« 2019年6月 | トップページ | 2019年8月 »

2019年7月

戦うプーさん/「クブシュ」Mirage HOBBY 1:35(4)

●Mirage HOBBY 1:35、ポーランド国内軍の簡易装甲車「クブシュ」(”KUBUŚ” - Improwizowany Samochód Pancerny, Powstanie Warszawskie, Siespień 1944)の製作記の続き。

●前回やり残しの天井部分の溶接線の再現は以下のようになった。

20190729_174001

前回書いたように、この部分はまともに写っている写真がなく、だいぶ想像交じり。ただし、

  • 左右辺は上面ハッチの幅で内側にも溶接線があり、二重になっている。
  • 中央ライン(ハッチの前方のみ?)にはリブテープ状に張り増しがある。

という二点は、ハッチから内部を覗きこんで撮ったような写真にわずかに写っていて確認できたので再現した。

前者に関しては、クブシュがスペースド・アーマー式の二重装甲であることから、内側溶接線は側面の内部装甲の位置を示しているのではないかと思う。

後者については、戦後のレストア時に追加されたものという可能性もあるのだが(例えば前面下部スカート中央のラム状の張り増しは戦後の追加である旨、Mirageのキットの説明書で解説されている)、この部分はさらに上に防盾が付いていて、しかもその防盾は(戦後の遺棄状態時期の写真から見て)オリジナルである可能性が高そうであるため、その下を通るリブテープも最初からあったものと判断した。ただし、実際には防盾の裾部分のそのものズバリの写真はないので、このリブテープが防盾の手前で終わっているとか(その場合、戦後の追加工作である可能性がやや高くなる)もあり得る。

特に天井部前端の溶接ラインに関しては、キットのパーツ分割と面構成に準拠していて、本当にこんな感じかどうかはちょっと怪しい。

●運転席左面の視察スリット。

20190729_173903

もともとキットにあったモールドはエッジが寝惚けていたこともあり、作り直した部分。

  • 貼り増した板はやや斜めになっていて、スリットはその下の溶接ラインとほぼ平行なため、板のなかでスリットは傾いた状態になる。
  • 最初に車体に直接開けたスリットの位置が悪くて塞いだのか、それを塞いだような溶接痕が板の後方にあるので再現。
  • 破損個所を直したようなツギハギの溶接線が上面にかけて走っているので再現。

●運転席正面の視察口。ここも、元のモールドが寝惚けていたので作り直した。右がキットの元々の状態。

20190729_191050 20190530_023539

実際に作り終えてから見直すと、現存実車に比べて可動フラップ部分の縦幅がちょっと広く、スリット自体ももっと狭く左右に長かった方がよかったように思う(ちゃんと作る前と作っている最中に確認しろよって感じ)。ただ、実車のフラップ部分は一度失われて作り直してあるようで、現在の状態をあまりシビアに追及する意味も薄い気がしたのでそのままとした。

実際には、戦後、公園に遺棄されている時期の写真で、オリジナルの状態なのではないかと考えられるフラップ付きのものがあるのに今更ながらに気付いたのだが後の祭り(とはいっても、その写真もそれほど鮮明ではない)。

“助手席”側の銃眼に関しては、内側に、一度開けて塞いだ跡を追加した。

●本日のクブシュ考証。

実車の記録によれば、クブシュは1944年8月23日未明まで製作が続けられ、同日早朝、ワルシャワ大学正門への攻撃に参加(一回目の出撃)。

撤退後、天井に機銃架と防盾を増設、さらに視察装置の改修が行われた後、9月2日に再びワルシャワ大学への攻撃に参加している(二回目の出撃)。

現存実車およびそれを参考に作られたキットは、当然ながら、改修(および戦後のレストア)後の姿を基本にしている。

戦時中に撮られたクブシュの写真はごく限られているが、そちらもほとんどは改修後の姿のもの。改修前のものとしては、唯一、一回目の出撃前日(8月22日)にポヴィシュレ地区のザイェンツァ(Zajęcza)通りで撮られたとされる写真があるが(前回記事へのvol de nuitさんのコメントでリンクを張って頂いた写真と同じもの)、これは距離を置いて見下ろした不鮮明な写真で、ディテールもへったくれもない(天井に防盾が付いているかどうかさえはっきりしないので、タルチンスキ本のキャプションにある日付で、ようやく「えっ、これって初出撃よりも前なんだ!?」と思う程度)。

そんなわけで、一回目の出撃時のクブシュの細かいディテールははっきり言って謎だが、タルチンスキ本の記述によれば、どうやら、運転席前面の視察口は、当初はスリットだけで、一回目の出撃のあと、ドイツの兵員輸送車(Sd.Kfz.251か?)から持ってきた防弾ガラス付きに改修されたらしい。その他、上の工作で述べた銃眼の移動や側面視察口の改修も、この時に同時に行われた可能性は高いのではないかと思う。

| | コメント (6)

