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浮島

●盛大に仕事が行き詰まり中。

●先週土曜日(1月26日)、逗子マリーナからの海越しの光景。

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小坪漁港に出る手前、小坪寺手前の坂上からちらりと見えた海に、伊豆大島がいつもよりやけに大きくくっきりしていると思ったのだが、よくよく見ると、島の左右端で、海と陸の合間に空が少し入り込んでいた。

程度としては小規模ではあるものの、「浮島」と呼ばれる蜃気楼(逃げ水などと同様の「下位蜃気楼」)で、気温に比べ海面のほうが温度が高い場合に起きる現象だそうな。その右手、伊豆半島の突端も若干浮いていた。

3枚目は江の島越しの富士山。なんだか大噴火を起こしているかのような雲。しばらくすると雲はつぶれて、割とどうということもない景色になっていた。

4枚目は、日本の特攻戦術の中でも恐らく最も愚劣な「伏龍」出撃用の稲村ケ崎の洞窟陣地。国道に面した内陸側の入り口はだいぶ以前に塞がれていてよく確認できない。

●京浜急行が、来年3月、(他のいくつかの駅と同時に)京急新逗子駅の駅名を「逗子・葉山駅」に変更するのだそうだ。

駅は逗子にあるのに、無理やり葉山をくっつけなくても……みたいに(逗子市民としては)一瞬思うが、葉山に最も近い鉄道のアクセスポイントであることを明らかにしたい的な理由が挙げられており、言われてみれば尤もだという気もする。

しかしそれよりも、一般に京急の駅のプラットフォームの方面案内は「**・**・** 方面」とナカグロで列記されており、その中に「逗子・葉山 方面」と書かれると、逗子と葉山という別々の駅があるように思われてしまうのでは……と、facebookでコメントされている方がいて、なるほどと思った。

なお、「新逗子(しんずし)駅」は一つ手前の「神武寺(じんむじ)駅」とまったく母音の並びが一緒なので、車内放送で聞いているとちょっと紛らわしい。その点からいえば、聞き分けやすくなっていい、とも言えるかもしれない。

●このところの日産のCM。「すべての答えは、技術で出す」「技術の日産」と、とにかく技術の一言だけを執拗に押し出しているのを見ると、「うちは技術だけなんです、その他(経営とか組織とか)はダメダメなんです、だから技術以外のことでツッコむのはやめてください」と泣きを入れているように思えてしまう。

●hn-nhさんのブログ「ミカンセーキ」で、miniartから最近発売されたケーブルドラムを出発点に、ワルシャワ蜂起のネタを不定期掲載中。「ケーブルドラム→ワルシャワ蜂起」という連想ゲームは、ワルシャワ蜂起のAFVにある程度の興味のある人ならお馴染みの鹵獲ヘッツァー「Chwat」号の写真から。

ネタ自体は昨夏以来のものだが、ここ最近の一連の記事の出発点はこちら

F1015931 そんなこんなで、じわじわと「ワルシャワ蜂起熱」が掘り起こされてしまい、そろそろMirage HOBBYのクブシュ(Kubuś)をいじり始めようか、などを思い始めた。Mirageのクブシュについての、私自身のレビュー記事はこちら。もう4年以上前か……。

実を言えば、このキットに関しては「いつかSUMICONのネタにしよう」などを思っていて、SUMICONは基本、お手付き禁止なのでそのままストックしていたもの。しかし昨年でSUMICONが(ひとまず)終了になってしまったので、後生大事にストックしている理由が減じたためでもある。

●クブシュのディテール、塗装等に関しての私自身の考証は上記記事の時点からまったく進んでいないのだが、hn-nhさんにこんな資料も紹介してもらった。

Jan Tarczyński, "KUBUŚ Pancerka Powstańczej Warszawy"

私も何冊か持っているタルチンスキ氏著の、クブシュの1冊本。「比較的最近(2000年代以降)出たクブシュの1冊本がある」ということは知っていたのだが、私が知っていたのはMirage HOBBYがキットと一緒に出しているこの本(Antoni Ekner, "Samochód pancerny Kubuś 1944"で、上記、hn-nhさん紹介とは別物。こんな(ワンオフの)車輛の1冊本が複数あるなんて、ポーランド人のクブシュ愛はスゴイな、と思う。ちなみにタルチンスキ氏の著書のほうは、2008年刊行のようだ(つまりキット発売前に出ていたことになる)。

