ホルトの鈍牛(9) 操縦席その他
●「週末模型親父」さんのところの「SUMICON2018」のエントリー作、RODEN 1:35、HOLT 75 Artillery Tractorの、じわじわとしか進まない製作記。
●一応前回の続き。
もう片側分の履帯の改修作業も終わったので、足回りに巻き付け、リンク部に接着剤を流して固定。“一応”可動履帯であるにもかかわらず接着固定したのは、動作がスムーズでなく、連結も(特に屈曲部で)外れやすいこと、起動輪を履帯で支える構成に改めてしまったことによる。
履帯固着後、起動輪位置を仮固定していた冶具(フレーム)を取り外した状態が写真1枚目。起動輪は、2枚目の写真のように車軸の付け根てエッチングソーでシャーシから切り離してある。前にも書いたように、転輪ユニットと起動輪の位置関係を調整するため、および足回り全体を後付けできるようにするため。
●足回りに関する追加工作。誘導輪位置調整装置につき、フレームの「窓部」に咬ませる、左右2つずつのツメを追加。
●運転席周辺の工作。
▼おそらく左右履帯のブレーキと思しきレバーに繋がるリンクロッドが左右にある。これがなぜかキットパーツでは左右で太さが違い、しかも片側はカマボコ型断面になっていたので、両方とも金属線(燐青銅線かな?)に交換。
ロッドは車両後部の巨大ギアボックスに引き込まれているが、キットではギアボックス内はカラッポで、当然ながらロッドはどこにも接続していない宙ぶらりん状態。
▼座席支持架は上半分部分を真鍮帯板で作り替え。ついでに高さも切り詰めた。
▼ハンドルは型ズレなども激しかったので、周囲のリング部分だけ削り直して使用。スポーク部とハンドルから垂直に生えている取っ手は新造。取っ手は棒状のプラ材から削り出した。長大なハンドルシャフトも、キットパーツは断面形状がいびつだったので真鍮線に交換。
▼フットペダルから後方への操作板棒を新設。
▼ハンドル前側に付くレバー(スロットル=アクセル?)からは2本の索が前方床に伸びている。現存実車を見ると、どうやらこれは比較的柔らかめのチューブ内を操作索が通っている、という感じのもののようで、現物はピンと真っ直ぐしておらず微妙にヨレているため、なんとなくそのように工作。
とはいえ、結局のところ「工作が下手なのでヨレてしまった」ようにしか見えない。しょんぼり。なお、本来はここで床が途切れていて、そこから索が下側に導かれているのだが、キットは床形状がそうなっておらず、かといって切り欠くと辻褄合わせがさらに面倒になるので、単純に床に穴を開けて誤魔化した。
▼操縦席からトランスミッションを隔てて左側にある燃料タンクを工作。ベルト部分や注入口等のモールドは一度全部削り落とし、継ぎ目を消してから改めて工作。本来、エンジン右側の冷却水タンクと(形状は違っても)似たような造りになっていると思うのだが、工作自体、時間が空いてしまい、その間に写真を眺めて知見が増えたこともあって、いろいろ異なる仕上がりになってしまった。具体的には――
(1).取り付けベルトが二重になっているのを再現。
(2).溶接線を、注入口を避けてちょっと脇にずらした。考えてみれば、構造的に溶接ライン上に注入口を設けることはしないような気がする。もっとも、冷却水タンクのほうは、工作し直すのが面倒なのでそのままとする。
(3).ベルト締め付け用のナットを、今回はちゃんと付けた(冷却水タンクの方はさぼった)。
●長大なハンドルシャフトの先は、傘歯車を介して回転軸を直角に曲げ、その先のウォームギアで前輪ユニットを動かすようになっている。仕組みそのものは非常に判りやすいが、「え? そんなんでいいの?」という構造。
ウォームギアは、キットのパーツは型ズレ等あって(見えにくい場所とはいえ)使う気になれない状態だったので、アルミ線を巻いた後に三角ヤスリで“目立て”をしてギアを作り直した。前輪ユニット側のギアもパーティングラインが真ん中を走っていて段差もあったので、こちらも三角ヤスリで歯を削り直した。
●前輪ユニット枠は、以前にも書いたように、キットのパーツは段差が激しくてどうしようもない状態だったので、一度全部モールドを削り落として平滑にしてあったのだが、そこに新たにディテールを工作。
小さな三カ所の突起は、実車写真から判断すると自由回転するローラーらしいので、バンパー的な役割を持つものなのだと思う。
●ほぼこれで、屋根を残して車体のあれこれの工作は完了。
屋根が付く前の、一番メカメカしく見える姿を何枚か。
| 固定リンク
「製作記・レビュー」カテゴリの記事
- Char 2C MENG 1:35(の突発的レビュー)(2024.08.17)
- I号戦車B型 アカデミー 1:35(2)(2024.07.12)
- I号戦車B型 アカデミー 1:35(2024.07.08)
- ミニスケール2題(2024.07.04)
- シロマダラ(2024.06.24)
「ホルト・トラクター」カテゴリの記事
- ホルトの鈍牛(12) 改めての完成披露(2019.01.20)
- ホルトの鈍牛(11) とりあえずの完成披露(2018.12.06)
- ホルトの鈍牛(10) 屋根の組み上げ(2018.10.21)
- ホルトの鈍牛(9) 操縦席その他(2018.10.10)
- ホルトの鈍牛(8) 履帯(2018.09.20)
コメント
かば◎ さん
工作お疲れ様です。
キャタピラの雰囲気が収まっているようで良かったですね。
アルミ線がシャーシと今回のウォームギアのところに使われてますが
サイズを教えていただけますか?
