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トランペッター 1:35 KV-1 1942年型鋳造砲塔(その1)

●トランペッター初期のKVシリーズが最近再版された。

価格も発売当初からそれほど上がっておらず、無印のKV(という言い方も何か変だが、要するに大幅に改設計された1Sに至る前のKV)のキットとしては現時点で最もスタンダードと言える出来のキットなので、KVファンとしては喜ばしい。

と言っても、別に未購入のバリエーションを軒並み買い込んだりはしないけれど(履帯問題など、いくつかネックも存在するので)。

20180323_204921 ●ただ、「そういえばトランペッターの、後期型KVは1つも買っていなかったな……」と思い、再版ものなのか、それとも単なる売れ残り品だったのか、しばらく前に1942年型・鋳造砲塔型を購入。さらに先日、フリウルの2分割リンク混ぜ履きタイプの金属履帯を入手したのをきっかけにちょっといじり始めた。

折よくというか何というか、hn-nhさんもトラペのKV(1941年型鋳造砲塔)をいじり始めたということで、その記事をブログにUP。なんとなく身近の「KV濃度」が上がっている感じ(そちらの記事も一緒にどうぞ。リンク先は記事の1本目)。

そんなわけで、せっかくなのでキットレビューというか、若干の考証というか、中途半端なつまみ食い的チェック記事を。

●キット名称について。

今回いじっているキットは、キット名称でいうと、

Russia KV-1 model 1942 Lightweight Cast Turret(アイテム番号NO.00360)

ただし、このキット名称には若干の疑問がある。車体に関しては、エンジンデッキが後部まで水平になり、後端が直線的に処理されるようになった装甲強化型で、この点は一般に言うところの「1942年型」で問題はない。しかし砲塔は、下部3分の1ほどが末広がりになり、後面の機銃架周囲にリング状の防弾リブが設けられた後期型の鋳造砲塔で、私の認識としては、キット名称にあるような「軽量鋳造砲塔」ではなく、むしろ「装甲強化型鋳造砲塔」ではないかと思う。

逆にhn-nhさんが製作しているほう、

Russia KV-1 model 1942 Heavy Cast Turret Tank(アイテム番号NO.00359)

は、車体は装甲強化前の後端が曲面タイプ、砲塔も鋳造タイプが導入され始めた当初のもので、要するに、レンドリースの見返りに送られてアバディーンに置かれていたもの(要するにタミヤが最初にキット化したもの)と同一のタイプ。一般的な認識としては1941年型にあたり、砲塔もむしろこちらが「軽量型鋳造砲塔」ではないかと思う。

もっとも、それぞれキットの中身的には、車体と砲塔の組み合わせが順当なのは幸い。これが逆だったら2つ買って砲塔を交換する羽目になるところだった。

●キットの肝の部分。

キットのバリエーション上の特徴は、「1942年型(後端が角型の装甲強化車体)」であることと、「後期型の鋳造砲塔」であること(前述のように、トランペッターは「鋳造砲塔が載っていれば車体は変わっていなくても1942年型」という、ちょっと独特な形式分類をしている――単純にキット名称を付けるときに間違えた、というのでなければ)。

ほか、それらに付随して(あるいは前後して)細かい細部の変遷があるが、とりあえずバリエーションとしての大きな特徴は上記2点に集約できる。

▼車体

前述のように、鋳造砲塔だがより生産時期が前のタイプは「Russia KV-1 model 1942 Heavy Cast Turret Tank(アイテム番号NO.00359)」として、生産時期が同じだが装甲強化型の溶接砲塔を搭載したタイプは「Russia KV-I model 1942 Simplified Turret Tank (アイテム番号00358)」として発売されている。

トランペッターのKVシリーズは、とりあえずバスタブ型に成形された車体底面+側面内壁に、モールドが付加された側面板を重ねて貼るという、「バスタブ成型」と「箱組」の中間のような独特の車体パーツの構成。

バスタブ型の車体基本パーツはシリーズ共通。車体前部上面パーツ・シャーシ後面パーツもシリーズ共通で、側面パーツとエンジンルーム上面パーツ(後端の斜めの面と一体)を別にし、1942年型の車体を再現している。

20180427_110337 20180427_110400

なお、フェンダー支持架は、初期は車体側にリベット(ボルト)接合なのだが、1941年型になってしばらくして(たぶん)、単純な溶接に変更されている。キットの側面パーツは41年型まで共通でリベット止めされた支持架のベロがモールドされていて、hn-nhさんの記事によれば、41年型の場合は削り落とすよう説明書で指示されている模様。42年型の場合は最初からベロのモールドがない(当たり前だが)。

ちなみに上写真で側面後端エッジ付近がちょっと色が変わっているのは、若干のヒケがあったのを修正した痕。

車体前部は小部品の取り付け穴が非貫通で、タイプに合わせて説明図の指定に従って開ける形式。ただし、一部にパーツ共用の弊害も。

車体ハッチは、初期はハッチ周囲がドーナツ状に別体、後期(40年型の後期、装甲強化型短砲塔が載る頃から?)は車体に直にハッチ穴が開けられるようになる。キットはハッチ穴周囲のパーツを別にして形状差に対応しているが、当然ながら、後期型ではリング状に継ぎ目が出てしまうので、砲塔リング保護リブなどを取り付ける前に継ぎ目を埋める必要がある。1940年型末期以降の共通必要工作。