欲しいなあ! と思う一方で、ちょっと躊躇してしまうのは、(1).エクネル版の中身紹介を見ると、当時の写真はweb上で見覚えのあるものが主、中身の結構な割合を占めていると思しき現存実車のwlkaroundもそれなりにwebで閲覧できてしまうため、(2).タルチンスキ版もページ数はそれほど多くなく、写真的にはあまり変わりない可能性があるため。

解説自体はいろいろ興味深いことが書かれていそうではあるが、たぶん両方とも全編ポーランド語。

●もう一冊、hn-nhさんに紹介してもらったのが、

Jan Tarczyński, "Pojazdy Powstańców Warszawskich 1944"

やはりヤン・タルチンスキ著で、書名は「ワルシャワ蜂起軍の車輛、1944」くらいの意味。こちらはクブシュを含め、蜂起軍が使った車輛全般を扱っているらしい。

ちなみに私はこれをよく似た本を持っていて、書名は"Pojazdy ARMII KRAJOWEJ w Powstaniu Warszawskim"(ワルシャワ蜂起における国内軍の車輛)、1994年刊。書名もよく似ているうえに、著者も同じタルチンスキ氏。ついでに出版社も同じWKŁ。もしかしたら上記は私の持っている本の改訂版だったりするんじゃなかろうか……。

20190128_181034 ●というわけで、私の、ワルシャワ蜂起におけるポーランド側車輛の知識のベースとなっている、後者の本の紹介。

確かその昔、ポーランドの模型屋(模型問屋?)であるPELTAから通販で買ったのだと思う。もうPELTAの名を聞かなくなって久しいので、なくなってしまったか、別の社名になったか、どこかに吸収されたかなのだと思う(ちなみに先日紹介したレミのバキュームフォーム・キットもPELTAから仕入れたもの)。

ハードカバーの立派な装丁……とはいっても中身は120ページしかないので、だいぶ薄い。しかも本文テキストはポーランド語。ようやく、写真キャプションだけは英訳併記なのが有り難かった。とにかくこれ以前に時は、ワルシャワ蜂起のポーランド軍車輛に触れている資料は(私の手近にあるものでは)スコードロンの「THE EASTERN FRONT」くらいしかなく、Chwatや鹵獲パンターの写真が複数枚出ていたり、その他ソフトスキンも出ていたりと、この資料は、結構感動ものだった。

とはいえ、特に模型製作のための資料としてみると、だいぶ不足があるものだったのも確か(特に今の目で見ると)。以下、中身の数カットと問題点。

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・基本、写真主体の資料ではないので、「もっとコレの写真ないの?」と思わされるネタも多い。
・写真の質が悪い。現在、webで漁れる写真と同一のカットも多いが、本来、もっと鮮明なものが、ここではボケでいたりする。
・「あの夏のメモリアル」的雰囲気の演出なのか、中身は全て(本文も写真も)セピア色のモノクローム。おかげで、質の悪い写真がますます見づらい(いや、そもそもセピア色印刷のおかげで写真の質が悪く見えるのか?)。

しかし、4枚目写真のChwatの写真の英語キャプションには、「テスト走行中の「Chwat」。装甲板に添えられた木の枝はカムフラージュ目的のものではなく、単に走行中に林に突っ込んだため」などという、「えー、そうなの?(笑)」的な話が書かれていたりして、本文が読めないのが残念。

……とりあえずそんな具合なので、hn-nhさん紹介の新資料が、もしもこれの増補改訂版だったとしても、ちょっと中身は覗いてみたい気がする。

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コメント

うちの近所の海岸から房総半島を眺めると、
先端と、そのへんにいる船のしたに、
空が回り込んで見えるのですが、
浮島という現象なんですね。
なんか風情があって好きな景色なのです。
あと、房総半島には、猫耳の山があります。

投稿: みやまえ | 2019年1月30日 (水) 23時02分

昨夜の某BS番組で鎌倉走り回ってる人がいて、源氏山公園から「見覚えのある富士山」を見てました。何もかも懐かしかったっすw 「事件が起きてコナンが出てきそうなお屋敷」は出てきませんでした。残念.....?

