「PW」と「WP」
●vol de nuitさんの、「ワルシャワ蜂起時の車輛」の関連話題。
ワルシャワ蜂起の記録写真を見ていると、よく「PW」という文字、あるいはぞれを繋げた錨型のシンボルマークをよく目にする。壁などに大書されていることもあるし、鹵獲パンター「Pudel」の前面装甲板に書かれていたとも言われる(ただし、私自身はそれをはっきり確認できる写真は見たことがない気がする)。
ポーランド軍関連の資料(主にポーランド語)を集めていると、「Wojska Polskiego(ヴォイスカ・ポルスキェゴ)」という単語をよく目にする。単純に「ポーランド軍」という意味で、私は「PW」の錨型マークも、その略(あるいは単語の前後をひっくり返して「Polski Wojska」とか……文法的に正しいかどうかはよく判らない)なのかと思っていた。
しかし最近、何かの弾みで調べてみて、別の言葉の略なのだというのを(今更)知った。
PWの頭文字自体は、当初は、1939年12月に発生したナチス・ドイツの占領軍による民間人虐殺事件に対する「(それが発生したワルシャワの地区名である)ヴァヴェルの報いを」(Pomścimy Wawer)というスローガンを示したもの。
それが、その後、より曖昧に「戦うポーランド(Polska Walcząca)」の頭文字として定着。1942年初頭、国内軍によるレジスタンス活動のシンボルとしてデザインコンテストが行われ、アンナ・スモレンスカという女性活動家による錨型のロゴが採用された。以後、このマークは見た目通り「Kotwica(コトヴィツァ:錨)」と呼ばれ、(ワルシャワ蜂起に限らす)ポーランドの地下政府および国内軍のシンボルマークとして使用された(右画像はwikimedia commonsより)。ちなみに、アンナ・スモレンスカは1942年末にゲシュタポに逮捕され、翌年、アウシュヴィッツで死去している由。……というような内容は、英語版のwikipedia由来。
ただし、この「PとWを組み合わせた錨」のマークは、実際には戦前から、出版社「ポーランド出版(Wydawnictwa Polskiego)」の印章として用いられていたという話も、ポーランド語版のwikipediaに出ている(何しろ機械翻訳なので細部がよくわからないが)。
なお、「ワルシャワ蜂起」自体もポーランド語で言うと「Powstanie Warszawskie(ポフスタニエ・ヴァルシャフスキエ)」で、頭文字はPWになる。ややこし。
●ということで、「PW」と錨マークについてはスッキリしたのだが、一方で、蜂起軍が鹵獲使用したパンター(Pudelなのか、もう一両のほうなのか、ちょっとはっきりしない)の砲塔後面ハッチには、「WP」と書いてあったりする。蜂起軍兵士の国旗の色の識別腕章にも、WPと書かれている例が多いようだ。右の腕章写真もwikimedia commonsより。
こちらは私の以前の想像のように、「Wojska Polskiego(ポーランド軍)」の意味と考えていいのだろうか?……どうもよくわからん。
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