この際、面倒なので前面・側面との間の溶接ラインも一緒に削り落としてしまい、後から伸ばしランナーで再生した。ハッチの内部機構に対応したものと思われる2個の尖頭ボルトも一度削って、作業後に付け直した。

20180326_134204 20180329_121349

車体機銃に対応した跳弾リブとアンテナポスト保護リングは、どちらも中央部に雨抜き穴が設けられているので、その部分はそのように再現した。

ちなみに、車体後面下部の湾曲したパーツ(A12)はシリーズ全てで共通だが、実際には、キットのパーツのように下端で車体底面との間に段差ができるのは(多少の前後はあるかもしれないが)1941年型以降。それ以前の生産車では底面に合わせて面取りされている。つまり、こちらは前部上面とは逆に後期型基準になっていることにある(トランペッターが意識していたかどうかは怪しいが)。

もっともその一方で、後面下部パーツにモールドされた牽引シャックル基部は、埋め込みボルト表現のある初期型形質。1941年型の中盤以降(たぶん)、ここは単純な溶接になって埋め込みボルトは省略されているようなので、リング状のモールドは削り落とす必要がある。

▼砲塔

1942年型向けに生産された後期型の鋳造砲塔をキット化。

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タミヤが最初に出したタイプの鋳造砲塔と似ているが、前述のように、側面下3分の1ほどが裾広がりになっていること、後面機銃架周囲がリング状に盛り上がっていることが大きな差異。また、このタイプの砲塔の場合、上面板は普通に乗っているものと、組み継ぎになっているものとがある(後者の方がより後期の生産型か)。キットは御覧のように組み継ぎのタイプを再現している。

もしかしてこのタイプの砲塔は、「下3分の1が末広がりになっている」のではなく、逆に「上部が絞られている」のではないか……その分やや小型化されて、キット名称通りに「軽量タイプ」になっているのではないか……などと思ったりもしたのだが、現存実車の写真を見比べると、42年型(パロラ)では裾部が車体左右のリングガードをはみ出しているのに対し、41年型(アバディーン)ではリングガードの幅内に収まっている。やはりこちらの方が「装甲強化型」という捉え方でいいようだ。

なお、このタイプの砲塔の場合、バッスル下左右端に、「コバンザメの吸盤?」くらいに長大で顕著な湯口痕があり、そのため、バッスル下エッジのラインはかなり波打っている(標準型鋳造砲塔の場合もほぼ同じ個所に湯口があるが、もっと小さくおとなしい)。これはこのタイプの砲塔の大きな特徴でもあるので、ぜひ追加工作したい。

20180325_175411 ●お約束工作。

トランペッターのKVは3カ所の上部転輪が均等幅になっており、それはパーツが新しくなった42年型でもそのまま引き継いでいる。

実際には(ドイツのIII号戦車ほど顕著ではないものの)第1~第2上部転輪間は第2~第3間よりやや広い。きっちり計測したわけではないが、実車写真を見ても第2・第3上部転輪は(下部転輪と比べて)おおよそ正しい位置に見えるので、修正する場合は第1転輪をやや前にずらすだけでよさそう。

以前に書いたが、かさぱのす氏がパロラにある実車2輌にメジャーを当てて測ったところ、第1上部転輪~第2上部転輪間は1,835mmと1,840mm、第2上部転輪~第3上部転輪間は1,735mmと1,730mmだったそうだ。つまり、間隔差は100~110mmで、1:35換算で約3mm、第1上部転輪基部を前方にずらせばよいことになる。

長くなったので続きは次回。

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コメント

車体ハッチのアダプターリングパーツの継ぎ目を消すのに、溶接痕とか尖頭ボルトを私は残したまま作業したのでえらい大変でした。しかもアダプターリングのほうが薄くて一段面落ちしたようになってしまったところに瞬着パテを盛ったりして... プラペーパーなど裏打ちしてから作業すればよかった...

強化型砲塔の機銃まわりの補強リングの造形などトランペッターの造形は少し硬い感じがしますね。履帯などもモデルカステンの造形と比べると無機的というか。

車体後面下部(A12)が1940年型では底面が面取りされているのは、かば◎さんの以前の記事で読んでいたので戦車検定の試験に出されてももう大丈夫ですが、1941年型以降の底部の納まりがどうもよくわかりません。図面的にはトラペのキットの通りでよさそうなことはわかってるのですが、下記のような写真を見ると、不思議な段々がついていて...
imgur.com/a/jWmGG6U

投稿: hn-nh | 2018年4月28日 (土) 13時13分

>hn-nhさん

ありゃま。本当だ。なんだか変な段が付いているように見えますね。どうなってるんだろう。

逆に、私が「後期型はキットのままでOK」と判断した根拠はどこにあったのかが知りたい(笑)。ちゃんとこういうのは、記事を書くときに「**を見てそう判断した」とか添えておかないと、自分でも判らなくなりますね。

投稿: かば◎ | 2018年4月28日 (土) 13時32分

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