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戦うプーさん/「クブシュ」Mirage HOBBY 1:35(2)

●Mirage HOBBY 1:35、ポーランドの即席装甲車「クブシュ」(キット番号 no.355026)の製作記。

箱に書かれた(ポーランド語の)キット名称は、「”KUBUŚ” - Improwizowany Samochód Pancerny, Powstanie Warszawskie, Siespień 1944」(直訳すれば、『クブシュ』 ワルシャワ蜂起における即席装甲車、 1944年8月)。……長いよ! メーカー側の(あるいはポーランド人の)思い入れの深さを示しているというか何というか。

●溶接線を入れ始めた。

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とりあえず、右側面から工作スタート。ここはキット評で書いたようにキットの溶接線のモールドが目立ってずれている部分で、中央の縦長の鋼板はやや下すぼまりに、また後ろの辺は銃眼に接しているので、そんな感じに。

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そして現状は、右側面をおおよそ終了。全体の3分の1程度という感じ。

実車は、望む大きさの鋼板が自由に手に入る環境ではなく、また溶接技術の拙さもあって、あちこちにつじつま合わせ、継ぎ足し、試行錯誤の跡がある。今回の溶接線の入れ直し作業も、その辺をできるだけ再現したい、というのをメインテーマとしている。現状終了している右側面部分では、

▼戦闘室右後部下。鋼板の幅が不足していたか、ヒビでも入っていたか、一部、溶接線が二重になっている。

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▼「助手席」側のスリットのある面。上端部分が三角に継ぎ足しになっている。

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▼エンジンルーム右側面。写真中央の2面は、どちらかが歪んでいる(あるいは切り出しが適当だった?)ために、溶接線の角度が途中で変わっている。ちなみに(未工作だが)、左側面のこの部分は、途中で溶接線が消える!という、これまた謎な状態になっている。

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●並行して。

このキットの前面ルーバーは、「ミニスケールか!?」というような階段状一体パーツで、だいぶ情けない。実車のこの部分は、これまた工作が不揃いで、レプリカ・クブシュとの識別点の一つとなっている。

というわけで、作り直しに向けての下工作として、ルーバー下を開口(現状、片側だけ終了)。本来はペラペラの鋼板だが、どのみちルーバーを付けるとほとんど見えない部分なので、薄削り工作などはしない予定。なお、どうやら実車では、弾片等がラジエーターを傷つけるのを防ぐため、ルーバーとラジエーターの間にもう一枚、スリットを開けた鋼板を置いているようだ(少なくとも現存実車ではそうなっている)。

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コメント

>実車は、望む大きさの鋼板が自由に手に入る環境ではなく、また溶接技術の拙さもあって、あちこちにつじつま合わせ、継ぎ足し、試行錯誤の跡がある。

ドラマティックでたまらない一文です...
そしてそれを再現してしまうとは、さすがです...

今後の製作過程も楽しみです!


投稿: vol de nuit | 2019年6月20日 (木) 22時55分

>>エンジンルーム右側面。写真中央の2面は、どちらかが歪んでいる(あるいは切り出しが適当だった?)ために、溶接線の角度が途中で変わっている。

実車を観察すると、覗き穴のスリットから前輪車軸上部にかけての溶接線は角度が途中で変わってるだけでなく、溶接線が切れ切れになってますね。しかも溶接線の切れた部分がの鉄板は切れてないどころか繋がってます。これはどういうことなのかな? と。。考えてみました。

この部分は、三角の2枚の装甲板を溶接で繋いだのではなく、1枚の装甲板を溶接戦のところで折り曲げた、と推測します。

工法としては、鉄板の溶断に使うアセチレンバーナーで装甲板の折り曲げるラインで切り込みを断続的に入れて、「溶接線のない部分」だけで繋がっている状態にしておいて、その繋がってる部分をバーナーで炙りながらえいやっと装甲板を曲げます。そして曲げるためにいれた切り込みのラインをアーク溶接で塞いだ。

・溶接線は飛び飛び:折り曲げのために作った切り込みラインを溶接して塞いだ。
・溶接線が途中で曲がっている:チョークで書いた折り曲げラインにそってバーナーで切り込みを入れていたら、途中でチョークのラインからずれていることに気がついてあわてて修正した。

投稿: hn-nh | 2019年6月21日 (金) 05時09分

>vol de nuitさん

溶接線の相対的な太さの差はなるべくフォローするようにしていますが、さすがに、溶接の凹凸の状態までその通りに……というわけには行かず(技術&根気的に)、その辺は「まあ適当に」レベルです。

車体左右面での溶接ラインの位置の差は、これもまたレプリカと実物の識別点なので、なるべくちゃんと再現してやりたいと思っています。

>hn-nhさん

>>三角の2枚の装甲板を溶接で繋いだのではなく、1枚の装甲板を溶接線のところで折り曲げた、と推測します。

なるほど、それは目からウロコでした。
そう考えると、左面の同一か所で、下の方は完全に溶接線が消えていることにも納得ができます。

これはぜひ再現に取り入れたいですね。

投稿: かば◎ | 2019年6月21日 (金) 13時27分

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