大宮公園ぶた公園
●前回、東武アーバンパークライン(略してあーぱー線)で、埼玉県の大宮公園に言及したついでの話。
食事中に口の横などにご飯粒(あるいは他の食べ物の欠片)が付いてしまったのを見て、
「おべんと付けて~どこ行くの~」
と節をつけて囃すのは、日本人なら誰でもとは言わないが、(地区や年代にもよるかもしれないが)それなりに広まっている俗習なのではないかと思う。私自身の子どもの頃からの標準で言うと、この囃し言葉は上のフレーズだけで完結している。しかし、かみさんの場合は違っていて、
「おべんと付けて~どこ行くの~、大宮公園、ぶた公園」
と、続きがあるのだ。別にかみさんの創作ではなく、子供の頃からそう歌ってきた(あるいは聞かされてきた)そうだ。以来、いったいこれはどこの習慣なんだろう、(かみさんの出身地である)千葉県北西部限定なのか? あるいはかみさんの家限定なのか? などと、結構長い間、頭の片隅に引っかかっている(物心ついて以来ほぼ神奈川在住で、埼玉にほとんど縁がない私が「大宮公園」という名前を知っていたのもそれによる)。今回、改めて検索してみて、若干知見が広がった。
- 「おべんと付けてどこ行くの」に続けて「大宮公園ぶた公園」と歌うのは、別にかみさんの実家限定ではなく、実際にそういう言葉で歌ってきたという人の例が複数ヒットした。
- 地域的には、千葉県北西部限定ではなく、どうやら、埼玉県(南部?)で、「大宮公園ぶた公園」派がそれなりに存在しているらしい。というわけで、別に千葉県民が埼玉県を揶揄して歌っているわけではなく、むしろお膝元の大宮方面から東武野田線経由で、かみさんの実家方面に伝播した可能性のほうが高そう。
- バリエーションとして、「大宮公園ひとまわり」というものもあるらしい(こちらも複数ヒットした)。どちらが元なのかは判らないが、子供に品のない囃し言葉を歌ってほしくなくて改変したものが別途広まったのでは、と勝手に想像。
- 一方で、群馬・栃木あたりまでにかけて、「丸山公園ぶた公園」「花山公園ぶた公園」「前橋公園ぶた公園」「森林公園ぶた公園」などの、それぞれ近隣の公園名が入っているらしいバージョンもあることが判明。
- さらには、「おべんと付けて~どこ行くの~、丸山公園ぶた公園、オリがないから逃げちゃった~」など、その先がある例もあるようだ(mixiの群馬関係のコミュにあったのを検索で発見)。
これらから思うに、どうやら、北関東一円に、「おべんと付けて」行く先に関し、「ぶた公園文化圏」的なものがあるようだ。
ちなみに、他地域の例として、公園関係ではない別の歌詞もいろいろあるようだ。興味深い。
●春も後半になってくると、キイチゴの仲間があちこちで実を付けはじめる。というわけで、近所の某所にて、カジイチゴを初収穫。
まだまだ熟していない実も多く、しばらく楽しめそう。
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コメント
私の徘徊エリアに大宮神社というのがあります。埼玉のそれではなく東京杉並区の善福寺川沿いにある古い神社です。河岸段丘の高台で神社以前の古代の遺構も発見されていることから古くからの聖地だったのでしょう。
境内の横に「大宮児童公園」という小さな公園があるのですが、ブタがいます。
コンクリート製のブタの形の遊具で長細い「親ブタ」と短い「子ブタ」の2タイプ。
https://imgur.com/DAd8NLo
注型製造なのか、調べてみるとあちこちの公園に同じものがあるようです。駒沢公園、恵比寿、中目黒、荻窪、西小岩など都内各地の公園で見つかります。生息分布がどれだけ広がっているのかは調べてないのでわかりませんが、「大宮公園、ぶた公園♪」という歌のフレーズの由来に関連があるかもしれません。
投稿: hn-nh | 2019年5月15日 (水) 05時45分
>hn-nhさん
おお。このブタは……私の周辺の公園では見た覚えがないです。都内限定でしょうか。
しかし杉並から恵比寿、新小岩まであるとなると、かなり分布が広いですね。
大宮公園は県営で、日本庭園や陸上競技場、野球場まで含んだ大規模な公園だそうですが、バッテリーカーなど置いてある「児童遊園地」や「小動物園」もあるそうな。ブタのバッテリーカーとか、あるいはブタそのものがいるかどうかまでは判りませんでした。
投稿: かば◎ | 2019年5月15日 (水) 10時01分
アーバンパークラインで通勤するめがーぬです
わたくし大阪人ですが「おべんとついてる」って表現は
地元で聞いたことないっす
映画「ふたり」で初めて聞いて、なんじゃそりゃ?と思いました
ちょっと検索しましたが、イマイチ地域性が不明です・・・
投稿: めがーぬ | 2019年5月15日 (水) 12時51分
>めがーぬさん
昨日、知り合いの鎌倉生まれ・鎌倉育ちの人(2歳年上)に聞いたら「聞いたことも使ったこともない」と言われました。
一方で、ネットで検索すると関西でも「普通に使っていた」という人もいるようなので、単純に「関東で言われていて関西では言わない」というものではないようです。
調べてみると1960年代に「おべんとつけてどこいくの」という童謡がNHKで流れた?ことがあるようなのですが、その歌の中から切り離されてこの囃し言葉が生まれたのか、囃し言葉が元々あって、それを膨らませて歌にしたのか、その関係性は現時点では不明です。
ただ、上記の歌は、歌詞の中に「どないしょう?」という言葉が出てくるので、歌を作った人は関西圏の人のようです。
投稿: かば◎ | 2019年5月16日 (木) 09時05分
>1960年代に「おべんとつけてどこいくの」という童謡がNHKで流れた?