戦うプーさん/「クブシュ」Mirage HOBBY 1:35(3)

●7月に入って、なんだかんだですっかり模型製作をサボり気味。当「かばぶ」の更新もだいぶご無沙汰になってしまった。

というわけで、だいぶ久々のクブシュ(”KUBUŚ” - Improwizowany Samochód Pancerny, Powstanie Warszawskie, Siespień 1944, Mirage HOBBY 1:35)の製作記。

●基本は前回の続きで、装甲車体の溶接線工作。

天井部分を除いて、ほぼ全周の溶接線を入れ終えた。

溶接線はオーソドックスに、伸ばしランナーを貼って流し込み接着剤で溶かして潰す方法。潰すための工具は主にペンナイフの背で、ほかに適宜、ピンセットの先、金尺の角、自分の爪の先などを使っている。細い溶接線を除いては、伸ばしランナーを最初に貼った時点で、一度ナイフの刃先で細かく輪切りにし、接着剤がよりしみ込みやすくした。

20190724_204744 20190724_204700 20190724_205037 20190724_204720

以前にも書いたように、実車のクブシュは限られた材料を使い、半ば(あるいは完全に?)素人が溶接工作をしているために、以下のような顕著な特徴がある。

  • 溶接線が不揃いで、場所により太い/細いの差が大きい。同一ライン上でさえ、太さが変化している場合もある。
  • おそらく大面積の鋼板が入手できなかったため、戦闘室左右の1平面の部分も複数の鋼板を接ぎ合せてあり、しかも左右で分割が異なる。
  • 材料不足に加えて鋼板の切り出しも稚拙であるために、継ぎ足しやつじつま合わせの隙間埋めがあちこちにある。

したがって、工作においても、なるべく実車における溶接線の太さの差の再現を心掛けた。太さの差は、例えばこんな感じ。

20190723_123533

もっとも、「ここは太め」「ここは中くらい」「ここは細め」くらいのいい加減な区別で、しかも伸ばしランナーを潰す工作過程でも仕上がりの太さに差が出て来てしまうため、厳密に比較すると「あれ? ここはこっちよりも細いはずなのに……」といった箇所がちらほらある。

●前回、右側面の溶接線工作の報告の際も触れたことだが、操縦席/助手席左右の斜めラインは、途中で角度が変わっている。

ここについては、前回記事へのhn-nhさんのコメントで、「単に線の角度が変わっているだけでなく、溶接線が破線状になっているようだ。この部分は2枚の三角の鋼板を接いだのではなく、1枚の鋼板を破線状に溶断し、折り曲げたうえで、溶断部分を再び溶接で埋めたのでは」(大意)という観察と推論を頂いた。

確かに、特に左側面では溶接線が下端で消えてしまっていることなどを考えても、hn-nhさんの推論はかなり説得力があるように思う(ただし、実際に“折り曲げ工作”だった場合、他にも浅い角度で2面が合わさっている箇所はいくつかあるのに、なぜこの場所だけそのような手法を採ったのか、という疑問は残る)。

というわけで、右側面の当該位置の溶接線は破線状に入れ直し、また、左側面は最初から破線状に工作した。

20190723_183613 20190723_183555

●その他、現時点での溶接線工作に関するトピックスその1。

20190723_183512

戦闘室頂部前面装甲板は、切り出し精度が悪かったせいか、中央に継ぎ足しがあって溶接線がV字に二重になっている。これはレプリカ・クブシュにはない大きな特徴。また、操縦席前面の装甲板はきっちり左右対称でなく、中央の溶接線は斜めになってしまっている。

操縦席前面の視察口、助手席側の銃眼の“開け直し”工作痕についてはこの後に工作予定。

●トピックスその2。

ラジエーターグリル部上の三角形の装甲板は、キットと実車で形状がちょっと異なっている。

20190723_183537

キットでは写真のように下辺②よりも中央縦の辺①のほうが短いのだが、実車ではほぼ同じか、むしろ縦線①のほうが長い。溶接線を入れ直すことによって、形状の差が目立つことになってしまった。

もっともここを修正するとなると、前面全てを作り直すことになってしまう(そして細かいことを言い出すと、形状や角度にズレがあるのはこの場所だけではない)。というわけで、ここは見て見ぬふりに徹することにする。

●溶接線について未工作の天井に関しては、(せっかく実車が残っているにも関わらず)しっかり写した写真がネット上に見当たらず、なお調査/考証中。開けた上面ハッチを覗きこむような写真に、その前後がわずかに写っているものしか現時点では発見できておらず、想像交じりの工作を余儀なくされそう。

| | コメント (6)

« 2019年6月 | トップページ | 2019年8月 »