤くならないんじゃないかな、と思います。
アメリカフウロは最近、街の中でもはびこっている外来植物で、逗子でも非常にありふれて目にします。結構、道端とか線路脇とかの「荒れている土地」によく生えているイメージです。
今ちょうど花の時期のようで、白からややピンク/紫がかった小さな花を咲かせています。
あとでみやまえさんのところの掲示板に画像貼ってみますね。
投稿: かば◎ | 2020年4月28日 (火) 21時16分
写真をありがとうございました。
やっぱり見てたのは全部アメリカフウロで、ニリンソウは近所で見つけられませんでした。
トリカブトらしきものは見つけた気がします・・・自信なし・・・
投稿: みやまえ | 2020年4月29日 (水) 21時23分
>みやまえさん
基本的に、街の中とか、人の手の入った荒廃地に生えていたらアメリカフウロかと。
あとは、ニリンソウは葉っぱの一枚一枚が地面から出ている(おおもとの茎が短く小さく地下にある)のに対して、アメリカフウロやトリカブトは地上に出た茎から葉が枝分かれしています。
ただし、トリカブトも生えたてだと地面から直接葉っぱが出ていたりするので、
・地上で枝分かれしている
というのがニリンソウではない、という見分けは有効ですが、
・地上で枝分かれしていない
というのがニリンソウである決定打にはならないことには注意が必要です。
あとは、ニリンソウは、お吸い物に入っているミツバみたいに、葉も薄く、茎も細くてみずみずしい感じ。
アメリカフウロはもっと乾いた感じで茎も細くても堅い感じ。しばしば赤味を帯びています。
トリカブトはもうちょっと葉に厚みがあってしなやかな感じ。
あくまで「印象」であって、以上は見分け方にはなりませんが。
投稿: かば◎ | 2020年4月30日 (木) 12時18分