伸ばしランナーを巻く方法では無理があることも、、今後使いたいです。
投稿: hiranuma | 2018年10月10日 (水) 19時10分
>hiranumaさん
今回使用したアルミ線は0.5mm径です。
以前にも書いたと思うのですが、I号戦車A型を作った際に、第一転輪のサス・スプリングを作るのに買ってきて余っていたものです。
今回は、たまたまそれくらいの径で都合がよかったので使いましたが、おそらく0.1mm刻みでサイズがあると思います。
ちなみにI号B型はサスが強化されていてスプリング線が太いはずなので、将来I号B型を作る際にはもうちょっと太めのヤツを買ってこないと……。
投稿: かば◎ | 2018年10月10日 (水) 19時38分
追加工作が凄いことになってますね。
前輪ユニットのローラーが素敵。障害物にぶつかったときにぐりぐりと回避するための機構かしら?
誘導輪の調整装置のレールから外れないようになってるツメとか、技術者の思考がかいまみえて楽しいです。
投稿: hn-nh | 2018年10月11日 (木) 17時33分
余談ながら、PCからもようやくコメントできるようになりました。
同じくココログを使っているme20さんのブログにもコメントできなくなっていたことから、個別のブログ設定の問題ではなく、さては模型村からはじき出されたか、こちらのIPアドレスか何かがココログのフィルターに弾かれていたようです。
GoogleのパブリックDNSを使っているのが悪さしてるのかとかあれやこれやと思案したものの原因はわからず、はたと気づいて光回線のモデム(ONU)の電源を落としてリセット後に再接続したら、グローバルIPも変わって、無事にコメントできるようになった次第。
同じようにコメントしたくてうずうずしてるのにココログサーバーから弾かれてる人もいるかもしれないので、対策として書き留めておきます。
投稿: hn-nh | 2018年10月11日 (木) 17時55分
かば◎さん凄いなぁ、10年ぐらい前より
明らかに上手になってる
まだまだ伸びしろがあったんだ
だけど模型に心血注ぎすぎて、最近は痩せちゃったんだね
模型作ってダイエットなんて、器用なことをしていますね
投稿: 赤板先行 | 2018年10月11日 (木) 20時45分
週末模型親父の投稿も拝見しております。お先にM8グレイハウンド完成いたしました。5月に完成したJS-2 1943年型を製作した流れで完成時期は未定ですが、1944年に使用されたISU152初期型にチャレンジしてみようと思います。かば@様の過去の記事を参考にさせてくださいませ。
投稿: はい人28号 | 2018年10月13日 (土) 18時47分
>hn-nhさん
原因はなお(私には)まったくわからないのですが、とりあえず、普通に投稿できるようになって有り難いです。hn-nhさんには気軽にツッコミを入れて頂きたいですし。
「自由回転するローラー」と自分で書いた後で、心の中で「ミニ四駆かよー」とちょっと思いました(笑)。
>あかばん
あかばんもたまには模型作れ(笑)。
でもそれより前にちょっと運動せれ。
>はい人28号さん
はい、いくらかでも参考になるのでしたら幸いです。
しかし……いま見返してみたら、私の「初期型JSU-152」って、組立終了したのは2010年なんですね……。
それから塗装しかけたまま、長らく放置してあります。ダメダメな感じ。
初期型は各部、KVベースのSU-152とパーツが共通しています。ぱっと見、ほとんど変わり映えしないのに、工作だけはちまちま面倒というシロモノです(笑)。
私はフィンランド軍車両が作りたくて改造しましたが……はい人28号さんは、ソ連軍のハデな多色迷彩仕様でしょうか。
投稿: かば◎ | 2018年10月14日 (日) 01時06分
10月14日九州AFVの会に参加して青木先生にお会いして確認したところかば@様が苦労された穴なし上部転輪もSU152と同じものとのこと。幸い当方JS2作成時に参考のためにブロンコのKV122を入手したので、それを使用する予定。かば@様が製作された2010年より後にトランペッター・ブロンコからSU152が発売されたので多少は部品の流用が楽なようです。
投稿: はい人28号 | 2018年10月14日 (日) 21時28分
>はい人28号さん
ブロンコ、トランペッター、ともに私はSU-152のキットを持っていないのですが、確かどちらかは、戦闘室の高さがおかしかったような……。
となると、防盾部分の高さも違っている可能性があり、そのまま流用は難しいかもしれません。
しかし確かに、その他の小部品は流用できそうですね……って、なんだかすごくもったいない話ですが(^^;
投稿: かば◎ | 2018年10月15日 (月) 16時04分
実にもったいない話ですね。JS2の初期型を製作する際に参考品としてブロンコのKV122を購入した際の話。初期型の砲塔はブロンコ、ドラゴン、タミヤのどれが一番ふさわしいかと中四国AFVの会で青木先生に相談し、現物を見ながら比較検討したところ、ブロンコの砲塔は他社の2砲塔に比べ大きさが一回り大きいじゃないですか。青木先生曰く「これはヒトイですね。」の一言。ブロンコは諦めて、トランペッターのSU152を防盾製作の参考品に購入をしようと思います。
投稿: はい人28号 | 2018年10月16日 (火) 20時49分