投稿: donji | 2019年1月31日 (木) 08時30分

>みやまえさん

みやまえさんとこ、東京湾側なんですねー。
三浦半島-房総半島くらい近くても「浮島」になるものなんですね……って、同じ原理の「逃げ水」なんて数十メートルくらいで起きますもんね。

>donjiさん

ぜひぜひ、また鎌倉に(奥様もご一緒に)お越しください。
ESCIの35(t)もキープしてありますよー(もっとも、今ならFTFからもっとお手軽な72キットも出てますが)。

投稿: かば◎ | 2019年1月31日 (木) 13時08分

「逗子・葉山駅」って何ですかー(笑)
ぜんぜん葉山じゃないし。夏がくる頃には、旧新逗子のホームで呆然とする人が続出。

Jan Tarczyński, "Pojazdy Powstańców Warszawskich 1944"
は、ポーランドからとりよせるよりAmazon.co.ukから買うのが一番安そうでしたよ。
amazon.co.jpでは2,800円台で「入荷時期未定」で出てたので、試しにポチってみました。果たして届くのか?

投稿: hn-nh | 2019年1月31日 (木) 21時50分

Chwatはバリケードから回収、修理されて可動できるようなっても、結局バリケードの外に出ることなく終わってしまったようですね。その間、一体何をしていたのかと思ったら、林に突っ込んだりしてみてたんですね(笑)クブシュが戦闘に参加したことに比べてなんとも役立たず。

投稿: hn-nh | 2019年2月 1日 (金) 05時22分

>hn-nhさん

"Pojazdy Powstańców Warszawskich 1944"が届いたら、ちらっと中身を見せて下さいね!(←セコい)

確かに、クブシュは、作戦成功とまではいかなかったものの、2度戦闘に参加して生き残っていますものね。トラック改造の即席装甲車としては十分な活躍ではないかと。

ワルシャワ蜂起時の国内軍の車輛で最も活躍したとなると、vol de nuitさんがお好きなパンター「プーデル」号でしょうか。ドイツ軍の装甲車とIII突を撃破したとかいう話があるそうなので。

投稿: かば◎ | 2019年2月 1日 (金) 20時16分

 こんにちは。
 とある版画家のブログを見ていたら「クブシュ」のファンでプラモとペーパークラフトを3つづつ!抱えていることが判明。
 中々の数寄者で部屋にはA7V他のキットと共に箱を飾っていたり、ポーランドで展示会の折には博物館他を回ってクブシュや件のヘッツアー?の写真を撮っています。
「クブシュ」好きは偏差値が高いと納得。
http://kazamasachiko.com/?p=8096
>特に変化の見られないインテリアの中で、最近のお気に入りは(もちろん)クブシュのプラモ。
http://kazamasachiko.com/?p=8021
>(版画よりプラモで座りっぱなしが良い)
ワルシャワ蜂起名物・クブシュの紙モデルとプラモデル(保存/観賞/組立用)
たとえ即製装甲車ファン諸君が「くれ」と言ってもあげない。
http://kazamasachiko.com/?p=7911
>ワルシャワ蜂起記念館売店のおばさんは、私がクブシュグッズをたくさん購入したのを見て「裏庭にクブシュがあるから写真を撮りなさい」と教えてくれた
>〈走れる複製クブシュの後姿〉
売店おばさんのお陰で見落とさずにすんだよ。ジェンクイエ
なんとヘンテコな造形よ! (ハッチが無く下に潜って腹から入る構造になっている)
http://kazamasachiko.com/?p=7898
>〈ポーランド軍事博物館〉庭園では、独軍ハーフトラック・sd.kfz 251に興奮し「これは夢?」とフワフワした気分で戦車庭園を見学
>クブシュ!!!!!
これは軍事博物館の本物クブシュ。この素晴らしいフォルムの即製装甲はシトロエンの技術者の手によるものだという。美しい塗装にご満悦なタモリ風の私であった。
(鹵獲ツーショット)
ドイツ車両がなぜポーランドに?と不思議に思われる諸氏もおられよう。
左の装甲兵輸送車sd.kfz251は独軍から鹵獲し〈灰色狼〉と命名され、クブシュとともにワルシャワ蜂起市街戦に参加。一方でヘッツァーは〈フファット〉と名付けられたが、バリケード程度の活躍しかできず、戦後になって教育委員会の命令により破壊される。
(哀れなその姿)
薄い装甲と狭い車内にびっくり!
クブシュが目的でなはい http://kazamasachiko.com/?p=7889
等々