なんと!
それなら地域性はないはずですね。
再度検索したら、第4回日本レコード大賞の新人作詩賞を獲ってますね。
これが起源?なら、知ってる人と知らない人がいても不思議じゃないかな?
投稿: めがーぬ | 2019年5月16日 (木) 13時01分
東北ものですが。明治33年生まれの祖母がよくこの言い方をしていました。ご参考まで。
投稿: donji | 2019年5月16日 (木) 21時06分
うちの親は群馬南西部育ちですが、
「おべんと付けて・・」っていうのはわたしが幼児の頃言ってました。
育った横須賀南部では聞いたことないです
投稿: みやまえ | 2019年5月16日 (木) 22時23分
>めがーぬさん
歌が最初なのか、囃し言葉が最初なのか……。
あくまで現時点での私の印象でしかないのですが、私は囃し言葉のほうがそれ以前からあったのでは、と思っています。
youtubeで歌も聞いてみたんですが、「おべんとつけて~どこいくの~」の音程が、私や、私の周囲の人の知っている囃し言葉のそれと、ちょっと違うんですよね。
私が覚えている音程が違うだけなら、どこかで狂っただけの可能性が高いんですが、育ってきた地域も違うかみさんも違うとなると、歌より囃し言葉の方が先じゃないかなあ、と。
>donjiさん、みやまえさん
ふむむ。東北にも分布していると。
みやまえさんの場合は群馬県となると、場合によっては「ぶた公園」文化圏に引っかかっていた可能性もありますね(笑)。
こういう囃し言葉って、どういう伝播のしかたをするんでしょうね。
「い~けないんだ、いけないんだ、せ~んせ~に言ってやろ~」
というのもいろいろ地域差があって面白そうです。
ただ「おべんとつけて」は基本、親→子供で伝わるのに対して「先生に」は子供中心の伝播になるので、差異の発生のしかたに違いが出そうです。
投稿: かば◎ | 2019年5月17日 (金) 10時58分
「おべんと付けてどこ行くの」「大宮公園ぶた公園」
これは歌ってました
大宮でバスに乗って、大宮公園を通ったとき、花見の後なのか、食べた後のゴミが散らかっていて、大宮公園ぶた公園と何度もうたってたら、母が「変な歌うたうのやめなさい」と言い
となりのおじさんが笑ってました
この情景を覚えてます
あの歌は何だったんだろうと思い、検索したらヒットしたのがここです、やっぱりそういう歌があったんだなー、と思いました
ネットがなければずっともやもやしてましたね
ネットがあって良かった
投稿: 鹿ちゃん | 2021年10月10日 (日) 21時04分
>鹿ちゃんさん
おおお。「大宮公園ぶた公園」を子供時代に歌っていた証言がまたひとつ!
どうもありがとうございます。
どこでどう発祥したのか/どのように伝わったのか、などなど、この記事を書いた時点からまったく知見は広がっていませんが、何か新事実が判ったら、またネタにしたいと思っています。
投稿: かば◎ | 2021年10月10日 (日) 21時22分
私は静岡市出身ですが、「富士山行くならもっとつけろ」と歌いますよ。地域性が有るんですね。
投稿: maehiro | 2022年6月14日 (火) 14時00分
>maehiroさん
コメントありがとうございます。
「富士山行くならもっとつけろ」は、確かにご当地性が溢れていて素敵な歌詞ですね!
単に行先を指定するだけではなく、「もっとつけろ」と物語に発展性があるのもいいです。
投稿: かば◎ | 2022年6月14日 (火) 16時54分