ちょうど今、馬喰町で個展中の由。
http://kazamasachiko.com/?p=8078

投稿: L | 2019年6月 6日 (木) 11時43分

>Lさん

お久しぶりです。

実はたまたま、ちょうどMirage 1:35のクブシュをいじり始めているところで、そろそろ製作記を書き始めようか、なとどと思っていたところでした。
なんというタイミングでクブシュの話題が……!

それにしても、この方のクブシュ愛、すごいですね。
世の中にこんな奇特な方がいらっしゃるとは……。

世の中、捨てたもんじゃないぜ!と思うべきなのか、
世の中、どこか変だ!と思うべきなのか微妙なところではありますが(^^;)
この方のストックしているMirageのクブシュは、1:72のほうみたいですね。

投稿: かば◎ | 2019年6月 6日 (木) 20時51分

 レスポンス、ありがとうございます。
 模型屋に行くと非常に魅力的ではあるが「誰が買うんだろう?」というキット他が積み上がっています。しかしまあ、こうしてメーカー~小売店が流した瓶はちゃんと届いているという(笑)。もっとも、どんなトンデモでも全国で3000くらいは売れるそうで”○鹿三千”と言うんだそうで(MGには300とあったけど)。
 まあ「即製装甲車ファン」ってソコソコいそうですけどね。スペイン内戦やユーゴ内戦などの即製装甲車にはグッと来ます。流石にダーイッシュの特攻装甲トラックまで来るとキツイですが。

 この方のクブシュは1/72なんですね。一緒に飾られているA7Vはエマ―だからスケールを合わせているのかも。過去の作品ではA7Vやsdkfz251も作品に入れていますし、紹介しなかった記事の写真ではイタレリ(ジオラマベース?)やタミヤ(キャタピラ?)他の箱も写っていましたよ。
 この方の作風は過去を徹底的に勉強して今を未来を透かし本質を幻視するという感じ。「戦争画、リターンズ」という上野の展覧会で見たこともあります。
 美大出身モデラ―は模型界の主流の一つですから心を動かしていても不思議ではないのでしょう。また、ミリタリーなものをモチーフとして見掛けることもあります。凄いところでは朝鮮大の方が巨大で緻密な96艦戦の透視図を幻想的なタッチで!描いている(シースルーで少年兵がボーっと乗っていて七色?の靄靄の中に浮いている。日の丸も入っている)のを阿佐ヶ谷で見て上野で再会したことがあります。宮崎駿が見たら(近所で描いていたわけですね)、画家(女学生)の両手を握って「やはり96艦戦だよねえ」とか言いそう。

投稿: L | 2019年6月 7日 (金) 00時39分

>Lさん

>>この方のクブシュは1/72なんですね。

ブログの写真のクブシュのボックスアートを見ると右向きなので……。1:35キットは、上記事のように左向きなのです。
クブシュ好きとしては、1:72もちょっと欲しいかな、なんて思っているんですが、1:35を作り始めてしまったので、1:72は買ってもそのまま積プラになってしまいそう。

96艦戦の透視図アート、ちょっと見てみたいです。
96艦戦という飛行機自体も好きで、ファインモールドの48キットを持っていたりするんですが(その昔のニチモの72?もどこかにあるはず)、今後、作る機会が来るのかどうか。

投稿: かば◎ | 2019年6月 7日 (金) 13時23分

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